IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 奇力新電子股▲ふん▼有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図1
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図2
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図3
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図4
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図5A
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図5B
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図5C
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図5D
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図5E
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図6
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図7
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図8
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図9
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図10
  • 特開-インダクタンス素子及びその製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033094
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】インダクタンス素子及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20230302BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20230302BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20230302BHJP
   H01F 41/04 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
H01F27/29 P
H01F27/29 123
H01F17/04 F
H01F27/28 133
H01F41/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022077139
(22)【出願日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】110131567
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】519236480
【氏名又は名称】奇力新電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍾瑞民
(72)【発明者】
【氏名】陳家チェン
(72)【発明者】
【氏名】林弘彬
【テーマコード(参考)】
5E043
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E043EA01
5E043EA02
5E062FF02
5E062FG11
5E070AA01
5E070BA06
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電気特性の影響及び信頼性の低減を回避するインダクタンス素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】インダクタンス素子Z1は、磁気ベース1、コイル構造2及びパッケージ構造3を含む。磁気ベースは、底板、側壁11及び柱コアを含む。コイル構造は、コイル本体20及び第1、第2の延伸部21、22を含む。延伸部夫々は、お互いに繋がった第1、第2の曲げ部210、220及び第1、第2のピン部211、221を含む。第1、第2の曲げ部は、コイル本体から底板から離れる方向に向かって曲げると共に、第1、第2の接続端を有する。各ピン部は、夫々接続端から側壁の上方まで延伸される。第1、第2の接続端を繋いだ仮想線と柱コアの中心軸との最短距離は、コイル本体の最小外半径より短い。パッケージ構造は、磁気ベース及びコイル構造を覆う。第1、第2のピン部の導電部211S、221Sは、パッケージ構造の外に露出する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板、側壁及び柱コアを含む磁気ベースと、コイル構造と、前記磁気ベース及び前記コイル構造を覆うパッケージ構造と、を備えるインダクタンス素子であって、
前記側壁及び前記柱コアが前記底板の表面から突出され、前記底板、前記側壁及び前記柱コアが一緒に位置決め溝を画定し、
前記コイル構造は、
前記柱コアの周りに前記位置決め溝に設置されるコイル本体と、
お互いに繋がった第1の曲げ部及び第1のピン部を含む第1の延伸部と、
お互いに繋がった第2の曲げ部及び第2のピン部を含む第2の延伸部と、を含み、
前記第1の曲げ部は、前記コイル本体から前記底板から離れる方向に向かって曲げると共に、第1の接続端を有し、前記第1のピン部は、前記第1の接続端から前記側壁の上方まで延伸され、
前記第2の曲げ部は、前記コイル本体から前記底板から離れる方向に向かって曲げると共に、第2の接続端を有し、前記第2のピン部は、前記第2の接続端から前記側壁の上方まで延伸され、
前記第1の接続端及び前記第2の接続端を繋いだ第1の仮想線と前記柱コアの中心軸との最短距離は、前記コイル本体の最小外半径より短く、
前記第1のピン部の第1の導電部及び前記第2のピン部の第2の導電部が、前記パッケージ構造から露出した、
ことを特徴とする、インダクタンス素子。
【請求項2】
前記第1の接続端の高さ位置及び前記第2の接続端の高さ位置はいずれも、前記側壁の上面より高く、前記第1のピン部及び前記第2のピン部は、前記側壁の外縁を超えないように延伸される、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項3】
前記第1の仮想線と前記柱コアの前記中心軸との前記最短距離は、前記コイル本体の最大外半径の3分の2以下である、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項4】
前記第1の接続端及び前記第2の接続端を繋いだ前記第1の仮想線は、前記柱コアを通過する、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項5】
前記第1の曲げ部は第1の曲げ始端を有し、前記第2の曲げ部は第2の曲げ始端を有し、
前記第1の曲げ始端及び前記第2の曲げ始端を繋いだ第2の仮想線は、前記柱コアの中心軸を含む縦の基準面にある、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項6】
前記側壁は前記柱コアの周方向にわたって配置されると共に、前記側壁の上面は平面である、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項7】
前記底板に対し、前記柱コアの高さは、前記側壁の高さ以下である、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項8】
前記コイル本体の最上端の高さ位置は、前記側壁の上面及び前記柱コアの上面より低い、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項9】
第1の電極部及び第2の電極部をさらに備え、
前記第1の電極部は、前記第1のピン部の前記第1の導電部と電気的に接続するように前記第1の導電部を覆い、
前記第2の電極部は、前記第2のピン部の前記第2の導電部と電気的に接続するように前記第2の導電部を覆う、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項10】
前記パッケージ構造は、
前記第1のピン部及び前記第2のピン部にそれぞれ対応するように離間して設けられる第1の突起部及び第2の突起部をさらに含み、
前記第1導電部及び前記第2の導電部はそれぞれ、前記第1の突起部の上面及び第2の突起部の上面に露出する、請求項1に記載のインダクタンス素子。
【請求項11】
前記第1の突起部及び前記第1のピン部は同様の方向に沿って延伸され、前記第2の突起部及び前記第2のピン部は同様の方向に沿って延伸される、請求項10に記載のインダクタンス素子。
【請求項12】
第1の電極部及び第2の電極部をさらに備え、
前記第1の電極部は、第1の導電部と接触するように第1の突起部に位置されて、前記第1のピン部と電気的に接続し、
前記第2の電極部は、前記第2の導電部と接触するように前記第2の突起部に位置されて、前記第2のピン部と電気的に接続する、請求項10に記載のインダクタンス素子。
【請求項13】
柱コアを有する磁気ベースを提供する工程であって、前記磁気ベースで前記柱コアを囲むような位置決め溝を形成する工程と、
コイル本体、第1の延伸部及び第2の延伸部を含むコイル構造が巻かれるように形成される工程であって、前記コイル本体は貫通孔を有し、前記第1の延伸部はお互いに繋がった第1の曲げ部及び第1のピン部を含み、前記第2の延伸部はお互いに繋がった第2の曲げ部及び第2のピン部を含む工程と、
前記柱コアの周りに前記コイル構造を前記位置決め溝に設置する工程と、
前記磁気ベース及び前記コイル構造を覆うパッケージ構造を形成する工程であって、前記第1のピン部の第1導電部及び前記第2のピン部の第2の導電部は、前記パッケージ構造の外に露出する工程と、を含み、
前記第1の曲げ部及び前記第2の曲げ部は、前記コイル本体から同側に曲げられると共に、それぞれ、第1の接続端及び第2の接続端を有し、
前記第1の接続端及び前記第2の接続端を繋いだ第1の仮想線と前記貫通孔の中心軸との最短距離は、前記コイル本体の最小外半径より短く、
前記第1のピン部及び前記第2のピン部はそれぞれ、前記コイル本体の側面から突出するように前記第1の接続端及び前記第2の接続端から延伸される、
ことを特徴とするインダクタンス素子の製造方法。
【請求項14】
前記柱コアの周りに前記コイル構造を前記位置決め溝に設置する工程を行った後に、前記第1の接続端の高さ位置及び前記第2の接続端の高さ位置はいずれも、前記磁気ベースの上面より高い、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項15】
前記第1の仮想線と前記貫通孔の前記中心軸との前記最短距離は、前記コイル本体の最大外半径の3分の2以下である、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項16】
前記柱コアの周りに前記コイル構造を前記位置決め溝に設置する工程を行った後に、前記第1の接続端及び前記第2の接続端を繋いだ前記第1の仮想線は、前記柱コアを通過する、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項17】
前記第1の曲げ部は第1の曲げ始端を有し、前記第2の曲げ部は第2の曲げ始端を有し、
前記第1の曲げ始端及び前記第2の曲げ始端を繋いだ第2の仮想線は、前記貫通孔を通過する縦の基準面にある、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項18】
前記磁気ベースは、底板、側壁を更に含み、
前記側壁及び前記柱コアが前記底板の表面から突出され、前記底板、前記側壁及び前記柱コアが一緒に位置決め溝を画定し、
前記側壁は前記柱コアの周方向にわたって配置されると共に、前記側壁の上面は平面である、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項19】
前記コイル本体の最上端の高さ位置は、前記側壁の上面及び前記柱コアの上面より低い、請求項18に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項20】
前記柱コアの高さは、前記側壁の上面の高さより低い、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項21】
前記パッケージ構造を形成する工程は、
前記コイル構造及び前記磁気ベースを覆う磁性パッケージ体を成形プロセスで形成することと、
前記磁性パッケージ体及び前記磁気ベースの外面を覆う前記絶縁層を形成することと、
前記第1の導電部及び前記第2の導電部を露出させるように、一部の絶縁層及び一部の磁性パッケージ体を除去することと、を含む、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項22】
前記第1のピン部の前記第1の導電部及び前記第2のピン部の前記第2の導電部はいずれも、前記パッケージ構造の同側に露出すると共に、
前記インダクタンス素子の製造方法は、
前記パッケージ構造に第1の電極部及び第2の電極部を形成することを更に含み、
前記第1の電極部及び前記第2の電極部はそれぞれ、前記第1の導電部及び前記第2の導電部を覆うと共に、前記第1の導電部及び前記第2の導電部と電気的に接続する、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項23】
前記パッケージ構造は、前記パッケージ構造の同側に離間して設けられる第1の突起部及び第2の突起部を含み、
前記第1導電部及び前記第2の導電部はそれぞれ、前記第1の突起部及び第2の突起部に露出する、請求項13に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【請求項24】
前記第1の突起部及び前記第1のピン部は同様の方向に沿って延伸され、前記第2の突起部及び前記第2のピン部は同様の方向に沿って延伸される、請求項23に記載のインダクタンス素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受動素子及びその製造方法に関し、特に、インダクタンス素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インダクタは、回路設計に広く用いられた受動素子であり、異なる応用によって構造も相違する。従来の1つのインダクタ構造において、コイルが磁気コアに巻かれるように設置される。具体的に説明すると、従来の磁気コアは、底板及び底板から突出された柱コアを含む。コイルを製造する際に、柱コアを支持構造として、コイルの巻き部を形成することができる。また、柱コアに巻かれていない非ロール部は、磁気コアの底板に固定されるように下へ曲げる。しかしながら、非ロール部を底板に固定する工程において、底板が破れて割れを生じやすい。
【0003】
また、その後に行った成形プロセスで磁気コア及びコイルを覆う磁性被覆構造を形成する際に、コイルは圧迫によって変形・シフトしやすい。底板の割れ及びコイルの変形・シフトは、インダクタの電気特性が不良となり、インダクタの信頼性も低減する。従いまして、インダクタの構造及び製造方法を改良することによって、インダクタの信頼性を維持すると共に、インダクタに優れた電気特性を与えることは、この業界にとって解決しようとする課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術の課題は、従来技術の不足に対し、インダクタンス素子の電気特性の影響及びインダクタの信頼性の低減を回避することができる、インダクタンス素子及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用する一つの技術的手段は、磁気ベース、コイル構造及びパッケージ構造を含む、インダクタンス素子を提供する。磁気ベースは、底板、側壁及び柱コアを含む。側壁及び柱コアが底板の表面から突出され、底板、側壁及び柱コアが一緒に位置決め溝を画定する。コイル構造は、コイル本体、第1の延伸部及び第2の延伸部を含む。コイル本体は、柱コアの周りに位置決め溝に設置される。第1の延伸部は、お互いに繋がった第1の曲げ部及び第1のピン部を含む。第1の曲げ部は、コイル本体から底板から離れる方向に向かって曲げると共に、第1の接続端を有する。第1のピン部は、第1の接続端から側壁の上方まで延伸される。第2の延伸部は、お互いに繋がった第2の曲げ部及び第2のピン部を含む。第2の曲げ部は、コイル本体から底板から離れる方向に向かって曲げると共に、第2の接続端を有する。第2のピン部は、第2の接続端から側壁の上方まで延伸される。第1の接続端及び第2の接続端を繋いだ第1の仮想線と柱コアの中心軸との最短距離は、コイル本体の最小外半径より短い。パッケージ構造は、磁気ベース及びコイル構造を覆う。第1のピン部の第1導電部及び第2のピン部の第2の導電部は、パッケージ構造の外に露出する。
【0006】
上記の技術的課題を解決するために、本発明が採用するもう一つの技術的手段は、インダクタンス素子の製造方法を提供する。インダクタンス素子の製造方法は、柱コアを有する磁気ベースを提供する工程であって、磁気ベースで柱コアを囲むような位置決め溝を形成する工程と、コイル本体、第1の延伸部及び第2の延伸部を含むコイル構造が巻かれるように形成される工程と、前記柱コアの周りに前記コイル構造を前記位置決め溝に設置する工程と、パッケージ構造を形成する工程と、を含む。なかでも、前記コイル本体は貫通孔を有する。第1の延伸部はお互いに繋がった第1の曲げ部及び第1のピン部を含む。第2の延伸部は、お互いに繋がった第2の曲げ部及び第2のピン部を含む。第1の曲げ部及び第2の曲げ部は、コイル本体から同側に曲げられると共に、それぞれ、第1の接続端及び第2の接続端を有する。第1の接続端及び第2の接続端を繋いだ第1の仮想線と柱コアの中心軸との最短距離は、コイル本体の最小外半径より短い。第1のピン部及び第2のピン部はそれぞれ、ほぼ平行となるような方向に向かって、且つコイル本体の側面から突出するように第1の接続端及び第2の接続端から延伸される。また、第1のピン部の第1導電部及び第2のピン部の第2の導電部は、パッケージ構造の外に露出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有利な効果として、本発明に係るインダクタンス素子及びその製造方法は、「柱コアを含む磁気ベースで位置決め溝を画定する」、「コイル構造は、位置決め溝に設置され、コイル本体、第1の延伸部及び第2の延伸部を含む。第1の延伸部は、お互いに繋がった第1の曲げ部及び第1のピン部を含む。第2の延伸部は、お互いに繋がった第2の曲げ部及び第2のピン部を含む」及び「第1の曲げ部及び第2の曲げ部は、コイル本体から同側に曲げると共に、それぞれ、第1の接続端及び第2の接続端を有する。第1の接続端及び第2の接続端を繋いだ第1の仮想線と柱コアの中心軸との最短距離は、コイル本体の最小外半径より短い。第1のピン部及び第2のピン部はそれぞれ、コイル本体の側面から突出するように第1の接続端及び第2の接続端から延伸される」といった技術特徴により、インダクタンス素子の信頼性を維持すると共に、インダクタンス素子に優れた電気特性を与える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係るインダクタンス素子の製造方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施形態のコイル構造及び磁気ベースの立体分解図である。
図3】本発明の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される立体分解図である。
図4図3におけるIV-IV断面の断面模式図である。
図5A図3に示すコイル構造が磁気ベースに設置される上面図である。
図5B】本発明の他の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される上面図である。
図5C】本発明の他の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される上面図である。
図5D】本発明の他の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される上面図である。
図5E】本発明の他の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される上面図である。
図6】本発明の実施形態におけるパッケージ構造を形成する工程の立体分解図である。
図7】本発明の実施形態におけるパッケージ構造を形成する工程の立体分解図である。
図8】本発明の実施形態におけるパッケージ構造を形成する工程の立体分解図である。
図9】本発明の第一実施形態に係るインダクタンス素子の立体分解図である。
図10図9におけるX-X断面の断面模式図である。
図11】本発明の第二実施形態に係るインダクタンス素子の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の特徴及び技術内容がより一層分かるように、以下の本発明に関する詳細な説明と添付図面を参照されたい。しかし、提供される添付図面は参考と説明のために提供するものに過ぎず、本発明の請求の範囲を制限するためのものではない。
【0010】
以下、所定の具体的な実施態様によって「インダクタンス素子及びその製造方法」を説明し、当業者は、本明細書に開示された内容に基づいて本発明の利点と効果を理解することができる。本発明は、他の異なる具体的な実施態様によって実行または適用でき、本明細書における各細部についても、異なる観点と用途に基づいて、本発明の構想から逸脱しない限り、各種の修正と変更を行うことができる。また、事前に説明するように、本発明の添付図面は、簡単な模式的説明であり、実際のサイズに基づいて描かれたものではない。以下の実施形態に基づいて本発明に係る技術内容を更に詳細に説明するが、開示される内容によって本発明の保護範囲を制限することはない。また、本明細書において使用される「または」という用語は、実際の状況に応じて、関連して挙げられる項目におけるいずれか1つまたは複数の組み合わせを含むことがある。
【0011】
[第一実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係るインダクタンス素子の製造方法を示すフローチャートである。工程S100において、柱コアを有する磁気ベースを提供し、なかでも、磁気ベースで柱コアを囲むような位置決め溝を形成する。工程S110において、コイル本体、第1の延伸部及び第2の延伸部を含むコイル構造が巻かれるように形成される。工程S120において、柱コアの周りにコイル構造を前記位置決め溝に設置する。工程S130において、磁気ベース及びコイル構造を覆うパッケージ構造を形成する。工程S140において、パッケージ構造に、第1の延伸部及び第2の延伸部のそれぞれと電気的に接続する第1の電極部及び第2の電極部を形成する。以下にてインダクタンス素子の各工程の細部をさらに説明する。
【0012】
詳しく説明すると、図2は、本発明の実施形態のコイル構造及び磁気ベースの立体分解図である。図2に示すように、磁気ベース1で位置決め溝H1が形成される。更に説明すると、磁気ベース1では、底板10、側壁11及び柱コア12が一緒に位置決め溝H1を画定する。側壁11及び柱コア12が底板10の表面10Sから突出される。更に説明すると、側壁11が柱コア12の周りに設けられるように、閉ループ形状を有する位置決め溝H1は形成される。例えば、位置決め溝H1を見下ろすと、リング形、楕円リング形、四角リング形、D字型、またはその他の非対称形状を呈してもよい。また、本実施形態において、側壁11は前記柱コアの周方向にわたって配置された側壁であると共に、側壁11の上面11Sは平面であるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0013】
一つの実施形態において、磁気ベース1は磁性材料で構成される。前記磁性材料は、結晶性磁性金属粉末(Crystalline magnetic metal powder)及び非晶質磁性金属粉末(Amorphous magnetic metal powder)の中の少なくとも1種である。結晶性磁性金属粉末として、例えば、Fe-Si粉末、Fe-Si-Cr粉末、Fe-Si-Al粉末、Fe-Ni粉末、カルボニル鉄粉末(Carbonyl Iron Powder,CIP)、鉄(Iron)粉末、Fe-Ni-Mo粉末及びFe-Co-Vが挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。非晶質磁性金属粉末として、鉄をベースとする非晶質磁性金属粉末(Fe-based amorphous magnetic metal power)であってもよく、例えば、Fe-Si-B-C粉末、Fe-Si-Cr-B-P-C粉末が挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。本発明の実施形態に係る磁気ベース1は主に、結晶性磁性金属粉末で製造され、例えば、カルボニル鉄粉末を混合した材料を採用する。また、磁気ベース1は、冷圧、熱圧、トランスファー成形(transfer molding)または圧縮成形(compression molding)などの周知のプロセスによって製造されてもよい。
【0014】
図2に示すように、コイル構造2は、導線を巻くことでコイル本体20、第1の延伸部21及び第2の延伸部22を形成する。例えば、導線は、フラット巻き、内・外巻き、またはアルファ(alpha)巻きで巻かれて、コイル構造2を形成してもよい。前記導線は、フラットワイヤー、スクエアワイヤー、丸線であってもよく、絶縁被覆層及び内導電性ワイヤーを含んでもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0015】
本実施形態に係るコイル本体20は、複数個の環状体を含む。複数個の環状体は、同一の中心軸Yの周りに設置される。このように、コイル本体20は貫通孔20Hを有する。説明すべきことは、本実施形態において、コイル構造2を磁気ベース1での位置決め溝H1に設置する前に、第1の延伸部21及び第2の延伸部22では、先に曲げられて曲げ角が形成される。更に説明すると、図1に示すように、第1の延伸部21及び第2の延伸部22は、コイル本体20の同側(例えば、上側)に曲げられて、最上側の環状体を超えるように延伸される。その後、第1の延伸部21及び第2の延伸部22は更に曲げられて、最上側の環状体の2つの接線方向に沿ってコイル本体20の側面を超えるように延伸される。
【0016】
本実施形態において、第1の延伸部21及び第2の延伸部22は、上側へ曲げられた後に、コイル本体20の同側へ曲げられて延伸されるが、本発明はこれに制限されるものではない。もう一つの実施形態において、第1の延伸部21及び第2の延伸部22は、上側へ曲げられた後に、それぞれ、コイル本体20の異なる側へ曲げられて異なる方向へ延伸される。
【0017】
詳しく説明すると、第1の延伸部21は、お互いに繋がった第1の曲げ部210及び第1のピン部211を含む。第2の延伸部22は、お互いに繋がった第2の曲げ部220及び第2の延伸部221を含む。第1の曲げ部210及び第2の曲げ部220は、上側へ曲げられて、コイル本体20の最上側の環状体から突出するように延伸される。
【0018】
本実施形態において、第1の曲げ部210は、第1の曲げ始端210b及び第1の接続端210aを含む。第1の曲げ始端210bは、第1の曲げ部210が一つの環状体から上へ曲げる始端である。第1の接続端210aは、第1の曲げ部210と第1のピン部211との接続端である。同様に、第2の延伸部22の第2の曲げ部220は、第2の曲げ始端220b及び第2の接続端220aを含む。第2の曲げ始端220bは、第2の曲げ部220が一つの環状体から上へ曲げる始端である。第2の接続端220aは、第2の曲げ部220と第2のピン部221との接続端である。
【0019】
第1のピン部211は、第1の接続端210aから出発して、コイル本体20の最上側の環状体の一つの接線方向に沿ってコイル本体20の側面から突出するように延伸される。同様に、第2の延伸部22の第2の曲げ部220は、第2の曲げ始端220b及び第2の接続端220aを含む。第2のピン部221は、第2の接続端220aから出発して、コイル本体20の最上側の環状体のもう一つの接線方向に沿ってコイル本体20の側面を超えるように延伸される。第1のピン部211の延伸方向は、第2のピン部221の延伸方向と平行するとは限らない。
【0020】
説明すべきことは、本実施形態において、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、コイル本体20の貫通孔20Hを横切る。一つの実施形態において、上面から観察すると、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、中心軸Yとコイル本体20の外縁との間の領域を横切る。また、第1の曲げ始端210b及び第2の曲げ始端220bを繋いだ第2の仮想線Bは、コイル本体20の貫通孔20Hを通過する縦の基準面にある。このように、第1のピン部211及び第2のピン部221は、比較的に長い延伸長さを有する。
【0021】
図3図5Aに示すように、図3は、本発明の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される立体分解図であり、図4及び図5Aはそれぞれ、本発明の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される断面模式図及び上面図である。
【0022】
図3及び図4に示すように、コイル構造2は、柱コア12の周りに磁気ベース1での位置決め溝H1に設置される。更に説明すると、コイル本体20の貫通孔20Hは、柱コア12と位置合わせるように、位置決め溝H1に設置される。説明すべきことは、磁気ベース1の側壁11及び柱コア12は、コイル構造2を中央に位置させ、且つこの後の工程において、コイル構造2の圧迫による変形・シフトで起こして、インダクタンス素子の電気特性及び歩留まりの影響を回避する、という役割を果たせる。
【0023】
また、柱コア12の底板10に対する高さh2及び側壁11の底板10に対する高さh1は同様または異なってもよい。好ましい実施形態において、柱コア12の底板10に対する高さh2は、側壁11の底板10に対する高さh1以下である。尚、柱コア12の底板10に対する高さh2は、コイル本体20の高さT1の半分以上である。本発明において、コイル本体20の高さT1は、コイル本体の最上端から最下端までの距離である。一つの実施形態において、柱コア12の底板10に対する高さh2は、コイル本体20の高さT1より高い。即ち、コイル本体20の最上端の位置は、柱コア12の上面より低いが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0024】
予備成形された磁気ベース1は、磁性粉末を成形することで形成された磁性体より高い密度を有するため、柱コア12の底板10に対する高さh2は、コイル本体20の高さT1に近いほど、コイル本体20の貫通孔20Hでの磁性物質の密度が高いので、インダクタンス素子がより高いインダクタンス値を有する。
【0025】
また、側壁11の底板10に対する高さh1は、コイル本体20の高さT1の3分の1以上である。一つの実施形態において、側壁11の底板10に対する高さh1は、コイル本体20の高さT1を超える。換言すると、コイル本体20の最上端の位置は、側壁11の上面11Sより低い。
【0026】
しかしながら、図3及び図4に示すように、コイル構造2が位置決め溝H1に設置された後に、第1の延伸部21の第1のピン部211及び第2の延伸部22の第2のピン部221は、側壁11の上方まで延伸される。本実施形態において、図4に示すように、第1のピン部211及び第2のピン部221は側壁11より高いと共に、上面11Sから距離を開けるが、本発明はこれに制限されるものではない。もう一つの実施形態において、第1のピン部211及び第2のピン部221は、側壁11の上面11Sに接触する。また、第1の接続端210aの高さ位置及び第2の接続端220aの高さ位置はいずれも、磁気ベース1の側壁11の上面11Sより高い。
【0027】
説明すべきことは、本実施形態において、側壁11の上面11Sは平面である。一方、もう一つの実施形態において、側壁11の上面11Sでは、第1のピン部211及び第2のピン部221の位置にそれぞれ対応する2つの溝を有する。コイル構造2を位置決め溝H1に設置した後に、第1のピン部211及び第2のピン部221はそれぞれ、2つの溝に収容されてもよい。
【0028】
本実施形態において、図4に示すように、位置決め溝H1の幅は、上から下までに一致するが、本発明はこれに制限されるものではない。もう一つの実施形態において、位置決め溝H1の幅は、位置決め溝H1の断面形状が台形となるように、上から下に向かって先細にしもよい。また、側壁11の内面及び柱コア12の底板10に近い領域はそれぞれ、面取りまたはフィレットを有する。
【0029】
説明すべきことは、図3及び図5Aに示すように、本実施形態のコイル本体20を上面から観察すると、円形に限られないため、コイル本体20は、最小外半径Ra及び最大外半径Rbを有する。コイル構造2は、位置決め溝H1に設置された後に、上面から観察すると、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、コイル本体20の上方を横切る。更に説明すると、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いて、第1の仮想線Aとする。第1の仮想線Aと柱コア12(又はコイル本体20)の中心軸Yとの最短距離d1は、コイル本体20の最小外半径Raより短い。一つの実施形態において、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aと柱コア12(又はコイル本体20)の中心軸Yとの最短距離d1は、コイル本体20の最大外半径Rbの3分の2以下である。このように、第1のピン部211及び第2のピン部221と外部電極との接触面積を増加することができる。
【0030】
本実施形態において、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、柱コア12(若しくは、貫通孔20H)を通過する。また、図5Aに示すように、第1の曲げ始端210b及び第2の曲げ始端220bを繋いだ第2の仮想線Bは、柱コアの中心軸Yを含む縦の基準面にあるが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0031】
図5B図5Eは、本発明の他の実施形態のコイル構造が磁気ベースに設置される上面図である。図5Bに示すように、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、柱コア12(又は貫通孔20H)の中心軸Yをちょうど通過してもよい。図5Cに示すように、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、柱コア12(又は貫通孔20H)の中心軸Yを通過する。一方、図5Dに示す実施形態において、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、柱コア12(又は貫通孔20H)の中心軸Yを通過しなくてもよいが、第1の仮想線Aと柱コア12の中心軸Yとの最短距離d1は依然として、コイル本体20の最小外半径Raより短い。
【0032】
図5A図5Dに示す実施形態において、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aは、コイル本体20の最大外半径Rbに平行する。もう一つの実施形態において、図5Eに示すように、第1の接続端210a及び第2の接続端220aは、同一の水平基準線にあるとは限られない。このように、図5Eに示した実施形態において、第1のピン部211及び第2のピン部221はそれぞれ、異なる長さを有してもよい。
【0033】
この後、磁気ベース1及びコイル構造2を覆うパッケージ構造3を形成する。図6図8に示すように、本発明の実施形態におけるパッケージ構造を形成する工程の立体分解図である。図6に示すように、コイル構造2及び磁気ベース1を覆う磁性パッケージ体3Aを成形プロセスで形成する。前記成形プロセスは、磁性パッケージ体を形成できれば特に限定されず、例えば、冷圧、熱圧、トランスファー成形(transfer molding)または圧縮成形(compression molding)などの成形方法が挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。また、磁性パッケージ体3Aは、複数の段階で形成されてもよく、異なる段階において、異なる磁性材料又は成形方法を採用する。
【0034】
一つの実施形態において、磁性パッケージ体3Aを成形プロセスで形成する。詳しく説明すると、コイル構造2及び磁気ベース1を共に金型のキャビティーに置いて、その後、キャビティーに磁性パッケージ体3Aを形成するための粉末を充填する。前記粉末として、磁性材料粉末のみを含んでもよく、磁性材料粉末及び非磁性材料粉末を含んでもよい。
【0035】
前記磁性材料は、結晶性磁性金属粉末及び非晶質磁性金属粉末の中の少なくとも1種であってもよい。結晶性磁性金属粉末として、例えば、Fe-Si粉末、Fe-Si-Cr粉末、Fe-Si-Al粉末、Fe-Ni粉末、カルボニル鉄粉末(Carbonyl Iron Powder, CIP)、鉄(Iron)粉末、Fe-Ni-Mo粉末及びFe-Co-V粉末が挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。非晶質磁性金属粉末として、鉄をベースとする非晶質磁性金属粉末であってもよく、例えば、Fe-Si-B-C粉末、Fe-Si-Cr-B-P-C粉末が挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。本発明の実施形態に係る磁性パッケージ体3Aは主に、結晶性磁性金属粉末で製造され、例えば、カルボニル鉄粉末を混合した材料であってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。また、磁性パッケージ体3Aを形成するための材料は、磁気ベース1の材料と異なってもよい。
【0036】
説明すべきことは、この工程において、磁気ベース1の位置決め溝H1における残りのスペースを前記粉末で完全に充填する。その後、パンチングマシンを用いてキャビティーでの粉末に圧力をかけることによって、粉末がプレスされてキャビティーとコイル構造2及び磁気ベース1との隙間を完全に充填することによって、磁性パッケージ体3Aを形成する。即ち、磁性パッケージ体3Aの一部が磁気ベース1の位置決め溝H1に充填される。
【0037】
特筆すべきことは、本実施形態において、コイル構造2が位置決め溝H1に設置される前に、第1のピン部211及び第2のピン部221は、側壁11から突出する部分を先にカットした後に、パッケージ構造3を形成してもよい。よって、図6に示すように、コイル構造2を位置決め溝H1に設置した後に、第1のピン部211及び第2のピン部221は、側壁11の外面から突出することはない。
【0038】
本実施形態に係る製造方法において、磁性パッケージ体3Aを取り出した後に、磁性パッケージ体3Aの機械強度を向上させるように、磁性パッケージ体3Aに熱硬化処理を行う。一つの好ましい実施形態において、熱硬化処理を行いながら、磁性パッケージ体3Aに圧力をかけることによって、磁性パッケージ体3Aをより緻密させることができる。
【0039】
説明すべきことは、磁性パッケージ体3A及び磁気ベース1の材料は同一である場合、前記打ち抜き工程及び熱処理工程を行った後に、磁性パッケージ体3A及び磁気ベース1は、実質的に接合されて一体成型される。もう一つの実施形態において、磁性パッケージ体3A及び磁気ベース1はそれぞれ、異なる材料で構成されてもよい。更に説明すると、磁性パッケージ体3Aを構成する材料及び磁気ベース1を構成する材料はそれぞれ、異なる磁性材料を含んでもよい。例えば、磁性パッケージ体3Aの材料は、カルボニル鉄粉末を混合した材料であり、磁気ベース1の材料は、Fe-Si-Crであってもよいが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0040】
図6に示すように、磁性パッケージ体3Aは、第1の突起部31及び第2の突起部32を含む。第1の突起部31及び第2の突起部32は、磁性パッケージ体3Aの同側に離間して設けられる。本実施形態において、第1の突起部31及び第2の突起部32はそれぞれ、第1のピン部211及び第2のピン部221の延伸方向に対応する帯状突出である。更に説明すると、第1の突起部31及び第1のピン部211はほぼ同様の方向に沿って延伸され、第2の突起部32及び第2のピン部221はほぼ同様の方向に沿って延伸される。
【0041】
図7に示すように、パッケージ構造を形成する工程において、磁性パッケージ体3A及び磁気ベース1の外面を覆う絶縁層3Bを形成することを含む。一つの実施形態において、霧化スプレー、液浸法、化学気相成長法などの方法で絶縁層3Bを形成してもよい。
【0042】
その後、図8に示すように、第1のピン部211の第1の導電部211S及び第2のピン部221の第2の導電部221Sを露出させるように、一部の絶縁層3B及び一部の磁性パッケージ体3Aを除去する。更に説明すると、第1のピン部211及び第2のピン部221を露出させるように、第1の突起部31及びそれを覆う絶縁層3B、並びに第2の突起部32及びそれを覆う絶縁層3Bを研磨してよもい。
【0043】
本実施形態において、第1のピン部211の一部及び第2のピン部221の一部が研磨工程で除去されることによって、第1のピン部211の第1の導電部211Sを第1の突起部31に露出させ、第2のピン部221の第2の導電部221Sを第2の突起部32に露出させる。第1の突起部31及び第1のピン部211の延伸方向はほぼ同一であり、且つ第2の突起部32及び第2のピン部221の延伸方向はほぼ同一であるため、前記研磨工程を行った後に、第1の導電部211S及び第2の導電部221Sは、比較的に大きい面積で第1の突起部31及び第2の突起部32の表面に露出する。
【0044】
特筆すべきことは、本実施形態において、第1のピン部211の延伸方向及び第2のピン部221の延伸方向で定義された平面は、側壁11の上面11Sとほぼ平行する。よって、研磨工程を行った後に、第1の導電部211Sは、大きい面積で第1の突起部31に露出し、第2の導電部221Sは、大きい面積で第2の突起部32に露出される。
【0045】
一つの実施形態において、露出した第1の導電部211S(又は第2の導電部221S)の面積は、第1のピン部211(又は第2のピン部221)の断面の面積より大きい。詳しく説明すると、露出した第1の導電部211S(又は第2の導電部221S)の長さは、第1のピン部211(又は第2のピン部221)の断面の線径より大きい。
【0046】
この後、第1の延伸部21及び第2の延伸部22のそれぞれと電気的に接続するように、第1の電極部4及び第2の電極部5をパッケージ構造3に形成する。本発明の第一実施形態に係るインダクタンス素子の立体分解図である図9、及び図9におけるX-Xの断面の断面模式図である図10を参考されたい。
【0047】
本実施形態に係るインダクタンス素子Z1において、第1の電極部4は、第1の導電部211Sと接触するように第1の突起部31に位置されて、第1のピン部211と電気的に接続する。第2の電極部5は、第2の導電部221Sと接触するように第2の突起部32に位置されて、第2のピン部221と電気的に接続する。上述したように、従来のインダクタンス構造に比べて、本発明では、露出した第1の導電部211S及び露出した第2の導電部221Sの面積は大きいため、第1の電極部4(又は第2の電極部5)と第1の導電部211S(又は第2の導電部221S)との接触面積を増加して、第1の電極部4(又は第2の電極部5)と第1の導電部211S(又は第2の導電部221S)と接着力を増加することができる。インダクタンス素子Z1に外力をかける際に、第1の電極部4(又は第2の電極部5)と第1の導電部211S(又は第2の導電部221S)との接着面の断裂を回避して、インダクタンス素子Z1の信頼性を向上することができる。
【0048】
第1の電極部4及び第2の電極部5を形成するための手段として、電気めっき、スパッタリング、蒸着などのプロセスが挙げられるが、本発明はこれに制限されるものではない。本実施形態において、第1の電極部4及び第2の電極部5は、磁性インダクタンス素子Z1の同側に離間して設けられる。インダクタンス素子Z1は、もう1つの回路板に設置される際に、図9に示すようなインダクタンス素子Z1は反転されて、第1の電極部4及び第2の電極部5が回路板へ向けるように設置される。
【0049】
更に説明すると、現在の電子製品は、軽くて薄いとなるように発展され、電子製品の内部の素子の密度もだんだん高くなるため、隣の素子との間隔も減少される。よって、本実施形態に係るインダクタンス素子Z1において、第1の電極部4及び第2の電極部5はそれぞれ、磁性インダクタンス素子Z1の反対側でなく、磁性インダクタンス素子Z1の同側(例えば、インダクタンス素子Z1の底部側)に位置され、それによって、インダクタンス素子Z1が回路板に設置された時に、隣の素子との接触を回避することができる。一方、インダクタンス素子Z1の表面に磁気漏れの問題を有するため、通常、インダクタンス素子Z1をカバーするための、電気的に接地するシールドを他に設置する必要がある。インダクタンス素子Z1の第1の電極部4及び第2の電極部5はそれぞれ、磁性インダクタンス素子Z1の同側(底部側)に設置されることによって、第1の電極部4又は第2の電極部5とシードルとの接触によるショートを回避することができる。
【0050】
しかしながら、前記実施形態の電極構造は、本発明はこれに制限されるものではない。本発明のもう1つの実施形態に係るインダクタンス素子の断面模式図である図11に示すように、本実施形態に係るインダクタンス素子Z2では、前記の実施形態に係るインダクタンス素子Z1と同様の素子が同様の符号を有するので、ここで重複に説明しない。
【0051】
図11に示すように、インダクタンス素子Z2がもう1つの電路板に設置され、且つ素子間の間隔が広い場合、インダクタンス素子Z2の第1の電極部4及び第2の電極部5は、L字型電極であってもよい。即ち、第1の電極部4は、第1の底部40及びインダクタンス素子Z2の側面に延伸された第1の側部41を含む。なかでも、第1の底部40は、第1のピン部211と電気的に接触するように第1の突起部31に位置される。また、第2の電極部5は、第2の底部50及びインダクタンス素子Z1の側面に延伸された第2の側部51を含む。第2の底部50は、第2のピン部221と電気的に接触するように第2の突起部32に位置される。
【0052】
インダクタンス素子Z2がもう1つの回路板に設置された際に、第1の底部40及び第2の底部50は、回路板へ向けるように設置される。また、第1の側部41及び第2の側部51にはんだ(例えば、錫ペースト)の半田上がりを増加することによって、インダクタンス素子Z2と回路板との接着強度を向上させることができる。
【0053】
[実施形態による有利な効果]
本発明の有利な効果として、本発明に係るインダクタンス素子及びその製造方法は、「柱コア12を含む磁気ベース1で位置決め溝H1を画定する」、「コイル構造2は、位置決め溝H1に設置され、コイル本体20、第1の延伸部21及び第2の延伸部22を含む。第1の延伸部21は、お互いに繋がった第1の曲げ部210及び第1のピン部221を含む。第2の延伸部22は、お互いに繋がった第2の曲げ部220及び第2のピン部221を含む」及び「第1の曲げ部210及び第2の曲げ部220は、コイル本体20から同側に曲げると共に、それぞれ、第1の接続端210a及び第2の接続端220aを有する。第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aと柱コア12の中心軸Yとの最短距離d1は、コイル本体20の最小外半径Raより短い。第1のピン部211及び第2のピン部221はそれぞれ、コイル本体20の側面から突出するように第1の接続端210a及び第2の接続端220aから延伸される」といった技術特徴により、インダクタンス素子Z1、Z2の信頼性を維持すると共に、インダクタンス素子Z1、Z2に優れた電気特性を与える。
【0054】
更に説明すると、コイル構造2を予備成形された磁気ベース1を位置決め溝H1に設置すれば、製造過程においてコイル構造2が圧迫によって変形・シフトされて、インダクタンス素子の電気特性及び歩留まりの影響を回避すると共に、インダクタンス素子Z1、Z2のサイズをより効果的に制御することができる。その上、予備成形された磁気ベース1は、磁性粉末を成形することで形成された磁性体より高い密度を有する。よって、本実施形態に係るインダクタンス素子Z1,Z2のコイル本体20の貫通孔20Hでの磁性物質の密度が高いので、インダクタンス素子Z1,Z2がより高いインダクタンス値を有する。
【0055】
第1の接続端210a及び第2の接続端220aを繋いだ第1の仮想線Aと柱コア12の中心軸Yとの最短距離d1は、コイル本体20の最小外半径Raより短いと共に、第1のピン部211及び第2のピン部221はそれぞれ、第1の接続端210a及び第2の接続端220aから延伸され、それによって、第1のピン部211と第1の電極部4との接触面積(即ち、第1の導電部211Sである)を増加して、第1のピン部211と第1の電極部4との接着力を向上することで、インダクタンス素子Z1,Z2の信頼度を向上することできる。同様に、第2のピン部221と第2の電極部5との接触面積(即ち、第2の導電部221Sである)を増加して、第2のピン部221と第2の電極部5との抵抗を低減することで、インダクタンス素子Z1,Z2により優れた電気特性を与える。
【0056】
以上に開示された内容は、ただ本発明の好ましい実行可能な実施態様であり、本発明の請求の範囲はこれに制限されない。そのため、本発明の明細書及び図面内容を利用して成される全ての等価な技術変更は、いずれも本発明の請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0057】
Z1,Z2…インダクタンス素子
1…磁気ベース
10…底板
10S…表面
11…側壁
11S…上面
12…柱コア
H1…位置決め溝
2…コイル構造
20…コイル本体
20H…貫通孔
21…第1の延伸部
210…第1の曲げ部
210a…第1の延伸部
210b…第1の曲げ始端
211…第1のピン部
211S…第1の導電部
22…第2の延伸部
220…第2の曲げ部
220b…第2の曲げ始端
220a…第2の接続端
221…第2のピン部
221S…第2の導電部
Ra…最小外半径
Rb…最大外半径
d1…最短距離
A…第1の仮想線
B…第2の仮想線
h1…側壁の高さ
h2…柱コアの高さ
T1…コイルの高さ
Y…中心軸
3…パッケージ構造
3A…磁性パッケージ体
31…第1の突起部
32…第2の突起部
3B…絶縁層
4…第1の電極部
40…第1の底部
41…第1の側部
5…第2の電極部
50…第2の底部
51…第2の側部
S100、S110、S120、S130、S140…製造方法の工程
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6
図7
図8
図9
図10
図11