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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033080
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】動物健康管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 29/00 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022042617
(22)【出願日】2022-03-17
(62)【分割の表示】P 2022504232の分割
【原出願日】2021-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】515158272
【氏名又は名称】株式会社PECO
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 純
(57)【要約】
【課題】飼育者が動物の健康状態を早期に把握することができるようにする。
【解決手段】動物の健康を管理するシステムであって、動物の健康状態に関連する第1の質問に対する回答を入力データとし、獣医療従事者が指定した第1の質問の次に行うべき第2の質問を教師データとして機械学習により作成された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、第1の質問を飼い主端末に送信する問診送信部と、飼い主端末から第1の質問に対する回答を受信する回答受信部と、回答を学習モデルに与えて第2の質問を求める推論部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の健康を管理するシステムであって、
前記動物の健康状態に関連する第1の質問に対する回答を入力データとし、獣医療従事者が指定した前記第1の質問の次に行うべき第2の質問を教師データとして機械学習により作成された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記第1の質問を飼い主端末に送信する問診送信部と、
前記飼い主端末から前記第1の質問に対する前記回答を受信する回答受信部と、
前記回答を前記学習モデルに与えて前記第2の質問を求める推論部と、
を備えることを特徴とする動物健康管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデル記憶部は、動物種ごとに前記学習モデルを記憶し、
前記推論部は、前記動物の前記動物種に対応する前記学習モデルに対して前記回答を与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデル記憶部は、動物種と、品種、体重、体重ランク、年齢及び年代の少なくともいずれかとに対応付けて前記学習モデルを記憶し、
前記推論部は、前記動物の前記動物種と、前記動物の前記品種、前記体重、前記体重ランク、前記年齢及び前記年代の少なくともいずれかとに対応する前記学習モデルに対して前記回答を与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記回答及び動物種を前記入力データとして学習されたものであり、
前記推論部は、前記動物の前記動物種と前記回答とを前記学習モデルに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記回答と、前記動物種と、品種、体重、体重ランク、年齢及び年代の少なくともいずれかとを前記入力データとして学習されたものであり、
前記推論部は、前記動物の前記動物種と、前記回答と、前記動物の前記品種、前記体重、前記体重ランク、前記年齢及び前記年代の少なくともいずれかとを前記学習モデルに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記獣医療従事者が判断した前記動物の前記健康状態をさらに前記入力データに加えて学習されたものであり、
前記回答を前記獣医療従事者に対して出力し、前記獣医療従事者から前記健康状態の入力を受け付ける健康状態取得部をさらに備え、
前記推論部は、前記学習モデルに、入力された前記健康状態をさらに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記動物についての検査結果をさらに前記入力データに加えて学習されたものであり、
前記動物についての前記検査結果を取得する検査結果取得部をさらに備え、
前記推論部は、前記学習モデルに、取得した前記検査結果をさらに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の動物健康管理システムであって、
前記飼い主端末から受信した前記回答を記憶する回答履歴記憶部をさらに備え、
前記学習モデルは、タイムラグを含む前記回答を前記入力データに含んで学習されたものであり、
前記推論部は、前記回答履歴記憶部に記憶されている前記回答及び現時点からの前記タイムラグを前記学習モデルに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物健康管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークを介して問診を行うことが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2004/104880号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に問診は患者が自覚症状を感じたときに行われる。しかしながら、獣医療においては飼育者が健康状態を把握する必要がある。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、飼育者が動物の健康状態を早期に把握することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、動物の健康を管理するシステムであって、前記動物の健康状態に関連する第1の質問に対する回答を入力データとし、獣医療従事者が指定した前記第1の質問の次に行うべき第2の質問を教師データとして機械学習により作成された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、前記第1の質問を飼い主端末に送信する問診送信部と、前記飼い主端末から前記第1の質問に対する前記回答を受信する回答受信部と、前記回答を前記学習モデルに与えて前記第2の質問を求める推論部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、飼育者が動物の健康状態を早期に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の定期検診システムの全体構成例を示す図である。
図2】管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。
図3】管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態の定期検診システムの動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
動物の健康を管理するシステムであって、
前記動物の健康状態に関連する第1の質問に対する回答を入力データとし、獣医療従事者が指定した前記第1の質問の次に行うべき第2の質問を教師データとして機械学習により作成された学習モデルを記憶する学習モデル記憶部と、
前記第1の質問を飼い主端末に送信する問診送信部と、
前記飼い主端末から前記第1の質問に対する前記回答を受信する回答受信部と、
前記回答を前記学習モデルに与えて前記第2の質問を求める推論部と、
を備えることを特徴とする動物健康管理システム。
[項目2]
項目1に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデル記憶部は、動物種ごとに前記学習モデルを記憶し、
前記推論部は、前記動物の前記動物種に対応する前記学習モデルに対して前記回答を与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
[項目3]
項目2に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデル記憶部は、動物種と、品種、体重、体重ランク、年齢及び年代の少なくともいずれかとに対応付けて前記学習モデルを記憶し、
前記推論部は、前記動物の前記動物種と、前記動物の前記品種、前記体重、前記体重ランク、前記年齢及び前記年代の少なくともいずれかとに対応する前記学習モデルに対して前記回答を与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
[項目4]
項目1に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記回答及び動物種を前記入力データとして学習されたものであり、
前記推論部は、前記動物の前記動物種と前記回答とを前記学習モデルに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
[項目5]
項目4に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記回答と、前記動物種と、品種、体重、体重ランク、年齢及び年代の少なくともいずれかとを前記入力データとして学習されたものであり、
前記推論部は、前記動物の前記動物種と、前記回答と、前記動物の前記品種、前記体重、前記体重ランク、前記年齢及び前記年代の少なくともいずれかとを前記学習モデルに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
[項目6]
項目1ないし5のいずれか1項に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記獣医療従事者が判断した前記動物の前記健康状態をさらに前記入力データに加えて学習されたものであり、
前記回答を前記獣医療従事者に対して出力し、前記獣医療従事者から前記健康状態の入力を受け付ける健康状態取得部をさらに備え、
前記推論部は、前記学習モデルに、入力された前記健康状態をさらに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
[項目7]
項目1ないし6のいずれか1項に記載の動物健康管理システムであって、
前記学習モデルは、前記動物についての検査結果をさらに前記入力データに加えて学習されたものであり、
前記動物についての前記検査結果を取得する検査結果取得部をさらに備え、
前記推論部は、前記学習モデルに、取得した前記検査結果をさらに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
[項目8]
項目1ないし7のいずれか1項に記載の動物健康管理システムであって、
前記飼い主端末から受信した前記回答を記憶する回答履歴記憶部をさらに備え、
前記学習モデルは、タイムラグを含む前記回答を前記入力データに含んで学習されたものであり、
前記推論部は、前記回答履歴記憶部に記憶されている前記回答及び現時点からの前記タイムラグを前記学習モデルに与えること、
を特徴とする動物健康管理システム。
【0011】
<システムの概要>
以下、本発明の一実施形態に係る定期検診システムについて説明する。本実施形態の定期検診システムは、動物の定期検診を支援しようとするものである。
【0012】
本実施形態の定期検診システムは、獣医療機関側からペット等の動物の飼い主に対して定期的な問診を行うことにより、動物の健康状態、とくに来院の要否(トリアージ)を判断しようとするものである。本実施形態では、AIを用いて問診の内容を自動的に決定することができる。AIは、例えば、事前に準備されている質問のうち次に行うべき質問を決定する分類器とすることができる。AIには、獣医師等の獣医療従事者が手動で決定した質問を学習した学習モデルを用いることができる。また、本実施形態の定期検診システムでは、学習モデルは動物種ごとに作成されるものとするが、AIの学習にあたり動物種を入力データとして与えるようにすることもできる。また、AIの学習にあたり、飼い主が動物の特定部位を撮影した画像を入力データとして与えることができる。
【0013】
図1は、本実施形態の定期検診システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の定期検診システムは、管理サーバ20を含んで構成される。管理サーバ20は、飼い主端末10および医療機関端末30とのそれぞれに対して通信ネットワーク40を介して通信可能に接続される。通信ネットワーク40は、たとえばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0014】
飼い主端末10は、動物の介護者(飼い主または世話をしている人)が操作するコンピュータである。飼い主端末10は、たとえば、スマートフォンやタブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどである。飼い主端末10は、カメラ(不図示)を備え、撮影が可能となっていることを想定する。
【0015】
医療機関端末30は、獣医療機関での獣医療関係者(動物病院の看護師や医師などが)が操作するコンピュータである。医療機関端末30は、たとえば、タブレットコンピュータである。医療機関端末30は、たとえば、スマートフォンやパーソナルコンピュータなど、任意のコンピュータとすることができる。
【0016】
管理サーバ20は、定期的な問診を行い、動物患者の来院要否を判断するコンピュータである。管理サーバ20は、たとえばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現される仮想コンピュータとしてもよい。
【0017】
図2は、管理サーバ20のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワーク3に接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。後述する管理サーバ20の各機能部は、CPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ20の各記憶部は、メモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0018】
<管理サーバ20のソフトウェア構成>
図3は、管理サーバ20のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ20は、問診送信部211、回答受信部212、来院要否送信部214、来院要否取得部215、学習処理部216、飼い主情報記憶部231、動物情報記憶部232、質問記憶部233、問診記憶部234、回答履歴記憶部235、トリアージ履歴記憶部236、学習モデル記憶部237を備える。
【0019】
飼い主情報記憶部231は、獣医療機関を受診する動物(患者動物)の飼い主に関する情報(以下、飼い主情報という。)を記憶する。飼い主情報には、飼い主を特定する飼い主ID、氏名、住所、連絡先を含む。氏名、住所、連絡先以外の飼い主に関する情報を含めてもよい。
【0020】
動物情報記憶部232は、患者動物に関する情報(以下、動物情報という。)を記憶する。動物情報には、患者動物の飼い主を示す飼い主IDおよび患者動物を特定する動物IDに対応付けて、患者動物の名前、動物種、品種が含まれる。また、動物情報には、年齢、体重、予防履歴を含めることができる。年齢に代えて生年月日を含めるようにして年齢を算出可能としてもよい。また、体重及び予防履歴(所定期間内にワクチン等の予防接種を受けたり薬を飲んだりしたか否か)は、例えば、当該患者動物の診療、検査に関するカルテ情報から取得するようにすることもできる。例えば、管理サーバ20が定期的にカルテ情報を管理するカルテサーバにアクセスして、体重及び予防履歴を取得して動物情報を更新するようにすることができる。なお、動物情報には、患者動物の各種属性を含めることができる。
【0021】
質問記憶部233は、動物の健康状態についての質問に係る情報(以下、質問情報という。)を記憶する。質問情報には、質問を特定する質問IDと、当該質問が該当する動物種とに対応付けて、質問内容を含めることができる。質問内容には、フリーテキストでの回答を予定する質問、2択または3択以上の選択肢から1つ以上を選択する回答を予定する質問、所定の範囲内での値(実数または整数)の回答を予定する質問などを含めることができる。質問は、例えば、テキストデータとすることができ、画像や音声を含めるようにすることもできる。本実施形態では、質問には、特定の部位を撮影した画像により回答するべき質問が含まれるものとする。
【0022】
問診記憶部234は、送信された1回の問診に関する情報(以下、問診情報という。)を記憶する。問診情報には、問診を識別する問診IDに対応付けて、問診が送信された日時、問診対象とした動物を示す動物ID、及び問診に含める質問を示す質問IDを含む。1つの問診IDに対して質問IDは複数設定されてよい。
【0023】
回答履歴記憶部235は、問診に係る質問に対する飼い主からの回答の履歴を記憶する。回答履歴記憶部235が記憶する回答履歴には、問診ID、動物ID及び問診を行った(又は回答を受け付けた)日時に対応付けて、質問を示す質問IDと、当該質問に対する回答とが含まれる。なお、1つの問診IDに対して、質問の数だけ質問ID及び回答のセットが登録されうる。
【0024】
トリアージ履歴記憶部236は、問診結果(質問に対する回答)に対して獣医療従事者(本実施形態では獣医師を想定する。)が判断した動物患者の来院要否の判断に係る履歴(以下、トリアージ履歴)を記憶する。診断履歴には、問診ID、来院要否、アクション及びコメントが含まれる。来院要否は、必要又は不要のいずれかである。アクションは、動物に対する介入情報であり、例えば、「散歩をさせましょう」「食事をさせましょう」といった、動物が取るべき行動を示す情報である。アクションの選択肢は事前に設定しておくことができる。アクションに来院が必要であることを含めるようにしてもよい。コメントは、獣医師による問診結果に対するコメントである。コメントは、例えば、テキストデータとすることができる。コメントには、可能性のある病気を含めるようにしてもよい。
【0025】
学習モデル記憶部237は、問診結果に基づいて次の問診内容(問診に含める質問事項)を決定するための学習モデルを記憶する。学習モデル記憶部237は、動物種に対応付けて学習モデルを記憶することができる。なお、学習モデルの入力データ(特徴量)として動物種を与えるようにしてもよい。また、学習モデル記憶部237は、動物種及び品種に対応付けて学習モデルを記憶することもできる。例えば、同じ犬であっても、大型犬と小型犬では問うべき問診内容が変化しうる。そこで、動物種及び品種に加えて又はいずれかに代えて、体重のランク(最大最小で決定される範囲)に対応づけて学習モデルを記憶することもできる。また、動物種及び品種、体重に加えて又はこれらの少なくともいずれかに代えて、年代(年齢の範囲)に対応付けて学習モデルを記憶することもできる。また、学習モデルの入力データ(特徴量)として動物種と品種とを与えるようにしてもよい。また、学習モデルに与える特徴量として、体重、体重ランク、年齢、及び年代の少なくともいずれかを含めるようにしてもよい。また、学習モデルに与える特徴量として、過去の問診結果を含めることができる。過去の問診結果にはタイムラグ(何回前の問診であるか、または現時点から何日前の問診であるかを示す時間情報)を付帯させて特徴量とすることができる。学習モデルを学習するに与えられる教師データとして、獣医療従事者により決定された次に聞くべき質問項目を採用することができる。すなわち、獣医療従事者が決定していた、過去の問診に対する回答に応じて次に聞くべき問診の内容を機械学習により学習して学習モデルとすることができる。学習モデルは、後述する学習処理部216により作成及び更新される。
【0026】
問診送信部211は、問診を定期的に飼い主端末10に送信する。問診送信部211は、患者動物の動物種に対応する質問記憶部233に記憶されている質問事項を1つ又は複数選択して1つの問診を作成することができる。問診送信部211は、患者動物の動物種に対応する質問事項のうち、提示条件が満たされているものを、例えば、ランダムに所定数選択することができる。また、問診送信部211は、例えば、事前に設定された所定のルールに従って質問を選択するようにしてもよい。
【0027】
回答受信部212は、問診の各質問に対する回答を飼い主端末10から受信する。回答受信部212は、質問事項に、特定の部位を撮影した画像により回答するべき質問が含まれていた場合には、画像のアップロードを受け付けることができる。回答受信部212は、受信した回答を回答履歴記憶部235に登録することができる。
【0028】
来院要否取得部215は、医療機関端末30に対して来院要否の判断を求めるメッセージを送信することができる。来院要否判定部213は、問診結果(質問に対する回答、すなわち、選択肢の選択結果や画像などを含めることができる。)をメッセージに含めて医療機関端末30に送信することができる。医療機関端末30では、問診結果を出力して、獣医等の医療関係者から来院要否の判断の入力を受け付けることができる。医療機関端末30では、問診結果に応じた動物に対する介入情報(アクション)及びコメントを入力することもできる。
【0029】
来院要否取得部215は、医療機関端末30から取得した来院要否と、問診結果に対応する問診を示す問診IDとを含むトリアージ履歴を作成して、トリアージ履歴記憶部236に登録することができる。また、医療機関端末30からアクション及びコメントが送信された場合には、トリアージ履歴にアクション及びコメントを含めることもできる。
【0030】
来院要否送信部214は、問診結果に基づいて判断された来院要否を飼い主端末10に送信する。
【0031】
学習処理部216は、問診内容を決定するための学習モデルを作成及び更新する。例えば、問診記憶部234には獣医療従事者が作成した問診が記憶されている場合に、学習処理部216は、動物種ごとに、当該動物種に対応する問診内容(質問情報)を読み出して入力データとし、当該問診の次に送信された問診(動物IDが同一であり日時が後の問診情報のうち、日時が最も古いもの)に対応する質問IDを教師データとして機械学習を行い、機械学習により作成又は更新された学習モデルを学習モデル記憶部237に登録することができる。問診には複数の質問が含まれうるため、ある問診の次の問診に含まれる質問のそれぞれを教師データとして学習を行うことができる。
【0032】
学習処理部216は、定期的に、又は、所定のルールにより決定されるタイミングに、学習モデルを更新することができる。この場合、学習処理部216は、問診内容及びその回答を医療機関端末30に送信し、獣医療従事者から次に質問するべき問診内容(質問ID)の入力を受け付けることができ、回答を入力データとし、獣医療従事者から入力された質問IDを教師データとして機械学習を行い学習モデルを更新することができる。
【0033】
<動作>
図4は、本実施形態の定期検診システムの動作を説明する図である。
【0034】
管理サーバ20は、問診を作成する(S301)。問診は、質問記憶部233に記憶されている質問のうち、患者動物の動物種に対応し、提供条件が満たされているものを所定数読み出すことにより作成することができる。管理サーバ20は、作成した問診を飼い主端末10に送信する(S302)。
【0035】
飼い主端末10では問診が表示される。問診は例えばチャット形式により行うようにしてもよいし、Webページのフォームにより行うようにしてもよい。また、画像により回答することが求められている質問については、飼い主端末10が備えるカメラ(不図示)を起動してカメラの撮影画像を回答として取得することもできる。飼い主端末10は、入力された回答を管理サーバ20に送信する。
【0036】
管理サーバ20は、飼い主端末10から回答を受信し(S303)、受信した回答を回答履歴記憶部235に登録することができる(S304)。管理サーバ20は、回答を設定したメッセージを医療機関端末30に送信して、来院要否を問い合わせる(S305)。医療機関端末30では、獣医等の医療関係者から来院要否の入力を受け付けて管理サーバ20に送信し、管理サーバ20は、医療機関端末30から来院要否を受信して、来院要否をトリアージ履歴記憶部236に登録し(S306)、来院要否を飼い主端末10に送信する(S307)。
【0037】
管理サーバ20は、定期的な問診の送信を行う期間が終了するまで(S308:NO)、定期的にS301からの処理を繰り返す。S301に進む前に、管理サーバ20は、問診に対する回答を、動物種に対応する学習モデルに与えて次の問診に送信する質問を決定して問診記憶部234に登録することができる(S309)。なお、ここで問診情報には日時を設定しないようにしてもよいし、次に問診を送信する予定の日時を設定するようにしてもよい。
【0038】
以上のようにして、本実施形態の定期検診システムでは、獣医療機関側が主体的に、定期的に問診を患者動物の飼育者に対して送信し、患者動物の健康状態を確認することができる。また、AI(学習モデル)を用いて問診結果に基づいて次の問診内容を自動的に決定することができる。
【0039】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0040】
例えば、本実施形態では、動物種ごとに学習モデルを作成するものとしたが、全体で1つ又は複数の学習モデルを用いるようにして、特徴量として動物種を与えるようにしてもよい。
【0041】
また、学習モデルには飼い主端末10において撮影した画像を学習モデルの特徴量に含めることができる。これにより、例えば、皮膚病などの発症部位を撮影した写真や動画等に基づいて、次に聞くべき質問内容を決定することができ、動物の状態に応じた必要な観察を行うことができる。
【0042】
また、学習モデルの入力データ(特徴量)として、来院要否を与えるようにしてもよい。
【0043】
また、学習モデルの入力データ(特徴量)として、獣医療機関における検査結果を与えるようにしてもよい。この場合、例えば、カルテ情報を管理サーバ20が管理するようにして、あるいは、カルテ情報を管理しているカルテサーバにアクセスするようにして、カルテ情報に含まれている検査結果を取得することができる。この場合にも、タイムラグを検査結果とともに入力データとすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、学習モデルは所与の質問の中から次に送信するべきものを決定する分類器であるものとしたが、これに限らず、次に行うべき質問を生成する生成器やトランスフォーマなどとしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、来院要否を獣医療従事者に問い合わせるものとしたが、これに限らず、例えば、来院要否をAIにより決定するようにすることもできる。この場合、来院要否を決定する分類器を、動物種ごとに学習モデル記憶部に記憶しておくようにすることができる。あるいは、動物種を入力データ(特徴量)とした分類器を記憶しておくようにしてもよい。来院要否の分類器の入力データ(特徴量)は問診に対する回答とすることができる。
【符号の説明】
【0046】
10 飼い主端末
20 管理サーバ
30 医療機関端末
図1
図2
図3
図4