(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033171
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】エアバッグモジュールに結合された車両シートアームレスト
(51)【国際特許分類】
B60R 21/207 20060101AFI20230302BHJP
B60R 21/201 20110101ALI20230302BHJP
B60N 2/42 20060101ALI20230302BHJP
B60N 2/75 20180101ALI20230302BHJP
【FI】
B60R21/207
B60R21/201
B60N2/42
B60N2/75
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022129784
(22)【出願日】2022-08-17
(31)【優先権主張番号】17/412,010
(32)【優先日】2021-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100098143
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 雄二
(72)【発明者】
【氏名】ホイールライト・テリー アラン
【テーマコード(参考)】
3B087
3D054
【Fターム(参考)】
3B087CD05
3B087DC02
3D054AA02
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA21
3D054CC04
3D054FF13
3D054FF17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アームレストなどの車両シート構造要素に結合されたエアバッグモジュールを提供する。
【解決手段】いくつかの実施形態では、エアバッグモジュールは、車両シート内に配置されるように構成され、開口部を備えるエアバッグカバーを備えてもよい。開口部は、開口部を通してアームレストマウントなどの車両シートの構造要素を受け入れるように構成されてもよい。モジュールは、エアバッグクッションの展開による力が構造要素に向けて加えられるように、場合によってはこれらの力がシートフレームに向けられるように、エアバッグカバー内に配置され、かつエアバッグカバーから展開するように構成されたエアバッグクッションをさらに備えてもよい。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搭載型エアバッグモジュール[100]であって、車両シート[10]のシートバック内に配置されるように構成されたエアバッグカバー[110]と、前記エアバッグカバー[110]内に配置されたインフレータ[105]と、前記エアバッグカバー[110]内に配置されたエアバッグクッション[102]と、を備える、シート搭載型エアバッグモジュール[100]において、前記エアバッグクッション[102]は、前記車両シート[10]のアームレスト[20]に隣接する前記シートバックの一方の側面から展開するように構成されており、前記エアバッグモジュール[100]は、展開中に、前記アームレスト[20]を備えるアームレストアセンブリの少なくとも一部分に前記エアバッグクッション[102]の展開からの力を伝達するように構成されていることを特徴とする、シート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項2】
前記エアバッグカバー[110]は、開口部[115]であって、前記アームレスト[20]の一部分を前記開口部[115]を通して受け入れるように構成されている、開口部[115]を備える、請求項1に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項3】
前記開口部[115]は、前記開口部[115]を通して前記アームレスト[20]のアームレストマウント[25]を受け入れるように構成されている、請求項2に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項4】
前記エアバッグカバー[110]は、ボルト又はねじを使用することなく前記車両シート[10]に結合されるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項5】
前記エアバッグカバー[110]は、クラムシェルカバーを備え、前記クラムシェルカバーが、
スパインと、
前記スパインに枢動可能に結合された第1のカバー部品[110A]と、
前記スパインに枢動可能に結合された第2のカバー部品[110B]と、を備える、
請求項1~4のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項6】
前記インフレータ[105]は、前記スパインに沿って配置されている、請求項5に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項7】
前記エアバッグカバー[110]は、開口部[115]を備え、前記エアバッグクッション[102]は、前記エアバッグクッション[102]の少なくとも一部分が前記インフレータ[105]の第1の側から前記第1の側とは反対側の前記インフレータ[105]の第2の側まで前記開口部[115]の周囲に延びるように、前記エアバッグカバー[110]内に配置されている、請求項1及び4~6のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項8】
前記アームレスト[20]は、直立位置と伸展位置との間で調整可能であり、前記エアバッグクッション[102]は、前記直立位置又は前記伸展位置のいずれかにある前記アームレスト[20]に隣接して展開するように構成されており、前記エアバッグクッション[102]は、前記伸展位置にある前記アームレスト[20]の内面に隣接して展開するように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【請求項9】
前記エアバッグモジュール[100]は、展開中に、前記エアバッグクッション[102]に接触した乗員からの反力を前記アームレスト[20]に伝達し、展開中に前記アームレスト[20]から前記車両シート[10]のフレームに伝達するように配置及び構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のシート搭載型エアバッグモジュール[100]。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
車両シートから展開するエアバッグクッションが提案されてきたが、このような現在の解決策は様々な問題に直面している。例えば、エアバッグカバーのための十分な空間を見出すことが困難な場合がある。加えて、展開することによりシートの一部に力が加えられる結果となり、スタッド/ボルト、又はねじを使用してモジュールをシートに取り付けることが必要となる場合がある。さらに、アームレストなどの典型的な車両シートの様々な特徴部、特に再構成可能な特徴部は、所望の展開運動を妨げる可能性があり、したがって展開するエアバッグクッションに異なる接触面を生じさせる可能性がある。
【0002】
したがって、本発明者らは、前述の制限及び/又は先行技術の他の制限のうちの1つ以上を克服する装置、システム、及び方法を提供することが望ましいと判断した。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に開示される発明概念は、カバーを有するエアバッグモジュールを提供することができ、カバーは、カバーを通して車両シートの構造要素を受け入れ、かつ/又は他の方法で、シートフレームなどのシート自体のより大きな部分に構造要素を通して展開力を伝達するために、1つ以上の接触点を提供する。
【0003】
いくつかの実施形態によるシート搭載型エアバッグモジュールのより具体的な例では、モジュールは、例えば車両シートのシートバック内など、車両のシート内に配置されるように構成されたエアバッグカバーと、エアバックカバー内に配置されたインフレータと、エアバッグカバー内に配置され、車両シートのアームレストマウント又はアームレストアセンブリの別の部分などの車両シートの突出構造要素に隣接してシートバックの一方の側面から展開するように構成されたエアバッグクッションと、を備えてもよい。エアバッグモジュールは、展開中に、エアバッグクッションの展開からの力をアームレストアセンブリ又は別の突出構造要素の少なくとも一部分に伝達するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、これらの力は、構造要素を介して車両シートフレームに伝達され得る。インフレータは、突出構造要素の後方に配置されることが好ましい。
【0004】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、開口部であって、アームレスト又は他の構造要素の一部分を開口部を通して受け入れるように構成されている、開口部を備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、開口部は、開口部を通してアームレストのアームレストマウントを受け入れるように構成されてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、ボルト又はねじを使用することなく車両シートに結合されるように構成されてもよい。
【0006】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、クラムシェルカバーを備え、クラムシェルカバーが、スパインと、スパインに枢動可能に結合された第1のカバー部品と、スパインに枢動可能に結合された第2のカバー部品と、を備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、インフレータは、スパインに沿って配置されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態によるエアバッグモジュールの別の例では、モジュールは、車両シート内に配置されるように構成されたエアバッグカバーを備えてもよい。エアバッグカバーは、開口部であって、車両シートの構造要素を開口部を通して受け入れるように構成され得る開口部を備えてもよい。モジュールは、エアバッグクッションの展開からの力が車両シートの構造要素及び/又はフレームに向けて加えられるように、エアバッグカバー内に配置され、かつエアバッグカバーから展開するように構成されたエアバッグクッションをさらに備えてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、構造要素は、アームレストマウントなどのアームレストアセンブリの一部分を含んでもよい。
【0009】
いくつかの実施形態は、インフレータをさらに備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、エアバッグクッションは、開口部の周囲に、又は少なくとも実質的に周囲に延びるなど、インフレータの両側でインフレータに別個に結合されてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、エアバッグクッションは、エアバッグクッションの少なくとも一部分がインフレータの第1の側から第1の側とは反対側のインフレータの第2の側まで開口部の周囲に延びるように、エアバッグカバー内に配置されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、スパインと、スパインに枢動可能に結合された第1のカバー部品と、スパインに枢動可能に結合された第2のカバー部品と、を備えるクラムシェルカバーを備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、エアバッグクッションは、スパインの反対側に配置されたエアバッグカバーの縁部からエアバッグカバーの縁部に沿って展開するように構成されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態による車両シートの例では、車両シートは、シートベースと、シートベースから延びるシートバックと、を備えてもよい。車両シートは、車両シートの少なくとも一部分から延びる突出部材を備える構造アセンブリをさらに備えてもよい。エアバッグモジュールは、車両シート内に配置されてもよく、エアバッグモジュールは、開口部を備えるエアバッグカバーを備えてもよい。突出部材は、開口部を通って延びていてもよい。いくつかの実施形態では、突出部材は、開口部によって完全に包囲されてもよい。エアバッグクッションは、エアバッグカバー内に配置されてもよく、車両シートの一方の側に沿ってエアバッグカバーから展開するように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、突出部材は、アームレストを備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、アームレストは、直立位置と伸展位置との間で調整可能であってもよい。したがって、好ましくは、エアバッグクッションは、直立位置又は伸展位置のいずれかにあるアームレストに隣接して展開するように構成される。いくつかの実施形態では、エアバッグクッションは、伸展位置にあるアームレストの内面に隣接して展開するように構成されてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、エアバッグモジュールは、展開中に、エアバッグクッションの展開からの力を突出部材に伝達するように配置及び構成されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、エアバッグモジュールは、展開中に、エアバッグクッションに接触した乗員からの反力を突出部材に伝達し、展開中に突出部材から車両シートのフレームに伝達するように配置及び構成されてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、エアバッグモジュールは、シートバック内に配置されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、ボルト又はねじを使用することなくシートバックに結合されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、エアバッグモジュールは、エアバッグクッションを膨張させるように構成されたインフレータをさらに備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、インフレータは、1つ以上のインフレータスタッドを使用してシートバックに結合されてもよい。
【0017】
一実施形態に関連して本明細書に開示される特徴、構造、工程、又は特性は、1つ以上の代替実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図面を参照して、本開示の様々な実施形態を含む、本開示の非限定的かつ非網羅的な実施形態が記載される。
【0019】
【
図1A】いくつかの実施形態による、開いた構成にあるシート搭載型エアバッグモジュールの実施例を示す。
【0020】
【
図1B】閉じた構成にある
図1Aのシート搭載型エアバッグモジュールの斜視図である。
【0021】
【
図2A】いくつかの実施形態によるエアバッグモジュールの開口部を通って延びるアームレストマウントを有するシートを示す。
【0022】
【
図2B】アームレストマウントから延びるアームレストを有する
図2Aのエアバッグモジュールを示す図である。
【0023】
【
図3A】シートに取り付けられ、伸展構成にあるアームレストに結合された展開中のエアバッグモジュールを示す。
【0024】
【
図3B】シートに取り付けられ、格納構成にあるアームレストに結合された
図3Aの展開中のエアバッグモジュールを示す。
【0025】
【
図4A】シートに取り付けられたトレイテーブルに隣接して展開するように構成された代替実施形態を示す。
【0026】
【0027】
【
図4C】展開中に車両シートの両側から展開可能なクッションを備える代替実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の様々な実施形態と一致する装置、システム、及び方法の詳細な説明を以下に提供する。いくつかの実施形態について説明するが、本開示は、開示される特定の実施形態のいずれかに限定されるものではなく、代わりに多数の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において多数の具体的な詳細が記載されているが、いくつかの実施形態は、これらの詳細の一部又は全てを伴わずに実施することができる。更に、明確にする目的で、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、関連技術分野において既知の特定の技術資料について詳細に説明していない。
【0029】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、示されるように機能する動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全若しくはほぼ完全な程度又は度合いを指す。例えば、「実質的に」円筒形又は「実質的に」垂直である物体は、物体/特徴が、同じ又はほぼ同じ機能をもたらすように、円筒形/垂直又はほぼ円筒形/垂直のいずれかであることを意味する。この用語によって提供される正確な許容される偏差の程度は、特定の文脈に依存し得る。「実質的に」の使用は、動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指すために、負の含意で使用される場合に等しく適用可能である。例えば、底部を「実質的に含まない」構造は、底部を完全に欠いている、又はその効果が底部を完全に欠いていた場合と実質上同じであるように、底部をほぼ完全に欠いているかのいずれかである。
【0030】
同様に、本明細書で使用するとき、用語「約」は、所与の値が、範囲に関連付けられた機能を依然として達成しながら、端点の「わずか上」又は「わずか下」であり得ることを提供することによって、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。
【0031】
本開示の実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解することができ、同様の部分は、同様の数字によって指定される場合がある。開示される実施形態の構成要素は、本明細書の図面に概ね記載及び例示されるように、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、本開示の装置及び方法の実施形態の以下の詳細な説明は、特許請求されるように、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本開示の可能な実施形態を表すものである。加えて、特に指定しない限り、方法の工程は、必ずしも、任意の特定の順序で実行される必要はなく、又は更には連続的に実行される必要はなく、また工程は1回のみ実行される必要もない。特定の好ましい実施形態及び実装形態に関する更なる詳細は、ここで添付図面を参照してより詳細に説明される。
【0032】
図1Aは、いくつかの実施形態による、車両シート内に配置される、又は他の方法で車両シートに結合されるように構成されたエアバッグカバー110内に配置されたエアバッグクッション102を備えるエアバッグモジュール100を示す。エアバッグカバー110は、それぞれ第1のエアバッグカバー部品110A及び第2のエアバッグカバー部品110Bによって画定され、1つ以上のヒンジ式の部分及び/又は枢動可能な部分を有する開放側及び閉鎖側又はスパインを有するクラムシェルと同様に開閉するように構成される。
【0033】
図1Aに示されるように、カバー部品110A及び110Bの各々は、対応する開口部115A/115Bをそれぞれ備え、以下でより詳細に説明されるように、シートの構造要素がこれらの開口部を通って延びてもよい。好ましい実施形態では、例えば、アームレストアセンブリの一部分は、開口部115A/115Bを通って延びてもよく、
図1Bに示されるように、これらが組み合わされて単一の開口部115を画定する。
【0034】
図1A及び
図1Bの両方に示されるように、インフレータ105は、部品110A及び110Bによって画定されたカバー110の内部チャンバ内に配置することができる。図示の実施形態では、インフレータ105は、カバー110の枢動部分であり得る、カバー110のスパイン領域に沿って配置され、したがって、展開中に比較的安定していると予想される。エアバッグクッション102は、
図1Aに示すように、開口部115A/115Bの一方又は両方の周りに巻き付けられてもよい。したがって、開口部115の周囲又は少なくとも実質的に周囲に延びるクッション102の一部分を縫製することによって形成されるクッション102の負の部分が存在してもよい、又はクッション102は、開口部115の周囲又は少なくとも実質的に周囲に延びるように、カバー110内で単に折り畳まれるか、又は別の方法で配置されてもよい。
【0035】
図1A及び
図1Bの両方に示されるように、インフレータ105の一部分は、カバー110に形成された開口部から延びて、所望される場合、適切な電気接続を提供することを可能にし得る。好ましい実施形態では、カバー110は、剛性の熱可塑性材料などの比較的剛性及び/又は強い材料によって画定され得るため、前述の開口部を通してインフレータの一部分を配置することは、展開中のアセンブリに安定性をさらに提供し得る。
【0036】
図面に示すように、インフレータ105は、好ましくは、アームレストアセンブリの突出部分又は別の突出構造要素に隣接した位置及び/又は少なくとも実質的に後方の位置でシート10内に配置される。
【0037】
クッション102は、インフレータ105及びカバー110の1つ以上の部分の両方に結合されることが望ましい場合もある。例えば、好ましい実施形態では、クッション102が結合され得るカバー110の上側部分及び下側部分の両方に沿って形成されたクリップ、締結具、又は他の結合手段が存在し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、インフレータ105自体が1つの結合位置として機能してもよく、その場合、クッション102は、いくつかの実施形態では、カバー110の上側部分にのみ直接結合されてもよい。これにより、以下に説明するように、展開力を最初にインフレータ105に加え、次にインフレータからアームレストアセンブリの一部分又は別のシート構造要素に加えることができる。
【0038】
図1Bに示すように、カバー110の前縁は、スリット112を備えることができ、このスリットは、後述するように、カバー110内の膨張式エアバッグクッション102が車両乗員に隣接して展開することを可能にするのに十分に枢動して開くように構成することができる。また、
図1Bに示されるように、いくつかの実施形態は、車両シートの一部を収容するために、溝114などの1つ以上の成形された特徴部を備え得る。図示の実施形態では、後の図に関連してより容易に明らかになるように、溝114は、カバー110が車両シートの両側の周りに延び、その中に車両シートの適切な部分を収容することができるように、車両シートの一部分を受け入れるように構成され得る。
【0039】
図2A及び
図2Bは、エアバッグモジュール100が内部に配置された車両シート10を示す。より具体的には、
図2Aは、車両シート10のシートバック部分内にシートバックの片側に沿って配置されたカバー110を示す。しかしながら、カバー110は、車両シート10のいずれかの側又は両側に沿って配置されてもよい、又は企図される代替実施形態では、シート10のベース部分などの車両シート10の別の部分内に配置されてもよいことを理解されたい。カバー110は、シートカバー内に封入された、発泡体を備えたシートバック内に配置されてもよい、又はこれらの特徴を欠いている場合がある自律車両のシートなどの車両シートの他のシートバック内に配置されてもよいことも理解されたい。
【0040】
図2Aに示すように、アームレストマウント15は、開口部115を通って延び、この開口部はまた、いくつかの好ましい実施形態では、エアバッグカバー110を共に画定する枢動可能な部品に形成された2つの別個の開口部によって画定されてもよい。好ましくは、アームレストマウント15又はシート10の別の構造要素は、開口部115の全周囲にわたって開口部115を画定するカバー110の一部分と、又は開口部115を画定するカバー110の少なくとも両側の周りで、比較的小さい公差で係合するように、開口部115を通って延びている。換言すれば、特定の用途では、アームレストマウント15又はシート10の別の構造要素が、開口部115のサイズ及び形状と少なくとも実質的に同一である(当然ながら、この要素が開口部115を通って延びることが可能であるようにわずかに小さい)形状及びサイズを有することが好ましい場合がある。
【0041】
このようにして、展開力は、アームレストマウント15に伝達されてもよい、又は、開口部115を通って延びる、若しくはカバー110に隣接して延びるいずれかの代替的な構造要素に伝達されてもよい(いくつかの実施形態では、例えば、開口部115は、図に示されるように、完全な周囲を有する開口部である必要はない)。これは、多くの利点をもたらし得る。例えば、これは、展開力がアームレストマウント15又は別の構造要素からシートフレームに伝達され得るため、典型的なボルト又は他の剛性締結具を必要とすることなく、カバー110がシート10内に配置されることを可能にし得る。したがって、いくつかの実施形態は、モジュール100をシート10に固定するために単純なクリップ(図示せず)を使用してもよい。当然ながら、いくつかの実施形態では、締結具も同様に、又は代替として使用されてもよい。例えば、いくつかの実施形態は、典型的なインフレータスタッド又は他の締結具を備えてもよいが、場合によっては、特に、ハウジング110自体から延びる、及び/又はハウジング110自体に直接結合される追加の締結具を使用しない。
【0042】
図2Bは、アームレスト20が伸展構成においてアームレストマウント25に結合された状態のモジュール100を示す。後の図に示されるように、モジュール100は、好ましくは、任意の構成において、例えば、図示される実施形態では、
図2Bに示される格納構成又は伸展構成のいずれかにおいて、ハウジング110の少なくとも一部分を通って延びるアームレスト20又は他の実施形態では別の構造要素を有する車両シートの片側又は両側に隣接して展開するように構成される。いくつかの実施形態では、ハウジング110はまた、シート10に対してボルスタ空間を提供又は支持するなど、シート10に代わる又は他の方法で支持を提供するように構成されてもよい。
【0043】
図3Aは、展開後のエアバッグモジュール100を示す。このように、エアバッグクッション102は、ハウジング110の前方前縁から(加えて、
図1Bに示されるスリット/開口部112を通して)延びて、かつ展開されて示される。
図1A及び
図1Bに最もよく見られる前述のクラムシェル構成の場合、ハウジング110の内壁に対する、膨張式エアバッグクッション102の力は、膨張式クッション102がハウジング110から出ることを可能にするのに十分なほど、部分110Aを部分110Bに対して枢動させて開かせることができる。また、
図3Aに示すように、クッション102は、アームレストが所望の展開特性に干渉することなく、図示の伸展構成においてアームレスト20に隣接して展開するように構成することができる。
【0044】
図3Bは、アームレスト20がシート10に対して上方に回転され、アームレスト20が格納構成にある状態のエアバッグクッション102の展開を示す。ここでも、モジュール100は、いずれの構成においてもエアバッグクッション102の展開を容易にするように構成される。
【0045】
図4Aは、トレイテーブルマウント25が通る開口部215を有するハウジング210を備えるエアバッグモジュール200の代替実施形態を示す。トレイテーブルアーム20は、テーブル22に結合され、テーブル22は、車両乗員30に隣接して格納可能に配置することができる。したがって、モジュール200は、例えば、自律車両に特に有用であり得る。したがって、ハウジング210は、いくつかの実施形態では、ハウジング210内の1つ又は複数のエアバッグクッション(
図4Bのクッション202A及び202Bを参照)を保護するように構成することができ、ハウジング210の上に延びるシート発泡体又はシートカバーの有無にかかわらず、シート10に又はシート10内に取り付けることができる剛性の装飾カバーを備え得る。
【0046】
図4Bに示されるように、いくつかの実施形態では、複数のクッション及び/又はクッションチャンバが設けられてもよい。したがって、モジュール200は、第1の又は外側のクッションチャンバ202Aと、第2の又は内側のクッションチャンバ202Bと、を備える。チャンバ202A及び202Bは、クッション/チャンバ202A/202Bの両方を膨張させるのに単一のインフレータ(図示せず)を使用できるように、流体的に結合され得る。チャンバ202Bは、主に乗員30の頭部に特定の保護を提供するように構成することができ、一方、チャンバ202Aは、乗員30の身体に保護を提供し、かつ/又はチャンバ202Bを安定化させるための基礎を提供するように構成することができる。
【0047】
図4Bにも示されるように、チャンバ202Aの一部分、又は1つのみを有する代替実施形態における単一のクッションは、アーム20とテーブル22との間の空間内に部分的に展開するように構成され得る。しかしながら、代替的に、クッションは、これらの構造要素がクッションの展開能力を妨げないように、アーム20及びテーブル22の内側に展開するように単に構成されてもよい。さらに、前述したように、モジュール200は、展開中に、エアバッグクッションの展開からの力をトレイテーブルアセンブリの少なくとも一部分及び/又はシート10のフレームに伝達するように構成されることが好ましい。さらに、いくつかの実施形態では、エアバッグカバー210は、カバー210に直接結合されたボルト又はねじを使用することなく、又はいくつかのそのような実施形態では、ボルト又はねじを全く使用することなく、車両シート10に結合されるように構成される。
【0048】
図4Cに示すように、いくつかの実施形態では、クッションは、車両シート10の両側から展開可能であってもよい。したがって、図示の実施形態では、一対のクッション202C及び202Dが、クッション202A及び202Bに対してシート10の反対側に配置される。この図には示されていないが、クッション202C及び202D(又は、代替実施形態では、単一のクッションのみ)は、シート10のそれぞれの側部内に配置され得る、又は他の方法で結合され得る別個のカバーから展開可能であり得ることを理解されたい。
【0049】
さらに、好ましい実施形態では、この別個のカバーは、カバー210と同様に、アーム20A及び/又は20Bなどのシート10の構造要素が通って延び得る完全な又は部分的な開口部を備えてもよい。考えられる代替実施形態のハウジング/カバーを通って延びるシート構造要素であって、シート構造要素を通してエアバッグ展開力をシート及び/又は車両のフレームに伝達するために使用され得るシート構造要素の他の例としては、フットレスト、レッグリクライナ、シートマウントバー、シートベルト又はシートベルトアセンブリの構造要素などが挙げられる。
【0050】
前述の明細書は、様々な実施形態及び実装形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、様々な動作工程、並びに動作工程を実行するための構成要素は、特定の用途に応じて、又はシステムの動作に関連付けられた任意の数の費用関数を考慮して、様々な方法で実装されてもよい。したがって、工程のうちの任意の1つ以上は、削除、修正、又は他の工程と組み合わせることができる。更に、本開示は、限定的な意味ではなく例示的なものと見なされるべきであり、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、様々な実施形態に関して、利益、他の利点、及び問題に対する解決策が上述されてきた。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、若しくは解決策を生じさせる、又はより顕著にさせることができる任意の要素(単数又は複数)は、重要な、必要な、若しくは必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0051】
当業者は、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に多くの変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【外国語明細書】