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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033174
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】美顔器
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20230302BHJP
   A45D 44/22 20060101ALI20230302BHJP
   A61H 23/02 20060101ALI20230302BHJP
   A61N 1/30 20060101ALI20230302BHJP
   A61N 1/32 20060101ALI20230302BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20230302BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A45D44/22 E
A61H23/02 386
A61N1/30
A61N1/32
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130906
(22)【出願日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2021139314
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】517105962
【氏名又は名称】フロレゾン製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(72)【発明者】
【氏名】松本 敬一
【テーマコード(参考)】
4C053
4C074
4C082
5F142
【Fターム(参考)】
4C053HH02
4C053JJ24
4C053JJ32
4C053JJ33
4C053JJ36
4C074AA05
4C074BB01
4C074CC01
4C074DD05
4C074GG01
4C074HH03
4C074HH04
4C082PA02
4C082PC09
4C082PE09
4C082PJ21
4C082PL05
4C082PL10
5F142AA81
5F142CB13
5F142GA21
(57)【要約】
【課題】必要な箇所を適切に清浄することができる美顔器を提供すること。
【解決手段】美顔器1は、第1特定波長をもつ発光部40からの光を皮膚に向かって照射することによって、皮膚上に存在する黒ずみや角栓等の毛穴汚れを検出する機能を有し、皮膚上の、検出した毛穴汚れが存在する箇所を清浄できる。発光部40は、360~420nmの波長域の第1特定波長をもつ第1発光ダイオード41で構成されることが好ましい。美顔器はまた、操作部、表示部及び手で把持される部分を有し、美顔器本体の一端部から長手方向外側に向かって延在し、皮膚上に存在する毛穴汚れを清浄する板状のヘッド部を備え、ヘッド部の片面側に発光部が位置することが好ましい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1特定波長をもつ発光部からの光を皮膚に向かって照射することによって、前記皮膚上に存在する黒ずみや角栓等の毛穴汚れを検出する機能を有し、前記皮膚上の、検出した前記毛穴汚れが存在する箇所を清浄できるようにする美顔器。
【請求項2】
表面に、操作部、表示部及び手で把持される部分を有する美顔器本体と、
前記美顔器本体の一端部から前記美顔器本体の長手方向外側に向かって延在し、前記皮膚上に存在する前記毛穴汚れを清浄する板状のヘッド部と、
前記美顔器本体の一端部であってかつ前記ヘッド部の片面側に位置する前記発光部と、
を備える、請求項1に記載の美顔器。
【請求項3】
前記美顔器本体の一端部に、分離可能に装着されるキャップをさらに有する、請求項2に記載の美顔器。
【請求項4】
前記美顔器本体の他端部に接続される充電器をさらに備える、請求項2に記載の美顔器。
【請求項5】
前記発光部は、360~420nmの波長域の第1特定波長をもつ第1発光ダイオードで構成される、請求項2に記載の美顔器。
【請求項6】
前記発光部は、620~660nmの波長域の第2特定波長をもつ第2発光ダイオードをさらに備える、請求項5に記載の美顔器。
【請求項7】
前記ヘッド部に超音波振動を与える超音波振動素子をさらに備える、請求項2~6の何れか1項に記載の美顔器。
【請求項8】
前記ヘッド部に、プラス帯電及びマイナス帯電のうちの少なくとも一方の帯電を生じさせるイオン導入デバイスをさらに備える、請求項2~6の何れか1項に記載の美顔器。
【請求項9】
前記ヘッド部を通じて、前記皮膚下の筋肉に電気刺激を与える電気刺激(EMS)デバイスをさらに備える、請求項2~6の何れか1項に記載の美顔器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美顔器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード等の発光部を備え、特定の波長の光を照射することで除菌機能や血行促進、化粧水等の美容成分の浸透を促す機能のある美顔器や、美顔器のピーラーの超音波振動による皮膚清浄機能、電気刺激による美顔機能を備える美顔器が存在する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3205601号公報
【特許文献2】特開2021-122428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、皮膚上の毛穴汚れ、角栓等には、目に見える黒ずみだけでなく目に見えないものも多く、顔のどの部分に美顔器の例えばピーラーを当てることが望ましいか判断することは難しい。また、ピーラー等による皮膚清浄行為は皮膚に負担をかけることもあり、むやみに顔全体をピーリング等で清浄し続けることは望ましくない。
【0005】
従って、本発明は、必要な箇所を適切に清浄することができる美顔器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討の結果、特定波長をもつ光を、美顔器に装備した発光部から皮膚に向かって照射することによって、皮膚上に存在する黒ずみや角栓等の毛穴汚れを検出でき、必要箇所のみを清浄できるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の要旨構成は、以下のとおりである。
(1) 第1特定波長をもつ発光部からの光を皮膚に向かって照射することによって、前記皮膚上に存在する黒ずみや角栓等の毛穴汚れを検出する機能を有し、前記皮膚上の、検出した前記毛穴汚れが存在する箇所を清浄できるようにする美顔器。
(2) 表面に、操作部、表示部及び手で把持される部分を有する美顔器本体と、
前記美顔器本体の一端部から前記美顔器本体の長手方向外側に向かって延在し、前記皮膚上に存在する前記毛穴汚れを清浄する板状のヘッド部と、
前記美顔器本体の一端部であってかつ前記ヘッド部の片面側に位置する前記発光部と、
を備える、上記(1)の美顔器。
(3) 前記美顔器本体の一端部に、分離可能に装着されるキャップをさらに有する、上記(2)の美顔器。
(4) 前記美顔器本体の他端部に接続される充電器をさらに備える、上記(2)又は(3)の美顔器。
(5) 前記発光部は、360~420nmの波長域の第1特定波長をもつ第1発光ダイオードで構成される、上記(1)~(4)の何れかの美顔器。
(6) 前記発光部は、620~660nmの波長域の第2特定波長をもつ第2発光ダイオードをさらに備える、上記(5)の美顔器。
(7) 前記ヘッド部に超音波振動を与える超音波振動素子をさらに備える、上記(2)~(6)の何れかの美顔器。
(8) 前記ヘッド部に、プラス帯電及びマイナス帯電のうちの少なくとも一方の帯電を生じさせるイオン導入デバイスをさらに備える、上記(2)~(7)の何れかの美顔器。
(9) 前記ヘッド部を通じて、前記皮膚下の筋肉に電気刺激を与える電気刺激(EMS)デバイスをさらに備える、上記(2)~(8)の何れかの美顔器。
【0008】
上記(1)のような美顔器であれば、特定波長をもつ光を発光部から皮膚に向かって照射することによって、皮膚上に存在する黒ずみや角栓等の毛穴汚れを検出でき、必要箇所のみを清浄できる。後記するように、発光部は、上記(5)のように360~420nmの波長域の第1特定波長をもつ第1発光ダイオードで構成されることが好ましい。360~420nmの波長域の光は、毛穴汚れ等の検出機能を有する。
【0009】
また、汚れの検出機能のある第1特定波長以外に、上記(6)のような620~660nmの波長域の第2特定波長をもつ第2発光ダイオード(例えば赤色発光ダイオード)をさらに備えることが、血行促進等の美容処理機能を発現する上で好ましい。上記(7)のように超音波振動素子をさらに備えると、超音波振動による美容処理、皮膚清浄機能が発現し、好ましい。また、イオンによる皮膚清浄機能、美容処置を行うために、上記(8)のようにヘッド部をプラスやマイナスに帯電させるイオン導入デバイスをさらに備えることが好ましい。また、電気刺激(EMS)による美容処理を行うために、上記(9)のように皮膚下の筋肉に電気刺激を与える電気刺激(EMS)デバイスをさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の美顔器によれば、必要な箇所に適切にピーラーを当てる等して皮膚を清浄することができる。そのため、本発明の美顔器によれば、必要箇所のみを清浄して、皮膚に負担をかけずに皮膚上の汚れを除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る美顔器を示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る美顔器を示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る美顔器を示す正面図及び斜視図であり、発光部の配置を示す図である。
図4】美顔器を充電するための充電器を示す図である。
図5】美顔器の充電方法を示す図である。
図6】美顔器の使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の美顔器の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明の美顔器は、使用者の皮膚に発光部からの特定波長の光を照射することで皮膚上の黒ずみ、角栓等の毛穴汚れを検出する機能を有し、皮膚上の、検出した前記毛穴汚れが存在する箇所を、すなわち必要箇所のみを清浄できるようにする美顔器である。
【0013】
<美顔器の一実施形態>
本発明の好ましい実施形態において、美顔器1は、図1に示すように、美顔器本体10と、板状のヘッド部20と、美顔器本体10にキャップ30と、発光部40と、充電器50(図5参照)と、を備える。ヘッド部20は、美顔器本体10の一端部から美顔器本体の長手方向外側に向かって延在し、皮膚上に存在する毛穴汚れを清浄する。皮膚上の汚れを剥がし取る機能も有するため、「ピーラー」といわれる場合もある。発光部40は、美顔器本体10の一端部であってかつヘッド部20の片面側に位置し、第1特定波長をもつ光を皮膚に向かって照射することによって、皮膚上に存在する黒ずみや角栓等の毛穴汚れを検出する機能を発現する。
【0014】
美顔器本体10は、例えば使用者が握りやすい棒状に構成され、手で把持される部分を有する。美顔器本体10の表面には、美顔器1の各種機能を操作する操作部11及び各種機能の使用状況を表示する表示部12が配置される。
【0015】
キャップ30は、美顔器本体10の一端部に、分離(着脱)可能に装着される。充電器50は、美顔器本体10の他端部に接続される。尚、図1に示す本実施形態では、美顔器1は、所定の波長の光を使用者の皮膚に照射する光照射機能の他に、超音波振動を発生させる超音波振動(SONIC)機能、ヘッド部を帯電させて使用者の皮膚に後記するイオン導入(又はイオン導出)を行うイオン機能、及び使用者の皮膚下の筋肉や場合によっては腱に電気的な刺激を与えるEMS機能を有するが、本発明の美顔器はこうした実施形態に限定されるものではない。
【0016】
[光照射機能]
光照射機能として、発光部40から第1特定波長の光を照射することで皮膚上の毛穴汚れ、例えば黒ずみ、角栓等を検出する機能、及び第1特定波長以外の波長(第2特定波長)の光を照射することで血行促進等の美容処理を行う機能を有する。尚、発光部40については、後に詳記する。
【0017】
第1特定波長の光としては、405nm付近の青色波長の可視光を利用するのが好ましい。特定波長の光よりも長波長になると皮膚と毛穴汚れの色の差が生じにくく、汚れを検出しにくくなる。より詳細には、第1特定波長の光は、360nm~420nmの範囲の青色波長の光であり、例えば380nm~420nmの範囲であることが好ましく、400nm~410nmの範囲であることがより好ましく、405nmの光であることが最も好ましい。
【0018】
第1特定波長の光よりも短波長になればなるほど、汚れの検出機能は上がるが、短波長領域は人間の被視感度が下がるため、照度を保ちにくくなる。また、第1特定波長の光よりも短波長になると紫外線領域に近づくため、皮膚に負担がかかる可能性がある。
【0019】
第2特定波長の光としては、例えば620nm~660nmの赤色波長の光を利用できる。波長が620~660nm前後の光は、皮膚の細胞を活性化する機能を有するので、皮膚病を予防し、さらには皮膚に潤いをもたらす等のスキンケアの上で有用である。尚、美容液等の薬用成分はしばしばマイナスの電荷を有しているので、後記するように赤色光照射時にヘッド部20をマイナスに帯電させることにより、マイナス電荷同士の反発によって皮膚中への浸透が促進され得る。但し、ヘッド部20の帯電の有無によらず、上記ように第2特定波長の光を照射することによって、皮膚の健康状態をさらに改善することが可能となる。
【0020】
[超音波振動素子]
美顔器1は、ヘッド部20に超音波振動を与える超音波振動素子を、さらに備えることが好ましい。超音波振動素子によってヘッド部20が超音波振動することにより、皮膚上の汚れを浮き上がらせ、除去し易くすることができる。また、マッサージ作用による肌ケア効果の向上も期待し得る。ここで、超音波振動に際して、皮膚を水、化粧水、又はジェル等で濡らしておくことが好ましい。皮膚に超音波振動を直接与えず、水分を介して伝えることにより、皮膚の負担を軽減することができる。また、浮き上がった汚れを水分の振動によって吹き飛ばす、ウォーターピーリングと呼ばれる清浄化も可能となる。さらに、ジェルや美容液等の薬用成分や水分の皮膚中への浸透も促進し得る。このように、超音波振動素子に由来する超音波振動機能によれば、使用者の皮膚に超音波振動を与えることで美容処理効果や皮膚清浄効果を奏することができる。
【0021】
ここで、超音波振動素子は超音波振動子や超音波発振素子とも言われ、例えば電歪型や磁歪型のタイプが知られている。本発明において超音波振動素子の種類に特に制限はなく、どのようなタイプのものを用いることもできる。共振周波数にも特に制限はなく、例えば15~200kHz前後、特に20~50kHz程度の周波数の、PZT振動子やBL振動子等の市販の超音波振動素子を用いればよい。これら素子は、例えばヘッド部20の根本部分(例えば美顔器本体10の内部)等に装備することができる。
【0022】
[イオン導入デバイス]
美顔器1はまた、ヘッド部にプラス帯電及びマイナス帯電のうちの少なくとも一方の帯電を生じさせる、イオン導入デバイスをさらに備えることが好ましい。一般に皮膚上の汚れはマイナスの電荷を帯びていることが多いので、ヘッド部20をプラスに帯電させることにより、マイナスに帯電した汚れがヘッド部20に引き付けられて皮膚上から浮き上がるため、美顔器による除去清浄が容易となる。また、美容液等の薬用成分の多くはマイナスの電荷を帯びているので、ヘッド部20をマイナスに帯電させることによって、マイナス電荷同士の反発によって皮膚中への浸透が促進され得る。
【0023】
このように、ヘッド部20をプラス又はマイナスに帯電させることによって薬用成分のイオンや汚れのイオンを使用者の皮膚に対して導入又は導出することができ、皮膚清浄効果や美容効果を奏する。そのため、本発明では特記しない限り、帯電用のデバイス全般を、広くイオン導入デバイスと呼称する。尚、一般にヘッド部20をプラスに帯電させる操作は、汚れ成分のイオンを皮膚から追い出す機能があるためにイオン導出と、マイナスに帯電させる操作は薬用成分イオンの浸透を促進する機能があるため、(狭義の)イオン導入と、それぞれ別の呼称として区別する場合もある。
【0024】
イオン導入デバイスは、ヘッド部20をプラス又はマイナスに帯電させる機能を有するものであれば、どのようなデバイスであってもよい。例えばヘッド部20の先端にパルス型直流電流(断続的な直流電流)を流すことによって、ヘッド部20をプラス又はマイナスに帯電させることができる。ここで、後記するようにヘッド部20全体が導体、例えば金属製であれば、ヘッド部20の美顔器本体10側末端に電圧を印加することによってイオン導入を行うことができる。また、ヘッド部20が樹脂のような不導体の場合には、その先端まで金属薄板等の導体を、ヘッド部20の表面に沿って延伸又は移動させ、その美顔器本体10側末端に電圧を印加すればよい。この際の電圧は、例えば美顔器本体10内部の基板から発生させることができる。ここでの電圧は、イオン導入効果と安全性の両面から、例えば1~5V程度、特に3.5~4.0V程度とすることが好ましい。
【0025】
イオン導入デバイスは、ヘッド部20をプラス又はマイナスの一方にのみ帯電させるものであってもよいが、プラス及びマイナスの両方に帯電させ得ることが好ましい。特に、本体10表面の操作部11での操作によって、ヘッド部の帯電状態をプラスとマイナスとに切り替えられる機構であれば、汚れ除去清浄モードと薬用成分等によるスキンケアモードとを手元操作で切り替えることができ、好ましい。スキンケアモードの際には、薬用成分を含有する化粧水やジェル、クリームを、皮膚の表面に塗っておくことが好ましい。
【0026】
尚、イオン導出は皮膚の清浄に寄与し得るので、第1特定波長の光を皮膚に照射しながら行うのが効果的である。この場合、皮膚は水または化粧水、ジェルで濡らしておくことが好ましい。一方で狭義のイオン導入は薬用成分の皮膚への浸透を促進し、スキンケアに寄与し得るので、同様に皮膚を化粧水等で濡らしておき、また第2特定波長の光を皮膚に照射しながら行うのが効果的である。本発明の一実施態様においては、ヘッド部20をプラスに帯電させると同時に発光部40から第1特定波長の光を照射するモードと、ヘッド部20をマイナスに帯電させると同時に発光部40から第2特定波長の光を照射するモードとを、切り替える機構となっていることが好ましい。但し、ヘッド部20をマイナスに帯電させてプラスに帯電した汚れを除去し易くすることや、プラスに帯電させてプラスイオンを有する薬用成分を皮膚中に浸透させ易くすることも、勿論可能である。
【0027】
[EMSデバイス]
美顔器1はまた、ヘッド部20を通じて、皮膚の下部の筋肉に電気刺激を与える電気刺激(EMS)デバイスをさらに備えることが好ましい。EMSとはElectrical Muscle Stimulationの略で、筋肉又は腱やその上層部の皮膚に電気刺激を加える操作である。EMS機能によれば、使用者の皮膚等に電気刺激を与えることで、美容効果を奏する。例えば頬骨筋に電流を印加して刺激を与えることにより、口角の落ちや二重あご、フェイスラインのもたつき等を改善又は防止することができる。電気刺激を与えた部位の、血流を改善することも可能である。
【0028】
EMSによる電気刺激の方法に、特に制限はない。例えば周波数1~100Hz、特に10~50Hzほどの交流電流を印加して皮膚や筋肉をほぐしてもよく、1kHz程度の中周波電流を印加して筋肉をほぐしてもよい。その際の電流は、電気刺激効果と安全性の両面から、100~1000μA程度、特に200~700μA程度とすることが好ましい。本発明の美顔器においては、例えば周波数0.1~1000Hz、特に10~100Hz程度の弱(low-)EMSモードと、周波数1000Hz以上、特に2000~10000Hz程度の強(high-)EMSモードとを兼ね備え、両者を切り替える方式とすることもできる。尚、EMSにより電気刺激を与える場合にも、肌にトラブルが生じるのを防止するため、後記するように皮膚の表面にジェルやクリームを塗ることが好ましい。
【0029】
[ヘッド部]
ヘッド部20は、上記のように皮膚上に存在する前記毛穴汚れを清浄する機能を有し、例えばピーラーとして美顔器本体10の一端部に配置される。好ましくは、ヘッド部20は金属材料により板状に構成され、美顔器本体10の長手方向に延びる。ここで、「板状」とは必ずしも平板であることを意味しない。ヘッド部20の強度及び皮膚清浄の容易さの点からは、ヘッド部20は湾曲した板状の形状であることが好ましい。また、皮膚への安全性の観点から、ヘッド部20の人体側一端部は、丸みを帯びていることが好ましい。図3に示すように、中央部が窪んだ構造であってもよい。ヘッド部20は、超音波振動や電気的な刺激を使用者の皮膚に伝達する。ここで、ヘッド部20が導電性材料、例えば金属材料で構成されていると、イオン導入やEMSでの電圧印加が容易となり、好ましい。特に、洗浄が容易で錆びにくく、比較的金属アレルギーを起こしにくい点から、ステンレス鋼製であることが好ましい。
【0030】
[キャップ]
美顔器1はまた、一方の端部に、分離可能に装着されるキャップ30をさらに有することが好ましい。キャップ30は、美顔器本体10の一端部に着脱可能に構成される。キャップ30は、美顔器1を使用しないときに美顔器本体10の一端部に取り付けられ、ヘッド部20及び後述の発光部40を保護する。尚、キャップ30及び美顔器本体10の外層部は、有機高分子、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂や、TPS、TPO、TPU、TPAE、TPEE等の熱可塑性エラストマーから成形されていることが、耐水性、軽量性、コスト等の観点から好ましい。また、美顔器本体10表面の把持部等が、熱可塑性エラストマーやゴム等で構成されていてもよい。
【0031】
[発光部]
発光部40は、発光ダイオード(LED)41により構成されることが好ましい。本実施形態では、発光部40は、美顔器本体10のヘッド部20が配置された一端部であって、かつ該ヘッド部20の片面側に配置される。
【0032】
発光部40は、好ましくは第1特定波長の光として360~420nmの波長域の、特に405nm付近の青色波長の光を発光する第1発光ダイオードにより構成される。また、発光部40は、特定波長以外の光として赤色光を発光する第2特定波長をもつ第2発光ダイオードを有していてもよい。第2特定波長は、好ましくは620~660nmの波長域の光である。発光部40はまた、第1発光ダイオードと第2発光ダイオードの双方を備えていることが好ましい。
【0033】
発光部40に関し、照度が低いと十分に汚れが可視化されないため、十分な照度で照射できるLEDチップを用いることが好ましい。また、レンズ機能を持たせることで照度を高め、かつ照射範囲を集中させることができるため、使用するLEDチップは平面型でなく砲弾型であることが好ましい(図3参照)。
【0034】
発光部40における発光ダイオード(第1発光ダイオード及び/又は第2発光ダイオード、LEDチップともいう)41は、少ないと照度が足りず、多いと照度が高すぎて使用時にまぶしくなるため、例えば2~6個、特に2個又は3個配置することが好ましい。尚、図3ではLEDチップ41が3個1列に配置された構成となっているが、本発明の美顔器におけるLEDチップ41の配置は、こうした実施形態に限定されない。例えば、第1発光ダイオード3個と第2発光ダイオード3個とが、それぞれ1列づつ平行に配置されていてもよく、また、第1発光ダイオード2個と第2発光ダイオード2個とが、全て1列に配置されていてもよい。
【0035】
また、LEDチップ41を複数個配置する場合、皮膚への照射範囲が広すぎると照度が確保されないため、LEDチップの間隔を狭めることで光を集中させ、照度を保つことが好ましい。また、LEDチップの配置箇所には、反射板機能を持たせて照度を高めるためにアルミ蒸着等の塗装処理をしてもよい。
【0036】
また、美顔器1は一般に濡らした皮膚の上で使用するため、美顔器1は防水機能を有することが望ましく、LEDチップの配置部分にも防水保護カバーを設置することが好ましい。ここで、防水保護カバーを可能な限り透明にすることで、高い照度を保ったまま皮膚に照射できる。また、防水保護カバーを凸型にし、レンズ機能を持たせて光の照度を高めてもよい。
【0037】
[充電器]
美顔器1はまた、充電器50をさらに備えることが好ましい。ヘッド部20の周辺における装備の集中を避ける観点から、充電器50は、キャップ30が装着される端部とは異なる端部(他端部)、例えば美顔器本体10のキャップ30と反対側の端部に接続されることが好ましい。充電器50は例えば、図4及び図5に示すように、美顔器1の他端部が接続される充電台51と、一端が充電台51に接続される充電ケーブル52と、充電ケーブル52の他端に配置され電源Pに接続される接続端子53と、を備える。充電器50は、美顔器1を充電する場合に用いられる。
【0038】
<美顔器の使用方法>
以上の美顔器1は、図6に示すように、板状のヘッド部20の先端を使用者の皮膚に当てて使用される。この場合、発光部40がヘッド部20の上側に配置されるように、使用される。これにより、発光部40により、使用者の皮膚の所定範囲を照射できる。尚、使用時の操作性の観点からは、ヘッド部20は図2及び図6に示すように、根本付近で発光部40とは反対側に折れ曲がり、かつ途中から美顔器本体10の延伸方向と平行又は発光部40側の方向へと再度折れ曲がった構造となっていることが好ましい。こうした構造であれば、ヘッド部が接する部分周辺の皮膚を比較的広範囲に照射することができる。
【0039】
ここで、発光部40により例えば405nm付近の青色波長の可視光を照射することで、皮膚上の毛穴汚れ、例えば黒ずみ、角栓等を検出することができる。これにより、使用者の皮膚において、例えば黒ずみ、角栓等の毛穴汚れが存在する箇所のみをヘッド部20によりピーリングできる。そのため、本発明の美顔器によれば、必要箇所のみを清浄して、皮膚に負担をかけずに皮膚上の汚れを除去することが可能となる。
【0040】
本発明の美顔器1、特に超音波振動素子、イオン導入デバイス、及び/又はEMSデバイスを備える美顔器であれば、皮膚に圧力を殆ど加えず、美顔器1で皮膚表面をなでるようにして清浄することができる。そうした観点からも、本発明の美顔器によれば清浄時の皮膚への負担を軽減することが可能となる。
【0041】
尚、皮膚への負担を軽減する観点から、本発明の美顔器1を使用する際に、皮膚の表面に水や化粧水、ジェルやクリームを塗っておくことが好ましい。美顔器は通常、ヘッド部を皮膚の表面を滑らせて使用するため、摩擦による刺激で肌にトラブルが生じる場合がある。そうした際の皮膚への負担は、本発明の美顔器によって軽減されるが、ジェル等を塗っておくとさらに軽減することができる。そのため、清浄時やイオン注入時、あるいは皮膚に超音波振動やEMSによる電気刺激を与える場合に、化粧水やジェル、クリーム等の保護剤、あるいは水を使用することが望ましい。また、スキンケアモードの際にジェルやクリームを塗っておくと、それらに含有する薬用成分が皮膚に浸透し、より有効な美容処理機能を奏することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の美顔器1の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 美顔器
10 美顔器本体
11 操作部
12 表示部
20 ヘッド部
30 キャップ
40 発光部
41 発光ダイオード(LEDチップ)
50 充電器
51 充電台
52 充電ケーブル
53 接続端子
P 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6