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  • 特開-粘着テープ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003305
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20221228BHJP
   C09J 133/06 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104402
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 達哉
(72)【発明者】
【氏名】内田 徳之
(72)【発明者】
【氏名】片岡 寛幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 寛生
(72)【発明者】
【氏名】緒方 雄大
(72)【発明者】
【氏名】足立 絢
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AA14
4J004AB01
4J004BA02
4J004CA06
4J004CB03
4J004CC02
4J004DB03
4J004FA08
4J040BA202
4J040DF031
4J040DF041
4J040DF061
4J040GA05
4J040GA07
4J040JA09
4J040JB09
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA26
4J040LA11
(57)【要約】
【課題】生物由来の炭素の含有率が高く、優れた粘着力を発揮することができ、高温での耐平面反発性に優れた粘着テープを提供する。
【解決手段】アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、前記アクリル共重合体は、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)と、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)とを含有する粘着テープ。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、
前記アクリル共重合体は、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)と、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)とを含有する
ことを特徴とする粘着テープ。
【請求項2】
前記アクリル共重合体は、前記生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)の含有量が85重量%以上であり、前記ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)の含有量が5重量%以上、15重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着剤層は、生物由来の炭素の含有率が30重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着テープ。
【請求項4】
前記アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位(c)を含有し、前記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位(c)の含有量が1重量%以上、7重量%以下であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の粘着テープ。
【請求項5】
前記粘着剤層は、更に、架橋剤を含有することを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の粘着テープ。
【請求項6】
基材を有することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品、車輌、住宅及び建材において部品を固定する際に、粘着剤を含有する粘着剤層を有する粘着テープが広く用いられている(例えば、特許文献1~3)。具体的には、例えば、携帯電子機器の表面を保護するためのカバーパネルをタッチパネルモジュール又はディスプレイパネルモジュールに接着したり、タッチパネルモジュールとディスプレイパネルモジュールとを接着したりするために粘着テープが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-052050号公報
【特許文献2】特開2015-021067号公報
【特許文献3】特開2015-120876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、石油資源の枯渇、及び、石油由来製品の燃焼による二酸化炭素の排出が問題視されている。そこで、医療分野及び包装材料分野を中心に、石油由来材料に代えて生物由来材料を用いることにより、石油資源を節約する試みがなされるようになってきている。このような試みは、あらゆる分野に波及してきており、粘着剤及び粘着テープの分野でも生物由来材料の使用が求められるようになっている。
【0005】
本発明は、生物由来の炭素の含有率が高く、優れた粘着力を発揮することができ、高温での耐平面反発性に優れた粘着テープを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープであって、上記アクリル共重合体は、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)と、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)とを含有する粘着テープである。
なお、本明細書中において(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルを意味する。アクリル共重合体は、メタクリル共重合体であってもよい。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する粘着テープにおいて、アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。しかしながら、例えば、主成分としてブチルアクリレートを用いた場合、粘着テープは高温での粘着力が高くなり、耐熱性の観点では比較的優れるものの、柔軟性が不充分であった。一方、主成分として2-エチルヘキシルアクリレートを用いた場合、粘着テープは柔軟性には優れるものの、高温での粘着力が不充分であった。
本発明者らは、アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーとして、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートを用いることで、生物由来の炭素の含有率を高めるとともに、粘着テープとしても優れた性能を発揮することが期待できることを見出した。更に、本発明者らは、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートと、ブチル(メタ)アクリレート及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1つとを併用することを検討した。本発明者らは、このようなアクリル系モノマーを用いることで、優れた粘着力を発揮できるとともに、柔軟性にも高温での粘着力にも優れることで高温において反発力がかかった場合にも剥離しにくい(耐平面反発性に優れた)粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
本発明の粘着テープは、アクリル共重合体を含有する粘着剤層を有する。
上記アクリル共重合体は、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)と、ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)とを含有する。これにより、本発明の粘着テープは、生物由来の炭素の含有率が高くなるとともに、優れた粘着力を発揮することができ、高温での耐平面反発性にも優れた粘着テープとなる。
【0009】
上記n-ヘプチル(メタ)アクリレートは、生物由来の炭素を含有していれば特に限定されないが、生物由来材料であるn-ヘプチルアルコールと、(メタ)アクリル酸とのエステル化により合成されたり、生物由来材料であるn-ヘプチルアルコールと、(メタ)アクリル酸エステルとのエステル交換反応により合成されたりすることが好ましい。
生物由来材料であるn-ヘプチルアルコールは、例えば、動植物等から採取される材料(例えば、ひまし油由来のリシノール酸等)を原料として、これをクラッキングすることにより、安価かつ容易に入手することができる。
【0010】
上記アクリル共重合体における上記生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は85重量%である。上記構成単位(a)の含有量が85重量%以上であれば、粘着テープ全体としての生物由来の炭素の含有率が高くなるとともに、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記構成単位(a)の含有量のより好ましい下限は87重量%である。上記生物由来の炭素を含有するn-ヘプチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位(a)の含有量の上限は特に限定されないが、上記粘着剤層のゲル分率を調節する観点から、好ましい上限は99重量%、より好ましい上限は97重量%である。
【0011】
上記ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)は、上記ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位のみであってもよいし、上記2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位のみであってもよい。また、上記ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び上記2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の両方であってもよい。なかでも、粘着力と、高温での耐平面反発性とを両立する観点から、上記ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び上記2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位の両方であることがより好ましい。
【0012】
上記アクリル共重合体における上記ブチル(メタ)アクリレートに由来する構成単位及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートに由来する構成単位からなる群より選択される少なくとも1つの構成単位(b)の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は5重量%、好ましい上限15重量%である。上記構成単位(b)の含有量が上記範囲内であれば、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記構成単位(b)の含有量のより好ましい下限は6重量%、より好ましい上限は12重量%である。
【0013】
上記アクリル共重合体における上記構成単位(a)及び上記構成単位(b)の含有量は、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0014】
上記アクリル共重合体は、更に、架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位(c)を含有することが好ましい。
上記アクリル共重合体が上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位(c)を含有することで、上記粘着剤層の凝集力が上がって粘着力がより高くなり、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。
【0015】
上記架橋性官能基を有するモノマーは特に限定されず、例えば、水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマー、グリシジル基を有するモノマー、アミド基を有するモノマー、ニトリル基を有するモノマー等が挙げられる。これらの架橋性官能基を有するモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、上記粘着剤層のゲル分率の調節が容易であることから、水酸基を有するモノマー及びカルボキシル基を有するモノマーが好ましく、水酸基を有するモノマーがより好ましい。
【0016】
上記水酸基を有するモノマーとして、例えば、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
上記カルボキシル基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
上記グリシジル基を有するモノマーとして、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
上記アミド基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、イソプロピル(メタ)アクリルアミド、t-ブチル(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
上記ニトリル基を有するモノマーとして、例えば、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有するアクリル系モノマーが挙げられる。
【0017】
上記アクリル共重合体における上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位(c)の含有量は特に限定されないが、好ましい下限は0.01重量%、好ましい上限は20重量%である。上記構成単位(c)の含有量が上記範囲内であれば、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記架橋性官能基を有するモノマーに由来する構成単位(c)の含有量のより好ましい下限は0.1重量%、より好ましい上限は10重量%であり、更に好ましい下限は1重量%、更に好ましい上限は7重量%である。
【0018】
上記アクリル共重合体における上記構成単位(c)の含有量は、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0019】
上記アクリル共重合体は、上記構成単位(a)、上記構成単位(b)及び上記構成単位(c)以外の、他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。
上記他のモノマーは特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、5,7,7-トリメチル-2-(1,3,3-トリメチルブチル)オクタノール-1と(メタ)アクリル酸とのエステル、直鎖状の主鎖に1又は2のメチル基を有する総炭素数18のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル、ベヘニル(メタ)アクリレート、アラキジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
また、上記他のモノマーとして、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等も挙げられる。更に、上記他のモノマーとして、例えば、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルや、スチレン等の一般のアクリル系ポリマーに用いられている各種のモノマーも用いることができる。上記アクリル共重合体をUV重合により製造する場合には、上記他のモノマーとして、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能モノマーも用いることができる。これらの他のモノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0021】
上記アクリル共重合体における上記他のモノマーに由来する構成単位の含有量は、上記アクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から算出することができる。
【0022】
上記ブチル(メタ)アクリレート、上記2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、上記架橋性官能基を有するモノマー、及び、上記他のモノマーは、生物由来の炭素を含有することが好ましいが、生物由来の炭素を含有せず石油由来材料のみからなっていてもよい。理論的には、上記アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーを、全て生物由来の炭素を含有するモノマーとすることも可能である。粘着テープのコストや生産性の観点からは、比較的安価で入手の容易な生物由来の炭素を含有するモノマーを採用し、これに石油由来材料のみからなるモノマーを組み合わせてもよい。
【0023】
上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は特に限定されないが、-20℃以下であることが好ましい。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)が-20℃以下であれば、上記粘着剤層の被着体への密着性が向上し、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-30℃以下であることがより好ましく、-40℃以下であることが更に好ましく、-50℃以下であることが更により好ましい。上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)の下限は特に限定されず、通常-90℃以上であり、-80℃以上であることが好ましい。
上記アクリル共重合体のガラス転移温度(Tg)は、例えば、示差走査熱量測定により求めることができる。
【0024】
上記アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、好ましい下限は20万、好ましい上限は200万である。上記アクリル共重合体の重量平均分子量が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の粘着力がより高くなり、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記アクリル共重合体の重量平均分子量のより好ましい下限は40万、より好ましい上限は180万であり、更に好ましい下限は50万、更に好ましい上限は150万である。
なお、重量平均分子量(Mw)とは、GPC(Gel Permeation Chromatography:ゲルパーミッションクロマトグラフィ)測定による標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。具体的には、アクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈し、得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過することにより、測定サンプルを調製する。次に、この測定サンプルをゲルパーミッションクロマトグラフ(Waters社製、商品名「2690 Separations Module」又はその同等品)に供給して、サンプル流量1ミリリットル/分、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行う。アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、この値をアクリル共重合体の重量平均分子量とする。
【0025】
上記アクリル共重合体は、原料となるモノマー混合物をラジカル重合開始剤の存在下にてラジカル反応させることによって得ることができる。
ラジカル反応の方式は特に限定されず、例えば、リビングラジカル重合、フリーラジカル重合等が挙げられる。リビングラジカル重合によれば、フリーラジカル重合と比較してより均一な分子量及び組成を有する共重合体が得られ、低分子量成分等の生成を抑えることができることから、上記粘着剤層の凝集力が上がり、粘着力がより高くなる。
重合方法は特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。重合方法として、例えば、溶液重合(沸点重合又は定温重合)、UV重合、エマルジョン重合、懸濁重合、塊状重合等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層の粘着力がより高くなることから、溶液重合及びUV重合が好ましい。更に、得られたアクリル共重合体に対して粘着付与樹脂を混合しやすく、上記粘着剤層の粘着力を更に高くすることができることから、溶液重合がより好ましい。
【0026】
重合方法として溶液重合を用いる場合、反応溶剤として、例えば、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド、エタノール、アセトン、ジエチルエーテル等が挙げられる。これらの反応溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
上記ラジカル重合開始剤は特に限定されず、例えば、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられる。上記有機過酸化物として、例えば、1,1-ビス(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート等が挙げられる。上記アゾ化合物として、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、リビングラジカル重合の場合には、上記ラジカル重合開始剤として、例えば、有機テルル重合開始剤が挙げられる。上記有機テルル重合開始剤は、リビングラジカル重合に一般的に用いられるものであれば特に限定されず、例えば、有機テルル化合物、有機テルリド化合物等が挙げられる。なお、リビングラジカル重合においても、上記有機テルル重合開始剤に加えて、重合速度の促進を目的として上記ラジカル重合開始剤としてアゾ化合物を用いてもよい。
【0028】
上記粘着剤層は、ゲル分率を適度に調節できる観点から、更に、架橋剤を含有することが好ましい。
上記架橋剤は特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート型架橋剤等が挙げられる。なかでも、上記粘着剤層が被着体への密着性に優れることから、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
【0029】
上記粘着剤層における上記架橋剤の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は0.05重量部、好ましい上限は7重量部である。上記架橋剤の含有量が上記範囲内であれば、上記粘着剤層のゲル分率が適度に調節され、粘着力がより高くなる。上記架橋剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
なお、上記架橋剤の含有量は、上記架橋剤の固形分の量を示す。
【0030】
上記粘着剤層は、更に、粘着付与樹脂を含有することが好ましい。これにより、上記粘着剤層の粘着力がより高くなり、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。
上記粘着付与樹脂として、具体的には例えば、ロジンエステル系粘着付与樹脂、テルペン系粘着付与樹脂、クマロンインデン系粘着付与樹脂、脂環族飽和炭化水素系粘着付与樹脂、C5系石油粘着付与樹脂、C9系石油粘着付与樹脂、C5-C9共重合系石油粘着付与樹脂等が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ロジンエステル系粘着付与樹脂及びテルペン系粘着付与樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【0031】
上記ロジンエステル系粘着付与樹脂としては、例えば、重合ロジンエステル系樹脂、水添ロジンエステル系樹脂等が挙げられる。上記テルペン系粘着付与樹脂としては、例えば、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂等が挙げられる。
上記ロジンエステル系粘着付与樹脂及び上記テルペン系粘着付与樹脂は、生物由来であることが好ましい。生物由来のロジンエステル系粘着付与樹脂として、例えば、松脂等の天然樹脂に由来するロジンエステル系粘着付与樹脂が挙げられる。生物由来のテルペン系粘着付与樹脂として、例えば、植物の精油等に由来するテルペン系粘着付与樹脂等が挙げられる。
【0032】
上記粘着剤層における上記粘着付与樹脂の含有量は特に限定されないが、上記アクリル共重合体100重量部に対する好ましい下限は10重量部、好ましい上限は60重量部である。上記粘着付与樹脂の含有量が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の粘着力がより高くなり、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記粘着付与樹脂の含有量のより好ましい下限は15重量部、より好ましい上限は50重量部であり、更に好ましい上限は35重量部である。
【0033】
上記粘着剤層は、必要に応じて、シランカップリング剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、顔料、染料等の添加剤等を含有していてもよい。
【0034】
上記粘着剤層のゲル分率は特に限定されないが、好ましい下限は10重量%、好ましい上限は70重量%である。上記粘着剤層のゲル分率が上記範囲内であれば、上記粘着剤層の被着体への密着性と粘着力とのバランスが良好となり、粘着テープの高温での耐平面反発性がより高くなる。上記粘着剤層のゲル分率のより好ましい下限は20重量%、より好ましい上限は50重量%である。
上記粘着剤層のゲル分率は、次のようにして測定される。
まず、粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させる。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記式(1)を用いてゲル分率を算出する。なお、試験片には、粘着剤層を保護するための離型フィルムは積層されていないものとする。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0035】
上記粘着剤層のゲル分率を上記範囲に調整する方法は特に限定されないが、上記アクリル共重合体の組成及び重量平均分子量、並びに、上記架橋剤の種類及び量を上述したように調整する方法が好ましい。
【0036】
上記粘着剤層は、生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であることが好ましい。生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であることが「バイオベース製品」であることの目安となる。
上記生物由来の炭素の含有率が10重量%以上であれば、石油資源を節約する観点や、二酸化炭素の排出量を削減する観点から好ましい。上記生物由来の炭素の含有率のより好ましい下限は30重量%、更に好ましい下限は60重量%である。上記生物由来の炭素の含有率の上限は特に限定されず、100重量%であってもよい。
なお、生物由来の炭素には一定割合の放射性同位体(C-14)が含まれるのに対し、石油由来の炭素にはC-14がほとんど含まれない。そのため、上記生物由来の炭素の含有率は、上記粘着剤層に含まれるC-14の濃度を測定することによって算出することができる。具体的には、多くのバイオプラスチック業界で利用されている規格であるASTM D6866-20に準じて測定することができる。
【0037】
上記粘着剤層の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は3μm、好ましい上限は300μmである。上記粘着剤層の厚みが上記範囲内であれば、上記粘着剤層の粘着力がより高くなる。上記粘着剤層の厚みのより好ましい下限は5μm、更に好ましい下限は10μmである。上記粘着剤層の厚みのより好ましい上限は200μm、更に好ましい上限は100μmである。
【0038】
本発明の粘着テープは、基材を有しないノンサポートテープであってもよく、基材の一方の面に粘着剤層を有する片面粘着テープであってもよく、基材の両面に粘着剤層を有する両面粘着テープであってもよい。
上記基材としては特に限定されず、従来公知の基材を用いることができるが、粘着テープ全体としての生物由来の炭素の含有率を高くするためには、生物由来の基材を用いることが好ましい。
上記生物由来の基材としては、例えば、植物由来のポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリ乳酸(PLA)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)等のポリエステル(PES)からなるフィルム及び不織布等が挙げられる。また、植物由来のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロース、ポリアミド(PA)等からなるフィルム及び不織布等も挙げられる。
【0039】
上記基材は、基材強度の観点からは、PESからなるフィルム又はPAからなるフィルムが好ましい。更に、耐熱性や耐油性の観点からは、PAからなるフィルムが好ましい。
上記PAからなるフィルムの構成物として、例えば、ひまし油を原料とするナイロン11、ナイロン1010、ナイロン610、ナイロン510、ナイロン410等や、セルロースを原料とするナイロン56等が挙げられる。
【0040】
また、新たな石油資源の使用量を減らし、二酸化炭素の排出量を抑えることで環境負荷低減を図る観点では、再生資源を使用した基材を用いてもよい。資源の再生方法としては、例えば、包装容器、家電、自動車、建設資材、食品等の廃棄物や、製造工程で発生した廃棄物を回収し、取り出された材料を、洗浄、除染、又は、加熱や発酵による分解により、再び原料として使用する方法が挙げられる。再生資源を使用した基材としては、例えば、回収したプラスチックを再樹脂化したものを原料として使用した、PET、PBT、PE、PP、PA等からなるフィルム及び不織布等が挙げられる。また、回収した廃棄物を燃焼させ、基材やその原料の製造に関わる熱エネルギーとして利用してもよく、回収した上記廃棄物に含まれる油脂を石油に混合し、分留、精製したものを原料に利用してもよい。
【0041】
上記基材は、圧縮特性を向上させる観点から、発泡体基材であってもよい。
上記発泡体基材としては、PE、PP及び/又はPUからなる発泡体基材が好ましく、柔軟性と強度とを高度に両立させる観点から、PEからなる発泡体基材がより好ましい。PEからなる発泡体基材の構成物として、例えば、サトウキビを原料とするPE等が挙げられる。
【0042】
上記発泡体基材の製造方法は特に限定されないが、例えば、サトウキビを原料とするPEを含有するPE樹脂と発泡剤とを含有する発泡性樹脂組成物を調製し、押出機を用いて発泡性樹脂組成物をシート状に押出加工する際に発泡剤を発泡させ、得られたポリオレフィン発泡体を必要に応じて架橋する方法が好ましい。
【0043】
上記発泡体基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限は50μm、好ましい上限は5000μmである。上記発泡体基材の厚みがこの範囲内であると、高い耐衝撃性を発揮しながら、被着体の形状に沿って密着させて貼り合わせることができる高い柔軟性を発揮することができる。上記発泡基材の厚みのより好ましい上限は1000μm、更に好ましい上限は300μmである。
【0044】
本発明の粘着テープは、粘着テープの総厚み(基材と粘着剤層の厚みの合計)の好ましい下限が3μm、好ましい上限が6000μmである。粘着テープの総厚みが上記範囲内であれば、粘着力がより高くなる。上記粘着テープの総厚みのより好ましい上限は1200μm、更に好ましい上限は500μmである。
【0045】
本発明の粘着テープの製造方法は特に限定されず、従来公知の製造方法により製造することができる。例えば、両面粘着テープの場合には、以下のような方法が挙げられる。
まず、アクリル共重合体と、ラジカル捕捉剤と、必要に応じて架橋剤や粘着付与樹脂等に溶剤を加えて粘着剤Aの溶液を作製して、この粘着剤Aの溶液を基材の表面に塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去して粘着剤層Aを形成する。次に、形成された粘着剤層Aの上に離型フィルムをその離型処理面が粘着剤層Aに対向した状態に重ね合わせる。
次いで、上記離型フィルムとは別の離型フィルムを用意し、この離型フィルムの離型処理面に、上記と同様の要領で作製した粘着剤Bの溶液を塗布し、溶液中の溶剤を完全に乾燥除去することにより、離型フィルムの表面に粘着剤層Bが形成された積層フィルムを作製する。得られた積層フィルムを粘着剤層Aが形成された基材の裏面に、粘着剤層Bが基材の裏面に対向した状態に重ね合わせて積層体を作製する。そして、上記積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、該粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得ることができる。
【0046】
また、同様の要領で積層フィルムを2組作製し、これらの積層フィルムを基材の両面のそれぞれに、積層フィルムの粘着剤層を基材に対向させた状態に重ね合わせて積層体を作製し、この積層体をゴムローラ等によって加圧することによって、基材の両面に粘着剤層を有し、かつ、該粘着剤層の表面が離型フィルムで覆われた両面粘着テープを得てもよい。
【0047】
本発明の粘着テープの用途は特に限定されないが、生物由来の炭素の含有率が高く、優れた粘着力を発揮することができ、高温での耐平面反発性にも優れることから、電子機器部品又は車載部品の固定に用いられることが好ましい。具体的には、大型の携帯電子機器における電子機器部品の接着固定、車載部品(例えば、車載用パネル)の接着固定等に、本発明の粘着テープを好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0048】
本発明によれば、生物由来の炭素の含有率が高く、優れた粘着力を発揮することができ、高温での耐平面反発性に優れた粘着テープを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】粘着テープの高温での耐平面反発性の試験方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0051】
<生物由来の炭素を含有するn-ヘプチルアクリレート>
ひまし油から誘導されたリシノール酸をクラッキングし、ウンデシレン酸とヘプチルアルコールとを含む混合物を得た。次いで、蒸留によりウンデシレン酸と分離することで、生物由来の炭素を含有するn-ヘプチルアルコールを得た。生物由来の炭素を含有するn-ヘプチルアルコールと、アクリル酸(日本触媒社製)とをエステル化することにより、n-ヘプチルアクリレートを調製した。
【0052】
<その他のアクリル系モノマー>
・ブチルアクリレート(三菱ケミカル社製)
・2-エチルヘキシルアクリレート(三菱ケミカル社製)
・アクリル酸(日本触媒社製)
・2-ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製)
【0053】
<架橋剤>
・イソシアネート系架橋剤(東ソー社製、コロネートL-45)
【0054】
<粘着付与樹脂>
・重合ロジンエステル(ペンセルD135、荒川化学工業社製)
【0055】
(実施例1)
(1)アクリル共重合体の製造
反応容器内に、重合溶媒として酢酸エチルを加え、窒素でバブリングした後、窒素を流入しながら反応容器を加熱して還流を開始した。続いて、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈したラジカル重合開始剤溶液を反応容器内に投入し、n-ヘプチルアクリレート85重量部、ブチルアクリレート11.9重量部、アクリル酸3重量部及び2-ヒドロキシルエチルアクリレート0.1重量部を2時間かけて滴下添加した。滴下終了後、ラジカル重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を酢酸エチルで10倍希釈したラジカル重合開始剤溶液を反応容器内に再度投入し、4時間重合反応を行い、アクリル共重合体含有溶液を得た。
【0056】
得られたアクリル共重合体の質量分析及びH-NMR測定を行い、各モノマーに由来する水素のピークの積分強度比から、各モノマーに由来する構成単位の含有量を算出した。
【0057】
得られたアクリル共重合体をテトラヒドロフラン(THF)によって50倍希釈して得られた希釈液をフィルター(材質:ポリテトラフルオロエチレン、ポア径:0.2μm)で濾過し、測定サンプルを調製した。この測定サンプルをゲルパーミッションクロマトグラフ(Waters社製、2690 Separations Module)に供給して、サンプル流量1mL/min、カラム温度40℃の条件でGPC測定を行い、アクリル共重合体のポリスチレン換算分子量を測定して、重量平均分子量を求めた。
【0058】
(2)粘着テープの製造
得られたアクリル共重合体含有溶液に、アクリル共重合体100重量部に対して、重合ロジンエステル(ペンセルD135、荒川化学工業社製)を25重量部加え、更に、イソシアネート系架橋剤(東ソー社製、コロネートL-45)の固形分が1.1重量部となるよう加え、粘着剤溶液を調製した。この粘着剤溶液を厚み75μmの離型処理したPETフィルムの離型処理面に、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmとなるように塗工した後、110℃で5分間乾燥させた。得られた粘着剤層の上に厚み75μmの離型処理したPETフィルムを重ね合わせて、40℃で48時間養生し、粘着テープ(ノンサポートタイプ)を得た。
【0059】
(3)ゲル分率の測定
粘着テープを20mm×40mmの平面長方形状に裁断して試験片を作製し、重量を測定した。試験片を酢酸エチル中に23℃にて24時間浸漬した後、酢酸エチルから取り出して、110℃の条件下で1時間乾燥させた。乾燥後の試験片の重量を測定し、下記(1)を用いてゲル分率を算出した。
ゲル分率(重量%)=100×(W-W)/(W-W) (1)
(W:基材の重量、W:浸漬前の試験片の重量、W:浸漬、乾燥後の試験片の重量)
【0060】
(実施例2~5、比較例1~2)
アクリル共重合体を構成するアクリル系モノマーの種類及び配合量を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、粘着テープを得た。
【0061】
<評価>
実施例及び比較例で得た粘着テープについて、以下の方法により評価を行った。結果を表1に示した。
【0062】
(1)粘着力
(1-1)SUS板に対する180°剥離力
粘着テープの一方の面(測定しない側)を厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2002)で裏打ちした後に、幅25mm×長さ75mmに裁断し、試験片を作製した。この試験片をSUS板にその粘着剤層(測定する側)がSUS板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより貼り合わせた。その後、23℃、50%湿度で20分養生し、試験サンプルを作製した。JIS Z 0237:2009に準じて、23℃、50%湿度の条件下、この試験サンプルを引張速度300mm/minの条件で180°方向に剥離し、粘着力(N/25mm)を測定した。
【0063】
(1-2)PP板に対する180°剥離力
粘着テープの一方の面(測定しない側)を厚み23μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(フタムラ化学社製、FE2002)で裏打ちした後に、幅25mm×長さ75mmに裁断し、試験片を作製した。この試験片をポリプロピレン(PP)板にその粘着剤層(測定する側)がPP板に対向した状態となるように載せた後、試験片上に300mm/分の速度で2kgのゴムローラを一往復させることにより貼り合わせた。その後、23℃、50%湿度で20分養生し、試験サンプルを作製した。JIS Z 0237:2009に準じて、23℃、50%湿度の条件下、この試験サンプルを引張速度300mm/minの条件で180°方向に剥離し、粘着力(N/25mm)を測定した。
【0064】
(2)高温での耐平面反発性
図1に、粘着テープの高温での耐平面反発性の試験方法を示す模式図を示す。
図1に示すように、幅25mm×長さ150mmに裁断した粘着テープ1を用いて、アルミ板(A)(幅25mm×長さ150mm×厚み0.5mm)6とポリカーボネート板(B)(幅25mm×長さ200mm×厚み2mm)5とを積層した。この積層体を2kgの条件でローラーを用いて圧着した後、24時間静置し、粘着テープ1を介してアルミ板(A)6とポリカーボネート板(B)5とが貼り合わされた試験サンプルを作製した。この試験サンプルをアルミ板(A)6を上にした状態で治具7に挟み込み、治具7の幅を190mmにまで狭めて試験サンプルを弓状に反らせ、60℃、湿度90%の条件下、24時間静置した。100時間静置後の試験サンプルにおける粘着テープ1の浮きの高さ(変位量)を測定した。
【0065】
(3)生物由来の炭素の含有率
粘着テープについて、ASTM D6866-20に準じて生物由来の炭素の含有率を測定した。
【0066】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、生物由来の炭素の含有率が高く、優れた粘着力を発揮することができ、高温での耐平面反発性に優れた粘着テープを提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 粘着テープ
5 ポリカーボネート板(B)
6 アルミ板(A)
7 治具
図1