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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023032991
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】散薬鑑査装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20230302BHJP
   G01N 21/3563 20140101ALI20230302BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
G01N21/3563
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139405
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】519273566
【氏名又は名称】株式会社ウィズレイ
(71)【出願人】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100204456
【弁理士】
【氏名又は名称】調 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】森山 圭
(72)【発明者】
【氏名】大村 義人
【テーマコード(参考)】
2G059
4C047
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB08
2G059CC12
2G059EE02
2G059HH01
2G059HH02
2G059KK01
2G059MM01
2G059MM10
4C047JJ03
4C047JJ23
4C047JJ34
4C047KK31
(57)【要約】      (修正有)
【課題】散薬の成分鑑査及び重量鑑査を正確かつ簡易に行うことが可能な散薬鑑査装置を提供する。
【解決手段】個包内に封入された散薬の重量を測定する重量測定装置6と、散薬に光を照射する発光部と散薬から反射された光を検知する検知部とを有し分光分析により散薬の成分を分析する成分分析装置7とを備え、散薬の重量鑑査及び成分鑑査を行う散薬鑑査装置1であって、散薬が封入された個包が複数連続した分包紙が載置される載置台15と、載置台15からの分包紙の落下を防止する複数の囲壁16,17とを備え、載置台15は散薬が個包内の所定位置に集まるように傾斜して形成され、発光部は所定位置に向けて発光する散薬鑑査装置1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個包内に封入された散薬の重量を測定する重量測定装置と、前記散薬に光を照射する発光部と前記散薬から反射された光を検知する検知部とを有し分光分析により前記散薬の成分を分析する成分分析装置とを備え、前記散薬の重量鑑査及び成分鑑査を行う散薬鑑査装置であって、
散薬が封入された個包が複数連続した分包紙が載置される載置台と、
前記載置台からの前記分包紙の落下を防止する複数の囲壁とを備え、
前記載置台は前記散薬が前記個包内の所定位置に集まるように傾斜して形成され、
前記発光部は前記所定位置に向けて発光する散薬鑑査装置。
【請求項2】
請求項1記載の散薬鑑査装置において、
前記複数の囲壁は前記載置台の一辺に複数配置されていることを特徴とする散薬鑑査装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の散薬鑑査装置において、
前記複数の囲壁はそれぞれの角部が面取りされていることを特徴とする散薬鑑査装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一つに記載の散薬鑑査装置において、
前記載置台に対して接離自在に設けられ、前記分包紙を前記載置台に対して固定するアーム部材を有することを特徴とする散薬鑑査装置。
【請求項5】
請求項4記載の散薬鑑査装置において、
前記アーム部材は所定の個包内の散薬が前記所定位置に位置するように前記所定の個包を固定することを特徴とする散薬鑑査装置。
【請求項6】
請求項4または5記載の散薬鑑査装置において、
前記アーム部材は前記載置台に接触する第1の位置と前記載置台から離間する第2の位置とを占め、前記アーム部材を前記第2の位置に保持する保持部材を有することを特徴とする散薬鑑査装置。
【請求項7】
請求項4ないし6の何れか一つに記載の散薬鑑査装置において、
前記アーム部材は、基端を前記載置台に回動自在に支持されると共にその自由端部に摘み部を有し、前記摘み部は前記囲壁から突出する位置に設けられていることを特徴とする散薬鑑査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散薬の重量鑑査と成分鑑査とを同時に行うことが可能な散薬鑑査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、投入ホッパに投入された散薬を一包ずつの個包内に順次封入して分包する包装装置と、散薬を散薬フィーダにて回転式環状受部材に配分してから一包分ずつ分割して投入ホッパへと送り込む散薬供給装置とを備えた散薬分包装置が知られている。
この散薬分包装置は、患者毎の処方データに基づいて一処方分の個包が連続して形成された分包紙(分包帯)を出力しており、個包内に封入される散薬の種類、個包重量、一処方分の総重量等を処方データに基づいて作成している。
【0003】
このような散薬分包装置から出力された分包紙は、医師によって処方された医薬品であるか否かの確認である鑑査が、鑑査者である薬剤師によって行われる。このときに行われる鑑査は、一処方分の総重量を鑑査する重量鑑査と、個包内に封入されている散薬の種類を鑑査する成分鑑査とが行われる。これ等二種類の鑑査は、従来はそれぞれ異なる鑑査装置によって行われ、すなわち重量鑑査装置によって重量鑑査がまた成分鑑査装置によって成分鑑査がそれぞれ行われ、鑑査者は各鑑査装置の結果に基づいて個包内の散薬の鑑査を行っていた。
【0004】
従来では、このように二種類の鑑査装置を用いていたため、鑑査装置を二種類用意しなければならず、装置の設置スペースを大きく取る必要があると共に、二種類の鑑査を二種類の装置で行わなければならず、作業効率が悪いという問題点があった。
このような問題点を解決可能な、散薬個包の重量測定と個包内の散薬の成分鑑査とを一つの装置で行う技術が、例えば「特許文献1」に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-85513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の技術では、皿状のサンプルホルダ上に載置されたサンプルに対して近赤外線光源から近赤外線光を照射し、サンプルで反射された反射光を近赤外分光器で検知して、プロセッサが検知された反射光から近赤外スペクトルを取得し、さらに近赤外スペクトルをプロセッサが二次微分処理している。そしてプロセッサは、取得した二次微分とデータベース内に記憶された医薬品データのスペクトルとから近赤外QI値を算出し、サンプルの成分鑑査を行っている。
【0007】
ここで、サンプルホルダ上に載置されたサンプル(個包)に対して光を照射する際に、個包内の散薬に対して光を効果的に照射するためには個包内において散薬を特定の箇所に集める必要がある。また、サンプルとして長期処方がなされた長尺の分包紙が用いられる場合には、分包紙がサンプルホルダ上からこぼれ落ちることを防止する必要があると共に、分包紙の特定の個包が光の照射位置に位置するように分包紙を固定する必要がある。
本発明は上述の問題点を解決し、散薬の成分鑑査及び重量鑑査を正確かつ簡易に行うことが可能な散薬鑑査装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、個包内に封入された散薬の重量を測定する重量測定装置と、前記散薬に光を照射する発光部と前記散薬から反射された光を検知する検知部とを有し分光分析により前記散薬の成分を分析する成分分析装置とを備え、前記散薬の重量鑑査及び成分鑑査を行う散薬鑑査装置であって、散薬が封入された個包が複数連続した分包紙が載置される載置台と、前記載置台からの前記分包紙の落下を防止する複数の囲壁とを備え、前記載置台は前記散薬が前記個包内の所定位置に集まるように傾斜して形成され、前記発光部は前記所定位置に向けて発光することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、個包内で分散している散薬を個包内の所定位置に集めることができ、成分鑑査時において発光部から発せられる光線を確実に散薬に照射することができる。これにより、正確な成分鑑査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に用いられる散薬鑑査装置のシステム構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る散薬鑑査装置の概略斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る散薬鑑査装置の概略正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る散薬鑑査装置の概略平面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る散薬鑑査装置の概略側面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る散薬鑑査装置の概略正面部分断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る散薬鑑査装置の概略側面部分断面図である。
図8】本発明の一実施形態に用いられるアーム部材を説明する概略図である。
図9】本発明の一実施形態に用いられる発光部の分包紙内に封入された散薬に対する配置位置を説明する概略図である。
図10】本発明の一実施形態に用いられる(a)分包紙(b)分包紙が載置されるトレイを説明する概略図である。
図11】本発明の一実施形態に用いられる調剤指示データを説明する概略図である。
図12】本発明の一実施形態に用いられる表示装置に処方箋情報が表示された状態を説明する概略図である。
図13】本発明の一実施形態に用いられる表示装置に鑑査画面が表示された状態を説明する概略図である。
図14】本発明の一実施形態に係る分包紙が載置された載置台の状態を説明する概略正面図である。
図15】本発明の一実施形態に係る分包紙が載置された載置台の状態を説明する概略平面図である。
図16】本発明の一実施形態に係る長尺の分包紙が載置された載置台の状態を説明する概略正面図である。
図17】本発明の一実施形態に係る長尺の分包紙が載置された載置台の状態を説明する概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に用いられる散薬鑑査装置のシステム構成を示す概略図である。図1に示すように、散薬鑑査装置1は表示装置であるディスプレイを備えたパソコン2に接続されており、パソコン2には出力装置であるプリンタ3が接続されている。パソコン3には、さらに上位解析システム4が接続されており、上位解析システム4には散薬分包装置5が接続されている。
上位解析システム4には、散薬分包装置5によって分包可能な全ての薬剤のデータが記憶されており、これ等のデータは複数の種類に分類されて更新可能に記憶されている。散薬分包装置5は上位解析システム4からのデータに基づいて様々な分包を行い、散薬が封入された個包が複数連続した分包紙を出力物として作成する。
【0012】
次に、散薬鑑査装置1について説明する。図2は散薬鑑査装置1の斜視図、図3は同正面図、図4は同平面図、図5は同側面図、図6は同正面部分断面図、図7は同側面部分断面図である。
散薬鑑査装置1は、出力物である分包紙内に封入された散薬の重量を測定する重量測定装置6と、分包紙内に封入された散薬の成分を分析する成分分析装置7とを備えている。重量測定装置6は散薬鑑査装置1の下部を構成しており、重量測定装置6の上方に成分分析装置7が配置されている。
図2において、矢印Xは散薬鑑査装置1の前後方向、矢印Yは同左右方向、矢印Zは同上下方向をそれぞれ示している。そして、矢印Xで示す方向を前方とし逆方向を後方、矢印Yで示す方向を左方とし逆方向を右方、矢印Zで示す方向を上方とし逆方向を下方とする。
【0013】
重量測定装置6は汎用の調剤用天秤によって構成されており、その前面には測定した重量をデジタル表示する表示部8が設けられている。重量測定装置6は、表示部8の近傍に設けられた図示しないスイッチを操作することにより動作可能であると共に、パソコン2からの動作指令に基づいて動作可能に構成されている。重量測定装置6としては、上述したように市販されている調剤用天秤をそのまま使用することができるため、散薬鑑査装置1のコストダウンに寄与している。
重量測定装置6は、図6及び図7に示すように、重量が計測される被測定物が載置される測定皿9と、測定皿9上に載置された被測定物の重量を測定するロードセル10と、表示装置8及びロードセル10をそれぞれ支持する装置本体11とを有している。測定皿9はロードセル10に支持されており、表示装置8及びロードセル10はそれぞれ装置本体11に取り付けられている。ロードセル10は精密な重量計測が可能に構成されており、このため測定可能な最大重量に制限が設けられている。
【0014】
成分分析装置7は、図6及び図7に示すように、成分分析装置7の外装を構成する外装部12と、成分分析を行う分析部13とを備えている。
外装部12は、底面が開放されたほぼ箱形形状を呈したカバー部材14を有している。カバー部材14は、図7に示すように、前後方向に向けてそれぞれ延出形成された延出部14a,14bがその下部に設けられており、上部には後方側から前方側に向かい上方から下方へと傾斜した傾斜面が設けられていて、この傾斜面は分包紙が載置される載置台15として機能する。載置台15の、左右方向中央部であって手前側端部近傍の位置には、図7に示すように、後述する発光部19aから照射された光が通過可能な貫通孔からなる窓部15aが形成されている。
【0015】
載置台15の左右方向両端部には、外装部12を構成し囲壁として機能する一対の第1ガイド部材16が設けられている。曲折形成された樹脂板からなる第1ガイド部材16は、鈍角で曲折された自由端がそれぞれ外方を向く態様で、それぞれの基端を載置台15上にねじ止めによって固定されている。各第1ガイド部材16上には鑑査対象となる分包紙が載置され、各第1ガイド部材16の自由端はそれぞれの角部が曲面状となるように面取りを施されている。
載置台15の手前側端部近傍には、外装部12を構成し囲壁として機能する一対の第2ガイド部材17が設けられている。図4及び図5に示すように、ほぼ直角に曲折形成された樹脂板からなる第2ガイド部材17は、曲折部がそれぞれ載置台15の内側を向き分包紙が接触するガイド面が載置台15の内側を向く態様で、それぞれの基端を載置台15上にねじ止めによって固定されている。各第2ガイド部材17は、それぞれのガイド面が載置台15に対して直角となるように、かつ図3及び図4に示すように左右方向中央部に所定の間隔が形成されるように、互いに離間する位置に取り付けられている。各第2ガイド部材17は、それぞれの自由端がほぼ台形状となるように形成されており、かつ各自由端の角部が曲面状となるようにそれぞれ面取りを施されている。
【0016】
図3及び図4に示すように、各第2ガイド部材17間の位置には、外装部12を構成するアーム部材18が配置されている。アーム部材18は、載置台15の後方側端部に基端を回動自在に取り付けられており、自由端は載置台15の前方側端部に位置している。すなわちアーム部材18は、載置台15の前後方向を横断するように載置台15上に設けられている。
平板状の樹脂材から形成されたアーム部材18は、図8に示すように、その一つの面が載置台15に対して接触可能に構成されている。アーム部材18の自由端は上方に向けて曲折形成されて摘み部18aを形成しており、摘み部18aを把持してアーム部材18の回動が行われる。アーム部材18は、載置台15によって上下動自在に支持された支軸18bによってその基端を回動自在に支持されており、基端は角柱状に形成されて保持部材として機能する角柱部18cを構成している。この構成によりアーム部材18は、図8に実線で示すように、その一つの面が載置台15に接触する第1の位置である接触位置と、図8に二点鎖線で示すように、接触位置とは異なる角柱部18cの面が載置台15に接触して起立し、前記一つの面が載置台15から離間する第2の位置である離間位置とを選択的に占める。またアーム部材18は、図4に示すように、摘み部18aの先端が各第2ガイド部材17のガイド面よりも前方側に突出するように配置されている。
【0017】
載置台15を有するカバー部材14、カバー部材14に取り付けられた一対の第1ガイド部材16及び一対の第2ガイド部材17、カバー部材14に支持されたアーム部材18を有する外装部12は、図7に示すように、カバー部材14の延出部14a,14bが測定皿9上に載置されることにより、その重量をロードセル10によって測定される。ロードセル10は、載置台15上に載置された分包紙内に封入された散薬の重量を測定するため、外装部12の重量は風袋として扱われる。ここで、外装部12はそのほとんどの部材が樹脂製であるため軽量であり、ロードセル10による測定可能な最大重量よりも軽量となるように構成されている。
【0018】
分析部13は、図6図7に示すように、受発光部19、コネクタ20、ベース部材21等を有している。受発光部19は、分包紙内に封入された散薬に向けて検知光を照射する発光部19aと、散薬から反射された光を検知する検知部19bとを有している。発光部19aは、例えば上述した特開2020-85513号公報に開示されているように、可視光線や赤外線等の光線を被検知物である分包紙内に封入された散薬に向けて照射する。ここで発光部19aは、図9に示すように、載置台15上に載置され接触位置を占めたアーム部材18によって固定された分包紙22内に封入された散薬23に対して、発せられる光線Lが窓部15aを介して照射される位置に配置されている。図7及び図9において、符号24は散薬23を透過した光線Lが反射される反射板を示している。検知部19bは、散薬23によって反射された光線Lを検知して散薬23の成分を解析する。
コネクタ20は、図示しない接続線を介して受発光部19に接続されており、受発光部19に対して電力を供給したり信号の入出力を行ったりする。受発光部19及びコネクタ20は、ベース部材21に固定されている。なお、受発光部19を用いて散薬23の成分分析を行う技術は、上述した特開2020-85531号公報等に開示されており公知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0019】
ベース部材21は、それぞれ金属板から構成された脚部21a、前部取付板21b、後部取付板21cを有している。
ほぼコ字形状となるように曲折形成された脚部21aは、曲折形成された各自由端が下方を向く態様で配置されており、各自由端の端部はさらに互いに向かい合う向きに曲折されて、図6に示すように取付部21dがそれぞれ形成されている。脚部21aの前後方向における大きさは、測定皿9の同方向における大きさに対して十分に小さくなるように形成されている。そして図6に示すように、測定皿9の左右方向における大きさが脚部21aの同方向における大きさよりも部分的に小さくなるように、測定皿9の前後方向における中央部近傍に切欠部9aが形成されている。この切欠部9aが形成されていることにより、脚部21aは測定皿9に接触及び干渉することなくカバー部材14の内側に配置されている。脚部21aは、各取付部21dをねじ25によって装置本体11に固定されている。
【0020】
脚部21aの前側端部には前部取付板21bが、同後側端部には後部取付板21cがそれぞれ溶接等によって固定されている。前部取付板21bにはブラケット21eを介して受発光部19が、後部取付板21cにはコネクタ20がそれぞれ取り付けられている。
上述の構成により、ベース部材21は重量測定装置6を構成する測定皿9に接触及び干渉することなく固定部材である装置本体11に固定されているため、ベース部材21によって支持される受発光部19、コネクタ20及びベース部材21自体といった主に金属からなる重量物が測定皿9に干渉してロードセル10によって測定されることを回避できる。これにより、ロードセル10による測定可能な最大重量内で重量測定装置6を構成可能となる。
【0021】
次に、上述した散薬鑑査装置1を用いた散薬鑑査工程について説明する。散薬鑑査工程は図1に示したシステム構成に基づいて行われるが、上述した上位解析システム4には散薬分包装置5によって分包可能な全ての薬剤のデータの他に、全処方データ、散薬鑑査完了データ、分包完了データが記憶されている。全処方データは散薬分包装置5によって各患者の処方箋に基づいて分包される全ての処方箋データを、散薬鑑査完了データは全処方データのうち散薬分包装置5から分包前の散薬鑑査完了(患者毎の散薬の準備が完了)した信号を受け取った処方箋データを、分包完了データは散薬鑑査完了データのうち散薬分包装置5から分包が完了して分包紙が出力された信号を受け取った処方箋データをそれぞれ示している。
本発明では、散薬分包装置5によって分包された分包紙22を鑑査対象としているため、出力された分包紙22を有する分包完了データに基づいた散薬鑑査工程が行われる。上位解析システム4に記憶された各データは、パソコン2を介して散薬鑑査装置1に送られる。
【0022】
図10(a)は、鑑査対象となる分包紙22の一例を示している。樹脂製の分包紙22は、表面側には熱に強い基体層を、裏面側には静電気が発生しにくい層をそれぞれ有しており、表面側には文字やバーコード等の印字が可能であると共に、裏面側は静電気が少なく封入された散薬23が落下し易くなるように構成されている。分包紙22は、散薬分包装置5内において複数の個包22aを作成され、各個包22a内のそれぞれに散薬23が封入されている。なお、図10(a)では各個包22a内の散薬23として、各個包22aの下方に集まった状態の散薬23を示したが、実際の散薬23は個包22a内で分散しており、一つの箇所には集積していない。また、図10(a)に示した散薬23も実際にはさらなる集積が可能であり、集積時にはその面積がさらに小さくなる。各個包22a間には、各個包22aを分離する際に切り離されるミシン目22bが形成されている。
図10(b)は、鑑査対象である散薬23が封入された分包紙22が散薬鑑査工程に供される際に、指定のトレイ26に載置されている状態を示している。鑑査者は、散薬分包装置5から出力された分包紙22をトレイ26に載置して散薬鑑査装置1に運び、トレイ26上の分包紙22を鑑査する。また図示してはいないが、分包紙22には各個包22a内の散薬に対応した処方箋の処方箋番号が印刷されている。
【0023】
図11は、鑑査対象である散薬23が封入された分包紙22に対応した調剤指示データ27を示している。この調剤指示データ27は、散薬分包装置5による分包を含む調剤工程を行う際に用いられる。調剤指示データ27には、当該分包紙22に対応した患者氏名、処方箋番号、薬剤名、服用回数、分包紙重量、薬剤重量、分包紙総重量等が記載されている。図11に示した例では、薬剤名としてテグレトール細粒50%が1日量1.5gで2日分、薬剤重量3.0gと分包紙6包重量3.9gで分包紙総重量が6.9gであることが記載されている。また、図11に示した例では患者氏名や処方箋番号の記載を省略しているが、実際には各項目が記載されている。
調剤指示データ27は、後述する処方箋データに紐付けられて上位解析システム4に記憶されており、鑑査者は調剤指示データ27に記載された情報に基づいて散薬23の鑑査を行う。
【0024】
鑑査対象である散薬23が封入された分包紙22が入れられたトレイ26が散薬鑑査装置1に運ばれると、鑑査者はパソコン2を操作して散薬の鑑査工程を開始する。図示しないスタートキーが操作されると、パソコン2のディスプレイ2aには、図12に示すように、分包完了データに基づいた処方箋データが一覧表示される。図12では一画面上に12個のデータを示しており、図示の例ではそれぞれのデータにおいて処方箋番号、患者名、処方薬名、重量等の表記をそれぞれ省略しているが、実際の各データにはそれぞれ異なる情報が表示及び記憶されている。
次に鑑査者は、分包紙22に印刷された処方箋番号を入力する。この入力により、ディスプレイ2aの一部に処方箋番号に対応した調剤指示データ27が表示される。そして鑑査者は、調剤指示データ27を参照して合致する処方箋データを検索して設定する。この設定は、ディスプレイ2aをタッチパネルとしてディスプレイ2aを接触することによって選択しても、パソコン2のキーボードやマウスから設定してもよい。
画面上に当該データが存在しない場合、鑑査者は画面をスクロールあるいはページ送りして新たな処方箋データを表示させて検索を続行する。ここで、鑑査に使用される分包完了データは、全処方データのうち散薬分包装置5から分包が完了して分包紙が出力された信号を受け取った処方箋データであるため、数量が少ないことから容易に検索を行うことができる。なお、パソコン2にバーコードスキャナが接続され散薬分包装置5が分包紙22にバーコードを印刷している場合には、分包紙22に印刷されたバーコードをスキャンすることにより処方箋番号の入力動作を省略できる。
【0025】
鑑査対象の調剤指示データ27に対応した分包完了データが設定されると、ディスプレイ2aの表示が図13に示す鑑査画面に変化する。図13に示す鑑査画面では、一つの画面の左方に調剤指示データ27に対応した患者氏名、処方箋番号、薬剤名、分包紙重量、薬剤総重量の目標値、薬剤総重量の実測値等が表示されている。
また、同画面の右方には鑑査(測定)結果が表示される。この鑑査結果は、成分鑑査結果と重量鑑査結果とが一つの画面の中で2行表示されており、成分鑑査結果と重量鑑査結果とを一つの画面で同時に得ることができる。成分鑑査及び重量鑑査の判定結果は結果表示箇所2b(図13において円で示した箇所)に表示され、鑑査前は各結果表示箇所2bが灰色で表示されている。
【0026】
また、ディスプレイ2aの変化に伴い、散薬鑑査装置1において初期設定動作が行われる。この初期設定動作は、重量測定装置6によって成分分析装置7の風袋重量が測定され、これが重量測定値のゼロ点に設定される。具体的には、ロードセル10によって成分分析装置7のうちの外装部12の重量のみが測定され、これが風袋重量に設定される。本発明の散薬鑑査装置1では、重量がかさむ分析部13はロードセル10には干渉しない構成であるため、精密計測が可能であるロードセル10の測定可能重量内で成分分析装置7を構成できる。
散薬鑑査装置1の初期設定動作は、散薬鑑査工程が行われる際の最初、すなわち散薬鑑査装置1に鑑査される分包紙22が載置される前に、その都度行われる。これにより、外装部12を構成する載置台15及び各ガイド部材16,17及びアーム部材18等に、例えば付着物等による重量変化があった場合でも、これを風袋として薬剤重量から除外でき重量鑑査の精度を向上できる。また、風袋重量として外装部12の重量を予め記憶させる必要がなく、構成を簡易化できる。
【0027】
ディスプレイ2aに鑑査画面が表示されると共に散薬鑑査装置1の初期設定動作が完了すると、鑑査者は鑑査対象である散薬23が封入された分包紙22を散薬鑑査装置1の載置台15上にセットする。ここで、図14は実際には水平面に対して傾いている載置台15を水平状態としたときの散薬鑑査装置1の要部正面図を、図15は同平面図をそれぞれ示している。
鑑査者は、先ず摘み部18aを把持してアーム部材18を図8に二点鎖線で示す離間位置に位置決めさせ、載置台15上に分包紙22を載置する。このとき、成分鑑査に供される個包22a(本例では先頭の個包22a)が窓部15a上に位置するように分包紙22を載置台15上に載置する。そして、摘み部18aを把持してアーム部材18を図8に実線で示す接触位置に変位させ、アーム部材18によって成分鑑査される個包22aを載置台15上に挟持して固定する。その後、残った分包紙22は、図14及び図15に示すように、アーム部材18の上方を経由して載置台15上に折り畳むように載置する。本実施形態では、図11に示すように一処方分の分包紙22は6包の個包22aを有するため、載置台15上に載置される分包紙22の状態は図14及び図15に示すようになる。
【0028】
アーム部材18が接触位置に変位され、成分鑑査される個包22aが載置台15に対して位置決めされると、分包紙22は図9に示す状態となる。ここで載置台15は、分包紙22内の散薬23が個包22a内の所定位置すなわち下方に集まるように、後方側から前方側に向かい上方から下方へと傾斜するように形成されている。この構成により、図10に示すように各個包22a内で分散している散薬23を図9に示すように個包22a内の下方に集めることができ、成分鑑査時において発光部19aから発せられる光線Lを確実に散薬23に照射することができる。これにより、正確な成分鑑査を行うことができる。
【0029】
本実施形態では、一処方分の分包紙22が6包の個包22aを有する構成であるため、分包紙22が載置台15から落下する虞はほとんどないが、一処方分の分包紙22が、例えば図16及び図17に示すように、1日3回2週間分で42包の個包22aを有する場合等の、長尺に及ぶ場合がある。このような場合であっても、載置台15上に載置された分包紙22は複数の囲壁である各ガイド部材16,17によって囲まれる状態となるので、各ガイド部材16,17によって分包紙22が載置台15から落下することを効果的に防止することができる。
【0030】
アーム部材18によって分包紙22が載置台15上の所定位置に固定されると、例えばアーム部材18の変位を検知する図示しないセンサによってこれが検知され、ディスプレイ2aに「監査を開始しますか」といった表示がなされる。そして、鑑査者により図示しないスタートキーがオンされることにより、散薬鑑査動作が行われる。
散薬鑑査動作では、先ず重量測定装置6すなわちロードセル10によって外装部12及び載置台15上の分包紙22の重量が測定される。ここで、初期設定動作により外装部12の重量が風袋として処理されているため、実際には分包紙22の重量のみが測定される。測定された重量は、図13に示す実測値としてディスプレイ2a上に表示される。
そして散薬鑑査装置1は、測定された分包紙22の重量である実測値が、当該処方データの全量に基づいて予め定められている許容値(例えば±5%)以内である場合に合格であると判断し、重量鑑査に対応した結果表示箇所2bを緑色に点灯させる。また、許容値を外れている場合には不合格であると判断して、同結果表示箇所2bを赤色に点灯させる。
【0031】
重量鑑査が完了すると、続いて成分鑑査が行われる。成分鑑査は、上述したように特開2020-85513号公報で開示された方法と同様に行われる。この成分鑑査時において、図9に示すように、載置台15上に固定された個包22a内の所定位置に集められた散薬23に対して発光部19aからの光線Lが照射されるので、散薬23の成分鑑査を正確に行うことができる。なお、散薬23の成分鑑査は分包紙22を介して行われるため、分包紙22の成分が判明している必要がある。
そして散薬鑑査装置1は、分析された分包紙22内の散薬23の成分に対応した分光スペクトルデータが、当該処方データに記載された薬剤の成分に対応した分光スペクトルデータに対して許容値(例えば一致率95%)以上である場合に合格であると判断し、成分鑑査に対応した結果表示箇所2bを緑色に点灯させる。また、許容値を外れている場合には不合格であると判断して、同結果表示箇所2bを赤色に点灯させる。
【0032】
本実施形態で示した散薬鑑査装置1によれば、重量鑑査完了後に連続して成分鑑査に移るので、載置台15上に鑑査対象物を載置するという動作のみで重量鑑査結果とほぼ同時に成分鑑査結果を取得でき、散薬鑑査工程を短時間で行うことができる。さらに、成分鑑査結果と重量鑑査結果とが、それぞれ合格であるか不合格であるかを一つの画面の中で互いに並列な2行表示で表示されるため、成分鑑査結果と重量鑑査結果とを一つの画面で同時に得ることができ、鑑査者による散薬鑑査工程の作業性及び正確性を向上できると共に、各鑑査結果を示す表示装置を単一化でき構成の簡易化及びコストダウンを図ることができる。
また、重量鑑査を行う重量測定装置6と成分鑑査を行う成分分析装置7とをパソコン2という単一の制御装置で制御できるため、制御装置を簡易化できる。また、パソコン2が上位解析システム4等の外部機器とも通信できるので、制御対象の幅を広げることができると共に情報の管理やトレーサビリティを行うことができる。
【0033】
また、本発明の散薬鑑査装置1は、分包紙22内の散薬23が個包22a内の所定位置すなわち下方に集まるように、載置台15が装置の後方側から前方側に向かい上方から下方へと傾斜するように形成されている。この構成により、各個包22a内で分散している散薬23を個包22a内の下方である所定位置に集めることができ、成分鑑査時において発光部19aから発せられる光線Lを確実に散薬23に照射することができる。これにより、正確な成分鑑査を行うことができる。
【0034】
また、本発明の散薬鑑査装置1は、それぞれ複数の囲壁である第1ガイド部材16が載置台15の左右両側の辺にそれぞれ1個ずつ、第2ガイド部材17が載置台15の前方側の一辺に2個配置されている。この構成により、分包紙22が長尺であっても載置台15上から落下させずに載置可能であると共に、第2ガイド部材17の間に間隔を有することから、載置台15に対する分包紙22の載置、セット、取り出し時における作業性を向上できる。また、第2ガイド部材17はそのガイド面が載置台15に対してほぼ直角となるように設けられているので、載置台15上において分包紙22を成分分析に適した位置に位置決めすることができる。
【0035】
また、本発明の散薬鑑査装置1は、それぞれ複数の囲壁である第1ガイド部材16及び第2ガイド部材17はそれぞれの角部が面取りされている。この構成により、載置台15に対して分包紙22を載置、セット、取り出しする際に、鑑査者の手が第1ガイド部材16及び第2ガイド部材17の角部に接触しても、鑑査者が負傷する虞を大幅に低減できる。また、載置台15に対して分包紙22を載置、セット、取り出しする際に、分包紙22が第1ガイド部材16及び第2ガイド部材17の角部に接触しても、分包紙22が破損する虞を大幅に低減できる。これにより、鑑査時における安全性及び生産性を大幅に向上できる。
【0036】
また、本発明の散薬鑑査装置1は、載置台15に対して接離自在に設けられ、分包紙22を載置台15に対して固定するアーム部材18を備えている。この構成により、載置台15上に分包紙22を固定でき、載置台15上からの分包紙22の落下を抑制できる。また、アーム部材18は所定の個包22a内の散薬23が成分分析に適した所定位置に位置するように所定の個包22aを固定する。この構成により、成分分析対象の所定の個包22aを所定位置に固定でき、正確な成分鑑査を行うことができる。
また、鑑査される個包22aはアーム部材18によって載置台15に挟持され、アーム部材18の散薬23と対応する箇所には反射板24が設けられているので、鑑査される散薬23に外因が作用することを防止できると共に光線Lが確実に反射され、正確な成分鑑査を行うことができる。
【0037】
また、本発明の散薬鑑査装置1は、載置台15に接触する接触位置と載置台15から離間する離間位置とを占めるアーム部材18を備え、さらにアーム部材18を離間位置に保持する保持部材としての角柱部18cを有している。この構成により、アーム部材18は離間位置を占めた状態で角柱部18cにより保持されるので、分包紙22を載置台15上に載置する際に鑑査者は両手を使用でき、作業効率を向上できる。
また、アーム部材18は個包22aの前後方向における長さよりも長く形成されているため、鑑査対象の個包22aを所定位置に対して確実に位置決めできると共に、鑑査対象外の個包22aが載置台15上で姿勢を崩した場合であっても鑑査対象の個包22aが所定位置からずれることを防止できる。
【0038】
また、本発明の散薬鑑査装置1は、基端を載置台15に回動自在に支持されると共にその自由端部に摘み部18aを有し、摘み部18aは囲壁である第2ガイド部材17から突出する位置に設けられたアーム部材18を備えている。第2ガイド部材17には長尺の分包紙22が寄りかかる状態も想定され、第2ガイド部材17と同じ並びに摘み部18aが設けられていると分包紙22を取り除く際に摘み部18aが邪魔になる場合がある。しかし上述の構成により、載置台15に対して分包紙22を載置、セット、取り出しする際に、第2ガイド部材17を気にすることなく摘み部18aを把持することができ、操作性を向上できる。
また、アーム部材18上に分包紙22が存在する状態で分包紙22を取り除く場合には、摘み部18aが第2ガイド部材17から突出していることからアーム部材18の上方空間に存在する分包紙を把持し易く、操作性を向上できる。
【0039】
上述した実施形態では、散薬鑑査装置1に接続された上位解析システム4に分包完了データ、散薬鑑査完了データ、全処方データが記憶され、上位解析システム4を介して散薬分包装置5から送られた分包完了データに基づいて散薬鑑査装置1が散薬鑑査工程を行う例を示した。しかし、上位解析システム4を介することなく、分包完了データを散薬分包装置5から直接受け取って散薬鑑査装置1が散薬鑑査工程を行う構成としてもよい。
また、分包完了データに代えて、散薬鑑査完了データあるいは全処方データに基づいて散薬鑑査装置1が散薬鑑査工程を行う構成としてもよい。
散薬鑑査完了データに基づいて散薬鑑査工程を行う場合には、上述した散薬準備完了まで進んだ時点でディスプレイ2a上に図12と同様な一覧表示がなされる。しかし、この時点では結果物である分包紙22が散薬分包装置5から出力されていない場合もあるため、鑑査者は分包紙22がないあるいは出力数が表示数よりも少ないといった場合には、散薬分包装置5が散薬準備を終えて分包待ち状態であり、分包紙22が近々出力されることを推測できる。
全処方データに基づいて散薬鑑査工程を行う場合には、分包紙22の出力や散薬準備完了の何れも判断できず全ての処方箋データが一覧表示されるため、ディスプレイ2a上に表示される情報量が分包完了データ及び散薬鑑査完了データに比して飛躍的に多くなる。
【0040】
上述した各モードを併用し、モード毎にディスプレイ2aにおける表示色を変更する等によって仕分けを行い、分包完了データ、散薬鑑査完了データ、それ以外のデータを一覧で表示することにより全体の分包工程の総量及び進度を判り易くすることができ、工程管理を容易に行うことができる。
また、ソート機能を用いて、例えば分包完了データを優先表示させ、次に散薬鑑査完了データ、最後に全処方データを表示させることにより、結果物を伴う処方データの選択を容易化できる。また、ソート機能を用いても全体の情報表示量に変化はないが、基本的には分包完了データを維持し、分包工程の全体進度を確認するために切り替えを行う等の運用を行うことにより、工程管理を容易化できる。
【0041】
分包完了データは、基本的には散薬分包装置5と散薬鑑査装置1とが接続された状態でしか使用することができない。しかし、散薬鑑査工程のシステム構成として、散薬分包装置がシステムから外れたスタンドアロンの状態で使用される場合も考えられる。この場合には、散薬分包装置5から分包完了データを受信することができないため、散薬鑑査工程としては上述した全処方データを用いることとなる。
また、システム構成に組み込まれた散薬分包装置5としては、分包に使用される分包紙22として成分が判明しているものが用いられる。これは、成分分析装置7によって散薬23の成分が分析される際に、分包紙22の成分も同時に分析されるためである。しかし、上述したようなスタンドアロンの散薬分包装置の場合には、使用されている分包紙の成分が判明していない場合が多い。このため、散薬鑑査装置1をスタンドアロンの散薬分包装置と併用する場合には、使用される分包紙の成分を予め分析する必要がある。
【0042】
上述の実施形態では、重量鑑査を行う場合に、載置台15に対して重量鑑査対象の分包紙22を全て載置する場合を示した。しかし、長期処方によって分包紙が長尺で処方される場合がある(例えば1日3回4週間で84包)。このような長期処方の場合には、全ての分包紙22を載置台15上に載置しきれない場合がある。このような場合には、当該分包紙を例えば10包で切断し、1包で成分を、10包で重量を測定する。分包紙22内の散薬23の量は均等であるので、10包での重量鑑査結果が合格であれば、残り74包も均等であることから、トータル重量も合格となる。
【0043】
上述の実施形態では、ディスプレイ2aの一つの画面内に鑑査(測定)結果が表示され、鑑査結果として成分鑑査結果と重量鑑査結果とがそれぞれ合格であるか不合格であるかが一つの画面の中で互いに並列な2行表示により判別及び表示されている。この構成より、成分鑑査結果と重量鑑査結果とを一つの画面で同時に得ることができ、鑑査の効率及び正確性を大幅に向上できる。
また、成分鑑査及び重量鑑査の判定結果は結果表示箇所2bに表示される。そして、鑑査前は各結果表示箇所2bが第1の色である灰色で、合格は第2の色である緑色で、不合格は第3の色である赤色でそれぞれ表示される。このように、色によって鑑査の結果を瞬時に判断できるため、鑑査の効率及び正確性をさらに向上できる。
【0044】
上述の実施形態では、重量鑑査結果と成分鑑査結果とをそれぞれ表示しており、何れか一方が不合格であった場合に不合格とする構成とはしていない。例えば重量鑑査結果が不合格であり成分鑑査結果が合格である場合には、薬効的には合格している。このような場合であって、かつ重量鑑査結果の不合格範囲がごく少ない場合(例えば±5%以内が合格範囲である場合に+5.2%であった場合等)には、鑑査者が重量誤差として合格とする場合も考えられる。分包紙は散薬分包装置内を通過した後に出力されるため、重量誤差が発生する場合もあり得るためである。本発明の構成では、このような事例にも対応可能である。
【0045】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0046】
1 散薬鑑査装置
6 重量測定装置
7 成分分析装置
15 載置台
16 囲壁(第1ガイド部材)
17 囲壁(第2ガイド部材)
18 アーム部材
18a 摘み部
18c 保持部材(角柱部)
19a 発光部
19b 検知部
22 分包紙
22a 個包
23 散薬
図1
図2
図3
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