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  • 特開-化粧シート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033350
(43)【公開日】2023-03-10
(54)【発明の名称】化粧シート
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/36 20060101AFI20230303BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
B32B27/36
C08J5/18 CFD
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022211252
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2018230903の分割
【原出願日】2018-12-10
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】金子 純
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慎太郎
(57)【要約】
【課題】再生樹脂の含有割合を高めることが可能であり、かつ明度が高く、色調のムラが少なく、強度低下や表面の美観の低下を抑制可能であり、更に接着性の低下を防止することが可能な化粧シートを提供する。
【解決手段】PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分、および白色系顔料を含む第1層と、前記第1層の一面側に重ねて配され、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが25μm以上、75μm以下の範囲である第2層と、前記第1層の他面側に重ねて配され、バージン樹脂を80質量%以上含む第3樹脂成分を有し、白色系顔料が前記第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分、および白色系顔料を含む第1層と、
前記第1層の一面側に重ねて配され、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが25μm以上、75μm以下の範囲である第2層と、
前記第1層の他面側に重ねて配され、バージン樹脂を80質量%以上含む第3樹脂成分を有し、白色系顔料が前記第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記第1層に含まれる白色系顔料は、前記第1樹脂成分100質量部に対して5質量部以上、15質量部以下の範囲であり、
前記第2層に含まれる白色系顔料は、前記第2樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上、15質量部以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
【請求項3】
前記第2樹脂成分には、前記再生PET系樹脂を30質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする請求項1または2記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第3樹脂成分は、前記再生PET系樹脂を5質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項記載の化粧シート。
【請求項5】
前記第2層の表面側において、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*が92以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項記載の化粧シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
壁材、床材、建具(扉、戸等)、家具、シンク台、洗面化粧台等の表層に用いられる化粧シートとしては、かつてはポリ塩化ビニルシートが主流であった。近年、環境問題への関心の高まりから、化粧シートとしては、ポリエチレン等のポリオレフィンを主体とするシートやポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」とも記す。)等のポリエステルを主体とするシートが主流となっている。また、廃プラスチックからなる再生樹脂を用いた化粧シートの開発が強く要望されている。
しかし、再生樹脂は様々な色に着色されたものが多く、再生樹脂を用いた化粧シートは、色にバラツキが生じやすい。
【0003】
再生樹脂を用い、かつ色のバラツキが抑えられた化粧シートとしては、下記のものが提案されている。
(1)再生ポリ塩化ビニルシートと、着色層を有する新生ポリ塩化ビニルシートとをラミネートした化粧シート(特許文献1を参照)。
(2)再生ポリエステル3~70質量%とバージンポリエステル30~97質量%とからなるポリエステルに対して、着色顔料を0.1~30質量%含む化粧シート(特許文献2を参照)。
しかし、(1)、(2)の化粧シートは、色のバラツキを抑えるため、バージン樹脂(新生樹脂)原料の割合を多くする必要があり、再生樹脂の割合が低い。
【0004】
再生樹脂の割合の高いシートとしては、下記のものが提案されている。
(3)再生PET/再生ポリエチレン/相溶化剤/青色顔料=85/15/5/1質量比の樹脂層(化粧シートに相当)が鋼板の表面にラミネートされた化粧板(特許文献3の段落[0148]を参照)。
(4)再生PET100質量部に、特定の結合材3~10質量部、および酸化チタンからなる改質剤2~5質量部を配合した再生プラスチックシート(特許文献4を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭56-080417号公報
【特許文献2】特開平11-130877号公報
【特許文献3】特開2009-030062号公報
【特許文献4】特開2002-348448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に開示された化粧板における樹脂層は、再生樹脂による色のバラツキを抑えるため、青色に着色されている。このため、特許文献3の化粧板における樹脂層のような配合の場合は、再生樹脂による色のバラツキが判別しにくい濃い青色、黒色、灰色等の明度の低い色に限定されてしまい、白色、淡色等の明度の高い色の採用が困難である。
【0007】
また、特許文献4に開示された再生プラスチックシートは、冷却塔用充填材として用いることを前提としており、酸化チタンは、耐候性を付与するための改質剤として少量添加されている。こうした酸化チタンの含有量が少ない再生プラスチックシートも、化粧シートとして利用する場合、明度が低くなるために白色、淡色等の明度の高い色を採用できない。また、シートの向こう側が透けてしまい、化粧シートとしての隠蔽性が不十分である。また、原料ロット間やシートの場所ごとの色のバラツキが大きく、均一な色調にすることが困難である。
【0008】
さらに、特許文献3や特許文献4に開示されたような、再生樹脂の含有割合を高めた化粧板や再生プラスチックシートは、再生樹脂原料に含まれる微細な異物や不純物が溶剤や薬品(酸・塩基)に曝された時にクラックの起点となりやすく、化粧シートの美観や強度を低下させる原因となっていた。
【0009】
また、特許文献3や特許文献4に開示されたような、再生樹脂の含有割合を高めた化粧板や再生プラスチックシートは、再生樹脂が壁面に対する接着性を低下させる原因となっていた。
【0010】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、再生樹脂の含有割合を高めることが可能であり、かつ明度が高く、色調のムラが少なく、強度低下や表面の美観の低下を抑制可能であり、更に接着性の低下を防止することが可能な化粧シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、下記の態様を有する。
<1>PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分、および白色系顔料を含む第1層と、前記第1層の一面側に重ねて配され、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが25μm以上、75μm以下の範囲である第2層と、前記第1層の他面側に重ねて配され、バージン樹脂を80質量%以上含む第3樹脂成分を有し、白色系顔料が前記第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下であることを特徴とする化粧シート。
<2>前記第1層に含まれる白色系顔料は、前記第1樹脂成分100質量部に対して5質量部以上、15質量部以下の範囲であり、前記第2層に含まれる白色系顔料は、前記第2樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上、15質量部以下の範囲であることを特徴とする<1>記載の化粧シート。
<3>前記第2樹脂成分には、前記再生PET系樹脂を30質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする<1>または<2>記載の化粧シート。
<4>前記第3樹脂成分は、前記再生PET系樹脂を5質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする<1>ないし<3>いずれか記載の化粧シート。
<5>前記第2層の表面側において、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*が92以上であることを特徴とする<1>ないし<4>いずれか記載の化粧シート。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、再生樹脂の含有割合を高めることが可能であり、かつ明度が高く、色調のムラが少なく、強度低下や表面の美観の低下を抑制可能であり、更に、接着性の低下を防止することが可能な化粧シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の化粧シートの層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「L*」は、JIS Z 8781-4:2013「測色-第4部:CIE 1976
L*a*b*色空間」(対応国際規格ISO 11664-4:2008)に定義される明度の相関量である。
「a*」および「b*」は、JIS Z 8781-4:2013「測色-第4部:CIE 1976 L*a*b*色空間」(対応国際規格ISO 11664-4:2008)に定義される色座標である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
【0015】
以下、本発明の一実施形態の化粧シートについて説明する。なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0016】
<化粧シート>
図1は、本発明の一実施形態の化粧シートの層構成を示す断面図である。
本実施形態の化粧シート10は、第1層11と、この第1層11の一面11a側に重ねて形成された第2層12と、第1層11の他面11b側に重ねて形成された第3層13とを有する複層構成とされている。この実施形態では、化粧シート10は、第3層13側が、例えは接着層14を介して壁面Wに取り付けられ、第2層12側が外部に露呈される。
【0017】
(第1層)
第1層11は、PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分と、白色系顔料とを少なくとも含んでいる。なお、第1層11は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて第1樹脂成分および白色顔料以外の成分(以下、「他の成分(第1層)」とも記す。)を含んでいてもよい。
【0018】
「第1樹脂成分(第1層)」
第1樹脂成分は、PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含んでいる。また、第1樹脂成分は、再生PET系樹脂以外の樹脂(以下、「他の樹脂(第1層)」とも記す。)を例えば30質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
【0019】
また、化粧シート10全体の質量に対して、再生PET系樹脂は25質量%以上含まれていることも好ましい。再生PET系樹脂が25質量%未満では、後述する第2層12に含まれるバージン樹脂の割合が相対的に多くなり、環境対策として再生PET系樹脂を使用する意義が低下する。
【0020】
再生PET系樹脂は、PETボトルに由来する再生樹脂であり、安価でかつ入手しやすい点から、PETボトルの粉砕物が好ましい。再生PET系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲において、PETボトルに付属していたラベル(印刷・接着剤等を含む)、キャップ等の粉砕物を含んでいてもよい。
【0021】
例えば、日本国においては、再利用品の品質低下を防ぐために、以下に説明する自主設計ガイドラインに、指定PETボトルについては、PET単体(PET主材以外の物質を添加、複合等をして用いていない。)と定められ、着色はしない(口栓部の結晶化による白色は除く。)と定められている。したがって、現在、日本国内では着色PETボトルは生産されておらず、海外で生産される日本国向けの着色PETボトルについても無着色PETボトルへの変更が要請されている(http://www.petbottle-rec.gr.jp/qanda/sec13.html)。
【0022】
日本国内で流通するPETボトルについては、国の指導を受けてPETボトルリサイクル推進協議会によって制定された「指定PETボトルの自主設計ガイドライン」に詳細が規定されている(http://www.petbottle-rec.gr.jp/guideline/jisyu.html)。
【0023】
こうした自主設計ガイドラインは、PETボトルリサイクル推進協議会が、資源有効利用促進法規定の指定表示製品(清涼飲料、乳飲料、酒類、特定調味料)に使用されているPETボトル(指定PETボトル)を、使用後の再処理、衛生性を含めた再利用適性に優れた容器とするために、使用するボトル、ラベル(印刷・接着剤等を含む)、キャップ等について規定したものである。
【0024】
PETボトルリサイクル推進協議会の会員(団体、企業)が自主設計ガイドラインを遵守することは当然として、会員以外においても、指定PETボトル入り飲料・酒類・特定調味料を製造・輸入・販売する場合、あるいは指定PETボトルおよび附属包材を製造・輸入する場合は、日本国内で販売・使用されるものであれば、自主設計ガイドラインに適合することが必要とされている。
【0025】
したがって、国内で流通するPETボトルは、無着色のものがほとんどであり、また、PETボトルに由来する再生PET系樹脂は、ほぼ透明である。
なお、再生PET系樹脂は、ほぼ透明であるものの、熱成形加工時に受ける熱履歴や、ラベル等の混在によって、黄黒い(CIE 1976 L*a*b*色空間におけるb*の値が高く、L*の値が低い)傾向にある。そのため、これまでは、明度が高い白色系や淡色系の化粧シートの材料に再生PET系樹脂を用いることは躊躇われていた。
【0026】
本発明においては、後述するように、第1層11に重ねて、外部に露出する第2層12を形成し、この第2層12にバージン樹脂を主体とする第2樹脂成分を含ませることで、明度の低下を気にせずに、高い白色や淡色の化粧シート10の構成材料として再生PET系樹脂を用いることを可能にしている。
【0027】
再生PET系樹脂の結晶化温度は、145℃以下が好ましく、120~145℃がより好ましく、125~140℃がさらに好ましい。
再生PET系樹脂の結晶化温度は、熱分析装置(示差走査熱量計(DSC)等)を用いて測定される。
【0028】
再生PET系樹脂の固有粘度(IV値)は、例えば、0.60以上が好ましく、0.65~0.85がより好ましく、0.70~0.83がさらに好ましい。再生PET系樹脂の固有粘度(IV値)が前記範囲の下限値未満では、顔料添加時の溶融粘度低下により、押出成形性に問題が生じるおそれがある。再生PET系樹脂の固有粘度(IV値)が前記範囲の上限値超では、粘度が高くて押出成形性に問題が生じるおそれがある。
再生PET系樹脂の固有粘度(IV値)は、JIS K 7390:2003に記載の試験方法によって測定される。
【0029】
再生PET系樹脂のCIE 1976 L*a*b*色空間におけるb*は、9以下が好ましく、-6~8がより好ましく、0~7がさらに好ましい。
再生PET系樹脂のb*は、JIS K 7390:2003に記載の試験方法によって測定される。
再生PET系樹脂の、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*は、65以上が好ましく、68以上がより好ましく、70以上がさらに好ましい。再生PET系樹脂のL*が前記範囲の下限値以上であれば、明度が高い白色や淡色の化粧シート10を製造しやすい。
【0030】
第1樹脂成分に含まれる他の樹脂(第1層)としては、白色顔料を含むマスターバッチに用いられる樹脂、化粧シートの色のバラツキを抑える、化粧シートの特性を改善する等の目的で添加された樹脂等が挙げられる。他の樹脂の具体例としては、バージンPET系樹脂、再生PET系樹脂以外の再生樹脂(ポリ塩化ビニルを除く。)、バージンPET系樹脂以外のバージン樹脂(ポリ塩化ビニルを除く。)等が挙げられる。
【0031】
「白色顔料(第1層)」
第1層11の白色顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、リトボン等が挙げられる。白色顔料としては、隠蔽力が高い点から、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン等が挙げられ、触媒としての活性が低い点から、ルチル型酸化チタンが好ましい。
【0032】
第1層11の白色顔料の含有量は、第1樹脂成分100質量部に対して5~15質量部であり、7~13質量部が好ましく、9~12質量部がより好ましい。後述する第2層12の下層となる第1層11に白色顔料を含ませることにより、外部に露呈する第2層12の厚みを薄くしても、色の透過によって化粧シート10の明度が低下することを防止できる。白色顔料の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、原料ロット間やシートの場所ごとの色のバラツキが少ない、明度が高い白色や淡色の化粧シート10が得られる。白色顔料の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、押出挙動異常(溶融粘度低下に伴う幅異常等)が抑えられ、化粧シート10を製造する際の成形性がよい。
【0033】
「他の成分(第1層)」
第1層11の他の成分としては、白色顔料以外の顔料、相溶化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、保存安定剤、滑剤、充填材等が挙げられる。
他の成分の含有量は、第1樹脂成分100質量部に対して15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
【0034】
(第2層)
第2層12は、バージン樹脂(新生樹脂)を70質量%以上含む第2樹脂成分と、白色系顔料とを少なくとも含んでいる。なお、第2層12は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて第2樹脂成分および白色顔料以外の成分(以下、「他の成分(第2層)」とも記す。)を含んでいてもよい。
【0035】
「第2樹脂成分(第2層)」
第2樹脂成分は、バージン樹脂を70質量%以上含んでいる。また、第2樹脂成分は、バージン樹脂以外の樹脂(以下、「他の樹脂(第2層)」とも記す。)を30質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
【0036】
バージン樹脂は、不純物を殆ど含まない樹脂原料から新規に製造された樹脂であり、第1層11に対する接合性を良好にする点から、エチレングリコールとテレフタル酸を主モノマーとする共重合体(PET,PET-G)、ポリカーボネート、ポリアクリル酸重合体が好ましい。
【0037】
化粧シート10のうち、第1層11を覆う第2層12の第2樹脂成分として、バージン樹脂を70質量%以上含ませることにより、外部に露出する第2層12の明度を、再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1層の明度よりも高めることができる。これにより、化粧シート10の全樹脂成分の25%以上の質量の再生PET系樹脂を用いた化粧シート10であっても、外観上、高い明度を保つことができる。
【0038】
第2樹脂成分に含まれる他の樹脂としては、白色顔料を含むマスターバッチに用いられる樹脂、化粧シートの色のバラツキを抑える、化粧シートの特性を改善する等の目的で添加された樹脂等が挙げられる。他の樹脂の具体例としては、バージンPET系樹脂以外のバージン樹脂(ポリ塩化ビニルを除く。)、再生PET系樹脂、再生PET系樹脂以外の再生樹脂(ポリ塩化ビニルを除く。)等が挙げられる。例えば、第2樹脂成分に含まれる他の樹脂として、再生PET系樹脂を30質量%以下の範囲で含むことができる。
【0039】
「白色顔料(第2層)」
第2層12の白色顔料としては、第1層11と同様に、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、リトボン等が挙げられる。白色顔料としては、隠蔽力が高い点から、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン等が挙げられ、触媒としての活性が低い点から、ルチル型酸化チタンが好ましい。
なお、第2層12の白色顔料は、第1層11の白色樹脂と同一のものを選択しても、あるいは互いに異なるものを選択しても良い。
【0040】
第2層12の白色顔料の含有量は、第2樹脂成分100質量部に対して5~15質量部であり、7~13質量部が好ましく、9~12質量部がより好ましい。白色顔料の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、原料ロット間やシートの場所ごとの色のバラツキが少ない、明度が高い白色や淡色の化粧シート10が得られる。白色顔料の含有量が前記範囲の上限値以下であれば、押出挙動異常(溶融粘度低下に伴う幅異常等)が抑えられ、化粧シート10を製造する際の成形性がよい。
【0041】
「他の成分(第2層)」
第2層12の他の成分としては、白色顔料以外の顔料、相溶化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、保存安定剤、滑剤、充填材等が挙げられる。
他の成分の含有量は、第2樹脂成分100質量部に対して15質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
【0042】
以上の様な組成の第2層12の厚みは、再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1層11を覆い、耐薬品性、耐溶剤性の低い第1層11への浸透を防ぐために、一定以上の厚みを有することが望ましい。
第2層12の厚み範囲としては、例えば、25~75μm、好ましくは25~40μmの範囲にする。
【0043】
こうした厚み範囲にすることで、化粧シート10のうち外部に露出する第2層12を介して、再生PET系樹脂を含む明度の低い第1層11が透けて、化粧シート10の外観上の明度が低下することを防止する。また、第2層12が厚すぎると、化粧シート10全体での再生PET系樹脂の使用割合が低下して、再生PET系樹脂を使用する意義が低下する。
【0044】
(第3層)
第3層13は、バージン樹脂(新生樹脂)を80質量%以上含む第3樹脂成分を少なくとも含んでいる。また、第3層13は、更に白色系顔料を、第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下の範囲で含んでいてもよい。更に、第3層13は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて第3樹脂成分や選択的に含まれる白色系顔料以外の成分(以下、「他の成分(第3層)」とも記す。)を含んでいてもよい。
【0045】
「第3樹脂成分(第3層)」
第3樹脂成分は、バージン樹脂を80質量%以上含んでいる。また、第3樹脂成分は、バージン樹脂以外の樹脂(以下、「他の樹脂(第3層)」とも記す。)を、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下の範囲で含んでいてもよい。
【0046】
バージン樹脂は、不純物を殆ど含まない樹脂原料から新規に製造された樹脂であり、第1層11に対する接合性、および接着層14を介した壁面Wに対する接着性を良好にする点から、エチレングリコールとテレフタル酸を主モノマーとする共重合体(PET,PET-G)、ポリカーボネート、ポリアクリル酸重合体が好ましい。
なお、第3層13に用いるバージン樹脂は、第2層12に用いるバージン樹脂と同一のものを用いても良く、また、互いに異なる種類のバージン樹脂を用いても良い。
【0047】
化粧シート10のうち、第1層11を覆う第3層13の第3樹脂成分として、バージン樹脂を80質量%以上含ませることにより、化粧シート10が壁面Wに接着される面を成す第3層13の壁面Wに対する接着性を向上させる。また、白色系顔料を含まないか、あるいは第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下に制限することにより、白色系顔料に含まれる分散剤による接着性の低下を防止できる。
【0048】
第3樹脂成分に含まれる他の樹脂としては、バージンPET系樹脂以外のバージン樹脂(ポリ塩化ビニルを除く。)、再生PET系樹脂、再生PET系樹脂以外の再生樹脂(ポリ塩化ビニルを除く。)等が挙げられる。例えば、第3樹脂成分に含まれる他の樹脂として、再生PET系樹脂を20質量%以下の範囲で含むことができる。
【0049】
「白色顔料(第3層)」
第3層13の白色顔料は含まないことが好ましいが、含ませる場合には、第1層11と同様に、酸化チタン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、リトボン等が挙げられる。白色顔料としては、隠蔽力が高い点から、酸化チタンが好ましい。
酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン等が挙げられ、触媒としての活性が低い点から、ルチル型酸化チタンが好ましい。
なお、第3層13の白色顔料は、第1層11や第2層12の白色樹脂と同一のものを選択しても、あるいは互いに異なるものを選択しても良い。
【0050】
「他の成分(第3層)」
第3層13の他の成分としては、白色顔料以外の顔料、相溶化剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、保存安定剤、滑剤、充填材等が挙げられる。
他の成分の含有量は、第3樹脂成分100質量部に対して20質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
【0051】
以上の様な組成の第3層13の厚みは、再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1層11を覆い、耐薬品性、耐溶剤性の低い第3層13への浸透を防ぐために、一定以上の厚みを有することが望ましい。
第3層13の厚み範囲としては、例えば、15~70μm、好ましくは25~40μmの範囲にする。
【0052】
こうした厚み範囲にすることで、第1層11の再生PET系樹脂に含まれる顔料中の分散剤が第3層13の接着層14側まで浸透してブリードアウトすることによって生じる接着性の低下を防止することができる。
また、第3層13が厚すぎると、化粧シート10全体での再生PET系樹脂の使用割合が低下して、再生PET系樹脂を使用する意義が低下する。
【0053】
(化粧シート全体の構成)
以上のような第1層11、第2層12、および第3層13からなる化粧シート10全体の厚さは、0.1~0.5mmが好ましく、0.2~0.4mmがより好ましい。化粧シート10の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、化粧シート10の機械的強度、隠蔽力を高くしやすい。化粧シート10の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、化粧シート10の三次元加工性、可とう性等が良好になる。
【0054】
また、化粧シート10の第2層12の表面側において、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*が92以上であることが好ましい。これにより、明度が高い白色や淡色の化粧シート10にすることができる。化粧シート10のL*は、JIS Z 8781-4:2013に基づいて測定される。
【0055】
本実施形態の化粧シート10は、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて各種機能を付与するための機能層を有していてもよい。機能層としては、耐汚染性、耐候性を付与するためのコーティング層、転写層、意匠性を付与するための印刷層等が挙げられる。
化粧シート10の表面を成す第2層の表面形状は、特に限定されず、平滑であってもよく、エンボス加工等による凹凸を有する形状であってもよい。
【0056】
本実施形態の化粧シート10は、例えば、第1層11、第2層12、および第3層13をそれぞれ構成する樹脂成分や白色顔料などを含む樹脂混合物を、それぞれ加熱溶融、混練し、多層シート状に共押出することによって得られる。例えば、第1層11を構成する樹脂と、第2層12を構成する樹脂と、第3層13を構成する樹脂とを共押出成形機に供給し、フィードブロック方式のTダイを用いて、200℃程度で共押出して、第1層11、第2層12、および第3層13とからなる化粧シート10を成形する。
【0057】
もしくは、前記樹脂混合物をそれぞれシート状に成形し、得られた第1層11の一面11a側に第2層12を、また他面11b側に第3層13を、それぞれ接合することによっても、化粧シート10が得られる。
樹脂混合物の成形方法としては、押出成形法、カレンダー成形法等が挙げられる。
化粧シート10は、無延伸であってもよく、延伸されていてもよい。
【0058】
なお、上述した実施形態では、化粧シート10を第1層11、第2層12、および第3層13の3層から構成しているが、それぞれの層の間に、任意の機能層を更に形成することもできる。また、第2層12の表面に、透明な保護膜などを更に形成することもできる。
【0059】
(作用機序)
以上説明した本実施形態の化粧シート10にあっては、第1層11の第1樹脂成分がPETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分を有するため、ポリ塩化ビニルを含む化粧シートや、全樹脂成分中の再生樹脂の割合が低い化粧シートに比べ、親環境的である。
【0060】
そして、本実施形態の化粧シート10にあっては、再生PET系樹脂を多く含む第1層11に重ねて、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分を有する第2層12を配したことにより、化粧シート10が外部に露呈する面がこの第2層12になるので、外観上、高い明度を保つことができ、色調のムラが少ない化粧シート10を実現できる。
【0061】
そして、化粧シート10の外面に露呈する第2層12は、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分を有することにより、再生樹脂の割合が多い場合に生じる、不純物中の塩基が原因のクラックが発生しにくく、表面の美観の低下や強度の低下を防止することが可能な化粧シート10を実現できる。
【0062】
また、本実施形態の化粧シート10にあっては、再生PET系樹脂を多く含む第1層11に重ねて、バージン樹脂を80質量%以上含む第3樹脂成分を有する第3層13を設ければ、化粧シート10はこの第3層13が壁面Wと接着されるので、再生樹脂の割合が多い場合に生じる、顔料中の分散剤が化粧シート表面にブリードアウトすることによって生じる接着性の低下を防止することができる。よって、再生PET系樹脂を多く含む第1層11を有していても、接着性の良好な化粧シート10を実現できる。
【0063】
本発明の化粧シートは、壁材、床材、建具(扉、戸等)、家具、シンク台、洗面化粧台等の表層に用いられ、好適には家具、シンク台、洗面化粧台等の扉の表層に用いられる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を具体的に説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【実施例0065】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0066】
「評価方法」
・表面色調
分光光度計(CCM)(クラボウ社製、COLOR-7)を用い、光源D65、視野角10°の条件にて、化粧シートの3ヶ所を測定し、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*、a*、b*を求め、3箇所の平均値を用いた。
【0067】
・耐塩基性
2.5cm角に切った脱脂綿に10%NaOH水溶液を含ませたものを、10cm四方に切った化粧シートの試料上に置き、温度23℃,湿度50%環境下で24時間静置する。その後、脱脂綿を取り除き、表面を水洗いしてから24時間乾燥させ、化粧シートの試料上のクラック有無を観察した。
(初期)化粧シートを製造した後に、10cm四方に切った化粧シートの試料を用いて、前記の対塩基性評価を行った。
(エイジング後)10cm四方に切った化粧シートの試料を、温度45℃,湿度95%に設定した恒温恒湿槽で14日間保管した後、前記の対塩基性評価を行った。
【0068】
・接着性
化粧シートの試料を温度45℃,湿度95%に設定した恒温高湿槽で14日間保管した後、パーチクルボードにシンコーボンドTA435を塗布し、化粧シートの試料を圧着後24時間保管し、各温度条件(0℃、―10℃、-20℃)下で化粧シートの試料を剥離する。剥離した化粧シートの試料の裏面に付着した木材を観察し、化粧シートの試料の面積に対する木材の付着面積の百分率を木部破断率(%)とした。
木部破断率 100%~80% ・・・ 評価A
木部破断率 80%~50% ・・・ 評価B
木部破断率 50%~0% ・・・ 評価C
評価がAであれば、十分な接着が得られていると考えられる。
【0069】
(実施例1)
第1層:
再生PET系樹脂 ALIPLAST社製「Alimpet」(イタリア産 回収ペットボトル再生樹脂)にマスターバッチ(酸化チタンおよびバージンA-PET樹脂を含む。)を添加した樹脂混合物を用いた。
樹脂成分に対する白色顔料の含有量を表1に示す。
第2層:
PET-G樹脂(バージン樹脂) SKケミカル社製「K2012」にマスターバッチ(酸化チタンおよびバージンPET-Gを含む。)を添加した樹脂混合物を用いた。
樹脂成分に対する白色顔料の含有量を表1に示す。
第3層:
PET-G樹脂(バージン樹脂) SKケミカル社製「K2012」を用いた。
上記の原料を3種3層押出機を用いて共押出法によってTダイから265℃で押出し、40℃の冷却ロール上にキャストして、第2層/第1層/第3層の各層がそれぞれ33μm/184μm/33μmの層厚250μmのシートを得た。
【0070】
(実施例2)
第2層のバージン樹脂、第2層のマスターバッチの樹脂成分、及び第3層のバージン樹脂をPET-G樹脂から、PET樹脂(A-PET) 華潤有限公司製「CR8816」に変更した以外は、実施例1と同様にして実施例2の化粧シートを得た。
【0071】
(実施例3)
第2層のバージン樹脂、第2層のマスターバッチの樹脂成分、及び第3層のバージン樹脂をPET-G樹脂から、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA1) 旭化成社製「デルペット(登録商標)60N」に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例3の化粧シートを得た。
【0072】
(実施例4)
第2層のバージン樹脂、第2層のマスターバッチの樹脂成分、及び第3層のバージン樹脂をPET-G樹脂から、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA2) 三菱ケミカル社製「アクリペット(登録商標)IRS204」に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の化粧シートを得た。
【0073】
(実施例5)
第2層/第1層/第3層の各層をそれぞれ25μm/184μm/33μmにして層厚242μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の化粧シートを得た。
【0074】
(実施例6、8、11)
第2層/第1層/第3層の各層の厚さ、再生PET系樹脂とバージン樹脂の割合(質量%)、樹脂成分に対する白色顔料の含有量を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6、8、11の化粧シートを得た。
【0075】
(実施例7、9、10)
第2層/第1層/第3層の各層の再生PET系樹脂とバージン樹脂の割合(質量%)を表2に示すように変更した以外は実施例2と同様にして、実施例7、9、10の化粧シートを得た。
【0076】
(比較例1)
実施例1の第2層,第3層を設けず、再生樹脂を用いた第1層のみで押出成型して、比較例1の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは再生樹脂の着色により明度が低く、耐塩基性の評価では、再生樹脂が塩基に曝されることによってクラックが発生し、木材に対する接着力も実施例1~11と比較して弱い。
【0077】
(比較例2)
第2層/第1層/第3層の各層をそれぞれ17μm/88μm/17μmにして層厚122μmに変更した以外は実施例1と同様にして、比較例2の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、第2層が薄いため、再生樹脂を用いた第1層の着色を隠蔽できない。また、耐塩基性の評価では、塩基が第1層の再生樹脂まで浸透し、クラックが発生した。
【0078】
(比較例3)
第2層/第1層/第3層の各層をそれぞれ17μm/88μm/17μmにして層厚122μmに変更した以外は実施例3と同様にして、比較例3の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、第2層が薄いため、再生樹脂を用いた第1層の着色を隠蔽できない。また、耐塩基性の評価では、塩基が第1層まで浸透し、クラックが発生した。
【0079】
(比較例4)
第3層をPET-G樹脂にマスターバッチ(酸化チタンおよびバージンPET-Gを含む。)を添加した樹脂混合物に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例4の化粧シートを得た。樹脂成分に対する白色顔料の含有量を表3に示す。
得られた化粧シートは木材に対する接着力が実施例1~11と比較して低下した。
【0080】
(比較例5)
第3層をバージン樹脂(A-PET)70質量%と再生PET系樹脂30質量%の混合に変更した以外は実施例1と同様にして、比較例5の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは木材に対する接着力が実施例1~11と比較して低下した。
【0081】
(比較例6)
比較例1と同様に第1層のみで押出成型したが、第1層を再生PET系樹脂70質量%とバージン樹脂(A-PET)30質量%の混合に変更して、比較例6の化粧シートを得た。
得られた化粧シートは、耐塩基性の評価では、塩基によってクラックが発生し、木材に対する接着力も実施例1~11と比較して低下した。
【0082】
実施例1~5の試料の構成および評価結果を表1に、実施例6~11の試料の構成および評価結果を表2に、また、比較例1~6の試料の構成および評価結果を表3に、それぞれ示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】
実施例1~11の化粧シートは、いずれも表面色調に優れ、耐塩基性、接着性ともに比較例1~6よりも優れていた。
一方、比較例1で得られた化粧シートは再生樹脂の着色により明度が低く、再生樹脂が塩基に曝されることよってクラックが発生し、木材に対する接着力も実施例1~11と比較して弱い。
また、比較例2、3で得られた化粧シートは、第2層が薄いため、再生樹脂を用いた第1層の着色を隠蔽できない。また、耐塩基性の評価では、塩基が第1層の再生樹脂まで浸透し、クラックが発生した。比較例4で得られた化粧シートは木材に対する接着力が実施例1~11と比較して低下した。比較例5で得られた化粧シートは木材に対する接着力が実施例1~11と比較して低下した。比較例6で得られた化粧シートは、耐塩基性の評価では、塩基によってクラックが発生し、木材に対する接着力が実施例1~11と比較して低下した。
以上の実施例から、本発明の化粧シートの優れた表面色調、耐塩基性、および接着性が確認された。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の化粧シートは、親環境的であり、かつ明度が高い白色や淡色の化粧シートとして有用である。
【符号の説明】
【0088】
10…化粧シート
11…第1層
12…第2層
13…第3層
W…壁面
図1
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが184μm以下の範囲である第1層と、
前記第1層の一面側に重ねて配され、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが25μm以上である第2層と、
前記第1層の他面側に重ねて配されるとともに壁面側にあり、バージン樹脂を80質量%以上含む第3樹脂成分、および前記第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下の範囲の白色系顔料を含む第3層と、を有し、
前記第1層と前記第2層と前記第3層の合計厚みが250μm以下であり、
前記第1層に含まれる白色系顔料と前記第2層に含まれる白色系顔料との合計は、前記第1樹脂成分と前記第2樹脂成分との合計200質量部に対して11.1質量部以上であることを特徴とする化粧シート。
【請求項2】
前記第1層に含まれる白色系顔料は、前記第1樹脂成分100質量部に対して5質量部以上、15質量部以下の範囲であり、
前記第2層に含まれる白色系顔料は、前記第2樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上、15質量部以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の化粧シート。
【請求項3】
前記第2樹脂成分には、前記再生PET系樹脂を30質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする請求項1または2記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第3樹脂成分は、前記再生PET系樹脂を5質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項記載の化粧シート。
【請求項5】
前記第2層の表面側において、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*が92以上であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項記載の化粧シート。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明は、下記の態様を有する。
<1>PETボトルに由来する再生PET系樹脂を70質量%以上含む第1樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが184μm以下の範囲である第1層と、前記第1層の一面側に重ねて配され、バージン樹脂を70質量%以上含む第2樹脂成分、および白色系顔料を有し、厚みが25μm以上である第2層と、前記第1層の他面側に重ねて配されるとともに壁面側にあり、バージン樹脂を80質量%以上含む第3樹脂成分、および前記第3樹脂成分100質量部に対して5質量部以下の範囲の白色系顔料を含む第3層と、を有し、前記第1層と前記第2層と前記第3層の合計厚みが250μm以下であり、前記第1層に含まれる白色系顔料と前記第2層に含まれる白色系顔料との合計は、前記第1樹脂成分と前記第2樹脂成分との合計200質量部に対して11.1質量部以上であることを特徴とする化粧シート。
<2>前記第1層に含まれる白色系顔料は、前記第1樹脂成分100質量部に対して5質量部以上、15質量部以下の範囲であり、前記第2層に含まれる白色系顔料は、前記第
2樹脂成分100質量部に対して、5質量部以上、15質量部以下の範囲であることを特徴とする<1>記載の化粧シート。
<3>前記第2樹脂成分には、前記再生PET系樹脂を30質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする<1>または<2>記載の化粧シート。
<4>前記第3樹脂成分は、前記再生PET系樹脂を5質量%以下の範囲で更に含むことを特徴とする<1>ないし<3>いずれか記載の化粧シート。
<5>前記第2層の表面側において、CIE 1976 L*a*b*色空間におけるL*が92以上であることを特徴とする<1>ないし<4>いずれか記載の化粧シート。