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特開2023-33115ディスプレイパネル用蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033115
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】ディスプレイパネル用蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20230302BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20230302BHJP
   H10K 50/00 20230101ALI20230302BHJP
【FI】
C23C14/04 A
H05B33/10
H05B33/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102921
(22)【出願日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0112624
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522257458
【氏名又は名称】ケーピーエス コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ホ
【テーマコード(参考)】
3K107
4K029
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107FF15
3K107GG04
3K107GG33
4K029AA09
4K029AA24
4K029BA62
4K029BB03
4K029BC07
4K029BD01
4K029CA01
4K029DB06
4K029HA02
4K029HA03
4K029HA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】中型以上の蒸着マスクの引張によるシワの発生を防止して精巧かつ高品質な蒸着マスクフレームアセンブリを製造することを目的とする。
【解決手段】フレーム上に支持スティックマスクおよびギャップスティックマスクが設けられてフレームに溶接され、蒸着スティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張され、これと同時にY軸方向に吸着引張した状態で蒸着スティックマスクの枠がフレームに溶接されて一体化し、蒸着マスクの引張によるシワの発生を防止し、精巧かつ高品質な蒸着マスクフレームアセンブリを製造することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠およびリブを有する構造用スティックマスクと複数の蒸着パターンホールが形成された複数のセル単位マスクとで構成された蒸着スティックマスクを用いて蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法において、
中空部が形成された四角形状を有するフレームが設けられるステップと、
フレーム上に支持スティックマスクが設けられ、支持スティックマスクが長手方向に沿ってY軸方向に引張した状態でフレームに溶接されるステップと、
フレーム上にギャップスティックマスクが設けられ、ギャップスティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張した状態でフレームに溶接されるステップと、
フレーム上に蒸着スティックマスクが設けられ、蒸着スティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張され、これと同時にY軸方向に吸着引張した状態で前記枠がフレームに溶接されるステップと、を含む蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法。
【請求項2】
前記支持スティックマスクとギャップスティックマスクがオーバーラップする領域が溶接され、ギャップスティックマスクが支持スティックマスクに固定されるステップをさらに含む請求項1に記載の蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法。
【請求項3】
前記蒸着スティックマスクは、
リブが支持スティックマスク上に位置するように配置され、リブと支持スティックマスクがオーバーラップする領域WZ1が溶接され、蒸着スティックマスクが支持スティックマスクに固定されるステップをさらに含む請求項2に記載の蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法。
【請求項4】
前記蒸着スティックマスクは、
枠の一部の領域がギャップスティックマスクに位置するように配置され、支持スティックマスク、ギャップスティックマスク、および枠がオーバーラップする領域が溶接されるステップをさらに含む請求項3に記載の蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法。
【請求項5】
レーザーを支持スティックマスクの下面に照射し、前記リブと支持スティックマスクがオーバーラップする領域WZ1が溶接される請求項3に記載の蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法。
【請求項6】
前記支持スティックマスクは、開口が備えられ、
レーザーを支持スティックマスクの下面開口および下面開口外の領域に照射し、支持スティックマスク、ギャップスティックマスクおよび枠がオーバーラップする領域が溶接される請求項4に記載の蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法で製造される蒸着マスクフレームアセンブリ。
【請求項8】
請求項7に記載の蒸着マスクフレームアセンブリを用いて製造されるOLEDディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイパネル用蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法に関するものであって、より具体的には、マスクを引張かつ溶接してマスクフレームアセンブリを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode、OLED)を用いるOLEDディスプレイパネルは、視野角が広く、コントラスト(Contrast)に優れるだけでなく、応答速度が速いという利点を有している。このために、有機発光ダイオード(OLED)の使用領域が徐々に拡大していく傾向にある。
【0003】
これらの有機発光ダイオード(OLED)の電極と発光層を含む中間層は、様々な方法によって形成可能であり、このうちの1つの方法が蒸着法(Deposition Method)である。
【0004】
中小型OLEDディスプレイパネルを製造するために、OLED製造工程でRGBピクセルを作るのに有機物および無機物の蒸着(Deposition)工程が行われる。すなわち、TFTガラス(Thin Film Transistor Glass)上に形成される薄膜などのパターンと同じパターンを有するファインメタルマスク(Fine Metal Mask、FMM)の位置を整列し、薄膜のバージン素材を蒸着して望みのパターンの薄膜を形成する。このような蒸着工程は、チャンバー(Chamber)の下部に位置する蒸着ソースで有機物を加熱し、加熱された有機物を昇華させて上部に位置するマスクを通過してTFTガラスに蒸着する方法を取る。
【0005】
このようなファインメタルマスク(FMM)は、全体的にスティック(Stick)の形状を有するため、蒸着スティックマスクとも呼ばれる。通常、蒸着スティックマスクの一端および他端を同時に引張し、蒸着スティックマスクをマスクフレーム(Mask Frame)にレーザー溶接して蒸着マスクフレームアセンブリを製造する。
【0006】
蒸着スティックマスクは、ディスプレイパネルの大量生産が可能で蒸着マスクフレームアセンブリの製造に広く使用されており、蒸着マスクフレームアセンブリを用いてスマートフォンなどの比較的小型のディスプレイパネルを生産しているが、最近、タブレットPCやノートパソコンなどの中型サイズ以上のディスプレイパネルに適用できるスティックマスクフレームアセンブリの開発が必要な状況である。
【0007】
図1は、蒸着スティックマスクを説明する図面である。図1の(a)は、蒸着スティックマスクの上面を示す図面であり、図1の(b)は、図1の(a)のA-A'の切断面を示す図面である。
【0008】
図1の(a)に示すように、通常、ファインメタルマスク(FMM)と呼ばれる蒸着スティックマスク100は、構造用スティックマスク110、複数のセル単位マスク120を含み、長手方向(Longitudinal)に延長されている。
【0009】
構造用スティックマスク110は、枠111、リブ112で構成され、複数のセル単位マスク120は、多数の蒸着パターンホールPが形成される。1つの構造用スティックマスク110には、数個のセル単位マスクが存在し得る。1つのセル単位マスクは、数十万個~数百万個の蒸着パターンホールPが形成され得る。枠111は、一端と他端に複数のスカート113(Skirt)が対称的にさらに備えられ、グリッピング領域として機能することができる。グリッパ(図示せず)がスカートをグリップし、長手方向に沿ってX軸方向に引張Txを容易に行い得る。1つのスカートごとに1つのグリッパが配置されてグリップし、図1の(a)のように8つのスカートが備えられる場合は、8つのグリッパが同時に引張を行う。
【0010】
構造用スティックマスク110は、100μm~200μmの厚さと、1m以上の長さと数十cmの幅を有し得、セル単位マスク120は、10μm~20μmの厚さを有し得る。セル単位マスク120は、構造用スティックマスク110と継ぎ目なしで(Seamlessly)一体化されることがあり、別途製造され、溶接によって接合されて継ぎ目が存在し得る。
【0011】
また、構造用スティックマスク110は、リブ112をさらに含むが、リブ112は、セル単位マスク120とセル単位マスク120との間に備えられ、蒸着パターンホールが形成されていない領域を意味する。
【0012】
ところで、このように多数のグリッパで大型蒸着スティックマスクを同時に引張を行う場合は、蒸着スティックマスクに引張力が均一に印加されず、これによりシワ(Wrinkle)が発生し、これと同時にY軸方向(矢印方向)に収縮する問題が発生する。例えば、一端に4つのスカートが備えられ、これにより4つのグリッパがグリップすると、図示のように、3つのシワW1、W2、W3が発生し得る。収縮力は、蒸着スティックマスクの中間領域が端部領域よりも大きいため、シワの大きさおよび深さも蒸着スティックマスクの中間領域がより大きいことがある。
【0013】
また、蒸着スティックマスクのサイズが大きくなるほどリブもY軸方向に長くなって重くなり、これにより、リブが重力によって垂れ下がる現象も発生する。
【0014】
図1の(b)に示すように、蒸着スティックマスクがY軸方向(矢印方向)に収縮し、3つのシワW1、W2、W3が発生するが、これにより、シャドウ現象(Shadow Effect)が増大し、蒸着マスクフレームアセンブリの品質が低下する問題が生じる。
【0015】
さらに、蒸着スティックマスクのサイズが大きいほど、引張するグリッパの数が増加することになるが、これにより、シワの数が増えることになり、品質低下の問題はさらに深化する。
【0016】
韓国登録特許(登録番号:10-2193044、「金属マスク製造システムおよび方法」)は、複数のクランパを介して引張マスクの2側以上の枠が引張され、平らになった状態でマスクフレームに固定させる技術が開示されているが、スティックタイプマスクのシワ発生防止のためにY軸方向に吸着引張する方法については開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法に関するものであって、中型以上の蒸着マスクの引張によるシワの発生を防止して精巧かつ高品質な蒸着マスクフレームアセンブリを製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するための一実施形態によると、枠、リブを有する構造用スティックマスクと多数の蒸着パターンホールが形成された複数のセル単位マスクとで構成された蒸着スティックマスクを用いて蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法は、中空部が形成された四角形状を有するフレームが設けられるステップと、フレーム上に支持スティックマスクが設けられ、支持スティックマスクが長手方向に沿ってY軸方向に引張した状態でフレームに溶接されるステップと、フレーム上にギャップスティックマスクが設けられ、ギャップスティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張した状態でフレームに溶接されるステップと、フレーム上に蒸着スティックマスクが設けられ、蒸着スティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張され、これと同時にY軸方向に吸着引張した状態で前記枠がフレームに溶接されるステップと、を含んで引張によるシワの発生を防止し、精巧かつ高品質な蒸着マスクフレームアセンブリを製造することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、中型以上の蒸着スティックマスクの引張によるシワの発生を防止し、精巧かつ高品質な蒸着マスクフレームアセンブリを製造することができる。
【0020】
また、支持スティックマスクおよびギャップスティックマスクを用いて蒸着マスクフレームアセンブリを製造することによって、蒸着マスクが安定して固定され、蒸着マスク間の間隙(Gap)をカバーできる。
【0021】
また、蒸着スティックマスクに別のスカートを形成する必要がなく、蒸着スティックマスクの損傷を防止できる。
【0022】
また、下面にレーザー溶接を行うことによって、蒸着過程でTFTガラスとセル単位マスクとの間の浮き上がりやギャップの発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】蒸着スティックマスクを説明する図面である。
【0024】
図2】一実施形態によって蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法を説明する図面である。
【0025】
図3】一実施形態によって支持スティックマスクをフレームに溶接する方法を説明する図面である。
【0026】
図4】一実施形態によってギャップスティックマスクをフレームに溶接する方法を説明する図面である。
【0027】
図5】一実施形態によって蒸着スティックマスクをフレームに設ける方法を説明する図面である。
【0028】
図6】一実施形態によって蒸着スティックマスクを引張する方法を説明する図面である。
【0029】
図7】一実施形態によってオーバーラップした領域を溶接する方法を説明する図面である。
【0030】
図8】他の実施形態によって蒸着スティックマスク、ギャップスティックマスク、および支持スティックマスクのオーバーラップした領域を溶接する方法を説明する図面である。
【0031】
図9図8の実施形態による支持スティックマスクの開口を説明する図面である。
【0032】
図10】溶接が完成された蒸着マスクフレームアセンブリを示す図面である。
【0033】
図11】トリミングされた蒸着マスクフレームアセンブリを示す図面である。
【0034】
図12図11の蒸着マスクフレームアセンブリにおいて、セル単位マスクが未付着の蒸着マスクフレームアセンブリを示す図面である。
【0035】
図13図12の構造用スティックマスク上にセル単位マスクを溶接する方法を説明する図面である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施形態を通じて、本発明を当業者が容易に理解かつ再現できるように詳細に説明する。本発明の説明において、関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の実施形態の要旨を不要に曖昧にし得ると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。本発明において、明細書全体で使用される用語は、本発明の実施形態における機能を考慮して定義された用語であって、使用者または運用者の意図、慣例などに応じて十分に変形可能な事項であるため、この用語の定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいてなされるべきである。
【0037】
また、前述の、そして追加の発明の態様は、後述する実施形態を通じて明らかになるであろう。本明細書において選択的に記載された態様や選択的に記載された実施形態の構成は、たとえ図面において単一の統合された構成で示されたとしても他に記載がない限り、当業者に技術的に矛盾していることが明らかでない場合、相互に自由に組み合わせられるものと理解される。
【0038】
したがって、本明細書に記載された実施形態と図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的思想をすべて代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらを代替できる様々な均等物と変形例があり得ることを理解するべきである。
【0039】
図2は、一実施形態によって蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法を説明する図面である。図示のように、枠とリブを有する構造用スティックマスクと、複数の蒸着パターンホールが形成された複数のセル単位マスクで構成された蒸着スティックマスクを用いて蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法は、次のようなステップ(Operations)を含む。すなわち、蒸着マスクフレームアセンブリ製造方法は、中空部が形成された四角形状を有するフレームが設けられるステップS100と、フレーム上に支持スティックマスクが設けられ、支持スティックマスクが長手方向に沿ってY軸方向に引張した状態でフレームに溶接されるステップS200と、フレーム上にギャップスティックマスクが設けられ、ギャップスティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張した状態でフレームに溶接されるステップS300と、フレーム上に蒸着スティックマスクが設けられ、蒸着スティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張し、これと同時にY軸方向に吸着引張した状態で前記枠がフレームに溶接されるステップS400と、を含む。
【0040】
図3は、一実施形態によって支持スティックマスクをフレームに溶接する方法を説明する図面である。図示のように、フレーム200が設けられる。フレーム200は、中空部(Central Opening)が形成された四角形状を有し得る。フレーム200は、長方形として長辺と短辺で構成され得る。フレーム上に支持スティックマスク300(Supporting Stick Mask)が設けられ、支持スティックマスクは、長手方向(Longitudinal)に沿ってY軸方向に引張した状態でフレームに溶接(Weld)され得る。支持スティックマスク300は、少なくとも2つであり得、グリッパによってTyの引張力が加えられ、平らな状態でフレーム200の短辺に溶接され得る。支持スティックマスク300は、支持スティックマスクの上部に位置する他のスティックマスクを支持し、前記他のスティックマスクの垂れ下がり(Drooping)を防止できる。溶接は、光学的溶接、特にレーザービーム溶接であり得、レーザービームを支持スティックマスクの上面に照射することによって行われ得る。
【0041】
図4は、一実施形態によってギャップスティックマスクをフレームに溶接する方法を説明する図面である。図示のように、フレーム上にギャップスティックマスク400(Gap stick Mask)が設けられ、ギャップスティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張した状態でフレーム200に溶接され得る。ギャップスティックマスク400は、少なくとも2つであり得、Txの引張力が加えられて平らな状態でフレーム200の長辺に溶接され得る。溶接(Weld)は、レーザーをギャップスティックマスクの上面に照射することによって行い得る。
【0042】
ギャップスティックマスクは、支持スティックマスクよりも幅が小さいことがあり、長さはより短いことがある。ギャップスティックマスクおよび支持スティックマスクは、別のスカートが形成され得るが、図示のように形成されず、一端に1つのグリッパがグリップできる。ギャップスティックマスクおよび支持スティックマスクは、それぞれグリッパによって双方向に引張できる。
【0043】
一実施形態によって蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法は、支持スティックマスク300とギャップスティックマスク400がオーバーラップ(重畳、Overlapped)する領域が溶接され、ギャップスティックマスクが支持スティックマスクに固定されるステップをさらに含み得る。これにより、ギャップスティックマスクを支持スティックマスクに密着させて維持できる。
【0044】
図5は、一実施形態によって蒸着スティックマスクをフレームに設ける方法を説明する図面である。図示のように、フレーム200上に蒸着スティックマスク100が設けられる。蒸着スティックマスク100は、X軸を基準にリブ112が支持スティックマスク300上に位置するように配置され得、Y軸を基準に枠111が支持フレーム200またはギャップスティックマスク400上に位置するように配置され得る。このように配置されると、リブ112と支持スティックマスク300がオーバーラップする領域WZ1が形成され、これと同時に支持スティックマスク300、ギャップスティックマスク400および枠111がオーバーラップする領域WZ2が形成され得る。WZ1およびWZ2は、溶接領域(Welding Zone)として機能することができる。
【0045】
ギャップスティックマスク400は、図示のように、蒸着スティックマスク100の上部に配置されてもよく、下部に配置されてもよい。前記下部に配置されるために、蒸着スティックマスク100の溶接後にギャップスティックマスク400の溶接が行われ得る。
【0046】
図6は、一実施形態によって蒸着スティックマスクを引張する方法を説明する図面である。図6の(a)は、引張した蒸着スティックマスクの上面を示す図面であり、図6の(b)は、図6の(a)のA-A'の切断面を示す図面である。
【0047】
図6の(a)に示すように、蒸着スティックマスクが長手方向に沿ってX軸方向に引張力Txが加えられ、これと同時にY軸方向に吸着引張力Tyが加えられることができる。Tyは、Txより小さいことが好ましい(Ty<Tx)。
【0048】
吸着引張(Adhesion tension)は、エッジに位置する枠領域TZ1およびリブに隣接する枠領域TZ2が吸着した状態でY軸方向に引張して行われ得る。これにより、図6の(b)に示すように、シワに脆弱なリブ112にシワが全く発生せず、セル単位マスクのパターンホールの形状および位置を保持できる。
【0049】
吸着引張は、真空方式によって行われ得、静電方式によっても行われ得る。これにより、枠111に追加のスカートを形成する必要がなく、グリッパを用いて引張しないため、蒸着スティックマスクの損傷を防止できる利点がある。吸着引張のために別の吸着引張機2000が導入され得る。
【0050】
枠111は、スカート113を含み得る。スカート113は、グリッパがグリップする領域であって、必須の構成要素ではない。
【0051】
図7は、一実施形態によってオーバーラップした領域を溶接する方法を説明する図面である。図7の(a)は、蒸着スティックマスク100と支持スティックマスク300のオーバーラップした領域WZ1を溶接する方法を説明する図面であり、図7の(b)は、蒸着スティックマスク100、ギャップスティックマスク400、および支持スティックマスク300のオーバーラップした領域WZ2を溶接する方法を説明する図面である。
【0052】
図7の(a)に示すように、蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法は、蒸着スティックマスク100のリブ112が支持スティックマスク300上に位置するように配置され、リブと支持スティックマスクがオーバーラップする領域WZ1(点線)が溶接され、蒸着スティックマスクが支持スティックマスクに固定されるステップをさらに含み得る。リブと支持スティックマスクは、接合点Jで溶融して互いに固定される。
【0053】
さらに、レーザーを支持スティックマスクの「下面(Lower Surface)」に照射し、リブと支持スティックマスクがオーバーラップする領域WZ1が溶接され得る。これにより、バー(溶接突起、Bur)が支持スティックマスク300の下面に生成され得る。
【0054】
また、図7の(b)に示すように、蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法は、枠の一部領域がギャップスティックマスクに位置するように配置され、支持スティックマスク300、ギャップスティックマスク400および蒸着スティックマスク100の枠111がオーバーラップする領域WZ2(点線)が溶接されるステップをさらに含み得る。溶接は、レーザーを用いる溶接であり得、レーザーを支持スティックマスクの「下面(Lower Surface)」に照射し、ギャップスティックマスクと支持スティックマスクが接合点J1で接合され、レーザーを蒸着スティックマスクの「上面(Upper Surface)」に照射し、ギャップスティックマスクと蒸着スティックマスクを接合させ、接合点J2で溶融して接合することができる。これにより、蒸着スティックマスクの上面と支持スティックマスクの下面にそれぞれバー(Bur)が生成されることになる。蒸着スティックマスクの上面は、蒸着過程でTFTガラスと密接する面である。
【0055】
図8は、また他の一実施形態によって蒸着スティックマスク、ギャップスティックマスク、および支持スティックマスクのオーバーラップした領域を溶接する方法を説明する図面である。図8は、図7の(b)の実施形態の問題を改善した実施形態であって、蒸着スティックマスクの上面にバー(Bur)の生成を防止することに関連する。
【0056】
蒸着マスクフレームアセンブリの製造方法において、支持スティックマスクは、開口が備えられ、レーザーを支持スティックマスクの下面開口(Opening)および下面開口外の領域に照射し、支持スティックマスク、ギャップスティックマスクおよび枠がオーバーラップする領域WZ2が溶接され得る。これにより、バー(Bur)が支持スティックマスクおよびギャップスティックマスクの下面にのみ形成され、蒸着工程過程でTFTガラスとハイブリッドスティックマスクの密着時に間隙(Gap)が発生せず、タイトに密着してシャドウ現象(Shadow Effect)を減少させることができる。
【0057】
一実施形態によって蒸着スティックマスク、ギャップスティックマスク、および支持スティックマスクのオーバーラップした領域を溶接するためにバー(Bar)が支持スティックマスクの下面を一定の高さへ押し上げることができる。これにより、蒸着スティックマスク、ギャップスティックマスク、および支持スティックマスクを一時的に密着して密着溶接を達成できる。
【0058】
図9は、図8の実施形態による支持スティックマスクの開口を説明する図面である。図示のように、支持スティックマスク300は、貫通する開口(Opening)を備え得る。これにより、図8の実施形態が行われ得る。開口は、複数個で形成され得、支持スティックマスク、ギャップスティックマスク、および枠がオーバーラップする領域WZ2に形成され得る。
【0059】
図10は、溶接が完成された蒸着マスクフレームアセンブリを示す図面である。図示のように、支持スティックマスク300、ギャップスティックマスク400、および蒸着スティックマスク100が図4図7図8の実施形態によって溶接され、各スティックマスクとフレームが一体化したアセンブリが製造された。リブと支持スティックマスクがオーバーラップする領域WZ1(点線)は、図7の(a)の実施形態によって溶接され、支持スティックマスク300、ギャップスティックマスク400、および蒸着スティックマスク100の枠111がオーバーラップする領域WZ2(点線)は、図8の実施形態によって溶接された。
【0060】
複数の蒸着スティックマスク100は、Lだけの長さを有するように互いに離隔して溶接されて、蒸着スティックマスク間の干渉が回避され得る。離隔を形成することによって、蒸着工程における有機物漏れの問題は、ギャップマスク400によって防止できる。
【0061】
図11は、トリミングされた蒸着マスクフレームアセンブリを示す図面である。図示のように、蒸着マスクフレームアセンブリ1000の製造方法は、フレーム200の外部に位置する支持スティックマスク300、ギャップスティックマスク400、および蒸着スティックマスク100の一部がカッティングまたはトリミングされるステップをさらに含み得る。カッティングによって蒸着マスクフレームアセンブリ1000が完成されることができる。
【0062】
蒸着マスクフレームアセンブリ1000を用いて蒸着工程のためにフレーム200の中空部の領域にTFTガラス(図示せず)が密接し、蒸着マスクフレームアセンブリ1000の下部に有機物ソース が配置されて蒸着が行われ得る。
【0063】
図12は、図11の蒸着マスクフレームアセンブリにおいて、セル単位マスクが未付着の蒸着マスクフレームアセンブリを示す図面であり、図13は、構造用スティックマスク110上にセル単位マスク120を溶接する方法を説明する図面である。
【0064】
図12に示すように、一実施形態による蒸着マスクフレームアセンブリを製造する方法は、図3および図4の工程を経た後に、セル単位マスクが未付着の構造用スティックマスク110を用いて図5図10に説明した方法によって製造することができる。構造用スティックマスク110は、開口(Opening)を備え得る。
【0065】
次に、図13に示すように、複数のセル単位マスク120が構造用スティックマスク110上(特に、開口)に設けられ、レーザー溶接を通じてセル単位マスクが構造用スティックマスクに固定されるステップを含み得る。これにより、セル単位マスクの組み立て工程が後順位工程となるため、蒸着マスクフレームアセンブリの製造工程における蒸着パターンホールPの位置変動を最小化できる長所がある。このような工程により図11の蒸着マスクフレームアセンブリが完成されることができる。
【0066】
一実施形態によってレーザーを構造用スティックマスク110の「下面」に照射して溶接され得る。これにより、バー(Bur)が構造用スティックマスクの下面に形成され、蒸着工程の過程でTFTガラスとハイブリッドスティックマスクの密着時に間隙(Gap)が発生せず、タイト(Tight)に密着し、シャドウ現象(Shadow Effect)を減少させることができる。
【符号の説明】
【0067】
100:蒸着スティックマスク
110:構造用スティックマスク
111:枠
112:リブ
113:スカート
120:セル単位マスク
200:フレーム
300:支持スティックマスク
400:ギャップスティックマスク
1000:蒸着マスクフレームアセンブリ
2000:吸着引張機
図1
図2
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図11
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図13