IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 武井 克博の特許一覧

特開2023-32871検体容器保管容器、および検体保管キット
<>
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図1
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図2
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図3
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図4
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図5
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図6
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図7
  • 特開-検体容器保管容器、および検体保管キット 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032871
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】検体容器保管容器、および検体保管キット
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20230302BHJP
   G01N 1/42 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G01N1/04 J
G01N1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139226
(22)【出願日】2021-08-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 非公開で取材を受けた後のテレビでの公開 令和3年8月22日 毎日放送 日曜日の初耳学 電気通信回線を通じた公開 令和3年6月21日 https://www.n-nose.com/lp/ https://hbio.jp/news/wp-content/uploads/2021/06/20210621_%E3%8A%B8%E6%96%B0%E3%82%AD%E3%83%83%E3%83%88%E7%99%BA%E5%A3%B2.pdf
(71)【出願人】
【識別番号】521381093
【氏名又は名称】武井 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】武井 克博
(72)【発明者】
【氏名】谷内 貴
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AB16
2G052AD06
2G052AD12
2G052AD26
2G052AD32
2G052AD46
2G052AD52
2G052BA17
2G052DA12
2G052DA14
2G052DA15
2G052DA23
2G052DA24
2G052DA26
2G052DA27
2G052DA33
2G052EB13
2G052GA28
2G052GA29
2G052HB04
(57)【要約】
【課題】検体を低温状態で保管するとともに、容易に運搬可能な検体容器保管容器等を提供する。
【解決手段】
シート状をなすベース側領域11および蓋側領域12によって構成され、ベース側領域11の表面と蓋側領域12の表面とが対向配置可能な本体部13と、本体部13の内部に設けられ、冷却されることよって蓄冷可能な複数の蓄冷部材31と、を備え、ベース側領域11の表面と蓋側領域12の表面とが対向配置される対向姿勢となる本体部13において、複数の蓄冷部材31が互いに間隔をあけて存在することで、ベース側領域11の表面と蓋側領域12の表面とによって挟まれ、かつ、蓄冷部材31同士の間隔35aに相当する位置に配置された収容空間Sに検体容器110が収容される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
採取された検体を収容した検体容器を保管する検体容器保管容器であって、
シート状をなす第一領域および第二領域によって構成され、該第一領域の表面と該第二領域の表面とが対向配置可能な本体部と、
前記本体部の内部または外部に設けられ、冷却されることよって蓄冷可能な複数の蓄冷部材と、
を備え、
前記第一領域の表面と前記第二領域の表面とが対向配置される対向姿勢となる前記本体部において、複数の前記蓄冷部材が互いに間隔をあけて存在することで、該第一領域の表面と該第二領域の表面とによって挟まれ、かつ、前記蓄冷部材同士の間隔に相当する位置に配置された収容空間に前記検体容器が収容される検体容器保管容器。
【請求項2】
前記蓄冷部材は、前記第一領域および/または前記第二領域の内部に設けられ、
前記本体部は、
複数の前記蓄冷部材が内在される複数の厚肉部と、
前記厚肉部同士の間に配置されて該厚肉部よりシート厚さ方向の寸法が小さい薄肉部と、
を有し、
前記対向姿勢となる前記本体部において、複数の前記厚肉部が互いに間隔をあけて存在することで、前記収容空間は、前記厚肉部同士の間隔に相当する位置に配置されている請求項1に記載の検体容器保管容器。
【請求項3】
前記蓄冷部材は、前記第一領域および/または前記第二領域の外部に設けられ、
複数の前記蓄冷部材の各々は、
前記第一領域および/または前記第二領域における表面からシート厚さ方向に突出するように設けられた蓄冷体ケースと、
前記蓄冷体ケースに収容され、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷体と、
を有し、
前記対向姿勢となる前記本体部において、複数の前記蓄冷体ケースが互いに間隔をあけて存在することで、前記収容空間は、前記蓄冷体ケース同士の間隔に相当する位置に配置されている請求項1に記載の検体容器保管容器。
【請求項4】
前記蓄冷部材は、前記第一領域および前記第二領域のそれぞれに複数設けられ、
前記対向姿勢となる前記本体部において、前記第一領域における前記蓄冷部材同士の間隔である第一間隔と、前記第二領域における前記蓄冷部材同士の間隔である第二間隔とが、前記第一領域および前記第二領域のシート厚さ方向に対向する位置に配置され、
前記収容空間は、前記第一間隔と前記第二間隔とによって形成される空間である請求項1から3のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項5】
前記本体部は、前記第一領域および前記第二領域が一体となった可撓性を有するシート状をなすとともに、前記対向姿勢と、該対向姿勢に対して前記第一領域の表面と前記第二領域の表面とが離れた位置に配置される展開姿勢との間で、折り畳みおよび展開が可能となっている請求項1から4のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項6】
前記収容空間において前記本体部には、前記検体容器を該本体部におけるシート面方向から挿入可能な容器袋が設けられている請求項1から5のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項7】
前記対向姿勢となる前記本体部を収容する外ケースをさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の検体容器保管容器。
【請求項8】
前記外ケースは、前記本体部を収容した収容姿勢において前記本体部のシート厚さ方向から見て略矩形状をなし、
前記収容姿勢において前記外ケースの横幅方向の寸法は300mm以下であり、縦幅方向の寸法は210mm以下であり、前記シート厚さ方向に一致する方向の厚さ寸法は25mm以下である請求項7に記載の検体容器保管容器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の検体容器保管容器と、
前記検体容器保管容器に収容された前記検体容器と、
を備える検体保管キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を保管するための検体容器保管容器等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体や動物から採取した尿、便、血液、唾液等の検体を分析した検査結果を、病気の診断や健康状態の確認に用いている。例えば検体が尿である場合には、特許文献1に示すような採尿用容器に尿を自身で採取し、病院や検査機関へ提出するといった手法が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-49202号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら検査機関が遠方にある場合、検体を採取してから検査が行われるまでに時間を要してしまう。この結果、検体中に菌が繁殖し検査の精度が低下しまうおそれがある。また仮に検査機関が遠方にあっても病院内等で検体の採取を行うのであれば、採取された検体を低温状態で保存する保冷装置(冷蔵庫、冷凍庫等)を使用できるため検体中の菌の繁殖を抑えることが可能である。しかしながら自宅等で検体を採取するような場合には、採取された検体を低温状態に保ったまま検査機関まで運搬することは難しいのが現状である。
【0005】
そこで本発明は、検体を低温状態で保管しつつ、運搬が容易な検体容器保管容器、および検体保管キットを提供する。
【0006】
本発明の一態様に係る検体容器保管容器は、採取された検体を収容した検体容器を保管する検体容器保管容器であって、シート状をなす第一領域および第二領域によって構成され、該第一領域の表面と該第二領域の表面とが対向配置可能な本体部と、前記本体部の内部または外部に設けられ、冷却されることよって蓄冷可能な複数の蓄冷部材と、を備え、前記第一領域の表面と前記第二領域の表面とが対向配置される対向姿勢となる前記本体部において、複数の前記蓄冷部材が互いに間隔をあけて存在することで、該第一領域の表面と該第二領域の表面とによって挟まれ、かつ、前記蓄冷部材同士の間隔に相当する位置に配置された収容空間に前記検体容器が収容される。
【0007】
上記検体容器保管容器では、前記蓄冷部材は、前記第一領域および/または前記第二領域の内部に設けられ、前記本体部は、複数の前記蓄冷部材が内在される複数の厚肉部と、前記厚肉部同士の間に配置されて該厚肉部よりシート厚さ方向の寸法が小さい薄肉部と、を有し、前記対向姿勢となる前記本体部において、複数の前記厚肉部が互いに間隔をあけて存在することで、前記収容空間は、前記厚肉部同士の間隔に相当する位置に配置されていてもよい。
【0008】
上記検体容器保管容器では、前記蓄冷部材は、前記第一領域および/または前記第二領域の外部に設けられ、複数の前記蓄冷部材の各々は、前記第一領域および/または前記第二領域における表面からシート厚さ方向に突出するように設けられた蓄冷体ケースと、前記蓄冷体ケースに収容され、冷却されることよって蓄冷可能な蓄冷体と、を有し、前記対向姿勢となる前記本体部において、複数の前記蓄冷体ケースが互いに間隔をあけて存在することで、前記収容空間は、前記蓄冷体ケース同士の間隔に相当する位置に配置されていてもよい。
【0009】
上記検体容器保管容器では、前記蓄冷部材は、前記第一領域および前記第二領域のそれぞれに複数設けられ、前記対向姿勢となる前記本体部において、前記第一領域における前記蓄冷部材同士の間隔である第一間隔と、前記第二領域における前記蓄冷部材同士の間隔である第二間隔とが、前記第一領域および前記第二領域のシート厚さ方向に対向する位置に配置され、前記収容空間は、前記第一間隔と前記第二間隔とによって形成される空間であってもよい。
【0010】
上記検体容器保管容器では、前記本体部は、前記第一領域および前記第二領域が一体となった可撓性を有するシート状をなすとともに、前記対向姿勢と、該対向姿勢に対して前記第一領域の表面と前記第二領域の表面とが離れた位置に配置される展開姿勢との間で、折り畳みおよび展開が可能となっていてもよい。
【0011】
上記検体容器保管容器では、前記収容空間において前記本体部には、前記検体容器を該本体部におけるシート面方向から挿入可能な容器袋が設けられていてもよい。
【0012】
上記検体容器保管容器では、前記対向姿勢となる前記本体部を収容する外ケースをさらに備えてもよい。
【0013】
上記検体容器保管容器では、前記外ケースは、前記本体部を収容した収容姿勢において前記本体部のシート厚さ方向から見て略矩形状をなし、前記収容姿勢において前記外ケースの横幅方向の寸法は300mm以下であり、縦幅方向の寸法は210mm以下であり、前記シート厚さ方向に一致する方向の厚さ寸法は25mm以下であってもよい。
【0014】
本発明の一態様に係る検体保管キットは、上記の検体容器保管容器と、前記検体容器保管容器に収容された前記検体容器と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
上記の検体容器保管装置等によれば、検体を低温状態で保管しつつ、容易に運搬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る検体保管キットを示す全体図であって、(a)は上面図であり、(b)は側面図である。
図2】上記検体保管キットを示す全体図であって、構成部品を分離して示す上面図である。
図3】上記検体保管キットにおける内側保持体を示す図であって、(a)は本体部の展開姿勢の状態の上面図であり、(b)は本体部の展開姿勢の状態の側面図である。
図4】上記検体保管キットの第一変形例における内側保持体を示す側面図である。
図5】上記検体保管キットの第二変形例における内側保持体を示す側面図である。
図6】上記検体保管キットの第三変形例における内側保持体を示す側面図である。
図7】上記検体保管キットの第四変形例における内側保持体を示す側面図である。
図8】上記検体保管キットの第五変形例における内側保持体を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る検体保管キット100について図面を参照しながら詳細に説明する。
現在、微量の尿を検体として採取し、線虫を用いてがん検査を行うN-NOSE(登録商標)という新な検査手法に注目が集まっている。本実施形態の検体保管キット100は、このN-NOSE(登録商標)で検査される検体を冷却して保管するのに好適である。
(全体構成)
図1(a)および図1(b)に示すように、検体保管キット100は採取された検体(尿、便、血液、唾液等)Kを収容する検体容器110と、検体Kが収容された検体容器110を保持した状態で保管可能な検体容器保管容器1と、を備えている。
【0018】
(検体容器)
検体容器110は、例えば円筒状をなして内側に検体Kを密閉して収容可能な容器である。検体容器110は被検者が自身で採取した検体を収容する簡易的な容器になっている。検体容器110は、本実施形態ではポリプロピレン等の樹脂製であるが、材質は特には限定されずアルミニウム等の金属製であってもよい。図示はしないが検体容器110には検体Kを採取した個人を識別するため、例えばQRコード(登録商標)等が貼り付けられている。
【0019】
(検体容器保管容器)
図2に示すように、検体容器保管容器1は検体容器110を収容して保持可能な内側保持体10と、検体容器110が内側保持体10に保持された状態で、検体容器110及び内側保持体10を収容する外ケース20とを有している。
【0020】
(内側保持体)
図3(a)および図3(b)に示すように、内側保持体10はベース側領域(第一領域)11およびベース側領域11に対向する蓋側領域(第二領域)12によって構成される本体部13と、本体部13に設けられた複数の蓄冷部材31とを有している。
【0021】
(本体部)
本体部13は、本実施形態では後述するようにシート状をなすベース側領域11およびシート状をなす蓋側領域12が一体となって、全体としてシート状をなしている。本体部13は可撓性を有する材料、例えばアルミ蒸着樹脂フィルム(アルミ蒸着PETフィルム)によって形成されている。
【0022】
本体部13は、ベース側領域11の表面と蓋側領域12の表面とが対向配置される対向姿勢と、対向姿勢に対してベース側領域11の表面と蓋側領域12の表面とが離れた位置に配置されてシート状に開いた展開姿勢との間で、折り畳みおよび展開が可能となっている。より具体的には、展開姿勢における本体部13のシート面方向に沿う第一幅方向のちょうど中央の位置において、第一幅方向に直交する第二幅方向に延びる折り畳み線Lが形成されている。なお折り畳み線Lは本体部13の表面から凹むように予め形成されていてもよいし、本体部13が折り畳まれた結果形成される仮想的な線分であってもよい。すなわち、折り畳み線Lを挟んで第一幅方向の一方側がベース側領域11であり、他方側が蓋側領域12である。そして本体部13が折り畳まれると、ベース側領域11に対して蓋側領域12が、本体部13におけるシート厚さ方向に対向する。
【0023】
また本体部13は、互いに間隔をあけて配置された複数の厚肉部15と、厚肉部15同士の間に配置されて厚肉部15よりシート厚さ方向の寸法が小さい薄肉部16とを有している。展開姿勢となる本体部13において、第一幅方向に厚肉部15と薄肉部16とが交互に配置されていることになる。本実施形態ではベース側領域11および蓋側領域12の各々に複数(二つ)ずつ厚肉部15が形成されている。
【0024】
厚肉部15はベース側領域11および蓋側領域12の各々の表面が盛り上がるように形成されており、隣接する厚肉部15と、厚肉部15同士の間の薄肉部16とによってベース側領域11および蓋側領域12の各々の表面は凹凸状に形成されている。すなわち、厚肉部15が存在する位置ではベース側領域11および蓋側領域12の表面が第二幅方向に延びる凸状をなし、薄肉部16が存在する位置ではベース側領域11および蓋側領域12の表面が第二幅方向に延びる凹状をなしている。なお各々の厚肉部15には後述する蓄冷部材31が一つずつ内在されることで本体部13の内部に蓄冷部材31が設けられている。また上記の折り畳み線Lは、ベース側領域11の厚肉部15と、蓋側領域12の厚肉部15との間に形成された薄肉部16に配置されている。
【0025】
対向姿勢となる本体部13では、ベース側領域11における厚肉部15と、蓋側領域12における厚肉部15とがシート厚さ方向に対向して接触する。この際、ベース側領域11における厚肉部15同士の間隔である第一間隔35aと、蓋側領域12における厚肉部15同士の間隔である第二間隔35bとがシート厚さ方向に対向する。ベース側領域11の表面と蓋側領域12の表面とによって挟まれ、かつ第一間隔35aと第二間隔35bとによって形成された収容空間Sに、検体容器110が収容される。換言すると、対向姿勢となる本体部13において、収容空間Sは厚肉部15同士の間隔35a、35bに相当する位置に配置されている。
【0026】
また対向姿勢となる本体部13では、本体部13はベース側領域11および蓋側領域12の間隔35a、35bが存在する位置において山型に屈曲または湾曲し、第一幅方向の中央よりも両端において、対向姿勢における本体部13のシート厚さ方向の寸法が小さくなる(図1(b)参照)。
【0027】
そして本体部13では、間隔35a、35bに相当する位置、すなわち収容空間Sにおいてベース側領域11の表面には容器袋120が固定されている。容器袋120には検体容器110が第一幅方向から挿入されることで、検体容器110が収容空間Sに配置可能となっている。展開姿勢となる本体部13では、横幅寸法(第一幅方向の寸法)が280mm以下、縦幅寸法(第二幅方向の寸法)が150mm以下、シート厚さ方向の寸法が15mm以下であるとよい。一方で、検体容器110が収容空間Sに配置され、かつ対向姿勢となった本体部13では、横幅寸法(第一幅方向の寸法)が140mm以下、縦幅方向の寸法(第二幅方向の寸法)が150mm以下、シート厚さ方向の寸法が35mm以下であるとよい。
【0028】
(蓄冷部材)
蓄冷部材31は、本体部13の厚肉部15に一つずつ密閉されて収容されている。よって、上記の収容空間Sは、蓄冷部材31同士の間隔に相当する位置に配置されている。各々の蓄冷部材31は冷却によって蓄冷可能な蓄冷体(保冷剤等)を有している。蓄冷部材31における蓄冷体の種類は特に限定されないが、例えば水に高吸水性ポリマーを加えたもの等が好適である。蓄冷体は-20℃~-16℃の冷凍庫内で48時間以内で凍結するものが好ましいが、凍結しないままゲル状または液状で存在するものであってもよい。
【0029】
(外ケース)
図2に戻って、本体部13が折り畳まれて対向姿勢となった状態で、外ケース20は内側保持体10を収容可能とするような袋状をなしている。すなわち外ケース20の内側には、折り畳まれた内側保持体10と同等か、または折り畳まれた内側保持体10よりも若干大きな容積の空間S1が形成されている。外ケース20には空間S1への内側保持体10の出し入れを行うための開口20aが形成されている。
【0030】
外ケース20の開口20aの縁からは、シート状の蓋体21が外ケース20と一体に延びるように設けられており、開口20aの位置で蓋体21を折り返すことで開口20aを封止可能となっている。なお開口20aは例えばファスナー等を用いて封止可能となっていてもよく、蓋体21がなくともよい。本実施形態において外ケース20および蓋体21は、内側保持体10と同じアルミ蒸着樹脂フィルム(アルミ蒸着PETフィルム)によって形成されている。外ケース20は、対向姿勢となる本体部13を収容した収容姿勢において、本体部13のシート厚さ方向から見て略矩形状をなしている。収容姿勢において外ケース20の横幅方向(第一幅方向)の寸法は300mm以下であり、縦幅方向(第二幅方向)の寸法は210mm以下であり、本体部13におけるシート厚さ方向に一致する方向の厚さ寸法は25mm以下であることが好ましい。すなわち収容姿勢において外ケース20はA4サイズに収まるとよい。
【0031】
(作用効果)
以上説明した本実施系形態の検体保管キット100によれば、蓄冷部材31同士の間に収容空間Sが形成され、収容空間Sに検体容器110が収容される。この際、本体部13が検体容器110を隣接する蓄冷部材31によって第一幅方向に検体容器110を挟み込むとともに、ベース側領域11と蓋側領域12とによって検体容器110を厚さ方向にも挟み込むことで、内側保持体10によって検体容器110が確実に保持し、収容することができる。さらに本体部13の間隔35a、35bが形成された位置では、本体部13が湾曲または屈曲することで検体容器110を包み込むようにして確実に保持することができる。
【0032】
特に本実施形態では、ベース側領域11における第一間隔35aと、蓋側領域12における第二間隔35bとによって形成される収容空間Sに検体容器110が配置されることで、ベース側領域11および蓋側領域12の両者における蓄冷部材31によって検体容器を挟み込むことができ、検体容器110の確実な保持に加えて蓄冷部材31による冷却効果を最大限に得ることが可能となる。
【0033】
この結果、検体容器110中の検体Kを蓄冷部材31によって冷却して低温状態で保管することができ、運搬中の検体Kにおける菌の繁殖を抑えつつ容易に運搬が可能となる。
【0034】
よって検体Kの採取を自宅で行うことができ、検体Kを冷却した状態のまま検査機関や病院に郵送したり持ち込んだりすることができる。このため検査機関や病院から離れた地域に居住する被検者であっても検体検査を受けることが可能となり、検査の普及にもつながる。
【0035】
また外ケース20を設けたことで検体容器110の保冷効果をさらに高めることができる。
【0036】
特に収容姿勢において外ケース20の横幅方向の寸法が300mm以下であり、縦幅方向の寸法が210mm以下であり、厚さ寸法が25mm以下であれば、郵送の際にポストへの投函も可能であるため、運搬性をさらに向上することができる。
【0037】
また内側保持体10では、本体部13が折り畳み線Lを基準として折り畳まれることによって、非常に容易に、ベース側領域11と蓋側領域12とを対向させ、ベース側領域11と蓋側領域12とによって検体容器110を挟み込むことができる。
【0038】
また蓄冷部材31が本体部13の厚肉部15に収容されているため、本体部13から蓄冷部材31が脱落してしまうことがない。
【0039】
本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0040】
例えば外ケース20は、発砲ポリエチレンの表面にアルミの蒸着フィルムを設けた高い断熱効果を有する保温バッグ等であってもよい。また外ケース20は必須ではない。
【0041】
また図4に示すように、内側保持体10においてベース側領域11と蓋側領域12とが別体になっていてもよい。この場合、ベース側領域11と蓋側領域12とによって検体容器110を挟み込むとともに、不図示の結束部材等でベース側領域11と蓋側領域12とを固定することによって、検体容器110を内側保持体10に保持することができる。またこの場合、ベース側領域11と蓋側領域12とを一端においてテープやヒンジ等で一体に接続してもよい。
【0042】
また図5に示すように、蓋側領域12には蓄冷部材31が設けられなくともよい。すなわち蓋側領域12は略均一の厚さのシート状部材のみから構成されてもよい。またこれとは逆に、ベース側領域11に蓄冷部材31が設けられず、ベース側領域11が略均一の厚さのシート状部材のみから構成されてもよい。
【0043】
また蓄冷部材31、50は、本体部13、53において四カ所以上に設けられてもよい。すなわちベース側領域11および蓋側領域12において、それぞれ複数の蓄冷部材31、50が設けられていればよく、例えば本体部13、53において六カ所の蓄冷部材31、50が設けられていてもよい。この場合、ベース側領域11および蓋側領域12にはそれぞれ複数カ所の間隔35a(35b)が形成されるため、各々の間隔35aに一つずつ検体容器110を配置してもよい。
【0044】
また内側保持体10の本体部13においては、ベース側領域11および蓋側領域12にそれぞれ同数ずつ、かつシート厚さ方向に対応する位置に蓄冷部材31を設ける必要はない。例えばベース側領域11および蓋側領域12において第一幅方向に交互に蓄冷部材31を配置してもよい。例えば図6に示すように、対向姿勢の本体部13においてベース側領域11の蓄冷部材31と、蓋側領域12の蓄冷部材31との間隔55aに相当する位置に収容空間Sを形成してもよい。
【0045】
さらには、図7に示すようにベース側領域11の間隔35aに、蓋側領域12の蓄冷部材31が厚さ方向に対向するようにしてもよい。
【0046】
また図8に示すように、各々の蓄冷部材61が、蓄冷体ケース62と、蓄冷体ケース62に封入された蓄冷体63を有していてもよい。そして蓄冷部材61が、略均一厚さのシート状をなす本体部67に固定されていてもよい。すなわち本体部67の外部に蓄冷部材61が設けられ、蓄冷体ケース62が本体部67のベース側領域71および蓋側領域72の表面からシート厚さ方向に突出するように設けられている。そして対向姿勢となる本体部67では、蓄冷体ケース62が互いに間隔をあけて存在することで、検体容器110が収容される収容空間Sが、蓄冷体ケース62同士の間隔65aに相当する位置に配置されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の検体容器保管容器等によれば、検体を低温状態で保管するとともに、運搬が容易である。
【符号の説明】
【0048】
1…検体容器保管容器
11、71…ベース側領域
12、72…蓋側領域
13、67…本体部
15…厚肉部
16…薄肉部
20…外ケース
31、61…蓄冷部材
35a…第一間隔
35b…第二間隔
55a、65a…間隔
62…蓄冷体ケース
63…蓄冷体
100…検体保管キット
110…検体容器
120…容器袋
K…検体
S…収容空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8