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特開2023-33179呼吸状態改善プログラム、呼吸状態改善方法、呼吸状態改善システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033179
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】呼吸状態改善プログラム、呼吸状態改善方法、呼吸状態改善システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 21/02 20060101AFI20230302BHJP
   A61B 5/08 20060101ALI20230302BHJP
【FI】
A61M21/02 E
A61B5/08
A61M21/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022131508
(22)【出願日】2022-08-22
(31)【優先権主張番号】P 2021137781
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】521378484
【氏名又は名称】株式会社IMA
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 恒
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038SS09
4C038ST01
4C038SV05
4C038SX01
4C038SX07
(57)【要約】
【課題】睡眠時の呼吸およびいびきの改善を促す技術を提供する。
【解決手段】
呼吸状態改善プログラムであって、コンピュータに備えられたプロセッサに、睡眠時のいびきを検出する検出ステップと、いびきを検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、を実施させることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに備えられたプロセッサに、
睡眠時のいびきを検出する検出ステップと、
前記いびきを検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、
を実施させることを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項2】
コンピュータに備えられたプロセッサに、
睡眠時の低呼吸を検出する検出ステップと、
前記低呼吸を検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、
を実施させることを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記所定の刺激は、所定の周波数を有する振動である、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記所定の刺激は、所定の音楽または警告音の発音である、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項5】
請求項1または2のいずれか一項に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記所定の装置は、前記コンピュータに予め通信可能に接続されたウェアラブル装置である、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項6】
請求項1に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記検出ステップにおいて前記いびきを検出すると、該いびきに係る所定のスコアを算出する評価ステップ、
を実施させることを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記評価ステップでは、前記スコアとして、前記いびきの音圧に応じた値を用いる、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項8】
請求項7に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記評価ステップでは、所定の単位時間における前記いびきの音圧および頻度に応じた指標値を算出し出力する、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項9】
請求項2に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記検出ステップにおいて前記低呼吸を検出すると、該低呼吸に係る所定のスコアを算出する評価ステップ、
を実施させることを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記評価ステップでは、前記スコアとして、前記低呼吸の回数に応じた値を用いる、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記評価ステップでは、前記低呼吸の回数および頻度に応じた指標値を算出し出力する、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項12】
請求項1または2に記載の呼吸状態改善プログラムにおいて、
前記プロセッサに、
前記所定の刺激の態様を利用者から受け付ける設定処理ステップを実施させ、
前記刺激指令ステップにおいて、前記設定処理ステップにて受け付けた刺激の態様に応じて前記電気信号を生成する、
ことを特徴とする呼吸状態改善プログラム。
【請求項13】
プロセッサを備えるコンピュータを用いる呼吸状態改善方法であって、
前記プロセッサは、
睡眠時のいびきを検出する検出ステップと、
前記いびきを検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、
を実施することを特徴とする呼吸状態改善方法。
【請求項14】
コンピュータと、該コンピュータに通信可能に接続されるウェアラブル装置と、を備える呼吸状態改善システムであって、
前記コンピュータは、
睡眠時のいびきを検出する検出部と、
前記いびきを検出すると、前記ウェアラブル装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令部と、
を備え、
前記ウェアラブル装置は、
前記所定の刺激として、所定の周波数を有する発振と、所定の音楽または警告音の発音と、のいずれか又は両方を用いる、
ことを特徴とする呼吸状態改善システム。
【請求項15】
プロセッサを備えるコンピュータを用いる呼吸状態改善方法であって、
前記プロセッサは、
睡眠時の低呼吸を検出する検出ステップと、
前記低呼吸を検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、
を実施することを特徴とする呼吸状態改善方法。
【請求項16】
コンピュータと、該コンピュータに通信可能に接続されるウェアラブル装置と、を備える呼吸状態改善システムであって、
前記コンピュータは、
睡眠時の低呼吸を検出する検出部と、
前記低呼吸を検出すると、前記ウェアラブル装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令部と、
を備え、
前記ウェアラブル装置は、
前記所定の刺激として、所定の周波数を有する発振と、所定の音楽または警告音の発音と、のいずれか又は両方を用いる、
ことを特徴とする呼吸状態改善システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸状態改善プログラム、呼吸状態改善方法、呼吸状態改善システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「入力された音を電気信号に変換することで第一信号を生成する音取得部と、第一信号から、いびきの音に対応する第一周波数帯域の成分を抽出することで第二信号を生成するバンドパスフィルタと、第二信号の波形に基づく第一包絡線の波形を有する包絡線信号を生成する包絡線算出部と、包絡線信号から、いびきが生ずる間隔に応じた第二周波数帯域の成分を抽出して第三信号を生成するローパスフィルタと、第三信号の波形における複数の極大値を求め、当該複数の極大値の間隔を用いていびきの有無を判定する判定部とを備える」いびき検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-28661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術は、集音していびきの有無を判定する技術であるが、閉塞性の睡眠時無呼吸症候群(OSAS:Obstructive Sleep Apnea Syndrome)等を含む呼吸状態の改善には何ら効果は奏し得ない。
【0005】
本発明の目的は、睡眠時の呼吸およびいびきの改善を促す技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。本発明の一態様に係る呼吸状態改善プログラムは、コンピュータに備えられたプロセッサに、睡眠時のいびきを検出する検出ステップと、前記いびきを検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、を実施させる。
【0007】
また、本発明の別の態様に係る呼吸状態改善プログラムは、コンピュータに備えられたプロセッサに、睡眠時の低呼吸を検出する検出ステップと、前記低呼吸を検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、を実施させる。
【0008】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記所定の刺激は、所定の周波数を有する振動であってもよい。
【0009】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記所定の刺激は、所定の音楽または警告音の発音であってもよい。
【0010】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記所定の装置は、前記コンピュータに予め通信可能に接続されたウェアラブル装置であってもよい。
【0011】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記検出ステップにおいて前記いびきを検出すると、該いびきに係る所定のスコアを算出する評価ステップ、を実施させるものであってもよい。
【0012】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記評価ステップでは、前記スコアとして、前記いびきの音圧に応じた値を用いるものであってもよい。
【0013】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記評価ステップでは、所定の単位時間における前記いびきの音圧および頻度に応じた指標値を算出し出力するものであってもよい。
【0014】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記検出ステップにおいて前記低呼吸を検出すると、該低呼吸に係る所定のスコアを算出する評価ステップ、を実施させるものであってもよい。
【0015】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記評価ステップでは、前記スコアとして、前記低呼吸の回数に応じた値を用いるものであってもよい。
【0016】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記評価ステップでは、前記低呼吸の回数および頻度に応じた指標値を算出し出力するものであってもよい。
【0017】
また、上記の呼吸状態改善プログラムにおいて、前記プロセッサに、前記所定の刺激の態様を利用者から受け付ける設定処理ステップを実施させ、前記刺激指令ステップにおいて、前記設定処理ステップにて受け付けた刺激の態様に応じて前記電気信号を生成するものであってもよい。
【0018】
また、本発明の別の態様に係る呼吸状態改善方法は、プロセッサを備えるコンピュータを用いる呼吸状態改善方法であって、前記プロセッサは、睡眠時のいびきを検出する検出ステップと、前記いびきを検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、を実施する。
【0019】
また、本発明の別の態様に係る呼吸状態改善システムは、コンピュータと、該コンピュータに通信可能に接続されるウェアラブル装置と、を備える呼吸状態改善システムであって、前記コンピュータは、睡眠時のいびきを検出する検出部と、前記いびきを検出すると、前記ウェアラブル装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令部と、を備え、前記ウェアラブル装置は、前記所定の刺激として、所定の周波数を有する発振と、所定の音楽または警告音の発音と、のいずれか又は両方を用いる。
【0020】
また、本発明の別の態様に係る呼吸状態改善方法は、プロセッサを備えるコンピュータを用いる呼吸状態改善方法であって、前記プロセッサは、睡眠時の低呼吸を検出する検出ステップと、前記低呼吸を検出すると、所定の装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令ステップと、を実施する。
【0021】
また、本発明の別の態様に係る呼吸状態改善システムは、コンピュータと、該コンピュータに通信可能に接続されるウェアラブル装置と、を備える呼吸状態改善システムであって、前記コンピュータは、睡眠時の低呼吸を検出する検出部と、前記低呼吸を検出すると、前記ウェアラブル装置に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する刺激指令部と、を備え、前記ウェアラブル装置は、前記所定の刺激として、所定の周波数を有する発振と、所定の音楽または警告音の発音と、のいずれか又は両方を用いる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、睡眠時の呼吸およびいびきの改善を促す技術を提供することができる。
【0023】
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】実施形態に係るいびき改善システムの構成図である。
図2】いびき波形記憶部のデータ構造例を示す図である。
図3】設定記憶部のデータ構造例を示す図である。
図4】スコア記憶部のデータ構造例を示す図である。
図5】いびき改善装置のハードウェア構成例を示す図である。
図6】習慣改善処理のフローの例を示す図である。
図7】評価表示画面の例を示す図である。
図8】実施形態に係る呼吸改善システムの構成図である。
図9】呼吸改善処理のフローの例を示す図である。
図10】呼吸評価表示画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明の一態様に係る実施形態を適用したいびき改善システム1について、図面を参照して説明する。以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0026】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0027】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0028】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0029】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0030】
図1は、本実施形態に係るいびき改善システム1の構成図である。いびき改善システム1は、利用者(要改善者)がいびき改善装置100と、通信路50を介していびき改善装置100と通信可能に接続されたウェアラブル装置200と、を利用する。例えば、いびき改善装置100としては、利用者のスマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット装置等を用いるようにしてもよいし、ウェアラブル装置200としては、利用者のスマートウォッチやヘッドセット、グローブ、チョーカー等のウェアラブル端末を用いるようにしてもよい。さらには、これに限られず、利用者のいびき改善装置100単体でウェアラブル装置200を兼ねるようにしてもよい。
【0031】
なお、いびき改善装置100からウェアラブル装置200に接続する際には、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、携帯電話網等、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信あるいはこれらが複合した通信網である通信路50を介して接続される。なお、当該通信路50は、携帯電話通信網等の無線通信網上のVPN(Virtual Private Network)等であってもよい。
【0032】
利用者は、いびき改善システム1を用いることで、睡眠時の習慣の改善効果を得ることができる。一般に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、閉塞性のもの(OSAS)と中枢性のもの(CSAS:Central Sleep Apnea Syndrome)が観測されており、閉塞性のものについては、いびきとの関係性が高いことが知られている。そして、いびきを早期に発見し中断させることができれば、閉塞を避けることができる可能性がある。また、いびきは、自覚症状はなくとも、睡眠の質の低下、循環器系への負担を招くおそれもある。総合すると、いびきを改善し睡眠の質を向上させると、無呼吸症候群の改善、日中の作業効率の改善へつながるのみならず、大きな社会貢献となる可能性がある。
【0033】
具体的には、いびき改善装置100は、利用者から開始要求を受け付けると、マイクロフォン等により利用者の呼吸音を収集し、いびきの検出を行う。いびきを検出すると、いびき改善装置100は、ウェアラブル装置200に鳴動を指示し、ウェアラブル装置200は所定の鳴動動作を行うことで利用者に刺激を与える。刺激を受けた利用者は、外部からの刺激により若干の覚醒効果を得ることととなり、身じろぎや寝返り、あるいはその他の随意/不随意の運動によりいびきが収まり、睡眠時の習慣が改善される。
【0034】
いびき改善装置100は、記憶部110と、処理部120と、入力部130と、出力部140と、通信部150と、マイクロフォン160と、鳴動部170と、が互いにバス等で通信可能に接続される。
【0035】
記憶部110には、いびき波形記憶部111と、設定記憶部112と、スコア記憶部113と、が含まれる。
【0036】
図2は、いびき波形記憶部のデータ構造例を示す図である。いびき波形記憶部111は、いびきに相当する波形パターンの情報を複数記憶する。いびき波形記憶部111には、波形パターンごとに、パターンID111Aと、波形111Bとが含まれる。
【0037】
パターンID111Aは、波形パターンを特定する情報である。波形111Bは、パターンID111Aにより特定される波形の情報である。波形111Bには、波形情報が格納されるものであってもよいし、波形情報の特徴量(振幅、振動数等)が格納されるものであってもよい。
【0038】
図3は、設定記憶部のデータ構造例を示す図である。設定記憶部112は、設定キーごとに該設定キーに設定するバリューを記憶する。設定記憶部112には、設定キー112Aと、設定バリュー112Bと、が含まれる。
【0039】
設定キー112Aは、いびき改善装置100の動作を決定づける設定キーを特定する識別子である。設定バリュー112Bは、設定キーに設定する具体的な値である。例えば、スタート時刻という設定キーは、習慣改善処理をタイマー起動させる際の開始設定時刻である。終了時刻という設定キーは、習慣改善処理をタイマー終了させる際の終了設定時刻である。覚醒刺激種類という設定キーは、習慣改善処理にていびきを検出した場合に与える刺激の種類を特定する情報である。覚醒刺激種類のバリューには、例えば有限の選択肢[バイブレーション][サウンド][両方]のいずれかが格納される。覚醒刺激強度という設定キーは、習慣改善処理にていびきを検出した場合に与える刺激の強度を特定する情報である。本実施形態では、刺激の強度は、バイブレーションの場合、バイブレーターのモータの回転速度(振動の大きさ)を、サウンドの場合には、出力音量を示す。覚醒刺激強度のバリューには、例えば有限の選択肢[1~10]のいずれかの数が格納される。覚醒刺激継続時間という設定キーは、習慣改善処理にていびきを検出した場合に与える刺激の継続時間を特定する情報である。覚醒刺激継続時間のバリューには、例えば有限の選択肢[1~10秒]のいずれかが格納される。覚醒刺激サウンドという設定キーは、習慣改善処理にていびきを検出した場合に与える刺激でサウンドを用いる場合に、サウンドの内容を特定する情報である。覚醒刺激サウンドのバリューには、例えば有限の選択肢[アラーム][ライオン咆哮][チャイム][ビープ]]等の警告音の中からいずれかが格納される。覚醒刺激デバイスという設定キーは、習慣改善処理にていびきを検出した場合に刺激の発生源となる装置を特定する情報である。覚醒刺激デバイスのバリューには、例えば有限の選択肢であって、いびき改善装置100に予め通信可能に設定された、例えばBluetoothでペアリング設定された装置のいずれかの名称(「ウェアラブル装置A」等)が格納される。覚醒刺激デバイスとして、いびき改善装置100自身を選択可能であってもよい。なお、他の設定キーとして、例えば、覚醒刺激バイブレーションの作動パターン(連続、間欠、サウンド同期など)が含まれてもよい。
【0040】
図4は、スコア記憶部のデータ構造例を示す図である。スコア記憶部113は、習慣改善処理の実施毎に、該実施結果の評価を記憶する。スコア記憶部113には、利用者ID113Aと、計測開始日時113Bと、計測終了日時113Cと、スコア113Dと、指標値(スコア/時間)113Eと、が含まれる。
【0041】
利用者ID113Aは、利用者すなわち習慣改善処理の対象者を特定する情報である。計測開始日時113Bは、習慣改善処理を開始した日時を特定する情報である。計測終了日時113Cは、習慣改善処理を終了した日時を特定する情報である。スコア113Dは、習慣改善処理の実施期間において、検出されたいびきごとに所定の計測基準に従って得た値を、累積加算した値である。具体的には、いびきの音圧に応じて予め与えられた値(例えば音圧が大きいほど大きい値)をいびき毎に得て、累積加算したスコアである。なお、習慣改善処理の実施期間は、計測終了日時と計測開始日時の差とする。指標値(スコア/時間)113Eは、所定の単位時間におけるいびきの音圧および頻度に応じた指標値である。指標値の算出方法については後述する。
【0042】
処理部120には、設定処理部121と、音声入出力制御部122と、いびき検出部123と、評価部124と、刺激指令部125と、が含まれる。
【0043】
設定処理部121は、設定記憶部112に格納する設定キーごとに、設定バリューの入力を受け付けて設定記憶部112に格納する。例えば、設定処理部121は、所定の設定画面から入力された設定キーごとの設定バリューを受け付けて、設定記憶部112に格納する。なお、設定処理部121は、習慣改善処理の終了時刻を予め受け付けて設定記憶部112に格納することで、習慣改善処理を目覚ましアラームとは別に終了させることができるようにしてもよい。
【0044】
音声入出力制御部122は、音声情報の入出力を制御する。具体的には、音声入出力制御部122は、マイクロフォン160により集められて変換された周囲の音の電気信号を取得する。また、音声入出力制御部122は、刺激指令部125から所定の電気信号を受けると、鳴動部170を用いて所定の刺激(振動またはサウンド、あるいはその両方)を出力する。
【0045】
いびき検出部123は、集められた周囲の音を電気信号に変換した電気信号について、既存の技術を用いていびきの検出を行う。具体的には、いびき検出部123は、いびき波形記憶部111の波形(特徴量)111Bと集められた周囲の音を電気信号に変換した情報とを比較して、類似する波形があれば当該パターンIDに相当するいびきであるとして検出する。もちろん、いびきの検出方法は、上記に限定されず、例えば、集音した音の音量が所定の閾値を超える場合にいびきとして検出するなど、他の方法であってもよい。
【0046】
評価部124は、習慣改善処理の実施毎に、該実施結果の評価を行う。具体的には、評価部124は、習慣改善処理の実施期間において、いびきの検出毎に、いびきの音圧に応じた所定の値(例えば、45dB(デシベル)以上50dB未満は1点、50dB以上55dB未満は2点、55dB以上60dB未満は3点、60dB以上65dB未満は4点、65dB以上は5点、等)を加算してスコアを算出する。
【0047】
また、評価部124は、習慣改善処理の実施期間において算出したスコアを、所定の単位時間(例えば、分)で示す習慣改善処理の実施期間の長さで除した所定の指標値を算出する。この指標値は、睡眠の長さに依存しないいびきの度合(音圧および頻度)を計測するために求める。
【0048】
刺激指令部125は、いびきの検出があると、ウェアラブル装置200またはいびき改善装置100に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する。
【0049】
該電気信号は、後述するウェアラブル装置200の鳴動部270またはいびき改善装置100の鳴動部170に対して、所定の周波数を有する振動を発生させる、あるいは所定の音楽または警告音の発音をさせる電気信号である。
【0050】
入力部130は、いびき改善装置100への利用者からの入力を受け付ける。例えば、入力部130は、受け付けたタイピングやタッチ、フリック入力等の各種の接触入力、あるいは視線入力等の各種の入力を受け付ける。
【0051】
出力部140は、いびき改善装置100から利用者への出力を行う。出力される情報は、画面、帳票等の各種出力情報である。
【0052】
通信部150は、通信路50を介してウェアラブル装置200およびその他インターネットを介して通信を行う他の端末との間で通信を行う。
【0053】
マイクロフォン160は、いびき改善装置100の周囲の音を集音する。鳴動部170は、いびき改善装置100の周囲へ、音あるいは振動を出力する。
【0054】
ウェアラブル装置200には、刺激指令受信部221と、通信部250と、鳴動部270と、が含まれる。刺激指令受信部221は、通信路50を介して、いびき改善装置100から、所定の周波数を有する振動を発生させる、あるいは所定の音楽または警告音の発音をさせる電気信号を受け付ける。通信部250は、通信路50を介してウェアラブル装置200およびその他インターネットを介して通信を行う他の端末との間で通信を行う。鳴動部270は、刺激指令受信部221が所定の電気信号を受け付けると、ウェアラブル装置200の周囲へ、音あるいは振動を出力する。
【0055】
図5は、いびき改善装置のハードウェア構成例を示す図である。いびき改善装置100は、いわゆるサーバ装置、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、スマートフォンあるいはタブレット端末の筐体により実現されるハードウェア構成を備える。いびき改善装置100は、プロセッサ101と、メモリ102と、記憶装置103と、入力装置104と、表示装置105と、通信装置106と、マイクロフォン107と、スピーカー108と、バイブレーター109と、各装置をつなぐバスと、を備える。
【0056】
プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算装置である。
【0057】
メモリ102は、例えばRAM(Random Access Memory)などのメモリ装置である。
【0058】
記憶装置103は、デジタル情報を記憶可能な、いわゆるハードディスク(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)あるいはフラッシュメモリなどの不揮発性記憶装置である。
【0059】
入力装置104は、キーボードやマウス、タッチパネル、マイクのいずれかまたは複数の入力を受け付ける装置である。表示装置105は、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の各種出力装置のいずれかまたは複数の表示を行う装置である。
【0060】
通信装置106は、ネットワークを介して他の装置と通信するネットワークインターフェースカード(NIC)等である。
【0061】
マイクロフォン107は、周囲の音を集めて電気信号に変換する。スピーカー108は、電気信号に基づいて音を周囲に発する。バイブレーター109は、電気信号に基づいて振動する。なお、ウェアラブル装置200についても、いびき改善装置100と略同様のハードウェア構成を備える。
【0062】
上記したいびき改善装置100の設定処理部121と、音声入出力制御部122と、いびき検出部123と、評価部124と、刺激指令部125とは、プロセッサ101に処理を行わせるプログラムによって実現される。このプログラムは、メモリ102、記憶装置103または図示しないROM装置内に記憶され、実行にあたってメモリ102上にロードされ、プロセッサ101により実行される。ウェアラブル装置200の刺激指令受信部221についても、プロセッサ101に処理を行わせるプログラムによって実現される。
【0063】
また、いびき改善装置100の記憶部110は、メモリ102及び記憶装置103により実現される。また、入力部130および出力部140は、入力装置104、表示装置105によりそれぞれ実現される。通信部150およびウェアラブル装置200の通信部250は、通信装置106により実現される。マイクロフォン160は、マイクロフォン107によって実現され、鳴動部170およびウェアラブル装置200の鳴動部270は、スピーカー108およびバイブレーター109により実現される。以上が、いびき改善装置100およびウェアラブル装置200のハードウェア構成例である。
【0064】
いびき改善装置100の構成は、処理内容に応じて、さらに多くの構成要素に分類することもできる。また、1つの構成要素がさらに多くの処理を実行するように分類することもできる。
【0065】
また、各処理部(設定処理部121、音声入出力制御部122、いびき検出部123、評価部124、刺激指令部125)は、それぞれの機能を実現する専用のハードウェア(ASIC、GPUなど)により構築されてもよい。また、各処理部の処理が一つのハードウェアで実行されてもよいし、複数のハードウェアで実行されてもよい。
【0066】
次に、本実施形態におけるいびき改善システム1の動作を説明する。
【0067】
図6は、習慣改善処理のフローの例を示す図である。習慣改善処理は、利用者からのいびき改善装置100あるいはウェアラブル装置200への開始指示を受け付けると開始される。あるいは、予め設定されたスタート時刻になると、開始される。
【0068】
まず、音声入出力制御部122は、録音を開始する(ステップS001)。具体的には、音声入出力制御部122は、マイクロフォン160を介して集められ電気信号に変換された音を録音処理する。
【0069】
そして、音声入出力制御部122は、録音中は後述するステップS003~ステップS008の処理を繰り返し実施する(ステップS002、ステップS009)。
【0070】
そして、いびき検出部123は、いびきを検出する(ステップS003)。具体的には、いびき検出部123は、いびき波形記憶部111の波形(特徴量)111Bと集められた周囲の音を電気信号に変換した情報とを比較して、類似する波形があれば当該パターンIDに相当するいびきであるとして検出する。いびきを検出しなかった場合(ステップS003にて「false」の場合)には、いびき検出部123は、後述するステップS007に制御を進める。
【0071】
いびきを検出した場合(ステップS003にて「true」の場合)には、刺激指令部125は、録音を一時停止し、覚醒刺激を発するよう指示する(ステップS004)。具体的には、刺激指令部125は、音声入出力制御部122に録音を一時停止させ、設定記憶部112の設定キー112Aが「覚醒刺激デバイス」である設定バリュー112Bに格納されたウェアラブル装置名を取得し、当該ウェアラブル装置200に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する。なお、設定バリュー112Bにウェアラブル装置名が格納されていない場合、ウェアラブル装置200に代えて、いびき改善装置100に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する。
【0072】
また、刺激指令部125は、所定の刺激を出力させる電気信号の内容に、設定キー112Aが「覚醒刺激種類」である設定バリュー112Bに格納された種類の刺激を設定し、設定キー112Aが「覚醒刺激強度」である設定バリュー112Bに格納された強度の刺激を設定し、設定キー112Aが「覚醒刺激継続時間」である設定バリュー112Bに格納された継続時間を設定し、覚醒刺激種類が「サウンド」を含む場合、設定キー112Aが「覚醒刺激サウンド」である設定バリュー112Bに格納されたサウンドを設定する。
【0073】
そして、評価部124は、スコア評価を行い、記録する(ステップS005)。具体的には、評価部124は、検出したいびきについて、音圧レベルに応じて予め定められた値を特定してスコア(習慣改善処理の開始時にゼロクリアしたもの)に加算し、スコア記憶部113のスコア113Dに格納する。
【0074】
そして、刺激指令部125は、音声入出力制御部122に録音を再開させる(ステップS006)。そして、音声入出力制御部122は、終了時刻が到来したか、または終了操作がなされたかを判定する(ステップS007)。具体的には、音声入出力制御部122は、設定記憶部112の設定キー112Aが「終了時刻」である設定バリュー112Bに格納された終了時刻を取得し、現在時刻が終了時刻を過ぎているか否か判定する。また、音声入出力制御部122は、習慣改善処理の終了操作がなされたか否かを判定する。
【0075】
現在時刻が終了時刻を過ぎているか、習慣改善処理の終了操作がなされた場合(ステップS007にて「true」の場合)には、音声入出力制御部122は、録音を終了させる(ステップS008)。現在時刻が終了時刻を過ぎておらず、かつ、習慣改善処理の終了操作がなされていない場合(ステップS007にて「false」の場合)には、音声入出力制御部122は、制御をステップS009に進める。
【0076】
ステップS003~S008の繰り返し処理を抜けると、評価部124は、指標値の算出、記録および表示を行う(ステップS010)。具体的には、評価部124は、ステップS005にて算出・記録したスコアを習慣改善処理の開始から録音の終了までの時間で割ることで、単位時間当たり(例えば、分あたり)のスコアを指標値として算出し(例えば、スコアが27000であり、習慣改善処理の開始から録音の終了までの時間が300分である場合には、指標値は27000/300=90)、スコア記憶部113の指標値113Eに格納する。そして、評価部124は、指標値を含む評価表示画面(詳細は、後述)を作成し、いびき改善装置100の出力部140に表示させる。
【0077】
以上が、習慣改善処理の流れの例である。習慣改善処理によれば、睡眠時の習慣の改善を促すことができる。
【0078】
図7は、評価表示画面の例を示す図である。評価表示画面400は、習慣改善処理のステップS010において表示される画面である。評価表示画面400には、指標値表示領域401と、前画面遷移指示受付ボタン402と、が含まれる。指標値表示領域401には、直近に実施した習慣改善処理の指標値が表示される。前画面遷移指示受付ボタン402は、入力を受け付けると、評価表示画面400の表示を終了させ、前画面(習慣改善処理の開始指示を受け付ける画面等)に遷移させる。
【0079】
以上が、いびき改善システム1である。以上の実施形態のように、いびき改善システム1によれば、いびきの改善を促すことができる。
【0080】
本発明は、上記の実施形態に制限されない。上記の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々な変形が可能である。例えば、上記の実施形態においては、いびき改善装置100は、マイクロフォン160を介して集音することでいびきの検出を行っているが、これに限られない。例えば、パルスオキシメーター(受光センサーが、拍動する動脈の血流を検知し、光の吸収値から動脈血酸素飽和度(SpO2)を算出する)を用いてもよい。このようにした場合、いびきという事象が観測されている場合に限らず習慣の改善を行うことが可能となる。
【0081】
あるいは例えば、評価表示画面400には、利用者ごとに、記録されている複数回の習慣改善処理の指標値の一覧や遷移を表示するようにしてもよい。このようにすることで、利用者は効果を確認でき、次回以降の実施時に設定キーの設定バリューの変更などを試みることができる。
【0082】
あるいは例えば、上記の実施形態において、いびき検出部123は、いびきを都度検出するのではなく、無呼吸・低呼吸指数(AHI:Apnea Hypopnea Index)が所定以上となる場合に、刺激指令部125に刺激指令を出力させるようにしてもよい。このようにすることで、頻繁な刺激の発生を避け、睡眠の質を確保しつつ、睡眠時の習慣の改善を行うことが可能となる。
【0083】
あるいはまた、上記の実施形態において、低呼吸事象あるいは無呼吸事象を検出して刺激を出力するようにしてもよい。具体的には、所定の期間(例えば、一分間)あたりの呼吸数を計数し、低呼吸(例えば、成人の場合12~20回/分以下となる呼吸数)事象を検出すると刺激指令を出力するようにしてもよい。そのような実施形態について、以下に説明する。
【0084】
図8は、本実施形態に係る呼吸改善システムの構成図である。呼吸改善システム500は、基本的にはいびき改善システム1と同様の構成を備えるが、一部に相違がある。以下、相違点を中心に説明する。
【0085】
利用者(要改善者)が呼吸改善装置100´と、通信路50を介して呼吸改善装置100´と通信可能に接続されたウェアラブル装置200と、を利用する。例えば、呼吸改善装置100´としては、利用者のスマートフォンやパーソナルコンピュータ、タブレット装置等を用いるようにしてもよいし、ウェアラブル装置200としては、利用者のスマートウォッチやヘッドセット、グラス、グローブ、チョーカー、シャツ等のウェアラブル端末を用いるようにしてもよい。さらには、これに限られず、利用者の呼吸改善装置100´単体でウェアラブル装置200を兼ねるようにしてもよい。
【0086】
利用者は、呼吸改善システム500を用いることで、睡眠時の呼吸の改善効果を得ることができる。具体的には、呼吸改善装置100´は、利用者から開始要求を受け付けると、マイクロフォン等のセンサーにより利用者の呼吸数を計数する。所定期間の呼吸数が所定以下(例えば、成人の場合12~20回/分以下)となる低呼吸事象を検出すると、呼吸改善装置100´は、ウェアラブル装置200に鳴動を指示し、ウェアラブル装置200は所定の鳴動動作を行うことで利用者に刺激を与える。刺激を受けた利用者は、外部からの刺激により若干の覚醒効果を得ることととなり、身じろぎや寝返り、あるいはその他の随意/不随意の運動により呼吸が促され、睡眠時の習慣が改善される。
【0087】
処理部120には、呼吸数検出部126が含まれる。呼吸数検出部126は、ウェアラブル装置200が既存の技術を用いて検出した所定期間の呼吸数を受け付けて、低呼吸事象を検出する。具体的には、呼吸数検出部126は、ウェアラブル装置200が呼吸数を一分間等の所定の期間で集計して送信した呼吸数を受け付けて、所定の閾値(成人の場合12~20回/分、あるいは利用者ごとに設定情報として保持している所定の閾値)を下回ると低呼吸事象の発生として計数する。
【0088】
ここで、ウェアラブル装置200による呼吸数の検出方法は各種の方法を採用することができる。例えば、ウェアラブル装置200が気道内で発生する呼吸音を検出した数を呼吸数としてもよいし、ウェアラブル装置200が体表面に密着させた導電繊維の微弱な動きを歪みセンサーで検出した数を呼吸数としてもよい。あるいは、ウェアラブル装置200が呼吸時の体内の電圧変化を検出した数を呼吸数としてもよい。また、ウェアラブル装置200が非接触型のセンサー(カメラ等)を用い呼吸時の体表面の位置の変化を検出した数を呼吸数としてもよい。
【0089】
評価部124は、呼吸改善処理の実施毎に、該実施結果の評価を行う。具体的には、評価部124は、呼吸改善処理の実施期間において、低呼吸の検出毎に、所定の値を加算してスコアを算出する。すなわち、評価部124は、低呼吸の回数に応じたスコアを算出する。
【0090】
また、評価部124は、呼吸改善処理の実施期間において算出したスコアを、所定の単位時間(例えば、分)で示す呼吸改善処理の実施期間の長さで除した所定の指標値を算出する。すなわち、評価部124は、低呼吸の頻度に応じた指標値を算出する。この指標値は、睡眠の長さに依存しない低呼吸の度合を計測するために求める。
【0091】
刺激指令部125は、低呼吸事象の検出があると、ウェアラブル装置200または呼吸改善装置100´に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する。
【0092】
該電気信号は、ウェアラブル装置200の鳴動部270または呼吸改善装置100´の鳴動部170に対して、所定の周波数を有する振動を発生させる、あるいは所定の音楽または警告音の発音をさせる電気信号である。
【0093】
図9は、呼吸改善処理のフローの例を示す図である。呼吸改善処理は、上述の習慣改善処理と基本的に同様である。しかし、一部に相違がある。以下、相違点を中心に説明する。
【0094】
まず、呼吸数検出部126は、呼吸数の計測を開始する(ステップS101)。具体的には、呼吸数検出部126は、ウェアラブル装置200に呼吸数を一分間等の所定の期間で集計して送信するよう指示する。
【0095】
そして、呼吸数検出部126は、計測中は後述するステップS103~ステップS107の処理を繰り返し実施する(ステップS102、ステップS108)。
【0096】
そして、呼吸数検出部126は、低呼吸を検出する(ステップS103)。具体的には、呼吸数検出部126は、所定の閾値(成人の場合12~20回/分、あるいは利用者ごとに設定情報として保持している所定の閾値)を下回る呼吸数の期間を低呼吸事象として検出する。低呼吸事象を検出しなかった場合(ステップS103にて「false」の場合)には、呼吸数検出部126は、後述するステップS106に制御を進める。
【0097】
低呼吸事象を検出した場合(ステップS103にて「true」の場合)には、刺激指令部125は、覚醒刺激を発するよう指示する(ステップS104)。具体的には、刺激指令部125は、設定記憶部112の設定キー112Aが「覚醒刺激デバイス」である設定バリュー112Bに格納されたウェアラブル装置名を取得し、当該ウェアラブル装置200に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する。なお、設定バリュー112Bにウェアラブル装置名が格納されていない場合、ウェアラブル装置200に代えて、呼吸改善装置100´に所定の刺激を出力させる電気信号を生成する。
【0098】
また、刺激指令部125は、所定の刺激を出力させる電気信号の内容に、設定キー112Aが「覚醒刺激種類」である設定バリュー112Bに格納された種類の刺激を設定し、設定キー112Aが「覚醒刺激強度」である設定バリュー112Bに格納された強度の刺激を設定し、設定キー112Aが「覚醒刺激継続時間」である設定バリュー112Bに格納された継続時間を設定し、覚醒刺激種類が「サウンド」を含む場合、設定キー112Aが「覚醒刺激サウンド」である設定バリュー112Bに格納されたサウンドを設定する。
【0099】
そして、評価部124は、スコア評価を行い、記録する(ステップS105)。具体的には、評価部124は、検出した低呼吸事象の発生回数をスコア(呼吸改善処理の開始時にゼロクリアしたもの)に加算し、スコア記憶部113のスコア113Dに格納する。
【0100】
そして、呼吸数検出部126は、終了時刻が到来したか、または終了操作がなされたかを判定する(ステップS106)。具体的には、呼吸数検出部126は、設定記憶部112の設定キー112Aが「終了時刻」である設定バリュー112Bに格納された終了時刻を取得し、現在時刻が終了時刻を過ぎているか否か判定する。また、呼吸数検出部126は、呼吸改善処理の終了操作がなされたか否かを判定する。
【0101】
現在時刻が終了時刻を過ぎているか、呼吸改善処理の終了操作がなされた場合(ステップS106にて「true」の場合)には、呼吸数検出部126は、計測を終了させる(ステップS107)。現在時刻が終了時刻を過ぎておらず、かつ、呼吸改善処理の終了操作がなされていない場合(ステップS106にて「false」の場合)には、呼吸数検出部126は、制御をステップS108に進める。
【0102】
ステップS103~S107の繰り返し処理を抜けると、評価部124は、指標値の算出、記録および表示を行う(ステップS109)。具体的には、評価部124は、ステップS105にて算出・記録したスコアを呼吸改善処理の開始から計測の終了までの時間で割ることで、単位時間あたり(例えば、一時間あたり)のスコア(低呼吸事象の検出回数)を指標値として算出し(例えば、スコアが25であり、呼吸改善処理の開始から計測の終了までの時間が5時間(300分)である場合には、指標値は25/5=5)、スコア記憶部113の指標値113Eに格納する。そして、評価部124は、指標値を含む評価表示画面(詳細は、後述)を作成し、呼吸改善装置100´の出力部140に表示させる。
【0103】
以上が、呼吸改善処理の流れの例である。呼吸改善処理によれば、睡眠時の呼吸の改善を促すことができる。
【0104】
図10は、呼吸評価表示画面の例を示す図である。呼吸評価表示画面600は、呼吸改善処理のステップS109において表示される画面である。呼吸評価表示画面600には、指標値表示領域601と、前画面遷移指示受付ボタン602と、が含まれる。指標値表示領域601には、直近に実施した呼吸改善処理の指標値が表示される。前画面遷移指示受付ボタン602は、入力を受け付けると、呼吸評価表示画面600の表示を終了させ、前画面(呼吸改善処理の開始指示を受け付ける画面等)に遷移させる。
【0105】
以上が、呼吸改善システム500である。以上の実施形態のように、呼吸改善システム500によれば、睡眠時の呼吸の改善を促すことができる。
【0106】
あるいはまた例えば、上記の実施形態において、刺激指令部125は、いびきの改善が見られない場合には、刺激の態様(種類、強度、サウンド、作動パターン等)を変更するようにしてもよい。例えば、刺激指令部125は、いびき毎のスコアが下降傾向にない場合には、刺激の強度を一段強くして刺激を発するようにしてもよい。あるいは、刺激指令部125は、ステップS005にて算出・記録したスコアを習慣改善処理の開始から当該時点までの経過時間で割ることで、単位時間当たり(例えば、分あたり)のスコアを指標値として算出し、当該指標値が下降傾向にない場合には、刺激の強度を一段強くして刺激を発するようにしてもよい。これらのようにすることで、刺激の態様を調整し、効果を高めることが可能となる。
【0107】
また、いびき改善装置100の機能は、1つ又は複数のコンピュータで構成されるいびき改善システムによって実現してもよい。
【0108】
また、上記した実施形態の技術的要素は、単独で適用されてもよいし、プログラム部品とハードウェア部品のような複数の部分に分けられて適用されるようにしてもよい。
【0109】
以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
【符号の説明】
【0110】
1・・・いびき改善システム、50・・・通信路、100・・・いびき改善装置、110・・・記憶部、111・・・いびき波形記憶部、112・・・設定記憶部、113・・・スコア記憶部、120・・・処理部、121・・・設定処理部、122・・・音声入出力制御部、123・・・いびき検出部、124・・・評価部、125・・・刺激指令部、130・・・入力部、140・・・出力部、150・・・通信部、160・・・マイクロフォン、170・・・鳴動部、200・・・ウェアラブル装置、221・・・刺激指令受信部、250・・・通信部、270・・・鳴動部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10