(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032848
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】鋳造設備
(51)【国際特許分類】
B22D 47/02 20060101AFI20230302BHJP
B22D 46/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B22D47/02
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139184
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391020492
【氏名又は名称】藤和電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】西田 理
(72)【発明者】
【氏名】兵藤 利幸
(72)【発明者】
【氏名】星野 正則
(57)【要約】
【課題】品質の良い鋳物を製造する鋳造設備を提供する。
【解決手段】造型機によって造型され注湯場に搬送された鋳型に取鍋内の溶湯を注ぐ注湯機を備え、注湯機は、注湯位置に搬送された鋳型の溶湯の計画温度範囲を造型機から取得する計画取得部と、注湯位置に搬送された鋳型への注湯中に注湯流の温度を検出する温度センサと、温度センサにより検出された注湯流の温度が計画取得部により取得された計画温度範囲内であるか否かを判定する温度判定部と、を有し、注湯機は、温度判定部によって注湯流の温度が計画温度範囲内でないと判定された場合には鋳型への注湯を中止する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造型機によって造型され注湯場に搬送された鋳型に取鍋内の溶湯を注ぐ注湯機を備え、
前記注湯機は、
注湯位置に搬送された前記鋳型の溶湯の計画温度範囲を前記造型機から取得する計画取得部と、
前記注湯位置に搬送された前記鋳型への注湯中に注湯流の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサにより検出された注湯流の温度が前記計画取得部により取得された前記計画温度範囲内であるか否かを判定する温度判定部と、
を有し、
前記注湯機は、前記温度判定部によって前記注湯流の温度が前記計画温度範囲内でないと判定された場合には前記鋳型への注湯を中止する、鋳造設備。
【請求項2】
前記取鍋を前記注湯機へ搬送する搬送装置を更に備え、
前記計画取得部は、前記注湯位置に搬送された前記鋳型の計画材質番号を前記造型機から更に取得し、
前記注湯機は、
前記取鍋内の溶湯の材質を識別する材質番号を前記搬送装置から取得する材質取得部と、
前記計画取得部により取得された前記計画材質番号と前記材質取得部により取得された前記材質番号とが一致するか否かを判定する材質判定部と、
を更に有し、
前記注湯機は、前記材質判定部によって前記計画材質番号と前記材質番号とが一致しないと判定された場合には前記鋳型への注湯を中止する、請求項1に記載の鋳造設備。
【請求項3】
前記計画取得部は、前記造型機から取得した情報に基づいて、前記注湯位置に搬送された前記鋳型に注ぐための取鍋傾動パターンと前記取鍋傾動パターンで注湯したときの前記取鍋の重量の時間変化とを更に取得し、
前記注湯機は、前記取鍋の傾動動作を補正する補正値を格納した記憶部を参照し、前記計画取得部によって取得された前記取鍋傾動パターンと、前記記憶部に格納された前記補正値とに基づいて、前記注湯位置に搬送された前記鋳型に注湯し、
前記注湯機は、
前記注湯位置に搬送された前記鋳型への注湯中に前記取鍋の重量を計測するロードセルと、
前記ロードセルにより計測された前記取鍋の重量と、前記計画取得部により取得された前記ロードセルによる計測時における前記取鍋の重量との偏差が小さくなるように前記記憶部に格納された前記補正値を更新する更新部と、
を更に有する、
請求項1又は2に記載の鋳造設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鋳造設備に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鋳造設備を開示する。この鋳造設備では、取鍋が溶解炉で溶湯を受湯し、注湯機へと搬送される。複数の鋳型が造型機によって造型され、1鋳型分ずつ注湯機へと搬送される。注湯機では、搬送された鋳型に、取鍋内の溶湯が注湯される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の鋳造設備は、より良い鋳物を製造するために改善の余地がある。本開示は、品質の良い鋳物を製造する鋳造設備を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る鋳造設備は、注湯機を備える。注湯機は、造型機によって造型され注湯場に搬送された鋳型に取鍋内の溶湯を注ぐ。注湯機は、計画取得部、温度センサ、及び温度判定部を有する。計画取得部は、注湯位置に搬送された鋳型の溶湯の計画温度範囲を造型機から取得する。温度センサは、注湯位置に搬送された鋳型への注湯中に注湯流の温度を検出する。温度判定部は、温度センサにより検出された注湯流の温度が計画取得部により取得された計画温度範囲内であるか否かを判定する。注湯機は、温度判定部によって注湯流の温度が計画温度範囲内でないと判定された場合には鋳型への注湯を中止する。
【0006】
品質の良い鋳物を製造するためには、予定通りの粘性を有する溶湯が鋳型に注がれる必要がある。溶湯の温度と溶湯の粘性とは相関がある。このため、この鋳造設備の注湯機においては、溶湯の温度に基づいて注湯機が制御される。注湯位置に搬送された鋳型の溶湯の計画温度範囲が造型機から取得される。注湯位置に搬送された鋳型への注湯中に注湯流の温度が検出される。そして、注湯流の温度が計画温度範囲内でないと判定された場合には鋳型への注湯が中止される。このように、鋳造設備は、予定通りの温度でない溶湯、つまり予定通りの粘性でない溶湯で、鋳物を製造することを回避できる。よって、この鋳造設備は、予定通りの粘性を有する溶湯を鋳型に注ぐことにより、品質の良い鋳物を製造できる。
【0007】
一実施形態においては、鋳造設備は、搬送装置を更に備えてもよい。搬送装置は、取鍋を注湯機へ搬送する。計画取得部は、注湯位置に搬送された鋳型の計画材質番号を造型機から更に取得する。注湯機は、材質取得部及び材質判定部を更に有する。材質取得部は、取鍋内の溶湯の材質を識別する材質番号を搬送装置から取得する。材質判定部は、計画取得部により取得された計画材質番号と材質取得部により取得された材質番号とが一致するか否かを判定する。注湯機は、材質判定部によって計画材質番号と材質番号とが一致しないと判定された場合には鋳型への注湯を中止する。
【0008】
品質の良い鋳物を製造するためには、予定通りの成分の溶湯が鋳型に注がれる必要がある。このため、この鋳造設備の注湯機においては、注湯位置に搬送された鋳型の計画材質番号が造型機から取得される。取鍋内の溶湯の材質を識別する材質番号が搬送装置から取得される。そして、計画材質番号と材質番号とが一致しないと判定された場合には鋳型への注湯が中止される。このように、鋳造設備は、予定通りの材質番号でない溶湯、つまり予定通りの成分でない溶湯で、鋳物を製造することを回避できる。よって、この鋳造設備は、予定通りの成分の溶湯を鋳型に注ぐことにより、品質の良い鋳物を製造できる。
【0009】
一実施形態においては、計画取得部は、造型機から取得した情報に基づいて、注湯位置に搬送された鋳型に注ぐための取鍋傾動パターンと取鍋傾動パターンで注湯したときの取鍋の重量の時間変化とを更に取得してもよい。注湯機は、取鍋の傾動動作を補正する補正値を格納した記憶部を参照し、計画取得部によって取得された取鍋傾動パターンと、記憶部に格納された補正値とに基づいて、注湯位置に搬送された鋳型に注湯する。注湯機は、ロードセル及び更新部を更に有する。ロードセルは、注湯位置に搬送された鋳型への注湯中に取鍋の重量を計測する。更新部は、ロードセルにより計測された取鍋の重量と、計画取得部により取得されたロードセルによる計測時における取鍋の重量との偏差が小さくなるように記憶部に格納された補正値を更新する。
【0010】
品質の良い鋳物を製造するためには、安定した勢いで溶湯が鋳型に注がれる必要がある。安定した勢いで注湯するためには、熟練作業者による注湯に合わせた注湯機の機械動作(取鍋傾動パターン)と取鍋の重量の時間変化とを記憶し、熟練作業者による注湯を再現すればよい。このため、この鋳造設備においては、注湯位置に搬送された鋳型に注ぐための取鍋傾動パターンと取鍋傾動パターンで注湯したときの取鍋の重量の時間変化とが更に取得される。取鍋の傾動動作を補正する補正値を格納した記憶部が参照され、取鍋傾動パターンと補正値とに基づいて、注湯位置に搬送された鋳型に溶湯が注湯される。鋳型への注湯中に取鍋の重量が計測される。計測された取鍋の重量と、取得された取鍋の重量の時間変化のうちロードセルによる計測時における取鍋の重量とが比較され、記憶部に格納された補正値が更新される。このように、鋳造設備は、計画された取鍋傾動パターン(熟練作業者による注湯)で注湯したときの取鍋の重量と、取鍋の重量の実績とを比較して、次回の注湯が計画通りになるようにフィードバックすることができる。よって、この鋳造設備は、安定した勢いで溶湯を鋳型に注ぐことにより、品質の良い鋳物を製造できる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の種々の側面及び実施形態によれば、品質の良い鋳物を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態に係る鋳造設備の一部を示す平面図である。
【
図2】
図2は、例示的な実施形態に係る注湯機の側面図である。
【
図3】
図3は、例示的な実施形態に係る注湯機の正面図である。
【
図4】
図4は、例示的な実施形態に係る注湯機の軸構成を説明する図である。
【
図5】
図5は、注湯設備の制御システムのブロック図である。
【
図6】
図6は、注湯取鍋の概要を説明する図である。
【
図7】
図7の(A)は、傾動角度と傾動速度の補正値との関係を示すグラフであり、
図7の(B)は、傾動速度の時間変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示の例示的な実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
【0014】
[鋳造設備の概要]
図1は、例示的な実施形態に係る鋳造設備の一部を示す平面図である。
図1に示される鋳造設備1は、溶解炉で得られた元湯の一部を取鍋へ出湯し、溶湯を貯留する取鍋を注湯機へ搬送し、搬送された取鍋の溶湯を、注湯機を用いて鋳型に注湯する。
図1に示されるように、鋳造設備1は、一例として溶解炉2を有する。溶解炉2は、溶解材料を熱で溶融して元湯を得る。溶解炉2は1台であってもよいし、複数台であってもよい。
図1の例では、2台の溶解炉2が並設される。溶解炉2には、対応する溶解材料投入装置が並設されており、溶解材料投入装置によって溶解材料が炉内に投入される。溶解炉2及び溶解材料投入装置は、後述する溶解ブロック制御装置60(
図5)によって動作が制御される。溶解炉2には温度センサが設けられる。温度センサは元湯の温度を取得する。溶解炉2は、後述する受湯取鍋へ複数回出湯できる程度の量の元湯を一度に得ることができる。
【0015】
溶解炉2で溶解された溶湯は、処理取鍋LD1に出湯される。処理取鍋LD1は、受湯台車4に載置され、受湯台車軌条R1上に沿って移動する。受湯台車4は、受湯前に、元湯の成分を調整するために一次接種装置3の位置へ移動し、元湯の成分を調整する材料が一次接種装置3によって処理取鍋LD1に投入される。その後、受湯台車4は受湯位置へ移動し、溶湯が溶解炉2から処理取鍋LD1へ出湯される。受湯台車4は空替位置へ移動し、処理取鍋LD1の溶湯が注湯取鍋LD2へ空け替えられる。空け替えとは、溶湯を他の取鍋に移し替えることである。処理取鍋LD1から注湯取鍋LD2へ溶湯を空け替えるときに、注湯取鍋LD2には二次接種装置5によって添加材料が投入され、溶湯の成分が調整される。受湯台車4及び二次接種装置5は、後述する溶湯搬送ブロック制御装置50(
図5)によって動作が制御される。
【0016】
注湯取鍋LD2は、搬送台車6に載置され、搬送台車軌条R2に沿って搬送される。搬送台車6は、上述した空替位置の他に、注湯機10に注湯取鍋LD2を搬送する取鍋交換位置にも停止することができる。搬送台車6は、溶湯搬送ブロック制御装置50(
図5)によって動作が制御される。
【0017】
溶湯の入った注湯取鍋LD2(実取鍋)は、注湯機10の前段(取鍋交換位置)において、搬送台車6から取鍋交換装置9へ受け渡される。取鍋交換装置9において、実取鍋と、注湯して空になった注湯取鍋LD2(空取鍋)との交換が実現する。例えば、注湯機10がスライドすることにより、実取鍋と空取鍋との交換が実現する。例えば、注湯機10がローラコンベア8の手前へスライドすることにより、空取鍋が注湯機10からローラコンベア8へ受け渡される。注湯機10がローラコンベア7の手前へスライドすることにより、ローラコンベア7から実取鍋が注湯機10へ受け渡たされる。
【0018】
注湯機10は、注湯取鍋LD2が貯留する溶湯を鋳型MDに注湯する。注湯機10は、注湯ゾーン14(注湯場の一例)の側方に設けられる。注湯ゾーン14では、鋳型搬送装置が、造型機(不図示)によって造型された複数の鋳型MDを列状に並べて1鋳型分ずつ搬送する。注湯機10は、注湯ゾーン14において、搬送されている鋳型MDに対して注湯取鍋LD2内の溶湯を注湯する。
【0019】
注湯ゾーン14には、鋳型MD用の軌条が敷設されており、軌条の両端には、鋳型搬送装置である一組の鋳型送り装置11(プッシャ及びクッション)が配置される。鋳型送り装置11を構成するプッシャは、鋳型MDを押し出す機能を有し、鋳型送り装置11を構成するクッションは、押し出された鋳型MDを受ける機能を有する。プッシャ及びクッションにより鋳型MDを隙間なく送り出すことができる。鋳型送り装置11は、一鋳型分ずつ鋳型MDを送り出す。
図1においては、軌条の前端の鋳型送り装置(クッション)のみが図示されており、軌条の後端に配置された鋳型送り装置(プッシャ)の図示は省略されている。
【0020】
注湯ゾーン14において鋳型MDが軌条の前端に至ると、トラバーサ13で隣の冷却ゾーン15へと移送される。冷却ゾーンでは、注湯後の製品を鋳型MD内で冷却させながら、鋳型ばらし装置(不図示)へと鋳型MDを搬送する。冷却ゾーン15には、鋳型MD用の軌条が敷設されており、軌条の両端には、注湯ゾーン14と同様に、一組の鋳型送り装置12(プッシャ及びクッション)が配置される。
図1においては、軌条の後端の鋳型送り装置(プッシャ)のみが図示され、軌条の前端に配置された鋳型送り装置(クッション)の図示は省略されている。鋳型送り装置12の動作は、鋳型送り装置11の動作と同一である。鋳型送り装置12によって、冷却ゾーン15の鋳型MDは、注湯ゾーン14の鋳型MDの搬送方向とは逆方向へ搬送される。注湯された後の鋳型MDは軌条上において時間を掛けて冷却され、溶湯は鋳型ばらし装置に至る前に固化して鋳物となる。鋳型MDの搬送は、後述する造型ライン制御装置30(
図5)によって制御される。注湯機10と鋳型MDの搬送とを同期させる必要がある場合には、注湯ゾーン14の軌条にエンコーダや測長センサなどを配置する。注湯機10は、センサを用いて取得された鋳型MDの搬送速度及び位置に基づいて、鋳型MDの搬送と同期するように制御される。
【0021】
[注湯機の詳細]
図2は、例示的な実施形態に係る注湯機の側面図である。
図3は、例示的な実施形態に係る注湯機の正面図である。
図4は、例示的な実施形態に係る注湯機の軸構成を説明する図である。
図2及び
図3においては、鋳型MD用の軌条は省略されており、鋳型MDのみ示されている。
【0022】
図2~
図4に示されるように、注湯機10は、注湯台車101を備える。注湯台車101は、注湯取鍋LD2を載置し、注湯軌条R3に沿って走行する。注湯機10の上方には、注湯軌条R3と平行にケーブル用軌条R4が設けられる。ケーブル用軌条R4には、給電ケーブル及び信号ケーブルが敷設される。給電ケーブル及び信号ケーブルは、ケーブル用軌条R4を介して注湯台車101に接続される。これにより、注湯台車101には給電ケーブルを介して電力が供給される。また、信号ケーブルを介して注湯台車101と注湯設備の種々の装置との通信が可能となる。
【0023】
注湯台車101は、走行用モータM1を備える。走行用モータM1の駆動によって注湯台車101の車輪が回転し、注湯台車101は注湯軌条R3上を走行する(図中Y方向)。これにより、注湯取鍋LD2は、鋳型列に沿って移動可能となる。さらに、注湯取鍋LD2は、傾動機構ME1によって傾動可能に支持される。傾動機構ME1は、駆動源として傾動用モータSM1を備え、図中Y方向に延在する傾動軸Kを中心として、注湯取鍋LD2を傾動させる(図中θ方向)。さらに、注湯取鍋LD2は、昇降機構ME2によって昇降可能に支持される。昇降機構ME2は、駆動源として昇降用モータSM2を備え、傾動機構ME1を昇降させる(図中Z方向)。これにより、注湯取鍋LD2は、傾動機構ME1とともに昇降し、所定の高さから注湯可能となる。さらに、注湯取鍋LD2は、前後移動機構ME3によって移動可能に支持される。前後移動機構ME3は、駆動源として移動用モータSM3を備え、昇降機構ME2を移動させる(図中X方向)。これにより、注湯取鍋LD2は、傾動機構ME1及び昇降機構ME2とともに、鋳型MDに近接又は離間する方向へ移動可能となる。以上、注湯機10に搭載された注湯取鍋LD2は、図中のXYZ方向の任意の位置に移動し、任意の傾動角度で傾動することができる。傾動機構ME1、昇降機構ME2及び前後移動機構ME3によって、溶湯が注湯取鍋LD2の出湯口Pから鋳型MDへと注がれる。なお、傾動用モータSM1、昇降用モータSM2及び移動用モータSM3は、一例としてサーボモータである。
【0024】
注湯機10は、注湯する溶湯の温度を計測する非接触温度計103(温度センサの一例)を有する。非接触温度計103は、例えば二色温度計のセンサヘッドが検出した二色赤外線放射量を利用して溶湯の温度を演算する。非接触温度計103の測定位置は、注湯取鍋LD2のノズルの出湯口P(ノズルの先端)となるように設定される。これにより、非接触温度計103は、注湯流の温度を計測することができる。
【0025】
注湯機10は、接種装置104を備えてもよい。接種装置104は、切出用モータM2を駆動させてスクリューを動作させ、溶湯の成分を調整する材料を切り出し、切り出された材料を注湯時に鋳型MDへ供給する。これにより、溶湯の成分が調整される。
【0026】
注湯機10は、注湯取鍋LD2からテストピース用に溶湯を受け取るテストピース採取ユニット105を有してもよい。テストピース採取ユニット105は、採取用取鍋を動作させるための採取用モータM3を備え、材質検査のために注湯取鍋LD2毎の溶湯からテストピースを採取する。
【0027】
注湯機10は、注湯取鍋LD2の溶湯重量を計測するためのロードセル106を有してもよい。ロードセル106は、注湯取鍋LD2の重量を検出可能な位置(例えば前後移動機構ME3への荷重を検出する位置)に設けられる。溶湯重量は、実取鍋の重量から空取鍋の重量を減算することで得られる。
【0028】
注湯台車101には、上述した構成要素を制御するための注湯ブロック制御装置40が設けられる。注湯ブロック制御装置40は、予め設定された内容で上述した構成要素を制御する。注湯ブロック制御装置40は、作業員の操作を操作盤107で受け付け、作業員の操作に基づいて上述した構成要素を制御することもできる。
【0029】
[鋳造設備の制御システム]
図5は、注湯設備のブロック図である。
図5に示されるように、制御システム100は、造型ブロック制御装置20、造型ライン制御装置30、注湯ブロック制御装置40、溶湯搬送ブロック制御装置50、及び、溶解ブロック制御装置60を備える。図中の装置は、PLCまたはコンピュータ、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random AccessMemory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、ハードディスクなどの補助記憶装置などを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。
【0030】
造型ブロック制御装置20は、造型計画を記憶し、造型計画に基づいて造型機を動作させる。造型計画は、鋳型情報を含む。鋳型情報は、鋳型に関連付けられる情報であって、鋳型を識別するための連番、当該鋳型にて用いられる模型の情報(造型模型番号)、計画鋳込重量などが含まれる。計画鋳込重量は鋳型に流し込まれる溶湯の予め設定された重さである。
【0031】
造型ライン制御装置30は、鋳型送り装置11,12を制御するとともに、鋳型列に対して固定的に割り振られた複数の搬送位置と各搬送位置に位置した鋳型に対応する鋳型情報とを関連付けて記憶する。つまり、造型ライン制御装置30は、搬送位置と鋳型情報とを関連付けて記憶する。造型ライン制御装置30は、鋳型送り装置11,12による枠送りに応じて、各搬送位置に関連付けられた鋳型情報を更新する。
【0032】
溶解ブロック制御装置60は、溶解工程の情報を一括管理する。溶解ブロック制御装置60は、溶解炉2、溶解材料投入装置、温度センサなどに接続される。溶解ブロック制御装置60は、当日の初回溶解時においては当日の生産計画に基づいて溶解材料を決定し、決定された溶解材料を溶解材料投入装置に投入させる。溶解ブロック制御装置60は、溶湯搬送ブロック制御装置50に接続されており、互いに情報のやり取りを行う。溶解ブロック制御装置60は、溶解材料投入装置及び温度センサなどから情報を取得して、溶解炉2ごとに元湯に関する溶解情報を記憶する。
【0033】
溶湯搬送ブロック制御装置50は、元湯を受湯する処理取鍋LD1に対して取鍋連番を付与する。取鍋連番とは、取鍋に対して付与され、カウントアップされる数字である。一例として、取鍋連番は、鋳造設備1の開始時(例えば、一日の操業開始時)に、ゼロにリセットされる。取鍋連番は、一例として、一次接種のための合金材が一次接種装置3によって処理取鍋LD1に投入されるタイミングでカウントアップされる。取鍋連番は、一次接種、二次接種、受湯情報などと紐付けされた、情報検索のためのキーコードである。
【0034】
溶湯搬送ブロック制御装置50は、取鍋の位置に応じて取鍋連番をシフトさせる。例えば、溶湯搬送制御装置51は、一次接種装置3から受湯台車4が発進したタイミングで、一次接種装置3にて付与された取鍋連番を受湯台車4の処理取鍋LD1に引き継がせる。溶湯搬送ブロック制御装置50は、搬送台車6の注湯取鍋LD2に、処理取鍋LD1から注湯取鍋LD2へ空け替えられたことに応じて(つまり、空け替えが完了したタイミングで)、空替位置に位置する受湯台車4の処理取鍋LD1の取鍋連番を引き継がせる。
【0035】
溶湯搬送ブロック制御装置50は、取鍋交換装置9のローラコンベア7において、搬送台車6から実取鍋が搬入されたタイミングで、当該実取鍋の取鍋連番として、搬送台車6の実取鍋の取鍋連番を引き継がせる。溶湯搬送ブロック制御装置50は、取鍋交換装置9のローラコンベア7から注湯機10へ実取鍋を移動させたタイミングで、後述する注湯ブロック制御装置40へローラコンベア7の実取鍋の取鍋連番を出力する。このように、溶湯搬送ブロック制御装置50は、取鍋の動きに合わせて取鍋連番をシフトさせる。なお、取鍋連番は、取鍋が空となって再受湯する際に、取鍋との紐付けが解除される。
【0036】
溶湯搬送ブロック制御装置50は、受湯情報を記憶する。受湯情報は、一例として、湯種、出湯時刻、受湯重量、受湯温度、炉番号、受湯回数、溶解回数、受湯後の経過温度などを含む。受湯回数は、取鍋への溶湯補給回数である。溶湯補給回数は、溶解炉においては出湯回数で表現され、受湯台車においては受湯回数で表現される。溶湯搬送ブロック制御装置50は、受湯台車4の取鍋の取鍋連番と受湯情報とを関連付けて記憶する。ここで、取鍋連番と炉番号及び出湯回数とが関連付けされる。溶湯搬送ブロック制御装置50は、溶解炉2から処理取鍋LD1へ元湯が出湯されたことに応じて、取鍋連番と炉番号及び出湯回数とを関連付けて記憶する。なお、溶湯搬送ブロック制御装置50は、溶解ブロック制御装置60から材質番号を取得し、取鍋連番と関連付けて記憶する。材質番号は、材質ごとに予め割り振られた文字又は数字である。
【0037】
注湯ブロック制御装置40は、上述した造型ブロック制御装置20、造型ライン制御装置30及び溶湯搬送ブロック制御装置50に接続され、相互通信可能である。注湯ブロック制御装置40には、上述した非接触温度計103及びロードセル106が接続され、測定結果が注湯ブロック制御装置40に出力される。注湯ブロック制御装置40は、注湯機10の動作を制御する。注湯ブロック制御装置40は、傾動用モータSM1、昇降用モータSM2及び移動用モータSM3を制御して、注湯取鍋LD2の出湯口Pの位置を一定にしつつ、出湯口Pを中心として注湯取鍋LD2を傾動させる。
【0038】
注湯ブロック制御装置40は、注湯制御部41、計画取得部42、温度判定部43、溶湯情報取得部44、材質判定部45、及び、記憶部46を備える。
【0039】
注湯制御部41は、注湯機10の注湯台車の動作を制御するとともに、注湯した結果を収集し、注湯情報として記憶する。注湯制御部41は、複数の注湯位置と、各注湯位置に位置した鋳型に対応する鋳型情報とを関連付けて記憶する。注湯位置は、注湯機10が注湯する位置であり、1日の操業開始の初回の注湯は手動で位置決めされ、その後の注湯は、前回の注湯位置に基づいて自動で位置決めされる。
【0040】
計画取得部42は、造型ライン制御装置30から、複数の搬送位置と各搬送位置に位置した鋳型に対応する鋳型情報を取得する。計画取得部42は、鋳型送り装置11,12による枠送りに応じて、造型ライン制御装置30から更新された情報を取得する。これにより、注湯機10は、各注湯位置に位置する鋳型の鋳型情報を把握することができる。
【0041】
計画取得部42は、模型ごとに予め設定された注湯条件を参照可能に構成される。注湯条件は、造型模型番号と関連付けて記憶されている。計画取得部42は、造型ライン制御装置30から取得された造型模型番号に基づいて当該鋳型の注湯条件を把握する。注湯条件は、計画材質番号(溶湯の成分)、取鍋傾動パターン番号、注湯パターン番号、溶湯の計画温度範囲などである。計画材質番号は、予め設定された材質番号である。取鍋傾動パターンは、機械動作(例えば注湯速度、傾動角度)と注湯時間との関係(機械動作の時間変化)を示すパターンである。取鍋傾動パターンは、取鍋のノズルの先端を中心とした回転のための傾動軸(図中θ方向)、前後軸(図中X方向)及び昇降軸(図中Z方向)の三軸の微小時間の動作データである。微小時間は一例として0.2秒である。取鍋傾動パターン番号は取鍋傾動パターンを識別するために割り振られた文字又は数字である。注湯パターンは、上述した取鍋傾動パターンのデータごとに注湯重量のデータが追加されたデータである。注湯重量のデータは、ティーチング時における注湯開始からの一定時間ごとの注湯重量である。つまり、注湯パターンは、注湯重量と注湯時間との関係(取鍋の重量の時間変化)を示すパターンである。注湯パターン番号は、注湯パターンを識別するために割り振られた文字又は数字であり、計画注湯パターン番号は、予め設定された注湯パターン番号である。
【0042】
温度判定部43は、予定通りの粘性で注湯するために、溶湯の温度を判定する。溶湯はその温度により粘性が低下する。溶湯の粘性は水と同程度の粘性が良いとされている。溶湯の温度が計画温度よりも低い場合には湯回り不良を招くおそれがあり、反対に、溶湯の温度が計画温度よりも高い場合には材質の変質につながる。非接触温度計103は、注湯位置に搬送された鋳型MDへの注湯中に注湯流の温度を検出する。温度判定部43は、非接触温度計103により検出された注湯流の温度が計画取得部42により取得された計画温度範囲内であるか否かを判定する。注湯制御部41は、温度判定部43によって注湯流の温度が計画温度範囲内であると判定された場合には鋳型MDへの注湯を継続する。注湯制御部41は、温度判定部43によって注湯流の温度が計画温度範囲内でないと判定された場合には鋳型MDへの注湯を中止する。注湯が中止された注湯取鍋LD2は、溶解場へと湯返しされる(戻される)。これにより、湯回り不良や材質変化のない注湯が得られる。
【0043】
溶湯情報取得部44(材質取得部の一例)は、溶湯情報を取得し、記憶部46に格納する。溶湯情報取得部44は、実取鍋が注湯機10に搬入されたときに、溶湯搬送ブロック制御装置50から実取鍋の取鍋連番を取得する。溶湯情報は、注湯工程において得られる情報であり、一例として、取鍋連番、受湯経過時間、鋳込重量、鋳込時間、材質番号、注湯温度、フェーディング開始時間、テストピース連番などが含まれる。溶湯情報取得部44は、注湯完了時、鋳型連番を基準として溶湯情報を記憶部46に格納する。
【0044】
材質判定部45は、当初予定通りの成分で注湯するために、材質番号を判定する。材質判定部45は、計画取得部42により取得された計画材質番号(鋳型情報)と溶湯情報取得部44により取得された材質番号(溶湯情報)とが一致するか否かを判定する。注湯制御部41は、材質判定部45によって計画材質番号と材質番号とが一致すると判定された場合には鋳型MDへの注湯を継続する。注湯制御部41は、材質判定部45によって計画材質番号と材質番号とが一致しないと判定された場合には鋳型MDへの注湯を中止する。注湯が中止された注湯取鍋LD2は、溶解場へと湯返しされる(戻される)。材質判定部45は、実取鍋が注湯機10に到着したタイミングで判定してもよい。この場合、早い段階(注湯前)において不良溶湯が排除される。
【0045】
注湯制御部41は、安定した勢いで湯を注ぐために、予め、熟練作業者の操作による湯の飲み込みに合わせた、機械動作と鋳込重量とのパターン(取鍋傾動パターン、及び当該取鍋傾動パターンに対応する注湯パターン)を記憶し、記憶された内容を再現させる。一例として、注湯制御部41は、注湯取鍋LD2の傾動速度を操作量として注湯を制御する。
図6は、注湯取鍋の概要を説明する図である。
図6の(A)~(C)に示されるように、注湯取鍋LD2の一例は円筒取鍋である。
図6の(B)は、傾動角度4°毎の溶湯の表面位置を示す図である。
図6の(B)に示されるように、円筒取鍋の場合には傾動角度毎に溶湯の表面積が変化することがわかる。つまり、注湯毎に取鍋内容量が減少していき、傾動した時の溶湯の出湯量が増加していくことを示している。このため、注湯制御部41は、溶湯の出湯量を調整する必要がある。注湯制御部41は、予め取鍋の形状を取得しておき、当該形状に応じて動作するように設定される。
【0046】
記憶部46は、上述した溶湯の出湯量を調整するための補正値を格納する。
図7の(A)は、傾動角度と傾動速度の補正値との関係を示すグラフである。
図7の(A)に示されるグラフは、横軸が傾動角度で、縦軸が傾動速度の補正値である。傾動速度の補正値は、
図6の(B)で示される傾動角度ごとに、水平状態で溶湯が満たされた時の表面積を1として算出された表面積の逆数である。注湯制御部41は、補正値を格納した記憶部46を参照し、計画取得部42によって取得された取鍋傾動パターンと、記憶部46に格納された補正値とに基づいて、注湯位置に搬送された鋳型MDに注湯する。
図7の(B)は、注湯開始から湯切りまでの取鍋傾動パターンで、傾動速度の時間変化を示すグラフである。
図7の(B)に示されるグラフは、横軸が時間であり、縦軸が傾動速度である。時刻t0は注湯開始時刻、時刻t1は定速到達時刻、時刻t2は出湯開始時刻、時刻t3は安定待ち時刻、時刻t4は湯切時刻、時刻t5は注湯終了時刻である。時刻t3から時刻t4までの期間T4が上述した熟練者の経験が必要な教示期間となる。
【0047】
注湯制御部41は、注湯位置に搬送された鋳型MDへの注湯中に注湯取鍋LD2の重量をロードセル106から取得し、ロードセル106により計測された注湯取鍋LD2の重量と、計画取得部42により取得された注湯取鍋LD2の重量の時間変化(注湯パターン)のうちロードセル106による計測時における注湯取鍋LD2の重量と、を比較する。注湯制御部41は、ロードセル106により計測された注湯取鍋LD2の重量と、注湯パターンのうちロードセル106による計測時における注湯取鍋LD2の重量とが一致するように(偏差が小さくなるように)、記憶部46に格納された補正値を更新する(更新部の一例)。傾動動作を補正するための補正値は、計画取得部42により取得された注湯取鍋LD2の重量と、ロードセル106により計測された注湯取鍋LD2の重量との偏差を傾動速度に変換した値となる。これにより、注湯制御部41は、計画通りの取鍋傾動パターンで動作させられるように補正値がフィードバックされる。なお、傾動動作を補正するための補正値は、傾動速度に限定されず、傾動角度であってもよい。この場合、補正値は、計画取得部42により取得された注湯取鍋LD2の重量と、ロードセル106により計測された注湯取鍋LD2の重量との偏差を傾動角度に変換した値となる。
【0048】
(実施形態のまとめ)
品質の良い鋳物を製造するためには、予定通りの粘性を有する溶湯が鋳型MDに注がれる必要がある。溶湯の温度と溶湯の粘性とは相関がある。このため、注湯機10においては、溶湯の温度に基づいて注湯機10が制御される。注湯位置に搬送された鋳型MDの溶湯の計画温度範囲が造型機から取得される。注湯位置に搬送された鋳型MDへの注湯中に注湯流の温度が検出される。そして、注湯流の温度が計画温度範囲内でないと判定された場合には鋳型MDへの注湯が中止される。このように、鋳造設備は、予定通りの温度でない溶湯、つまり予定通りの粘性でない溶湯で、鋳物を製造することを回避できる。よって、鋳造設備は、予定通りの粘性を有する溶湯を鋳型に注ぐことにより、品質の良い鋳物を製造できる。
【0049】
品質の良い鋳物を製造するためには、予定通りの成分の溶湯が鋳型MDに注がれる必要がある。このため、鋳造設備の注湯機10においては、注湯位置に搬送された鋳型MDの計画材質番号が造型ライン制御装置30を介して造型機から取得される。注湯取鍋LD2内の溶湯の材質を識別する材質番号が溶湯搬送ブロック制御装置50から取得される。そして、計画材質番号と材質番号とが一致しないと判定された場合には鋳型MDへの注湯が中止される。このように、鋳造設備は、予定通りの材質番号でない溶湯、つまり予定通りの成分でない溶湯で、鋳物を製造することを回避できる。よって、鋳造設備は、予定通りの成分の溶湯を鋳型MDに注ぐことにより、品質の良い鋳物を製造できる。
【0050】
品質の良い鋳物を製造するためには、安定した勢いで溶湯が鋳型MDに注がれる必要がある。安定した勢いで注湯するためには、熟練作業者による注湯に合わせた注湯機10の機械動作(取鍋傾動パターン)と注湯取鍋LD2の重量の時間変化とを記憶し、熟練作業者による注湯を再現すればよい。このため、鋳造設備においては、注湯位置に搬送された鋳型MDに注ぐための取鍋傾動パターンと取鍋傾動パターンで注湯したときの注湯取鍋LD2の重量の時間変化とが更に取得される。取鍋の傾動動作を補正する補正値を格納した記憶部46が参照され、取鍋傾動パターンと補正値とに基づいて、注湯位置に搬送された鋳型MDに溶湯が注湯される。鋳型MDへの注湯中に注湯取鍋LD2の重量が計測される。計測された注湯取鍋LD2の重量と、取得された注湯取鍋LD2の重量の時間変化のうちロードセル106による計測時における注湯取鍋LD2の重量とが比較され、記憶部46に格納された補正値が更新される。このように、鋳造設備は、計画された取鍋傾動パターン(熟練作業者による注湯)で注湯したときの注湯取鍋LD2の重量と、注湯取鍋LD2の重量の実績とを比較して、次回の注湯が計画通りになるようにフィードバックすることができる。よって、鋳造設備は、安定した勢いで溶湯を鋳型MDに注ぐことにより、品質の良い鋳物を製造できる。
【0051】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な省略、置換、及び変更がなされてもよい。例えば、注湯中止の判定は、注湯機10に注湯取鍋LDを搬送する前に実行してもよい。例えば、搬送装置や取鍋交換装置などにおいて、計画温度と溶湯の測定温度との比較、計画材料番号と溶湯の材料番号との比較が行われてもよい。これにより、不良溶湯を注湯機10に積載することが回避される。
【符号の説明】
【0052】
1…鋳造設備、2…溶解炉、3…一次接種装置、4…受湯台車、5…二次接種装置、6…搬送台車、9…取鍋交換装置、10…注湯機、40…注湯ブロック制御装置、41…注湯制御部(更新部の一例)、42…計画取得部、43…温度判定部、44…溶湯情報取得部(材質取得部の一例)、45…材質判定部、46…記憶部、103…非接触温度計(温度センサの一例)、106…ロードセル。