(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033060
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】微粒子ゲルマニウムを含む機能性マイクロカプセル及びこれを含む機能性繊維生地
(51)【国際特許分類】
B01J 13/20 20060101AFI20230302BHJP
D06M 23/08 20060101ALI20230302BHJP
D06M 11/46 20060101ALI20230302BHJP
D06M 11/83 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
B01J13/20
D06M23/08
D06M11/46
D06M11/83
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021185381
(22)【出願日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0112817
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518059956
【氏名又は名称】ラシュバン・コーリア・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シ-ヨン
【テーマコード(参考)】
4G005
4L031
【Fターム(参考)】
4G005AA01
4G005BA12
4G005DA04W
4G005DD27Y
4G005DD27Z
4G005EA07
4L031AA02
4L031AA22
4L031AB31
4L031DA13
(57)【要約】
【課題】様々な生理活性特徴を有するゲルマニウム成分を内部に含有するように加工される機能性マイクロカプセル、及び該機能性マイクロカプセルが適用された機能性繊維生地を提供すること。
【解決手段】機能性マイクロカプセルは、親油性オイルと、前記オイルに分散している微粒子のゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末と、前記ゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末が分散しているオイルを内部に含有するポリマー材質のマイクロカプセル外壁とを含む。これにより、従来のゲルマニウム使用の際に問題点として指摘されている耐洗濯性及び水洗耐久性の問題を解決し、各種の媒質への付着及び固着作業を容易にすることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親油性オイルと、前記オイルに分散している微粒子のゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末と、前記ゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末が分散しているオイルを内部に含有するポリマー材質のマイクロカプセル外壁と、を含む
ことを特徴とする機能性マイクロカプセル。
【請求項2】
前記マイクロカプセル外壁がメラミン、メラミン-尿素-ホルマリン(MUF)、メラミン-ホルムアルデヒド(MF)、及び尿素-ホルマリン(UF)のうちのいずれか一つの材質からなる
請求項1に記載の機能性マイクロカプセル。
【請求項3】
前記マイクロカプセル外壁が生分解性ポリマー材質からなる
請求項1に記載の機能性マイクロカプセル。
【請求項4】
前記生分解性ポリマーがPLA(ポリ乳酸)またはPCL(ポリカプロラクトン)である
請求項3に記載の機能性マイクロカプセル。
【請求項5】
前記オイルが機能性オイルである
請求項1に記載の機能性マイクロカプセル。
【請求項6】
請求項1に記載の機能性マイクロカプセルがバインダーを介して繊維生地に付着している
ことを特徴とする機能性繊維生地。
【請求項7】
前記マイクロカプセルのサイズは10~20μmであり、
前記ゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末のサイズは1μm以下である
請求項6に記載の機能性繊維生地。
【請求項8】
前記繊維生地がリオセル94%、ポリウレタン6%の混合糸からなる
請求項7に記載の機能性繊維生地。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な生理活性特徴を有するゲルマニウム成分を内部に含有するように加工される機能性マイクロカプセル、及び該機能性マイクロカプセルが適用された機能性繊維生地に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ゲルマニウムは、主に土壌中に多くあり、植物にも、薬水にも含まれている。ゲルマニウムは、独特にも、人体に有用な効能、例えば、円滑な酸素供給の促進、免疫機能の強化、エンドルフィンの生成、疼痛の除去などを持っている。このようなゲルマニウムを摂取するだけでも様々な種類の効果を得ることが可能であると知られている。
【0003】
ゲルマニウムの最も根幹となるメカニズムは、(1)酸素充足、(2)毒素除去、(3)活性酸素除去、(4)グルタチオンレベルアップを介して作用する。この4つのメカニズム作用は、優先的に免疫機能を活性化し、活性化された免疫機能は、様々な方面で効果を示す根幹となる。
【0004】
既知の如く、非常に有用かつ有意な有益機能を有するゲルマニウムは、自然界で採取したゲルマニウム原石を粉砕または加工処理して使用するか、或いはゲルマニウム原石から分離抽出したゲルマニウム酸化物を主に使用する。
【0005】
ゲルマニウム原石の場合、実際に含まれた含有量はごく少量である。原石自体を加工処理して使用する場合は、医療機能を目的とする各種の携帯用品(ネックレス、ブレスレット、指輪などのアクセサリー類)や寝具類などに付着して使用される用途などである。
高純度のゲルマニウムを用いて様々な媒質に使用する場合には、特に、耐水堅牢度、耐洗濯性などの問題が発生する。
【0006】
つまり、高純度のゲルマニウムの場合、ゲルマニウム酸化物(二酸化ゲルマニウム)の形で使用するが、繊維を始めとする各種の媒質にこのような高純度の酸化ゲルマニウムを付着加工するためには必須に耐水性が要求される。特に、衣類・繊維生地加工などの場合、このような耐水性、耐洗濯性は非常に主要な物理的評価基準になるためである。
【0007】
ところが、実際にこのようなゲルマニウム酸化物を加工処理した各種の繊維生地、衣類の場合は、耐洗濯性が非常に脆弱である。このような理由は、酸化ゲルマニウムの場合、低濃度状態で水に対する溶解度特性があるためである。酸化ゲルマニウムの水に対する溶解度特性は、常温(25℃)で約0.4~0.5%程度であり、100℃の高温では約1~1.1%程度の溶解度を有する。
【0008】
繊維生地加工処理は、数ppm乃至数百ppm単位の濃度に加工処理する場合が大部分であるが、このように低濃度で酸化ゲルマニウムを繊維生地に加工処理する場合、洗濯などの水洗工程で上述のような酸化ゲルマニウムの溶解度特性により溶解して流出する。このような理由により、酸化ゲルマニウムの繊維加工の際に洗濯堅牢度の脆弱性が問題となるので、繊維生地への使用に限界がある。
【0009】
現在市販されている大部分のゲルマニウム加工処理生地の場合は、かかる問題点を持っている。もちろん、ゲルマニウム原石を小片に加工して生地に付着させる場合には、このような水に対する溶解度に対して長期的な持続性を有するが、この場合には加工の限界と制約がある。すなわち、柔らかくて柔軟な生地に均一に塗布された状態のゲルマニウム含有生地を加工処理するには現在多くの制約がある現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許登録第10-1925995号(公告日:2018年12月6日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来のゲルマニウム使用の際に問題点として指摘されている耐洗濯性及び水洗耐久性の問題を解決し、各種の媒質への付着及び固着作業を容易にするゲルマニウムを含む機能性マイクロカプセル、及び該機能性マイクロカプセルを含む機能性繊維生地を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、従来のゲルマニウム酸化物を各種の機能性オイルに分散処理加工した後、これをマイクロカプセル化加工処理することにより、各種の様々な媒質に付着できるようにする方案を提示する。これから、特に繊維、衣類などの分野への適用時に従来の酸化ゲルマニウム加工処理された製品が持っていた耐洗濯性、耐水性の問題を解決することができる。また、酸化ゲルマニウムの分散溶媒として使用される機能性オイルの固有特性による複合的な相乗効果までも期待することができる。
【0013】
本発明に使用されるゲルマニウムは、純粋なゲルマニウム原石の粉末を用いるか、或いは高純度のゲルマニウム酸化物(二酸化ゲルマニウム)を用いることができる。
【0014】
ゲルマニウムを分散させる分散溶媒として使用される機能性オイルとしては、様々な種類のオイルを用いることができる。例えば、生理活性目的に多く使用されるフィトンチッドオイルを始めとして、ヒノキオイルなどの香油の種類と、MCTオイル、ココナッツオイル、オリーブオイルなどの様々なオイル類を使用することができる。このような分散溶媒として使用されるオイル類は、上記の範囲に限定されず、様々に選択的に使用することができる。参考までに、MCTオイルにおけるMCTは、中鎖トリグリセリド(Medium-Chain Triglyceride)であって、中鎖脂肪酸である。最近、健康補助食品及び美容オイルとして幅広く使用されている。
【0015】
本発明では、各種の機能性オイルにゲルマニウムが微粒分散処理されたものをマイクロカプセル工程を用いてマイクロカプセル加工処理する。このとき、マイクロカプセルの大きさは、使用用途や目的に応じて選択的に調節して使用することができる。すなわち、繊維の場合は、繊維の起毛状態、厚さ、表面の硬度、及び一緒に使用される機能性オイルの徐放性程度などを考慮して決定することができる。
【0016】
また、本発明は、マイクロカプセルの外壁の材質も様々な材質を選択して加工処理することができる。最も基本的には、メラミン、メラミン-ホルムアルデヒド、尿素ポリマーを主に使用する材質のマイクロカプセル、PLA、PCL、ゼラチンなどの材質を使用する生分解性特性のマイクロカプセルなどを使用することができる。
【0017】
一方、本発明は、ゲルマニウムと共に使用されるMCTオイル(Medium-Chain Triglyceride)の場合、他の機能性オイルと一緒に使用することにより、ゲルマニウムをオイル溶媒で微粒分散させるための分散剤として作用するようにすることもできる。ところが、使用する機能性オイル溶媒の特性に応じて分散性能が所望の粒度に達しなくなる場合、溶剤用分散剤を一緒に使用することができる。
【0018】
以上説明した特徴から、本発明は、親油性オイルと、前記オイルに分散した微粒子のゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末と、前記ゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末が分散したオイルを内部に含有するポリマー材質のマイクロカプセル外壁とを含む、機能性マイクロカプセルを提供する。
【0019】
ここで、前記マイクロカプセル外壁は、メラミン、メラミン-尿素-ホルマリン(MUF)、メラミン-ホルムアルデヒド(MF)、及び尿素-ホルマリン(UF)のうちのいずれか一つの材質からなることができる。
【0020】
または、前記マイクロカプセル外壁は、生分解性ポリマー材質からなってもよい。このとき、前記生分解性ポリマーは、PLA(ポリ乳酸)またはPCL(ポリカプロラクトン)であり得る。
【0021】
さらに、前記オイルは機能性オイルであってもよい。
【0022】
また、本発明は、上述した機能性マイクロカプセルがバインダーを介して繊維生地に付着していることを特徴とする機能性繊維生地を提供する。
【0023】
ここで、マイクロカプセルのサイズは10~20μmであり、この場合、前記ゲルマニウム原石粉末またはゲルマニウム酸化物粉末のサイズは1μm以下であることが好ましい。
【0024】
また、前記繊維生地は、リオセル94%、ポリウレタン6%の混合糸からなることができる。
【発明の効果】
【0025】
上述したように、本発明によれば、酸化ゲルマニウムを各種機能性オイルに微粒化して分散処理加工を行い、さらにこのような機能性オイルに分散しているゲルマニウム含有オイルをマイクロカプセル化加工処理することにより、ゲルマニウムが外部の水分から隔離されるようにすることにより、水に対する溶解度の問題を解決することができる。
【0026】
つまり、マイクロカプセル内部の機能性オイルに分散している酸化ゲルマニウムを用いて繊維に付着加工処理すると、マイクロカプセル内部のオイルに分散加工処理された微粒化ゲルマニウムは、洗濯時に水に直接露出せず、カプセルの外壁と内部オイルの親油性に起因する水分との反発力によってもっと安定化される性質が発揮されるため、非常に優れた耐水堅牢度を持つことができる。
【0027】
また、このようにカプセルの内部に微粒分散しているゲルマニウム粒子と共に使用される内部オイルの選択的使用により、マイクロカプセル内部の機能性オイル固有の特性による複合的な相乗効果を期待することもできる。
【0028】
また、本発明による微粒子ゲルマニウム酸化物を含む機能性マイクロカプセルは、機能性繊維生地として衣類に適用される用途の他にも、各種の様々な媒質への付着適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施例による微粒子ゲルマニウム酸化物を含む機能性マイクロカプセルの模型図である。
【
図2】本発明の実施例による微粒子ゲルマニウム酸化物を含む機能性マイクロカプセルの製造工程図である。
【
図3】本発明の実施例に適用された前記微粒子ゲルマニウム酸化物の分散粒度の分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施例による微粒子ゲルマニウム酸化物を含む機能性マイクロカプセル1は、
図1に示すように、オイル12に分散している微粒子ゲルマニウム酸化物10が前記オイル12と一緒にマイクロカプセル外壁13に収容されて外部から遮断された構造が達成される。
【0031】
マイクロカプセル外壁13は、ポリマー(polymer)材質で実現が可能であり、具体的にはメラミン、メラミン-ホルムアルデヒド、尿素ポリマーを主に使用する材質で構成することができる。
【0032】
或いは、マイクロカプセル外壁13は、環境に優しく且つ皮膚への刺激が低くて人体に優しい生分解性ポリマーで材質を構成することができる。このような例として、PLA(ポリ乳酸)、PCL(ポリカプロラクトン)、ゼラチンなどが挙げられる。PLAは、トウモロコシから抽出した環境調和型生分解性樹脂であって、環境ホルモンや重金属が検出されない安全な高分子物質である。また、土壌に排出したときに自然界で自然に100%生分解される環境調和型高分子物質である。PCLもPLA、PLGAなどと共に幅広く使用される環境調和型生分解性ポリマーである。このような生分解性ポリマーのマイクロカプセル化の場合、液中乾燥法(溶媒蒸発法(Solvent Evaporation))を用いたマイクロカプセル加工を行う。
【0033】
ゲルマニウム酸化物を分散させるオイル12は、非常に多様で広範囲に選択して使用することができる。香油、有機油類、各種溶媒類、天然物(例えば、フィトンチッド)、鉱油など、非常に多様な親油性物質を選択して使用することができる。例えば、生理活性的に多く使用されるフィトンチッドオイルを始めとしてヒノキオイルなどの香油の種類とMCTオイル、ココナッツオイル、オリーブオイルなどの非常に多様なオイル類を使用することができる。参考までに、前記MCTオイルは、中鎖トリグリセリド(Medium-Chain Triglyceride)であって、中鎖脂肪酸であり、最近健康補助食品及び美容オイルとして幅広く使用されている。
【0034】
ゲルマニウム酸化物をこのような親油性オイルに微細に分散加工処理するためには、最も単純にはオイル自体にゲルマニウム酸化物を微細に加工分散させることが好ましく、もしこのように選択されたオイルの特性により微分散が困難な場合、分散剤を一緒に使用することができる。
【0035】
特に、オイル12が分子単位の液状または気化によりマイクロカプセル外壁13を通過する徐放性を発揮することができるので、このような徐放性を活用するために前記オイル12を機能性オイルで構成することもできる。例えば、フィトンチッドオイルを適用する場合、基本的なゲルマニウムによる効能に加えて、フィトンチッド固有のアロアセラピー、消臭、脱臭、抗菌機能を一緒に発現することができる。この他にも、わさびオイルを始めとしてさまざまな機能性オイルを用いて、オイル本来の固有機能を活用することができる。
【0036】
オイル12に分散する微粒子ゲルマニウムは、高純度のゲルマニウム酸化物10、すなわち二酸化ゲルマニウムの形で適用されることができ、或いは、それに代えて、微粒化された純粋なゲルマニウム原石粉末が適用されることもできる。
【0037】
ゲルマニウム酸化物10の分散粒子のサイズ、すなわち粒度は、
図3に示すように、既に1.0μm以内でオイル12によって100%分散可能であるので、その範囲内で分散粒度を持つように形成すれば十分である。
【0038】
機能性マイクロカプセル1のサイズは、10~20μmの範囲に設定することが好ましい。カプセルのサイズが大きい場合には、外部からの衝撃により容易に破れることがあり、洗濯の際に繊維から容易に脱落することがあるので、堅牢度が低下するおそれがある。実験によれば、カプセルのサイズが10~15μmであるとき、上述のように粒度1.0μm以内のゲルマニウム酸化物10を収容するのに十分であることが確認された。
【0039】
上述した構成から、オイル12に分散して分布するゲルマニウム酸化物10は、オイル12に溶解していない状態のまま維持されることができ、マイクロカプセル外壁13によって外部との遮断状態が維持されるので、水に対する溶解度の問題を解決することができる。
【0040】
[製造方法の実施例]
1.ゲルマニウム粒子
通常99%以上のゲルマニウムを使用する。使用されたゲルマニウムは、米国Germanium Corporation社製の純度99.999%のゲルマニウム酸化物(GeO
2)を使用した(
図2のS2)。
【0041】
2.分散加工
まず、フィトンチッドオイル500gとMCTオイル300gとを混合する(S1)。混合されたオイルにゲルマニウム酸化物粉末200gを投入した後、300rpm以内の速度で十分に攪拌する(S3)。
【0042】
混合されたゲルマニウム分散液を高速分散装備に移し、10時間以上所望の粒度に達するまで分散処理する。その後、所望の粒度(D90:2μm)に達すると、少なくとも3時間追加分散させることで粒度の吸着性及び安定性を付与して分散を完了する(S4)。
【0043】
このとき、使用する分散装備としては、NETZSCH MILL或いはDYNO MILLなどを使用することができる。使用される分散用ビーズは、直径0.3mmのジルコニウムビーズを使用した。分散装備は、上記の装備の他にも選択して使用することができる。
【0044】
このような分散作業の際に、MCTオイルの場合は、分散溶媒の役割と分散剤の特性を同時に発揮することができる。しかし、より小さい粒子を所望するか、或いは分散後の分散保存安定性などを要求する場合、追加的な分散剤を使用することができる。使用量は、ゲルマニウム酸化物の使用量の約10%重量範囲以内であることが好ましい。
【0045】
3.M-F型マイクロカプセルの製造
3-1.乳化剤の製造工程
スクリプトセット520(Scripset 520:Solenis社製)50gを水950gに分散させる。苛性ソーダ6.5gを投入し、徐々に加熱して90℃まで加熱する。その後、約30分間温度を維持して完全溶解させる。その後、冷却し、200メッシュのフィルターを用いて濾過した後、常温に保管する。
【0046】
3-2.乳化工程
上記で製造された乳化剤溶液550gを2Lの容器ビーカーに投入する。このとき、ホモミキサーを用いて800rpm程度の回転速度を維持する。
【0047】
ここに、上記2.で製造したゲルマニウム酸化物分散溶液200gを徐々に投入する。完全投入完了後、ホモミキサーの攪拌速度を4000~7000rpmに増加させて乳化を行う(S5)。十分かつ安定した乳化が進んだか、顕微鏡やペーパーテスト(Paper Test)などを介して確認する。
【0048】
3-3a.メラミン-尿素初期縮合ポリマーの組成及び準備
水130gを500mLのビーカーに投入する。苛性ソーダ1%溶液を用いて初期pHを約8~10の範囲に調節する。ここにホルマリン35%50g、メラミン粉末70g及び尿素7gを投入する。配合物を十分に攪拌しながら温度を徐々に上昇させる。約10~15分間加熱して温度が60℃程度に達するまで攪拌しながら加熱する。60~65℃の温度範囲を維持しながら攪拌し続ける(S6)。
【0049】
3-3b.尿素初期縮合ポリマーの組成及び準備
水130gを500mLのビーカーに投入する。苛性ソーダ1%溶液を用いて初期pHを約8~10の範囲に調節する。ここにホルマリン35%30g、尿素60gを投入する。配合物を十分に攪拌しながら温度を徐々に上昇させる。約10~15分間加熱して温度が60℃程度に達するまで撹拌しながら加熱する。60~65℃の温度範囲を維持しながら撹拌し続ける。
【0050】
3-4.マイクロカプセル化の進行
上記3-2.で準備されたゲルマニウム酸化物分散液の乳化反応器に、上記3-3a.または上記3-3b.で準備されたメラミン-尿素初期縮合ポリマーまたは尿素初期縮合ポリマーを投入する。以後、5000rpm以上を維持し、30分以内に温度を75℃まで上昇させる。
【0051】
このとき、反応進行による粘度上昇に留意し、十分な攪拌状態となるように維持する。約1時間後にホモミキサーを除去し、一般的な撹拌機を用いて温度を維持し、500~1000rpmを維持しながら5時間以上撹拌し続ける(S7)。
【0052】
その後、加熱を停止し、5%クエン酸溶液30gを徐々に投入する。常温に冷却されるまで撹拌し続ける(S8)。水を加えて全重量を1000gに調節する。
【0053】
十分に冷却した後、100メッシュの網に濾過することにより、反応中に生成された顆粒の粒子を除去して使用する(S9)。
【0054】
4.生分解性ポリマーマイクロカプセルの製造
4-1.PLA溶液の製造
PLA30gを塩化メチレン溶剤470gに溶解させる。まず、準備されたガラス瓶に塩化メチレン溶剤470gを投入し、PLA30gを投入した後、入口を密封し、ボールミル装置で24時間回転させながら溶解させる。
4-2.PLA外壁カプセルの製造
【0055】
上記3-1.で製造された乳化剤350gを水550gに混合し、SDS(Sodium dodecyl sulfate)2gを溶解させる。300~500RPMの攪拌速度を維持する。ここに、上記2.で分散加工処理したゲルマニウム酸化物オイル100gを注射器を用いて徐々に投入する。オイルの投入後、撹拌速度を約1000~を1500rpmに維持する。
【0056】
投入されたゲルマニウム酸化物分散オイルが安定化されると、定量ポンプを用いて、上記4-1.で準備されたPLA溶液液300gを乳化溶液に徐々に投入する。このとき、投入速度は5~7g/min程度で投入する。PLA溶液投入の際に、乳化溶液の温度は25℃以下を維持する。PLA溶液が完全に投入されると、温度を徐々に上昇させる。このとき、温度は0.5℃/minの速度で非常にゆっくり上昇させる。温度が約35に達すると、約5時間以上この状態を維持しながら撹拌する。再び温度を徐々に45℃まで上昇させ、3時間以上攪拌する。最終的に、反応溶液の重量が略1000g程度になる。このとき、最終質量は、攪拌をさらに進行するか或いは水を添加して合わせる。
100メッシュの網に濾過した後で使用する。
【0057】
4-3.PCL外壁カプセルの製造
上記4-1.及び4-2.に説明されたPLA外壁カプセル工程と同一であるが、外壁物質をPCLに変更して試行する。
【0058】
5.機能性繊維生地の加工
5-1.繊維加工用組成物の製造
上記3.または4.で製造されたゲルマニウム酸化物含有マイクロカプセルを用いて繊維加工用組成物を製造する。前記製造されたマイクロカプセルの種類に応じて、下記表1に示された比率で水性アクリルバインダー及び水と混合して製造する。
【0059】
【0060】
前記表1で使用される水性アクリルバインダーは、水性エマルジョン系バインダーを使用する。本実施例では、(株)HansongのBinder ARを使用した。水性バインダーは、この他に、Binder AR-250、AR-820S、HanBinder NF-300など、繊維生地と目的に応じて市販の多様な種類の水性バインダーを選択して使用することができる。
【0061】
5-2.繊維生地への付着
使用した生地は、リオセル94%とポリウレタン6%との混合繊維を使用した。このような混合繊維は、水性加工の際に粒子の繊維付着力が良くないため、このような実験を行って洗濯前後の堅牢度を比較測定することによりその効果を把握するのに非常に効果的である。すなわち、このような構成の混合糸に対する耐洗濯性に優れる場合、その他の繊維にはさらに良い洗濯耐久性を持つことができると予想できる。
【0062】
繊維への付着方式としては浸漬方式を用いた。圧着マングルを用いて繊維生地にマイクロカプセルを付着加工処理した。
その後、150℃以下の乾燥チャンバで乾燥させて完成した。
【0063】
ゲルマニウム酸化物含有マイクロカプセルが繊維生地に付着した様子は、上記の背景技術に記載された先行技術文献である韓国特許登録第10-1925995号に開示されているのと類似である(該当登録特許公報第11頁の
図5を参照)。
【0064】
下記の表2は、ゲルマニウム酸化物を初期に機能性オイルに微細分散加工処理し、これを用いてマイクロカプセルを加工した後、繊維生地に加工処理したものと、このような加工工程を経ることなくゲルマニウム酸化物粉末を直接使用して繊維生地に同一の方法で加工処理したものの耐洗濯堅牢度を測定し、比較したものである。繊維に付着した残留ゲルマニウムの濃度測定は、ICP-EOSを用いた。
【0065】
【0066】
※繊維生地成分:リオセル94%、ポリウレタン6%
※洗濯堅牢度試験は、機械洗濯(30℃)水平網乾燥KS K ISO 6330:2012によって実験した。
【0067】
上記表2の内容のうち、マイクロカプセル外壁物質の場合、メラミン-尿素-ホルマリン(MUF-Type)の材質を用いてマイクロカプセル外壁を形成して加工処理した生地の耐洗濯性が最も優れた。尿素-ホルマリン(UF-Type)の場合、尿素-ホルマリンポリマーの特性上、耐水性がやや脆弱であることが原因であると判断される。
【0068】
生分解性マイクロカプセルとして、PLAとPCLを外壁物質として用いて加工処理した場合には、上述したMUF-Type、UF-Typeに比べて耐洗濯性が多少低下することが確認される。これは、PLA、PCLポリマーと繊維との付着性がMUF、UFに比べて劣る特性の差異により発生した結果と見られる。
【0069】
上記表2のように、耐洗濯性試験において、初期5回までの洗濯では、顆粒のカプセル粒子或いは不完全付着状態のカプセル粒子が脱落して残留ゲルマニウムの濃度が容易に低下することを確認することができる。しかしながら、以後、しっかりと付着したカプセル粒子は、繊維生地に残留し続けることにより、その機能を維持する。
【0070】
これと比較して、マイクロカプセル加工処理を施していないゲルマニウム酸化物粒子をそのまま繊維生地に加工処理する場合、洗濯時に濃度が急激に低下することが見られる。これは、ゲルマニウム酸化物粒子と繊維との単純な付着問題だけでなく、ゲルマニウム酸化物が水に対する微細な溶解度により溶解されて消失したことにも起因すると見られる。よって、本発明は、このようなゲルマニウム酸化物の物理的特性(溶解性)問題を解決するために、初期にゲルマニウム酸化物をオイルなどの親油性環境に微粒分散させ、これを用いて微細油滴を形成させてマイクロカプセル化加工処理することにより、二重的な保護効果を持つように新しい物性を付与することができた。
【0071】
つまり、初期に分散したオイル環境によって微細ゲルマニウム粒子を親水環境から保護し、再び微細油滴の外壁を高分子物質で加工処理することにより、もう一回外部環境から安定化された状態の微粒化ゲルマニウム酸化物を維持することができた。
【0072】
一方、以上で説明された微粒子ゲルマニウム酸化物を含む機能性マイクロカプセル及びこれを含む機能性生地は、本発明の理解を助けるための一実施例に過ぎないので、本発明の権利範囲は請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0073】
1 機能性マイクロカプセル
10 微粒子ゲルマニウム酸化物
12 オイル
13 マイクロカプセル外壁