(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032943
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】アナログメータの読取装置、読取り方法および読取りプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/60 20170101AFI20230302BHJP
G08C 19/36 20060101ALI20230302BHJP
G08C 19/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G06T7/60 300Z
G08C19/36
G08C19/00 301G
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139327
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】520285880
【氏名又は名称】中部電力ミライズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000213297
【氏名又は名称】中部電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 千春
(72)【発明者】
【氏名】塚前 伊久磨
(72)【発明者】
【氏名】小森 健太郎
【テーマコード(参考)】
2F073
5L096
【Fターム(参考)】
2F073AA09
2F073AA34
2F073AB01
2F073AB02
2F073BB02
2F073BB07
2F073BC02
2F073BC04
2F073CC03
2F073CC06
2F073CC12
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2F073DE13
2F073EF08
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG09
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2F073GG01
2F073GG08
2F073GG10
5L096DA02
5L096EA16
5L096EA31
5L096FA03
5L096FA04
5L096FA05
5L096FA06
5L096FA25
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA53
(57)【要約】
【課題】手軽にアナログメータを読み取ることができるアナログメータの読取装置、読取り方法および読取りプログラムを提供する。
【解決手段】アナログメータは、円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有する。アナログメータの読取装置は、アナログメータを撮影した画像が記憶される記憶装置と、記憶装置に記憶されたアナログメータの画像から指示値を読み取るための処理を実行する制御装置と、を備えている。制御装置は、指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出する(ステップS103)。制御装置は、抽出される指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき指示値を算出する(ステップS104)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して前記目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有するアナログメータの読取装置であって、
前記アナログメータを撮影した画像が記憶される記憶装置と、
前記記憶装置に記憶された前記アナログメータの画像から前記指示値を読み取るための処理を実行する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出し、その抽出される前記指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出するアナログメータの読取装置。
【請求項2】
前記指示針は、その正面からみて、四角形状、円形状および三角形状のうち少なくとも2つの形状を有する部分を含んでいる請求項1に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記アナログメータの画像から抽出された前記指示針を矩形近似するとともに、前記アナログメータの画像に対して矩形近似された前記指示針の長手方向に沿って延びる中心線を設定し、その設定される前記中心線と前記基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出する請求項1または請求項2に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項4】
前記指示針は、その正面からみて、末端部から先端部へ向かうにつれて面積が狭くなっており、
前記制御装置は、前記アナログメータの画像から抽出された前記指示針の面積が狭くなっていく方向を前記指示針の指し示す方向として認識するとともに、前記中心線における前記先端部に対応する部分と前記基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出する請求項3に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、前記角度と前記指示値との関係を規定するテーブルデータを記憶しており、
前記制御装置は、前記角度に基づき前記テーブルデータを使用して前記指示値を算出する請求項3に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記指示針の画像を抽出する処理に先立ち、前記アナログメータの画像の傾きを水平に補正する請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項7】
前記制御装置は、前記アナログメータの画像から前記アナログメータを抽出するとともに、その抽出される前記アナログメータを楕円に近似し、その楕円の長軸が水平になるように前記アナログメータの画像を回転させる請求項6に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記アナログメータの画像に水平または垂直に設けられるべき物体が含まれている場合、前記物体が水平または垂直になるように前記アナログメータの画像を回転させる請求項6に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項9】
前記目盛は、円弧の中間点と円弧の中心点とを結ぶ直線を対称軸とする線対称であって、前記目盛の最小値に対応する始点および前記目盛の最大値に対応する終点を有し、
前記制御装置は、前記アナログメータの画像に対して前記始点と前記終点とを結ぶ直線である基準線を設定し、その設定される基準線が水平になるように前記アナログメータの画像を回転させる請求項6に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記指示針の画像を抽出する処理に先立ち、前記アナログメータの画像から前記アナログメータを抽出するとともに、その抽出される前記アナログメータを楕円に近似し、その近似された楕円を円に近づけるように前記アナログメータの画像を補正する請求項1~請求項5のうちいずれか一項に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項11】
前記記憶装置に格納される前記アナログメータの画像は、前記アナログメータの撮影者が所持する携帯端末からネットワークを介して送られてくる前記アナログメータの画像を含んでいる請求項1~請求項10のうちいずれか一項に記載のアナログメータの読取装置。
【請求項12】
円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して前記目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有するアナログメータの読取方法であって、
記憶装置に記憶された前記アナログメータの画像に対して、前記指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出する段階と、
前記アナログメータの画像から抽出される前記指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出する段階と、を有しているアナログメータの読取方法。
【請求項13】
円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して前記目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有するアナログメータを撮影した画像から前記指示値を読み取るための処理をコンピュータに実行させるアナログメータの読取プログラムであって、
前記指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出するステップと、
前記アナログメータの画像から抽出される前記指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出するステップと、を有しているアナログメータの読取プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログメータの読取装置、読取り方法および読取りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえば工場には様々なタイプのアナログメータが設けられている。作業者は、アナログメータを目視で確認し、その確認したアナログメータの値を手作業でデータベースに登録する。しかし、アナログメータの数が多い場合、あるいはアナログメータを巡回して読み取っていく場合、アナログメータを一つ一つ目視で読み取ることは煩雑である。
【0003】
そこで、従来、アナログメータの値を自動的に読み取る装置が提案されている。たとえば特許文献1の読取システムは、携帯情報端末からアップロードされるアナログメータの画像と、予め作成した分類モデル(学習モデル)とを比較することによって、アナログメータの指針の測定位置を判断し、測定値の読み取りを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の読取システムによれば、確かにアナログメータを自動的に読み取ることができる。しかし、特許文献1の読取システムでは、アナログメータの種類ごとに学習用の画像データを用意し、その用意される画像データを使用してアナログメータの種類ごとに学習モデルを作成する必要がある。これは、面倒である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決し得るアナログメータの読取装置は、円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して前記目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有するアナログメータの読取装置である。アナログメータの読取装置は、前記アナログメータを撮影した画像が記憶される記憶装置と、前記記憶装置に記憶された前記アナログメータの画像から前記指示値を読み取るための処理を実行する制御装置と、を備えている。前記制御装置は、前記指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出し、その抽出される前記指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出する。
【0007】
この構成によれば、たとえばアナログメータの画像と予め作成した学習モデルとを比較することによってアナログメータの指示値を読み取るタイプの装置と異なり、学習モデルを作成する必要がない。このため、手軽にアナログメータを読み取ることができる。
【0008】
上記のアナログメータの読取装置において、前記指示針は、その正面からみて、四角形状、円形状および三角形状のうち少なくとも2つの形状を有する部分を含んでいてもよい。
【0009】
この構成によれば、指示針が有する四角形状、円形状および三角形状のうち少なくとも2つの形状を有する部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより、前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出することができる。
【0010】
上記のアナログメータの読取装置において、前記制御装置は、前記アナログメータの画像から抽出された前記指示針を矩形近似するとともに、前記アナログメータの画像に対して矩形近似された前記指示針の長手方向に沿って延びる中心線を設定し、その設定される前記中心線と前記基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出するようにしてもよい。
【0011】
この構成によれば、矩形近似された指示針の中心線と基準線とのなす角度に基づき、指示値を算出することが可能である。
上記のアナログメータの読取装置において、前記指示針は、その正面からみて、末端部から先端部へ向かうにつれて面積が狭くなっていてもよい。この場合、前記制御装置は、前記アナログメータの画像から抽出された前記指示針の面積が狭くなっていく方向を前記指示針の指し示す方向として認識するとともに、前記中心線における前記先端部に対応する部分と前記基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出するようにしてもよい。
【0012】
この構成によれば、中心線における指示針の先端部に対応する部分と基準線とのなす角度に基づき、より正確な指示値を算出することが可能である。
上記のアナログメータの読取装置において、前記記憶装置は、前記角度と前記指示値との関係を規定するテーブルデータを記憶していてもよい。この場合、前記制御装置は、前記角度に基づき前記テーブルデータを使用して前記指示値を算出するようにしてもよい。
【0013】
この構成によれば、テーブルデータを使用することによって、より簡単に指示値を算出することができる。
上記のアナログメータの読取装置において、前記制御装置は、前記指示針の画像を抽出する処理に先立ち、前記アナログメータの画像の傾きを水平に補正するようにしてもよい。
【0014】
この構成によれば、アナログメータの画像の傾きを水平に補正することにより、より正確な指示値を算出することが可能である。
上記のアナログメータの読取装置において、前記制御装置は、前記アナログメータの画像から前記アナログメータを抽出するとともに、その抽出される前記アナログメータを楕円に近似し、その楕円の長軸が水平になるように前記アナログメータの画像を回転させるようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、楕円に近似したアナログメータの長軸が水平になるようにアナログメータの画像を回転させることにより、アナログメータの画像の傾きを水平に補正することができる。
【0016】
上記のアナログメータの読取装置において、前記制御装置は、前記アナログメータの画像に水平または垂直に設けられるべき物体が含まれている場合、前記物体が水平または垂直になるように前記アナログメータの画像を回転させるようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、水平または垂直に設けられるべき物体が水平または垂直になるようにアナログメータの画像を回転させることにより、アナログメータの画像の傾きを水平に補正することができる。
【0018】
上記のアナログメータの読取装置において、前記目盛は、円弧の中間点と円弧の中心点とを結ぶ直線を対称軸とする線対称であって、前記目盛の最小値に対応する始点および前記目盛の最大値に対応する終点を有していてもよい。この場合、前記制御装置は、前記アナログメータの画像に対して前記始点と前記終点とを結ぶ直線である基準線を設定し、その設定される基準線が水平になるように前記アナログメータの画像を回転させるようにしてもよい。
【0019】
この構成によれば、目盛の始点と終点とを結ぶ直線である基準線が水平になるようにアナログメータの画像を回転させることにより、アナログメータの画像の傾きを水平に補正することができる。
【0020】
上記のアナログメータの読取装置において、前記制御装置は、前記指示針の画像を抽出する処理に先立ち、前記アナログメータの画像から前記アナログメータを抽出するとともに、その抽出される前記アナログメータを楕円に近似し、その近似された楕円を円に近づけるように前記アナログメータの画像を補正するようにしてもよい。
【0021】
この構成によれば、アナログメータを楕円に近似し、その近似された楕円を円に近づけるようにアナログメータの画像を補正することにより、アナログメータの目盛が正面からみたときと同様に等間隔になる。このため、より正確な指示値を算出することが可能である。
【0022】
上記のアナログメータの読取装置において、前記記憶装置に格納される前記アナログメータの画像は、前記アナログメータの撮影者が所持する携帯端末からネットワークを介して送られてくる前記アナログメータの画像を含んでいてもよい。
【0023】
この構成によれば、読取対象のアナログメータを携帯端末で撮影し、その撮影したアナログメータの画像を読取装置へ送信するだけでよい。携帯端末から送られてくるアナログメータは読取装置によって自動的に読み取られる。作業者は目視でアナログメータを読み取る必要がないため、便利である。
【0024】
上記課題を解決し得るアナログメータの読取方法は、円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して前記目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有するアナログメータの読取方法である。アナログメータの読取方法は、記憶装置に記憶された前記アナログメータの画像に対して、前記指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出する段階と、前記アナログメータの画像から抽出される前記指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出する段階と、を有している。
【0025】
この読取方法によれば、たとえばアナログメータの画像と予め作成した学習モデルとを比較することによってアナログメータの指示値を読み取る方法と異なり、学習モデルを作成する必要がない。このため、手軽にアナログメータを読み取ることができる。
【0026】
上記課題を解決し得るアナログメータの読取プログラムは、円弧状の目盛と、定められた回転中心を中心として回転して前記目盛上の指示値を指し示す指示針と、を有するアナログメータを撮影した画像から前記指示値を読み取るための処理をコンピュータに実行させるアナログメータの読取プログラムである。アナログメータの読取プログラムは、前記指示針の形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより前記アナログメータの画像から前記指示針を抽出するステップと、前記アナログメータの画像から抽出される前記指示針と定められた基準線とのなす角度に基づき前記指示値を算出するステップと、を有している。
【0027】
この読取プログラムによれば、たとえばアナログメータの画像と予め作成した学習モデルとを比較することによってアナログメータの指示値を読み取るタイプのプログラムと異なり、学習モデルを作成する必要がない。このため、手軽にアナログメータを読み取ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、手軽にアナログメータを読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】アナログメータの読取装置の一実施の形態と携帯端末とがネットワークを介して接続されている状態を示すブロック図である。
【
図2】読取装置の一実施の形態とネットワークを介して接続される携帯端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】読取装置の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【
図4】一実施の形態におけるアナログメータの読取処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】(a),(b),(c)は、一実施の形態のメータの抽出処理を説明するための正面図である。
【
図6】(a),(b),(c)は、一実施の形態におけるメータ画像の補正処理を説明するための正面図である。
【
図7】(a),(b)は、一実施の形態における指示針の抽出処理を説明するための正面図である。
【
図8】(a),(b),(c)は、一実施の形態における指示針の読取処理を説明するための正面図である。
【
図9】(a),(b)は、一実施の形態における指示針の補間処理を示す正面図である。
【
図10】(a),(b)は、一実施の形態における文字盤の補間処理を示す正面図である。
【
図11】(a),(b),(c)は、他の実施の形態におけるメータ画像の補正処理を説明するための正面図である。
【
図12】(a),(b)は、他の実施の形態におけるメータ画像の補正処理を説明するための正面図である。
【
図13】(a),(b)は、他の実施の形態におけるメータ画像の補正処理を説明するための正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、アナログメータの読取装置、読取方法および読取りプログラムを具体化した一実施の形態を説明する。
図1に示すように、読取装置10は、インターネットなどの通信ネットワーク20に接続されている。読取装置10は、たとえば電力会社などの事業者に設けられる。読取装置10は、通信ネットワーク20を介して携帯端末30との間で相互に通信可能である。携帯端末30は、いわゆるタブレット型端末あるいはスマートフォンを含む。携帯端末30は、たとえば工場などに設置されるアナログメータ40を撮影するために使用される。アナログメータ40は、目盛40A(文字盤)と指示針40Bとによって指示値を表す。携帯端末30は、撮影したアナログメータ40の画像であるメータ画像を読取装置10へ送信する。読取装置10は、携帯端末30から送信されるメータ画像を受信する。読取装置10は、メータ画像からアナログメータの指示値を読み取り、その読み取った指示値をデータベースに登録する。
【0031】
図2に示すように、携帯端末30は、記憶装置30A、通信装置30B、制御装置30C、ディスプレイ30Dおよびカメラ30Eを有している。記憶装置30A、通信装置30B、制御装置30C、ディスプレイ30Dおよびカメラ30Eは、信号線であるバス30Fを介して相互に接続されている。
【0032】
カメラ30Eは、動画像および静止画像を撮影可能である。カメラ30Eは、制御装置30Cからの指令に従い撮影対象を撮影する。撮影対象は、アナログメータ40を含む。
ディスプレイ30Dは、たとえばタッチパネルである。ディスプレイ30Dの画面上の表示をタッチ操作することによりデータを入力したり携帯端末30の動作を指示したりすることが可能である。
【0033】
記憶装置30Aは、制御装置30Cからの命令に従って情報を記憶する。情報には、カメラ30Eにより撮影された画像のデータである画像データが含まれる。記憶装置30Aは、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)を有している。RAMは、制御装置30Cが処理を行う際の作業領域であって、コンピュータプログラムあるいは演算結果などの一時的なデータが展開される。ROMは、制御装置30Cが実行するコンピュータプログラムおよびデータを記憶する。
【0034】
通信装置30Bは、制御装置30Cと通信ネットワーク20との間のインターフェースである。通信装置30Bは、通信ネットワーク20を介して情報の送信および受信を行う。通信装置30Bは、制御装置30Cからの命令に従って、通信ネットワーク20に接続される外部装置との間で情報を授受する。外部装置には、読取装置10が含まれる。
【0035】
制御装置30Cは、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有している。プロセッサは、記憶装置30Aの作業領域に展開されるコンピュータプログラムの実行を通じて携帯端末30の全体を統括的に制御する。制御装置30Cは、利用者の操作に従ってカメラ30Eの動作を制御する。制御装置30Cは、カメラ30Eにより撮影された画像データを記憶装置30Aに記憶する。制御装置30Cは、アナログメータ40の画像データに固有の識別情報および撮影日時を付加するようにしてもよい。
【0036】
図3に示すように、読取装置10は、記憶装置10A、通信装置10B、制御装置10C、ディスプレイ10Dおよび入力装置10Eを有している。記憶装置10A、通信装置10B、制御装置10C、ディスプレイ10Dおよび入力装置10Eは、信号線であるバス10Fを介して相互に接続されている。
【0037】
ディスプレイ10Dは、たとえば液晶ディスプレイあるいは有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
入力装置10Eは、キーボードおよびマウスなどを有している。入力装置10Eを通じて読取装置10が有する各種の機能の実行および各種のデータの入力が行われる。
【0038】
通信装置10Bは、制御装置10Cと通信ネットワーク20との間のインターフェースである。通信装置10Bは、通信ネットワーク20を介して情報の送信および受信を行う。通信装置10Bは、制御装置10Cからの命令に従って、通信ネットワーク20に接続される外部装置との間で情報を授受する。外部装置には、携帯端末30が含まれる。
【0039】
記憶装置10Aは、たとえば主記憶部10A3および補助記憶部10A4を有している。主記憶部10A3は、制御装置10Cが実行するコンピュータプログラム、および制御装置10Cが処理するデータなどを記憶する。プログラムは、アナログメータ40の読取プログラム10A1を含む。読取プログラム10A1は、アナログメータ40を撮影した画像からアナログメータ40の指示値を読み取るための処理を実行するコンピュータプログラムである。読取プログラム10A1は、各種の画像処理プログラムを含む。主記憶部10A3は、RAM(Random Access Memory)および(Read Only Memory)を有している。
【0040】
補助記憶部10A4は、OS(Operating System)を含む各種のプログラムおよび各種のデータを読み書き自在に格納する不揮発性の記憶装置である。補助記憶部10A4は、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)などである。OSは、通信装置10Bを介して接続される外部装置との間のデータの受け渡しを行う通信インターフェースプログラムを含む。補助記憶部10A4には、通信装置10Bを介して受信される情報が格納される。この情報には、携帯端末30から通信ネットワーク20を介して送られてくるアナログメータ40の画像データが含まれる。
【0041】
制御装置10Cは、記憶装置10Aに記憶されるプログラムに従って各種の処理を実行する。制御装置10CA、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有している。プロセッサは、記憶装置10Aの作業領域に展開されるコンピュータプログラムの実行を通じて読取装置10の全体を統括的に制御する。
【0042】
制御装置10Cは、携帯端末30から通信ネットワーク20を介して送られてくるアナログメータ40の画像データを、通信装置10Bを介して受信し、その受信される画像データをアナログメータ40に固有の識別情報と関連付けた状態で記憶装置10Aに格納する。制御装置10Cは、記憶装置10Aに格納されたアナログメータ40の画像データに基づきアナログメータ40の画像をディスプレイ10Dに表示させることが可能である。制御装置10Cは、記憶装置10Aに格納されたアナログメータ40の画像データに基づき、アナログメータ40の指示値を自動的に読み取る。
【0043】
<アナログメータ40の読取処理の手順>
つぎに、アナログメータ40の読取処理の手順を説明する。
図4のフローチャートに示すように、アナログメータ40の読取処理は、ステップS101~ステップS104の4つの処理を有している。これらステップS101~ステップS104の4つの処理は、記憶装置10Aに格納されたアナログメータ40の読取プログラム10A1に従って実行される。
【0044】
<ステップS101>
制御装置10Cは、まず、記憶装置10Aに格納された画像からアナログメータ40の画像を抽出する(ステップS101)。
【0045】
図5(a)に示すように、一例としての画像50は、複数のアナログメータ40が設けられたメータパネル51を撮影したものである。画像50は、メータパネル51が写っている領域である第1の領域50Aと、メータパネル51の周辺が写っている領域である第2の領域50Bとを有している。
図5(a)において、第2の領域50Bは多数のドットを付して示す。アナログメータ40の輪郭形状は、正面からみて円形を有する。
【0046】
図5(b)に示すように、制御装置10Cは、画像50の第1の領域50Aと第2の領域50Bとの境界50Cを検出し、画像50から第1の領域50Aを抽出する。
図5(c)に示すように、制御装置10Cは、円形を認識するパターンマッチングによって、アナログメータ40の円形の輪郭であるエッジ40Cを検出し、第1の領域50Aからアナログメータ40の画像を抽出する。パターンマッチングは、形状認識に分類されるものであって、分析対象の画像の中から事前に登録した基準となるパターン(モデル)に類似する検索対象を検出する画像処理の手法である。パターンマッチングでは、基準となるパターンに対して定められた類似性以上の類似性を有する検索対象を検出することが可能である。
【0047】
<ステップS102>
つぎに、制御装置10Cは、ステップS101で抽出されたアナログメータ40の画像を補正する(ステップS102)。ここでは、一例として、水平に撮影できていないアナログメータ40の画像を水平になるように回転補正する。
【0048】
図6(a)に示すように、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像に対して楕円近似処理を施す。楕円近似処理とは、任意の方向から撮影した円状の物体を画像処理によって楕円で近似する処理をいう。
【0049】
図6(b)に示すように、制御装置10Cは、楕円近似したアナログメータ40の画像のXY座標系における長軸40Dの座標および短軸40Eの座標を検出する。
図6(c)に示すように、制御装置10Cは、長軸40Dの座標がXY座標系のX軸に一致するように、かつ短軸40Eの座標がXY座標系のY軸に一致するようにアナログメータ40の画像を回転補正する。X軸は、水平方向に対応する水平の基準線である。Y軸は、垂直方向に対応する垂直の基準線である。
【0050】
<ステップS103>
つぎに、制御装置10Cは、ステップS102で補正した後のアナログメータ40の画像から指示針40Bの画像を抽出する(ステップS103)。
【0051】
図7(a)に示すように、一例として、指示針40Bは3つの部分に分割される。すなわち、指示針40Bは、末端部40B1、支持部40B2、および先端部40B3を有している。末端部40B1と先端部40B3とは、支持部40B2を基準として互いに反対側に位置している。先端部40B3は、目盛40Aを指す部分である。アナログメータ40を正面からみて、末端部40B1は四角形状(より正確には、台形状)、支持部40B2は円形状、先端部40B3は三角形状である。指示針40Bは、支持部40B2を中心として回転する。
【0052】
図7(b)に示すように、制御装置10Cは、四角形を認識するパターンマッチングによって、アナログメータ40の末端部40B1の輪郭であるエッジ40F1を検出する。制御装置10Cは、円形を認識するパターンマッチングによって、アナログメータ40の支持部40B2の輪郭であるエッジ40F2を検出する。制御装置10Cは、三角形を認識するパターンマッチングによって、アナログメータ40の先端部40B3の輪郭であるエッジ40F3を検出する。制御装置10Cは、検出される末端部40B1のエッジ40F1、支持部40B2のエッジ40F2および先端部40B3のエッジ40F3に基づき、アナログメータ40の画像から指示針40Bの画像を抽出する。
【0053】
<ステップS104>
最後に、制御装置10Cは、ステップS103で抽出された指示針40Bの画像から指示値を読み取る(ステップS104)。
【0054】
制御装置10Cは、
図8(a)に示される抽出後の指示針40Bの画像に対して矩形近似処理を施す。矩形近似処理とは、任意の方向から撮影した物体を画像処理によって矩形で近似する処理をいう。
【0055】
図8(b)に示すように、制御装置10Cは、矩形で近似された指示針40Bの輪郭40B4に対して、その長手方向に沿って延びる中心線40B5を設定する。
図8(c)に矢印で示すように、制御装置10Cは、
図8(a)に示される抽出後の指示針40Bの面積が広い側から狭い側へ向かう方向、すなわち末端部40B1から先端部40B3へ向かう方向を指示針40Bの指し示す方向として認識する。
【0056】
制御装置10Cは、中心線40B5におけるXY座標系の原点Oから先端O1まで部分と、XY座標系におけるX軸とのなす角度θを検出し、この検出される角度θに基づきアナログメータ40の指示値を算出する。原点Oは、アナログメータ40を正面からみたときの中心、および指示針40Bの回転中心に対応する。中心線40B5の原点Oから先端O1まで部分は、指示針40Bの先端部40B3に対応する部分である。X軸は、角度θを算出する際の基準となる基準線である。
【0057】
角度θは、たとえば中心線40B5の原点Oから先端O1まで部分がX軸の正の部分に一致するとき、「0°」である。角度θは、中心線40B5の原点Oから先端O1まで部分がX軸の正の部分を基準として反時計方向へ回転するとき、負の値となる。角度θは、中心線40B5の原点Oから先端O1まで部分がX軸の正の部分を基準として時計方向へ回転するとき、正の値となる。
【0058】
制御装置10Cは、テーブルデータ10A2に基づきアナログメータ40の指示値を算出する。テーブルデータ10A2は、角度θと指示値との関係を規定するものであって、予め設定される。テーブルデータ10A2は、記憶装置10Aに記憶されている。制御装置10Cは、検出される角度θに対応するアナログメータ40の指示値をディスプレイ30Dに表示させる。また、制御装置10Cは、算出されるアナログメータ40の指示値を記憶装置10Aに構築されるデータベースに格納する。データベースでは、アナログメータ40が識別情報に関連付けられて管理される。データベースには、アナログメータ40ごとに指示値が蓄積される。
【0059】
以上で、アナログメータ40の読取処理が完了となる。
<本実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0060】
(1)制御装置10Cは、指示針40Bの形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことによりアナログメータ40の画像から指示針40Bを抽出し、その抽出される指示針40Bと定められた基準線であるX軸とのなす角度θに基づきアナログメータ40の指示値を算出する。このため、たとえばアナログメータの画像と予め作成した学習モデルとを比較することによってアナログメータの指示値を読み取るタイプの装置と異なり、学習モデルを作成する必要がない。このため、手軽にアナログメータ40の指示値を読み取ることができる。また、カメラを常設するとともに照明をアナログメータに対して所定の角度で設置するタイプの読取システムと異なり、設備的な制約が少なく、導入しやすい。
【0061】
(2)指示針40Bは、その正面からみて、形状の異なる3つの部分、すなわち四角形状の末端部40B1、円形状の支持部40B2および三角形状の先端部40B3を有している。このため、これら末端部40B1、支持部40B2および先端部40B3ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより、アナログメータ40の画像から指示針40Bを抽出することができる。
【0062】
(3)制御装置10Cは、アナログメータ40の画像に対して矩形近似された指示針40Bの長手方向に沿って延びる中心線40B5を設定する。また、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像から抽出された指示針40Bの面積が狭くなっていく方向を指示針40Bの指し示す方向として認識する。制御装置10Cは、中心線40B5における先端部40B3に対応する部分とX軸とのなす角度θに基づき、アナログメータ40の指示値をより正確に算出することが可能である。
【0063】
(4)記憶装置10Aは、中心線40B5における先端部40B3に対応する部分とX軸とのなす角度θとアナログメータ40の指示値との関係を規定するテーブルデータ10A2を記憶している。制御装置10Cは、角度θに基づきテーブルデータ10A2を使用してアナログメータ40の指示値を算出する。テーブルデータ10A2を使用することによって、より簡単にアナログメータ40の指示値を算出することができる。
【0064】
(5)制御装置10Cは、指示針40Bの画像を抽出する処理に先立ち、アナログメータ40の画像の傾きを水平に補正する。このため、アナログメータ40の指示値をより正確に算出することが可能である。
【0065】
(6)制御装置10Cは、指示針40Bの画像を抽出する処理に先立ち、アナログメータ40の画像からアナログメータ40を抽出する。また、制御装置10Cは、その抽出されるアナログメータ40を楕円に近似し、その楕円の長軸40Dが水平になるようにアナログメータ40の画像を回転させる。これにより、アナログメータ40の画像の傾きを水平に補正することができる。
【0066】
(7)記憶装置10Aに格納されるアナログメータ40の画像は、アナログメータ40の撮影者が所持する携帯端末30から通信ネットワーク20を介して送られてくるアナログメータ40の画像を含んでいる。読取装置10は、記憶装置10Aに記憶されたアナログメータ40の画像から指示値を自動的に読み取る。このため、作業者は、読取対象のアナログメータ40を携帯端末30で撮影し、その撮影したアナログメータ40の画像を読取装置10へ送信するだけでよい。作業者は目視でアナログメータ40を読み取る必要がないため、便利である。
【0067】
(8)図形によるパターンマッチングを利用することにより、多少の影あるいはハレーションの影響を無視できる。ハレーションとは、撮影対象を撮影する際、強い光が当たった部分が白くぼやける現象をいう。
図9(a)に示すように、影あるいはハレーション40Gによって、指示針40Bの一部分が隠れていることが考えられる。この場合であれ、
図9(b)に示されるように、指示針40Bの3つの部分(40B1,40B2,40B3)の図形によるパターンマッチングを通じて、末端部40B1のエッジ40F1、支持部40B2のエッジ40F2および先端部40B3のエッジ40F3を検出することにより指示針40Bを抽出できる。また、
図10(a)に示すように、影あるいはハレーション40Gによって、目盛40Aの一部分が隠れていることが考えられる。この場合であれ、
図10(b)に示されるように、図形によるパターンマッチングを通じて、アナログメータ40のエッジ40Cを検出することによりアナログメータ40を抽出できる。
【0068】
<他の実施の形態>
なお、本実施の形態は、つぎのように変更して実施してもよい。
・
図11(a)に示すように、アナログメータ40が斜め上から撮影されることが考えられる。また、
図11(b)に示すように、アナログメータ40がその正面からみて左側あるいは右側から撮影されることも考えられる。この場合、先の
図4のステップS102において、つぎのような補正処理を行ってもよい。すなわち、制御装置10Cは、ステップS101で抽出されたアナログメータ40の画像(エッジ40C)に対して楕円近似処理を施す。つぎに、
図11(c)に示すように、制御装置10Cは、楕円近似されたアナログメータ40の画像におけるエッジ40Cを円に近づけるように補正する。たとえば、制御装置10Cは、画像処理によって楕円の長軸の長さ「a」、および短軸の長さ「b」を演算し、楕円を短軸方向に「a/b」倍する。このようにすれば、アナログメータ40の目盛40Aは、正面からみたときと同様に、等間隔となる。このため、先の
図4のステップS104における読取処理の実行を通じて、より正確に指示値を読み取ることが可能となる。
【0069】
・
図12(a)に示すように、アナログメータ40の画像が水平に撮影できていない場合、その画像に垂直に設けられるべき物体が含まれているとき、先の
図4のステップS102において、つぎのような補正処理を行ってもよい。すなわち、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像に垂直に設けられるべき物体が含まれている場合、その物体が垂直になるようにアナログメータ40の画像を回転させる。これにより、アナログメータ40の画像の傾きを水平に補正することができる。
【0070】
たとえばアナログメータ40を垂直に支持する棒状の物体である支持部材60が画像に写っている場合、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像上に支持部材60の中心線60Aを設定する。中心線60Aは、支持部材60の延設方向、すなわち垂直方向に沿って延びる。つぎに、
図12(b)に示すように、制御装置10Cは、中心線60AがXY座標系のY軸に一致または平行となるように、アナログメータ40の画像を回転補正する。これにより、アナログメータ40の画像を水平になるように補正することができる。
【0071】
・アナログメータ40の画像が水平に撮影できていない場合、その画像に水平に設けられるべき物体が含まれているとき、先の
図4のステップS102において、つぎのような補正処理を行ってもよい。すなわち、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像に水平に設けられるべき物体が含まれている場合、その物体が水平になるようにアナログメータ40の画像を回転させる。これにより、アナログメータ40の画像の傾きを水平に補正することができる。
【0072】
たとえば、図示は割愛するものの、アナログメータ40を水平に支持する棒状の物体である支持部材が画像に写っている場合、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像上に支持部材の中心線を設定する。中心線は、支持部材の延設方向、すなわち水平方向に沿って延びる。制御装置10Cは、中心線がXY座標系のX軸に一致または平行となるように、アナログメータ40の画像を回転補正する。これにより、アナログメータ40の画像を水平になるように補正することができる。
【0073】
また、アナログメータ40を水平に支持する物体であるメータパネル51の水平方向に沿って延びる一つの辺が画像に写っている場合、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像上にメータパネル51の水平方向に沿って延びる一つの辺に平行な基準線を設定する。制御装置10Cは、基準線がXY座標系のX軸に平行となるように、アナログメータ40の画像を回転補正する。このようにしても、アナログメータ40の画像を水平になるように補正することができる。
【0074】
・アナログメータ40の画像が水平に撮影できていない場合、先の
図4のステップS102において、つぎのような補正処理を行ってもよい。すなわち、
図13(a)に示すように、目盛40Aは、正面からみて円弧状である。目盛40Aは、円弧の中間点と円弧の中心点とを結ぶ直線を対称軸とする線対称である。たとえば目盛の最小値が「0」、最大値が「1」であって、1目盛が「0.02」である場合、円弧の中間点は「0.5」の目盛に対応する位置である。目盛40Aは、最小値に対応する始点40A1および最大値に対応する終点40A2を有している。この目盛40Aの構成を前提として、制御装置10Cは、始点40A1と終点40A2とを結ぶ直線である基準線40A3を設定する。その後、制御装置10Cは、その設定される基準線40A3が水平になるようにアナログメータ40の画像を回転させる。すなわち、
図13(b)に示すように、制御装置10Cは、基準線40A3がXY座標系のX軸に対して平行となるように、アナログメータ40の画像を回転補正する。このようにしても、アナログメータ40の画像を水平になるように補正することができる。
【0075】
・アナログメータ40の画像が水平に撮影できていない場合、目盛40Aが円弧状であるものの線対称でないとき、先の
図4のステップS102において、つぎのような補正処理を行ってもよい。すなわち、制御装置10Cは、アナログメータ40が水平に設けられた場合に最も上に位置するべき目盛位置と円弧の中心線とを結ぶ基準線を設定し、その設定される基準線がXY座標系のY軸に一致するように、アナログメータ40の画像を回転補正する。このようにしても、アナログメータ40の画像を水平になるように補正することができる。
【0076】
・本実施の形態では、指示針40Bは形状の異なる3つの部分(末端部40B1、支持部40B2、先端部40B3)を有していたが、指示針40Bは形状の異なる2つの部分を有するものであってもよい。たとえば、指示針40Bは、正面から見て四角形状の末端部40B1および三角形状の先端部40B3が互いに連結されてなる。この場合、制御装置10Cは、四角形および三角形を検出するパターンマッチングを通じて、指示針40Bを抽出することができる。ちなみに、制御装置10Cは、検出される頂点の数に基づき指示針の各部分の形状を認識することも可能である。このように、指示針40Bには様々な形状を有するものが存在するものの、指示針40Bの形状の異なる複数の部分ごとに図形によるパターンマッチングを行うことにより指示針40Bを抽出することができる。
【0077】
・目盛40Aの形成範囲が指示針40Bの回転方向における180°以下である場合、かつ指示針40Bが末端を中心として回転するタイプである場合、制御装置10Cは、指示針40Bの指し示す方向を認識するための処理を実行しなくてもよい。これは、指示針40BとX軸とのなす角度θは、0°~180°以下の範囲内で変化するからである。この場合、制御装置10Cは、アナログメータ40の画像に対して矩形近似された指示針40Bの長手方向に沿って延びる中心線40B5を設定し、その設定される中心線40B5と基準線であるX軸とのなす角度θに基づきアナログメータ40の指示値を算出することが可能である。
【0078】
・本実施の形態では、読取装置10がアナログメータ40の画像から指示値を読み取る読取処理を実行したが、携帯端末30が読取処理を実行してもよい。この場合、携帯端末30は、アナログメータ40の読取装置として機能する。携帯端末30は、カメラ30Eで撮影したアナログメータ40の画像から指示値を読み取り、その読み取った指示値を読取装置10に送信する。読取装置10は、携帯端末30から送られてくるアナログメータ40の指示値を管理する管理装置として機能する。
【符号の説明】
【0079】
10…読取装置
10A…記憶装置
10A2…テーブルデータ
10C…制御装置
20…ネットワーク
30…携帯端末
40…アナログメータ
40A…目盛
40A1…始点
40A2…終点
40A3…基準線
40B…指示針
40B1…末端部
40B2…支持部
40B3…先端部
40B5…中心線
40D…長軸
θ…角度
51…メータパネル(物体)
60…支持部材(物体)