(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033034
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】耐水害浮上式総合防災節水建築構造物
(51)【国際特許分類】
E04H 9/14 20060101AFI20230302BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20230302BHJP
A62C 35/58 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04H9/02 331
A62C35/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021158445
(22)【出願日】2021-08-27
(71)【出願人】
【識別番号】500094565
【氏名又は名称】笹川 裕之
(72)【発明者】
【氏名】笹川 裕之
【テーマコード(参考)】
2E139
2E189
【Fターム(参考)】
2E139AA01
2E139AA07
2E139AB23
2E139AC19
2E139CA00
2E139CC02
2E139CC11
2E189CA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】雨水貯留排水機能を具備する耐水害浮上式総合防災節水建築構造物により、AI技術とスーパーコンピュータ降雨予測に呼応した緊急安全確保地域防災に寄与する。
【解決手段】耐水害浮上式総合防災節水建築構造物は下層部貯水槽(排水可能貯水浮力槽1)を排水式浮力槽として、建築構造物を浮上させて洪水の浸水被害を回避する。下層部貯水槽1に雨水貯留することで、低重心構造として耐震性を高め、浮上可動部(排水可能貯水浮力槽1底部)に対地震免震機能を備える基本構造であると共に、地震火災時に最も不足する防火用水を各貯水槽の貯留水で確保する構造を具現する。さらに離脱式救命艇設備構造(壁面貯水槽兼救命艇3)を具備し生命を守る救命設備構造をも実現する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
耐水害建築構造と対地震免震機能構造と防火用水確保構造と雨水利用水道節水構造とを有する持続可能な総合防災節水建築構造物であって、
顕著な災害級降雨による水害発生予想時に、建築物下層部の貯水槽を排水式浮力槽とし、建築構造物を浮上させる耐水害建築構造物として可動させる建築構造と、
その浮上時可動部に対地震免震機能を具備する建築構造と、
降雨氾濫規模以内の雨水を貯留し、対地震低重心建築構造と消防防火用水確保と、持続可能な雨水利用水道節水を実現する建築構造と、
貯留雨水散水による屋上屋根部及び外壁等の気化熱冷却を図る構造と、
貯水槽を離脱式救命艇として機能させて、救助における効率的な複数人搬送を実現する建築構造、
上記各特徴を任意選択設備施工できるとする持続可能な総合防災節水建築構造物。
【請求項2】
地域総合防災に寄与する個別建築構造物であって、行政の豪雨対策計画との計量的治水管理に連動し、個別貯留若しくは地域計画排水放流を実施できる、地域総合防災設備建築構造を有する、
請求項1記載の総合防災節水建築構造物。
【請求項3】
防火水槽、消火栓が洪水氾濫堆積瓦礫障害により機能不可時の初期消火水源確保機能を有する総合防災節水建築構造における貯水設備の位置エネルギーによる水圧の現地確保と、消火用放水スプリンクラー機能と、地震での道路寸断、消防組織到着不可時での自主初期消火を可能とする、
請求項1記載の総合防災節水建築構造物。
【請求項4】
消火用放水スプリンクラーの散水機能を利用して、太陽光発電で最も普及率が高い結晶シリコン系ソーラーパネルへの水道水散水でのカルキ、塩素含有、カルシウム凝固付着の問題を解決する雨水放水による気化熱冷却を実現し、パネルの温度上昇による電圧の大幅低下を防ぎ発電効率を高めると共に室温上昇を軽減、降雪期には当該スプリンクラーから加熱水を散水し建築構造物の積雪被害を防止する機能を具備する、
請求項1記載の総合防災節水建築構造物。
【請求項5】
想定外の洪水氾濫水位上昇時、耐水害建築構造物における垂直避難で回避できない災害発生に即応し、貯水槽を離脱式救命艇として機能させて、貯水槽兼救命艇複数連結による安定性確保及び救助における効率的な複数人搬送を実現する、
請求項1記載の総合防災節水建築構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕著な大雨水害発生予想時に建築構造物下層部貯水槽を排水式浮力槽とし、建築構造物を浮上させることで、耐水害建築構造物として可動させる構造に加え、日常にその排水式浮力槽に雨水貯水することにより建築構造物の低重心化を実現し浮上可動部に対地震免震機能を備える基本構造であり、建築構造物下層部貯水槽の貯留水を防火用水に活用し消火栓使用不可時の震災火災消火を可能にする防火水確保槽として設置する構造で雨水生活利用貯水槽等の活用で持続可能な上水道節水を実現し非常時の生活用水確保をも実現。防火スプリンクラーから気化熱冷却雨水を散水し、建築構造物外壁高温化を防ぎ、太陽光発電パネルの日射熱によるモジュール温度の上昇を起因とする発電効率低下という科学的弱点を解決する。降雪期には当該スプリンクラーから加熱水を散水し建築構造物の積雪被害を防止する機能を具備する。
貯水槽兼救命槽による水害避難救命艇をも具備し、行政との情報共有化による地域総合防災にも寄与し、避難行動をも支援する個別総合防災節水建築構造物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の耐水害建築構造物では、構造物への浸水を防ぐ防水技術のみであり、地震災害に対する耐震・制震・免震機能を具備するものではない。高水密性にて水害時に構造物防水技術で建築物を浮上させる等の実証実験も公知ではあるが水害に特化している構造のため平常時での利便性と実用性に欠き普及には至っていない。
免震技術に関しても、地震振動を軽減し建築構造物の共振を緩和する若しくは強度補強耐震・免震・制震のみであり、水害への防災寄与は全く無いのが現状である。
現在の技術における、耐水害建築構造物や対地震構造建築構造物は、個別構造物対策に過ぎず、気象庁や国土交通省、地方自治体行政との情報共有による防災システムとしての雨水貯排水管理、防火用水設備具備等の地域総合防災への寄与は皆無であった。洪水氾濫緊急安全確保の切迫時に、建築構造物に救命艇が一体構造として具備される提案は無く、持続可能な節水や防火消防にまで防災寄与する建築構造物は無いのが現状である。
【0003】
特許文献1では、床下貯水槽と地下貯水槽を具備するシステムが提案されいるが、豪雨災害が予想される時点での事前排水の貯水能力を有するものではあっても雨水利用による節水が主目的である設備であるため、水害防止への寄与率は限定的である。
特許文献2では、洪水や津波等の際に、住宅基礎部と土台の間から居住空間に水が浸入するのを防止する耐水害構造が提案されているが、床上浸水等の住居空間への浸水を防止する技術であり、耐水害建築構造物における最大被害防止課題である倒壊、構造物漂流を阻止できるものではない。
特許文献3では、耐洪水塀を備えた耐水害建物およびリノベーション工法が提案されているが、洪水、高潮等の被害から長期の避難生活を可能とする水密性を有する耐洪水塀を備えた耐水害建物提案であり、耐水害建築物の最大被害防止課題である倒壊、流出漂流を阻止する構造ではなく、建築コストを雨水活用で持続的に長期償却できるものではない。
特許文献4では、台船型建築物を容器構造プール型基礎内に収納し、浸水時浮体を鉛直上方浮上させる考案が提示されているが、浮体の平時活用がなくプール型基礎内を越える浮上時には潮流や氾濫水に漂流翻弄される構造であり、漂流時の他構造物への衝突等二次被害や漂流先着定場所での圧縮損壊及び解体撤去費用等の発生が全く考慮されていない。
非特許文献1では、世界初の耐水害住宅として、建物が水位上昇により浮上する前に、床下に水を引き込み浮力に対抗する床下注水ダクト方式と建物水密性を高め、敷地四隅に設置したポールに専用ダンパーにて係留し建物を浮上時流失防止した浮上方式を提案している。しかし、国立研究開発法人防災科学技術研究所との共同実証実験で、世界最大級の規模、能力である散水施設を使用した実大実験を繰り返し、浮上と着地を確認したとして気候変動アクション環境大臣表彰の初代受賞するも、水害発生現場における瓦礫や流木、車両などの造作漂流物等が床下進入して水平着地できない状況が想定されておらず、水位のみの変化に対応した実験設備内検証提案の域にある。
非特許文献2では、国立研究開発法人建築研究所、住宅・都市研究グループによって、建築における水害対策の必要性により、費用対効果の試算を含む耐水化計画案を提案しているが、浸水の被害を最小限にする耐水化に留まり、都市レベルでの浸水対策への展開は検討予定とされている。
非特許文献3では、平成22年4月に発表された平成21年度の特許出願技術動向調査報告書において多用途免振、制振、除振システムの動向が記述されてはいるが、水害との関連性は無い。免振・除振技術では、積層ゴム、ばね、制振技術では塑性、流体、粘弾性、ばね等の技術分野に属する出願が多いが、建造物被害の耐水害を具備する提案ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-003215号公報
【特許文献2】特開2021-001467号公報
【特許文献3】特許第6501961号公報
【特許文献4】特開2007-192007号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】一条工務店 一条工務店の耐水害住宅2020年実大浸水実験公開
【非特許文献2】国立研究開発法人建築研究所、住宅・都市研究グループ「水害に強い住宅づくりへの取り組みを開始しました」資料7
【非特許文献3】特許庁総務部企画調査技術動向班「特許出願技術動向調査報告書」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、上記特許文献1~4、非特許文献1~3で、いずれも解決できない建築構造物における高度耐水害性能と、耐震性及び貯水槽貯留水を防火消火用水とし活用しつつ水害緊急避難構造を併せ具備し、行政との連携による地域防災に寄与することを目的とした持続可能な雨水利用構造の実現である。
「雨水の利用の推進に関する法律」が、水資源循環の適正化を課題として、雨水の利用を推進し、水資源の有効な利用を図り、あわせて下水道、河川等への雨水の集中的な流出の抑制に寄与することを目的としていることに合致し、国連サミットで採択された国際目標SDGsが示した目標6、目標11、目標13とも共通する課題の解決を図る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は建築構造物下層部の貯水槽を排水式浮力槽として、アルキメデスの原理でいう液体中にある物体は、その物体が排除した液体の重量と等しい力で持ち上げる浮力が生じるを援用し、水害被害を回避したい建築構造物範囲を演算し、それを浮上させる排水式浮力槽を設備することにより、耐水害建築構造物として浮上可動させる構造に加え、その延伸性を有する可動支柱部に免震機能を備えると共に、水害懸念時外では排水式浮力槽への雨水貯留での建築構造物の低重心化による耐震性向上を図り、貯留水を防火消火用水として活用す。更に貯留水を生活利用水とし中水活用、持続可能な上水の節水を実現する総合防災節水建築構造物基本構造を特徴とする。
【0008】
また、想定外の豪雨災害や津波による耐水害建築構造物の浮力可動を超える水位に備え、建築構造物上部屋上又は屋根裏、壁面等に貯水可能な貯水槽兼救命艇を脱出用救命艇とし設備し、平常時では貯水した雨水の活用機能を有し、緊急時には垂直避難者の建築構造物離脱を支援できる救命機能をも具備する、命を守る総合防災節水建築構造物とすることを付加可能とする。
【0009】
本発明は上記知見に基づくものであり、その特徴は以下の通りである。
[項目1]
耐水害建築構造と対地震免震機能構造と防火用水確保構造と雨水利用水道節水構造とを有する持続可能な総合防災節水建築構造物であって、
顕著な災害級降雨による水害発生予想時に、建築物下層部の貯水槽を排水式浮力槽とし、建築構造物を浮上させる耐水害建築構造物として可動させる建築構造と、
その浮上時可動部に対地震免震機能を具備する建築構造と、
降雨氾濫規模以内の雨水を貯留し、対地震低重心建築構造と消防防火用水確保と、持続可能な雨水利用水道節水を実現する建築構造と、
貯留雨水散水による屋上屋根部及び外壁等の気化熱冷却を図る構造と、
貯水槽を離脱式救命艇として機能させて、救助における効率的な複数人搬送を実現する建築構造、
上記各特徴を任意選択設備施工できるとする持続可能な総合防災節水建築構造物。
[項目2]
地域総合防災に寄与する個別建築構造物であって、行政の豪雨対策計画との計量的治水管理に連動し、個別貯留若しくは地域計画排水放流を実施できる、地域総合防災設備建築構造を有する、
項目1記載の総合防災節水建築構造物。
[項目3]
防火水槽、消火栓が洪水氾濫堆積瓦礫障害により機能不可時の初期消火水源確保機能を有する総合防災節水建築構造における貯水設備の位置エネルギーによる水圧の現地確保と、消火用放水スプリンクラー機能と、地震での道路寸断、消防組織到着不可時での自主初期消火を可能とする、
項目1記載の総合防災節水建築構造物。
[項目4]
消火用放水スプリンクラーの散水機能を利用して、太陽光発電で最も普及率が高い結晶シリコン系ソーラーパネルへの水道水散水でのカルキ、塩素含有、カルシウム凝固付着の問題を解決する雨水放水による気化熱冷却を実現し、パネルの温度上昇による電圧の大幅低下を防ぎ発電効率を高めると共に室温上昇を軽減、降雪期には当該スプリンクラーから加熱水を散水し建築構造物の積雪被害を防止する機能を具備する、
項目1記載の総合防災節水建築構造物。
[項目5]
想定外の洪水氾濫水位上昇時、耐水害建築構造物における垂直避難で回避できない災害発生に即応し、貯水槽を離脱式救命艇として機能させて、貯水槽兼救命艇複数連結による安定性確保及び救助における効率的な複数人搬送を実現する、
項目1記載の総合防災節水建築構造物。
【発明の効果】
【0010】
本発明は予想降雨量に応じて建築構造物下層部貯水槽の雨水を事前に排水し、浮力槽として浮力を確保し建築構造物を浮上させることにより浸水被害を防止することができる。その浮上を定位置上昇させる支持体としての延伸柱に、免震機能を具備させることにより耐水害建築構造物と予測困難な地震に対する免震機能を備え、豪雨予想時外の構造物下層部貯水での低重心化による耐震性向上が図れる。貯留水を防火消火用水とし総合防災節水建築構造物としての基本構造をも実現し、防火消火用水を太陽光発電パネル冷却用水とし発電効率向上を図ることも具現化する。
更に建築構造物下層部貯水槽、屋上又は屋根裏、壁面等に設置した貯水槽兼救命槽等の貯排水機能を日常では雨水再利用として使用し上水節約、豪雨予想や津波警報発令時には、気象庁や国土交通省、地方自治体との連動水量管理に基づく、雨水貯留、事前計画排水等による治水参与、貯水槽兼救命槽活用による自主避難困難者の垂直避難支援、救助効率化等の総合防災に寄与する総合防災節水建築構造物として活用できる。行政豪雨対策では、巨額の予算を投じて貯留・浸透施設等の整備を進めているが、対策目標値を超える豪雨が多発している現在、土地買収を伴わない総合防災節水建築構造物の貯留能力向上施策は、洪水被害軽減化と防火用水の貯留確保を実現する。
海外との防災技術共有を見据えた戦略を実現することも、産業の醸成課題としても重要であり、防災施設計画・データの共有によって水害被害の軽減、人命保護・救助に多大な寄与を実現するモニタリングシステム構築など産業経済的に実施できることが特徴である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る耐水害建築構造物浮上構造の概要を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る貯水槽兼救命槽の浮上離脱による水害避難時救命艇イメージ
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る総合防災節水建築構造物の概要を図を参照して説明する。
本実施形態に係る耐水害建築構造物浮上構造は、建築構造物への水浸入を防ぎ耐水害を具現化するに留まらず、持続可能な雨水再利用設備としての建築構造物下層部貯水槽及び壁面貯水槽を、水害発生の危険度予測に応じ、行政との連携により雨水貯留もしくは事前排水することで建築構造物浮上動力としてのフロート機能を具現化構造にするものである。
【0013】
本発明の実施形態に係る総合防災節水建築構造物浮上構造を
図1に示す。
本実施形態に係る耐水害建築構造物浮上構造は、排水可能貯水浮力槽1を、建築構造物下層部に貯水槽として設置し、豪雨予想や津波警報に呼応して雨水貯留もしくは事前排水することにより、建築構造物浮上動力としてのフロート機能が確保される。
【0014】
雨水集水貯水誘導管2にて屋根もしくは屋上より集水した雨水は、壁面貯水槽兼救命艇3と壁面雨水生活利用貯水槽5と壁面雨水貯水増量補助槽6を、貯水槽水位自在連管4を通して排水可能貯水浮力槽1に貯留する構造の概要を示す模式図で解説している。
【0015】
雨水集水貯水誘導管2で誘導する雨水は、壁面貯水槽兼救命艇3、壁面雨水生活利用貯水槽5、壁面雨水貯水増量補助槽6のいずれか又は全てを省略し排水可能貯水浮力槽1に貯留されてもよく、耐水害建築構造物浮上構造に問題なく機能する。
【0016】
総合防災節水建築構造物浮上構造では排水可能貯水浮力槽1による建築構造物浮上動力機能が主要ではあるが、水害発生時における飲料水、生活用水の自家調達を、壁面貯水槽兼救命艇3、壁面雨水生活利用貯水槽5、壁面雨水貯水増量補助槽6を、貯水槽水位自在連管4にて連結する際に、貯水槽内での自在連管の長尺を任意設定し適宜に変更可能とし水量確保し、取水端末前での浄水器、濾過装置の任意設置により必要水質レベルの確保を実現する。
【0017】
水害発生予想時外の日常、壁面貯水槽兼救命艇3、壁面雨水生活利用貯水槽5の雨水を取水端末前での浄水器、濾過装置の任意設置での水質管理により、トイレ排水、浴槽補水、炊事洗浄用水、車両等の道具洗浄用水、植物散水等に活用でき、持続可能な上水道節水を実現し、二酸化炭素排出削減にも寄与する。
【0018】
総合防災節水建築構造物では、日常の渇水時であっても、雨水利用水量を確保すべく、揚水兼排水用ポンプ13を作動させ、排水可能貯水浮力槽1より壁面貯水槽兼救命艇3に揚水し、壁面貯水槽兼救命艇3、壁面雨水生活利用貯水槽5に給水し持続可能な上水道水節水を実現する。
【0019】
揚水兼排水用ポンプ13を任意作動させ排水可能貯水浮力槽1より防火スプリンクラー15、外壁気化熱冷却導管16に揚水し、屋上屋根部、外壁等の気化熱冷却散水及び太陽光発電パネルモジュール温度上昇による発電効率低下という科学的弱点を、雨水スプリンクラー気化熱冷却にて発電効率の大幅向上を実現する。建築構造物内温度調節にも寄与し積雪被害を温水散布にて防止する。当然、防火スプリンクラー15、外壁気化熱冷却導管16では、任意の作動と散水圧力の任意調整が前提で、設置そのものも任意選択できる。
【0020】
浮力槽底収納自立脚11は、設置数、自立高低、設置有無等が当然任意で自立脚設置に替わり排水可能貯水浮力槽1底部に積層免震材を任意設置して良い。雨水貯水増量補助槽6は壁面雨水生活利用貯水槽5に適宜変更可能である。排水可能貯水浮力槽1、壁面貯水槽兼救命艇3、壁面雨水生活利用貯水槽5、雨水貯水増量補助槽6等の形状、容量、数量などは耐水害建築構造物の規模により適宜に変更可能である。模式図では、躯体外壁柱と延伸支柱8が別に図示されているが当然同一であって良い。
【0021】
以上の本実施形態に係る総合防災節水建築構造物では、排水可能貯水浮力槽1、壁面貯水槽兼救命艇3、壁面雨水生活利用貯水槽5、雨水貯水増量補助槽6等の適用素材を特定するものでなく、排水可能貯水浮力槽1等の成形素材が軽量コンクリート成形の防水構造等であっても良い。
【0022】
総合防災節水建築構造物の概要を示す模式図では、排水可能貯水浮力槽1が建築構造物上層部全域を、一体構造にて支持する形態が例示されているが、浮力上昇延伸支柱部8が建築構造物固有必要数により構成され、建築構造物上層部を均衡に浮上させる必然位置に必要数設定されるため、排水可能貯水浮力槽1が適宜最適形成、任意箇所にて分割、連結されることを当然に前提とする。
【0023】
揚水兼排水用ポンプ13の揚水動力が消火消防揚水力に未達の場合、消防給水口は排水可能貯水浮力槽1への直接の投入が当然に可能で、ポンプ出力能力に応じ給水設備設置を自在選択できる。
【0024】
図1で示す模式図では、貯水槽兼救命槽3が壁面貯水槽等の7段目に例示されているが、個別建築構造物の条件により当然可変される。また浮力浮上構造物離脱避難図によらず、人力等による着脱で使用する場合をも想定し、搬送サイズにて当然分割設備設置できる。単身離脱用救命槽集合体に適宜変更することも当然に可能である。
【0025】
貯水槽兼救命艇3の浮力浮上による構造物離脱避難図に示される貯水槽水位自在連管4雨水生活利用取水栓7の取外し後に詰める止水用パッキン等は、連管、取水口に逆流防止弁を具備する構造にて補完することも当然に可能であり推奨される。
【符号の説明】
【0026】
1. 排水可能貯水浮力槽 雨水貯留槽で排水により建築構造物浮上動力フロート機能
2. 雨水集水貯水誘導管 建築物屋上、屋根上への降雨集水し貯水槽に誘導する導管
3. 壁面貯水槽兼救命艇 救命艇機能を有し、生活利用貯水槽機能を持つ離脱救命艇
4. 貯水槽水位自在連管 下方貯水槽への連結管であり長尺設定で貯留水量任意設定
5. 雨水生活利用貯水槽 貯留水の生活利用機能とし水位での水圧にて取水利用実現
6. 雨水貯水増量補助槽 貯留水量最大化への補助槽で生活利用貯水槽への変更可能
7. 雨水生活利用取水栓 雨水生活利用貯水槽に配管し任意浄水濾過装置接続取水栓
8. 浮力上昇延伸支柱部 建築構造物浮上時、粘弾性球等耐震素材内蔵構造延伸支柱
9. 延伸柱免振材断面図 建築構造物躯体支持柱の内部構造に免振、制振素材を具備
10.粘弾性球、積層ゴム 排水可能貯水浮力槽底部自立脚上下に積層免振素材等具備
11.浮力槽底収納自立脚 排水可能貯水浮力槽底部に収納された耐震機能具備自立脚
12.自重自立用ウエイト 建築構造物浮上鎮静着地前の流入物除去スペース用自立脚
13.揚水兼排水用ポンプ 排水可能貯水浮力槽1内貯留水を、貯水槽に揚水及び排水
14.雨水濾過フィルター 降雨水貯水前に誘導管等からの流入物を除去する濾過設備
15.防火スプリンクラー 防火消防散水及び太陽光発電パネル、屋根等の気化熱冷却
16.外壁気化熱冷却導管 防火スプリンクラーからの気化熱冷却用水を外壁面に散水
17.消防用水源提供水栓 排水可能貯水浮力槽1内の貯留水を防火用水提供する水栓
18.救命艇吊上げフック 壁面貯水槽兼救命艇3を吊上げ複数艇連結を実現する設備