(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033218
(43)【公開日】2023-03-09
(54)【発明の名称】排気ヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/56 20060101AFI20230302BHJP
【FI】
H05B3/56 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022133914
(22)【出願日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 086.6
(32)【優先日】2021-08-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨッヘン ハマー
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP15
3K092QA03
3K092QB62
3K092RE03
3K092TT02
3K092VV02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】1つまたは複数の加熱導体の支持が、高い運転温度でも持続的に、より安定して実現されている排気ヒータを提供する
【解決手段】少なくとも1つの加熱導体14,16は、支持体ユニット24に対して少なくとも1つの支持体ユニット-サポートユニット38,40により電気的に絶縁されて支持されており、または/かつ少なくとも1つの加熱導体14は、別の加熱導体16に対して、加熱導体サポートユニット42により電気的に絶縁されて支持されている、加熱導体ユニット18とを有しており、少なくとも1つの支持体ユニット-サポートユニット38,40は、支持体ユニット24に被着された絶縁コーティング50,54または/および支持体ユニット-サポートユニット38,40を介して支持体ユニット24に支持された加熱導体14,16に被着された絶縁コーティング52を有している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、
-支持体ユニット(24)と、
-該支持体ユニット(24)に支持された、少なくとも1つの通電式の加熱導体(14,16)を備えた加熱導体ユニット(18)であって、少なくとも1つの前記加熱導体(14,16)は、前記支持体ユニット(24)に対して少なくとも1つの支持体ユニット-サポートユニット(38,40)により電気的に絶縁されて支持されており、または/かつ少なくとも1つの前記加熱導体(14)は、別の前記加熱導体(16)に対して、加熱導体サポートユニット(42)により電気的に絶縁されて支持されている、加熱導体ユニット(18)と
を有しており、
少なくとも1つの前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)は、前記支持体ユニット(24)に被着された絶縁コーティング(50,54)または/および前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)を介して前記支持体ユニット(24)に支持された前記加熱導体(14,16)に被着された絶縁コーティング(52)を有しており、または/かつ少なくとも1つの前記加熱導体サポートユニット(42)は、該加熱導体サポートユニット(42)を介して互いに対して支持し合う前記加熱導体(14,16)のうちの一方に被着された絶縁コーティング(56)または/および前記加熱導体サポートユニット(42)を介して互いに対して支持し合う前記加熱導体(14,16)のうちの他方に被着された絶縁コーティングを有している、排気ヒータ。
【請求項2】
少なくとも1つの、好適には全ての前記絶縁コーティング(50,52,54,56)は、蒸着または流動可能な状態での塗布により被着されている、請求項1記載の排気ヒータ。
【請求項3】
少なくとも1つの、好適には全ての前記絶縁コーティング(50,52,54,56)は、無機絶縁材料、好適にはセラミック材料により形成されている、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項4】
前記支持体ユニット(24)は、前記加熱導体ユニット(18)を排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向においてそれぞれの間に支持する2つの支持体部材(20,22)を有しており、少なくとも1つの、好適には全ての前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)は、前記支持体部材(20,22)のうちの一方に被着された絶縁コーティング(50,54)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の排気ヒータ。
【請求項5】
少なくとも1つの、好適には全ての前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)は、前記加熱導体ユニット(18)の一方の前記加熱導体(14,16)に被着された絶縁コーティング(52)を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の排気ヒータ。
【請求項6】
前記加熱導体ユニット(18)は、複数のピン状の結合部材(32)を介して前記支持体ユニット(24)に結合されており、少なくとも1つの、好適には全ての前記結合部材(32)は、前記加熱導体ユニット(18)の少なくとも1つの、好適には全ての前記加熱導体(14,16)を、結合部材開口(44,46)の領域において貫通しており、少なくとも1つの、好適には全ての前記結合部材(32)は、その、前記結合部材開口(44,46)を貫通する長さ領域において、絶縁部材(48)により包囲されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の排気ヒータ。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の排気ヒータ(10)を少なくとも1つ有している、内燃機関用の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ヒータであって、自動車の排気装置において、排気装置内を流れる、内燃機関から放出された排気に熱を伝達することができ、これにより、特に内燃機関の運転の始動段階において、排気ヒータに対して下流側に配置された、例えば触媒または粒子フィルタ等のシステム領域を、より迅速に運転温度にもたらす、排気ヒータに関する。
【0002】
後から公開された独国特許出願公開第102021109568号明細書から公知の排気ヒータでは、支持体ユニットの、金属薄板材料から形成された、実質的に板状の2つの支持体部材の間に、加熱導体ユニットの、平材からの切出しにより準備された、実質的に板状もしくは面状に形成された2つの加熱導体が、排気ヒータ長手方向に相応する排気主流れ方向に連続して配置されている。ピン状に形成された複数の結合部材を含む結合ユニットにより、支持体部材と、その間に配置された加熱導体との積層構造体がまとめて結合されている。支持体部材に対する加熱導体の電気的な絶縁もしくは加熱導体相互の電気的な絶縁を達成するために、これらの間にはそれぞれ、電気的に絶縁性の材料、例えばセラミック材料から成る複数のサポートユニットが配置されている。
【0003】
本発明の課題は、支持体ユニットもしくは別の加熱導体における1つまたは複数の加熱導体の支持が、高い運転温度でも持続的に、より安定して実現されている排気ヒータを提供することにある。
【0004】
この課題は本発明に基づき、内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、
-支持体ユニットと、
-支持体ユニットに支持された、少なくとも1つの通電式の加熱導体を備えた加熱導体ユニットであって、少なくとも1つの加熱導体は、支持体ユニットに対して少なくとも1つの支持体ユニット-サポートユニットにより電気的に絶縁されて支持されており、または/かつ少なくとも1つの加熱導体は、別の加熱導体に対して、加熱導体サポートユニットにより電気的に絶縁されて支持されている、加熱導体ユニットと
を有しており、
少なくとも1つの支持体ユニット-サポートユニットは、支持体ユニットに被着された絶縁コーティングまたは/および前記支持体ユニット-サポートユニットを介して支持体ユニットに支持された加熱導体に被着された絶縁コーティングを有しており、または/かつ少なくとも1つの加熱導体サポートユニットは、この加熱導体サポートユニットを介して互いに対して支持し合う加熱導体のうちの一方に被着された絶縁コーティングまたは/および前記加熱導体サポートユニットを介して互いに対して支持し合う加熱導体のうちの他方に被着された絶縁コーティングを有している、排気ヒータにより解決される。
【0005】
本発明により形成された排気ヒータでは、各絶縁コーティングの固い結合が、互いに対して電気的に絶縁されて支持されるべき2つのコンポーネントのうちの、絶縁コーティングが被着されたコンポーネントとのみ生じている。他方のコンポーネントに対して固い結合は生じていないため、特に振動またはそれぞれ異なる熱膨張により誘発される、互いに支持し合うコンポーネントの間の相対運動が、機械的な応力の発生なしに可能である。
【0006】
このような絶縁コーティングと、絶縁コーティングが取り付けられるコンポーネントとの固い結合は、例えば、少なくとも1つの、好適には全ての絶縁コーティングが、蒸着、例えば気相蒸着により、または流動可能な状態での塗布により被着されていることで実現され得る。
【0007】
機械的に安定した、耐熱性にもかかわらず電気絶縁性の良好なコーティングを提供するために、少なくとも1つの、好適には全ての絶縁コーティングは、無機絶縁材料、好適にはセラミック材料により形成されていてよい。
【0008】
排気ヒータの安定的な構成のために、支持体ユニットは、加熱導体ユニットを排気ヒータ長手方向軸線の方向においてそれぞれの間に支持する2つの支持体部材を有していてよい。この場合、少なくとも1つの、好適には全ての支持体ユニット-サポートユニットは、支持体部材のうちの一方に被着された絶縁コーティングを有していてよい。
【0009】
択一的または追加的に、少なくとも1つの、好適には全ての支持体ユニット-サポートユニットは、加熱導体ユニットの一方の加熱導体に被着された絶縁コーティングを有している、ということが想定されていてよい。
【0010】
支持体ユニットと加熱導体ユニットとの、電気的に絶縁されているにもかかわらず固い結合を得るために、加熱導体ユニットは、複数のピン状の結合部材を介して支持体ユニットに結合されていてよく、この場合、少なくとも1つの、好適には全ての結合部材は、加熱導体ユニットの少なくとも1つの、好適には全ての加熱導体を、結合部材開口の領域において貫通している。この場合、少なくとも1つの、好適には全ての結合部材は、その、結合部材開口を貫通する長さ領域において、絶縁部材により包囲されていてよい。
【0011】
本発明はさらに、本発明により形成された少なくとも1つの排気ヒータを有する、内燃機関用の排気装置に関する。
【0012】
以下に、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】支持体ユニットの2つの支持体部材の間に配置されており、これらの支持体部材に対して絶縁コーティングを介して支持された、加熱導体ユニットの加熱導体を備えた排気ヒータを示す詳細図である。
【
図4】1つの択一的な実施形態を示す、
図3に対応する図である。
【0014】
図3および
図4を参照して、排気ヒータの支持体ユニットにおける加熱導体ユニットの、本発明による形式で電気的に絶縁された保持を詳細に説明する前に、
図1および
図2を参照して、例えば自動車に設けられる内燃機関の排気装置12用の、このような排気ヒータ10の基本的な構成を説明する。
【0015】
排気装置12内では、排気が排気主流れ方向Hに排気ヒータ10を通流可能であり、排気ヒータ10は、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向に連続して配置された、ひいては実質的に排気主流れ方向Hに流れる排気が連続して周りを流動可能な、全体的に符号18で表された加熱導体ユニットの2つの加熱導体14,16を有している。加熱導体14,16は、実質的に板状にもしくは平材から形成されており、平材素材、特に金属素材からの切出しにより、蛇行状構造で延びる複数の部分が提供された構造を備えて形成され得る。
【0016】
2つの加熱導体14,16の、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向において互いに反対の側には、全体的に符号24で表された支持体ユニットの、実質的に板状に形成された支持体部材20,22が設けられている。板状の支持体部材20,22の外周領域には、実質的に円筒状の支持体ケーシング26が固定されている。
【0017】
2つの加熱導体14,16は、互いに直列または並列に接続されていてよい。電圧源との電気的な接続のために、支持体ケーシング26を貫通する2つの接続ユニット28,30が設けられており、接続ユニット28,30は、支持体ケーシング26により取り囲まれた内部空間内で、加熱導体14,16に導電接続されている。
【0018】
安定的な複合体を得るために、2つの支持体部材20,22と、その間に配置された、互いに直接に隣接して位置する加熱導体14,16とは、ピン状に形成された複数の結合部材32により、互いに固く結合されている。結合部材32は、例えば軸部34とヘッド36とを備えたスタッドとして形成されていてよい。軸部34には、例えばナット部材37がねじ嵌められていてよく、これによりヘッド36とナット部材37との間に、支持体部材20,22と加熱導体14,16とから成る積層構造体を挟み込むことができる。
【0019】
支持体ユニット24の、一般に金属材料から形成される支持体部材20,22に対して、加熱導体14,16の電気的な絶縁を達成するためには、加熱導体部材14と支持体部材20との間に、例えば各結合部材32に対応して、電気的に絶縁性の材料、例えばセラミック材料により形成され、実質的に板状に形成され、かつ対応する結合部材32が、内部に設けられた開口の領域を貫通する支持体ユニット-サポートユニット38が設けられている。同様に、例えば各結合部材32に対応して、加熱導体16と支持体部材22との間に配置された支持体部材-サポートユニット40が設けられている。
【0020】
隣り合って位置する2つの加熱導体14,16を互いに対して電気的に絶縁して支持するためには、例えば各結合部材32に対応して、加熱導体サポートユニット42が設けられている。各加熱導体サポートユニット42も、1つまたは複数のディスクでもって実質的に板状に形成されており、セラミック材料により形成されている。
【0021】
結合部材32が加熱導体14,16を各結合部材開口44,46の領域において貫通している場所では、加熱導体14,16に形成された結合部材開口44,46内に、例えばセラミック材料から成るスリーブ状の絶縁部材48が挿入されていてよく、これにより、加熱導体14,16に設けられた開口内での結合部材32の所定の位置決めを達成することができる。
【0022】
次に
図3および
図4を参照して、本発明の原理に基づき、その基本的な構造に関して上述した構成を有する排気ヒータ10において、別個の構成部材として排気ヒータの様々なコンポーネントの間に挿入されるサポートユニットを利用することなしに、加熱導体ユニット18を、様々なサポートユニット38,40,42を介して、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向において電気的に絶縁して支持することができる方法を詳細に説明する。
【0023】
図3に部分的に示す、排気ヒータ10の本発明による構成では、加熱導体ユニット18は、支持体ユニット24の2つの支持体部材20,22の間に配置された単一の加熱導体14を有している。加熱導体14は、2つの支持体部材20,22に対して、絶縁コーティングの形態で提供された支持体ユニット-サポートユニット38,40を介して電気的に絶縁されて支持されている。この場合、以下で説明するように、支持体部材20に対して加熱導体14を支持する場合と、支持体部材22に対して加熱導体14を支持する場合とで、それぞれ異なる変化態様が示されており、これらの変化態様は、それぞれが交互に交換されていてもよい、もしくは2つの支持領域のうちのそれぞれにおいて個別に実現されていてもよい。
【0024】
支持体ユニット-サポートユニット38は、
図3に示す例では、支持体部材20に被着された絶縁コーティング50を有している。絶縁コーティング50は実質的に、支持体部材20の、加熱導体14に面した表面全体を被覆してよいか、または支持体部材20が加熱導体14に支持されている、支持体部材20の領域のみを被覆してよい。加熱導体14に対する絶縁コーティング50の固い結合は生じていないため、基本的に、例えば熱により誘発されるかまたは振動により惹起される、加熱導体14と支持体部材20もしくは支持体部材20に設けられた絶縁コーティング50との間の相対運動が可能である。1つの変化形では、絶縁コーティング50は、加熱導体14の、支持体部材20に面した側に、例えば加熱導体14を実質的に全面的に被覆するように、または加熱導体14の、支持体部材20と支持相互作用状態にある領域のみに設けられていてよい。
【0025】
支持体部材22に対する加熱導体14の支持経路内に、支持体ユニット-サポートユニット40は2つの絶縁コーティング52,54を有している。この場合、絶縁コーティング52は、加熱導体14の、支持体部材22に面した側に被着されているのに対して、絶縁コーティング54は、支持体部材22の、加熱導体14に面した側に被着されている。絶縁コーティング52,54も、これらをそれぞれ支持するコンポーネント、つまり加熱導体14もしくは支持体部材22を実質的に全面的に被覆するように設けられていてよいか、または加熱導体14と支持体部材22とが互いに支持相互作用状態にあるもしくはなる領域のみに設けられていてよい。
【0026】
支持体ユニット24と加熱導体ユニット18とをまとめて結合する結合部材32に対する絶縁も達成するために、結合部材32は、加熱導体14に設けられた対応する結合部材開口44を貫通する長さ領域において、例えばセラミック材料から成るスリーブ状の絶縁部材48により包囲されていてよい。1つもしくは複数の絶縁コーティング50,52もしくは54との相互支障を回避するために、絶縁コーティング50,52もしくは54は、加熱導体14に結合部材開口44が形成されている場所において中断されていてよく、これにより、各絶縁部材48の、加熱導体14から軸線方向に突出した部分を収容するスペースが提供される。
【0027】
図4には、加熱導体ユニット18が、排気ヒータ長手方向軸線Lの方向に連続する2つの加熱導体14,16を有している実施形態が示されている。
図4に示す排気ヒータ10の構成の場合も、支持体部材20と加熱導体14との間に配置された第1の支持体ユニット-サポートユニット38は、支持体部材20または加熱導体14に被着された絶縁コーティング50を有していてよい。択一的に、支持体部材20および加熱導体14のそれぞれの部材に絶縁コーティングが被着されていてもよい。
【0028】
加熱導体16は、図示の例では2つの絶縁コーティング52,54を介して電気的に絶縁されて支持体部材22に支持されており、この場合、絶縁コーティング52は加熱導体16に被着されており、絶縁コーティング54は支持体部材22に被着されている。択一的に、この領域では単一の絶縁コーティングが、例えば支持体部材22または加熱導体16に被着されていてもよい。
【0029】
2つの加熱導体14,16の、互いに対する電気的な絶縁と軸線方向における支持とを提供する加熱導体サポートユニット42は、加熱導体14または加熱導体16に被着されていてよい絶縁コーティング56を有している。択一的に、この領域でも各加熱導体14,16に絶縁コーティングが被着されていてよく、この場合、これら2つの絶縁コーティングを介して、2つの加熱導体14,16は互いに電気的に絶縁されて、軸線方向において互いに支持し合っている。
【0030】
結合部材32もしくは各結合部材32の軸部34は、その、加熱導体14,16の結合部材開口44,46を貫通する長さ領域において、例えばセラミック材料から成るスリーブ状の絶縁部材48により包囲されており、ひいてはこの長さ領域において、加熱導体14,16に対して電気的に絶縁されている。
【0031】
絶縁コーティング50,52,54,56は、従来技術において周知の手段でもって、それぞれ対応するコンポーネント、つまり支持体部材20,22もしくは加熱導体14,16に被着され得る。例えば、この被着は気相蒸着により行われてよい。択一的に、絶縁コーティング50,52,54,56の形成材料は流動可能な状態で、当該構成部材の表面のコーティングされるべき領域に被着されてから、熱的にまたは/かつ化学的に硬化させられてよい。絶縁材料は、例えば、比較的薄い絶縁コーティングを使用する場合でも、一方では比較的高い機械的安定性を有しており、他方では高い耐熱性と同時に極めて良好な電気的絶縁作用を提供するセラミック材料であってよい。
【0032】
本発明により形成された排気ヒータでは、排気ヒータの様々なコンポーネントの電気的な絶縁と、軸線方向における支持との両方共が、絶縁コーティングにより実現されており、絶縁コーティングはそれぞれ、互いに支持し合うコンポーネントのうちの1つ、つまり絶縁コーティングが被着されたコンポーネントに対してのみ固い結合を有しているため、互いに支持し合うコンポーネントにおいて、これらのコンポーネントの、互いに対する相対運動が保証されており、これにより、支持を実現する、コーティングにより提供されたサポートユニットに対する過剰な機械的負荷が回避されている。同様に、耐高温性の形成材料、例えばセラミックをベースとした無機絶縁材料等を使用することにより、高温でも機械的に安定した電気的な絶縁を提供することができる。
【0033】
絶縁コーティング50,52,54,56は、これらでコーティングされるべきコンポーネントの実質的に任意の表面領域に被着されてよいため、例えば、1つもしくは複数の加熱導体14,16を、各結合部材開口44,46の領域においてコーティングすることも可能であり、このようにして、これらの結合部材開口44,46を貫通している結合部材32に対しても、電気的な絶縁を達成することができる。この場合、電気的な絶縁を提供する絶縁部材48の使用を省くこともできる、もしくはこの場合、絶縁部材48の代わりに、各結合部材開口44,46内での結合部材32の半径方向センタリングが主要機能である、より廉価で電気的に非絶縁性のスリーブが使用されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、
-支持体ユニット(24)と、
-該支持体ユニット(24)に支持された、少なくとも1つの通電式の加熱導体(14,16)を備えた加熱導体ユニット(18)であって、少なくとも1つの前記加熱導体(14,16)は、前記支持体ユニット(24)に対して少なくとも1つの支持体ユニット-サポートユニット(38,40)により電気的に絶縁されて支持されており、または/かつ少なくとも1つの前記加熱導体(14)は、別の前記加熱導体(16)に対して、加熱導体サポートユニット(42)により電気的に絶縁されて支持されている、加熱導体ユニット(18)と
を有しており、
少なくとも1つの前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)は、前記支持体ユニット(24)に被着された絶縁コーティング(50,54)または/および前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)を介して前記支持体ユニット(24)に支持された前記加熱導体(14,16)に被着された絶縁コーティング(52)を有しており、または/かつ少なくとも1つの前記加熱導体サポートユニット(42)は、該加熱導体サポートユニット(42)を介して互いに対して支持し合う前記加熱導体(14,16)のうちの一方に被着された絶縁コーティング(56)または/および前記加熱導体サポートユニット(42)を介して互いに対して支持し合う前記加熱導体(14,16)のうちの他方に被着された絶縁コーティングを有している、排気ヒータ。
【請求項2】
少なくとも1つの、好適には全ての前記絶縁コーティング(50,52,54,56)は、蒸着または流動可能な状態での塗布により被着されている、請求項1記載の排気ヒータ。
【請求項3】
少なくとも1つの、好適には全ての前記絶縁コーティング(50,52,54,56)は、無機絶縁材料、好適にはセラミック材料により形成されている、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項4】
前記支持体ユニット(24)は、前記加熱導体ユニット(18)を排気ヒータ長手方向軸線(L)の方向においてそれぞれの間に支持する2つの支持体部材(20,22)を有しており、少なくとも1つの、好適には全ての前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)は、前記支持体部材(20,22)のうちの一方に被着された絶縁コーティング(50,54)を有している、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項5】
少なくとも1つの、好適には全ての前記支持体ユニット-サポートユニット(38,40)は、前記加熱導体ユニット(18)の一方の前記加熱導体(14,16)に被着された絶縁コーティング(52)を有している、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項6】
前記加熱導体ユニット(18)は、複数のピン状の結合部材(32)を介して前記支持体ユニット(24)に結合されており、少なくとも1つの、好適には全ての前記結合部材(32)は、前記加熱導体ユニット(18)の少なくとも1つの、好適には全ての前記加熱導体(14,16)を、結合部材開口(44,46)の領域において貫通しており、少なくとも1つの、好適には全ての前記結合部材(32)は、その、前記結合部材開口(44,46)を貫通する長さ領域において、絶縁部材(48)により包囲されている、請求項1または2記載の排気ヒータ。
【請求項7】
請求項1または2記載の排気ヒータ(10)を少なくとも1つ有している、内燃機関用の排気装置。
【外国語明細書】