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  • 特開-はんだ組成物およびはんだ付け方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033125
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】はんだ組成物およびはんだ付け方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/363 20060101AFI20230302BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20230302BHJP
   B23K 3/06 20060101ALI20230302BHJP
   B23K 35/26 20060101ALN20230302BHJP
   C22C 11/00 20060101ALN20230302BHJP
   C22C 13/02 20060101ALN20230302BHJP
【FI】
B23K35/363 E
B23K35/363 C
B23K1/00 330E
B23K3/06 E
B23K35/26 310B
B23K35/26 310A
C22C11/00
C22C13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022111099
(22)【出願日】2022-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2021137984
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中路 将一
(72)【発明者】
【氏名】杉山 功
(57)【要約】
【課題】高融点のはんだ粉末を含有し、ディスペンス塗布法により塗布する場合に、十分な塗布性を有するはんだ組成物を提供すること。
【解決手段】ディスペンス塗布用のはんだ組成物であって、前記はんだ組成物が、(A)ロジン系樹脂、(B)活性剤、(C)溶剤、および(D)チクソ剤を含有するフラックス組成物と、(E)融点が280℃以上のはんだ粉末とを含有し、前記(D)成分が、(D1)ビスアマイド系チクソ剤を含有し、前記(D1)成分の配合量が、前記フラックス組成物100質量%に対して、3.2質量%以上8質量%以下であり、前記はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃における粘度が、20Pa・s以上80Pa・s以下であり、25℃におけるチクソ指数が、0.4以上0.8以下である、はんだ組成物。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスペンス塗布用のはんだ組成物であって、
前記はんだ組成物が、(A)ロジン系樹脂、(B)活性剤、(C)溶剤、および(D)チクソ剤を含有するフラックス組成物と、(E)融点が280℃以上のはんだ粉末とを含有し、
前記(D)成分が、(D1)ビスアマイド系チクソ剤を含有し、
前記(D1)成分の配合量が、前記フラックス組成物100質量%に対して、3.2質量%以上8質量%以下であり、
前記はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃における粘度が、20Pa・s以上80Pa・s以下であり、25℃におけるチクソ指数が、0.4以上0.8以下である、
はんだ組成物。
【請求項2】
請求項1に記載のはんだ組成物において、
前記(D1)成分が、1分子中に水酸基を有するビスアマイド系チクソ剤である、
はんだ組成物。
【請求項3】
請求項1に記載のはんだ組成物において、
前記(A)成分の配合量が、前記フラックス組成物100質量%に対して、35質量%以上65質量%以下である、
はんだ組成物。
【請求項4】
請求項1に記載のはんだ組成物において、
前記(E)成分のはんだ合金が、Sn-Pb系合金、Sn-Pb-Ag系合金、Sn-Ag-Cu-Sb系合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Co系合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Ni-Co系合金、Au-Sn系合金、Au-Si系合金、Au-Ge系合金、およびZn-Al-Ge系合金からなる群から選択される少なくとも1つである、
はんだ組成物。
【請求項5】
配線基板上に請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のはんだ組成物を、ディスペンス塗布法により塗布する塗布工程と、
前記はんだ組成物上に前記電子部品を配置する搭載工程と、
前記はんだ組成物を前記(E)成分の融点よりも30℃以上高い温度に加熱して、前記電子部品を前記配線基板に実装するはんだ溶融工程と、を備える、
はんだ付け方法。
【請求項6】
請求項5に記載のはんだ付け方法において、
ディスペンス塗布法におけるニードルのノズル内径が、0.5mm以下である、
はんだ付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ組成物およびはんだ付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器において、電子部品と配線基板とを接続する場合、はんだ組成物(いわゆるソルダペースト)が用いられている。このはんだ組成物は、はんだ粉末、ロジン系樹脂、活性剤、溶剤などを混練してペースト状にした混合物である。このはんだ組成物を、配線基板上に塗布し、電子部品を搭載した後リフロー工程を施すことで、はんだ付けを行うことができる。
一方で、電子部品として、駆動時に非常に高温となるもの(パワー半導体など)もはんだ付けされる。このような場合、高融点(例えば280℃以上)のはんだ合金が用いられる。また、高融点はんだを含有するはんだ組成物は、一部の電子部品に使用すればよいため、ディスペンス塗布法により、配線基板の一部に塗布されることが多い。そのため、はんだ組成物は、ディスペンス塗布法により塗布することが求められている。
そして、ディスペンス塗布用はんだ組成物として、例えば、はんだペーストの粘度が50超え~120Pa・sの範囲内にある金-スズ合金はんだペーストが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-241126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のディスペンス塗布用はんだ組成物は、ディスペンス塗布法により塗布するために粘度を調整して、塗布性を確保しようとしている。しかしながら、はんだ組成物の粘度を調整したとしても、ディスペンス塗布時に十分な吐出量を確保できない場合があることが分かった。しかも、近年は、ディスペンス塗布法でも微細塗布が要求されており、ディスペンス塗布におけるノズル内径を小さくすることが求められる。また、このノズル内径を小さくするほど、ディスペンス塗布時の吐出量が少なくなる傾向があるため、塗布性が更に低下してしまう。
【0005】
そこで、本発明は、高融点のはんだ粉末を含有し、ディスペンス塗布法により塗布する場合に、十分な塗布性を有するはんだ組成物、およびはんだ付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ディスペンス塗布用のはんだ組成物であって、前記はんだ組成物が、(A)ロジン系樹脂、(B)活性剤、(C)溶剤、および(D)チクソ剤を含有するフラックス組成物と、(E)融点が280℃以上のはんだ粉末とを含有し、前記(D)成分が、(D1)ビスアマイド系チクソ剤を含有し、前記(D1)成分の配合量が、前記フラックス組成物100質量%に対して、3.2質量%以上8質量%以下であり、前記はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃における粘度が、20Pa・s以上80Pa・s以下であり、25℃におけるチクソ指数が、0.4以上0.8以下である、はんだ組成物が提供される。
【0007】
本発明の一態様によれば、配線基板上に前記本発明の一態様に係るはんだ組成物を、ディスペンス塗布法により塗布する塗布工程と、前記はんだ組成物上に前記電子部品を配置する搭載工程と、前記はんだ組成物を前記(E)成分の融点よりも30℃以上高い温度に加熱して、前記電子部品を前記配線基板に実装するはんだ溶融工程と、を備える、はんだ付け方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、高融点のはんだ粉末を含有し、ディスペンス塗布法により塗布する場合に、十分な塗布性(以下、場合によりディスペンス塗布性とも称する)を有するはんだ組成物、およびはんだ付け方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ディスペンス塗布装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[はんだ組成物]
まず、本実施形態のはんだ組成物について説明する。
本実施形態のはんだ組成物は、ディスペンス塗布用であって、以下説明するフラックス組成物と、以下説明する(E)はんだ粉末とを含有するものである。
【0011】
本実施形態においては、はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃における粘度が、20Pa・s以上80Pa・s以下であることが必要である。粘度が20Pa・s未満の場合には、ディスペンス塗布法により塗布する場合において、塗布だれを十分に抑制できない。他方、粘度が80Pa・s超である場合には、ディスペンス塗布法により塗布する場合において、本実施形態で満足できる十分な吐出量を維持できない。また、ディスペンス塗布性の観点から、はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃における粘度は、20Pa・s以上70Pa・s以下であることがより好ましく、20Pa・s以上60Pa・s以下であることが特に好ましい。
また、本実施形態においては、はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃におけるチクソ指数は、0.4以上0.8以下であることが必要である。チクソ指数が0.4未満の場合には、ディスペンス塗布法により塗布する場合において、塗布だれを十分に抑制できない。他方、チクソ指数が0.8超である場合には、ディスペンス塗布法により塗布する場合において、十分な吐出量を維持できない。また、ディスペンス塗布性の観点から、はんだ組成物のスパイラル型粘度計により測定した25℃におけるチクソ指数は、0.45以上0.75以下であることがより好ましく、0.5以上0.7Pa・s以下であることが特に好ましい。
【0012】
粘度およびチクソ指数は、JIS Z3284に準拠して、スパイラル型粘度計により測定できる。
なお、はんだ組成物の粘度およびチクソ指数を上述した範囲に調整する方法としては、以下のような方法が挙げられる。
粘度およびチクソ指数は、いずれもロジン系樹脂、溶剤およびチクソ剤の種類や配合量を変更することにより調整できる。
【0013】
はんだ組成物の粘度およびチクソ指数を上述した範囲に調整すれば、ある程度のディスペンス塗布性を確保できる。しかしながら、本発明者らは、粘度およびチクソ指数を上述した範囲に調整しただけでは、特に微細塗布に対応する場合において、必ずしも十分なディスペンス塗布性を達成できるわけではないことを発見した。そして、鋭意研究の結果、粘度およびチクソ指数を調整する際に使用する(D)チクソ剤の種類およびその配合量により、ディスペンス塗布性が変化することを見出した。そして、驚くべきことに、(D1)ビスアマイド系チクソ剤を所定範囲で配合することで、十分なディスペンス塗布性を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
なお、本実施形態によれば、高融点のはんだ粉末を含有し、十分なディスペンス塗布性を有するはんだ組成物が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。
すなわち、(D)チクソ剤の種類により、チクソ性の発現機構が異なっており、この発現機構の相違がディスペンス塗布性にも影響がある。そして、(A)ロジン系樹脂、(B)活性剤、(C)溶剤、および(D)チクソ剤を含有するフラックス組成物と、(E)融点が280℃以上のはんだ粉末とを含有する、本実施形態のはんだ組成物においては、(D1)ビスアマイド系チクソ剤を所定範囲で配合することで、ディスペンス塗布性に最適なチクソ性の発現機構が達成できたものと本発明者らは推察する。
【0014】
[フラックス組成物]
本実施形態に用いるフラックス組成物は、はんだ組成物におけるはんだ粉末以外の成分であり、(A)ロジン系樹脂、(B)活性剤、(C)溶剤、および(D)チクソ剤を含有するものである。
【0015】
前記フラックス組成物の配合量は、はんだ組成物100質量%に対して、10質量%以上20質量%以下であることが好ましく、11質量%以上17質量%以下であることがより好ましく、11.5質量%以上14.5質量%以下であることが特に好ましい。フラックスの配合量が前記下限以上であれば、ディスペンス塗布法における塗布性を更に向上できる。他方、フラックスの配合量が前記上限以下であれば、はんだ接合をより形成しやすくできる。
【0016】
[(A)成分]
本実施形態に用いる(A)ロジン系樹脂としては、ロジン類およびロジン系変性樹脂が挙げられる。ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジンおよびトール油ロジンなどが挙げられる。ロジン系変性樹脂としては、不均化ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン(完全水添ロジン、部分水添ロジン、並びに、不飽和有機酸((メタ)アクリル酸などの脂肪族の不飽和一塩基酸、フマル酸、マレイン酸などのα,β-不飽和カルボン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸、桂皮酸などの芳香族環を有する不飽和カルボン酸など)の変性ロジンである不飽和有機酸変性ロジンの水素添加物(「水添酸変性ロジン」ともいう))およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらのロジン系樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0017】
本実施形態においては、ディスペンス塗布法における塗布性の観点から、(A)ロジン系樹脂として、(A1)不飽和有機酸変性ロジンの水素添加物と、(A2)重合ロジンとを併用することが好ましい。
(A)成分は、本発明の目的に影響のない範囲であれば、(A1)成分および(A2)成分以外の他のロジン系樹脂((A3)成分)を含有していてもよい。ただし、この(A3)成分を用いる場合、その配合量は、(A)成分100質量%に対して、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
(A)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、35質量%以上65質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、45質量%以上55質量%以下であることが特に好ましい。(A)成分の配合量が前記下限以上であれば、高温のリフロー処理におけるはんだ溶融性を更に向上できる。他方、(A)成分の配合量が前記上限以下であれば、フラックス残さ量を十分に抑制できる。
【0019】
[(B)成分]
本実施形態に用いる(B)活性剤としては、有機酸、非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤(ハロゲン系活性剤)、およびアミン系活性剤などが挙げられる。これらの活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。ただし、近年のハロゲンフリー化の観点から、はんだ組成物中のハロゲン含有量を900ppm以下にすることが好ましいが、本実施形態は、これに限定されない。
有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸などの他に、その他の有機酸が挙げられる。
モノカルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブチリック酸、バレリック酸、カプロン酸、エナント酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ツベルクロステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、グリコール酸などが挙げられる。
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、ジグリコール酸などが挙げられる。
その他の有機酸としては、ダイマー酸、レブリン酸、乳酸、アクリル酸、安息香酸、サリチル酸、アニス酸、クエン酸、ピコリン酸などが挙げられる。
【0020】
非解離性のハロゲン化化合物からなる非解離型活性剤としては、ハロゲン原子が共有結合により結合した非塩系の有機化合物が挙げられる。このハロゲン化化合物としては、塩素化物、臭素化物、フッ化物のように塩素、臭素、フッ素の各単独元素の共有結合による化合物でもよいが、塩素、臭素およびフッ素の任意の2つまたは全部のそれぞれの共有結合を有する化合物でもよい。これらの化合物は、水性溶媒に対する溶解性を向上させるために、例えばハロゲン化アルコールやハロゲン化カルボキシルのように水酸基やカルボキシル基などの極性基を有することが好ましい。ハロゲン化アルコールとしては、例えば2,3-ジブロモプロパノール、2,3-ジブロモブタンジオール、トランス-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール(TDBD)、1,4-ジブロモ-2-ブタノール、トリブロモネオペンチルアルコールなどの臭素化アルコール、1,3-ジクロロ-2-プロパノール、1,4-ジクロロ-2-ブタノールなどの塩素化アルコール、3-フルオロカテコールなどのフッ素化アルコール、その他これらに類する化合物が挙げられる。ハロゲン化カルボキシルとしては、2-ヨード安息香酸、3-ヨード安息香酸、2-ヨードプロピオン酸、5-ヨードサリチル酸、5-ヨードアントラニル酸などのヨウ化カルボキシル、2-クロロ安息香酸、3-クロロプロピオン酸などの塩化カルボキシル、2,3-ジブロモプロピオン酸、2,3-ジブロモコハク酸、2-ブロモ安息香酸などの臭素化カルボキシル、その他これらに類する化合物が挙げられる。
【0021】
アミン系活性剤としては、アミン類(エチレンジアミンなどのポリアミンなど)、アミン塩類(トリメチロールアミン、シクロヘキシルアミン、ジエチルアミンなどのアミンやアミノアルコールなどの有機酸塩や無機酸塩(塩酸、硫酸、臭化水素酸など))、アミノ酸類(グリシン、アラニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリンなど)、アミド系化合物などが挙げられる。具体的には、ジフェニルグアニジン臭化水素酸塩、シクロヘキシルアミン臭化水素酸塩、ジエチルアミン塩(塩酸塩、コハク酸塩、アジピン酸塩、セバシン酸塩など)、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、これらのアミンの臭化水素酸塩などが挙げられる。
【0022】
(B)成分の配合量としては、フラックス組成物100質量%に対して、0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。(B)成分の配合量が前記下限以上であれば、はんだボールがより確実に抑制できる。他方、(B)成分の配合量が前記上限以下であれば、フラックス組成物の絶縁性を確保できる。
【0023】
[(C)成分]
本実施形態に用いる(C)溶剤としては、公知の溶剤を適宜用いることができる。このような溶剤としては、沸点170℃以上の溶剤を用いることが好ましい。
このような溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ヘキシルジグリコール、1,5-ペンタンジオール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、2-エチルヘキシルジグリコール、オクタンジオール、フェニルグリコール、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、マレイン酸ジブチル、セバシン酸ビス(2-エチルへキシル)、アゼライン酸ビス(2-エチルヘキシル)、およびα,β,γ-ターピネオールなどが挙げられる。これらの溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
(C)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、30質量%以上60質量%以下であることが好ましく、35質量%以上50質量%以下であることがより好ましい。(C)成分の配合量が前記下限以上であれば、はんだ組成物の粘度およびチクソ性を適切な範囲に調整しやすい。他方、(C)成分の配合量が前記上限以下であれば、はんだ組成物の溶融時に残るフラックスの残さ中に溶剤がより残存しにくくなる。
【0025】
[(D)成分]
本実施形態に用いる(D)チクソ剤は、(D1)ビスアマイド系チクソ剤を含有することが必要である。この(D1)成分によれば、ディスペンス塗布性を確保しつつ、粘性やチクソ性を向上できる傾向にある。また、この(D1)成分によれば、微細塗布に対応する場合においても、十分なディスペンス塗布性を達成できる。
(D1)成分としては、N,N’-ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’-エチレンビスカプリン酸アミド、N,N’-エチレンビスラウリン酸アミド、N,N’-エチレンビスベヘン酸アミド、N,N’-ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、N,N’-ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、N,N’-エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-エチレンビスエルカ酸アミド、N,N’-ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-m-キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’-m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、および、N,N’-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。これらの中でも、ディスペンス塗布性の観点から、N,N’-ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N’-エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、またはN,N’-エチレンビスステアリン酸アミドが好ましく、N,N’-ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、またはN,N’-エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドがより好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
(D1)成分は、ディスペンス塗布性の観点から、1分子中に水酸基を有するものであることが好ましい。
【0026】
(D1)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、3.2質量%以上8質量%以下であることが必要である。(D1)成分の配合量が3.2質量%未満では、ディスペンス塗布時における塗布だれの問題が生じる。他方、(D1)成分の配合量が8質量%を超えると、チクソ剤の結晶化の問題が生じる。また、チクソ剤の結晶化とディスペンス塗布時の塗布だれのより確実な抑制という観点から、(D1)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、3.4質量%以上7.3質量%以下であることが好ましく、3.4質量%以上6.1質量%以下であることがより好ましい。
【0027】
(D)成分は、本発明の目的に影響のない範囲であれば、(D1)成分以外の他のチクソ剤((D2)成分)を含有していてもよい。ただし、(D1)成分の配合量は、(D)成分100質量%に対して、50質量%以上であることが好ましく、55質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。
(D2)成分としては、(D1)成分以外のアマイド系チクソ剤、グリセリンエステル系チクソ剤(硬化ひまし油など)、無機系チクソ剤(カオリン、コロイダルシリカ、有機ベントナイト、およびガラスフリットなど)が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0028】
(D)成分の配合量は、フラックス組成物100質量%に対して、3.2質量%以上8質量%以下であることが好ましく、4質量%以上7質量%以下であることがより好ましい。(D)成分の配合量が前記下限以上であれば、十分なチクソ性が得られ、塗布だれをより確実に抑制できる。他方、(D)成分の配合量が前記上限以下であれば、チクソ性が高すぎて、塗布不良となることはない。
【0029】
[他の成分]
本実施形態に用いるフラックス組成物には、(A)成分、(B)成分、(C)成分、および(D)成分の他に、必要に応じて、その他の添加剤、更には、その他の樹脂を加えることができる。その他の添加剤としては、酸化防止剤、消泡剤、改質剤、つや消し剤、および発泡剤などが挙げられる。その他の樹脂としては、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0030】
[(E)成分]
本実施形態に用いる(E)はんだ粉末は、融点が280℃以上のはんだ合金からなるはんだ粉末である。(E)成分の融点が280℃以上であれば、パワー半導体などをはんだ接合した場合にも、パワー半導体などの駆動時の発熱により、はんだが溶融してしまうといった問題を防止できる。このような観点から、(E)成分の融点は、290℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。なお、本明細書において、はんだの融点とは、固相線温度および液相線温度のうちより低い温度をいう。
融点が280℃以上のはんだ合金としては、Sn-Pb系合金、Sn-Pb-Ag系合金などが挙げられる。また、鉛フリーの高融点はんだ合金としては、Sn-Ag-Cu-Sb系合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Co系合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Ni-Co系合金、Au-Sn系合金、Au-Si系合金、Au-Ge系合金、およびZn-Al-Ge系合金などが挙げられる。
Sn-Pb系合金としては、Pb95-Sn5(固相線温度300℃、液相線温度314℃)などが挙げられる。
Sn-Pb-Ag系合金としては、Sn5-Pb92.5-Ag2.5(固相線温度296℃、液相線温度300℃)、およびSn1-Pb97.5-Ag1.5(固相線温度309℃、液相線温度309℃)などが挙げられる。
【0031】
はんだ粉末の平均粒子径は、微細塗布の観点から、IPC/EIA J-STD-006Aにおけるタイプ4以上のものを使用することが好ましい。なお、平均粒子径は、動的光散乱式の粒子径測定装置により測定できる。
【0032】
[はんだ組成物の製造方法]
本実施形態のはんだ組成物は、上記説明したフラックス組成物と上記説明した(E)はんだ粉末とを上記所定の割合で配合し、撹拌混合することで製造できる。
【0033】
[はんだ組成物を用いたはんだ付け方法]
次に、本実施形態のはんだ組成物を用いた、配線基板および電子部品などの電極同士のはんだ付け方法について説明する。ここでは、配線基板および電子部品の電極同士をはんだ付けする場合を例に挙げて説明する。
このように配線基板および電子部品の電極同士をはんだ付けする方法としては、前記配線基板上に前記はんだ組成物を、ディスペンス塗布法により塗布する塗布工程と、前記はんだ組成物上に前記電子部品を配置する搭載工程と、前記(E)成分の融点よりも30℃以上高い温度に加熱して、前記電子部品を前記配線基板に実装するはんだ溶融工程と、を備える方法を採用できる。
【0034】
塗布工程においては、配線基板上にはんだ組成物を、ディスペンス塗布法により塗布する。
ここで用いる塗布装置は、図1に示すようなディスペンス塗布装置1である。ディスペンス塗布装置1は、シリンジ11と、ニードル12と、押圧部13と、プランジャー14と、を備えている。ディスペンス塗布装置1においては、はんだ組成物は、シリンジ11に充填される。そして、ディスペンス塗布装置1によりはんだ組成物を塗布する場合には、押圧部13がシリンジ11に充填されたはんだ組成物を押圧して、ニードル12からはんだ組成物を塗布する。
本実施形態のはんだ組成物は、ディスペンス塗布法における塗布性が優れており、このようなディスペンス塗布装置で良好に塗布できる。
【0035】
ディスペンス塗布装置1における塗布条件は、特に限定されないが、以下の通りであることが好ましい。
ニードル12におけるノズル内径(φ)は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.45mm以下であることがより好ましい。このノズル内径が小さいほど、ディスペンス塗布時の吐出量が低下する傾向がある。しかし、前記本実施形態のはんだ組成物であれば、ノズル内径が0.5mm以下の場合でも、ディスペンス塗布時の吐出量を確保できる。
押圧部13での圧力は、50kPa以上300kPa以下であることが好ましい。
塗布時間は、0.01秒間以上0.5秒間以下であることが好ましい。
タクトは、0.5ショット/秒以上3ショット/秒以下であることが好ましい。
クリアランス(ニードル12と配線基板との距離)は、0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、0.2mm以上0.7mm以下であることがより好ましく、0.3mm以上0.5mm以下であることが特に好ましい。
塗布温度は、20℃以上30℃以下であることが好ましく、22℃以上28℃以下であることがより好ましい。
【0036】
搭載工程においては、塗布されたはんだ組成物上に電子部品を配置する。
電子部品としては、駆動時に非常に高温となる電子部品が挙げられる。このような電子部品としては、パワー半導体などが挙げられる。本実施形態のはんだ組成物は、融点が280℃以上のはんだ粉末を含有するものであるため、パワー半導体などが駆動する場合でも、駆動時にはんだが溶融してしまうといった問題を防止できる。
【0037】
はんだ溶融工程においては、はんだ組成物を前記(E)成分の融点よりも30℃以上高い温度に加熱して、電子部品を配線基板に実装する。ここでは、例えばリフロー炉により前記(E)成分の融点よりも30℃以上高い温度に加熱する。このリフロー処理により、電子部品および配線基板の間に十分なはんだ接合を行うことができる。その結果、電子部品を配線基板に実装することができる。
リフロー処理の温度は、前記(E)成分の融点よりも30℃以上高いことが必要である。また、その他のリフロー条件は、適宜設定すればよい。例えば、プリヒートを温度150~250℃で60~120秒間行い、ピーク温度を前記(E)成分の融点よりも30℃以上高い温度に設定すればよい。
【0038】
以上のようにして、本実施形態のはんだ組成物を用いて、はんだ付けを行うことができる。
なお、配線基板にパワー半導体など以外の電子部品も混載する方法としては、例えば、次の2つの方法を採用できる。
(i)前記塗布工程または前記搭載工程の前に、別途に、公知の低融点(はんだの融点が280℃未満)のはんだ組成物を公知の方法で塗布し、前記搭載工程の後、または、前記搭載工程と一緒に、パワー半導体など以外の電子部品を搭載し、その後、前記はんだ溶融工程を行う。この方法においては、はんだ溶融工程にて、低融点のはんだも溶融させられるので、一緒にはんだ付けができる。
(ii)前記はんだ溶融工程の後に、別途に、公知の低融点(はんだの融点が280℃未満)のはんだ組成物を用い、パワー半導体など以外の電子部品のはんだ付け方法を行う。この方法においては、別途に行うはんだ付けでのリフロー処理では、パワー半導体などを接合しているはんだが溶融しない。
【0039】
また、本実施形態のはんだ付け方法は、前記はんだ付け方法に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれるものである。
例えば、前記はんだ付け方法では、リフロー処理により、配線基板と電子部品とを接着しているが、これに限定されない。例えば、リフロー処理に代えて、レーザー光を用いてはんだ組成物を加熱する工程(レーザー加熱工程)により、配線基板と電子部品とを接着してもよい。この場合、レーザー光源としては、特に限定されず、金属の吸収帯に合わせた波長に応じて適宜採用できる。レーザー光源としては、例えば、固体レーザー(ルビー、ガラス、YAGなど)、半導体レーザー(GaAs、InGaAsPなど)、液体レーザー(色素など)、気体レーザー(He-Ne、Ar、CO、エキシマーなど)が挙げられる。
【実施例0040】
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、実施例および比較例にて用いた材料を以下に示す。
((A1)成分)
ロジン系樹脂A:水添酸変性ロジン、商品名「KE-604」、荒川化学工業社製
((A2)成分)
ロジン系樹脂B:重合ロジン、商品名「中国重合ロジン」、荒川化学工業社製
((B)成分)
活性剤A:コハク酸
活性剤B:トランス-2,3-ジブロモ-2-ブテン-1,4-ジオール(TDBD)
((C)成分)
溶剤:ヘキシルジグリコール(ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル)
((D1)成分)
チクソ剤A:N,N’-エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、融点145℃、水酸基含有、商品名「スリパックスH」、日本化成社製
チクソ剤B:N,N’-ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、融点135℃、水酸基含有、商品名「スリパックスZHH」、日本化成社製
((D2)成分)
チクソ剤C:水添ヒマシ油、商品名「ヒマ硬」、KFトレーディング社製
チクソ剤D:ポリアマイド、商品名「ターレンVA-79」、共栄社化学社製
((E)成分)
はんだ粉末A:粒子径20~38μm、はんだ融点296~300℃、はんだ組成Sn5-Pb92.5-Ag2.5
はんだ粉末B:粒子径20~38μm、液相線温度340℃超、はんだ組成Sn46-Sb35-Ag13-Cu6
はんだ粉末C:粒子径20~38μm、液相線温度340℃超、はんだ組成Sn52.94-Sb35-Ag2-Cu10-Ni0.05-Co0.01
【0041】
[実施例1]
ロジン系樹脂A33.8質量%、ロジン系樹脂B17.8質量%、チクソ剤A5.1質量%、活性剤A0.1質量%、活性剤B1.3質量%、および溶剤41.9質量%をそれぞれ容器に投入し、混練機(プラネタリーミキサー)にて加熱混合してフラックス組成物を得た。
その後、得られたフラックス組成物13.8質量%およびはんだ粉末A86.2質量%(合計で100質量%)を容器に投入し、混練機(プラネタリーミキサー)にて混合することで、はんだ組成物を調製した。
また、得られたはんだ組成物について、スパイラル型粘度計(マルコム社製、PCU-205)により、粘度およびチクソ指数の測定を行った。すなわち、はんだ組成物を室温(25℃)で2~3時間放置した。はんだ組成物の容器の蓋をあけ、スパチュラで空気の混入を避けるようにして丁寧に1~2分間かき混ぜたものを試料とした。その後、試料をスパイラル型粘度計(マルコム社製、PCU-205)にセットして、回転数を10rpm、温度を25℃にして、6分間ローターを回転させた。そして、一旦回転を停止させ、温度調整した後に、回転数を10rpmに調整し、3分後の粘度値(単位:Pa・s)を読み取った。
また、上記と同様にして、回転数を30rpmに調整した場合の粘度値(30rpm粘度)と、回転数を3rpmに調整した場合の粘度値(3rpm粘度)とを読み取った。そして、下記式に基づいて、チクソ指数を算出した。得られた結果を表1に示す。
チクソ指数=log[(3rpm粘度)/(30rpm粘度)]
【0042】
[実施例2~10および比較例1~6]
表1に示す組成に従い各材料を配合した以外は実施例1と同様にしてはんだ組成物を得た。
また、得られたはんだ組成物について、実施例1と同様にして、粘度およびチクソ指数を測定した。
【0043】
<はんだ組成物の評価>
はんだ組成物の性能(塗布量、塗布性(塗布だれ、塗布形状)、チクソ剤の結晶化、溶融性、接合強度)を以下のような方法で評価または測定した。得られた結果を表1に示す。
(1)塗布量
ディスペンス塗布装置(武蔵エンジニアリング社製)を用いて、下記の塗布条件にて、基板(材質:アルミナ)上に等間隔で2025点の吐出(45点×45列)を行って試験基板を得た。
ニードルにおけるノズル内径(直径):0.42mm
押圧部での圧力:112kPa
塗布時間:0.14秒間塗布温度:25℃
そして、得られた試験基板に塗布された試料の重さ(塗布量)を計量し、以下の基準に従って、塗布量を評価した。
◎:塗布量が、0.800g以上である。
○:塗布量が、0.600g以上0.800g未満である。
△:塗布量が、0.400g以上0.600g未満である。
×:塗布量が、0.400g未満である。
(2)塗布性(塗布だれ、塗布形状)
上記(1)の塗布量の試験基板に塗布された試料(はんだ組成物)の塗布垂れ、および塗布形状を、倍率10倍以上の光学顕微鏡を用いて観察し、以下の基準に従って、塗布性を評価した。
◎:塗布垂れおよび塗布形状に問題は観られない。
○:塗布垂れおよび塗布形状に問題は観られないが、上記評価と比較すると僅かに劣る。△:塗布垂れおよび塗布形状、或いはどちらか一方に僅かな異常が観られるが、使用可能レベルである。
×:塗布垂れおよび塗布形状、或いはどちらか一方に大きな異常が観られる。
(3)チクソ剤の結晶化
フラックス組成物を試料とし、この試料を、ヘラを用いてスライドガラスに薄く塗り、光学顕微鏡(Keyence社製)を用いて、チクソ剤の結晶化状態を観察し、単位面積率で解析した。そして、以下の基準に従って、チクソ剤の結晶化を評価した。
◎:単位面積当たりの結晶粒面積率が、5%以下である。
○:単位面積当たりの結晶粒面積率が、5%超10%以下である。
△:単位面積当たりの結晶粒面積率が、10%超15%以下である。
×:単位面積当たりの結晶粒面積率が、15%超である。
(4)溶融性
JIS Z 3284-1994 付属書10に準拠し、試験片を作製した。ソルダバスの温度は、はんだ液相温度より50℃高い温度に設定した。また、試験片は、銅板のみで評価を行った。そして、以下の基準に従って、溶融性を評価した。
○:JIS Z 3284-1994 付属書10の表1における区分1または区分2に相当する。
×:JIS Z 3284-1994 付属書10の表1における区分3または区分4に相当するか、或いは、未溶融はんだが確認される。
(5)接合強度
評価用基板(タムラ製作所社製)に、はんだ組成物を塗布し、リフロー処理を施して、試験基板を得た。この試験基板に対し、劣化試験(150℃、160V、4.3A)を施し、初期および168時間後での導通性を確認した。そして、以下の基準に従って、接合強度を評価した。
○:168時間後の試験基板において、導通を確認できる。
×:168時間後の試験基板において、はんだ強度劣化などに起因する導通不良が確認される。
【0044】
【表1】
【0045】
表1に示す結果からも明らかなように、本発明のはんだ組成物を用いた場合(実施例1~10)には、塗布量、塗布性、チクソ剤の結晶化、溶融性、および接合強度の評価結果が全て良好であった。このことから、本発明のはんだ組成物は、高融点のはんだ粉末を含有し、ディスペンス塗布法により塗布する場合に、十分な塗布性を有することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のはんだ組成物は、電子部品と配線基板とを接続する技術として好適に用いることができる。
図1