(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033103
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20230302BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01K29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022084783
(22)【出願日】2022-05-24
(62)【分割の表示】P 2021137046の分割
【原出願日】2021-08-25
(71)【出願人】
【識別番号】521152932
【氏名又は名称】株式会社コーンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】吉角 裕一朗
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】人の経験や勘に頼ることなく家畜の飼育から販売に至る一連のビジネスを実現できるように支援する。
【解決手段】サーバ1は、画像解析AI_Qと、種類解析部103と、処理実行部104とを有する。画像解析AI_Qは、豚舎Bの画像を解析することで、当該豚舎Bの画像に含まれるNの豚のオブジェクトOP1乃至OPnを認識する。種類解析部103は、当該豚のオブジェクトOP1乃至OPnの夫々に関する所定種類の情報(体重、筋肉量、死亡・病気の有無…)を、Nの豚のオブジェクトOP1乃至OPn毎に生成する。処理実行部104は、豚舎Bの50頭の豚の夫々の体重を、豚50頭の平均体重等に換算して、その平均体重と複数種類の環境情報(温度や湿度の計測データ)とを入力パラメータとして用いる所定処理(飼料の配合率の演算処理等)を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の場で管理されるN(Nは1以上の整数値)の家畜を第1単位として、当該第1単位に対する所定処理を実行する情報処理システムにおいて、
前記場の様子を撮像し、その結果得られる撮像画像を場画像として出力する撮像装置と、
前記場の環境に関する1以上の物理量を検出し、その検出結果を含む情報を場環境情報として出力する出力装置と、
前記場画像と前記場環境情報とのうち少なくとも一部に基づいて前記所定処理を実行する情報処理装置と、
を含み、
前記情報処理装置は、
前記場画像を解析することで、当該場画像に含まれる前記Nの家畜の夫々を示すNのオブジェクトを、Nの家畜オブジェクトとして認識する認識手段と、
当該家畜オブジェクトを第2単位として、前記第2単位に関する所定種類の情報を第2単位解析情報として、前記Nの家畜オブジェクト毎に生成して出力する解析手段と、
Nの前記第2単位解析情報に基づいて生成される前記第1単位の前記所定種類の情報を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報のうち1以上を入力パラメータとして、当該入力パラメータを用いる前記所定処理を実行する所定処理実行手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記出力装置は、前記場環境情報として、前記場における前記家畜の放熱に関する外部環境パラメータを出力し、
前記画像解析手段は、前記第2単位解析情報として、前記家畜の筋肉に基づく質量を、前記Nの家畜オブジェクト毎に生成して出力し、
前記所定処理実行手段は、
Nの前記質量に基づいて生成される前記第1単位の前記質量と、前記外部環境パラメータとを前記入力パラメータとして入力して、前記第1単位の飼料配合に関する情報を出力する処理を、前記所定処理として実行する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記外部環境パラメータは、温度及び湿度のうち、少なくとも一方を含む、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
所定の場で管理されるN(Nは1以上の整数値)の家畜を第1単位として、当該第1単位に対する所定処理を実行する情報処理システムであって、
前記場の様子を撮像し、その結果得られる撮像画像を場画像として出力する撮像装置と、
前記場の環境に関する1以上の物理量を検出し、その検出結果を含む情報を場環境情報として出力する出力装置と、
前記場画像と前記場環境情報とのうち少なくとも一部に基づいて前記所定処理を実行する情報処理装置と、
を含む情報処理システムの前記情報処理装置が実行する情報処理方法において、
前記場画像を解析することで、当該場画像に含まれる前記Nの家畜の夫々を示すNのオブジェクトを、Nの家畜オブジェクトとして認識する認識ステップと、
当該家畜オブジェクトを第2単位として、前記第2単位に関する所定種類の情報を第2単位解析情報として、前記Nの家畜オブジェクト毎に生成して出力する解析ステップと、
Nの前記第2単位解析情報に基づいて生成される前記第1単位の前記所定種類の情報を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報のうち1以上を入力パラメータとして、当該入力パラメータを用いる前記所定処理を実行する所定処理実行ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項5】
所定の場で管理されるN(Nは1以上の整数値)の家畜を第1単位として、当該第1単位に対する所定処理を実行する情報処理システムであって、
前記場の様子を撮像し、その結果得られる撮像画像を場画像として出力する撮像装置と、
前記場の環境に関する1以上の物理量を検出し、その検出結果を含む情報を場環境情報として出力する出力装置と、
前記場画像と前記場環境情報とのうち少なくとも一部に基づいて前記所定処理を実行する情報処理装置と、
を含む情報処理システムの前記情報処理装置を制御するコンピュータに、
前記場画像を解析することで、当該場画像に含まれる前記Nの家畜の夫々を示すNのオブジェクトを、Nの家畜オブジェクトとして認識する認識ステップと、
当該家畜オブジェクトを第2単位として、前記第2単位に関する所定種類の情報を第2単位解析情報として、前記Nの家畜オブジェクト毎に生成して出力する解析ステップと、
Nの前記第2単位解析情報に基づいて生成される前記第1単位の前記所定種類の情報を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報のうち1以上を入力パラメータとして、当該入力パラメータを用いる前記所定処理を実行する所定処理実行ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
畜産業は、人手不足の課題を常に抱えていると共に、そこで働く人の経験や勘に基づく作業が多く、再現性の低い業界に位置しており、経験者の不足を補う技術の開発が急務になっている。
従来の技術として、例えばウェブサイトにおいて、時系列に沿って、畜産動物に関して実施した活動及びコメントを端末に入力することで、畜産動物の頭数等の推移を管理する畜産動物管理システムがある(例えば特許文献1等)。
従来の技術の場合、飼育管理者及び係員等のスタッフが、畜産動物に関して実施した活動及びコメント等を端末から一々入力する必要があり、通常の飼育活動以外に事務的な作業の負担が重いと言える。
また、大規模な畜産農場は、一つの市や町ぐらいの数の家畜を飼育しており、家畜の体調や餌の配合、病気の早期発見等、少ない人手で把握し管理するには限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように従来の技術のみの場合、飼育管理者及びスタッフが、畜産動物に関して実施した活動及びコメント等を端末から一々入力する必要があり、ただでさえ人手が少ない畜産業界での家畜の管理手法としては有効とは言えない。
【0005】
本願発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、人の経験や勘に頼ることなく家畜の飼育から販売に至る一連のビジネスを実現できるように支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理システムは、
所定の場で管理されるN(Nは1以上の整数値)の家畜を第1単位として、当該第1単位に対する所定処理を実行する情報処理システムにおいて、
前記場の様子を撮像し、その結果得られる撮像画像を場画像として出力する撮像装置と、
前記場の環境に関する1以上の物理量を検出し、その検出結果を含む情報を場環境情報として出力する出力装置と、
前記場画像と前記場環境情報とのうち少なくとも一部に基づいて前記所定処理を実行する情報処理装置と、
を含み、
前記情報処理装置は、
前記場画像を解析することで、当該場画像に含まれる前記Nの家畜の夫々を示すNのオブジェクトを、Nの家畜オブジェクトとして認識し、当該家畜オブジェクトを第2単位として、前記第2単位に関する所定種類の情報を第2単位解析情報として、前記Nの家畜オブジェクト毎に生成して出力する画像解析手段と、
Nの前記第2単位解析情報に基づいて生成される前記第1単位の前記所定種類の情報を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報のうち1以上を入力パラメータとして、当該入力パラメータを用いる前記所定処理を実行する所定処理実行手段と、
を備える。
このように、撮像装置により撮像された場画像に含まれるNの家畜の夫々を示すNの家畜オブジェクトを認識し、家畜オブジェクトを解析して第2単位に換算して所定種類の情報を第2単位解析情報としてNの家畜オブジェクト毎に生成し、Nの第2単位解析情報に基づいて生成される第1単位の所定種類の情報を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報のうち1以上を入力パラメータとして所定処理を実行するので、場の中で飼育される家畜を管理する側の負担なく家畜の飼育状況を管理することができる。
この結果、人の経験や勘に頼ることなく家畜の飼育から販売に至る一連のビジネスを実現できるように支援することができる。
【0007】
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人の経験や勘に頼ることなく家畜の飼育から販売に至る一連のビジネスを実現できるように支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の情報処理システムが適用される家畜の管理方法の一例を示す図である。
【
図2】
図1の家畜の管理方法において、動画像から豚の個体を識別する例を示す図である。
【
図3】リコメンドAIに対する入力データと出力データを示す図である。
【
図5】本発明の情報処理システムの一つの実施形態を示すブロック図である。
【
図6】本発明の情報処理システムに係るサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図6のサーバの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図1の管理者端末の画面の一例を示す図である。
【
図9】
図6及び
図7のサーバの動作を示すフローチャートである。
【
図10】加工前と加工後の豚の動画の取得の様子を示す図である。
【
図11】豚舎に移動自在なカメラを設置する実施形態を示す図である。
【
図12】スマートフォンのアプリによる実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の情報処理システムが適用される家畜の管理方法の一例を示す図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態において、管理対象の家畜は、例えば豚P1乃至Pnであり、これらの豚P1乃至Pnは、豚舎B等の場を単位として管理されている。豚舎Bには、餌場Eが設けられており、毎日所定の時刻に飼料が与えられ、飼育されている。
【0012】
豚舎Bには、豚P1乃至Pnの状況を撮像するためのカメラCAが例えば天井や壁面、柱等のうちの何れかに例えば1台設置されている。カメラCAは、豚舎B内の全ての豚P1乃至Pnが撮像されるように、つまり死角がないように設置されている。カメラCAにより撮像される豚舎Bの画像は、動画Dとして配信される。即ち、カメラCAは、豚舎Bの様子を撮像し、その結果得られる撮像画像を豚舎の動画Dとして出力する。
動画Dは、複数の単位画像群が時系列の順に配置されたものをいう。単位画像には、例えばフィールドやフレームが含まれる。即ち、画像は、動画及び静止画を含む広い概念を言い、本実施形態ではカメラCの撮像画像は、動画Dとして配信されるが、必要に応じて所定間隔毎に撮像される静止画像として出力されてもよい。
なお、本実施形態ではカメラCAは1台とされているが、豚舎Bの規模(広さ)によっては複数台のカメラCAが配置されてもよい。豚舎Bが複数の柵で区画されている場合、カメラCAは、柵単位に設けられる。
【0013】
豚舎Bには、豚舎Bの内部又は外部の飼育環境に関する情報(以下、これを「環境情報」と呼ぶ)を検出するための各種のセンサSE(出力装置)が設けられている。
センサSEは、豚舎Bの環境情報として、例えば豚舎Bにおける豚の放熱に関する外部環境パラメータの値を出力する。
具体的には例えば、センサSEは、例えば温度センサや湿度センサ等であり、センサSEからは温度や湿度等の計測データが外部環境パラメータの値として出力される。ここで示す環境情報は一例であり、例えば天気、天気予報、気圧、二酸化炭素濃度等、他の情報であってもよく、豚舎Bの内部の飼育環境に関する情報であればよく、外部環境パラメータの値として採用できるものであれば好適である。
【0014】
ここで、豚を飼育する上での、外部環境パラメータの値として採用可能な環境情報(温度/湿度)の必要性について説明する。
まず温度の必要性について説明する。
豚は体温を保つために飼料の摂取量を増やす。温度管理の効果は、豚の反応を見ると一目瞭然である。寒い環境下では、豚は体を暖かく保つために飼料の摂取量を増やす。
しかし、いくら飼料を増やして体を暖めても、それに熱の損失が追いつかなくなる限界温度がある。この限界温度を超えると体温が低下し、豚は低体温になってしまい、最終的に死に至ることもある。
【0015】
一方、暑くなりすぎると、熱生産量が増え、体温が上昇する。すると、豚は食べる量を減らすことで対応するがこれにも限界があり、高体温になるとやはり最終的に死に至る。
これらの両極端な温度の中間に、豚の生産において生産性が最大となる「最適生産性域」といわれる温度帯が存在する。この温度帯の上限は「上方臨界温度」、下限は「下方臨界温度」と呼ばれる。豚をこれら温度の中立域(適生産性域)に保つことが豚舎管理の目標となる。
下方臨界温度は例えば16°C等であり、この16°Cを豚舎Bの温度が下回ってくると、放熱がどんどん増えていく。放熱の分、カロリーを消費してしまうため、ベースのカロリーが少ないと、肉になるはずのたんぱく質が燃えてしまう。このため豚舎Bの温度が例えば1°C低下すると、その低下温度に応じた量だけ餌を増やす必要がある。
【0016】
続いて湿度の必要性について説明する。
豚は、汗をかくため、その放熱が湿度によって影響する。
例えば真夏で豚舎Bの温度が40°C近くある日に雨が降ると、湿度が100%近くになることがあるが、こうなると、豚は、汗をかかないため、死んでしまう。また、豚は体に熱がこもってしまうと、餌を食べる行動が弱まり、太り方も悪くなる。
このように気温と湿度が、豚の太り方(体重)に影響を及ぼすため、豚舎Bの環境を適生産性域にした中で、そのときの気温と湿度に応じて飼料の配合を変える必要がある。
【0017】
続いて、このような飼育環境のもとでの家畜の管理方法について説明する。
ステップST1において、カメラCAにより撮像された動画Dが出力される。
また、ステップST2において、センサSEにより計測された温度や湿度等の計測データが出力される。
【0018】
ステップST3において、カメラCAにより撮像された動画Dが画像解析AI_Qに入力される。すると、画像解析AI_Qは、豚舎Bの動画Dを解析することで、当該豚舎Bの動画Dに含まれるN頭の豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnを認識し出力する。なおnは自然数である。
【0019】
ここで、画像解析AI_Qは、学習部と、学習の結果得られるモデルと、認識部(推論部)とを有する。予め用意した豚の個体毎の動画について学習部によりAIによる機械学習が行われた結果としてモデルが生成又は更新される。このモデルは、新たな動画Dを入力すると、当該動画に含まれるN頭の豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnをラベリングして出力することができる。即ち、認識部は、新たな動画Dをモデルに入力し、当該モデルから出力される、ラベリング付きの豚の個体のオブジェクトを、認識結果として外部に出力する。
なお、上述のAIのモデルは一例に過ぎず、出力形態が異なるモデル(例えば、下記のステップST4の解析処理を行いその解析処理の結果を出力するモデル)が存在してもよい。
【0020】
具体的には、例えば
図2に示すように、豚舎Bの夫々の豚P1乃至Pnが活動する様子を撮影して得られた動画Dが画像解析AI_Q(AIのモデル)に入力されると、画像解析AI_Qは、動画Dに含まれる1以上の豚P1乃至Pnの夫々の豚Pk(k=1~n)単位の外郭(体の輪郭)を認識し、夫々の外郭を示すオブジェクトOP1乃至OPnと、夫々の個体識別子である個体ラベルとを対応させて出力する。
なお、各オブジェクトOP1乃至OPnにおいて、実線(緑色の輪郭線)は活動しているものを示し、破線(赤色の輪郭線)は、停止しているものを示す。
つまりこの実施形態における画像解析AI_Qを用いることで、豚舎Bの動画から、豚P夫々の個体を識別し、その識別されたN個のオブジェクトOP1乃至OPnとその個体ラベルを出力することができる。
【0021】
ステップST4において、画像解析AI_Qから出力されるN個のオブジェクトOP1乃至OPnに対して、1以上の種類の解析処理が実行される。
解析処理は、例えば豚P1乃至Pnの数を計数する処理(数)、豚P1乃至Pnの夫々の増体判定処理(体重)、(筋肉量)、(体長)、豚P1乃至Pnの夫々の行動パターン予測処理(行動パターン)、豚P1乃至Pnの夫々の生体状況の判定処理(死亡/病気)、豚以外のものの侵入検知処理(人検知)等である。かっこ内は
図1の処理に対応する。
1以上の種類の解析処理の結果は、豚舎Bの単位で出力される。具体的には、増体判定処理(体重)の結果等は、豚P1乃至Pnの夫々の体重を平均した平均体重等が出力される。
【0022】
ステップST5において、1以上の種類の解析処理の結果と、センサSEから入力される環境データ(温度、湿度等の計測データ)又は将来予測の場合には天気予報等の予測データとに基づいて、所定の処理が実行される。
具体的には、リコメンドAI_Rでは、解析処理結果として豚舎B単位の増体データ(平均体重、中央値体、変動係数等)と、センサSEから入力される温度、湿度の計測データとに基づいて、例えば飼料100Kgあたりの各種飼料の配合率が演算されて、その演算結果がリコメンド情報、つまり推薦情報として出力される。
具体的には、
図3に示すように、例えばとうもろこし73%、大豆粕16%、プレミックス0.2%、第2リンカル1.41%、タンカル0.9%、ビートバルブ5.41%、コーンコブ2.58%、塩0.5%、塩酸リジン0.00%等がリコメンド情報として管理者Uが管理する管理者端末2へ出力される。
【0023】
リコメンドAI_Rに入力されるデータと、演算結果の各種飼料の配合率は、月日毎に、
図4に示すような表にまとめて記憶され、管理される。
このように豚に与える飼料のデータを自動的に表に入力し管理することで、餌の配合率や餌の量と増体との相関関係の解析及び学習が可能になる。
【0024】
リコメンドAI_Rは、本実施形態では、学習部と、学習の結果得られるモデルと、推薦部(推論部)とを有する。
予め用意した、
図4に示す表の過去の多数のデータを学習データとして用いてAIによる機械学習が行われた結果としてモデルが生成又は更新される。このモデルは、
図4に示す表のうち「増体」と「室温/湿度」の各データを入力すると、
図4に示す表のうち右方に示す各種資料の配合率を出力することができる。即ち、推薦部は、豚舎B単位の増体データ(平均体重、中央値体、変動係数等)と、センサSEから入力される温度、湿度の計測データ(或いは将来予測の場合には天気予報等から得られる温度、湿度の予測データ)をモデルに入力する。そして、推薦部は、当該モデルから出力される各種飼料の配合率を、推薦情報として外部に出力する。
【0025】
次に、
図5に示す情報処理システムのシステム構成について説明する。
図5は、本発明の情報処理システムの一つの実施形態を示すブロック図である。
図5に示す情報処理システムは、1以上の豚(
図1の例では豚P1乃至Pn)が収容された豚舎Bを上方から撮像するように設置(配置)されたカメラCA等の撮像装置と、豚舎Bの環境情報を検出するように設置(配置)されたセンサSE等の出力装置と、管理者や係員等の操作者Uに操作される管理者端末2と、サーバ1と、がネットワークNを介して接続され、これら複数の装置がネットワークNを通じて通信するように構成される。
ネットワークNには、インターネットの他、有線ネットワークや無線ネットワーク等も含まれる。
豚舎Bは、一定の行動範囲の中で豚P1乃至Pnを活動させるための収容手段であり、柵等のブロックで区切られる場合もある。この場合、豚舎Bの豚P1乃至Pnは、ブロック単位で管理される。
【0026】
カメラCAは、例えば動画を撮像するデジタルカメラやネットワークカメラ等であり、豚舎B内を上方から撮像した動画Dをサーバ1に出力する。
【0027】
センサSEは、豚舎Bの例えば温度や湿度等を計測する温度計や湿度計等であり、豚舎B内の温度や湿度等を計測した計測データをサーバ1に出力する。
【0028】
サーバ1では、画像解析AI_Qが、カメラCAから取得した動画Dに基づいて、動画Dに被写体として含まれるオブジェクトOP1乃至OPnの夫々を特定することで、当該オブジェクトOP1乃至OPnの夫々に対応する豚P1乃至Pnの個体を認識する。
オブジェクトOP1乃至OPnは、豚の個体の外郭を示す輪郭線等により表されるフレーム画像内の領域である。
サーバ1は、さらに、動画D内の複数の豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnに基づいて、個体として夫々識別された豚P1乃至Pnの行動パターン(癖等)を解析し、死亡や病気等、夫々の豚P1乃至Pnの健康状態を判定する。
この他、サーバ1は、豚P1乃至Pnの社会性、同じ行動範囲に存在する豚P1乃至Pnどうしの相互作用、豚P1乃至Pnどうしの関係性等といった行動の基になる要素(原因)等を検出する。
なお、サーバ1の機能的構成や処理の詳細については、
図7を参照して後述する。
【0029】
図6は、
図5の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0031】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0032】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、及びドライブ20が接続されている。
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、画像や音声を出力する。
入力部17は、キーボードや豚等で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
記憶部18は、ハードディスク等で構成され、各種情報のデータを記憶する。
【0033】
通信部19は、ネットワークNを介して他の通信対象(例えば
図1のカメラCA)との間で行う通信を制御する。
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア31が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア31から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア31は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0034】
管理者端末2も、基本的に
図5のハードウェア構成を有している。したがって、管理者端末2のハードウェア構成の説明については省略する。なお、管理者端末2がスマートフォンやタブレット端末で構成される場合、入力部17及び出力部16の表示部は、タッチパネルにより構成される。
【0035】
図7は、
図5の情報処理システムのサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0036】
図6に示したサーバ1の記憶部18には、画像解析AI_Qと、リコメンドAI_Rと、が記憶されている。
【0037】
画像解析AI_Qは、上述したように、学習部、モデル、及び認識部を有する。本実施形態のモデルは、新たな動画Dを入力すると、当該動画に含まれるN頭の豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnをラベリングして出力するモデルである。
ただし、このモデルは例示に過ぎず、後述する所定処理の少なくとも一部を実行してその実行結果を出力するモデルを採用してもよい。また、モデルの種類数は、ここでは説明の便宜上1種類とされているが、複数種類のモデルが画像AI_Qに設けられていてもよい。
【0038】
具体的には、画像解析AI_Qは、入力される動画Dを単位画像(フレーム画像)毎にモデルに入力し、当該動画に含まれるN頭の豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnをラベリングして出力する。
出力形態は、特に限定されず、動画Dとは別の情報として出力する形態であってもよいし、動画Dを構成する各単位画像(フレーム画像)に対して、オブジェクトOP1乃至OPnを示す枠線やラベリングを重畳したものを出力する形態であってもよい。
【0039】
リコメンドAI_Rは、上述したように、画像解析AI_Qと同様に、学習部、モデル、及び認識部を有する。モデルは、豚舎Bの豚P1乃至Pnの体重の平均値等の豚舎Bを単位(後述の豚舎単位)とする増体に関する情報と、豚舎Bの温度や湿度に関する環境情報とを入力すると、各飼料の配合率を出力するものである。
【0040】
図7に示すように、サーバ1では、CPU11が処理を実行する際に、動画取得部101、環境情報取得部102、種類解析部103、処理実行部104、表示制御部105等が機能する。
【0041】
動画取得部101は、豚舎Bの中で1以上の豚P1乃至Pn等の動物が活動する様子が撮像された結果得られる動画D(映像)を取得し画像解析AI_Qに入力する。
動画D(映像)が入力された結果得られる画像解析AI_Q(モデル)の出力、例えばここでは豚のオブジェクトOP1乃至OPnの夫々を示す情報は、種類解析部103に提供される。
【0042】
環境情報取得部102は、センサSEから出力された計測データ(後述する所定の処理が将来予測をする処理の場合には天気予報等の予測情報)を、環境情報として取得して、処理実行部104に提供する。
【0043】
種類解析部103は、当該豚のオブジェクトOP1乃至OPnの夫々を1単位として、1単位毎に複数種類の解析を実行する。なお、以下、このような1単位を「1豚単位」と呼ぶ。
複数種類の解析については、特に限定されないが、例えば本実施形態では、オブジェクトOPk(kは1乃至nのうち任意整数値)に対応する豚Pkについての、体重、筋肉量、死亡・病気の有無等の解析が採用されている。
種類解析部103による1豚単位の所定種類の解析結果(例えば豚Pkの体重等)を、以下、「豚単位解析情報」と呼ぶ。
本実施形態では、所定種類毎に、n頭の豚P1乃至Pnの夫々についての豚単位解析情報、即ち総計n個の豚単位解析情報が得られる。例えば所定種類が体重であれば、n頭の豚P1乃至Pnの夫々についての体重データ、即ち総計n個の体重データが得られる。
【0044】
例えば所定種類が増体の解析である場合、種類解析部103は、オブジェクトOP1乃至OPnの夫々に対応する豚P1乃至Pnの夫々についての、体重、体長、筋肉量等のうち一つ以上の増体に関する情報を解析する。
具体的には、種類解析部101は、オブジェクトOP1乃至OPnの夫々の輪郭の面積と予め設定された単位面積毎の、体重、体長、筋肉量から、豚P1乃至Pnの夫々の体重、体長、筋肉量等を推定する。即ち、豚P1乃至Pnの夫々の推定結果、即ち、総計n個の推定結果が、豚単位解析情報の一例である。
なお、ここでは、種類解析部103が解析する増体に関する情報として、例えば体重、体長、筋肉量等について説明したが、この他、骨格、姿勢、動向、色味等についても解析及び計測することができる。
【0045】
この他、種類解析部103は、豚の飼育数の解析、行動パターン解析、死亡/病気解析等を実行する。
例えば所定種類が豚の飼育数の解析である場合、種類解析部103は、オブジェクトOP1乃至OPnに基づいて、対象範囲(豚舎単位、柵単位等)の豚の飼育数(個体数)を計数する。
【0046】
例えば所定種類が行動パターンの解析である場合、種類解析部103は、オブジェクトOP1乃至OPnの位置の推移が予め設定された1以上の条件のうち何れかの条件を満たした場合、満たした条件に応じた豚の行動パターンを判定する。
具体的には、種類解析部103は、オブジェクトOP1乃至OPn毎に、中心座標の推移が予め設定された行動条件に合致するか否かを判定し、合致した行動条件に対応する動物の行動ラベル(排泄行動ならば“01”、睡眠中ならば“02”、餌食べ行動ならば“03”、水飲み行動ならば“04”等)を、当該オブジェクトOP1乃至OPn、又はその元となる画像フレームの時刻情報(タイムスタンプ)又はデータフレームに付与する。
【0047】
これにより、例えば豚舎B内に50頭の豚P1乃至Pnが収容されて活動している環境で、豚夫々の行動として、いつ排泄したか、いつ睡眠をしたか、いつ餌を食べたか、いつ水を飲んだか等の詳細な行動を把握することができる。
【0048】
例えば所定種類が死亡/病気の解析である場合、種類解析部103種類解析部103はは、オブジェクトOP1乃至OPnに基づいて、豚が死亡しているか病気かを解析する。具体的には、種類解析部103は、一定時間の中でオブジェクトの位置が全く動かないものを豚が死亡しているものと判定する。
また、種類解析部103は、オブジェクトの移動が正常時のものとは異なる動きのパターンをしていた場合は病気行動と判定する。
【0049】
例えば所定種類が人の検知である場合、種類解析部103は、オブジェクトOP1乃至OPnに基づいて、豚以外のもの(例えば人や他の動物等)の有無を解析し、豚以外のものが検知された場合、アラートを出力する。
このように豚のオブジェクトOP1乃至OPnとそれ以外のものとを分けて検知し、豚のオブジェクト以外のものが検知された場合、人等がいるものと検知しアラートを出力する。この際、例えば夜の時間帯(例えば21時~翌朝の7時等)を検知条件に設定しておくことで、夜に訪れる豚泥棒や餌泥棒等をリアルタイムに発見することができる。
なお、ここに示した検知条件は一例であり、他の条件であってもよい。また、カメラCAにより豚舎監視中等といった掲示を豚舎の場外に積極的に行うことで、豚の盗難事件に対しての防犯対策になる。
【0050】
処理実行部104は、種類解析部103から出力された複数種類の総計n個の豚単位解析情報の夫々と、環境情報取得部102から出力された環境情報とのうち少なくとも一部を入力パラメータとして、当該入力パラメータを用いる前記所定処理を実行する。
所定処理は特に限定されないが、
図7の例では、所定処理として飼料配合リコメンド処理、自動帳票化処理、増体/肉質予測処理、遺伝子/ゲノム解析処理、販売支援処理、及び、アラート/リポート処理が採用されている。
処理実行部104において、資料配合リコメンド処理が実行される場合には、飼料配合リコメンド部110が機能する。自動帳票化処理が実行される場合には自動帳票化部111が機能する。増体/肉質予測処理が実行される場合には、増体/肉質部112が機能する。遺伝子/ゲノム解析処理が実行される場合には、遺伝子/ゲノム解析部113が機能する。販売支援処理が実行される場合には、販売支援部114が機能する。アラート/リポート処理が実行される場合には、アラート/リポート部115が機能する。
【0051】
前記資料配合リコメンド部110は、資料配合リコメンド処理として次のような処理を実行する。
即ち、資料配合リコメンド部110は、種類解析部103から出力された増体に関する総計n個の豚単位解析情報、例えば豚P1乃至Pnの夫々の体重に基づいて、豚舎Bの単位(第1単位)の増体情報(以下、「豚舎単位解析情報」)を生成する。例えば本実施形態では、総計n個の豚単位解析情報が豚P1乃至Pnの夫々の体重である場合には、豚P1乃至Pの平均体重等が豚舎単位解析情報として生成される。
なお、豚単位解析情報の生成(演算)手法は、特に限定されず、即ちn頭の豚の体重の平均値を求める手法は提示に過ぎず、その他、例えばn頭のうち所定条件を満たすm(mはn以下の整数値)頭の豚の体重の平均値を求める手法や、平均値以外に中央値を求めたりする手法等、任意の手法を採用することができる。
また、資料配合リコメンド部110は、豚舎Bの温度や湿度を示す環境情報(センサEの計測データでもよいし、天気用法等から得られる予測データでもよい)を取得する。
そして、資料配合リコメンド部110は、豚舎単位解析情報(n頭の豚P1乃至Pnの平均体重等)と、豚舎Bの温度や湿度を示す環境情報とを入力パラメータとして、リコメンドAI_R(モデル)に入力させる。
資料配合リコメンド部110は、リコメンドAI_R(モデル)から出力される飼料100Kgあたり各種飼料の配合率や豚舎B単位の飼料の量をリコメンド情報として表示制御部105へ出力する。
【0052】
自動帳票化部111は、自動帳票化処理として次のような処理を実行する。
即ち、自動帳票化部111は、種類解析部103により計数された対象範囲(豚舎単位、柵単位等)の豚の頭数(個体数)や増体状況を予め設定された管理帳票に入力し、入力管理を自動化する。これにより、紙帳票への記入作業やタブレットでの手入力の作業をなくすことができる。
【0053】
増体/肉質部112は、増体/肉質予測処理として次のような処理を実行する。
即ち、増体/肉質部112は、種類解析部103により生成された増体情報(現在の体重・体長等)に基づいて、成長途中の状態(現状)で出荷時に体重・体長がどの程度になるかを予測する。増体/肉質部112は、増体情報にさらに豚の品種や飼育環境、飼料の与え方等の情報を加え、これらの情報に基づいて、出荷時の肉質も同時に予測することで、出荷時の売上予測が可能になる。
【0054】
遺伝子/ゲノム解析部113は、遺伝子/ゲノム解析として次のような処理を実行する。
即ち、遺伝子/ゲノム解析部113は、カメラCAの動画から識別した個体とその個体の予測体重と母豚や父豚等の血縁関係とを遺伝子レベルでデータベース化し、データベースに基づいて、体形や太り方の良い豚、病気になり難い豚どうしを交配させてゆき、品質の良い豚を作ってゆくことができる。
【0055】
販売支援部114は、販売支援処理として次のような処理を実行する。
即ち、販売支援部114は、カメラCAの動画から識別した個体とその個体の予測体重に基づいて、出荷可能な体重になるまであと何日かかるかといった出荷予測を行う。そして、販売支援部114は、出荷予測の時期と、日毎の市場価格に基づいて出荷予測価格を決定する。
これにより、豚を出荷する際の値段とその時の市場価格とから、例えば10日間早く出荷した方が良いとか、あと10日餌を与えてでも出荷を伸ばして主査化した方が良い等の計画を立てる上での販売支援を行うことができる。
【0056】
アラート/リポート部115は、アラート/リポート処理として次のように処理を実行する。
即ち、アラート/リポート部115は、上記各部により解析又は計測された結果に基づいてアラート又はリポートを管理者端末2の画面80(
図8参照)に提示し、管理者又は係員に通知する。
以下、具体的なアラートの例を列記する。
豚舎全体又はブロック単位(柵単位)の頭数を定期通知する。
増体を定期通知する。各種体重係数を定期通知する。日に1回全体の平均・中央・最大・最小体重を通知する。
差が一定値以上乖離したタイミングで、中央値と最小の乖離を通知する。
成長スピードが遅い豚と早い豚との差が一定値以上乖離したタイミングで、成長スピードが遅い豚又は早い豚のいずれかを検知し通知する。また中央値と最大の乖離を通知する。
予め設定された出荷に適した体重に近づいたタイミングで、その体重に達した豚を察知し通知する。予め設定された体重に達した豚を検知し通知する。
予め設定された出荷に適した体重に近づいたタイミングで、枝肉がどれくらい取れるかを推定し、その枝肉の量を通知する。
同様に出荷に適した体重に近づいたタイミングで、脂肪がどれくらい付いているかを推定し脂肪の割合をパーセント(%)で表記して通知する。
同様に出荷に適した体重に近づいたタイミングで、極上、上、中、並、それ以外の5段階でランク付けし、各ランクの豚が何頭いるかを推定して通知する。
同様に出荷に適した体重に近づいたタイミングで、上記ランク毎の相場価格に沿って想定売上を表示する。想定売上は、想定の各ランク毎の頭数×相場価格で事前に把握することができる。
ブロック単位の頭数や環境に最適な飼料の量を定期通知する。
頭数、成長度合い、気温・湿度等の環境情報を基に算出された最適な飼料の量を通知する。
ブロック単位の頭数や環境に最適な原材料の配合割合を定期通知する。
頭数、成長度合い、気温・湿度等の環境情報を基に算出された最適な配合プランを通知する。
予め決められた時間(朝・昼・夜の3回)に現状の豚舎内の気温・湿度を計測して通知する。
予め決められた時間(朝・昼・夜の3回)に季節毎に適切な豚舎内の気温・湿度を通知する。
ブロックにおいて一定の気温範囲を超えることが予測できた場合に、その日の気温の異常値を通知する。
ブロックにおいて一定の湿度範囲を超えることが予測できた場合に、その日の湿度の異常値を通知する。
一定の密度範囲を超えることが予測できた場合に豚が密集し過ぎている旨をブロック毎に通知する。
最低気温と最高気温の差異(気温差)について前日の状況を当日の朝に通知する。
最低気温と最高気温の予測(予測気温差)を翌日の予測気温差を当日に通知する。
外気と室内の気温との差異(気温差)について前日の状況を当日の朝に通知する。
外気と室内の気温の予測(予測気温差)を翌日の予測気温差を当日に通知する。
予め決められた時間(朝・昼・夜の3回)に、計測された二酸化炭素濃度を通知する。
画像解析により計測された柵の密度(の度合い)が予め設定された許容密度(閾値)以上に高い状態になったタイミングで、「密度が高く、豚を分散させた方がよい状況になった」旨のアラートメッセージを出力することで通知する。
予め決められた時間(朝・昼・夜の3回)に、センサSEにより計測されたアンモニア濃度を通知する。
センサSEにより計測されたアンモニア濃度の度合いが予め設定された閾値に達したタイミングで、例えば「密度が高く、豚を分散させた方がよい状況になりました。」等のアラートメッセージで通知する。
画像解析の結果、死亡可能性フラグが立った場合、「死亡している可能性が高い豚を検知しました。」等のアラートメッセージで通知する。
弱っている豚がいる可能性が高い条件に適合した場合(豚が死にそうな時)、豚の死亡リスクが高まっている旨のアラートメッセージを出力することで通知する。
増体が明らかに鈍ってきたタイミングで、増体の状況を解析し、病気の予兆として「増体が鈍くなると餌を十分に摂取していないので食欲の低下に紐付いて病気の可能性がある」旨のメッセージを通知する。
カメラCAで撮像された動画を解析した結果、各種病気の予兆が察知された場合に各種病気の予兆を通知する。
映像が取得できていない場合、カメラCAの動作状況の調査を依頼する旨の通知を行う。
環境情報が取得できていない場合、センサSEの動作状況の調査を依頼する旨の通知を行う。
通信が断絶した場合、ネットワークNの状態の調査を依頼する旨の通知を行う。
カメラCAやセンサSE等のデバイスにリモートでアクセスできない場合、デバイス自体の電源が入っているかどうかの調査を依頼する旨の通知を行う。
カメラCAの映像から付着物があると判定した場合、カメラCAのレンズに汚れがあり正常に撮影できない旨のアラートメッセージを管理者端末2に提示して、管理者や係員に伝達する。この他、カメラCAやセンサSE等のデバイスが設置又はメンテナンスしてから何日経過したかを示すメッセージを通知する。
【0057】
表示制御部105は、処理実行部104から出力される各種処理の結果を管理者端末2に提示するための表示制御を実行する。
具体的には、表示制御部105は、処理実行部104の飼料配合リコメンド部110から出力される飼料100Kgあたり各種飼料の配合率や豚舎B単位の飼料の量を管理者端末2に提示するための表示制御を実行する。
【0058】
以上のように実施形態の情報処理システムにおけるサーバ1の機能構成によれば、画像解析AI_Qが、豚舎Bの動画Dを解析することで、Nの豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnを認識し、その当該家畜オブジェクトを種類解析部103が、1豚単位に解析し、豚50頭の夫々の体重をNの豚オブジェクトOP1乃至OPn毎に生成する。そして、処理実行部104が、豚舎Bの単位の豚の平均体重と、温度や湿度等の計測データとを入力パラメータとして例えば100Kgあたりの飼料の配合率の演算処理を実行して管理者端末2へ提示するので、管理者端末2の画面で飼料の配合率を閲覧した管理者や係員は、豚舎Bへ見回ることなく、その時に必要な飼料の配合率で飼料を配合して豚舎の餌場に持ち込めばよくなり、人の経験や勘に頼ることなく豚を飼育することができる。
【0059】
ここで、
図8を参照して、管理者端末に表示される画面について説明する。
図8は、
図1の管理者端末の画面の一例を示す図である。
図8に示すように、管理者端末2の画面80は、サーバ1により開示され、管理者端末2からアクセスすることで閲覧可能となるWebページ又は管理者端末2にインストールされるアプリケーションプログラム(以下「アプリ」と称す)で提供される。
画面80には、豚舎Bが複数の柵で区分されている場合、その中のある柵(例えばAブロック-1等)の動画Dが表示されるエリア81と、Aブロック-1において飼育されている豚の体重の範囲とその範囲に属する豚の頭数が表示されるエリア82と、最新の体重の計測結果と、1週間前の統計体重とが表示されるエリア83と、天気、室温、湿度が表示されるエリア84と、センサSEにより計測された環境情報に応じて予め設定された注意コメントが表示されるエリア85とが配置されている。
【0060】
この画面80では、上述した各エリア81乃至85に表示される情報を管理者や係員が閲覧することで、豚舎Bに見に行くことなく、豚舎Bの豚P1乃至Pnの飼育環境や発育状況、健康状況等を把握及び管理することができる。
例えば管理者や係員が、エリア81を閲覧することで、Aブロック-1において飼育されている豚の状況をリアルタイムで閲覧することができる。
また、エリア81において管理者や係員が他のブロックの動画Dを閲覧したいときに、切替ボタン又はプルダウンメニュー(図示せず)を操作することで、他のブロックを閲覧することができる。
【0061】
エリア82では、豚の体重の範囲が例えば5Kg単位で区分されており、管理者や係員は、どの範囲に何頭の豚が入っているかを一目で確認することができ、そのブロックの豚の増体バランスが一目でわかる。
【0062】
エリア83では、最新の計測結果として、ブロックの豚の例えば平均体重、最低体重、最大体重が表示される。また、1週間前の統計体重として、ブロックの豚の例えば平均体重、最低体重、最大体重が表示される。これにより、管理者や係員は、1週間前と今でどの程度、豚が増体したかを判断することができる。
【0063】
エリア84では、天気のマーク(晴れ、雨、曇り等)と、気温(外気の温度)と、室温(豚舎内の気温)と、湿度(豚舎内の湿度)とが表示されるので、管理者や係員は、豚の飼育環境が現在どのような状況かを一目で判断できる。
【0064】
エリア85では、環境情報が予め設定された注意喚起条件を満たした場合、管理者や係員に注意喚起を促すメッセージが表示されるので、メッセージを閲覧するだけで、豚舎に見回りに行ったり、人の経験に頼ることなく、飼育環境が悪化する前に豚舎Bの環境を改善することができる。
【0065】
このようにサーバ1の豚舎監視機能と、監視結果を表示する管理者端末2の画面80とによれば、以下のような効果が得られる。
同じ柵の中で同時に計測された複数の豚の体重・体長がリアルタイムに確認することができる。
本実施形態では、カメラCAで同時に最大50頭、豚の体重・体長等の推定計測を実行することができる。また、カメラCAにより撮像された動画から、豚の体重・体長等を常時、計測するので、日々の増体変化等をグラフで確認することができる。
これまでは、1頭1頭の豚について人手の作業で行っていたため、体重・体長測定に時間が掛かる、増体を均一に管理することが難しい、出荷時の体重がバラつく等の問題があったが、本実施形態では、体重・体長測定を自動計測するので、日々の増体計測で細かく管理することができる。また豚を体重別に柵に入れて、体重に応じた飼料で飼育することで出荷時の豚の体重を均一化が図れる。
この結果、豚の体重・体長の計測にかかる時間と労力を圧倒的に削減することができる。また増体の個体差を限りなくなくすことにより、理想の体重で出荷することができる。
【0066】
本実施形態では、カメラCAによる動画の撮像により動態の計測ができると共に、センサSEにより豚舎の温度や湿度等を計測することで、豚舎環境と動態への影響を分析することができる。
豚舎内部の温湿度を24時間測定し、管理者端末2の画面80に提示することで、それを閲覧した管理者や係員が、豚舎内部の環境の変化に迅速に対応することで、豚舎内を常に適温、敵湿に保つことができる。また環境の変化による豚への影響を、豚が動く生態(動態)として分析することで、豚の体調が悪化する前に異常を把握することができる。
これまでは、豚舎での人手の計測のため湿温度の確認に手間が掛かる、湿温度の豚への影響を把握しづらい、対応が遅れると豚の体に影響する等の問題があったが、本実施形態では、カメラCAによる監視に加えてセンサSEにより豚舎の温度や湿度を常時計測して自動的に集計することができる。また豚舎の中が豚に適した温度又は湿度でない場合、アラートを発報することで、管理者や係員がその状況をいち早く把握することができる。また、豚の動態から豚の異常を検知することができる。
この結果、豚の体調管理に不可欠な豚舎内の湿温度管理をセンサSEとサーバ1で管理することで、豚の動態に異常が生じた場合、異常の対処をいち早く行うことができる。
【0067】
本実施形態では、豚舎のブロック毎に豚の死亡をアラートする。
死亡してしまった豚をブロック単位で捕捉・通知することで、豚舎の衛生・防疫へのためにトリアージュをする対策が可能になる。
これまでは、豚が寝てるか死亡してるかわからない、死体を早く処理したいが遅れることがある、周りの豚へ悪い影響が出てしまう等の問題があったが、本実施形態では、死亡している豚を自動判別し検知しアラートを出力することで、周囲に悪い影響が出る前に対処することができる。
この結果、豚の死亡を人の目視ではなくカメラCAとセンサSEで監視及び補足するので、豚舎内の他の豚に影響が出る前に対処することができ、このことが豚の死亡率の低下に繋がる。
【0068】
次に、
図9を参照して、サーバ1により実行される処理を説明する。
図9は、
図7の機能的構成を有するサーバ1により実行される処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
実施形態の情報処理システムでは、カメラCAにより撮像された豚舎Bの動画DとセンサSEにより計測された豚舎Bの温度や湿度などの計測データとがサーバ1に入力されることで、サーバ1は、1以上の豚P1乃至Pnの夫々の個体を識別し、夫々の豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnについて種類を解析し、種類に応じた所定処理を以下のように実行する。
【0069】
ステップS101において、動画取得部101は、豚舎の中で1以上の豚が活動する様子が撮像された結果得られる、時間方向に複数の単位画像が配置されて構成される動画を取得する。
【0070】
ステップS102において、画像解析AI_Qは、豚舎Bの動画Dを解析することで、当該豚舎Bの動画Dに含まれるNの豚P1乃至Pnを示すオブジェクトOP1乃至OPnを認識する。
【0071】
ステップS103において、種類解析部103は、当該家畜オブジェクトを1豚単位に解析し、1豚単位に関する所定種類の情報(例えば豚50頭の夫々の体重、筋肉量、死亡・病気の有無等)を第2単位解析情報として、Nの豚オブジェクトOP1乃至OPn毎に生成して出力する。
【0072】
ステップS104において、処理実行部104は、種類解析部103により生成されたNの第2単位解析情報(豚50頭の夫々の解析結果)に基づいて生成される第1単位(豚舎Bの単位)の所定種類の情報(豚50頭の平均体重等)と、第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報、及び複数種類の環境情報(温度や湿度の計測データ)のうち1以上とを入力パラメータとして当該入力パラメータを用いる所定処理(飼料配合率のリコメンド処理、自動帳票化処理、遺伝子/ゲノム解析処理、販売支援処理、アラート/リポート処理等)を実行する。
一例としては、処理実行部104の例えば飼料配合リコメンド部110は、種類解析部103により生成された豚50頭の夫々の解析結果に基づいて生成される豚50頭の平均体重と、そのときの豚舎Bの温度や湿度の計測データとを入力パラメータとしてリコメンドAI_Rに入力し、リコメンドAI_Rに対して、当該入力パラメータを用いて飼料100Kgあたりの配合率の演算処理を実行させ、リコメンドAI_Rから出力される飼料100Kgあたりの配合率を表示制御部105へ出力する。
【0073】
ステップS105において、表示制御部105は、処理実行部104から出力される処理結果の情報(豚50頭分を想定した飼料配合に関する情報(飼料100Kgあたりの複数種の飼料の配合率)を管理者端末2の画面に出力する。
【0074】
このようにサーバ1の動作によれば、管理者や係員は、豚1頭毎の体重の変化や体調等を一々記録することなく、その日に豚舎Bの豚P1乃至Pnに与える飼料の配合率が分かるので、その配合率で豚舎B全体の飼料を作り豚P1乃至Pnに与えることができる。この結果、作業効率を向上することができる。
【0075】
ここで、
図10を参照して本実施形態の情報処理システムの動画解析の技術を食肉加工に転用する例について説明する。
図10は、加工前と加工後の豚の動画の取得の様子を示す図である。
図1に示した豚舎Bに設置されるカメラCAの他に、食肉加工工場にカメラを設置し、2つのカメラにより撮像される2つの動画をサーバ1で解析することにより解析結果の新たな活用方法が考えられる。
【0076】
図10に示すように、豚舎Bから出荷する際の豚(加工前の豚)の動画D1と、食肉加工工場で加工した後の豚(加工後の豚)の動画D2と画像解析AI_Qにより解析し、加工前後の豚の情報どうしを対応させる。
例えば加工前に撮像された豚の個体と加工後に撮像された加工肉の個体とを対応させて管理する。この際に夫々の個体の部位の特徴情報を対応付ける。
【0077】
例えば加工前の豚の背中の状態と、加工肉の脂肪厚とを対応付ける。また、加工前の豚の外殻の特徴と加工肉の枝肉の状態とを対応付ける。さらには、加工前の豚に付いていた異物(突起した部分)と、加工肉の同じ異物の部位の内容(例えば脂肪等)とを対応付ける。
これら加工前後の豚の情報を画像解析AI_Qにて解析することで、加工前の豚の外観画像から加工肉の脂肪厚等を推定できる。また推定した脂肪と肉の状態とを推定できる。さらに加工前の豚に付いていた異物がどのようなものであるかを加工前に判定することができる。
【0078】
AI解析の結果を食肉加工工場に提供することで、各種の推定計測と実計測とを比較して互いのデータが一致するか否かの検証をすることができる。
また、現場での異物判定をすることができる。さらにオペレーションに合わせた最適な利用内容を検討することができる。加工前の豚の情報に基づいて、加工肉に格付けをすることができる。
【0079】
上述した実施形態によれば、人の経験や勘に頼ることなく豚の飼育から販売に至る一連のビジネスを支援することができる。
【0080】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図7の機能構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロック及びデータベースを用いるのかは特に
図7の例に限定されない。
また、機能ブロック及びデータベースの存在場所も、
図7に特に限定されず、任意でよい。例えばサーバ1の機能ブロック及びデータベースを、管理者端末2、カメラCAやセンサSE等に移譲させてもよい。更に言えば、カメラCAやセンサSEは、同じハードウェアであってもよい。
【0081】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0082】
また、例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0083】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0084】
上記実施形態では、所定の場として豚舎Bとし個体識別の対象を豚Pとして説明したが、画像解析AI_QやリコメンドAI_Rのデータを拡充することで、例えば牛、羊、鶏等の家畜も解析対象にできる。さらには犬、猫、猿、人間等のさまざまな動物を対象とすることができる。即ち所定の場で管理されるN(Nは1以上の整数値)の家畜を第1単位として、当該第1単位に対する所定処理を実行すすればよい。
上記実施形態では、場の環境に関する1以上の物理量を、温度や湿度のデータとし、センサSEが検出するものとしたが、これ以外のデータ、例えば二酸化炭素濃度等のデータであってもよく、検出装置は、場の環境に関する1以上の物理量を検出し、その検出結果を含む情報を場環境情報として出力するものであれば足りる。
上記実施形態では、複数種類の情報の解析を1つの種類解析部103が行う例を説明したが、種類毎に解析部を設けておくことで、さらに種類を増やすことが容易になる。
上記実施形態では、Nの質量に基づいて生成される第1単位の質量の一例として50頭の豚P1乃至Pnの平均体重を示したが、この他、例えば総重量でもよいし、偏差に基づく統計値等であってもよい。
【0085】
上記実施形態では、豚舎B内の全ての豚Pkが撮像されるように、豚舎BにカメラCAを1台設置することにしたが、豚Pkの位置によっては死角ができることがある。
そこで、
図11に示すように、豚舎Bの柱91にワイヤー92を張り、そのワイヤー92上を所定方向(例えば水平方向W等)に移動自在なカメラ93を設置してもよい。
カメラ93は、ライダーセンサ(LiDARセンサ)を備え、撮像対象までに距離を測定することができるものとする。この例ではワイヤー92としたがレール等であってもよい。
サーバ1は、カメラ93により異なる位置から取得された複数の画像から、画像解析AI_Qにより3Dモデルを生成し、豚の体長と幅を測定し、測定した体長と幅から体重を推定する。
この例によれば、豚舎Bの柱91に張ったワイヤー92上を移動するカメラ93を設置して、カメラ93により異なる位置から撮像された複数の画像から、死角なく、豚舎B内の全ての豚Pkの夫々の体重を推測することができる。
【0086】
また、上記の例では、豚舎BにカメラCAやカメラ93を設置したが、この他、例えば管理者端末2が例えばライダーカメラ(被写体までの距離計測機能)を搭載したスマートフォンであれば、専用のアプリケーションプログラム(以下「アプリ」と称す)をインストールすることで、管理者や係員がスマートフォンにより豚舎B内の夫々の豚Pkを撮像して夫々の豚Pkの体重をスマートフォンのアプリの画面に表示するようにしてもよい。
【0087】
図12に、その実施形態を示す。
この場合、
図12に示すように、スマートフォンのアプリのトップ画面G1に表示されたカメラアイコン94を例えば係員がタップすると、アプリの画面は、撮像画面G2に遷移する。
【0088】
撮像画面G2には、撮像エリアを示す枠95と、「地面の位置をタップしてください」等といったメッセージが表示される。
係員が地面の位置(二重丸の位置)をタップすると、地面を含む豚までの距離が計測される。
そして、アプリは、計測された地面を含む豚までの距離データと、豚を撮影した際の角度データ及び画像データを含むデータをサーバ1へ送信する。なお、他にデータ(撮像時刻や温度、湿度等のデータ)があればそのデータも一緒に送信される。
【0089】
サーバ1では、受信されたデータを体重解析AI等により解析し、解析結果の推定体重データをスマートフォンへ返信する。
【0090】
スマートフォンでは、アプリの画面G3の豚の撮像画像に重ねて表示される体重表示枠96に、サーバ1から受信された推定体重データを表示する。また、画面G3にはテキストアイコン97が表示される。
【0091】
係員が、テキストアイコン97をタップ操作することで、アプリの画面が次の画面G4へ遷移する。
画面G4には、テキスト入力枠98が表示されるので、係員はそのとき観察したり気付いた情報(豚の名前や個体番号、豚の状態等)をテキスト入力し、保存ボタン99をタップ操作することで、アプリにより、豚の画像データと体重データとテキストデータとそのときの時刻データとがサーバ1へ送信される。
サーバ1では、スマートフォンから受信された夫々のデータが豚の個体番号や名前等の識別子と共に対応して、管理ログや飼育記録等として記憶部18に記憶される。
【0092】
この例によれば、スマートフォンに予め備えられている距離計測機能とアプリをインストールすることで、豚舎Bにカメラ設備を設けることなく、スマートフォンで豚を撮像するという簡易な操作で、豚1頭1頭の体重を測定し管理することができる。この結果、豚の飼育に関する管理機能を低コストに実現することができる。
【0093】
上記実施形態では、処理実行部110の所定処理として、飼料配合リコメンド処理、自動帳票化処理、増体/肉質予測処理、遺伝子/ゲノム解析処理、販売支援処理、及び、アラート/リポート処理を採用したが、この他、以下のような処理を採用することで、各種サービスを提供することができる。
例えば豚の状態に合わせたサプリメント、加工飼料、薬品等をリコメンドすることで、販売取次サービスを提供することができる。
AI等により豚の成長を予測し、予測した豚の成長の予測データに基づいて、豚自体を動産としたファイナンスサービスを提供することができる。
飼育情報を保険請求の際のエビデンスとすることで、保険紹介サービスを提供することができる。
肉質予測から売上を予測したり、飼料コストを予測することで、養豚農家の経営管理を支援するサービスを提供することができる。
養豚農家の経営状態を把握した上で事業を売却する際の価値算定を行うことで、M&A仲介サービスを提供することができる。
また、養豚農家の経営状態を把握した上で事業に必要な機材等のリース提供やファイナンスサービスを提供することができる。
養豚農家で飼育される豚の情報を、豚を仕入れる食肉メーカーに提供するサービスを実現することができる。
【0094】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有する各種各様の実施形態をとることができる。
即ち、本発明の情報処理システム(例えば、
図5の情報処理システム等)は、
所定の場(例えば
図1の豚舎B等)で管理されるN(Nは1以上の整数値)の家畜(例えば
図1の豚P1乃至Pn等)を第1単位(例えば上述の明細書でいう豚舎単位)として、当該第1単位に対する所定処理を実行する情報処理システムにおいて、
前記場(例えば
図1の豚舎B等)の様子を撮像し、その結果得られる撮像画像を場画像(例えば
図1の動画D等)として出力する撮像装置(例えば
図4のカメラCA等)と、
前記場(例えば
図1の豚舎B等)の環境に関する1以上の物理量(例えば温度や湿度等)を含む情報を場環境情報として出力する出力装置(例えば
図1のセンサSE、又は将来予測の場合には天気予報等の予測情報を取得して出力する装置等)と、
前記場画像(例えば
図1の豚舎Bの豚P1乃至Pnの画像等)と前記場環境情報(例えば温度や湿度等の計測値等)とのうち少なくとも一部に基づいて前記所定処理を実行する情報処理装置(例えば
図7のサーバ1等)と、
を含み、
前記情報処理装置(例えば
図7のサーバ1等)は、
前記場画像を解析することで、当該場画像に含まれる前記Nの家畜(例えば豚P1乃至Pn等)の夫々を示すNのオブジェクトを、Nの家畜オブジェクト(例えば
図1の豚オブジェクトOP1乃至OPn等)として認識する認識手段(例えば
図7の画像解析AI_Q等)と、
当該家畜オブジェクトを第2単位(例えば上述の明細書でいう1豚単位)として、前記第2単位に関する所定種類の情報(体重、身長、筋肉量、死亡・病気の有無等)を第2単位解析情報(例えば上述の明細書でいう豚単位解析情報)として、前記Nの家畜オブジェクト(例えば
図1の豚オブジェクトOP1乃至OPn等)毎に生成して出力する解析手段(例えば
図7の種類解析部103等)と、
Nの前記第2単位解析情報に基づいて生成される前記第1単位(例えば上述の明細書でいう豚舎単位)の前記所定種類の情報(例えば第2単位解析情報が体重であれば、n頭の豚の平均体重)を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報のうち1以上を入力パラメータ(例えばn頭の豚P1乃至Pnの平均体重と、豚舎Bの温度及び湿度)として、当該入力パラメータを用いる前記所定処理(当該入力パラメータをリコメンドAI_R(モデル)に入力した結果、当該リコメンドAI_R(モデル)から出力される飼料100Kgあたり各種飼料の配合率や豚舎B単位の飼料の量をリコメンド情報として出力する処理)を実行する所定処理実行手段(例えば
図7の処理実行部104等)と、
を備える。
このように、場画像を解析することで、Nの家畜(豚舎Bの豚P1乃至Pn等)の夫々を示すNのオブジェクトを、Nの家畜オブジェクト(例えば
図1の豚オブジェクトOP1乃至OPn等)として認識し、その家畜オブジェクトを第2単位(1豚単位)として、第2単位に関する所定種類の情報(体重、身長、筋肉量、死亡・病気の有無等)を第2単位解析情報として、Nの家畜オブジェクト(例えば
図1の豚オブジェクトOP1乃至OPn等)毎に生成し、そのNの第2単位解析情報(豚P1乃至Pnの夫々解析結果)に基づいて生成される第1単位(例えば上述の明細書でいう豚舎単位)の所定種類の情報(例えば第2単位解析情報が体重であれば、n頭の豚の平均体重)を第1単位解析情報として、複数種類の第1単位情報及び複数種類の環境情報(例えば豚舎Bの温度や湿度等のデータ)のうち1以上を入力パラメータ(例えばn頭の豚P1乃至Pnの平均体重と、豚舎Bの温度及び湿度)として、当該入力パラメータを用いる所定処理(当該入力パラメータをリコメンドAI_R(モデル)に入力した結果、当該リコメンドAI_R(モデル)から出力される飼料100Kgあたり各種飼料の配合率や豚舎B単位の飼料の量をリコメンド情報として出力する処理)を実行することで、豚舎等の場にいる多数の家畜の夫々についての情報を係員が管理せずに済むようになり、人の経験や勘に頼ることなく家畜の飼育から販売に至る一連のビジネスのうち、少なくとも家畜の飼育を支援することができる。
【0095】
前記出力装置(例えば
図1のセンサSE等)は、前記場(例えば豚舎B等)における前記家畜(豚舎Bの豚P1乃至Pn等)の放熱に関する外部環境パラメータ(例えば温度及び湿度の計測データ等)を出力し、
前記解析手段(例えば
図7の種類解析部103等)は、前記第2単位解析情報として、前記家畜の筋肉に基づく質量(例えば体重や筋肉量等)を、前記Nの家畜オブジェクト(例えば
図1の豚オブジェクトOP1乃至OPn等)毎に生成して出力し、
前記所定処理実行手段(例えば
図7の飼料配合リコメンド部110及びリコメンドAI_R等)は、
Nの前記質量に基づいて生成される前記第1単位の前記質量(本例では50頭の豚P1乃至Pnの平均体重等)と、前記外部環境パラメータ(例えば温度及び湿度の計測データ等)とを前記入力パラメータとして入力して、前記第1単位(例えば上述の明細書でいう豚舎単位)の飼料配合に関する情報(飼料100Kgにおける複数種の飼料の配合率等)を出力する処理(飼料リコメンド等)を、前記所定処理として実行する。
これにより、管理者や係員等のスタッフは、豚1頭毎の体重の変化や体調等を一々記録することなく、その日に豚舎Bの豚P1乃至Pnに与える飼料の配合率が分かるので、その配合率で豚舎B全体の飼料を作り、豚P1乃至Pnに与えることができるので、人の経験や勘に頼ることなく毎日豚P1乃至Pnに与える飼料の配合を適切にした上で、作業効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0096】
CA・・・カメラ、SE・・・センサ、Q・・・画像解析AI、R・・・リコメンドAI、U・・・管理者、1・・・サーバ、2・・・管理者端末、11・・・CPU、18・・・記憶部、19・・・通信部、101・・・動画取得部、102・・・環境情報取得部、103・・・種類解析部、104・・・処理実行部、105・・・表示制御部、111・・・自動帳票化部、112・・・増体/肉質予測部、113・・・遺伝子/ゲノム解析部、114・・・販売支援部、115・・・アラート/リポート部