(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033015
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】螺旋階段
(51)【国際特許分類】
E04F 11/032 20060101AFI20230302BHJP
E01D 19/02 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E04F11/032
E01D19/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139448
(22)【出願日】2021-08-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・展示会名:建設技術公開「EE東北’21」 ・展示日: 令和3年6月21日
(71)【出願人】
【識別番号】503410557
【氏名又は名称】コスモシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095359
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 篤
(72)【発明者】
【氏名】秋田谷 米男
【テーマコード(参考)】
2D059
2E301
【Fターム(参考)】
2D059AA03
2D059BB37
2D059EE00
2E301CC24
2E301CC34
2E301CC53
2E301CD12
2E301CD43
2E301CD47
2E301DD15
2E301DD17
(57)【要約】
【課題】外に落下する事故を防ぐとともに、踏板の強度が高い螺旋階段を提供する。
【解決手段】基礎1と、支柱2と、複数の踏板3と、複数の縦材4とを有する。支柱2は基礎1の上に立設される。各踏板3は、それぞれ長形の平板状をなし、長手方向の一端に厚さ方向に貫通する挿入孔を有し、挿入孔に支柱2を挿入されている。各踏板3は、基礎1の上で最下段から最上段にかけて一部が重なりながら支持されて同一の回転方向にずらして螺旋状に配置される。各縦材4は、基礎1の上に立設され、上下に間隔をあけて配置された複数の踏板3の長手方向の他端を側部で接続して支持している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎と、支柱と、複数の踏板と、複数の縦材とを有し、
前記支柱は前記基礎の上に立設され、
各踏板は、それぞれ長形の平板状をなし、長手方向の一端に厚さ方向に貫通する挿入孔を有し、前記挿入孔に前記支柱を挿入され、前記基礎の上で最下段から最上段にかけて一部が重なりながら支持されて同一の回転方向にずらして螺旋状に配置され、
各縦材は、前記基礎の上に立設され、上下に間隔をあけて配置された複数の前記踏板の長手方向の他端を側部で接続して支持していることを、
特徴とする螺旋階段。
【請求項2】
各縦材の上端および下端に各縦材を結合するリングを有し、
所定の前記縦材および所定の前記踏板は建物の壁に固定され、
最下段の前記踏板を臨む側の側部に出入り可能な開口部を有することを、
特徴とする請求項1記載の螺旋階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、螺旋階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の螺旋階段として、階段中心側端部に心柱挿入用孔が形成された踏み板を、立設された心柱を中心に螺旋状に配列した螺旋階段が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の螺旋階段は、踏み板に立設された手摺柱に手摺が架設されているものの、使用の際に手摺を超えて外に落下する危険性があるという課題があった。また、踏み板は、内側端部で心柱により支持され、外側端部では支持されていないため、外側に荷重がかかった場合、強度が弱いという課題もあった。
【0005】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、外に落下する事故を防ぐとともに、踏板の強度が高い螺旋階段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る螺旋階段は、基礎と、支柱と、複数の踏板と、複数の縦材とを有し、前記支柱は前記基礎の上に立設され、各踏板は、それぞれ長形の平板状をなし、長手方向の一端に厚さ方向に貫通する挿入孔を有し、前記挿入孔に前記支柱を挿入され、前記基礎の上で最下段から最上段にかけて一部が重なりながら支持されて同一の回転方向にずらして螺旋状に配置され、各縦材は、前記基礎の上に立設され、上下に間隔をあけて配置された複数の前記踏板の長手方向の他端を側部で接続して支持していることを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る螺旋階段は、踏板が縦材により包囲されるので、使用の際に外に落下する事故を防ぐことができる。また、踏板が長手方向の一端にある挿入孔に支柱を挿入されて基礎の上で支持され、長手方向の他端が縦材の側部に接続されて支持されるので、踏板の強度が外側でも高い。
【0008】
本発明に係る螺旋階段は、各縦材の上端および下端に各縦材を結合するリングを有し、所定の前記縦材および所定の前記踏板は建物の壁に固定され、最下段の前記踏板を臨む側の側部に出入り可能な開口部を有することが好ましい。開口部では、縦材が除かれている。開口部には、開閉可能な扉が設けられていてもよい。
【0009】
この場合、各縦材の上端がリングで結合されているので、縦材の強度が高い。さらに、所定の縦材および所定の踏板が建物の壁に固定されているので、螺旋階段全体の強度が高められている。また、開口部から内部に出入りすることができる。
支柱、踏板、縦材は、FRP、アルミニウム等の軽量非鉄金属または高強度のエンジニアリングプラスチックから成ることが好ましい。この場合、本体の強度を高めるとともに軽量化を図ることができる。
支柱は、複数本が縦に接続されて構成されていてもよい。
【0010】
本発明に係る螺旋階段は、複数が縦方向に接続され、上下で接続された前記螺旋階段は下側の前記螺旋階段の最上段の前記踏板と上側の前記螺旋階段の最下段の前記踏板とが一部が重なりながら同一の回転方向にずらして螺旋状に配置されていてもよい。この場合、複数の螺旋階段を縦方向に接続して成るので、所定の長さの螺旋階段を予め複数準備しておき、現場で縦方向に接続することにより、長い螺旋階段を容易に施工することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外に落下する事故を防ぐとともに、踏板の強度が高い螺旋階段を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態の螺旋階段を示す正面図である。
【
図2】
図1に示す螺旋階段のA-A線矢視図である。
【
図4】
図1に示す螺旋階段の踏板の(A)平面図、(B)右側面図、(C)平面図である。
【
図5】
図1に示すの螺旋階段の上下段の踏板と縦材との関係を示す説明図である。
【
図6】
図1に示すの螺旋階段の扉を示す(A)正面図、(B)左側面図、(C)平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1~
図6は本発明の実施の形態の螺旋階段を示している。
図1および
図2に示すように、螺旋階段は、基礎1と、支柱2と、複数の踏板3と、複数の縦材4と、リング5と、扉6とを有している。支柱2、踏板3、縦材4、リング5および扉6は、FRPから成っている。
【0014】
基礎1は、砕石11などの上に厚い円板状のコンクリート12を設けて成っている。コンクリート12の平面中央の上には、支柱2を支持するための孔13が形成されている。
支柱2は、円筒状の直棒から成り、下端が孔13で支持され、基礎1に立設されて、そのコンクリート12に固定されている。
【0015】
図3~
図5に示すように、各踏板3は、上面形状が長形であって、特に中心角が約20度~45度、好ましくは約30度の扇形をなしている。各踏板3は、反転させた箱状であり、上面31の周囲に同じ高さの側面32を有している。各踏板3は、上面31の扇形の窄まる側の一端に厚さ方向に貫通する断面が円形の挿入孔33を有している。挿入孔33には、側面32の高さの筒部34が上面31に垂直をなして一体的に接続されている。各踏板3は、内部にリブを有し、強度が高められている。
各踏板3は、挿入孔33に支柱2を挿入されている。
図3および
図5に示すように、各踏板3は、基礎1の上で最下段から最上段にかけて一部が重なりながら支持されて、同一の回転方向に所定の角度、好ましくは30度ずつずらして螺旋状に配置されている。各踏板3は、30度ずつずらした場合、12段で1周する構造となる。
【0016】
各縦材4は、角パイプから成り、基礎1の上に立設されている。
図4に示すように、各縦材4は、上下に間隔をあけて配置された複数の踏板3の長手方向の他端を側部で接続して支持している。最下段から3段までの踏板3は縦材4の外側からボルトにより固定され、それより高い踏板3は縦材4にナットを埋め込み、踏板3の内側からボルトにより固定される。複数の縦材4は、例えば1周24本で踏板3を包囲する。
【0017】
図3に示すように、壁側に面した所定の縦材4および所定の踏板3は、ブラケット41により建物の壁に固定されている。
リング5は、各縦材4の上端および下端に取り付けられ、各縦材4を結合している。上端のリング5は、断面コの字型であって螺旋階段の内側からボルトにより縦材4に固定される。下端のリング5は、断面L字型のアングル材から成り、螺旋階段の外側からボルトにより縦材4に固定される。
最下段の踏板3を臨む側の側部には、縦材4が所定の高さで除かれ、出入り可能な開口部42が設けられている。開口部42の位置の複数の縦材4の下端には、横材43が固定されている。開口部42には、蝶番61により開閉可能な扉6(
図6参照)が設けられている。扉6は、長方形の板状であって、縦方向の縁部に鍵部62を有している。
【0018】
この螺旋階段は、踏板3が縦材4により包囲されるので、使用の際に外に落下する事故を防ぐことができる。また、踏板3が長手方向の一端にある挿入孔33に支柱2を挿入されて基礎1の上で支持され、長手方向の他端が縦材4の側部に接続されて支持されるので、踏板3の強度が外側でも高い。
この螺旋階段は、各縦材4の上端および下端がリング5で結合されているので、縦材4の強度が高い。さらに、所定の縦材4および所定の踏板3が建物の壁に固定されているので、螺旋階段全体の強度が高められている。また、開口部42の扉6から内部に出入りすることができる。
本発明の実施の形態の螺旋階段は、例えば橋脚などに取り付けられる。
【符号の説明】
【0019】
1 基礎、2 支柱、3 踏板、4 縦材、5 リング、6 扉、11 砕石、
12 コンクリート、13 孔、31 上面、32 側面、33 挿入孔、
34 筒部、41 ブラケット、42 開口部、43 横材、61 蝶番、62 鍵部