(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033056
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/109 20160101AFI20230302BHJP
【FI】
A23L7/109 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021181092
(22)【出願日】2021-11-05
(31)【優先権主張番号】202110994167.4
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】521486310
【氏名又は名称】南京財経大学
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】湯暁智
(72)【発明者】
【氏名】許祥
(72)【発明者】
【氏名】孟令▲ハン▼
(72)【発明者】
【氏名】孫旭陽
【テーマコード(参考)】
4B046
【Fターム(参考)】
4B046LA01
4B046LA04
4B046LC01
4B046LC17
4B046LG01
4B046LG03
4B046LG15
4B046LG18
4B046LG20
4B046LG26
4B046LG32
4B046LG36
4B046LG43
4B046LP01
4B046LP22
4B046LP80
4B046LQ04
4B046LQ06
(57)【要約】
【課題】相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は食品加工の技術分野に関し、本発明の穀物麺は、デンプンベースの穀粉、第2のゲルネットワーク媒質及び水から構成され、その製造方法には、デンプンベースの穀粉、第2のゲルネットワーク媒質及び水を混合し、押出加工によって半製品の麺を形成し、架橋剤溶液に浸漬して押出穀物麺を得る。本発明では、水冷システムを使用することによって押出機内の糊化デンプンを迅速にゼラチン化して第1のゲルネットワークを形成し、同時に架橋剤を使用して第2のゲルネットワーク媒質のゲル化を誘導して第2のゲルネットワークを形成し、相互貫入ネットワークシステムを構築して、デンプンベースの麺の欠乏を改善する。本発明の穀物麺は品質が良く、相互貫入ネットワークの形成により、麺の再熱損失と見かけの粘度が大幅に低下し、麺の味と食感が向上する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンプンベースの穀粉が50%~70%、
第2のゲルネットワーク媒質が0.2%~3.5%、
水が28%~48%という質量百分率の原料から構成されることを特徴とする相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺。
【請求項2】
前記デンプンベースの穀粉は、純粋な穀粉または複数の穀粉の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺。
【請求項3】
前記第2のゲルネットワーク媒質は、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、高/低メトキシペクチン、コンジャクガム、大豆タンパク質分離物、ホエイタンパク質分離物、エンドウ豆タンパク質分離物、カゼイン、ゼラチンのうちの1種又は複数種であることを特徴とする請求項1に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺。
【請求項4】
前記デンプンベースの穀粉、前記第2のゲルネットワーク媒質および水を混合し、押出加工によって押し出して半製品の麺を形成し、架橋剤の溶液に浸漬して請求項1~3のいずれか一項に記載の前記相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺を得ることを含むことを特徴とする相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【請求項5】
前記押出加工を行う押出装置は二軸スクリュー押出機であることを特徴とする請求項4に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【請求項6】
前記二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配は、(30~50)℃、(40~90)℃、(50~130)℃、(50~130)℃、(50~100)℃、(50~100)℃、前記二軸スクリュー押出機のダイヘッド温度は50~100℃であることを特徴とする請求項5に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【請求項7】
前記半製品の麺のデンプン糊化度は65%~98%であることを特徴とする請求項4に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【請求項8】
前記架橋剤は、乳酸カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸亜鉛、塩化カルシウム、グルコノラクトン、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびクエン酸三ナトリウムのうちの1種または複数種であることを特徴とする請求項4に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【請求項9】
前記架橋剤の濃度は0.1%~5%であることを特徴とする請求項4に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【請求項10】
前記浸漬は、温度は0~25℃、時間は5~300秒で行うことを特徴とする請求項4に記載の相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工の技術分野に属し、特に、相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
麺は非常に人気のある食品である。人々の生活水準の継続的な改善に伴い、ますます多くの人々が麺の栄養と品質に対するより高い要求を持ち始めている。このような背景の影響を受けて、麺産業は急速に発展しており、多くの人々がより栄養価の高いデンプンベースの穀物に目を向けている。通常の小麦麺の製造方法では、デンプンベースの穀物を麺に加工することはできない。これは、これらの穀物がグルテンネットワークを形成するために必要なグリアジンを欠いており、穀粉が水と混合した後に十分に架橋してネットワーク構造を形成できないためである。かつ、穀物生地の弾性、延性、可塑性が低いため、その後の多粒麺の加工に影響を与える。麺は、成形が困難で、壊れやすく、表面が滑らかではなく、蒸し・煮の調理による過度の損失などが発生しやすく、多粒麺の品質や味に影響を与える。
【0003】
従来の加工技術では、主に圧延加工により、よくこねた生地を一定の厚さのシートに圧延することで、生地中のグルテンが精密メッシュ構造を形成し、麺帯に均一に分散して細長くカットする。生地シートを、表面が滑らかで、厚さが均一で幅が均一な生地ストリップに切る。しかしながら、デンプンベースの穀物は構造タンパク質含有量が低く、圧延プロセスはデンプンベースの穀物麺の製造には適していない。穀物麺に含まれる穀粉の含有量を増やし、麺のコンパクトで滑らかで弾性のある構造組織を確保するために、従来の加工方法を使用して達成しにくい。したがって、デンプンベースの穀物麺の品質と味を生産および改善するためのより適切で効果的な方法を見つける必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを考慮して、本発明は、相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺及びその製造方法を提供することを目的とする。製造された麺は、Q弾性のある口当たり、耐沸騰性、耐泡性、栄養および健康の特徴を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記発明の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する。
【0006】
デンプンベースの穀粉が50%~70%、
第2のゲルネットワーク媒質が0.2%~3.5%、
水が28%~48%という質量百分率の原料から構成される相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺。
【0007】
好ましくは、前記デンプンベースの穀粉は、純粋な穀粉または複数の穀粉の混合物である。
【0008】
好ましくは、前記第2のゲルネットワーク媒質は、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、高/低メトキシペクチン、コンジャクガム、大豆タンパク質分離物、ホエイタンパク質分離物、エンドウ豆タンパク質分離物、カゼイン、ゼラチンのうちの1種又は複数種である。
【0009】
本発明はさらに、デンプンベースの穀粉、第2のゲルネットワーク媒質および水を混合し、押出加工によって半製品の麺を形成し、架橋剤溶液に浸漬して前記押出穀物麺を得ることが含まれる上記相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法を提供する。
【0010】
好ましくは、前記押出装置は二軸スクリュー押出機である。
【0011】
好ましくは、前記二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配は、(30~50)℃、(40~90)℃、(50~130)℃、(50~130)℃、(50~100)℃、(50~100)℃、前記二軸スクリュー押出機のダイヘッド温度は50~100℃である。
【0012】
好ましくは、前記半製品麺のデンプン糊化度は65%~98%である。
【0013】
好ましくは、前記架橋剤は、乳酸カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸亜鉛、塩化カルシウム、グルコノラクトン、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびクエン酸三ナトリウムのうちの1種または複数種である。
【0014】
好ましくは、前記架橋剤の濃度は0.1%~5%である。
【0015】
好ましくは、前記浸漬温度は0~25℃、時間は5~300秒である。
【発明の効果】
【0016】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を有する。
【0017】
本発明は、相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺を提供し、デンプンベースの穀粉、第2のゲルネットワーク媒質および水から構成され、その製造方法には、デンプンベースの穀粉、第2のゲルネットワーク媒質および水を混合し、押出加工によって半製品の麺を形成し、架橋剤溶液に浸漬して前記押出穀物麺を得ることが含まれる。本発明は、正確な温度、圧力、水分および剪断制御を通じて、適切な糊化度および優れた品質を備えた押出デンプンベースの麺を製造する。本発明は、第2のゲルネットワーク媒質としてゼラチン状の多糖類およびタンパク質を使用し、そのゲル特性を使用して相互貫入ネットワークシステムを構築し、麺の品質を高め、デンプンベースの麺の欠陥を改善する。本発明は、麺水冷却システムをイオンおよびpH誘導架橋と組み合わせてゲルを形成し、架橋剤の冷水溶液を使用して押し出されたばかりのデンプンベースの麺を処理して、麺の品質を向上させる。結果は、本発明の相互貫入ネットワーク型押出穀物麺が良好な品質を有することを示している。相互貫入ネットワークの形成は、麺の再加熱時間、再熱損失および見かけの粘度を大幅に低減し、麺の食感および味を改善する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、比較例1および実施例1から2の麺の2000倍の倍率での断面微細構造図である。
【
図2】
図2は、比較例1および実施例1から2の麺の300倍の倍率での側面微細構造図である。
【
図3】
図3は、実施例2の麺の断面のSEM-mapping図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺を提供し、デンプンベースの穀粉が50%~70%、第2のゲルネットワーク媒質が0.2%~3.5%、水が28%~48%という質量百分率の原料から構成される。
【0020】
本発明において、前記原料成分の供給源は特に限定されておらず、この分野の従来の市販製品を使用すればよい。
【0021】
本発明において、前記デンプンベースの穀粉含有量は、好ましくは53%~67%、より好ましくは55%~65%であり、前記デンプンベースの穀粉は、好ましくは純粋な穀粉または様々な穀粉の混合物である。本発明では、穀粉の種類に特別な制限はなく、この分野での従来の穀粉を使用すればよい。本発明の具体的な実施例において、前記穀粉の種類にはそば粉が含まれる。
【0022】
本発明において、前記第2のゲルネットワーク媒質の含有量は、好ましくは0.2%~3.5%、より好ましくは0.7%~3%、さらにより好ましくは1.0%~2.5%である。前記第2のゲルネットワーク媒質は、好ましくは、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、高/低メトキシペクチン、コンジャクガム、大豆タンパク質分離物、ホエイタンパク質分離物、エンドウ豆タンパク質分離物、カゼイン、ゼラチンのうちの一種または複数種、より好ましくはカラギーナン、アルギン酸ナトリウム、高/低メトキシペクチン、コンジャクガム、大豆タンパク質分離物、およびカゼインのうちの一種または複数種である。本発明において、デンプンベースの穀粉、第2のネットワークゲル媒質および水を混合した後、押出加工により、適切な温度、圧力および剪断力の作用下で、デンプン顆粒を破壊および糊化し、デンプン分子鎖を溶出し、第2のネットワークゲル媒質は溶解する。半製品麺を架橋剤の冷水溶液に浸漬し、デンプン分子鎖を架橋・再配列して第1のゲルネットワークを形成すると同時に、架橋剤の誘導下で、第2のゲルネットワーク媒質はゲル化して第2のゲルネットワークを形成し、第1のゲルネットワークと第2のゲルネットワークと共に相互貫入ネットワークシステムを形成するので、デンプンベースの麺の欠点はそれに応じて改善される。
【0023】
本発明において、前記水の含有量は、好ましくは32%~46%、より好ましくは34%~44%である。本発明は、前記水に特別な制限はなく、通常、水道水、精製水、鉱泉水などのよく知られた食用水である。
【0024】
本発明はさらに、上記相互貫入ネットワークシステム型押出穀物麺の製造方法を提供し、デンプンベースの穀粉、第2のゲルネットワーク媒質および水を混合し、押出加工によって半製品の麺を形成し、架橋剤溶液に浸漬して前記押出穀物麺を得ることが含まれる。
【0025】
本発明において、前記混合は、好ましくは、最初にデンプンベースの穀粉を第2のゲルネットワーク媒質と混合し、フローポンプを介して押出機に水を注入するか、または最初に第2のゲルネットワーク媒質と水を混合して混合物を得て、次にデンプンベースの穀粉と混合することを含む。
【0026】
本発明において、前記押出装置は、好ましくは二軸スクリュー押出機であり、前記二軸スクリュー押出機の長さと直径の比は、好ましくは、(30~48):1、より好ましくは(34~45):1、さらにより好ましくは(38~42):1であり、前記二軸スクリュー押出機のダイヘッドは、丸型ダイヘッドまたは広型ダイヘッドであり、ここで、丸型ダイヘッドの直径は、0.5mm~4mm、好ましくは0.6mm~3.5mm、より好ましくは0.7mm~3mmであり、広型ダイヘッドの幅は0.5mm~10mm、好ましくは0.7mm~7mm、より好ましくは1mm~5mmであり、高さは0.1mm~4mm、好ましくは0.3mm~3mm、より好ましくは0.5mm~2mmである。押出工程では、ダイヘッドの形状とサイズによって麺の太さが決まるが、ダイヘッドを交換することで、押出機は、さまざまなサイズや形状の麺を押し出すことができる。本発明において、前記二軸スクリュー押出機の回転速度は、好ましくは60~240rpm、より好ましくは80~200rpm、さらにより好ましくは100~150rpmである。
【0027】
本発明において、前記二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配は、好ましくは(30~50)℃、(40~90)℃、(50~130)℃、(50~130)℃、(50~100)℃、(50~100)℃、より好ましくは40℃、60℃、120℃、90℃、80℃および80℃であり、前記二軸スクリュー押出機のダイヘッド温度は、好ましくは50~100℃、より好ましくは80℃である。
【0028】
本発明において、前記半製品麺のデンプン糊化度は、好ましくは65%~98%、より好ましくは75%~95%である。デンプンの糊化とは、加熱状態で、デンプン顆粒が水を吸収した後に膨潤するかまたは剪断力の作用によってデンプン顆粒が破壊し、アミロース分子の一部が溶出することを指す。デンプンが糊化した後、熱力学的に不安定なシステムになり、冷却後に構造が変化し、溶出したアミロースは、分子間相互作用と規則正しい巻き取りによってデンプンゲルを形成し、第1のゲルネットワークを形成する。本発明における相互貫入ネットワークの構築は、その場重合であり、すなわち、第1のネットワークが形成された後、第2のネットワークが重合されてゲルを形成する。したがって、第1のゲルネットワークは、デンプンベースの麺の主な支持体であるだけでなく、第2のゲルネットワークのその場重合の基礎でもある。より高い糊化度は、第1のゲルネットワーク構造をより完全にするだけでなく、相互貫入ネットワークシステム全体の形成を促進する。
【0029】
本発明において、前記架橋剤は、好ましくは乳酸カルシウム、塩化マグネシウム、乳酸亜鉛、塩化カルシウム、グルコノラクトン、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、およびクエン酸三ナトリウムのうちの1種または複数種、より好ましくは乳酸亜鉛、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、水酸化カルシウムである。本発明において、前記架橋剤の濃度は、好ましくは0.2%~5%、より好ましくは0.5%~3%である。本発明において、前記浸漬温度は、好ましくは0~25℃、より好ましくは4℃であり、時間は、好ましくは5~300秒、より好ましくは30秒である。本発明において、前記架橋剤は、第2のゲルネットワーク媒質の架橋を誘導し、デンプンベースの穀粉と第2のゲルネットワーク媒質混合粉末と共に水と押出機内で押し出し、ブレンドし、デンプンベースの穀粉が第1ゲルネットワークを形成した後、第2のゲルネットワーク反応媒質を包み、押出ダイから押し出された直後、架橋剤の冷水溶液に浸漬して、第2のネットワーク反応媒質の架橋を誘導し、相互貫入ネットワーク型押出穀物麺を得る。
【0030】
本発明において、浸漬後、それはまた、好ましくは、浸漬された半製品麺を乾燥または直接冷凍することを含む。
【0031】
本発明によって提供される技術的解決手段は、実施例を参照しながら以下に詳細に説明されるが、それらは、本発明の保護の範囲を制限するものとして理解することはできない。
【0032】
実施例1
60.67kgのそば粉、1.24kgのアルギン酸ナトリウム、38.09kgの水を秤量し、アルギン酸ナトリウムとそば粉を混合した後、二軸スクリュー無重力フィーダーを使用して混合粉末を二軸スクリュー押出機に追加し、プランジャーポンプを使用して二軸スクリュー押出機に水を追加し、二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配を40℃、60℃、120℃、90℃、80℃、80℃に設定し、ダイヘッド温度を80℃に設定し、ダイヘッドは直径1mmの丸型ダイヘッドで、二軸スクリュー押出機の回転速度は120rpmであり、原料を押し出した後、半製品の押出そばが得られ、半製品麺の糊化度は88.79%であり、半製品の押出そばを2%乳酸亜鉛水溶液に4℃で30秒間浸漬し、乾燥させた後に押出そばを得た。
【0033】
実施例2
51.8kgのそば粉、0.2kgのカラギーナン、48kgの水を秤量し、カラギーナンとそば粉を混合した後、二軸スクリュー無重力フィーダーを使用して、混合粉末を二軸スクリュー押出機に追加し、プランジャーポンプを使用して、二軸スクリュー押出機に水を追加し、二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配を40℃、60℃、120℃、90℃、80℃、80℃に設定し、ダイヘッド温度を80℃に設定し、ダイヘッドは幅3mm、高さ1mmの広型ダイヘッドで、二軸スクリュー押出機の回転速度は120rpmであり、原料を押し出した後、半製品の押出そばが得られ、半製品麺の糊化度は87.07%であり、半製品の押出そばを1%乳酸カルシウム水溶液に4℃で30秒間浸漬し、すぐに冷凍して押出そばを得た。
【0034】
実施例3
50kgのそば粉、2.5kgのキサンタンガム、1kgのコンジャクガム、46.5kgの水を秤量し、キサンタンガム、こんにゃくガム、そば粉を混合した後、二軸スクリュー無重力フィーダーを使用して、混合粉末を二軸スクリュー押出機に追加し、プランジャーポンプを使用して、二軸スクリュー押出機に水を追加し、二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配を30℃、40℃、50℃、50℃、50℃、50℃に設定し、ダイヘッド温度を50℃に設定し、ダイヘッドは直径0.5mmの丸型ダイヘッドで、押出機の回転速度は60rpmであり、原料を押し出した後、半製品の押出そばが得られ、半製品麺の糊化度は65%であり、半製品の押出そばを5%水酸化カルシウム水溶液に0℃で5秒間浸漬し、すぐに冷凍して押出そばを得た。
【0035】
実施例4
70kgのそば粉、2kgのメトキシペクチン、28kgの水を秤量し、メトキシペクチンとそば粉を混合した後、二軸スクリュー無重力フィーダーを使用して、混合粉末を二軸スクリュー押出機に追加し、プランジャーポンプを使用して、二軸スクリュー押出機に水を追加し、二軸スクリュー押出機のスクリュー押出温度勾配を50℃、90℃、130℃、130℃、100℃、100℃に設定し、ダイヘッド温度を100℃に設定し、ダイヘッドは幅0.5mm、高さ4mmの広型ダイヘッドで、二軸スクリュー押出機の回転速度は240rpmであり、原料を押し出した後、半製品の押出そばが得られ、半製品麺の糊化度は98%であり、半製品の押出そばを0.1%水酸化カルシウム水溶液に25℃で300秒間浸漬し、乾燥させた後に押出そばを得た。
【0036】
実施例5
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質が大豆タンパク質分離物であり、架橋剤がグルコノラクトンであり、ダイヘッドが直径4mmの丸型ダイヘッドであることを除いて、実施例1と同じである。半製品麺の糊化度は90.01%であった。
【0037】
実施例6
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質がホエイプロテイン分離物、架橋剤が塩化カルシウムであり、幅10mm、高さ0.1mmの広型ダイヘッドを使用することを除いて、実施例1と同じである。半製品麺の糊化度は88.03%であった。
【0038】
実施例7
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質がエンドウ豆タンパク質分離物であり、架橋剤が塩化マグネシウムであることを除いて、実施例1と同じである。半製品麺の糊化度は87.52%であった。
【0039】
実施例8
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質がカゼインとゼラチンであり、カゼインとゼラチンの質量比は1:1であり、4℃の冷水を通過させたことを除いて、実施例1と同じである。半製品の麺の糊化度が89.39%であった。
【0040】
実施例9
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質がι-カラギーナン、架橋剤がクエン酸三ナトリウムであることを除いて、実施例1と同じである。半製品麺の糊化度が86.33%であった。
【0041】
実施例10
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質がコンジャクガム、架橋剤が水酸化ナトリウムであることを除いて、実施例1と同じである。半製品麺の糊化度が87.56%であった。
【0042】
実施例11
発明を実施するための形態は、第2のゲルネットワーク媒質がエンドウ豆タンパク質分離物、架橋剤が塩化マグネシウムであることを除いて、実施例1と同じである。半製品麺の糊化度が88.64%であった。
【0043】
比較例1
操作ステップは、原料が61.91kgのそば粉と38.09kgの水であることを除いて、実施例1と同じである。
【0044】
実施例12
実施例1~11および比較例1の穀物麺の特性の測定
英国のStable Microsystemsによって製造されたTA-XT2iテクスチャーアナライザーを使用して、実施例1~2および比較例1で製造された穀物麺に対してTPA測定を実行し、AACC(2000)の方法66-50に従って麺の再熱損失率を計算し、実施例1~11および比較例1で製造した穀物麺の再熱損失、硬度および表面粘度の結果を表1および表2に示し、
図1および
図2に示すように、日本の日立製のTM-3000走査型電子顕微鏡を使用して、実施例1~2のゆで麺の微細構造を撮影し、OXFORD Xplore型エネルギー分光計を使用して、実施例2の元素分析スキャンを実行し、結果を
図3に示す。
【0045】
【0046】
【0047】
表1および表2の結果から、本発明の実施例1~2で製造した相互貫入ネットワーク型押出穀物麺は、比較例1と比較して再熱損失が56.46%~62.4%減少し、硬度が81.83%~129.75%増加し、表面粘度が40.58%~76.31%低下し、麺の口当たりがもっと歯ごたえになったことがわかる。
【0048】
図1から、比較例1の麺の断面構造は緻密であり、ゲルネットワーク構造の形成が不十分であり、断面には穴が多くて不規則であることがわかる。しかしながら、実施例1および実施例2から、麺のゲルネットワーク構造が十分に形成され、均一かつ完全であり、デンプンゲルネットワークメッシュ内にはフィラメント状の第2のゲルネットワークが架橋され、第2のゲルネットワークとデンプンゲルネットワークは織り交ぜられ、互いに散在していることが分かる。これは、実施例1~2の麺の構造が、比較例1の麺の構造よりも著しく優れていることを示している。
図2は、比較例1、実施例1~2の麺の表面の構造図である。また、図から、比較例の表面は、ほとんどが壊れたデンプン顆粒によって架橋されたデンプンの破片であることがはっきりとわかる。しかしながら、実施例1および2の両方において、麺の表面上の微細なゲルネットワーク構造が明確に見出され得る。実施例1~2の麺の断面および表面の良好な微細構造は、表1および表2の麺の再熱損失および見かけの粘度の大幅な減少をもたらし、テクスチャー特性が改善された。
図3のSEM-mapping図から、麺の内部が二重ネットワークによって交互に散在し、織り交ぜられていることがわかる。相互貫入ネットワークシステムの構築により、デンプンベースの穀物麺の品質特性が大幅に向上する。
【0049】
本発明により提供される相互貫入ネットワーク型押出穀物麺は、比較例1と比較して、再熱損失、硬度、表面粘度、および口当たりの点でも、大幅な改善を有することが分かる。したがって、本発明によって提供される相互貫入ネットワーク型押出穀物麺は、大きな応用の見通しおよび商業的価値を有する。
【0050】
上記は、本発明の好ましい実施形態にすぎない。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、いくつかの改善および修正を行うことができ、これらの改善および修正は、また、本発明の保護範囲と見なされるべきである。