(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033159
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】外壁目地の防水構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/64 20060101AFI20230302BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
E04B1/64 B
E04F13/08 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022126717
(22)【出願日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】P 2021137298
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000196107
【氏名又は名称】西川ゴム工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105175
【弁理士】
【氏名又は名称】山広 宗則
(74)【代理人】
【識別番号】100105197
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 牧子
(72)【発明者】
【氏名】上田 大樹
(72)【発明者】
【氏名】石田 博道
(72)【発明者】
【氏名】馬渕 克己
(72)【発明者】
【氏名】伊村 耕一
【テーマコード(参考)】
2E001
2E110
【Fターム(参考)】
2E001DA02
2E001FA04
2E001GA01
2E001HD11
2E001HE01
2E001MA02
2E001MA15
2E001MA17
2E110AA14
2E110AA42
2E110AB04
2E110AB22
2E110BD13
2E110DD03
2E110GB42Z
2E110GB55Z
(57)【要約】
【課題】多少のバラツキがあっても安定的に排水し、かつ部品点数を抑える。
【解決手段】左下外壁パネル3の角部に取付けられた箱型の第一排水部材20と、右下の外壁パネル4の角部に取付けられた箱型の第二排水部材40を有し、第一排水部材20の上部には、縦目地6側に向かって下降傾斜する第一傾斜導水部21が設けられ、第一傾斜導水部21の下端には第二排水部材40側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する導水リップ部22が設けられ、第二排水部材40の上部には、縦目地6側に向かって下降傾斜する第二傾斜導水部41が設けられ、第二排水部材40の縦目地6側の左側面40d下部には第一排水部材20側に向けて突出するとともに屋内側から屋外側に下降する導水凹部42が設けられ、上方及屋内側から視た場合、導水リップ部22の先端は、導水凹部42の第一排水部材20側の左端よりも第二排水部材40側に位置している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下左右に並設された複数の外壁パネル間の横目地及び縦目地から屋内側に水が浸入することを防止する外壁目地の防水構造であって、
前記左下の外壁パネル又は右下の外壁パネルのうち一方の屋内側上部かつ前記縦目地側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第一排水部材と、
前記左下の外壁パネル又は右下の外壁パネルのうち他方の屋内側上部かつ前記縦目地側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第二排水部材を有し、
前記第一排水部材の上部には、前記縦目地側に向かって下降傾斜する第一傾斜導水部が設けられ、かつ前記第一排水部材の前記縦目地側の右側面には前記第二排水部材側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する第一導水リップ部が設けられ、
前記第二排水部材の上部には、前記縦目地側に向かって下降傾斜する第二傾斜導水部が設けられ、かつ前記第二排水部材の前記縦目地側の左側面には前記第一排水部材側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する第二導水リップ部が設けられ、
前記第一導水リップ部と前記第二導水リップ部は左右対称で先端部同士が接触していることを特徴とする外壁目地の防水構造。
【請求項2】
上下左右に並設された複数の外壁パネル間の横目地及び縦目地から屋内側に水が浸入することを防止する外壁目地の防水構造であって、
前記左下の外壁パネル又は右下の外壁パネルのうち一方の屋内側上部かつ前記縦目地側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第一排水部材と、
前記左下の外壁パネル又は右下の外壁パネルのうち他方の屋内側上部かつ前記縦目地側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第二排水部材を有し、
前記第一排水部材の上部には、前記縦目地側に向かって下降傾斜する第一傾斜導水部が設けられ、かつ前記第一傾斜導水部の下端には前記第二排水部材側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する導水リップ部が設けられ、
前記第二排水部材の上部には、前記縦目地側に向かって下降傾斜する第二傾斜導水部が設けられ、かつ前記第二排水部材の前記縦目地側の左側面下部には前記第一排水部材側に向けて突出するとともに屋内側から屋外側に下降する導水凹部が設けられ、
上方から視た場合、前記導水リップ部の先端は、前記導水凹部の前記第一排水部材側の側端よりも前記第二排水部材側に位置していることを特徴とする外壁目地の防水構造。
【請求項3】
前記導水リップ部と前記導水凹部は非接触であることを特徴とする請求項2に記載の外壁目地の防水構造。
【請求項4】
前記導水凹部の屋外側端部の下端には屋外側に向けて下降傾斜する先端舌部が設けられ、
前記先端舌部は前記第二排水部材の屋外側面よりもさらに屋外側に突出し、前記縦目地に設けられた縦目地シーリングバックアップ材の屋内側シールリップの屋内側面に弾接することを特徴とする請求項2又は3に記載の外壁目地の防水構造。
【請求項5】
前記導水リップ部は付根側から先端側にいくほど下降傾斜しその傾斜は、前記第一傾斜導水部より大きいことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれ一つに記載の外壁目地の防水構造。
【請求項6】
前記第一傾斜導水部は屋内側から屋外側に向かっても下降傾斜し、前記第二傾斜導水部は屋外側から屋内側に向かっても下降傾斜していることを特徴とする請求項2乃至5のうちいずれ一つに記載の外壁目地の防水構造。
【請求項7】
前記第一排水部材の前記外壁パネル側には前記第一傾斜導水部よりも高い第一外突出部が設けられ、前記第一外突出部は前記第一排水部材の中央部を最下点にするように中央部に向かって傾斜し、前記第二排水部材の前記外壁パネル側には前記第二傾斜導水部よりも高い第二外突出部が設けられ、前記第二外突出部は前記第二排水部材の中央部を最下点にするように中央部に向かって傾斜していることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれ一つに記載の外壁目地の防水構造。
【請求項8】
前記第一排水部材が取付けられた外壁パネルの屋内側上部でかつ前記第一排水部材よりも上方に取付けられる取付部と、その取付部から前記横目地の底面より上方まで屋内側に傾斜して延びかつ前記第一排水部材が取付けられた外壁パネルの少なくとも横幅いっぱいまで延びる傾斜リップを有する第一横目地導水部材と、
前記第二排水部材が取付けられた外壁パネルの屋内側上部でかつ前記第二排水部材よりも上方に取付けられる取付部と、その取付部から前記横目地の底面より上方まで屋内側に傾斜して延びかつ前記第二排水部材が取付けられた外壁パネルの少なくとも横幅いっぱいまで延びる傾斜リップを有する第二横目地導水部材を備えることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれ一つに記載の外壁目地の防水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネル間の目地から屋内側に水が浸入することを防止するための外壁目地の防水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などの外壁パネル間の目地から雨水などが屋内側に浸入することを防止するために目地間にシーリング材を充填させたり、そのシーリング材のバックアップとして止水リップを設けたりすることが行われていた。
しかし、経年劣化等により目地部分のシーリングが万一切れた場合、水が屋内側に浸入してしまうので、さらに三次防水材として外壁パネルの屋内側に横目地排水部材を設けたものが知られている(特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1に記載の横目地排水部材は、断面ヒレ状で横方向(水平方向)に長尺なリップ片を上方に延ばして横目地の底面を屋内側から覆うようにしたものであり、横目地に沿って延び端部は縦目地内に若干はみ出て位置するように配置されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の横目地排水部材は、外壁目地5,6の奥行きが短くなるような厚みの薄い外壁パネル1~4にも適用できるようにするため、
図14乃至
図16に示すように、上下左右に並設された外壁パネル1~4のうち下側の外壁パネル3,4の上部コーナー部に箱型の横目地排水部材7,8をそれぞれ設けたものである。
外壁パネル1~4間の横目地5及び縦目地6には屋外側からシーリング材9と二次防水部材10が設けられているが、これらに何らかの不具合が発生して、横目地のシーリング材9と二次防水部材10を水Wが通過した場合、横目地排水部材7,8は、この通過した水Wを受けて横方向に流して縦目地6側に設けられた排水部7a,8aから縦目地6の屋外側に流し込み下方へ排水するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-166490号公報
【特許文献2】特開2016-188497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載の横目地排水部材7,8は、いずれも下側の外壁パネル3,4の一方と他方にそれぞれ設けられ、縦目地6側に溜まった水Wを導く構成で、横方向、左右二カ所の位置から水Wを縦目地6側に排出するようになっている。
そのため、縦目地6の目地幅や横目地排水部材7,8の設置位置にバラツキが生じた場合には、縦目地6側に水Wを排出する位置を狙った位置にすることができず安定した排出を行うことができないおそれがある。
【0007】
また、特許文献1に記載の横目地排水部材の場合、縦目地6側に導かれた水が屋内側に散ってしまうおそれもある。
また、特許文献2に記載の横目地排水部材7,8の場合、受けた水Wを縦目地6の屋外側に流し込むので屋内側に水Wが散ってしまうことはないが、水Wを縦目地6の屋外側に流し込むために、縦目地のシーリング材9の屋内側に設けられた二次防水部材10に左右に広がる湾曲部材11を設ける必要がある。さらには、縦目地6の二次防水部材10が屋内側に入り込むことを防止するためにバックアップ材12を設け、そのバックアップ材12が屋内側に入り込むことを防止するためにバックアップ材当て板13を設ける必要があるなど部品点数が多くなる。
【0008】
そこで、本発明の目的とするところは、多少のバラツキがあっても安定的に排水することができ、かつ部品点数を抑えた外壁目地の防水構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の外壁目地の防水構造は、
図10及び
図11,あるいは
図12及び
図13に示すように、上下左右に並設された複数の外壁パネル(1~4)間の横目地(5)及び縦目地(6)から屋内側に水が浸入することを防止する外壁目地の防水構造であって、
前記左下の外壁パネル(3)又は右下の外壁パネル(4)のうち一方(3)の屋内側上部かつ前記縦目地(6)側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第一排水部材(51,55)と、
前記左下の外壁パネル(3)又は右下の外壁パネル(4)のうち他方(4)の屋内側上部かつ前記縦目地(6)側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第二排水部材(53,57)を有し、
前記第一排水部材(51,55)の上部には、前記縦目地(6)側に向かって下降傾斜する第一傾斜導水部(21)が設けられ、かつ前記第一排水部材(51,55)の前記縦目地(6)側の右側面(20d)には前記第二排水部材(53,57)側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する第一導水リップ部(52,56)が設けられ、
前記第二排水部材(53,57)の上部には、前記縦目地(6)側に向かって下降傾斜する第二傾斜導水部(21´)が設けられ、かつ前記第二排水部材(53,57)の前記縦目地(6)側の左側面(40d)には前記第一排水部材(51,55)側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する第二導水リップ部(54,58)が設けられ、
前記第一導水リップ部(52,56)と前記第二導水リップ部(54,58)は左右対称で先端部同士が接触していることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の外壁目地の防水構造は、
図1乃至
図9に示すように、上下左右に並設された複数の外壁パネル(1~4)間の横目地(5)及び縦目地(6)から屋内側に水が浸入することを防止する外壁目地の防水構造であって、
前記左下の外壁パネル(3)又は右下の外壁パネル(4)のうち一方(3)の屋内側上部かつ前記縦目地(6)側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第一排水部材(20,120)と、
前記左下の外壁パネル(3)又は右下の外壁パネル(4)のうち他方(4)の屋内側上部かつ前記縦目地(6)側の角部に取付けられた上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第二排水部材(40,140)を有し、
前記第一排水部材(20,120)の上部には、前記縦目地(6)側に向かって下降傾斜する第一傾斜導水部(21,121)が設けられ、かつ前記第一傾斜導水部(21,121)の下端には前記第二排水部材(40,140)側に延びるとともに屋内側から屋外側に下降する導水リップ部(22,122)が設けられ、
前記第二排水部材(40,140)の上部には、前記縦目地(6)側に向かって下降傾斜する第二傾斜導水部(41,141)が設けられ、かつ前記第二排水部材(40,140)の前記縦目地(6)側の左側面(40d,140d)下部には前記第一排水部材(20,120)側に向けて突出するとともに屋内側から屋外側に下降する導水凹部(42,142)が設けられ、
上方から視た場合、前記導水リップ部(22,122)の先端は、前記導水凹部(42,142)の前記第一排水部材(20,120)側の左端よりも前記第二排水部材(40,140)側に位置していることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記導水リップ部(22,122)と前記導水凹部(42,142)は非接触であることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記導水凹部(42,142c)の屋外側端部の下端には屋外側に向けて下降傾斜する先端舌部(42c,142)が設けられ、前記先端舌部(42c,142c)は前記第二排水部材(40,140)の屋外側面よりもさらに屋外側に突出し、前記縦目地(6)に設けられた縦目地シーリングバックアップ材(62)の屋内側シールリップ(62a)の屋内側面に弾接することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記導水リップ部(22,122)は付根側から先端側にいくほど下降傾斜しその傾斜は、前記第一傾斜導水部(21,121)より大きいことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第一傾斜導水部(21,121)は屋内側から屋外側に向かっても下降傾斜し、前記第二傾斜導水部(41,141)は屋外側から屋内側に向かっても下降傾斜していることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記第一排水部材(20,51,55,120)の前記外壁パネル(3)側には前記第一傾斜導水部(21,121)よりも高い第一外突出部(23,123)が設けられ、前記第一外突出部(23,123)は前記第一排水部材(20,51,55,120)の中央部を最下点にするように中央部に向かって傾斜し、前記第二排水部材(40,53,57,140)の前記外壁パネル(4)側には前記第二傾斜導水部(41,21´,141)よりも高い第二外突出部(43,143)が設けられ、前記第二外突出部(43,143)は前記第二排水部材(40,53,57,140)の中央部を最下点にするように中央部に向かって傾斜していることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記第一排水部材(20,51,55,120)が取付けられた外壁パネル(3)の屋内側上部でかつ前記第一排水部材(20,51,55,120)よりも上方に取付けられる取付部(81a)と、その取付部(81a)から前記横目地(5)の底面より上方まで屋内側に傾斜して延びかつ前記第一排水部材(20,51,55,120)が取付けられた外壁パネル(3)の少なくとも横幅いっぱいまで延びる傾斜リップ(81b)を有する第一横目地導水部材(81)と、
前記第二排水部材(40,53,57,140)が取付けられた外壁パネル(4)の屋内側上部でかつ前記第二排水部材(40,53,57,140)よりも上方に取付けられる取付部(91a)と、その取付部(91a)から前記横目地(5)の底面より上方まで屋内側に傾斜して延びかつ前記第二排水部材(40,53,57,140)が取付けられた外壁パネル(4)の少なくとも横幅いっぱいまで延びる傾斜リップ(91b)を有する第二横目地導水部材(91)を備えることを特徴とする。
【0017】
なお、括弧内の記号は、図面および後述する発明を実施するための形態に記載された対応要素または対応事項を示す。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、上側の外壁パネルの屋外側に沿って落下し外壁パネル間の横目地から屋内側に浸入しようとする水は、横目地に設けられたシーリング材によって堰き止められるが、経年劣化などによって横目地から屋内側に水が浸入する場合があり、浸入した水は、下側の外壁パネルに取付けられた第一排水部材及び第二排水部材によって受け止められ、第一導水リップ部及び第二導水リップ部に導かれる。
そして、第一導水リップ部と第二導水リップ部は屋内側から屋外側に下降するとともに左右対称で先端部同士が接触しているので、第一導水リップ部と第二導水リップ部に導かれた水は、縦目地側に流れ下方に排出される。
【0019】
このとき第一導水リップ部と第二導水リップ部が先端にいくにしたがって下降するものであれば、水の排出経路は、互いに接触した第一導水リップ部の先端と第二導水リップ部の先端付近の一ヶ所となり、予め狙った位置から水を排出させることが容易となる。
逆に、第一導水リップ部と第二導水リップ部が先端にいくにしたがって上昇するものであれば、水の排出経路は、互いに接触した第一導水リップ部の付け根と第二導水リップ部の付け根の二ヶ所となるが両者はかなり接近しており、しかも縦目地シーリングバックアップ材の屋内側シールリップの屋内側面に弾接(もしくは近接)させているので、従来例(
図14乃至
図16)のものと比較して予め狙った位置から水を排出させることが容易となる。
しかも、従来例(
図14乃至
図16)のように部品点数を特に多くする必要もなく構造が簡単である。
また、ここで、第一排水部材及び第二排水部材は左右対称ではあるが、両者は同一形状ではなく、例えば傾斜の向きが逆となるので設置時に逆になると、屋内側から屋外側に排水されてしまうので、注意が必要である。
【0020】
また本発明によれば、第一排水部材は導水リップ部を,第二排水部材は導水凹部を有し、上方から視た場合、導水リップ部の先端は、導水凹部の第一排水部材側の側端よりも第二排水部材側に位置しているため、第一排水部材が取付けられた外壁パネルの屋内側に沿って水が下降した場合、水は導水リップ部に導かれて屋内側から屋外側に流れ導水凹部に落下するようにされる。逆に第二排水部材が取付けられた外壁パネルの屋内側に沿って水が下降した場合、水は導水凹部に導かれる。
このように、外壁パネルに沿って下降する水は、いずれも導水凹部に導かれ、縦目地の屋内側から下方に排出されるので、水の排出経路は、導水凹部からのものの一ヶ所となり、予め狙った位置から水を排出させることが容易となる。
この場合も、従来例(
図14乃至
図16)のように部品点数を特に多くする必要はない。
【0021】
また本発明によれば、上方から視た場合、第一排水部材の導水リップ部の先端は、導水凹部の第一排水部材側の左端よりも第二排水部材に位置するようにされているので、第一排水部材及び第二排水部材の設置位置のバラツキや外壁パネル間のバラツキが多少生じた場合であっても安定した状態で一ヶ所の狙った位置から確実に水を排出させることができる。
【0022】
また本発明によれば、導水リップ部と導水凹部を非接触とするので第一排水部材及び第二排水部材の設置時のバラツキを吸収することができる。
【0023】
また本発明によれば、導水凹部の屋外側端部の下端には屋外側に向けて下降傾斜する先端舌部が設けられ、先端舌部は第二排水部材の屋外側面よりもさらに屋外側に突出し、縦目地に設けられた縦目地シーリングバックアップ材の屋内側シールリップの屋内側面に弾接するものであるので、目地止水リップの屋内側に沿わせて水を下方に排出させることでき、これによれば水の排出時の散りを抑えることができる。
【0024】
また本発明によれば、導水リップ部は付根側から先端側にいくほど下降傾斜しその傾斜は、第一傾斜導水部より大きいので水を排出しやすい。
【0025】
また本発明によれば、第一傾斜導水部は屋内側から屋外側に向かっても下降傾斜し、第二傾斜導水部は屋外側から屋内側に向かっても下降傾斜しているので水を集めやすい。
【0026】
また本発明によれば、第一排水部材の前記外壁パネル側には第一傾斜導水部よりも高い第一外突出部が設けられ、第一外突出部は第一排水部材の中央部を最下点にするように中央部に向かって傾斜し、第二排水部材の外壁パネル側には第二傾斜導水部よりも高い第二外突出部が設けられ、第二外突出部は第二排水部材の中央部を最下点にするように中央部に向かって傾斜しているので、水を集めやすい。
【0027】
また本発明によれば、第一排水部材が取付けられた外壁パネルの屋内側上部でかつ第一排水部材よりも上方には、外壁パネルの少なくとも横幅いっぱいまで延びる傾斜リップを有する第一横目地導水部材が取付けられ、第二排水部材が取付けられた外壁パネルの屋内側上部でかつ第二排水部材よりも上方には、外壁パネルの少なくとも横幅いっぱいまで延びる傾斜リップを有する第二横目地導水部材が取付けられているので、横目地を越えて屋内側に水が浸入することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る外壁目地の防水構造の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の外壁目地の防水構造の要部を示す拡大斜視図である。
【
図3】
図1の第一排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図4】
図1の第二排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図8】
図1の外壁目地の防水構造の要部を示す拡大正面図である。
【
図9】
図4に示す第二排水部材が外壁パネルに設置されたときの導水凹部の構成を示す拡大斜視図である。
【
図10】本発明の第二実施形態に係る外壁目地の防水構造の第一排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図11】本発明の第二実施形態に係る外壁目地の防水構造の要部を示す拡大正面図である。
【
図12】本発明の第三実施形態に係る外壁目地の防水構造の第一排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図13】本発明の第三実施形態に係る外壁目地の防水構造の要部を示す拡大正面図である。
【
図14】従来例に係る外壁目地の防水構造を示す横断面図である。
【
図15】従来例に係る外壁目地の防水構造を示す正面図である。
【
図16】
図14に示す横目地排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図17】本発明の第四実施形態に係る外壁目地の防水構造の第一排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図18】本発明の第四実施形態に係る外壁目地の防水構造の第二排水部材を示す拡大斜視図である。
【
図19】本発明の第四実施形態に係る第一排水部材と第二排水部材が外壁パネルに設置された位置関係を屋内側からみたときの側面図である。
【
図21】本発明の第四実施形態に係る第一排水部材と第二排水部材が外壁パネルに設置された位置関係を屋外側からみたときの斜視図である。
【
図22】本発明の第四実施形態に係る第一排水部材が外壁パネルに設置された状態を示す拡大平面図である。
【
図23】本発明の第四実施形態に係る第二排水部材が外壁パネルに設置された状態を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一実施形態)
図1乃至
図9を参照して、本発明の第一実施形態に係る外壁目地の防水構造について説明する。従来例と同一部分には同一符号を付した。
本発明の第一実施形態に係る外壁目地の防水構造は、
図1,
図2に示すように、上下左右に並設された複数の外壁パネル1~4間に形成された横目地5及び縦目地6から屋内側に水が浸入することを防止するものである。ここでいう「左右」とは、設置された外壁パネル1~4を屋内側から見たときの左側及び右側を示す。
【0030】
左下の外壁パネル3の屋内側上部かつ縦目地6側の角部には、
図3に示すような、上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第一排水部材20がブチルテープBで外壁パネル3の屋内側面(裏面)に貼付けられている。
また右下の外壁パネル4の屋内側上部かつ縦目地6側の角部には、
図4に示すような、上下高さと屋内外に幅を有する箱型の第二排水部材40がブチルテープBで外壁パネル4の屋内側面(裏面)に貼付けられている。
【0031】
第一排水部材20と第二排水部材40は縦目地6を挟んで相対向するように設置されているが、両者は非対称の形状をしている。また、第一排水部材20と第二排水部材40は、樹脂製またはゴム製で、金型成型等によって、作成されている。
【0032】
第一排水部材20は、
図3に示すように、外壁パネル3に対して取付けられたときに、屋内側となる前面20aと、屋外側(外壁パネル3側)となる後面20bと、前面20aと後面20bを連結する左側面20c(縦目地6から遠い方の側面),右側面20d(縦目地6に近い方の側面)と、底面20e(底面20eは省くこともできる)で構成される箱型で、上部に第一傾斜導水部21が設けられている。
【0033】
第一傾斜導水部21は、左側から右側に、すなわち縦目地6側に向かって下降傾斜するとともに、屋内側から屋外側に向かっても下降傾斜している。
そして、第一傾斜導水部21の下端(右端)には第二排水部材40側に下降傾斜しながら延びるとともに屋内側から屋外側に下降する導水リップ部22が設けられている。
導水リップ部22は、その厚みは付け根から先端部にいくにしたがって先細になっていて、その幅(屋内外方向の幅)は第一傾斜導水部21の幅と同一であるが、導水リップ部22は、
図3に示すように、後面20bよりも屋外側に突出させて、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接(もしくは近接)するようにしてもよい。
【0034】
また、第一排水部材20の外壁パネル3側となる後面20bの上部には第一傾斜導水部21の上面よりも高い第一外突出部23が設けられている。第一外突出部23は第一排水部材20の中央部を最下点にするように左右から中央部に向かって傾斜してV字状形になっている。
なお、第一排水部材20の前面20a及び左側面20cも第一傾斜導水部21の上面よりも高く設定されていて、第一傾斜導水部21に対して第一外突出部23,前面20a及び左側面20cは堰となっている。
【0035】
また、第一排水部材20の縦目地6側の面となる右側面20dには、底面20eよりも下側に突出する位置決め部24が設けられ、さらに、第一排水部材20の左側面20cの下部にはさらに左側に突出した固定部25が設けられている。
これら、位置決め部24及び固定部25は、後述するように、第一排水部材20を外壁パネル3に取付けるときに利用される。
【0036】
次に第二排水部材40は、
図4に示すように、外壁パネル4に対して取付けられたときに、屋内側となる前面40aと、屋外側(外壁パネル4側)となる後面40bと、前面40aと後面40bを連結する右側面40c(縦目地6から遠い方の側面),左側面40d(縦目地6に近い方の側面)と、底面40e(底面40eは省くこともできる)で構成される箱型で、上部に第二傾斜導水部41が設けられている。
【0037】
第二傾斜導水部41は、右側から左側に、すなわち縦目地6側に向かって下降傾斜するとともに、第一傾斜導水部21とは逆に、屋外側から屋内側に向かっても下降傾斜している。この第二傾斜導水部41の傾斜に沿って第二排水部材40の左側面40dも上部が屋内側にかけてカットされた三角形状となっている。
そして、第二排水部材40の左側面40dの下部には第一排水部材20側に向けて突出するとともに屋内側から屋外側に下降する導水凹部42が設けられている。
導水凹部42は、第二排水部材40の前面40aの下側部分が左側に突出した後、直角に折れ曲がり屋外側に延びる、すなわちL字形状に延びる立設壁42aと、立設壁42aの下端と、後述する左側面40dの下側に突出する位置決め部44の左側面を連続的に接続した屋外導水部42bを有し、この屋外導水部42bが屋内側から屋外側に下降している。屋外導水部42bは、第二排水部材40の底面40eよりも低い位置に設けられている。また、屋外導水部42bの屋外側端部には、さらに屋外側に突出し屋外側に向かって下降傾斜する先端舌部42cが設けられている。先端舌部42cは先細で先端を尖らせたもので、第二排水部材40の後面40bよりもさらに屋外側に突出している。
【0038】
また、第二排水部材40の外壁パネル4側となる後面40bの上部には第二傾斜導水部41の上面よりも高い第二外突出部43が設けられている。第二外突出部43は第二排水部材40の中央部を最下点にするように左右から中央部に向かって傾斜してV字状形になっている。
なお、第二排水部材40の前面40a及び右側面40cも第二傾斜導水部41の上面よりも高く設定されていて、第二傾斜導水部41に対して第二外突出部43,前面40a及び右側面40cは堰となっている。
【0039】
また、第二排水部材40の縦目地6側の面となる左側面40dには、底面40eよりも下側に突出する位置決め部44が設けられ、さらに、第二排水部材40の右側面40cの下部にはさらに右側に突出した固定部45が設けられている。
これら、位置決め部44及び固定部45は、後述するように、第二排水部材40を外壁パネル4に取付けるときに利用される。また、
図4及び
図9に示すように、後面20bよりも屋外側に突出する延長面40d´を設けてもよい。この延長面40d´は、後面20bに貼り付けられたブチルテープBの左端端面を覆い隠すようにしてあり、開口端部91cから落下する水W2´がブチルテープBの左端端面にかからないようにしてある。
【0040】
ここでは第一排水部材20及び第二排水部材40の横幅は同一で、外壁パネル3,4の横幅のおよそ1/5にしている。第一排水部材20及び第二排水部材40の横幅は長い程、
落下する水Wを回集することができるが、一つの外壁パネルの屋内側の左右にそれぞれ第一排水部材20及び第二排水部材40を設けることを考えると外壁パネル3,4の横幅の半分以下であることが好ましい。
【0041】
左右外壁パネル1,2(3,4)間の縦目地6には、
図5に示すように、屋外側に縦目地シーリング材61が充填されていて、その屋内側には二次止水材として樹脂製又はゴム製の縦目地シーリングバックアップ材62が圧入されている。
【0042】
また、上下外壁パネル1,3間の横目地5には、
図6に示すように、縦目地6と同様に、屋外側に横目地シーリング材71が充填されていて、その屋内側には二次止水材として樹脂製又はゴム製の横目地シーリングバックアップ材72が圧入されている。
そして、横目地シーリングバックアップ材72のさらに屋内側には三次止水材として取付部81aと傾斜リップ81bを有する樹脂製又はゴム製で長尺状に左右横方向に延びる第一横目地導水部材81が取付けられている。また、取付部81aは、
図6,
図2に示すように、第一排水部材20が取付けられた左下の外壁パネル3の屋内側上部でかつ第一排水部材20よりも上方に、ブチルテープBによって取付けられている。更に、傾斜リップ81bは、取付部81aから横目地5の底面より上方まで屋内側に傾斜して延びかつ外壁パネル3の少なくとも横幅いっぱいまで延びている。ここで、傾斜リップ81b及び取付部81aは、縦目地6の手前で終わるように、端部を切り落とし、開口端部81cを設けている。
【0043】
同様に、上下外壁パネル2,4間の横目地5にも、
図6に示したものと同様に、屋外側に横目地シーリング材71が充填されていて、その屋内側には二次止水材として樹脂製又はゴム製の横目地シーリングバックアップ材72が圧入されている。
そして、横目地シーリングバックアップ材72のさらに屋内側には三次止水材として取付部91aと傾斜リップ91bを有する樹脂製又はゴム製で長尺状に左右横方向に延びる第二横目地導水部材91が取付けられている。また、取付部91aは、
図6,
図2に示すように、第二排水部材40が取付けられた右下の外壁パネル4の屋内側上部でかつ第二排水部材40よりも上方に、ブチルテープBによって取付けられている。更に、傾斜リップ91bは、取付部91aから横目地5の底面より上方まで屋内側に傾斜して延びかつ外壁パネル4の少なくとも横幅いっぱいまで延びている。ここで、傾斜リップ91b及び取付部91aは、縦目地6の手前で終わるように、端部を切り落とし、開口端部91cを設けている。
【0044】
また、ここで、外壁パネル1、2、3、4施工期間中に、建物外部に工事用外部足場などを設置し、その倒れ防止のため、横目地5の屋外側から屋内側に向けて、外部足場などと建物を接続するための部材(図示しない)を設置する場合がある。
その際、外部足場などとの接続部材は、第一横目地導水部材81と第二横目地導水部材91の傾斜リップ81b、91bに当接し、傾斜リップ81b、91bは、長期間に渡って、屋内側に向けて、撓み変形させられる。
その後、外部足場などの仮設材を取り除いた後でも、傾斜リップ81b、91bの導水機能に支障がないように、JIS A 硬度70度より柔らかい素材で、かつ傾斜リップ81b、91bの剛性が低くなりすぎないのが好ましい。
また、傾斜リップ81b、91bの剛性が強すぎると、外部足場などの仮設材の設置期間中に、取付部81a、91aの、ブチルテープBでの貼付固定部が剥離しやすくなり、好ましくない。
以上の事から、外部足場などの仮設材を設置する場合には、第一横目地導水部材81と第二横目地導水部材91の材質としては、軟質TPOや軟質ソリッドゴム等 (例えばJIS A硬度40度~70度)が好ましい。JIS A 硬度70度を越えると、ブチルテープBでの貼付固定部が剥離しやすくなり、好ましくない。JIS A 硬度40度未満であると、剛性が不足するため好ましくない。また、取付部81a、91aの肉厚(剛性)よりも傾斜リップ81b、91bの肉厚(剛性)を低く設定した方が、ブチルテープBでの貼付固定部が剥離しにくくなり、好ましい。
【0045】
また左下の外壁パネル3及び右下の外壁パネル4の屋内側には、
図1及び
図2に示すように、鉄製で断面コ字形状の上部横方向枠材101,下部横方向枠材102,縦方向枠材103が固定されている。上部横方向枠材101,下部横方向枠材102,縦方向枠材103といったこれら枠材は、外壁強度の確保や、外壁を軸組(図示省略)等の躯体(図示省略)へ固定するための部材である。
縦方向枠材103は、外壁パネル3,4の縦目地6側(外壁パネル3では右側,外壁パネル4では左側)とは逆に開口部を向け、しかも外壁パネル3,4の上部には第一排水部材20,第二排水部材40を設置できる間隔(この間隔は、設置される第一排水部材20及び第二排水部材40の高さよりも広い)をあけた状態で外壁パネル3,4の下端まで延びている。隣接する縦方向枠材103間の間隔は、縦目地6の幅(左右方向の幅)と同一にしてある。
上部横方向枠材101は、開口部を下側に向け、縦方向枠材103の上部側面にその上面を縦方向枠材103の上面と面一にした状態で設置されている。また、下部横方向枠材102は、開口部を上側に向け、縦方向枠材103の下部側面にその下面を縦方向枠材103の下面と面一にした状態で
設置されている。
【0046】
次に第一排水部材20及び第二排水部材40の取付けについて説明する。第一排水部材20及び第二排水部材40は、
図2に示すように、外壁パネル3,4の屋内側に設置される。
【0047】
第一排水部材20は、外壁パネル3の屋内側で、縦方向枠材103と上部横方向枠材101の上に載置される。このとき、第一排水部材20に設けられた位置決め部24を、外壁パネル3に固定された縦方向枠材103の縦目地6側表面に沿わせることで左右方向の位置が規制され、その位置で第一排水部材20の後面20bがブチルテープBで外壁パネル3の屋内側面(裏面)に固定される。そして、第一排水部材20に設けられた固定部25を帯状の固定部材(金属クリップ)104で上部横方向枠体101の上面に押え付けることで強固に固定している。固定部材104としては、固定部25を上部横方向枠材101に固定する態様のものであれば特に構成は限定されるものでないが、ここでは水平部104aで上から押え付け、水平部104aの屋外側端部から立設した垂直部104bを外壁パネル3の上部に取付けられた第一横目地導水部材81の取付部81aにも押し当てている。
【0048】
第二排水部材40は、外壁パネル4の屋内側で、縦方向枠材103と上部横方向枠材101の上に載置される。このとき、第二排水部材40に設けられた位置決め部44を、外壁パネル4に固定された縦方向枠材103の縦目地6側表面に沿わせることで左右方向の位置が規制され、その位置で第二排水部材40の後面40bがブチルテープBで外壁パネル4の屋内側面(裏面)に固定される。そして、第二排水部材40に設けられた固定部45を帯状の固定部材(金属クリップ)104で上部横方向枠材101の上面に押え付けることで強固に固定している。第一排水部材20と同様に、固定部材104の水平部104aで固定部45を上部横方向枠材101に押え付け、垂直部104bを外壁パネル4の上部に取付けられた第二横目地導水部材91の取付部91aにも押し当てている。
【0049】
また、第一排水部材20及び第二排水部材40の設置は、上方(
図7)及屋内側(
図8)から視た場合、第一排水部材20に設けられた導水リップ部22の先端が、第二排水部材40に設けられた導水凹部42の第一排水部材20側の左端となる立設壁42aの側壁よりも第二排水部材40側(右側)でかつ上側に位置するようにしている。導水リップ部22と導水凹部42は非接触の状態である。
さらにこのとき、
図9に示す、第二排水部材40の導水凹部42の先端に設けられ屋外側に突出する先端舌部42cが、
図7に示すように、縦目地6の屋内側に設けられた、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接するようにしている。
【0050】
外壁パネル3,4の施工前には、工場で、外壁パネル3の屋内側(裏側)には予め上部横方向枠材101,下部横方向枠材102,縦方向枠材103と、第一排水部材20と第一横目地導水部材81が取付けられ、外壁パネル3に隣接する外壁パネル4の屋内側(裏側)には予め上部横方向枠材101,下部横方向枠材102,縦方向枠材103と、第二排水部材40と第二横目地導水部材91が取付けられている。
そして、外壁パネル3,4の施工時には、先に外壁パネル3が取付けられた後に外壁パネル4が取付けられても、その逆に先に外壁パネル4が取付けられた後に外壁パネル3が取付けられてもよい。特に外壁パネル3が先に取付けられた後に外壁パネル4が取付けられる場合には、第一排水部材20の導水リップ部22に、第二排水部材40の導水凹部42が干渉してしまうが、導水リップ部22は撓んだ後、導水凹部42が導水リップ部22よりも下側に配置された後に、弾力性によって元の位置(状態)に戻るように設定されている。
【0051】
このような外壁目地の防水構造によれば、外壁パネル1,2に沿って落下し外壁パネル3,4間の横目地5から屋内側に浸入しようとする水Wは、横目地5に設けられた一次シール材として設けられた横目地シーリング材71,二次シール材として設けられた横目地シーリングバックアップ材72,三次シール材として設けられた第一横目地導水部材81及び第二横目地導水部材91によって堰き止められ、横目地5を伝わり外壁パネル1,3間及び外壁パネル2,4間に形成される縦目地6側に導かれて下部に落下するようにされている。
【0052】
図5に示す一次シール材として設けられた縦目地シーリング材61に、何らかの不具合があり、縦目地シーリング材61を水Wが通過してきた場合でも、この通過してきた水Wを二次シール材として設けられた縦目地シーリングバックアップ材62によって、屋内側に侵入することを防止し、下方へと流して、排水することができる。また、
図6に示す一次シール材として設けられた横目地シーリング材71に、何らかの不具合があり、横目地シーリング材71を水Wが通過してきた場合でも、この通過してきた水Wを二次シール材として設けられた横目地シーリングバックアップ材72によって、屋内側に侵入することを防止し、横方向(縦目地6側)へと流して、排水することができる。
ここで、万一、横目地シーリング材71を水Wが通過し、その後、横目地シーリングバックアップ材72の継ぎ目部分等からシール切れなどによって水Wが屋内側に漏れることがあったとしても、第一横目地導水部材81又は第二横目地導水部材91によって、止水するとともに(水W1、水W1´)横方向(縦目地6側)へと導水して、
図2に示すように、開口端部81c、91cから、下方へ、水W2、W2´として、排水される。水W2は外壁パネル3側では第一排水部材20によって、水W2´は外壁パネル4側では第二排水部材40によって集められ、その後、排水される。
【0053】
より、具体的には、開口端部81cから、下方へ排水された水W2は、
図3(a)に示すように、第一排水部材20の第一外突出部23に伝わり第一外突出部23の傾きによって最下点へ導水され(水W3)、中央部の最下点から第一傾斜導水部21に導かれる(水W4)。なお、水W2が取付部81aの下側面を伝ってきた場合には、第一外突出部23の最下点以外の部分から第一傾斜導水部21に水W3が導かれることもある。
第一傾斜導水部21に導かれた水W4は、第一傾斜導水部21の傾きにより屋内側から屋外側でかつ縦目地6側(右側から左側)に流れて導水リップ部22に導かれ(水W5)、導水リップ部22は、その傾きにより、第二排水部材40側(右側から左側)に流れ、第二排水部材40の導水凹部42に落下するようにされている(水W7)。また更に、導水リップ部22は、屋内側から屋外側へも傾きを設定してあり、しかも、導水リップ部22は、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接(もしくは近接)するように突出させている為、導水リップ部22に導かれる水W5の一部は、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面を伝って落下するようにされている(水W6)。
【0054】
一方、開口端部91cから、下方へ排水された水W2´は、
図4(a)に示すように、第二排水部材40の第二外突出部43に伝わり第二外突出部43の傾きによって最下点へ導水され(水W3´)、中央部の最下点から第二傾斜導水部41に導かれる(水W4´)。なお、水W2´が取付部91aの下側面を伝ってきた場合には、第二外突出部43の最下点以外の部分から第二傾斜導水部41に水W3´が導かれることもある。
第二傾斜導水部41に導かれた水W4´は、第二傾斜導水部41の傾きにより屋外側から屋内側でかつ縦目地6側(右側から左側)に流れて導水凹部42に導かれ(水W5´)、導水凹部42ではその傾きにより、屋内側から屋外側に流れ、先端舌部42cから、先端舌部42cが弾接する縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に導かれて下降するようにされている(水W6´+水W7)。
【0055】
つまり、開口端部91cから排水された水W2´は、第二排水部材40側に集められ導水凹部42を流れ(水W5´)、また、開口端部81cから排水された水W2は、第一排水部材20で集められた後、導水リップ部22から第二排水部材40の導水凹部42に落下させられる(水W7)。
【0056】
このように、本発明の第一実施形態に係る外壁目地の防水構造によれば、開口端部81cから排水された水W2と、開口端部91cから排水された水W2´は、いずれも第二排水部材40の導水凹部42に導かれ、先端舌部42cから先端舌部42cが弾接する縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面の位置Pに導かれ(水W6´+水W7)、そこから下降するようにされているので、水Wの排出経路が一箇所に集中し、狙った位置から排出させることができる。
また、上方から視た場合、第一排水部材20の導水リップ部22の先端は、第二排水部材40の導水凹部42の第一排水部材20側の左端となる立設壁42aの左側面よりも第二排水部材40側(右側)に位置するようにされているので、第一排水部材20及び第二排水部材40の設置位置のバラツキや外壁パネル1~4間のバラツキが多少生じた場合であっても安定した状態で先端舌部42cが弾接する縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面の位置Pから確実に水Wを排出させることができる。本実施形態では、±2mmのバラツキについては吸収できる構成になっている。
【0057】
ここで、500±250Paの条件で水Wを横目地5に流して実験した場合、縦目地6側から漏れた水を第一排水部材20,第二排水部材40で受けて導水凹部42の先端舌部42cから縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面の位置Pに確実に導くことができることが確認された。
【0058】
なお、本実施形態では第一排水部材20の導水リップ部22と第二排水部材40の導水凹部42を非接触としたので第一排水部材20及び第二排水部材40の設置時にバラツキを吸収することができるが、導水リップ部22の下端を導水凹部42の立設壁42aの屋内側の側壁の上面に接触させるように位置決めすることも可能である。
【0059】
(第二実施形態)
次に、
図10及び
図11を参照して、本発明の第二実施形態に係る外壁目地の防水構造について説明する。第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
【0060】
第一実施形態では、非対称の形状をした第一排水部材20及び第二排水部材40を、互いに非接触の状態で縦目地6を挟んで相対向させるようにして設置するようにしたが、第二実施形態では、
図10及び
図11に示すように、左右対称の第一排水部材51,第二排水部材53を相対向させて設置するようにしている。
【0061】
つまり、第一排水部材51と第二排水部材53は左右逆向きにして外壁パネル3と外壁パネル4に設置されている。
第一排水部材51は、第一実施形態の第一排水部材20とは導水リップ部22の部分を除いてまったく同一であるが、第二排水部材52は第一排水部材51と左右対称で、例えば傾斜の向きが逆になるようにしている。第一排水部材51と第二排水部材53に形成された第一導水リップ部52と第二導水リップ部54は、第一排水部材20の導水リップ部22よりも長さが多少短く、第一排水部材51及び第二排水部材53を外壁パネル3と外壁パネル4に設置したときに第一導水リップ部52と第二導水リップ部54の先端部同士が縦目地6の中央で接触するようにしている(
図11参照)。第一導水リップ部53と第二導水リップ部54は、縦目地6側に向かって下降傾斜するとともに、屋内側から屋外側に向かっても下降傾斜している。また、第一導水リップ部52と第二導水リップ部54は、いずれも、後面20bよりも屋外側に突出しており、外壁パネル3と外壁パネル4に、それぞれ設置したときに、第一導水リップ部52と第二導水リップ部54の屋外側突出部端部が、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接(もしくは近接)するようになっている。
【0062】
これによれば、第一排水部材51及び第二排水部材53で集められた水W4,水W4´はいずれも第一導水リップ部52の先端と第二導水リップ部54の先端が弾接した部分の上部から屋外側に流れ(水W5,水W5´)、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面を伝って下降するようにされ(水W6,水W6´)、水Wの排出経路は一ヶ所で狙った位置から排出させることができるようになっている。
また、ここで、第一排水部材51と第二排水部材53は左右対称ではあるが、両者は同一形状ではなく、傾斜が逆向きとなるので、設置時に逆になると、屋内側から屋外側に排水されてしまうので、注意が必要である。
【0063】
(第三実施形態)
次に、
図12及び
図13を参照して、本発明の第三実施形態に係る外壁目地の防水構造について説明する。第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。
第二実施形態では第一導水リップ部52と第二導水リップ部54を第一傾斜導水部21の下端よりさらに下側に傾斜するように設けたが、第一排水部材55,第一排水部材57の縦目地6側の右側面20dおよび左側面20d´の中央部から上方に向けて延びる第一導水リップ部56と第二導水リップ部58を設け、第一排水部材55及び第二排水部材57を外壁パネル3と外壁パネル4に設置したときに第一導水リップ部56と第二導水リップ部58の先端部同士が縦目地6の中央で接触するようにしてもよい(
図13参照)。
第一導水リップ部56と第二導水リップ部58は、縦目地6側に向かって上昇傾斜するとともに、屋内側から屋外側に向かっては下降傾斜している。また、第一導水リップ部56と第二導水リップ部58は、いずれも、後面20bよりも屋外側に突出しており、外壁パネル3と外壁パネル4に、それぞれ設置したときに、第一導水リップ部56と第二導水リップ部58の屋外側突出部端部が、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接(もしくは近接)するようになっている。
【0064】
これによれば、第一排水部材55で集められた水W4は第一導水リップ部56の付け根部に沿って屋外側に流れ(水W5)、第二排水部材57で集められた水W4´は第二導水リップ部58の付け根部に沿って屋外側に流れ(水W5´)、縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面を伝って下降するようにされる(水W6,水W6´)。
この場合は、水Wの排出経路は二箇所(水W6,水W6´)となるが両経路はかなり接近したものでいずれも狙った位置から排出させることができるようになっている。
これも、第一排水部材55と第一排水部材57は左右対称ではあるが、両者は同一形状ではなく、例えば傾斜の向きが逆向きとなるので設置時に逆になると、屋外側から屋内側に排水されてしまうため、注意が必要である。
【0065】
また、第一導水リップ部52と第二導水リップ部54の先端接触部に、第一実施形態において第二排水部材40の導水凹部42に設けられた先端舌部42cと同様に、縦目地6の屋内側に設けられた縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接する部分を設けるようにしてもよい。
さらに、第一導水リップ部56の付け根部及び第二導水リップ部58の付け根部に、縦目地6の屋内側に設けられた縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面に弾接する部分を設けるようにしてもよい。
【0066】
(第四実施形態)
次に、
図17乃至
図23を参照して、本発明の第四実施形態に係る外壁目地の防水構造について説明する。第一実施形態と同一部分には同一符号を付した。また、第一実施形態の構成に相当する部分には、第一実施形態の二桁の数字の前に「1」を付し三桁の数字で示し、二桁の数字を同一とした。
【0067】
第一実施形態では、第一排水部材20と第二排水部材40にそれぞれ左右水平に延びる固定部25,45を設けて、第一排水部材20と第二排水部材40を外壁パネル3に取付けるときに利用したが、第四実施形態では、
図17及び
図18に示すように、第一排水部材120と第二排水部材140においては固定部25,45を設けていない。これにかえて、後述する挟み込み板124a,144aを設けている。また、第一排水部材120と第二排水部材140では、屋外側の上部、第一排水部材120では左側上部,第二排水部材140では右側上部にそれぞれ上方に突出した支持板123a,143aを設けている。
【0068】
また、第一排水部材120の縦目地6側の面となる右側面120dには、底面120eよりも下側に突出する位置決め部124(第一排水部材20に設けられた位置決め部24と同じ構成)が設けられ、さらに位置決め部124の左側には間をあけて挟み込み板124aが設けられている。
同様に、第二排水部材140の縦目地6側の面となる左側面140dには、底面140eよりも下側に突出する位置決め部144(第二排水部材40に設けられた位置決め部44と同じ構成)が設けられ、さらに位置決め部144の右側には間をあけて挟み込み板144aが設けられている。
なお、第一排水部材120,第二排水部材140の前面120a,140aは下側が大きく切り欠きされている。
これは、前面120a,140aは、排水目的としては下方にあまり大きな形状を設定しなくても良い為と、第一排水部材120や第二排水部材140を金型成形後に金型から取り出す際に、取り出し易くする為に、下側を大きく切り欠きしている。
【0069】
そして、第一排水部材120及び第二排水部材140を外壁パネル3及び外壁パネル4に取付けるときには、
図19に示すように、第一排水部材120及び第二排水部材140の下側では、位置決め部124と挟み込み板124aの間,及び位置決め部144と挟み込み板144aの間で、鉄製で断面コ字形状の縦方向枠材103の上端部を挟み込むようにされ、これにより、第一排水部材120及び第二排水部材140を外壁パネル3及び外壁パネル4に対して一層安定した状態で取付けられるとともに、第一実施形態で使用した固定部材104を省略する事で、低コスト化が可能となる。
【0070】
また、
図22及び
図23に示すように、位置決め部124と挟み込み板124aの間隔,及び位置決め部144と挟み込み板144aの間隔はいずれも、縦方向枠材103の厚さに対して多少大きめに設定してある。また、第一排水部材120の挟み込み板124a及び第二排水部材140の挟み込み板144aは、いずれも、前面120a,140a側から、第一排水部材120,第二排水部材140の、略中央部まで設定されているが、略中央部から屋外側の部分には設定していない。
これらは、挟み込む対象物である、縦方向枠材103の板厚バラツキが有る為、挟み込み時に、縦方向枠材103に干渉しないようにしている為である。
【0071】
また、
図17~
図19に示すように、第一排水部材120及び第二排水部材140の上側には、それぞれ支持板123a、支持板143aを設けている。また、
図20に示すように、支持板143aで第二横目地導水部材91の端部を、屋内側から屋外側に押さえつけるようにされているので、第二横目地導水部材91の端部をより確実に、押さえつける事が可能になる。また、図示は省略するが、
図20に示した第二排水部材140の支持板143aと同様に、第一排水部材120の支持板123aで第一横目地導水部材81の端部も、屋内側から屋外側に押さえつけるようにされている。
【0072】
また、
図19に示すように、第一排水部材120及び第二排水部材140では底面120e,140eを支持する底面支持板120e´,140e´がそれぞれ間隔をおいて二本設けられている。
より詳細には、底面支持板120e´の屋内側端部は、前面120aに接続され、底面支持板120e´の屋外側端部は、後面120bに接続されている。また、底面支持板120e´と同様に、底面支持板140e´屋内側端部は、前面140aに接続され、底面支持板140e´の屋外側端部は、後面140bに接続されている。また、このように底面支持板120e´,140e´を設定する事により、ブチルテープBの圧着の際には、第一排水部材120の前面120aを押さえる力は、底面支持板120e´を介して後面120bに伝わりやすくなり、第二排水部材140の前面140aを押さえる力は、底面支持板140e´を介して後面140bに伝わりやすくなることで、ブチルテープBの圧着がより容易になり、第一排水部材120や第二排水部材140をより強固に接着固定することが可能となる。
【0073】
また、
図17に示すように、第一排水部材120では、その屋外側に貼り付けられたブチルテープBに水がかかるとブチルテープBの外周面を伝わって壁面や金属部品が濡れるといった問題があるので、これを防止するため、排水ガイド123bと延長部123cを設けている。
排水ガイド123bは、
図17(a),
図19,
図21,
図22に示されるように、右端に設けられた導水リップ部122(第一排水部材20に設けられた導水リップ部22と同じ構成)の上面で左右方向に延びている。排水ガイド123bは、第一外突出部23の屋内側面に対して面一で第一外突出部23の右端から右側に延びるように連設され、排水ガイド123bの右端は導水リップ部122の左右方向の中央まで延びている。
延長部123cは、第一外突出部23の右端から屋外側に直角に折れ曲がり突出するように設けられ、ブチルテープBの右端は上から下まで延長部123cによって覆われている。なお、
図21ではブチルテープBを斜線で示した。
【0074】
また、第一実施形態の第二排水部材40では、
図4に示すように、左側面40dの下部に設けられた導水凹部42にL字形状に延びる立設壁42aを設けていたが、第四実施形態では、
図18及び
図23に示すように、施工性改善のため立設壁42aに相当するものは排除して導水凹部42に相当する導水凹部142の形状をリップ形状にすることで樋を撓み易くしている。
そして立設壁42aに相当するものを排除したことにともない、壁をなくしたところから水が滴ることを防止するため、導水凹部142の中央部(導水凹部142の屋内側と屋外側の中央部)寄り部分に排水するように、第二排水部材140上面の導水部の構成を設定している。すなわち、第一実施形態の第二排水部材40では、その上面に屋外側から屋内側に向かっても下降傾斜した三角形状の第二傾斜導水部41を設けたが、第四実施形態の第二排水部材140では、その上面の中央部に右側から左側にわずかに下降傾斜した導水部底部141aを設けるとともに、屋外側から屋内側の導水部底部141aに向かって下降傾斜した三角形状の第二傾斜導水部141を設け、さらに屋内側から屋外側の導水部底部141aに向かって下降傾斜した三角形状の第三傾斜導水部141´を設けている。
これにより第二傾斜導水部141に導かれた水W4´は導水部底部141aに集められ、導水部底部141aから水W5´は導水凹部142の中央部に導かれる。
【0075】
また、
図18に示すように、リップ形状の、導水凹部142の付根部である、導水凹部底部142´は、屋内側から屋外側に向けて傾斜させてある為、導水凹部142の中央部に導かれた水W5´は、屋内側から屋外側に向けて導水され、先端舌部142cに導かれる。
更に、
図18及び
図21に示すように、先端舌部142cは、
図7に示した第一実施形態と同様に、屋内側から屋外側に向けて傾斜させている。
【0076】
なお、図示は省略するが導水凹部142に導かれた水W5´は、
図7に示した第一実施形態と同様に、先端舌部142cから先端舌部142cが弾接する縦目地シーリングバックアップ材62の屋内側シールリップ62aの屋内側面の位置Pに導かれ(水W6´+水W7)、そこから下降するようにされている。
更に、
図18・
図21及び
図23に示すように、先端舌部142cは、中央部分が低くなるような先端舌部底部142c´を設けている為、導水凹部142に導かれた水W5´は、先端舌部底部142c´に集中的に導水され、縦目地シーリングバックアップ材62に導水する際に、より、飛び散り難くなっている。また、
図17・
図18及び
図19に示すように、第一排水部材120の第一外突出部123及び第二排水部材140の第二外突出部143の上端面は、屋外側から屋内側に行くにつれて下側に傾斜する面として、より集水しやすくなるようにしても良い。
【0077】
なお、第一実施形態乃至第四実施形態では、外壁パネル3及び外壁パネル4に、三次シール材として第一横目地導水部材81及び第二横目地導水部材91を設け、傾斜リップ81b,91bを外壁パネル3,4の縦目地6側の側端まで延ばし縦目地6を跨がないようにしているが、傾斜リップ81b,91bのうちいずれか一方、あるいは両方を延出して傾斜リップ81b,91bの側面同士を突き当てるようにすることもできる。
また、第一排水部材20と第二排水部材40、第一排水部材51と第二排水部材53、第一排水部材55と第二排水部材57、第一排水部材120と第二排水部材140をそれぞれ、外壁パネル3、4の半分の長さになるように、長めに設定して、第一横目地導水部材81及び第二横目地導水部材91自体を省くこともできる。
【符号の説明】
【0078】
1 外壁パネル(左上)
2 外壁パネル(右上)
3 外壁パネル(左下)
4 外壁パネル(右下)
5 横目地
6 縦目地
7,8 横目地排水部材
7a,8a 排水部
9 シーリング材
10 二次防水部材
11 湾曲部材
12 バックアップ材
13 バックアップ材当て板
20 第一排水部材
20a 前面
20b 後面
20c 左側面
20d 右側面
20d´ 左側面
20e 底面
21 第一傾斜導水部
21´ 第二傾斜導水部
22 導水リップ部
23 第一外突出部
24 位置決め部
25 固定部
40 第二排水部材
40a 前面
40b 後面
40c 右側面
40d 左側面
40d´ 延長面
40e 底面
41 第二傾斜導水部
42 導水凹部
42a 立設壁
42b 屋外導水部
42c 先端舌部
43 第二外突出部
44 位置決め部
45 固定部
51 第一排水部材
52 第一導水リップ部
53 第二排水部材
54 第二導水リップ部
55 第一排水部材
56 第一導水リップ部
57 第二排水部材
58 第二導水リップ部
61 縦目地シーリング材
62 縦目地シーリングバックアップ材
62a 屋内側シールリップ
71 横目地シーリング材
72 横目地シーリングバックアップ材
81 第一横目地導水部材
81a 取付部
81b 傾斜リップ
81c 開口端部
91 第二横目地導水部材
91a 取付部
91b 傾斜リップ
91c 開口端部
101 上部横方向枠材
102 下部横方向枠材
103 縦方向枠材
104 固定部材
104a 水平部
104b 垂直部
120 第一排水部材
120a 前面
120b 後面
120c 左側面
120d 右側面
120e 底面
120e´ 底面支持板
121 第一傾斜導水部
122 導水リップ部
123 第一外突出部
123a 支持板
123b 排水ガイド
123c 延長部
124 位置決め部
124a 挟み込み板
140 第二排水部材
140a 前面
140b 後面
140c 右側面
140d 左側面
140d´ 延長面
140e 底面
140e´ 底面支持板
141 第二傾斜導水部
141´ 第三傾斜導水部
141a 導水部底部
142 導水凹部
142´ 導水凹部底部
142b 屋外導水部
142c 先端舌部
142c´ 先端舌部底部
143 第二外突出部
143a 支持板
144 位置決め部
144a 挟み込み板
B ブチルテープ
P 位置
W 水
W1~W7 水
W1´~W6´ 水