(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032901
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】基板及び実装基板
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230302BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H05K3/34 502E
H01L23/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139266
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】小野 秀
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA07
5E319AB06
5E319AC02
5E319AC15
5E319BB05
5E319CC33
5E319GG03
5E319GG07
(57)【要約】
【課題】貫通穴を通って溶融したはんだ合金が一方の主面側から他方の主面側に達することを抑制可能な基板及び実装基板を提供する。
【解決手段】基板は、主面を有する基材と、主面上に配置されており、かつ、中央パッド部を有する導体パターンと、第1環状壁とを備えている。基板には、基板を厚さ方向に貫通しており、かつ、平面視において中央パッド部と重なる位置にある貫通穴が形成されている。第1環状壁は、平面視において貫通穴の周囲を取り囲むように中央パッド部上に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板であって、
主面を有する基材と、
前記主面上に配置されており、かつ中央パッド部を有する導体パターンと、
第1環状壁とを備え、
前記基板には、前記基板を厚さ方向に貫通しており、かつ平面視において前記中央パッド部と重なる位置にある貫通穴が形成されており、
前記第1環状壁は、平面視において前記貫通穴の周囲を取り囲むように前記中央パッド部上に配置されている、基板。
【請求項2】
前記導体パターンを覆うように前記主面上に配置されており、かつ前記中央パッド部を露出させる第1開口が形成されているソルダレジストをさらに備え、
前記第1環状壁は、前記ソルダレジストと同一の材料により形成されている、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
前記第1環状壁上に配置されている第2環状壁をさらに備え、
前記第2環状壁は、前記第1環状壁とは異なる材料により形成されている、請求項2に記載の基板。
【請求項4】
前記第2環状壁は、前記ソルダレジストとは異なる色に着色されている樹脂インクにより形成されている、請求項3に記載の基板。
【請求項5】
前記導体パターンは、前記中央パッド部の周囲にある周辺パッド部をさらに有し、
前記ソルダレジストには、前記周辺パッド部を露出させる第2開口がさらに形成されている、請求項2~請求項4のいずれか1項に記載の基板。
【請求項6】
前記貫通穴は、ガス抜き穴である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の基板。
【請求項7】
請求項5に記載の前記基板と、
底面を有する半導体パッケージと、
はんだ合金とを備え、
前記半導体パッケージは、前記底面において、前記中央パッド部と対向している中央電極と、前記中央電極の周囲にあり、かつ前記周辺パッド部と対向している周辺電極とを有し、
前記はんだ合金は、前記中央電極と平面視において前記第1環状壁の外側にある前記中央パッド部の部分とを接合しているとともに、前記周辺電極と前記周辺パッド部とを接合している、実装基板。
【請求項8】
前記半導体パッケージは、QFNパッケージである、請求項7に記載の実装基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板及び実装基板に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2016-18846号公報(特許文献1)には、半導体パッケージが記載されている。特許文献1に記載の半導体パッケージは、QFN(Quad Flat Non-leaded)パッケージである。特許文献1の半導体パッケージの裏面からは、中央電極及び複数の周辺電極が露出している。中央電極は、裏面の中央にある。周辺電極は、中央電極の周囲にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の半導体パッケージは、基板上に実装される。基板は、例えば、基材と、導体パターンと、ソルダレジストとを有している。基材は、第1主面と、第1主面の反対面である第2主面とを有している。導体パターンは、第1主面上に配置されており、中央パッドと、複数の周辺パッドと、配線とを有している。周辺パッドは、中央パッドの周囲にある。配線は、中央パッドの外周縁と周辺パッドとを接続している。ソルダレジストは、導体パターンを覆うように第1主面上に配置されている。ソルダレジストには、中央パッドを露出させる第1開口と、周辺パッドを露出させる複数の第2開口が形成されている。
【0005】
特許文献1に記載の半導体パッケージは、中央電極が中央パッドにはんだ合金で接合されるとともに、周辺電極が周辺パッドにはんだ合金で接合されることにより、基板上に実装される。
【0006】
中央電極と中央パッドとの接合及び周辺電極及び周辺パッドとの接合には、クリームはんだが用いられる。クリームはんだは、フラックス、有機溶剤及びはんだ合金の粉末を混ぜ合わせたペーストである。クリームはんだ中のはんだ合金の粉末を溶融させる際、フラックス及び有機溶剤が揮発するため、基材には、平面視において中央パッドと重なる位置に貫通穴が形成される。しかしながら、溶融したはんだ合金は、貫通穴を通って第2主面側に達することがある。
【0007】
溶融したはんだ合金が第2主面側において凝固すると、第2面上に配置されているパッド上にクリームはんだを印刷する際に用いられるメタルマスクが凝固したはんだ合金と接触し、第2主面上へのクリームはんだの印刷が安定しなくなる。
【0008】
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、貫通穴を通って溶融したはんだ合金が一方の主面側から他方の主面側に達することを抑制可能な基板及び実装基板を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の基板は、主面を有する基材と、主面上に配置されており、かつ、中央パッド部を有する導体パターンと、第1環状壁とを備えている。基板には、基板を厚さ方向に貫通しており、かつ、平面視において中央パッド部と重なる位置にある貫通穴が形成されている。第1環状壁は、平面視において貫通穴の周囲を取り囲むように中央パッド部上に配置されている。
【0010】
上記の基板は、導体パターンを覆うように主面上に配置されており、かつ、中央パッド部を露出させる第1開口が形成されているソルダレジストをさらに備えていてもよい。第1環状壁は、ソルダレジストと同一の材料により形成されていてもよい。
【0011】
上記の基板は、第1環状壁上に配置されている第2環状壁をさらに備えていてもよい。第2環状壁は、第1環状壁とは異なる材料により形成されていてもよい。
【0012】
上記の基板では、第2環状壁が、ソルダレジストとは異なる色に着色されている樹脂インクにより形成されていてもよい。
【0013】
上記の基板では、導体パターンが、中央パッド部の周囲にある周辺パッド部をさらに有していてもよい。ソルダレジストには、周辺パッド部を露出させる第2開口がさらに形成されていてもよい。上記の基板では、貫通穴が、ガス抜き穴であってもよい。
【0014】
本発明の実装基板は、上記の基板と、裏面を有する半導体パッケージと、はんだ合金とを備えている。半導体パッケージは、裏面において、中央パッド部と対向している中央電極と、中央電極の周囲にあり、かつ、周辺パッド部と対向している周辺電極とを有している。はんだ合金は、中央電極と平面視において第1環状壁の外側にある中央パッド部の部分とを接合しているとともに、周辺電極と周辺パッド部とを接合している。
【0015】
上記の実装基板では、半導体パッケージは、QFNパッケージであってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の基板及び実装基板によると、貫通穴を通って溶融したはんだ合金が一方の主面側から他方の主面側に達することを抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図7】
図6中のVII-VIIにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0019】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る基板を説明する。以下においては、第1実施形態に係る基板を、基板100とする。
【0020】
<基板100の構成>
以下に、基板100の構成を説明する。
【0021】
図1は、基板100の平面図である。
図2は、
図1中のII-IIにおける断面図である。
図1及び
図2に示されるように、基板100は、基材10と、導体パターン20と、ソルダレジスト30と、第1環状壁40とを有している。
【0022】
基材10は、第1主面10aと、第2主面10bとを有している。第1主面10a及び第2主面10bは、基材10の厚さ方向における端面である。第2主面10bは、第1主面10aの反対面である。基材10は、電気絶縁性の材料により形成されている。基材10は、例えば、ガラスエポキシにより形成されている。但し、基材10に用いられる電気絶縁性の材料は、これに限られるものではない。
【0023】
導体パターン20は、第1主面10a上に配置されている。導体パターン20は、電気伝導性の材料により形成されている。導体パターン20は、例えば、銅により形成されている。但し、導体パターン20に用いられる電気伝導性の材料は、これに限られるものではない。
【0024】
導体パターン20は、中央パッド21と、複数の周辺パッド22とを有している。中央パッド21は、平面視において、例えば、矩形状である。より具体的には、中央パッド21は、平面視において、正方形状である。周辺パッド22は、中央パッド21の周囲に配置されている。周辺パッド22は、平面視において、例えば、矩形状である。より具体的には、周辺パッド22は、平面視において、長方形状である。周辺パッド22は、中央パッド21の外周縁(外周縁21a)から離間して配置されている。周辺パッド22の平面視における短辺は、外周縁21aと間隔を空けて対向している。外周縁21aのうちの1辺と対向している複数の周辺パッド22は、当該1辺の方向に沿って1列に並んでいる。
【0025】
複数の周辺パッド22のうちの一部(周辺パッド22aとする)は、配線23により、外周縁21aに接続されている。
【0026】
基板100には、貫通穴100aが形成されている。貫通穴100aは、基板100を厚さ方向に貫通している。貫通穴100aは、平面視において中央パッド21に重なる位置に形成されている。貫通穴100aは、平面視において、例えば円形状である。
【0027】
基材10には、貫通穴10cが形成されている。貫通穴10cは、基材10を厚さ方向に貫通している。貫通穴10cの内壁面上には、導体層24が配置されている。導体層24は、中央パッド21に接続されている。導体層24は、貫通穴10cの周囲にある第2主面10b上にも配置されている。導体層24は、電気伝導性の材料(例えば、銅)により形成されている。この場合、導体層24に取り囲まれている穴が、貫通穴100aとなる。導体層24が形成されていない場合、貫通穴10cが貫通穴100aとなる。
【0028】
ソルダレジスト30は、導体パターン20を覆うように、第1主面10a上に配置されている。ソルダレジスト30は、第2主面10b上にも配置されている。ソルダレジスト30は、第2主面10b上に配置されている導体パターン(図示せず)を覆っている。ソルダレジスト30は、電気絶縁性の材料により形成されている。ソルダレジスト30は、例えば、エポキシ樹脂により形成されている。但し、ソルダレジスト30に用いられる電気絶縁性の材料は、これに限られない。ソルダレジスト30は、着色されていてもよい。
【0029】
ソルダレジスト30には、第1開口31と、複数の第2開口32とが形成されている。第1開口31及び第2開口32は、ソルダレジスト30を厚さ方向に貫通している。第1開口31からは、中央パッド21が露出している。第2開口32からは、周辺パッド22が露出している。
【0030】
第1開口31は、平面視において、矩形状である。より具体的には、第1開口31は、平面視において、正方形状である。第1開口31は、例えば、平面視において、外周縁21aよりも外側にある。第2開口32は、平面視において、矩形状である。より具体的には、第2開口32は、平面視において、長方形状である。
【0031】
第1環状壁40は、中央パッド21上に配置されている。第1環状壁40は、平面視において、貫通穴100aを取り囲んでいる。第1環状壁40は、好ましくは、円環状である。第1環状壁40の内周縁は、貫通穴100aの縁に達していてもよく、貫通穴100aの縁から離間していてもよい。第1環状壁40の幅を、幅W1とする。幅W1は、第1環状壁40の内周縁と第1環状壁40の外周縁との間の距離である。中央パッド21の幅を、幅W2とする。幅W2は、好ましくは、幅W1の6倍以上である。
【0032】
第1環状壁40は、例えば、ソルダレジスト30と同一の材料により形成されている。第1環状壁40の厚さは、例えば、ソルダレジスト30の厚さと同一である。すなわち、ソルダレジスト30及び第1環状壁40は、例えば同一の工程により形成されている。ソルダレジスト30及び第1環状壁40は、例えば、ソルダレジスト30の構成材料のドライフィルムを第1主面10a上に貼り付けるとともに、貼り付けられたドライフィルムを現像及び露光してパターンニングすることにより形成される。なお、ドライフィルムの貼付に代えて、液状のソルダレジスト30の構成材料を塗布してもよい。
【0033】
<実装基板200の構成>
以下に、実装基板200の構成を説明する。
【0034】
図3は、実装基板200の断面図である。
図3に示されるように、実装基板200は、基板100と、半導体パッケージ300とを有している。
【0035】
半導体パッケージ300は、例えば、QFNパッケージである。但し、半導体パッケージ300は、これに限られない。半導体パッケージ300は、例えば、LGA(Lead Grid Array)パッケージであってもよい。半導体パッケージ300は、リードフレーム310と、半導体チップ320と、ボンディングワイヤ330と、封止樹脂340とを有している。
【0036】
リードフレーム310は、ダイパッド部311と、複数のリード部312とを有している。複数のリード部312は、ダイパッド部311の周囲に配置されている。リードフレーム310は、電気伝導性の材料により形成されている。リードフレーム310は、例えば、銅合金により形成されている。但し、リードフレーム310に用いられる電気伝導性の材料は、これに限られない。
【0037】
半導体チップ320は、表面320aと、裏面320bとを有している。表面320a及び裏面320bは、半導体チップ320の厚さ方向における端面である。裏面320bは、表面320aの反対面である。半導体チップ320は、ダイパッド部311上に配置されている。より具体的には、裏面320bは、はんだ合金(図示せず)、導電性接着剤(図示せず)等によりダイパッド部311に接続されている。図示されていないが、表面320aには、ボンディングパッドが形成されている。
【0038】
ボンディングワイヤ330は、一方端において半導体チップ320のボンディングパッドに接続されており、他方端においてリード部312に接続されている。ボンディングワイヤ330は、金、銅等の電気伝導性の材料により形成されている。封止樹脂340は、リードフレーム310、半導体チップ320及びボンディングワイヤ330を封止している。封止樹脂340は、例えば、エポキシ樹脂により形成されている。但し、封止樹脂340に用いられる樹脂材料は、これに限られない。
【0039】
半導体パッケージ300は、表面300aと、裏面300bとを有している。表面300a及び裏面300bは、半導体パッケージ300の厚さ方向における端面である。
図4は、半導体パッケージ300の底面図である。
図4に示されるように、ダイパッド部311及びリード部312は、裏面300bにおいて、封止樹脂340から露出している。裏面300bにおいて封止樹脂340から露出しているダイパッド部311及びリード部312は、それぞれ、半導体パッケージ300の中央電極300c及び周辺電極300dとなる。周辺電極300dは、中央電極300cの周囲に配置されている。
【0040】
図3に示されるように、半導体パッケージ300は、基板100に実装されている。より具体的には、はんだ合金210は、中央パッド21と中央電極300cとを接合しているとともに周辺パッド22と周辺電極300dとを接合している。はんだ合金210は、例えば、スズ合金により形成されている。
【0041】
半導体パッケージ300の基板100への実装においては、第1に、中央パッド21上及び周辺パッド22上にクリームはんだが塗布される。クリームはんだは、例えば、第1開口31から露出している中央パッド21の平面視における四隅近傍に塗布される。
【0042】
第2に、基板100上に、半導体パッケージ300が搭載される。この際、中央パッド21がクリームはんだを介在させて中央電極300cと対向しており、周辺パッド22がクリームはんだを介在させて周辺電極300dと対向している。基板100上に半導体パッケージ300が搭載されることにより、中央パッド21上に塗布されているクリームはんだは、押し広げられる。
【0043】
第3に、半導体パッケージ300が搭載されている基板100が、リフロー炉に投入される。これにより、はんだ合金210が溶融して中央パッド21と中央電極300cとの間及び周辺パッド22と周辺電極300dとの間において濡れ広がり、中央パッド21と中央電極300cとの間の接合及び周辺パッド22と周辺電極300dとの間の接合が行われる。以上により、半導体パッケージ300が基板100上に実装され、実装基板200となる。
【0044】
なお、クリームはんだからフラックス及び有機溶剤が揮発する際に発生するガスは、貫通穴100aを通って排出される。すなわち、貫通穴100aは、リフロー時のガス抜き穴である。
【0045】
<基板100の効果>
以下に、基板100の効果を、比較例に係る基板と対比しながら説明する。比較例に係る基板を、基板100Aとする。
【0046】
図5は、基板100Aの平面図である。
図5に示されるように、基板100Aは、基材10(
図5中において図示せず)と、導体パターン20と、ソルダレジスト30とを有している。基板100Aでは、導体パターン20が、中央パッド21と、複数の周辺パッド22と、配線23とを有している。これらの点に関して、基板100Aの構成は、基板100の構成と共通している。
【0047】
基板100Aは、第1環状壁40を有していない。この点に関して、基板100Aの構成は、基板100の構成と異なっている。
【0048】
基板100Aでは、第1環状壁40がないため、半導体パッケージ300の実装が行われる際に中央パッド21上において溶融したはんだ合金210は、中央パッド21上のみならず、導体層24上にも濡れ広がる。その結果、中央パッド21上において溶融したはんだ合金210は、第2主面10b側に達し、第2主面10b側において凝固する。
【0049】
半導体パッケージ300の実装を含む第1主面10a側における部品の実装が行われた後、第2主面10b側における部品の実装を行うために、メタルマスクを用いて、クリームはんだが第2主面10b上に配置されている導体パターンのパッド上に塗布される。しかしながら、半導体パッケージ300の実装が行われた際に貫通穴100aを通って第2主面10b側に達し、第2主面10b側において凝固したはんだ合金210が上記のメタルマスクと接触する。そのため、第2主面10b上に配置されている導体パターンのパッド上へのクリームはんだの塗布が、安定しない。
【0050】
他方で、基板100では、第1環状壁40が貫通穴100aを取り囲むように中央パッド21上に配置されているため、半導体パッケージ300の実装が行われる際に中央パッド21上において溶融したはんだ合金210の導体層24上への濡れ広がりは、第1環状壁40により妨げられる。そのため、基板100によると、第1主面10a側から第2主面10b側に溶融したはんだ合金210が達することが抑制される。
【0051】
第1環状壁40がソルダレジスト30と同一材料により形成されている場合には、第1環状壁40及びソルダレジスト30を同一の工程で形成することができる。そのため、この場合には、新たな工程を追加することなく、第1主面10a側から第2主面10b側に溶融したはんだ合金210が達することが抑制される。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る基板を説明する。以下においては、第2実施形態に係る基板を、基板100Bとする。ここでは、基板100と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。
【0053】
<基板100Bの構成>
以下に、基板100Bの構成を説明する。
【0054】
図6は、基板100Bの平面図である。
図7は、
図6中のVII-VIIにおける断面図である。
図6及び
図7に示されるように、基板100Bは、基材10と、導体パターン20と、ソルダレジスト30と、第1環状壁40を有している。この点に関して、基板100Bの構成は、基板100の構成と共通している。
【0055】
基板100Bは、第2環状壁50をさらに有している。この点に関して、基板100Bの構成は、基板100の構成と異なっている。
【0056】
第2環状壁50は、平面視において環状である。より具体的には、第2環状壁50は、平面視において円環状である。第2環状壁50は、第1環状壁40上に配置されている。第2環状壁50は、第1環状壁40とは異なる材料により形成されている。このことを別の観点から言えば、第2環状壁50は、ソルダレジスト30とは異なる材料により形成されている。
【0057】
第2環状壁50は、例えば樹脂インクにより形成されている。樹脂インクは、例えば、シルクインクである。この樹脂インクは、好ましくは、ソルダレジスト30とは異なる色に着色されている。例えばソルダレジスト30(第1環状壁40)が緑色に着色されている場合、第2環状壁50は白色に着色されている樹脂インクにより形成されている。
【0058】
図示されていないが、ソルダレジスト30上には、第2環状壁50に用いられている樹脂インクと同一の樹脂インクにより、文字が描かれている。この文字により、例えば、基板100B上に部品を実装する際に必要な情報、基板100Bの取り扱いに関する情報が示される。
【0059】
<基板100Bの効果>
以下に、基板100Bの効果を説明する。
【0060】
基板100Bでは、第2環状壁50が第1環状壁40上に配置されているため、半導体パッケージ300の実装が行われる際に中央パッド21上において溶融したはんだ合金210の導体層24上への濡れ広がりを妨げる構造が、高くなっている。そのため、基板100Bによると、第1主面10a側から第2主面10b側に溶融したはんだ合金210が達することがさらに抑制される。
【0061】
また、基板100Bの製造工程では、ソルダレジスト30上に種々の情報を表示するための文字がソルダレジスト30とは異なる色に着色された樹脂インクを用いて描かれる。基板100Bでは、第2環状壁50が上記のような文字を描くために用いられる樹脂インクと同一のインクを用いて形成されているため、この工程内で第2環状壁50を形成することができ、第2環状壁50を形成するために新たな工程を追加する必要がない。
【0062】
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上記の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
【符号の説明】
【0063】
10 基材、10a 第1主面、10b 第2主面、10c 貫通穴、20 導体パターン、21 中央パッド、21a 外周縁、22,22a 周辺パッド、23 配線、24 導体層、30 ソルダレジスト、31 第1開口、32 第2開口、40 第1環状壁、50 第2環状壁、100,100A,100B 基板、100a 貫通穴、200 実装基板、210 はんだ合金、300 半導体パッケージ、300a,320a 表面、300b,320b 裏面、300c 中央電極、300d 周辺電極、310 リードフレーム、311 ダイパッド部、312 リード部、320 半導体チップ、320a 表面、320b 裏面、330 ボンディングワイヤ、340 封止樹脂、W1,W2 幅。