(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033040
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】セル及び太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0224 20060101AFI20230302BHJP
H01L 31/05 20140101ALI20230302BHJP
【FI】
H01L31/04 262
H01L31/04 570
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021159501
(22)【出願日】2021-09-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-06
(31)【優先権主張番号】202110996489.2
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521376620
【氏名又は名称】上海晶科緑能企業管理有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】チー ペイドン
(72)【発明者】
【氏名】リー ティンティン
(72)【発明者】
【氏名】タオ ウーソン
(72)【発明者】
【氏名】リー フイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン チェンジャオ
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151EA05
5F151EA19
5F151FA14
5F151FA16
5F151JA07
5F251EA05
5F251EA19
5F251FA14
5F251FA16
5F251JA07
(57)【要約】
【課題】本発明は、セル及び太陽電池モジュールを開示する。
【解決手段】前記セルは集約グリッド線を含み、前記集約グリッド線は前記セルの第1表面を第1領域と第2領域に仕切り、前記第1領域は第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第1細グリッド線、及び第2方向に沿って間隔をあけて分布する複数のバスバーを含み、前記バスバーは前記第1細グリッド線に電気的に接続され、前記第2領域は第3方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第2細グリッド線から構成され、前記集約グリッド線は前記第1領域と前記第2領域との間に位置し、複数の前記バスバー及び複数の前記第2細グリッド線に電気的に接続される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルであって、集約グリッド線を含み、
前記集約グリッド線は、前記セルの第1表面を第1領域と第2領域に仕切り、前記第1領域は、前記集約グリッド線の第1側に位置し、前記第2領域は、前記集約グリッド線の第2側に位置し、
前記第1領域は、第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第1細グリッド線と、第2方向に沿って間隔をあけて分布する複数のバスバーとを含み、前記バスバーは、前記第1細グリッド線に電気的に接続され、
前記第2領域は、第3方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第2細グリッド線を含み、
前記集約グリッド線は、複数の前記バスバー及び複数の前記第2細グリッド線に電気的に接続されている、ことを特徴とするセル。
【請求項2】
前記第1方向は、前記集約グリッド線の延在方向に垂直であり、前記第2方向及び前記第3方向は、前記集約グリッド線の延在方向に平行である、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記セルのサイズは、第1式を満たし、
前記第1式は、W1<W2を含み、
前記W1は、前記第2細グリッド線の長さを表し、前記W2は、前記バスバーの長さを表す、ことを特徴とする請求項2に記載のセル。
【請求項4】
前記セルのサイズは、第2式を満たし、
前記第2式は、W1=W3<W4を含み、
前記W3は、前記セルの境界に最も近い前記第1細グリッド線の長さを表し、前記W4は、2つの隣接する前記バスバーの間の距離を表す、ことを特徴とする請求項3に記載のセル。
【請求項5】
前記集約グリッド線は、前記セルの第2表面を前記第1領域と前記第2領域に仕切り、前記セルの第2表面の前記第1領域は、前記集約グリッド線の第2側に位置し、前記セルの第2表面の前記第2領域は、前記集約グリッド線の第1側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項6】
前記第1領域内において、隣接する2つの前記バスバーの間には、それぞれ前記第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の分流線が設けられ、前記分流線は、2つの隣接する第1細グリッド線に電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項7】
隣接する2つの前記第1細グリッド線の間のピッチと隣接する2つの前記バスバーの間のピッチとの積は、15mm2より大きくかつ25mm2より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項8】
隣接する2つの前記第2細グリッド線の間のピッチと前記第2細グリッド線の長さとの積は、15mm2より大きくかつ25mm2より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項9】
太陽電池モジュールであって、
所定の配列方向に沿って分布する複数のセルを含み、
前記セルは、請求項1~8のいずれか1項に記載のセルを採用し、隣接する前記セル同士は、溶接ストリップによって電気的に接続され、隣接する前記セルのうちの一方の前記セルの第1表面の前記バスバーは、前記溶接ストリップの一端に固定接続され、隣接する前記セルのうちの他方の前記セルの第2表面の前記バスバーは、前記溶接ストリップの他端に固定接続されている、ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記セルの両側に位置する前記溶接ストリップの長さは、いずれも前記セルの前記第1方向における長さの2/3以下である、ことを特徴とする請求項9に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に関し、特に、セル及び太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力業界の発展は今まで、妥当なオングリッド電力価格への目標がますます近くなるが、近年では、原材料の値段の揺らぎによって業界の発展が阻害される。原材料の使用量を減少してコストの低減を図ることは、効果的な手段の一つである。現在、MBB技術の広範な応用によっては、溶接ストリップ、銀ペースト等の使用量が既に低下してきた。それと同時に、ハーフセル及びマルチカットセル技術の応用により、モジュールの実際動作環境におけるホットスポットの影響を低減することができる。
【0003】
現在、MBB技術及びハーフセル、三分の一カットセル等の技術は、既に広く応用されている。MBB技術は、従来の4本のバスバーや5本のバスバーから9本や10本、それ以上のバスバーに増やす。セルのサイズが増加しつつバスバー数が増加することにより、より効果的に電流を収集し、モジュールの電力を向上させることができる。それと同時に、セルのサイズの増加は電流の増加を意味し、モジュールを製造した後、高すぎる電流はより多くの電流損失を意味し、ハーフセル、三分の一カットセル等の技術の適用によって、セルがモジュール内に直並列接続された後の電流を低減することができ、電流損失を低減するとともに、ホットスポット効果を低減し、モジュールの信頼性を向上させることもできる。
【0004】
図1及び
図2に示すように、
図1は従来技術におけるマルチバスバー電極の構造概略図であり、
図2は従来技術におけるマルチバスバーセルの三分の一カットセルの溶接ストリップの接続概略図であり、現段階の従来のMBB電池スクリーン設計は、基本的に細グリッド線2’を縦方向に配列し、バスバー1’を横方向に配列し、細グリッド線2’の作用は、セルが光照射条件下で生成した電流を収集することであり、バスバー1’は、主に細グリッド線2’の電流を収集し、かつ溶接ストリップ3’に接続され、電流を伝送するためのものである。
【0005】
従来の電池スクリーン設計及び電池のモジュールにおけるスクリーン組版設計は、既に広く応用され、従来のグリッド線電極の設計では、銀ペーストの使用量が減少しにくく、銀粉の価格が変動し続け、コストの制御が困難であり、また、従来の溶接ストリップ3’の使用量が基本的に定められ、銅価格が上昇すると同時に溶接ストリップ3’のコストも高くなる。この2つの点におけるコスト制御は、ある程度ボトルネックとなっており、かつ従来の設計では、解決することが困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における技術問題を解決するために、セル及び太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、セルを提供し、前記セルは、集約グリッド線を含み、前記集約グリッド線は、前記セルの第1表面を第1領域と第2領域に仕切り、前記第1領域は、前記集約グリッド線の第1側に位置し、前記第2領域は、前記集約グリッド線の第2側に位置し、
前記第1領域は、第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第1細グリッド線と、第2方向に沿って間隔をあけて分布するバスバーとを含み、前記バスバーは、前記第1細グリッド線に電気的に接続され、
前記第2領域は、第3方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第2細グリッド線を含み、
前記集約グリッド線は、複数の前記バスバー及び複数の前記第2細グリッド線に電気的に接続されている。
【0008】
上記のようなセルであって、好ましくは、前記第1方向は、前記集約グリッド線の延在方向に垂直であり、前記第2方向及び前記第3方向は、前記集約グリッド線の延在方向に平行である。
【0009】
上記のようなセルであって、好ましくは、前記セルのサイズは、第1式を満たし、
前記第1式は、W1<W2を含み、
前記W1は、前記第2細グリッド線の長さを表し、前記W2は、前記バスバーの長さを表す。
【0010】
上記のようなセルであって、好ましくは、前記セルのサイズは、第2式を満たし、
前記第2式は、W1=W3<W4を含み、
前記W3は、前記セルの境界に最も近い前記第1細グリッド線の長さを表し、前記W4は、2つの隣接する前記バスバーの間の距離を表す。
【0011】
上記のようなセルであって、好ましくは、前記集約グリッド線は、前記セルの第2表面を前記第1領域と前記第2領域に仕切り、前記セルの第2表面の前記第1領域は、前記集約グリッド線の第2側に位置し、前記セルの第2表面の前記第2領域は、前記集約グリッド線の第1側に位置する。
【0012】
上記のようなセルであって、好ましくは、前記第1領域内において、隣接する2つの前記バスバーの間には、それぞれ前記第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の分流線が設けられ、前記分流線は、2つの隣接する第1細グリッド線に電気的に接続されている。
【0013】
上記のようなセルであって、好ましくは、隣接する2つの前記第1細グリッド線の間のピッチと隣接する2つの前記バスバーの間のピッチとの積は、15mm2より大きくかつ25mm2より小さい。
【0014】
上記のようなセルであって、好ましくは、隣接する2つの前記第2細グリッド線の間のピッチと前記第2細グリッド線の長さとの積は、15mm2より大きくかつ25mm2より小さい。
【0015】
本発明は、さらに太陽電池モジュールを提供し、この太陽電池モジュールは、所定の配列方向に沿って分布する複数のセルを含み、前記セルは、前述したセルを採用し、隣接する前記セル同士は、溶接ストリップによって電気的に接続され、隣接する前記セルのうちの一方の前記セルの第1表面の前記バスバーは、前記溶接ストリップの一端に固定接続され、隣接する前記セルのうちの他方の前記セルの第2表面の前記バスバーは、前記溶接ストリップの他端に固定接続されている。
【0016】
上記のような太陽電池モジュールであって、好ましくは、前記セルの両側に位置する前記溶接ストリップの長さは、いずれも前記セルの前記第1方向における長さの2/3以下である。
【発明の効果】
【0017】
従来技術に比べて、本発明は、電池スクリーンの設計を変更することによって、セルを第1領域と第2領域に仕切り、一部のバスバーをなくして、銀ペーストの原単位を低減させ、マルチカットセル電池分割を採用し、さらにマルチカットセルを直列に組版し、セル同士の直列接続に用いられる溶接ストリップをセルの一部の領域を溶接して(通常、全面溶接である)、溶接ストリップを節約するという目的を達成させ、バスバーの銀ペーストの使用量及び溶接ストリップの使用量を約30%低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来技術におけるマルチバスバー電極の構造概略図である。
【
図2】
図2は従来技術におけるマルチバスバーセルの三分の一カットセルの溶接ストリップの接続概略図である。
【
図3】本発明のグリッド線電極の設計概略図である。
【
図4】本発明のセルの一方側のグリッド線電極と溶接ストリップの溶接概略図である
【
図5】本発明のセルの他方側のグリッド線電極と溶接ストリップの溶接概略図である。
【
図6】本発明のセルのグリッド線電極の寸法設計図である。
【
図7】本発明の単一のセルの溶接状態での側面図である。
【
図8】本発明の電池ストリングの設計概略図である。
【
図9】本発明の電池ストリングの溶接状態での平面図である。
【
図10】本発明の電池ストリングの溶接状態での側面図である。
【
図11】本発明の太陽電池モジュールの組版設計図である。
【
図12】本発明の太陽電池モジュールの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して説明する実施形態は例示的なものであり、本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を限定するものではないと解釈されるべきである。
【0020】
図3に示すように、本発明の実施形態は、セル1を提供し、前記セル1は、グリッド線電極2を含み、前記グリッド線電極2は、集約グリッド線5を含み、前記集約グリッド線5は、前記セル1の第1表面を第1領域3と第2領域4に仕切り、前記第1領域3は、前記集約グリッド線5の第1側に位置し、前記第2領域4は、前記集約グリッド線5の第2側に位置する。本実施形態において、セル1の第1表面は、セル1の正面に位置し、セル1の第2表面は、セル1の裏面に位置し、
図3に示すように、前記集約グリッド線の第1側は、図に示す集約グリッド線5の上方に位置し、前記集約グリッド線5の第2側は、図に示す集約グリッド線5の下方に位置し、当業者であれば分かるように、前記集約グリッド線5の第1側と第2側の位置は、反転又は他の設定を行うこともでき、例えば、前記集約グリッド線5の第1側は、図に示す集約グリッド線5の下方に位置し、前記集約グリッド線5の第2側は、図に示す集約グリッド線5の上方に位置するように設定されてもよく、ここで限定されない。
【0021】
前記第1領域3は、第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第1細グリッド線6と、第2方向に沿って間隔をあけて分布する複数のバスバー7とを含み、前記バスバー7は、前記第1細グリッド線6に電気的に接続され、第1細グリッド線6は、第1領域3の光起電流を収集するために用いられ、バスバー7は、複数の第1細グリッド線6の電流を収集するために用いられる。
【0022】
前記第2領域4は、第3方向に沿って間隔をあけて分布する複数の第2細グリッド線8を含み、第2細グリッド線8は、第2領域4の光起電流を収集するために用いられ、第2領域4にはバスバー7の構造設計がない。
【0023】
前記集約グリッド線5は、前記第1領域3と前記第2領域4との間に位置し、複数の前記バスバー7及び複数の前記第2細グリッド線8に電気的に接続され、集約グリッド線5は、第2細グリッド線8の電流を収集するとともに、バスバー7にオーバーラップされて接続され、オーバーラップされて接続された部分は溶接作用を果たし、電流は、バスバー7によって伝導されて、溶接ストリップ12に伝送される。
【0024】
本発明のグリッド線電極2には、設計された第1細グリッド線6、第2細グリッド線8及びバスバー7の数が限定されず、バスバー7の幅、溶接点の数などが限定されず、セル1のタイプ及びサイズに最適に適合することを基準とする(例えば210セル1に適合されたバスバー7の数は12本である)。
【0025】
上記実施形態に基づいて、
図4、
図5、
図7及び
図10を参照し、隣接する2つのセル1が直列に組版される場合、溶接ストリップ12は、第1領域3上のメイン溶接線のみに溶接され、第2領域4にはメイン溶接線が存在しないため、溶接ストリップ12を節約するという目的を達成することができる。セル1における第1領域3に生成された光起電流は、まず第1細グリッド線6によって収集され、次に第1細グリッド線6を介してバスバー7に伝送され、バスバー7がさらに電流を溶接ストリップ12に伝送し、セル1における第2領域4に生成された光起電流は、まず第2細グリッド線8によって収集され、次に集約グリッド線5に伝送され、集約グリッド線5はバスバー7にオーバーラップされて接続され、バスバー7を介して電流を溶接ストリップ12に伝送する。
【0026】
さらに、前記第1方向、前記第2方向、前記第3方向と前記集約グリッド線5の延在方向との間には、それぞれ第1所定角度、第2所定角度及び第3所定角度を保持する。第1方向は、複数のセル1の直列組版の分布方向と平行であることが好ましく、第2方向、第3方向及び集約グリッド線5の延在方向は、第1方向と垂直であることが好ましく、第1所定角度は、0°であることが好ましく、第2所定角度及び第3所定角度は、90°であることが好ましく、前記第1方向は、前記集約グリッド線5の延在方向と垂直であり、前記第2方向及び前記第3方向は、前記集約グリッド線5の延在方向と平行である。このように、組版及び溶接ストリップ12の接続の場合、溶接ストリップ12、バスバー7の長さが最も短くなり、それによってバスバー7の銀ペーストの使用量及び溶接ストリップ12の使用量を節約するという目的を達成することができる。
【0027】
さらに、
図6に示すように、前記グリッド線電極2のサイズは、第1式を満たす。
前記第1式は、W1<W2を含む。
前記W1は、前記第2細グリッド線の長さを表し、それが主にセル1の電流収集に関連するものであり、前記W2は、前記バスバー7の長さを表し、ここで、W2=L-W1であり、前記Lは、セル1のカットセル幅を表し、セル1のサイズ及び必要なカットセル数に基づいて決定される。
【0028】
前記グリッド線電極2のサイズは、第2式を同時に満たす。
前記第2式は、W1=W3<W4を含む。
前記W3は、前記グリッド線電極2の境界に近い前記バスバー7と前記グリッド線電極2の境界との間の距離、すなわち、セル1の両側における第1細グリッド線6の長さを表し、主にセル1の電流収集に関連するものであり、前記W4は、2つの隣接する前記バスバー7の間の距離を表す。
【0029】
縦方向に分布する第2細グリッド線の長さW1及び横方向に分布する両側の第2細グリッド線の長さW3はいずれも、セル1の縁部からバスバー7までの距離と見なすことができ、W1及びW3の幅が大きすぎると、セル1の縁部に電流を収集した後に伝送効果が悪くてブラックアウトが起きるリスクをもたらす可能性があり、W4すなわち2つのバスバー7の間の幅を組み合わせれば、W1、W3、W4はいずれも、電流が各部分で最遠伝送距離(すなわち該距離以内に電流伝送損失が最も小さい)であり、電流収集の最高効率を保証するために、W1、W3、W4の間の関係は、ほぼW1=W3<最遠有効伝送距離=W4である。182セル1を例として、それが六分の一カットセル1となるように設計され、そのセル1のカットセル幅の寸法L=30.33mmであり、バスバー7の数が11であり、バスバー7の間隔W4が約16mmであると、それに対応するW1=W3=12mmであり、W2=18.33mmである。
【0030】
さらに、前記第2細グリッド線8には溶接点がないため、溶接を必要とせず、溶接隠れクラックの発生のリスクを減少させることができる。現在、N型両面セルの量産において遭遇する大きな難点は、製造プロセス歩留まりが低く(低い製造プロセス歩留まりが生産能力及び製品歩留まりに影響を与える)、ここで、溶接隠れクラックが大部分の要因を占めることである。N型両面セルは、モジュールの製造過程において、返品修理の割合が約28%であり、そのうち溶接隠れクラック割合が約13%であり、ボイドの割合が7%であり、溶接ストリップ12のずれの割合が5%であり、その他の割合が3%である。本実施形態は、溶接点を減少させ、すなわち、溶接難度を減少させるため、溶接隠れクラックが発生するリスクを約30%低下させ、すなわち、溶接隠れクラックを4%だけ低下させることができるとともに、溶接点が少なくされるため、ボイド発生のリスクを約30%低下させ、使用される溶接ストリップ12の長さを減少させ、溶接ストリップ12のずれリスクを約50%低下させる。以上の各面をまとめると、本セル1の設計は、モジュールの製造面において返品修理率を8.5%低減できると見込んでおり、すなわち、モジュールの製造歩留まりを約30%向上させることができ、さらに製造能力を向上させ、製品歩留まりを向上させ、モジュールの製造コストを低減することができる。
【0031】
さらに、
図7に示すように、前記セル1は、上面(すなわちセルの第1表面)及び前記上面に対向する下面(すなわちセルの第2表面)を有する、シリコンウェハであるセル本体9と、前記セル本体9の前記上面に位置する正面電極構造10と、前記セル本体9の前記下面に位置する裏面電極構造11とをさらに含む。前記正面電極構造10と前記裏面電極構造11のそれぞれは、前記グリッド線電極2を利用して形成され、グリッド線電極2のパターンによって銀ペースト材料を印刷しかつ乾燥焼結した後に製造される。
【0032】
さらに、
図4及び
図5に示すように、前記正面電極構造10は、前記裏面電極構造11と逆に設けられ、前記セル1の第2表面の前記第1領域3は、前記集約グリッド線5の第2側に位置し、前記セルの第2表面の前記第2領域4は、前記集約グリッド線5の第1側に位置する。すなわち、前記正面電極構造10の前記第1領域3は、前記裏面電極構造11の前記第2領域4に対応し、前記正面電極構造10の前記第2領域4は、前記裏面電極構造11の前記第1領域3に対応する。
【0033】
図7に示すように、単一のセル1の溶接状態での側面図であり、一つの溶接ストリップ12は、セル1の上方の正面電極構造10のバスバー7に溶接され、裏面電極構造11における第2領域4内の第2細グリッド線8に溶接されず、もう一つの溶接ストリップ12は、セル1の下方の裏面電極構造11のバスバー7に溶接され、裏面電極構造11における第2領域4内の第2細グリッド線8に溶接されない。従来の技術案は、溶接ストリップ12がセルのほぼ全体の領域にオーバーラップされて接続されるため、本技術案が必要とする溶接ストリップ12の消費量は、一部の使用量を減少させる。
【0034】
セル1の製造プロセスにおいて、本発明のセル1の設計案を図る重要なポイントは、グリッド線電極2のパターンの変更にあり、セル1のグリッド線印刷工程のみを変更する必要があり、本発明のグリッド線電極2に基づいて対応するレーザーグルービングを行い、対応するグリッド線電極2をカスタマイズして適用して印刷し(印刷スクリーンプロセスに用いられる方式は、スクリーン印刷であってもよく、電気メッキの方式でスクリーンを印刷してもよい)、拡散、テクスチャリングなどの他の電池プロセスは、いずれも従来と一致する。
【0035】
実際の適用において、本発明のグリッド線電極2の適用可能なサイズは、158.75mm、166mm、182mm、210mm等の各サイズであってもよく、かつカットセル数は、ハーフセル、三分の一カットセル、四分の一カットセル……n分の一カットセル(n≧2)であってもよい。本発明に係るプロセス変更点は、印刷プロセスであり、他のプロセスに影響を与えないため、単結晶、多結晶セル、P型、N型、HJTなどのタイプのセル1と互換性がある。
【0036】
図8及び
図9に示すように、セル1の上方に位置する溶接ストリップ12は、前のセル1の裏面に接続され、セル1の下方に位置する溶接ストリップ12は、次のセル1の正面に接続され、セル1が順に接続されて複数枚のセル1の直列接続を形成する。
【0037】
従来のセル1の溶接ストリップ12による接続と比べて、本発明において溶接ストリップ12は、各セル1の一部の領域との接続のみを必要とし、従来の方式において溶接ストリップ12は、各セル1の全体の領域と接続する必要があり、対比して判るように、本発明の技術案では、溶接ストリップ12の長さが従来の直列接続方式の一部程度(例えば、182六分の一カットセルの幅が30.3mmであると、溶接ストリップ12の長さが約40mmであるが、従来の接続方式に必要な溶接ストリップ12が約60mmである)のみを必要とし、すなわち、溶接ストリップ12の総使用量は、従来の技術案の2/3だけで済む。
【0038】
上記したセル1の構造に基づいて、
図8~
図12に示すように、本実施形態は、太陽電池モジュール14をさらに提供し、太陽電池モジュール14は、複数の直列接続された電池ユニット15を含み、各前記電池ユニット15は、いずれも2つの並列接続された電池ストリング群13を含み、前記電池ストリング群13は、所定の配列方向に沿って分布する複数のセル1を含み、前記セル1は、前述のセル1を採用し、セル1に対してカットセル設計することによって、回路における出力電流を低減し、モジュールの出力電圧を向上させて、電流伝送の過程において損失された電気エネルギーを低減することができる。セル1同士の接続の技術案は、以下のように実現され、すなわち、セル1は各カットセルのバスバー7を含む部分が同じ方向を向くように配列され、溶接ストリップ12を切断する時、溶接ストリップ12の長さがほぼ使用されたセル1の幅になるように決定され、溶接ストリップ12を配置する過程において、溶接ストリップ12がバスバー7にオーバーラップして溶接され、溶接が完了した後、電池ストリング群13が正常にモジュールに用いられて必要に応じて組版される。
【0039】
具体的には、
図4、
図5、
図7及び
図10に示すように、隣接する前記セル1同士は、溶接ストリップ12によって電気的に接続され、隣接する前記セルのうちの一方の前記セル1の前記正面電極構造10のバスバー7は、前記溶接ストリップ12の一端に溶接され、隣接する前記セルのうちの他方の前記セル1の前記裏面電極構造11のバスバー7は、前記溶接ストリップ12の他端に溶接され、前記セル1の両側に位置する前記溶接ストリップ12の長さは、いずれも前記セル1の前記第1方向における長さの2/3を超えず、好ましくは、前記セル1の両側に位置する前記溶接ストリップ12の長さは、いずれも前記バスバー7の長さに等しいか又はそれより僅かに大きく設定される。
【0040】
さらに、前記第1領域3内において、最も辺縁側の前記バスバー7と前記セル1の縁部との間にある第1細グリッド線6の数は、隣接する2つの前記バスバー7の間にある第1細グリッド線6の数よりも多くなる。セル1の周囲の縁部の位置で、第1細グリッド線6の数を多くする処理を行い、これは、主として、セル1の縁部に位置する一本目のバスバー7がセルの面取りを避ける必要があるので、最も縁に位置するバスバー7がセルの縁部から遠く離れるようにされ、セル1の縁部EL暗部が生じてしまうためであり、そこで、マルチバスバーの上でセル1の縁部に位置する第1細グリッド線6に対して密度を高くする処理を行い、セル1の縁部に位置する第1細グリッド線6の密度を増やして、電流収集の能力を増加させる。
【0041】
さらに、前記第1領域3内において、隣接する2つの前記バスバー7の間には、それぞれ前記第1方向に沿って間隔をあけて分布する複数の分流線が設けられ、前記分流線は、2つの隣接する第1細グリッド線6に電気的に接続され、分流線の幅は、0.022mmであり、分流線の設計によって、セルのグリッド線切れ等の印刷品質異常による劣化リスクを効果的に減少させ、モジュールの出力電力を向上させることができ、断線がある場合にも、少数キャリアが等価で効果的に第1細グリッド線6に沿ってバスバー7に収集されることも可能となり、セルELのグリッド線切れを防止するという目的を達成できる。
【0042】
さらに、隣接する2つの前記バスバー7の間のピッチが小さいほど、隣接する2つの前記第1細グリッド線6の間のピッチを大きくすることができ、また、第2細グリッド線8の長さW1が小さいほど、隣接する2つの前記第2細グリッド線8の間のピッチが大きくなり、隣接する2つの前記第1細グリッド線6の間のピッチと隣接する2つの前記バスバー7の間のピッチとの積が15mm2より大きくかつ25mm2より小さくなるとともに、隣接する2つの前記第2細グリッド線8の間のピッチと前記第2細グリッド線8の長さとの積が15mm2より大きくかつ25mm2より小さく、積の意味は、セル1が電流を収集する面積を決定することにあり、かつ、隣接する2つの前記第1細グリッド線6の間のピッチ、および、隣接する2つの前記第2細グリッド線8の間のピッチの取り得る値の範囲は、いずれも0.8~2.0mmであり、例えば、前記W4=16mmであり、隣接する2つの前記第1細グリッド線6の間のピッチが1.637mmであり、W1=12mmであり、隣接する2つの前記第2細グリッド線8の間のピッチが1.68mmであり、この場合、電流収集能力を保証しながら、細グリッド線の数を減少させることができ、すなわち、銀ペーストの原単位を減少させることができる(上記例ではおおよそ2本の細グリッド線を減少し、すなわち、細グリッド線の銀ペーストの使用量を約2%減少させる)。現在、従来の方式で銀ペーストの原単位を低減する面では既に限界に達しているが、本実施形態では、新たな原単位低減手段が提供されている。
【0043】
従来では、グリッド線電極2の細グリッド線がセル1の長辺方向と平行であり、バスバー7が長辺方向と垂直であり、表裏面スクリーンのパターンが基本的に一致する。本実施形態では、グリッド線電極2においてセル本体9の上面及び下面の一部の領域にバスバー7の設計がないため、バスバー7の銀ペーストの使用量が約30%低下する。それと同時に、第2領域4において横方向に分布する第2細グリッド線8の部分にバスバー7の設計及び溶接ストリップ12の設計を有しないという設計は、従来のスクリーン設計と比べて、バスバー7による遮蔽を減少させることができ、一定の電力利得改善効果を得ることができる。
【0044】
図12に示すように、セル1をカットしてストリングに接続した後、ストリング回路が従来のストリング回路と一致し、接続して形成されたストリングは、通常なストリングと同様に組版して接続することができ、通常なモジュールの6ストリングのハーフセルモジュールの直並列構造に基づいた組版図であってもよく、同時に5ストリング構造等と互換することができ、需要に応じて組版を変更することができる。本発明の基礎は、マルチカットセル構造であるため、複数のカットセルが直列接続された条件で出力電圧が単一のストリングのカットセルの数に正比例し、すなわち、カットセル数が多いほど電圧が大きくなり、高電圧によるリスクを回避するために、モジュール回路組版の直並列構造を変更することができ、例えば、3ストリング4並列等の構造を結合することによって、出力電圧を低減し、リスクを低減することができる。同時に一つの最も直接的な解決案はさらに存在し、すなわち、単一のストリングのカットセルの数を減少させるという技術案であり、この解決案は、小さい版型モジュールの製造に適用される。本発明の重点は、セル1のマルチカットセルに適用されるスクリーン設計及びストリング接続設計であり、実際にモジュールを適用する組版において実際の需要に準じる。
【0045】
以上、図面に示す実施形態に基づいて本発明の構造、特徴及び作用効果を詳細に説明し、上記したことは、本発明の好ましい実施形態に過ぎず、本発明は、図面に示される実施範囲を限定するものではなく、本発明の構想に基づいて行われた変更、又は同等変化の等価実施形態に修正することは、依然として明細書及び図示に含まれた精神を超えない場合、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0046】
1-セル、2-グリッド線電極、3-第1領域、4-第2領域、5-集約グリッド線、6-第1細グリッド線、7-バスバー、8-第2細グリッド線、9-セル本体、10-正面電極構造、11-裏面電極構造、12-溶接ストリップ、13-電池ストリング、14-太陽電池モジュール、15-電池ユニット;
従来技術において、
1’-バスバー、2’-細グリッド線、3’-溶接ストリップ。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルであって、1つの集約グリッド線を含み、
前記集約グリッド線は、前記セルの第1表面を第1領域と第2領域に仕切り、前記第1領域は、前記集約グリッド線の第1側に位置し、前記第2領域は、前記集約グリッド線の第2側に位置し、
前記第1領域は、第1方向に沿って間隔をあけて分布し、前記第1領域の光起電流を収集するための複数の第1細グリッド線と、第2方向に沿って間隔をあけて分布する複数のバスバーとを含み、前記バスバーは、前記第1細グリッド線に電気的に接続されて前記第1細グリッド線の電流を収集し、
前記第2領域は、第3方向に沿って間隔をあけて分布し、前記第2領域の光起電流を収集するための複数の第2細グリッド線を含み、前記第2領域には、前記バスバーが含まれておらず、
前記集約グリッド線は、複数の前記第2細グリッド線に電気的に接続され、複数の前記バスバーは、さらに前記集約グリッド線に電気的に接続され、
前記セルのサイズは、第2式を満たし、
前記第2式は、W1=W3<W4を含み、
前記W1は、前記第2細グリッド線の長さを表し、前記W3は、前記セルの境界に最も近い前記第1細グリッド線の長さを表し、前記W4は、2つの隣接する前記バスバーの間の距離を表す、ことを特徴とするセル。
【請求項2】
前記第1方向は、前記集約グリッド線の延在方向に垂直であり、前記第2方向及び前記第3方向は、前記集約グリッド線の延在方向に平行である、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項3】
前記セルのサイズは、第1式を満たし、
前記第1式は、W1<W2を含み、
前記W2は、前記バスバーの長さを表す、ことを特徴とする請求項2に記載のセル。
【請求項4】
前記集約グリッド線は、前記セルの第2表面を前記第1領域と前記第2領域に仕切り、前記セルの第2表面の前記第1領域は、前記集約グリッド線の第2側に位置し、前記セルの第2表面の前記第2領域は、前記集約グリッド線の第1側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項5】
隣接する2つの前記第1細グリッド線の間のピッチと隣接する2つの前記バスバーの間のピッチとの積は、15mm
2
より大きくかつ25mm
2
より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項6】
隣接する2つの前記第2細グリッド線の間のピッチと前記第2細グリッド線の長さとの積は、15mm
2
より大きくかつ25mm
2
より小さい、ことを特徴とする請求項1に記載のセル。
【請求項7】
太陽電池モジュールであって、
所定の配列方向に沿って分布する複数のセルを含み、
前記セルは、請求項1~6のいずれか1項に記載のセルを採用し、隣接する前記セル同士は、溶接ストリップによって電気的に接続され、隣接する前記セルのうちの一方の前記セルの第1表面の前記バスバーは、前記溶接ストリップの一端に固定接続され、隣接する前記セルのうちの他方の前記セルの第2表面の前記バスバーは、前記溶接ストリップの他端に固定接続されている、ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項8】
前記セルの両側に位置する前記溶接ストリップの長さは、いずれも前記セルの前記第1方向における長さの2/3以下である、ことを特徴とする請求項7に記載の太陽電池モジュール。