IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アップル インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図1
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図2
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図3A
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図3B
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図3C
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図4
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図5
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図6
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図7
  • 特開-電子装置の表面材料の外観的同時除去 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033296
(43)【公開日】2023-03-10
(54)【発明の名称】電子装置の表面材料の外観的同時除去
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/02 20060101AFI20230303BHJP
   B29C 65/56 20060101ALI20230303BHJP
   B29C 65/70 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
H05K5/02 J
B29C65/56
B29C65/70
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022201860
(22)【出願日】2022-12-19
(62)【分割の表示】P 2020181162の分割
【原出願日】2010-09-24
(31)【優先権主張番号】61/300,780
(32)【優先日】2010-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】12/794,496
(32)【優先日】2010-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/325,786
(32)【優先日】2010-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/325,625
(32)【優先日】2010-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100122563
【弁理士】
【氏名又は名称】越柴 絵里
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ スコット
(72)【発明者】
【氏名】ヘリー リチャード
(72)【発明者】
【氏名】テオバルト マシュー
(72)【発明者】
【氏名】スタニャーロ アダム
(72)【発明者】
【氏名】タン タン
(72)【発明者】
【氏名】ディン リチャード
(72)【発明者】
【氏名】パクラ ディヴィッド
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の要素を接続することにより構築された構成部品上の外観的仕上げを行うことを目的とする。
【解決手段】この接続された要素に、機械加工又は研磨加工などの単一の製造過程を適用して、要素の一部又は全部から材料を除去するとともに、構成部品の個々の要素間の接触面にわたって滑らかかつ連続的な表面を形成することができる。場合によっては、構成部品要素の材料に基づいて材料除去処理の設定を調整することができる。例えば、各要素材料の製造特性又は機械的特性に基づいて設定を調整することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子装置部品の複数の要素間の少なくとも1つの継ぎ目を越えて広がる連続的な外面を有する前記電子装置部品を構成する方法であって、
第1の材料で形成された第1の要素を提供するステップと、
第2の材料で形成された第2の要素を提供するステップと、
前記第1及び第2の要素を、第3の材料で形成された中間要素とともに接続して、前記第1の要素と前記中間要素の間の接触面における第1の継ぎ目と、前記第2の要素と前記中間要素の間の接触面における第2の継ぎ目とを有する前記電子装置部品を形成するステップと、
単一の処理を使用して前記第1の要素、前記第2の要素及び前記中間要素のうちの少なくとも2つから余剰材料を除去し、前記第1の継ぎ目及び前記第2の継ぎ目の少なくとも一方にわたる連続表面を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の要素、前記第2の要素及び前記中間要素のうちの少なくとも2つから離れた材料を研磨するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の要素、前記第2の要素及び前記中間要素にツールを適用して、前記第1の継ぎ目及び前記第2の継ぎ目の一方にわたる余剰材料を除去するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の要素、前記第2の要素及び前記中間要素のうちの少なくとも2つに、前記ツールを異なる方法で適用するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ツールを異なる方法で適用するステップが、前記第1の要素、前記第2の要素及び前記中間要素のうちの少なくとも2つに対して前記ツールの異なる設定を選択するステップをさらに含み、前記設定が、前記第1、第2及び第3の材料のうちの1つに対応する、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1、第2、及び第3の材料が、金属及びプラスチックのうちの少なくとも2つを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の材料と前記第2の材料が同じものである、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも2つの要素を接続することによって構築された電子装置部品の表面を仕上げる方法であって、
ツールと位置が合った構成部品の要素を識別するステップを含み、前記構成部品が、少なくとも2つの異なる材料で構築された、接触面において接続された少なくとも2つの要素を含み、
前記識別された要素の材料を検出するステップと、
前記検出された材料に基づいて、前記ツールの動作を制御する設定を調整するステップと、
前記識別された要素上で前記ツールを動作させて、前記少なくとも2つの要素間の前記接触面にわたる連続表面を形成するステップと、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ツールを、前記少なくとも2つの要素のうちの別の要素と位置合わせするステップと、
前記少なくとも2つの要素のうちの前記別の要素の材料が、前記識別された要素の前記材料とは異なることを検出するステップと、
前記少なくとも2つの要素のうちの前記別の要素の前記検出された材料に基づいて前記設定を調整するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも2つの異なる材料が、異なる製造特性を有する異なる材料を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの異なる材料が、少なくとも1つの金属及び1つのプラスチックを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも2つの異なる材料の各々に同じツールが適用される、
ことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ツールが、前記少なくとも2つの要素の前記接触面に隣接する領域において、前記少なくとも2つの要素の各々から材料を除去する、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記ツールが研削機を含む、
ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記動作させるステップが、前記接触面にわたる滑らかな平面を形成するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項16】
第1の導電材料で構築された第1の要素と、
第2の導電材料で構築された第2の金属要素と、
絶縁材料で構築された中間要素と、
を備え、
前記中間要素が、第1の接触面において前記第1の要素に接続されて、前記第1の接触面にわたる第1の連続表面を形成し、
前記中間要素が、第2の接触面において前記第2の要素に接続されて、前記第2の接触面にわたる第2の連続表面を形成する、
ことを特徴とする電子装置部品。
【請求項17】
前記第1及び第2の要素が冷間加工される、
ことを特徴とする請求項16に記載の電子装置部品。
【請求項18】
前記第1及び第2の連続表面が滑らかである、
ことを特徴とする請求項16に記載の電子装置部品。
【請求項19】
前記第1及び第2の連続する表面が単一の平面を定める、
ことを特徴とする請求項18に記載の電子装置部品。
【請求項20】
前記中間要素が、前記第1の要素と前記第2の要素の間に成形される、
ことを特徴とする請求項16に記載の電子装置部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2010年2月2日に出願された米国仮特許出願第61/300,780号、2010年4月19日に出願された米国仮特許出願第61/325,625号、及び2010年4月19日に出願された米国仮特許出願第61/325,786号の利益を主張するものであり、これらの仮特許出願は全てその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
携帯用電子装置は、様々な方法を使用して構築することができる。場合によっては、複数の構成部品をともに組み立てることによって電子装置を構築することもできる。これらの構成部品は、組み合わさって装置の筺体を形成する外部部品、及び装置に異なる機能を提供する内部部品を含むことができる。例えば、電子装置の筺体は、一体部品、又は(ハウジング部材などの)単一の材料で構築される構成部品を含むことができる。このような構成部品では、印加される外力に対する構成部品の抵抗力を制限する継ぎ目又は間隙をなくすことができるので、十分な構造的完全性を提供することができる。
【0003】
場合によっては、電子装置の構成部品を電気回路の一部として使用することもできる。例えば、ある構成部品は、(例えば、プロセッサの抵抗器又はコンデンサとして機能する)装置の別の構成部品に電気的機能を与えることができる。別の例として、ある構成部品を、電子装置のアンテナアセンブリの一部とすることもできる。構成部品が、単一の電気回路内のみで使用される場合、この構成部品を単一の導電材料で構築することができる。しかしながら、同じ構成部品がいくつかの異なる電気回路内で使用される場合、この構成部品を、非導電性又は絶縁性要素によって分離された複数の導電性要素で構築する必要がある。例えば、第1及び第2の導電性要素を、絶縁性の中間要素によって互いに接続することができる。
【0004】
あらゆる好適な方法を使用して、絶縁性要素を構成部品の導電性要素に接続することができる。いくつかの実施形態では、絶縁性要素を使用して導電性要素をともに接続するために使用する製造過程の結果、絶縁性要素が、絶縁性要素と導電性要素の間の接触面を越えて広がることがある。例えば、成形された絶縁性要素が、金型の継ぎ目を通じて漏れ出した余剰材料を含むことがある。多重要素部品が電子装置の筺体の一部を成す場合、この余剰材料が、ユーザが装置を快適に扱うことに悪影響を及ぼすことがある。例えば、ユーザの手又は衣類が、この余剰材料に引っ掛かることがある。別の例として、この余剰材料により、ユーザが電子装置を落とす確率及び壊す確率が高くなることがある。さらに別の例として、この余剰材料が、装置の美的外観に悪影響を及ぼすこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、電子装置部品の単一の表面を形成する複数の異なる材料を同時に処理して、異なる材料間の接触面又は継ぎ目にわたる連続部品表面を形成することを目的とする。具体的には、本発明は、複数の要素を組み合わせることによって構築された構成部品を提供し、この複数の要素のうちの少なくとも2つから材料を除去して、要素間の接触面にわたって連続する外観上魅力的な表面を提供することを目的とする。この複数の要素は、材料特性の異なる少なくとも2つの異なる材料から形成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
2つの要素を、この2つの要素の少なくとも一方に使用される材料以外の材料で形成された中間要素を使用してともに接続することにより、電子装置部品を構築することができる。例えば、この2つの要素を(金属などの)導電材料で構築できるのに対し、中間要素を(プラスチックなどの)絶縁材料で構築することができる。使用する材料は、例えば、(異なる製造硬度又は機械的硬度を有する材料などの)異なる機械的特性、製造特性、電気的特性、及び温度特性を含む異なる特性を有することができる。材料特性が異なれば、材料の一部を切断又は除去するために、例えば異なるツール、単一のツールの異なる設定、又は(異なる機械などの)異なる製造過程を含む異なる処理が必要となり得る。
【0007】
外観上魅力的な構成部品を作成するために、及び具体的には、1又はそれ以上の要素から余剰材料を除去して、構成部品の隣接する要素間の接触面にわたる連続表面を実現するために、接続された要素に1又はそれ以上の仕上げ処理を適用することができる。場合によっては、異なる材料で構築された複数の要素を含む表面を、単一のツール又は処理を使用して仕上げることができる。例えば、構成部品全体に単一のツールを使用することができる。別の例として、あるツールを、構成部品の(異なる平面上の表面などの)複数の異なる表面の各々に使用することができる。しかしながら、要素の材料特性が異なるため、処理又はツールを適用する態様(回転速度、又は作動力など)は、処理する要素に基づいて異なることができる。いくつかの場合、この処理は、処理する特定の要素に基づいて設定を動的に調整することができる。その他の場合、この処理は、複数の材料の軟性に対応する設定を適用することができる。
【0008】
構成部品には、あらゆる好適な種類の仕上げ処理を適用することができる。例えば、ある処理では、余剰材料を除去し、隆起を平坦化し、窪み又は穴を埋め、或いは構成部品内の互いに接続された要素間の接触面にわたって連続する均一な表面を実現するために必要な他のあらゆる動作を行うことができる。このような処理は、例えば研磨又は研削動作を含むことができる。組み立て後(例えば、個々の要素を互いに接続してすぐ)の構成部品を処理することにより、結果として得られる構成部品は、複数の要素を組み合わせたものであるにもかかわらず、連続する外面を有することができ、単一の材料片から形成されたようにさえ見える。単一のツール又は単一のステップを使用して構成部品を処理することにより、構成部品の製造過程を短縮することができる。
【0009】
添付図面とともに行う以下の詳細な説明を検討すれば、本発明の上記の及びその他の特徴、性質及び様々な利点がより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の1つの実施形態による、複数の要素を互いに接続することにより構築された例示的な外周部材の概略図である。
図2】本発明の1つの実施形態による、例示的な電子装置部品の概略図である。
図3A】本発明のいくつかの実施形態による、中間要素を含む例示的な構成部品の概略平面図である。
図3B】本発明のいくつかの実施形態による、中間要素を含む例示的な構成部品の概略平面図である。
図3C】本発明のいくつかの実施形態による、中間要素を含む例示的な構成部品の概略平面図である。
図4】本発明の1つの実施形態による、材料特性の異なる複数の要素で構築された例示的な構成部品の概略図である。
図5】本発明の1つの実施形態による、複数の要素を接続することによって構築された構成部品の前面及び背面から余剰材料を除去するための例示的なアセンブリの概略図である。
図6】本発明の1つの実施形態による、閉リング部品から余剰材料を除去するための例示的なアセンブリの概略図である。
図7】本発明の1つの実施形態による、異なる材料の要素で構築された構成部品を仕上げるための例示的な処理を示すフロー図である。
図8】本発明の1つの実施形態による、仕上げ装置の設定を調整するための例示的な処理のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電子装置は、装置の内部及び外部特徴部を形成するために、ともに組み立てられた複数の構成部品を含む。例えば、1又はそれ以上の(電気回路などの)内部部品を(ハウジングなどの)外部部品内に配置して、所望の機能を有する装置を実現することができる。いくつかの方法を使用して、例えば個々の要素を互いに組み立てて接続することにより、異なる構成部品を製造することができる。場合によっては、複数の要素を互いに組み立てて一体部品を形成することにより、外部ハウジング部品を構築することもできる。
【0012】
図1は、本発明の1つの実施形態による、複数の要素を互いに接続することにより構築された例示的な外周部材の概略図である。外周部材100は、電子装置の外面を形成するために構築することができる。具体的には、外周部材100は、電子部品の一部又は全部を、電子装置部品を配置できる内部容積を定めるように取り囲み又は取り巻くことができる。例えば、外周部材100は、その外面101が装置の左面102、右面104、並びに頂面106及び底面108を定めるように装置の周囲を取り巻くことができる。ユーザに所望の機能を提供するために、電子装置は、例えば外周部材の内部容積内などの、装置内に配置された複数の構成部品を含むことができる。
【0013】
外周部材の厚み、長さ、高さ、及び断面は、例えば、(剛性、すなわち特定の向きの曲げ、圧縮、引張又はねじれに対する耐性などの)構造的要件に基づくものを含むあらゆる好適な基準に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態では、外周部材が、他の電子装置部品を装着できる構造部材として機能することができる。外周部材100の構造的完全性の一部は、この部材が定める閉じた形状(外周部材100がループを形成することなど)に由来することができる。
【0014】
外周部材100は、あらゆる好適な断面を有することができる。例えば、外周部材100は、実質的に直角の断面を有することができる。いくつかの実施形態では、これの代わりに又はこれに加えて、外周部材100が、例えば円形の、楕円形の、多角形の、又は湾曲した断面を含む異なる形状の断面を有することができる。いくつかの実施形態では、装置の長さ又は幅に沿って断面の形状又はサイズを変化させる(砂時計型の断面など)ことができる。
【0015】
電子装置の外周部材は、あらゆる好適な処理を使用して構築することができる。いくつかの実施形態では、外周部材100を、接触面112において要素110と要素120を互いに接続し、接触面122において要素120と要素130を互いに接続し、接触面132において要素130と要素110を互いに接続することによって構築することができる。これらの要素は、例えば、大型L字型要素110、小型L字型要素120、及びU字型要素130を含むあらゆる好適な形状を有することができる。各要素を個別に構築し、その後組み立てて、外周部材100を形成することができる。例えば、打抜き、切削、加工、鋳造、又はこれらの組み合わせのうちの1又はそれ以上を使用して各要素を構成することができる。いくつかの実施形態では、要素110、120、及び130のために選択する材料を導電性として、(例えば、アンテナの一部として機能するように)装置に電気的機能を提供することができる。
【0016】
個々の要素を互いに接合するために、接触面112、122、及び132内に、中間要素114、124、及び134をそれぞれ配置することができる。いくつかの実施形態では、接触面112、122、及び132内に配置する際に、要素110と120の間、要素120と130の間、及び要素130と110の間をそれぞれ流れることができる第1の状態で最初に提供できる材料で中間要素の各々を構築することができる。その後、この材料は、要素110及び120、120及び130、並びに130及び110をそれぞれ互いに接着して単一の新たな構成部品(一体化した構成部品など)を形成する第2の状態に変化することができる。
【0017】
個々の部品要素を互いに接続するには、様々な方法を使用することができる。例えば、ともに組み立てた複数の部品要素に、機械的留め具、コネクタ、又はその他のコネクタ片を結合することができる。コネクタ片は、接続される要素に関連するあらゆる好適なサイズを有することができる。場合によっては、コネクタ片の1又はそれ以上の部分が要素の側面に沿って延び、或いは(例えば、図1に関連して上述した外周部材要素などの2つの要素の端部同士を接続する場合)要素の断面により定められる境界を越えて別様に延びることができる。場合によっては、機械的留め具又はコネクタの代わりに、又はこれらに加えて接着剤を使用することもできる。例えば、接続する構成部品間に接着剤層を配置することができる。接着剤層は、例えば、液体又はペースト状接着剤、テープ、熱ベースの接着剤、又はこれらの組み合わせなどを含むあらゆる好適な方法を使用して設けることができる。いくつかの実施形態では、要素が確実に正しく接続されるように、接着剤層の厚み又は幅を抑える(例えば、要素間の空間を減らす)ことができる。接着剤の層が厚くなると、曲げ、圧縮、剥離、引張、又はこれらのいくつかの強度が限られるので、この厚み又は幅の抑制は、接着剤の機械的特性によって行うこともできる。
【0018】
これらの方法は、要素を互いに結合するためには有効であり得るが、構成部品の輪郭を(例えば、接続される要素の断面を越えて)増やす必要性が生じること、或いはコネクタの幅又はサイズが制限される(例えば、要素間にフィルム層しか認められない)こともある。また、これらの方法のいくつかは、結果として得られる構成部品が確実に高い公差内で製造されるように、個々の要素が精密に(例えば、高い公差で)製造されることを必要とする場合がある。図2は、本発明の1つの実施形態による例示的な電子装置部品の概略図である。構成部品200は、第1の要素210及び第2の要素212で構築することができ、これらの要素を中間要素220によって接続することができる。
【0019】
第1の要素210及び第2の要素212は、例えば、同じ又は異なる材料を含むあらゆる好適な材料で構築することができる。例えば、第1の要素210及び第2の要素212は、金属、プラスチック、複合材料、有機材料、又はこれらの組み合わせのうちの1又はそれ以上で構築することができる。場合によっては、要素の一方又は両方を導電材料で構築する(従って、装置内の回路の一部として使用する)こともできるが、装置の電気回路が正しく機能するように互いに電気的に絶縁する必要があり得る。このような場合、中間要素を絶縁材料又は誘電材料で構築して、第1の要素210と第2の要素212の間の間隙を電気信号が横切るのを防ぐことができる。いくつかの実施形態では、接続要素を導電材料と絶縁材料の組み合わせで構築して、絶縁材料を導電材料の間に配置することができる。或いは、絶縁材料内に1又はそれ以上の導電材料を埋め込むこともできる。
【0020】
構成部品の個々の要素は、あらゆる好適な方法を使用して配置することができる。例えば、個々の要素を、個々の要素の断面が互いに位置合わせされるように(例えば、要素が重ならないように)して位置合わせすることができる。別の例として、個々の要素を互いに対して、中間要素220の第1の要素及び第2の要素との接触面における部分の断面が、第1及び第2の要素の接触面における断面を越えて広がらないように配置することができる。
【0021】
中間要素220は、あらゆる好適なサイズを有することができる。例えば、中間要素220は、第1の要素210及び第2の要素212の一方又は両方に関連する長さと実質的に同じ又はこれよりも大きなサイズを含む、(例えば、第1の要素210と第2の要素212の間の距離を定める)あらゆる好適な長さを有することができる。或いは、中間要素220の長さを、第1の要素210及び第2の要素212の一方又は両方に関連する長さより短くすることもできる(ただし、0.5mm又は1mmなどの、少なくとも0.25mm)。いくつかの実施形態では、中間要素220の長さ又は形状を、中間要素材料の機械的特性に基づいて選択することができる。例えば、中間要素は、要素間の領域内で可変の幅又は断面を含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、中間要素220のサイズ又は形状を、異なる構成部品間で変化させることができる。例えば、第1の要素210及び第2の要素212の一部又は全部を比較的低い公差で構成して、アームの長さ、又は第1及び第2の要素の中間要素と接して配置される部分を変更できるようにすることができる。具体的には、第1の要素210及び第2の要素212を最初に低い公差で製造し、その後、高い公差の固定具内に配置することができる。この第1の要素と第2の要素の間に中間要素220を配置することができる。第1の要素210と第2の要素212の間に中間要素220を接続するために使用する材料及び処理は、最初にこの材料が間隙又は空間を満たし、或いは第1の要素と第2の要素の間の接触面に及ぶことができる第1の状態で材料を提供できるように選択することができる。例えば、この材料を、中間要素内に成形できるように液体又は(柔らかい粘土様の状態などの)成形可能な固体として提供することができる。いくつかの実施形態では、固定具が、中間要素の表面内に境界及び(突起又は戻り止めなどの)特徴部を定めることができる。
【0023】
中間要素の材料は、第1の要素と第2の要素の間に正しく配置される(例えば、要素間の間隙を満たす)と、材料が第1及び第2の要素の両方に接着してこれらを構造的にしっかりと接着(例えば、機械的に接着)する(例えば、第1の要素と第2の要素の間に中間要素が組み込まれる)第2の状態に変化することができる。例えば、材料が硬化して、第1の要素と第2の要素の間に構造的完全性を与えることができる。この材料は、第1の状態の間は第1の要素と第2の要素の間のあらゆる間隙内に流れ込むことができるので、これらの要素の製造公差が低いことに起因する第1及び第2の材料の製造上のばらつきを吸収又は排除できる一方で、結果として得られる構成部品が個々の構成部品よりも高い精度で構築されることを確実にする。
【0024】
また、この方法は、第1及び第2の要素を構築するために必要な複雑性及び緻密性を低下させることができる。具体的には、第1の状態では中間要素の材料が流れることができるので、この材料は、第1及び第2の要素の各々の特徴部の周囲、並びに(以下で説明するような)第1及び第2の要素の各々の特徴部に流れて、材料が第1及び第2の要素の各々にしっかり結合されることを確実にすることができる。さらに、この方法は、第1及び第2の要素の各々の露出された表面に沿う不完全性及びその他の製造アーチファクトを許容することができる。実際に、第1及び第2の要素の向かい合う面は、係合又は近接配置される必要がないので(例えば、別様に接着剤を必要とするので)、対応する特徴部を有する必要がない。或いは、金型に注入された材料が特徴部の周囲に流れて、これらの特徴部のあらゆるオフセット又はずれに対応することができる。
【0025】
第1の要素と第2の要素の間の中間要素の材料を提供するため、及びこの材料の状態を第1の状態から第2の状態に変化させるために、あらゆる好適な処理を使用することができる。いくつかの実施形態では、最初に材料を液体状態で挿入して、その後硬化させる成形処理を使用することができる。例えば、射出成形処理、圧縮成形処理、トランスファー成形処理、押出成形処理、吹込み成形処理、熱成形処理又は真空成形処理、或いは回転成形処理のうちの1又はそれ以上を使用することができる。成形処理を使用すると、材料は、第1の要素210及び第2の要素212の周囲に流れて要素の不規則性及び欠陥に対応できる一方で、その後状態を変化させて構造的完全性を与え、公差度合いの高い一体部品を形成することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、成形処理の代わりに、又はこれに加えて蝋付け処理を使用することができる。例えば、第1の要素と第2の要素の間に誘電性の複合材料を蝋付けすることができる。1つの実施構成では、接続する第1の要素と第2の要素の間の固定具内に複合材料を配置して加熱し、この複合材料が溶けて導電性要素間の領域を満たす(例えば、毛管現象又は湿潤法によって導電性要素間に分散される)ようにすることができる。例えば、固定具及び複合材料を加熱した表面に接触させて配置し、複合材料が加熱されて流れるようにすることができる。この複合材料が導電性要素間の領域を満たした時点でこれを冷却して、複合材料と導電性要素の各々の間にしっかりとした接着状態を形成することができる。例えば、トーチ蝋付け、炉内蝋付け、蝋付け溶接、真空蝋付け、又は浸漬蝋付けなどを含むあらゆる好適な種類の蝋付けを使用することができる。充填材としては、例えば、プラスチック、ゴム、有機複合材料、非導電性金属合金、又はこれらの組み合わせなどの、様々な特定の誘電性又は絶縁性複合材料を含むあらゆる好適な複合材料を挙げることができる。さらに、導電性要素の内面に沿った特徴部の形状を、蝋付けの接着性を高めるように選択及び設計することもできる。
【0027】
中間要素によって接続される要素は、要素と中間要素の間の接着性を高めるためのあらゆる好適な特徴部を含むことができる。図3A図3Cは、本発明のいくつかの実施形態による、中間要素を含む例示的な構成部品の概略的な平面図である。図3A図3Cに示す構成部品は、中間要素によって互いに接続された第1及び第2の要素を含む。第1及び第2の要素は、中間要素による接着性を高めるためのあらゆる好適な特徴部を含むことができる。いくつかの実施形態では、これらの要素が、互いに噛み合う接触面を提供する、又は中間要素を第1及び第2の要素に接着するために必要な表面積を増やす1又はそれ以上の内部特徴部を含むことができる。例えば、要素は、(球状又は円筒状の凹部又は突起などの)湾曲した内部特徴部を含むことができ、この中又はこの周囲に中間要素からの材料が広がって、表面張力に基づく力を高めることができる。別の例として、要素は、中間要素が第2の状態に移行した時点で中間要素の対応する特徴部に係合できる1又はそれ以上の開口部、穴、鉤、又はその他の特性を有する(中に中間要素の支柱を延ばすことができる第1の要素の穴などの)特徴部を有することができる。いくつかの実施形態では、特徴部が、例えば、凹型の特徴部と突出した特徴部の間の接触面又はこの付近における凹型の端部などの互いに噛み合う特性を含み、この凹型の縁部が、中間要素からの材料が流れ込むことができる鉤部を形成するようにすることができる。
【0028】
図3Aに示す構成部品300は、中間要素306を使用して第1の要素302と第2の要素304を接続することにより構築することができる。第1の要素302と中間要素306の間の接着性を高めるために、第1の要素302は、第1の要素の中間要素306と接する表面からチャネル309によってアクセス可能な開口部308を第1の要素の本体内に含むことができる。同様に、第2の要素302は、第1の要素の中間要素306と接する表面からチャネル311によってアクセス可能な開口部310を第2の要素の本体内に含むことができる。これらの開口部及びチャネルは、例えば、開口部よりもチャネルの方が小さくなるように選択された形状を含む、あらゆる好適なサイズ又は形状を有することができる。これにより、開口部に流れ込む中間要素306の材料が、チャネルを通じて逆方向に戻れないことを確実にし、従って中間部品の保持力を高めることができる(例えば、貫通孔又は開口部がアンダーカット部又はインターロック部を形成する)。開口部は、例えば湾曲又は傾斜した断面、又は可変断面を含むあらゆる好適な形状を有することができる。開口部は、(例えば、開口部内に広がる中間要素の材料が要素の外面に露出するのを防ぐために)例えば要素の内部のみなどを含む、第1又は第2の要素の一部又は全部を貫通して延びることができる。
【0029】
図3Bに示す構成部品320は、中間要素326を使用して第1の要素322と第2の要素324を接続することにより構築することができる。第1及び第2の要素に対する中間要素326の接着性を高めるために、中間要素326は、第1及び第2の要素の断面を越えて広がる流出部分328を含むことができ、この流出部分は、第1及び第2の要素の(構成部品内の互いに向かい合う接触面以外の表面などの)露出表面に接する。流出部分328は、例えば、頂面、底面、前面又は背面の1又はそれ以上のみを覆って、及び/又は第1及び第2の要素の一方のみに沿って、又はこれらの様々な組み合わせを含む、第1及び第2の要素のあらゆる好適な表面を覆って広がることができる。
【0030】
図3Cに示す構成部品340は、中間要素346を使用して第1の要素342と第2の要素344を接続することにより構築することができる。第1の要素342及び第2の要素346は、構成部品300に関連して上述したように、開口部348及び330、並びにチャネル349及び331をそれぞれ含むことができる。開口部348及び330が、均一かつ一貫した要素の外面を維持しながら第1及び第2の構成部品の高さ全体を通じて広がるようにするために、第1及び第2の要素は、要素の表面から広がる斜面343及び345をそれぞれ含むことができる。例えば、この斜面は、構成部品を含む装置の内部容積内に広がるように、要素の内面から広がることができる。この斜面は、例えば、各要素の本体の高さに一致する高さ、又は本体の高さよりも低い高さなどを含む、あらゆる好適な高さを有することができる。具体的には、この斜面を、第1及び第2の要素の頂面及び底面に対して凹ませることができる。開口部348及び330は、要素の本体の代わりに又はこれに加えて、斜面内に広がることができる。
【0031】
しかしながら、製造過程の結果、要素と、要素を接続するために使用する材料(中間要素の材料など)との間の接触面が不連続になることがあり、又は余剰材料を含むこともある。例えば、成形処理の一部として材料が金型に注入されるときに、金型の継ぎ目を通じて余剰材料が漏れ出ることがあり、また中間要素と第1及び第2の要素の一方との間の接触面の境界を越えて広がることもある。別の例として、(材料が第1の状態から第2の状態に変化する場合などの)接続処理中に冷却又は加熱されたときに、材料が歪むこと又は変形することがある。結果として得られる構成部品は、異なる材料間の接触面が不規則になることがある。図4は、本発明の1つの実施形態による、材料特性の異なる複数の要素で構築された例示的な構成部品の概略図である。構成部品400は、中間要素420を使用して第1の要素410と第2の要素412を接続することにより構築することができる。
【0032】
第1の要素410及び第2の要素412、並びに中間要素420は、例えば少なくとも2つの異なる材料を含むあらゆる好適な材料で構築することができる。例えば、第1の要素410及び第2の要素412を第1の材料で構築し、中間要素420を第2の材料で構築することができる。選択する材料は、例えば、弾性、張力、圧縮力、剪断力、降伏力、延性、ポワゾン比、又はこれらの組み合わせの異なるモジュールなどを含む、異なる機械的特性を有することができる。いくつかの実施形態では、これらの代わりに又はこれらに加えて、材料が、異なる電気的特性、熱的特性、化学的特性、磁気的特性、光学特性、音響特性、放射線特性、又は(機械加工速度及び供給、機械加工指数、硬度、押出又は成形温度及び圧力、又は可鍛性などの)製造特性を有することができる。例えば、第1及び第2の要素を硬い材料(又はより柔らかい材料)で構築し、中間要素を柔らかい材料(又はより硬い材料)で構築することができる。別の例として、第1及び第2の要素を導電材料で構築し、中間要素を絶縁材料で構築することができる。さらに別の例として、第1の要素を熱伝導性材料で構築し、第2の要素及び中間要素を熱絶縁材料で構築することができる。
【0033】
中間要素420を使用して第1の要素410と第2の要素412を接続するために使用する製造過程では、要素間の所望の境界又は接触面(例えば、第1の要素410及び第2の要素412との接触面近くに位置する中間要素420の領域が、第1の要素410及び第2の要素412の断面内にそれぞれ収まるような、第1の要素410及び第2の要素412の外面と一致する境界など)を越えて余剰材料が広がることがある。具体的には、成形された中間要素420が、第1の要素と中間要素420の間、及び第2の要素412と中間要素420の間の接触面の周囲に(鋳張りなどの)望ましくない余剰材料を含むことがある。例えば、中間要素420は、要素の底面及び頂面に沿った余剰材料421及び422、及び要素の左面に沿った材料423を含むことがある。余剰材料は、例えば、構成部品の全ての外面の周囲など(図1に示すような外周部材の内面、外面、頂面及び底面の周囲など)を含む、構成部品の1又はそれ以上の表面の境界を越えて広がる場合がある。構成部品400の頂面及び底面上の最終的な境界402及び404を越えて広がる材料は望ましくない場合があり、除去する必要があり得る。外観上魅力的な最終構成部品を提供するために、少なくとも中間要素の余剰材料、及び場合によっては、第1及び第2の要素の余剰材料も同様に除去することができる。
【0034】
結果として得られる構成部品が外観上魅力的であることを確実にするために、要素410及び412に、接続要素420と接続する前に仕上げ処理を行うことができる。例えば、最初に要素410及び412が余剰材料(0.2mmの余剰材料など)を有するように形成して、要素が滑らかな又は連続する外観表面を有することを確実にするためにこの余剰材料を除去することができる。しかしながら、場合によっては、要素410及び412を接続要素に結合する前に、その外面に完全に仕上げ処理を行えないこともある。或いは、表面から一部の余剰材料(わずか0.05mmの余剰材料を残したほとんどの余剰材料など)しか除去できないこともある。構成部品を完成させるためには、要素の外面上の残りの余剰材料を除去する必要があり得る。具体的には、第1の要素410が余剰材料411を含み、第2の要素412が余剰材料413を含むことがある。余剰材料は、継ぎ目、(例えば、冷間加工による)工具傷、顆粒状粒子、突起又は隆起、又はこれらの組み合わせなどを含むあらゆる好適な形状を有することができる。余剰材料は、例えば中間要素との接触面付近又はここから離れた領域を含む、要素のあらゆる好適な表面上に位置することができる。
【0035】
第1の要素410及び第2の要素412に仕上げ処理が行われない場合、中間要素420を含む第1の要素410と第2の要素412の組み合わせを処理して余剰材料を除去し、外観上魅力的な仕上げを行うことができる。この方法では、第1の要素410、第2の要素412及び中間要素420に1回の仕上げステップを使用すればよいので、構成部品を製造するために必要な製造ステップの回数を制限することができる。要素を同時に仕上げるために、あらゆる好適な処理を使用することができる。例えば、構成部品400に研削加工又はその他のこのような処理を施して、異なる材料で構築された要素を含む要素の全てから余剰材料を除去することができる。その他の仕上げ処理としては、例えば、機械加工、タンブリング、エッチング、電気メッキ、陽極酸化処理、電解研磨、研磨、サンドブラスト、又はこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、第1の要素、第2の要素、及び中間要素のうちの1又はそれ以上の製造過程において、(例えば、図4に示すように)構成部品上に余剰材料を意図的に残すことができる。この方法を使用すれば、構成部品全体に1回の仕上げ処理を使用して、結果として得られる構成部品が工業的設計配慮を確実に満たすようにすることができる。具体的には、(仕上げ処理後の)最終的な構成部品は、構成部品の要素間の接触面又は継ぎ目にわたる連続表面を有することができる。
【0037】
図4の例には、第1及び第2の要素と中間要素の間の平坦な又は平面的な表面を示しているが、1回の処理を使用してあらゆる好適な形状の表面から余剰材料を除去できると理解されよう。例えば、湾曲した表面又は丸みを帯びた表面に1回の処理を施すことができる。別の例として、1又はそれ以上の傾斜断面を有する表面(例えば、長方形断面の角部周辺など)に1回の処理を施すことができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、構成部品内の(対応する異なる材料特性を有する)要素全てに一様に1回の仕上げ処理を施すことができる。例えば、要素全てに単一の切断ツールを適用することができる。別の例として、構成部品の表面に単一の研削機を適用することができる。或いは、構成部品の異なる表面に複数のツール又は研削機を適用することもできる。例えば、要素の機械的特性の違いを考慮するために、金属要素とプラスチック要素に異なるツールを適用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、要素の各々に単一の処理又はツールを使用することができる。場合によっては、要素の1つの材料特性(柔らかい材料など)に対応する設定を使用した処理又はツールを適用して、耐性の低い材料に汚れ又はその他の損傷が及ぶのを防ぐことができる。或いは、単一の処理又はツールを異なる設定で使用することもできる。例えば、構成部品に作用するツールに異なる力を印加することができる。別の例として、研削機を異なる速度で回転させ、又は構成部品を異なる力で押圧することができる。仕上げ処理は、あらゆる好適な方法を使用して調整することができる。いくつかの実施形態では、機械加工装置が、処理する材料の種類を検出するための1又はそれ以上のセンサを含むことができ、この検出した材料に基づいて材料を処理する態様を調整することができる。或いは、操作者が、組み立てた構成部品内の処理する各要素の材料の種類を指定することもできる。装置が処理設定を自動的に調整することもでき、或いはユーザが設定を手動で変更することもできる。
【0040】
図5は、本発明の1つの実施形態による、複数の要素を接続することによって構築される構成部品の前面及び背面から余剰材料を除去するための例示的なアセンブリの概略図である。構成部品500は、(中間要素を形成できる)材料505を使用して第1の要素510と第2の要素520を互いに接続することにより構築することができる。いくつかの実施形態では、余剰材料505が、第1の要素510と第2の要素520の間の間隙508の境界を越えて広がることがある。具体的には、余剰材料506が、第1の要素510の前面511、及び第2の要素520の前面521を越えて広がることがあり、余剰材料507が、第1の要素510の背面512、及び第2の要素520の下面522を越えて広がることがある。余剰材料は、構成部品500の外観に悪影響を与えることがあり、場合によっては、これに加えて又はこれの代わりに、(応力点を形成したりして)構成部品の構造的完全性に影響を及ぼすことがある。いくつかの実施形態では、材料505を提供するために使用するツールが、余剰材料が特定の平面に沿って接触面を越えて広がるのを防ぐ(例えば、余剰材料507を防ぐ)ことができる。このような場合、余剰材料を除去して外観的に容認できる構成部品を実現するために必要な動作が少なくて済む。
【0041】
余剰材料506及び余剰材料507を除去するために、余剰材料に研磨又は切断ツール540及び542を適用することができる。例えば、切断ツール540を、前面511及び521に向けて(例えば、余剰材料506に向けて)方向550に動かすことができる。別の例として、背面512及び522の一方又は両方の上に切断ツール540を実質的に載せ、表面に沿って方向552に横向きに動かして、表面レベルを越えて広がる余剰材料507を除去する(例えば、成形中に金型の継ぎ目から漏れ出た、成形要素の望ましくない追加材料を構成する鋳張りを除去する)ことができる。いくつかの実施形態では、(両切断ツール540及び542を、例えば同時に使用する代わりに又はこれに加えて)要素510及び520の前面及び背面上に単一の切断ツールを連続的に使用することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、対向する側壁を有する(例えば、ループを形成する)構成部品に、研磨、切断、又は材料を除去するためのその他の処理を適用して、構成部品の内面及び外面から材料を同じ又は異なる時点で除去できるようにすることができる。具体的には、(図1に示すような外周部材などの)リング形状の構成部品にこの処理を適用することができる。図6は、本発明の1つの実施形態による、閉リング部品から余剰材料を除去するための例示的なアセンブリの概略図である。構成部品600は、リングを形成するように互いに結合された別個の要素610、620及び630で構築することができる。具体的には、中間要素605を使用して要素610と620を結合することができ、中間要素606を使用して要素620と630を結合することができ、中間要素607を使用して要素630と610を結合することができる。要素610、620及び630の各々は、組み合わせた構成部品がループを形成できるようにするために、湾曲した又は角度のある部分を含むことができる。中間要素605、606及び607は、鋳造、蝋付け、又は上述したその他の方法などを含むあらゆる好適な方法を使用して要素610、620及び630の各々に結合することができる。具体的には、中間要素605、606及び607の各々に使用する(単複の)材料を、要素間に配置される第1の状態から要素を確実に接続する第2の状態に変化するように選択することができる。構成部品要素を接続するために使用する製造方法に起因して、中間要素605、606及び607のいくつかの部分が所望の境界又は接触面を越えて広がり、除去を必要とする場合がある。場合によっては、これの代わりに又はこれに加えて、要素610、620及び630のうちの1又はそれ以上が、要素の1又はそれ以上の所望の完成表面を越えて広がる余剰材料を含む場合がある。
【0043】
要素610、620及び630、及び中間要素605、606、及び607のうちの1又はそれ以上の余剰材料を除去するために、構成部品600の内面及び外面に沿って、例えば図5に関連して上述したような研磨又は切断ツール640及び642を適用することができる。これらのツールは、例えば、構成部品の表面に対して垂直方向又は構成部品の表面に対して接線方向を含む、(例えば、構成部品600の形状に従う)あらゆる好適な方向に動くことができる。ツール640及び642は、同時又は順次(この場合は1つのツールしか使用できない)などを含むあらゆる好適な時点で適用することができる。切断ツールは、例えば、要素610、620及び630から材料を除去すること、又は中間要素から材料を除去することを含め、構成部品600を構築するために使用される1又はそれ以上の要素から材料を除去して、結果として得られる構成部品が、要素間の継ぎ目又は接触面にわたって滑らかかつ連続的な表面を有するようにすることができる。
【0044】
図7は、本発明の1つの実施形態による、異なる材料の要素で構築される構成部品を仕上げるための例示的な処理のフロー図である。処理700は、ステップ702から開始することができる。ステップ704において、第1及び第2の要素を提供することができる。第1及び第2の要素は、同じ又は異なる材料で、或いは同じ又は異なる特性(機械的特性又は製造特性など)を有する材料で構築することができる。例えば、第1及び第2の要素を(例えば、冷間加工を使用して)金属で構築することができる。ステップ706において、中間要素を使用して第1の要素と第2の要素を接続することができる。中間要素は、例えば、第1、第2の要素及び中間要素のうちの少なくとも2つが異なる特性を有する材料で構築されるように選択した材料を含むあらゆる好適な材料で構築することができる。例えば、中間要素をプラスチックで構築することができる。この中間要素に、例えば上述したような鋳造又は蝋付けを使用することを含むあらゆる好適な方法を使用して第1の要素と第2の要素を接続することができる。場合によっては、第1の要素と第2の要素の間に中間部材を第1の状態で提供し、その後これが第2の状態に変化して、第1の要素と第2の要素の間に構造接着を形成することができる。ステップ708において、単一のツールを使用して第1、第2の要素及び中間要素を処理し、要素間の継ぎ目又は接触面にわたる均一な表面を定めることができる。例えば、異なる要素間の接触面を有する構成部品の平面又は表面上に、単一のツール又は処理を適用することができる(例えば、前面及び背面などの異なる平面又は表面には異なるツールを使用できるが、特定の平面又は表面には単一のツールしか使用できない)。場合によっては、第1、第2の要素及び中間要素を、(工業的設計配慮によって生じる形状などの)所望の最終形状又は表面特性を形成するように処理することができる。例えば、要素に研磨又は切断ツールを適用して、要素の表面及び要素間の接触面を処理することができる。いくつかの実施形態では、要素に使用する材料、又は要素に使用する材料の特性に基づいて、要素ごとにツールの設定を調整することができる。処理700は、ステップ710において終了することができる。
【0045】
図8は、本発明の1つの実施形態による仕上げ装置の設定を調整するための例示的な処理のフロー図である。処理800は、ステップ802から開始することができる。ステップ804において、互いに接続された複数の構成部品要素で構築された電子装置部品を仕上げ装置内に配置することができる。仕上げ装置は、例えば、構成部品に外観上魅力的な仕上げを施し、又は構成部品から余剰材料を除去できる機械又は製造過程を含むことができる。例えば、構成部品要素のうちの1つの材料特性を使用することを含むあらゆる好適な方法を使用して、個々の構成部品要素を接続することができる。例えば、これらの構成部品要素のうちの1つは、この構成部品要素が他の構成部品要素間を流れる第1の状態から、この構成部品要素が他の構成部品要素を構造的に接続して一体部品を形成する第2の状態に変化することができる。ステップ806において、装置が、仕上げ装置のツールに向き合って配置された構成部品要素を検出することができる。例えば、装置は、この装置が処理する構成部品の特定の部分を検出することができる。ステップ808において、装置が、検出した構成部品要素の材料を識別することができる。例えば、装置は、この装置が使用する(光学センサなどの)センサから材料を識別することができる。別の例として、装置は、構成部品の特定の領域を決定し、ユーザにより提供された構成部品の記述から材料を検索する(例えば、この領域が小型の構成部品要素に対応し、この構成部品要素がプラスチックで構築された中間要素であることを認識する)ことができる。さらに別の例として、ユーザが、材料に関する情報を仕上げ装置に直接提供することもできる。いくつかの実施形態では、これの代わりに又はこれに加えて、装置が、(例えば、実際の材料の代わりに又はこれに加えて)構成部品にツールを適用する方法に関連する特定の材料特性を識別することができる。
【0046】
ステップ810において、装置が、識別した材料に対応する設定を選択することができる。例えば、装置は、特定のツール、力、又は装置のその他の設定を材料に基づいて選択することができる。具体的には、構成部品要素に印加する力の量を、構成部品要素の材料特性に基づいて変化させる(例えば、柔らかい材料には少ない力を印加する)ことができる。いくつかの実施形態では、装置が、最も柔らかい又は抵抗性の低い構成部品要素の材料に対応する装置の設定を選択することができる。ステップ812において、装置が、この選択した設定を使用して、検出した構成部品要素を処理することができる。例えば、装置は、装置の設定から決定された力及び速度で構成部品要素にツールを適用することができる。ステップ814において、装置が、新たな構成部品要素が検出されたかどうかを判断することができる。例えば、装置は、ツールが動いたときに、このツールが新たな構成部品要素に到達したかどうかを判断することができる。場合によっては、これの代わりに又はこれに加えて、装置が、新たな材料が検出されたかどうかを判断することができる。装置が、新たな構成部品要素が検出されたと判断した場合、処理800はステップ808へ進み、この新たな構成部品要素の材料を識別することができる。
【0047】
或いは、ステップ814において装置が新たな構成部品要素を検出しなかった場合、処理800はステップ816へ進むことができる。ステップ816において、装置が、仕上げ装置によって構成部品全体が仕上がったかどうかを判断することができる。装置が、構成部品全体が仕上がってないと判断した場合、処理800はステップ812へ戻り、現在の構成部品要素を処理し続けることができる。或いは、ステップ816において、装置が、構成部品が完全に仕上がったと判断した場合、処理800はステップ818において終了することができる。
【0048】
上述の実施形態は、例示目的で示したものであって限定ではない。本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、実施形態の1又はそれ以上の特徴を別の実施形態の1又はそれ以上の特徴と組み合わせてシステム及び/又は方法を提供することもできると理解されたい。
【符号の説明】
【0049】
100:外周部品
101:外面
102:左面
106:頂面
108:底面
110:大型L字型要素
112:接触面
114:中間要素
120:小型L字型要素
122:接触面
124:中間要素
130:U字型要素
132:接触面
134:中間要素
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】