(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003336
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】酸化染毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20221228BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20221228BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20221228BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
A61K8/67
A61Q5/10
A61K8/41
A61K8/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104446
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 美紀
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB352
4C083AB411
4C083AB412
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC542
4C083AC551
4C083AC552
4C083AC582
4C083AC691
4C083AC692
4C083AC712
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD162
4C083AD392
4C083AD641
4C083AD642
4C083BB06
4C083CC36
4C083DD08
4C083EE01
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】本発明は、アスコルビン酸類を含有する泡状として用いる酸化染毛剤組成物において、地肌汚れを抑制しつつ、第1剤の乳化安定性を維持こと及び良好な泡を形成することができる酸化染毛剤組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】下記(A)成分と(B)成分を含有し、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物により、上記課題を解決することができる。
(A)アスコルビン酸類を0.1質量%以上
(B)カチオン界面活性剤を0.3質量%以上
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分と(B)成分とを含有し、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤との混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物。
(A)アスコルビン酸類を0.1質量%以上
(B)カチオン界面活性剤を0.3質量%以上
【請求項2】
(C)高級脂肪酸を含有し、前記(C)高級脂肪酸と前記(B)カチオン界面活性剤との含有量の比((C)/(B))が0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項3】
前記第1剤と前記第2剤との混合物中に前記(C)高級脂肪酸を0.3質量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項4】
前記第1剤と前記第2剤との混合物中に、前記(B)カチオン界面活性剤と前記(C)高級脂肪酸とを合計((B)+(C))で0.9質量%以上含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項5】
(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を0.5質量%以上含有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項6】
(E)パラトルイレンジアミンを含有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の酸化染毛剤組成物。
【請求項7】
泡状の酸化染毛剤組成物に使用する前記第1剤中に、前記(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を1.2質量%以上含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の酸化染毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化染毛剤は、多種あるヘアカラーの中でも色持ちが比較的長く染毛力にも優れていることから、世界的にも広く使用されている。
酸化染毛剤は一般的に、酸化染料とアルカリ剤を含む第1剤と、酸化剤である主に過酸化水素を含む第2剤で構成される。この酸化染毛剤の染毛メカニズムとは、まず、第1剤中のアルカリ剤によって髪の上毛皮が開き、第1剤と第2剤が髪の内部に浸透する。毛髪の内部に浸透後、毛髪中のメラニン色素が脱色されると同時に第1剤中の酸化染料が酸化剤により酸化重合されて発色する。発色した酸化染料が髪の内部に留まることで髪に色が定着する、というものである。
【0003】
一方で、酸化染毛剤が頭皮や皮膚等の地肌に付着した場合、その優れた染毛力から地肌をも着色してしまうという問題があった。これを抑制するために、酸化染毛剤に比較的高用量のアスコルビン酸類を配合させることが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、アスコルビン酸類を含み、第1剤と第2剤との粘度を調整することでそれらを容易に混合でき、また毛髪に塗布した際に垂れ落ちしにくい泡立ちが良好な毛髪化粧料組成物が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、アスコルビン酸類を含み、また垂れ落ちない適度な粘性を持ち、且つ良好な発泡性と泡の持続性とを有する毛髪化粧料組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特再公表WO15/119019
【特許文献2】特開2014-108936
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のアスコルビン酸類を含有する泡状の酸化染毛剤組成物は、地肌汚れ抑制の観点からするとアスコルビン酸類の含有量が十分なものではなかった。
ここで、泡状として用いる酸化染毛剤組成物において、地肌汚れ抑制を目的としてその効果を発揮できるだけのアスコルビン酸類を添加すると、泡立ちが悪くなるという課題がある。また、この泡立ちを改善するために界面活性剤の配合を変更すると、第1剤の乳化安定性が低下するという課題がある。
【0008】
よって、本発明の課題は、アスコルビン酸類を含有する泡状として用いる酸化染毛剤組成物において、地肌汚れを抑制しつつ、第1剤の乳化安定性を維持すること及び良好な泡を形成することができる酸化染毛剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題について鋭意検討したところ、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤との混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物において、アスコルビン酸類、カチオン界面活性剤をある一定の条件下で含有させることで、地肌汚れを抑制しつつ、第1剤の乳化安定性を維持すること及び良質な泡を形成することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤との混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物を提供するものである。
上記課題を解決するための本発明の酸化染毛剤組成物は、下記(A)成分と(B)成分とを含有し、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤との混合物を泡状として用いることを特徴とするものである。
(A)アスコルビン酸類を0.1質量%以上
(B)カチオン界面活性剤を0.3質量%以上
本発明の酸化染毛剤組成物によれば、(A)アスコルビン酸類を高含有にすることで地肌汚れを抑制することができるとともに、第1剤の乳化安定性及び泡立ちに優れた酸化染毛剤組成物を提供することができる。
【0011】
また、本発明の酸化染毛剤組成物の一実施態様としては、(C)高級脂肪酸を含有し、(C)高級脂肪酸と(B)カチオン界面活性剤との含有量の比((C)/(B))が0.3以上であることを特徴とするものである。
上記の実施態様によれば、泡立ちがよく、良好な泡質の泡を発生することができる酸化染毛剤組成物を提供することができる。
【0012】
また、本発明の酸化染毛剤組成物の一実施態様としては、第1剤と第2剤との混合物中に(C)高級脂肪酸を0.3質量%以上含有することを特徴とするものである。
上記の実施態様によれば、泡立ちがよく、きめ細やかでなめらかであるクリーミーな泡質の泡を発生することができる酸化染毛剤組成物を提供することができる。
【0013】
また、本発明の酸化染毛剤組成物の一実施態様としては、第1剤と第2剤との混合物中に、(B)カチオン界面活性剤と(C)高級脂肪酸とを合計((B)+(C))で0.9質量%以上含有することを特徴とするものである。
上記の実施態様によれば、泡立ちがよく、良好な泡質の泡を発生することができる酸化染毛剤組成物を提供することができる。
【0014】
また、本発明の酸化染毛剤組成物の一実施態様としては、(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を0.5質量%以上含有することを特徴とするものである。
上記の実施態様によれば、泡立ち及び、乳化安定性の向上という効果をより一層発揮することができる。
【0015】
また、本発明の酸化染毛剤組成物の一実施態様としては、(E)パラトルイレンジアミンを含有することを特徴とするものである。
上記の実施態様によれば、第1剤と第2剤との混合直後の酸化染毛剤組成物の黒色への変色を抑えることができる。
【0016】
また、本発明の酸化染毛剤組成物の一実施態様としては、泡状の酸化染毛剤組成物に使用する第1剤中に、(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を1.2質量%以上含有することを特徴とするものである。
上記の実施態様によれば、第1剤の泡立ち及び、乳化安定性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アスコルビン酸類を含有する泡状として用いる酸化染毛剤組成物において、地肌汚れを抑制しつつ、第1剤の乳化安定性を維持すること及び良好な泡を形成することができる酸化染毛剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物において、(A)アスコルビン酸類、(B)カチオン界面活性剤をある一定の条件下で含有させることで、地肌汚れを抑制しつつ、第1剤の乳化安定性を維持すること及び良質な泡を形成することができる酸化染毛剤組成物に関するものである。
【0019】
以下、本発明に係る酸化染料を含有する第1剤と、酸化剤を含有する第2剤の混合物を泡状として用いる酸化染毛剤組成物について、詳細に説明する。
なお、本実施態様に記載する酸化染毛剤組成物については、本発明を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。
また、本願明細書において、成分の含有量を規定する数値は、特に断りがない限り、第1剤と第2剤との混合物である酸化染毛剤組成物中の含有量である。
【0020】
[酸化染毛剤組成物]
本発明の酸化染毛剤組成物は、酸化染料とアルカリ剤とを含む第1剤と、酸化剤を含有する第2剤とを混合して用いるものであって、混合物中に、アスコルビン酸類、カチオン界面活性剤、高級脂肪酸、HLB値17以上のノニオン界面活性剤等を含有する、毛髪の染色に係る用途に供されるものである。
【0021】
以下、本発明の酸化染毛剤組成物を構成する各成分について詳しく説明する。
<(A)アスコルビン酸類>
アスコルビン酸類は、ラクトン構造を有する有機化合物の一種である。また、光学活性化合物であり、そのL体は広く知られるビタミンCである。
本発明におけるアスコルビン酸類は、混合物調製時に酸化剤による酸化染料の酸化重合反応を促進させるとともに、地肌汚れを抑制するために用いる。
また、アスコルビン酸類は混合物のpH調整作用を有する。第1剤と第2剤とを混合した酸化染毛剤組成物は、時間の経過とともにアスコルビン酸類の働きによりそのpHが徐々に低下する。アスコルビン酸類の配合量を多くすると酸化染毛剤組成物のpHの低下の幅が大きくなり、アスコルビン酸類の配合量を少なくすると酸化染毛剤組成物のpHの低下の幅が小さくなる。つまり、アスコルビン酸類の配合量を調節することにより、染毛処理後の酸化染毛剤組成物のpHを調整することが可能となる。
【0022】
本発明で用いるアスコルビン酸類としては、特に制限されないが、アスコルビン酸、エリソルビン酸、これらの塩又はエステル等が挙げられる。具体例としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスコルビン酸モノエタノールアミン、アスコルビン酸ジエタノールアミン、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、ミリスチン酸アスコルビル、ラウリン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル、プロピオン酸アスコルビル、酒石酸アスコルビル、クエン酸アスコルビル、コハク酸アスコルビル、安息香酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルエチル、アスコルビン酸アラントイン、アスコルビン酸キトサン、アスコルビン酸メチルシラノール、テトラデシルヘキシルアスコルビル、アミノプロピルアスコルビルフォスフェート、アスコルビン酸ポリペプタイド、アスコルビルグルコシド、アスコルビルメチルシラノールペクチネート等が挙げられる。これらのアスコルビン酸類は、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また、これらのアスコルビン酸類は、D-体、L-体及びDL体のいずれをも用いることができる。
【0023】
これらの中でも、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、アスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸アンモニウム、アスコルビン酸モノエタノールアミン、アスコルビン酸ジエタノールアミン、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸硫酸エステル二ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、ジパルミチン酸アスコルビル、テトラ2-ヘキシルデカン酸アスコルビル、(アスコルビル/トコフェリル)リン酸カリウム、アスコルビルエチル、アスコルビン酸アラントイン、アスコルビン酸キトサン、アスコルビン酸メチルシラノール、テトラデシルヘキシルアスコルビル、アミノプロピルアスコルビルフォスフェート、アスコルビン酸ポリペプタイド、アスコルビルグルコシド、アスコルビルメチルシラノールペクチネートが好ましい。さらに好ましくは、アスコルビン酸である。
【0024】
酸化染毛剤組成物におけるアスコルビン酸類の含有量は、0.1質量%以上である。好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは1.5質量%以上、さらに好ましくは2.0質量%以上である。これにより、混合物調製時の酸化剤による酸化染料の酸化重合反応を促進させるとともに、地肌汚れを抑制することができる。一方、上限値しては、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。これにより、酸化染毛剤組成物におけるアスコルビン酸類以外の成分を効果的に含有させることが可能となる。
【0025】
また、アスコルビン酸類は、安全性の観点から第1剤に含有させることが好ましい。
【0026】
<(B)カチオン界面活性剤>
カチオン界面活性剤は、陽イオン性の親水基を持つ界面活性剤である。
本発明の酸化染毛剤組成物にカチオン界面活性剤を含むことで、泡立ちがよく、良好な泡質の泡を得る事ができ、その泡により、毛髪への塗布量を十分なものとすることをより一層向上させることができる。
【0027】
本発明で用いるカチオン界面活性剤としては、特に制限されないが、例えば、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩、トリアルキル型4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩等のアルキル4級アンモニウム塩類、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩等のアミン塩類、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリウム塩等の環式4級アンモニウム塩類、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0028】
好ましくは、アルキル4級アンモニウム塩類であり、さらに好ましくは、モノアルキル型4級アンモニウム塩、ジアルキル型4級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、モノアルキル型4級アンモニウム塩である。
【0029】
モノアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化アルキル(28)トリメチルアンモニウム、塩化ジPOE(2)オレイルメチルアンモニウム、塩化ジPOEステアリルメチルアンモニウム、塩化POE(1)POP(25)ジエチルメチルアンモニウム、塩化POPメチルジエチルアンモニウム、塩化メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらのカチオン界面活性剤は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化アルキル(16,18)トリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムが好ましく、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
【0030】
ジアルキル型4級アンモニウム塩としては、例えば、塩化ジアルキル(12~15)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(12~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジアルキル(14~18)ジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等が挙げられる。
なお、POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を示し、これに続くカッコ内の数字は、その付加モル数を示している。また、アルキルに続くカッコ内の数字は、脂肪酸鎖の炭素数を示している。
【0031】
酸化染毛剤組成物におけるカチオン界面活性剤の含有量は、0.3質量%以上である。含有量の下限値として、好ましくは0.4質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、さらに好ましくは0.7質量%以上である。カチオン界面活性剤を0.3質量%以上含有すると、泡立ちの良好な泡を得ることができる。一方、上限値としては、特に制限されないが、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。これにより、軽い泡質の泡とならず、酸化染毛剤組成物の髪への塗布量が少なくなることや、泡が飛び散りやすくなって周囲を汚すようなこともない。また、酸化染毛剤組成物におけるカチオン界面活性剤以外の成分を効果的に含有させることができる。
【0032】
<(C)高級脂肪酸>
高級脂肪酸は、例えば、炭素数12以上の飽和又は不飽和脂肪酸をいう。なお、高級脂肪酸は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
本発明の酸化染毛剤組成物に高級脂肪酸を含むことで、泡立ちが向上し、クリーミーでもっちりとした良好な泡質の泡を得ることができる。泡立ちが向上するため毛髪全体に伸ばせる十分な量の泡を得ることができる。また、クリーミーでもっちりとした泡質なので飛び散りにくく、周囲を汚すことを抑制でき、毛髪全体に伸ばしやすい泡とすることができる。
【0033】
本発明で用いる高級脂肪酸としては、特に制限されないが、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。これらの高級脂肪酸は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、パルミチン酸が好ましく、泡立ちの良さの観点から、さらに好ましくはステアリン酸、パルミチン酸である。
【0034】
酸化染毛剤組成物における高級脂肪酸の含有量は、特に制限されないが、例えば、0.05~3.0質量%である。含有量の下限値として、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは0.3質量%以上であり、さらに好ましくは、0.5質量%以上である。これにより、クリーミーでもっちりとした良好な泡質の泡を得ることができるため、飛び散りにくく、周囲を汚すことを抑制できる泡とすることができる。一方、高級脂肪酸の含有量の上限値は、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。これにより、泡立ちが良好で毛髪に全体に伸ばし易い泡を得ることができる。
【0035】
<(C)/(B)>
本発明の(B)カチオン界面活性剤に対する(C)高級脂肪酸の含有量の比((C)/(B))は、特に制限されないが、好ましくは0.3以上、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.7以上である。これにより、泡立ちがよく、良質な泡質の泡を得ることができる。一方、(C)/(B)の上限値は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.0以下である。これにより、きめ細かな泡となり毛髪全体に伸ばし易い泡を得ることができる。
【0036】
<(B)+(C)>
本発明の(B)カチオン界面活性剤と(C)高級脂肪酸との含有量の合計((B)+(C))は、特に制限されないが、好ましくは0.9質量%以上、より好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.2質量%以上である。これにより、泡立ちがよく、良好な泡質の泡を得ることができる。一方、(B)+(C)の上限値は、好ましくは2.0質量%以下、より好ましくは1.8質量%以下、さらに好ましくは1.4質量%以下である。これにより、きめ細かく泡もちがよい良質な泡質の泡を得ることができる。
【0037】
<(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤>
ノニオン界面活性剤とは、親水基が水中でイオン解離しない界面活性剤である。また、HLB値とは、界面活性剤の水と油と(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値である。HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く20に近いほど親水性が高くなる。なお、HLB値の測定は、「ハンドブック-化粧品・製剤原料-改訂版(昭和52年2月1日発行、日光ケミカルズ株式会社)」に記載された「20・3・1 乳化法によるHLB値の実測」(854~855頁)に従って測定すればよい。以下、本明細書において、HLB値の測定法は、この方法に準じる。
本発明の酸化染毛剤組成物にHLB値が17以上のノニオン界面活性剤を含むことで、ノニオン界面活性剤の水への溶解性が向上して乳化安定性を向上させるとともに、他の成分との組み合わせや配合量のバランスを調整することで泡立ちも向上させることにより、本発明の効果をより一層発揮することができる。
【0038】
本発明で用いるHLB値17以上のノニオン界面活性剤としては、HLB値が17以上であれば特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレン(以下、POPという)アルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEオレイルエーテル、POEラノリン、POEフィトステロール等が挙げられる。これらのHLB値が17以上のノニオン界面活性剤は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。POE、POPの繰り返し単位数としては、例えば、2~100が挙げられ、界面活性作用を示すものであればいずれのものも使用可能である。
【0039】
本発明の酸化染毛剤組成物におけるHLB値17以上のノニオン界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、例えば0.5~3.0質量%である。含有量の下限値として、好ましくは0.8質量%以上であり、より好ましくは1.1質量%以上である。これにより、泡立ちと乳化安定性を向上するという本発明の効果を一層発揮することができる。一方、HLB値17以上のノニオン界面活性剤の含有量の上限値は、好ましくは2.0質量%以下である。これにより、酸化染毛剤組成物中におけるHLB値17以上のノニオン界面活性剤以外の成分を効果的に含有させることができる。
【0040】
また、第1剤中におけるHLB値17以上のノニオン界面活性剤の含有量は、特に制限されないが、例えば0.2~2.0質量%である。含有量の下限値として、好ましくは0.4質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上である。これにより、泡立ちと乳化安定性とをより一層向上させることができる。一方、第1剤中におけるHLB値17以上のノニオン界面活性剤の含有量の上限値は好ましくは1.5質量%以下であり、より好ましくは0.7質量%以下である。これにより、第1剤中のHLB値17以上のノニオン界面活性剤以外の成分を効果的に含有させることができる。
【0041】
<パラトルイレンジアミン>
パラトルイレンジアミンとは、染料中間体の一つである。
パラトルイレンジアミンを含有させることで、第1剤と第2剤との混合直後に起こる黒色への変色を抑えることができる。
パラトルイレンジアミンの含有量は、特に制限されないが、例えば0.5~5.5質量%である。含有量の下限値として、好ましくは1.0質量%以上である。これにより、第1剤と第2剤の混合直後の黒色への変色を抑制することができる。一方、上限値としては、好ましくは4.5質量%以下である。これにより、酸化染毛剤組成物中におけるパラトルイレンジアミン以外の成分を効果的に含有させることができる。
【0042】
<酸化染料>
本発明の第1剤に配合される酸化染料は、酸化剤により酸化重合して発色する染料である。通常、染料中間体とカプラーとに分けられる。染料中間体としては、特に制限されないが、例えば、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類等、及びそれらの塩類が挙げられる。塩類としては塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等が挙げられる。これらの中から、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でもp-フェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、p-アミノフェノール、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシエチル)-N-エチル-p-フェニレンジアミン、2-(β-ヒドロキシエチル)-p-フェニレンジアミン及びそれらの塩類が、効果の点から好ましい。酸化染毛剤組成物における染料中間体の含有量は、特に制限されないが、例えば0.1質量%~10質量%が好ましい。これにより、優れた染毛効果を得ることができる。
【0043】
また、カプラーとしては、特に制限されないが、例えば、m-ジアミン類、アミノフェノール類又はジフェノール類が挙げられ、具体的には、レゾルシン、ピロガロール、カテコール、m-アミノフェノール、m-フェニレンジアミン、o-アミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、1,2,4-ベンゼントリオール、トルエン-3,4-ジアミン、トルエン-2,4-ジアミン、ハイドロキノン、α-ナフトール、2,6-ジアミノピリジン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、5-アミノ-o-クレゾール、ジフェニルアミン、p-メチルアミノフェノール、フロログルシン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、五倍子、1-メトキシ-2-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2-メチルフェノール等、及びそれらの塩を1種又は2種以上、適宜組み合わせて用いることができる。酸化染毛剤組成物におけるカプラーの含有量は、特に制限されないが、例えば0.01~15質量%である。その下限値として、好ましくは0.05質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。これにより、優れた染毛効果を得ることができる。
【0044】
<アルカリ剤>
アルカリ剤は、第1剤中に配合されており、毛髪を膨張させて、染料や酸化剤の浸透を促進する作用を有し、毛髪に明度を付与するとともに、酸化染毛剤組成物のpHを調整する。アルカリ剤の具体例としては、特に制限されないが、アンモニア、アルカノールアミン、アンモニウム塩、ケイ酸塩、メタケイ酸塩、リン酸塩、有機アミン類(2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)及びそれらの塩等が挙げられる。アルカノールアミンの具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。アンモニウム塩の具体例としては、ハロゲン化アンモニウム、無機系アンモニウム塩、有機系アンモニウム塩等が挙げられる。ハロゲン化アンモニウムとしては塩化アンモニウム等、無機系アンモニウム塩としては炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等、有機系アンモニウム塩としては乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム等が挙げられる。ケイ酸塩の具体例としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。メタケイ酸塩の具体例としては、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム等が挙げられる。リン酸塩の具体例としては、リン酸第1アンモニウム、リン酸第2アンモニウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム等が挙げられる。これらの中から、1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらのアルカリ剤の中でも均染性に優れる点から、第1剤中には少なくともアンモニアを含有させることが好ましい。
【0045】
第1剤中におけるアルカリ剤の配合量は、酸化染毛剤組成物のpHを調整するために適切に設定される。好ましくは0.01~10質量%である。含有量の下限値として、より好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは8質量%以下である。
【0046】
<酸化剤>
本発明の第2剤には、通常、酸化剤が含有される。酸化剤は、酸化染料を酸化して発色させる作用や、毛髪の内部のメラニンを分解する作用を有するものである。酸化剤は、酸化力を有する物質であればよく、特に制限されないが、例えば、過酸化水素、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩の過酸化水素付加物、過酢酸及びその塩、過ギ酸及びその塩、過マンガン酸塩、臭素酸塩等が挙げられる。これらの酸化剤は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの酸化剤の中でも、メラニンの脱色力に優れることから、好ましくは過酸化水素である。また、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム及び過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等を酸化助剤として含有してもよい。
第2剤中における酸化剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.1~20質量%、より好ましくは0.3~10質量%である。また、酸化染毛剤組成物における酸化剤の含有量は、特に限定されないが、例えば0.1~15質量%、より好ましくは1~9質量%である。酸化剤として過酸化水素を含有する場合、その安定性を向上させる安定化剤として、エチレングリコールフェニルエーテル(フェノキシエタノール)、ヒドロキシエタンジホスホン酸、リン酸、クエン酸、又はその塩等を配合することが好ましい。
【0047】
<その他の成分>
本発明の酸化染毛剤組成物は、その他の成分として、水、pH調整剤((A)アスコルビン酸類を除く)、界面活性剤((B)カチオン界面活性剤及び(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を除く)、油性成分、キレート剤、直接染料、無水亜硫酸ナトリウム等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等の防腐剤、エタノール等の有機溶剤、ソルビトール、マルトース等の糖類、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポリマー等の水溶性高分子、ポリ塩化ジメチルジメチレンピペリジニウム液(ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム液)、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化水溶性高分子、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール、塩化ナトリウム等の無機塩、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ピロリン酸、グルコン酸、グルクロン酸、育毛成分、植物抽出物、生薬抽出物、アミノ酸・ペプチド、尿素、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤等を適宜選択して含有させることができる。
【0048】
<pH調整剤>
pH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、リン酸、酢酸、塩酸、硫酸、コハク酸、レブリン酸が挙げられる。pH調整剤は、第1剤に含まれるアルカリ剤と共に酸化染毛剤組成物のpHを調整するために配合される。
【0049】
<界面活性剤((B)カチオン界面活性剤及び(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を除く)>
界面活性剤としては、HLB値17未満のノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。
なお、以下の記載において、POEはポリオキシエチレン鎖、POPはポリオキシプロピレン鎖を示し、これに続くカッコ内の数字は、その付加モル数を示している。また、アルキルに続くカッコ内の数字は、脂肪酸鎖の炭素数を示している。
【0050】
HLB17未満のノニオン界面活性剤としては、例えば、HLB値が17未満であるPOEアルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・POPアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEモノ脂肪酸エステル類、POEグリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノグリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、アルキルポリグルコシド類等が挙げられる。POEアルキルエーテル類の具体例としては、POEラウリルエーテル、POEセチルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POEラノリン、POEフィトステロール等が挙げられる。
POE、POPの繰り返し単位数としては、例えば、2~100が挙げられ、界面活性作用を示すものであればいずれのものも使用可能である。
【0051】
酸化染毛剤組成物におけるHLB値17未満のノニオン界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~30質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.1質量%以上であり、特に好ましくは0.2質量%以上である。上限値として、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、よりさらに好ましくは7質量%以下であり、特に好ましくは5質量%以下である。
【0052】
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルエーテル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホン脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸型界面活性剤、リン酸モノ又はジエステル型界面活性剤、及びスルホコハク酸エステルが例示される。これらの界面活性剤のアニオン基の対イオンは、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、及びトリエタノールアミンのいずれであってもよい。
【0053】
より具体的には、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、セチル硫酸ナトリウム、ステアリル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム、POEラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、POEラウリルエーテル硫酸アンモニウム、POEステアリルエーテル硫酸ナトリウム、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、POEラウリルエ-テルリン酸及びその塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩類(ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等)、N-ラウロイルメチル-β-アラニン塩、N-アシルグリシン塩、N-アシルグルタミン酸塩、高級脂肪酸であるラウリン酸、ミリスチン酸及びこれらの高級脂肪酸の塩が例示され、1又は2種以上を使用することができる。
【0054】
酸化染毛剤組成物におけるアニオン界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.01~5質量%である。下限値として、より好ましくは0.02質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、よりさらに好ましくは0.07質量%以上であり、特に好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは4質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下であり、よりさらに好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。
【0055】
アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。グリシン型両性界面活性剤の具体例としては、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム(ラウロアンホ酢酸Na)、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等が挙げられる。アミノプロピオン酸型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0056】
ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、例えば、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等が挙げられる。スルホベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0057】
酸化染毛剤組成物における両性界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~5質量%である。下限値として、より好ましくは0.005質量%以上であり、さらに好ましくは0.01質量%以上である。上限値として、より好ましくは3質量%以下であり、さらに好ましくは2.5質量%以下である。
【0058】
酸化染毛剤組成物における全ての界面活性剤の総含有量としては、特に限定されないが、好ましくは0.01~50質量%である。下限値として、より好ましくは0.05質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上である。上限値として、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。
【0059】
<油性成分>
油性成分としては、特に制限されないが、例えば高級アルコール、油脂、ロウ、炭化水素、アルキルグリセリルエーテル、エステル、シリコーン、多価アルコールが挙げられる。
高級アルコールとしては、例えばセチルアルコール(セタノール)、2-ヘキシルデカノール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2-オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、デシルテトラデカノール、及びラノリンアルコールが挙げられる。
油脂としては、例えばラノリン、オリーブ油、ツバキ油、シア脂、アーモンド油、サフラワー油、ヒマワリ油、大豆油、綿実油、ゴマ油、トウモロコシ油、ナタネ油、コメヌカ油、コメ胚芽油、ブドウ種子油、アボカド油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、ヤシ油、及び月見草油が挙げられる。
ロウとしては、例えばミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、及びラノリンが挙げられる。
炭化水素としては、例えばパラフィン、オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ポリブテン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、及びワセリンが挙げられる。
アルキルグリセリルエーテルとしては、例えばバチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、及びイソステアリルグリセリルエーテルが挙げられる。
エステルとしては、例えばアジピン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸2-エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、10~30の炭素数を有する脂肪酸コレステリル/ラノステリル、乳酸セチル、酢酸ラノリン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジオクチル、及び2-エチルヘキサン酸セチルが挙げられる。
シリコーンとしては、例えばジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、末端水酸基変性ジメチルポリシロキサン、650~10,000の平均重合度を有する高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、及びフッ素変性シリコーンが挙げられる。
多価アルコールとしては、例えばグリコール、及びグリセリンが挙げられる。グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールが挙げられる。グリセリンとしては、例えばグリセリン、ジグリセリン、及びポリグリセリンが挙げられる。
油性成分は、毛髪の状態をしなやかにする目的で配合される。また、第1剤及び第2剤を所望の剤型とするために配合される。例えば、クリーム状の剤型とする場合、第1剤及び第2剤中に配合する油性成分の配合量は、3~50質量%の範囲とすることが好ましい。
【0060】
<キレート剤>
キレート剤としては、特に制限されないが、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA、エデト酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)及びその塩、ジエチレントリアミン五酢酸及びその塩類、並びにヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP、エチドロン酸)及びその塩類が挙げられる。
【0061】
本発明の酸化染毛剤組成物には、その他にも、酸化防止剤((A)アスコルビン酸類を除く)として、例えば無水亜硫酸ナトリウム等、防腐剤として、例えばフェノキシエタノール、安息香酸ナトリウム等、直接染料として、例えば塩基性染料、ニトロ染料、天然染料、分散染料等、有機溶剤として、例えばエタノール等、糖類として、例えばソルビトール、マルトース等、水溶性高分子として、例えばノニオン性高分子、アニオン性高分子、カチオン性高分子、両性高分子等、安定剤として、例えばフェナセチン、8-ヒドロキシキノリン、アセトアニリド、ピロリン酸ナトリウム、バルビツール酸、尿酸、及びタンニン酸等、無機塩として、例えば塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム等、植物抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、香料、及び紫外線吸収剤、並びに「医薬部外品原料規格」(2006年6月発行、薬事日報社)に収載されるものから選ばれる少なくとも一種を含有させてもよい。これらの成分は、必要に応じて第1剤及び第2剤に配合される。
【0062】
<直接染料>
直接染料は、色を有する化合物であり、毛髪に付着又は浸透して染毛する染料である。例えば、酸性染料、塩基性染料、天然染料、ニトロ染料、HC染料、分散染料等がある。これら直接染料は単独で配合しても良く、組み合わせて配合しても良い。
【0063】
上記酸性染料としては、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色104号の(1)、赤色105号の(1)、赤色106号、赤色227号、赤色230号の(1)、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、黄色202号の(2)、黄色203号、だいだい色205号、だいだい色207号、だいだい色402号、緑色3号、緑色204号、緑色401号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、かっ色201号、黒色401号等を例示できる。
【0064】
上記塩基性染料としては、Basic Blue 3、Basic Blue 6、Basic Blue 7、Basic Blue 9、Basic Blue 26、Basic Blue 41、Basic Blue 47、Basic Blue 99、Basic Brown 4、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Green 1、Basic Green 4、Basic Orange 1、Basic Orange 2、Basic Orange 31、Basic Red 1、Basic Red 2、Basic Red 22、Basic Red 46、Basic Red 51、Basic Red 76、Basic Red 118、Basic Violet 1、Basic Violet 3、Basic Violet 4、Basic Violet 10、Basic Violet11:1、Basic Violet 14、Basic Violet 16、Basic Yellow 11、Basic Yellow 28、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87等を例示できる。
【0065】
上記天然染料としては、クチナシ色素、ウコン色素、アナトー色素、銅クロロフィリンナトリウム、パプリカ色素、ラック色素、ヘナ等を例示できる。
【0066】
上記ニトロ染料としては、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、2-アミノ-5-ニトロフェノール、ピクラミン酸、ピクリン酸、及びそれらの塩等を例示できる。
【0067】
上記HC染料としては、HC Blue No.2、HC Blue No.5、HC Blue No.6、HC Blue No.9、HC Blue No.10、HC Blue No.11、HC Blue No.12、HC Blue No.13、HC Orange No.1、HC Orange No.2、HC Orange No.3、HC Red No.1、HC Red No.3、HC Red No.7、HC Red No.10、HC Red No.11、HC Red No.13、HC Red No.14、HC Violet No.1、HC Violet No.2、HC Yellow No.2、HC Yellow No.4、HC Yellow No.5、HC Yellow No.6、HC Yellow No.9、HC Yellow No.10、HC Yellow No.11、HC Yellow No.12、HC Yellow No.13、HC Yellow No.14、HC Yellow No.15等を例示できる。
【0068】
上記分散染料としては、Disperse Black 9、Disperse Blue 1、Disperse Blue 3、Disperse Blue 7、Disperse Brown 4、Disperse Orange 3、Disperse Red 11、Disperse Red 15、Disperse Red 17、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Violet 15等を例示できる。
【0069】
酸化染毛剤組成物における直接染料の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.001~10質量%である。下限値として、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上である。上限値として、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは3質量%以下である。
【0070】
<酸化染毛剤組成物のpH>
本発明の酸化染毛剤組成物は、特に制限されないが、第1剤及び第2剤を混合した直後におけるpHが6.0~10であることが好ましい。pHの下限値として、より好ましくはpH6.5以上である。pHの上限値として、より好ましくは9.5以下である。この範囲とすることにより、(A)アスコルビン酸の地肌汚れ防止効果、染毛力の効果をより一層発揮することができる。
なお、混合直後のpHは、酸及びアルカリ剤の配合量により調整する。例えば、(A)アスコルビン酸類、又はその他の酸等のpH調整剤の配合量を増加することにより混合直後のpHは低下し、また、アルカリ剤の配合量を増やすことにより混合直後のpHは増大する。
【0071】
なお、染毛処理後のpH及び低下値は、混合後のpHの設定と、(A)アスコルビン酸類の配合量により調整することができる。(A)アスコルビン酸類の配合量を増加させることにより、pHの低下量を増大させることができ、アスコルビン酸類の配合量を低下することにより、pHの低下量を減少させることができる。
【0072】
<酸化染毛剤組成物のpH測定方法>
ここで、酸化染毛剤組成物のpH測定方法を示す。例えば、株式会社堀場エステック社製「ガラス電極式水素イオン濃度指示計(型承:SS056号、型式:F-52)」を用いて測定する。
(混合直後のpH)
本発明の「混合直後のpH」とは、第1剤と第2剤の混合開始より2分後のpHとする。具体的には、第1剤と第2剤を素早く混合し、当該混合物を計量器に移し、検出器を浸漬して混合開始から2分後のpHを測定する。混合操作は、第1剤と第2剤の剤型に応じて適宜選択することができ、例えば液体の第1剤と第2剤の場合にはマグネティックスターラーを用いて混合し、クリーム状の剤型の場合にはハケ等を用いて混合する。
【0073】
<剤形>
酸化染毛剤組成物における第1剤及び第2剤の剤型としては、特に限定されないが、例えば、水溶液状、分散液状、乳化液状、ゲル状、フォーム状、及びクリーム状が挙げられる。
【0074】
<酸化染毛剤組成物の使用方法>
本発明の酸化染毛剤組成物の使用方法は、従来の酸化染毛剤組成物と同様、第1剤と第2剤を混合後すみやかに毛髪に塗布し、その後所定の時間放置して、毛髪を染毛する方法である。また、本発明の酸化染毛剤組成物では、第1剤と第2剤の混合物を泡状で用いるものである。泡状とは、混合物を毛髪上で泡立てて泡状としても、第1剤と第2剤をノンエアーゾールフォーマー容器に投入して混合後、泡状としてもよい。
【実施例0075】
以下、本発明の酸化染毛剤組成物に係る実施例及び比較例を示し、さらに本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例及び比較例に何ら限定されるものではない。
(実施例1~26、比較例1~2)
各例では、表1~7に示される各成分を混合することにより第1剤及び第2剤を調製した。
次に、第1剤と第2剤とを1:3の割合で混合し、クリーム状の酸化染毛剤組成物を調製した。なお、表1及び以降の表における各成分の含有量を示す数値の単位は質量%である。
各例について、「泡量」、「泡質」、「乳化安定性」及び「地肌汚れ」について評価し、その結果を表1に示した。各評価項目についての評価方法は、以下のとおりである。
【0076】
<泡量の評価方法>
上記のように調製した各例のクリーム状の酸化染毛剤組成物について、それぞれ120gを評価用ウィッグに均一に塗布した。塗布後ただちに、ウィッグ上で酸化染毛剤組成物を3分間両手で揉みこんで泡立てた。その後、泡のみを容器に集めた。泡のみを容器に集めた後、容器を25℃下で1分間静置し、その後、容器内の泡の量を目視で確認した。評価結果は、各表中の「泡量」欄に記載した。なお、容器は容量200mLであって、透明のものを使用した。
(評価基準)
◎:容器を満たす泡量であった。
〇:容器の約3/5又は約4/5を満たす泡量であった。
△:容器の約2/5を満たす泡量であった。
×:容器の約1/5を満たす泡量であったか、又は泡立たなかった。
【0077】
<泡質の評価方法>
上記のように調製した各例のクリーム状の酸化染毛剤組成物について、それぞれ120gを評価用ウィッグに均一に塗布した。塗布後ただちに、ウィッグ上で酸化染毛剤組成物を3分間両手で揉みこんで泡立てた。パネラーが、その際の泡のきめ細かさ、嵩高さを目視で、泡の質感を手の触感で観察し、以下の基準により泡質を評価した。評価結果は各表中の「泡質」欄に記載した。
(評価基準)
◎:非常に泡立ち易く、もっちりとした、きめ細かい泡であり、泡が全く消えない
〇:泡立ち易く、もっちりとした、きめ細かい泡であり、泡がほとんど消えないか、消えてもわずかである
△:泡立つが、泡が消えてしまう、又は、泡立つが、泡がねっとりしており伸ばしづらい
×:泡立たない
【0078】
<乳化安定性の評価方法>
上記のように調製した第1剤を、4号規格瓶に30グラム量り取り、中蓋及び蓋をして60℃にて、1週間静置し、以下の基準で評価を行った。評価結果は、各表中の「乳化安定性(第1剤の評価)」欄に記載した。
(評価基準)
◎:60℃で1週間、50℃で1ヶ月間静置して、分離なし。
〇:60℃で1日間、50℃で1ヶ月間静置して、分離なし、又は、2mm未満の分離。
△:60℃で1日間、50℃で1ヶ月間静置して、2mm以上4mm未満の分離。
×:60℃で1日間、50℃で1ヶ月間静置して、4mm以上分離。
【0079】
<地肌汚れの評価方法>
上記のように調製した各例のクリーム状の酸化染毛剤組成物を腕の内側に直径1cmの円状範囲に塗り、30分間放置後、温水で洗い流した。さらに「プロマスターカラーケアLXスタイリッシュライン」(ホーユー株式会社製)のシャンプーを使用して1分間指で軽くこすり、温水で洗い流した後、皮膚への染着の度合いを目視にて評価した。評価結果は、各表中の「地肌汚れ」欄に記載した。
(評価基準)
◎:皮膚に色残りがない又はわずかに染着したものの目立つことなく良好
〇:皮膚に染着し、色残りがやや目立つ
×:皮膚に染着し、色残りが目立ち不良
【0080】
(実施例27~30)
実施例1と同様に、表8に示される各成分を混合することにより第1剤及び第2剤を調製した。第1剤と第2剤とを1:3の割合で混合し、クリーム状の酸化染毛剤組成物を調製した。各例のクリーム状の酸化染毛剤組成物の「黒色への変色」について評価した。評価結果は、各表中の「黒色変化」欄に記載した。評価結果が「-」で示されたものは、評価を行っていない。「黒色への変色」についての評価方法は、以下のとおりである。
【0081】
<黒色への変色の評価方法>
各例のクリーム状の酸化染毛剤組成物について、混合後5分間の間の黒色への変化具合をパネラーが目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:第1剤及び第2剤混合後、5分間放置して変色なし
〇:第1剤及び第2剤混合後、5分間放置してわずかに黒色へ変化あり
×:第1剤及び第2剤混合後、5分間放置して黒色へ変化あり
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
表1~表8に示すように、実施例における本発明の酸化染毛剤組成物の泡量、泡質、乳化安定性、地肌汚れは、いずれの評価においてもよく、不良はなかった。
【0091】
表1に示すように、実施例1と比較例1とは、(A)アスコルビン酸類を含有するかどうかという点で異なる。地肌汚れの抑制において、実施例1は良好な結果であった。これにより、(A)アスコルビン酸類が、酸化染毛剤組成物による染毛における地肌汚れを効果的に抑制していることが分かる。
【0092】
表1に示すように、実施例1と比較例2とは、(B)カチオン界面活性剤を含有するかどうかという点で異なる。泡量、泡質、乳化安定性において実施例1は比較例2よりも良好な結果を示した。これにより、(B)カチオン界面活性剤は、(A)アスコルビン酸類を含有する酸化染毛剤組成物について、泡量、泡質、乳化安定性を向上させることが分かる。
【0093】
表2に示すように、実施例2~4を比較すると、(B)カチオン界面活性剤に対する(C)高級脂肪酸の含有量の比が上がると泡量は下がるが、泡質は向上することが分かる。
【0094】
表3に示すように、実施例5~8を比較すると、(B)カチオン界面活性剤及び(C)高級脂肪酸の含有量の合計が増えると泡量、泡質、乳化安定性、酸化染毛剤組成物中混合直後のpHが向上することが分かる。
【0095】
表4に示すように、実施例9~12を比較すると、(B)カチオン界面活性剤の含有量が上がると、泡量が向上することが分かる。
【0096】
表5に示すように、実施例13~16を比較すると、(C)高級脂肪酸を含有すると泡質が向上することが分かる。また、(C)高級脂肪酸の含有量が増えると泡質、乳化安定性を維持したまま泡量が向上することが分かる。
【0097】
表6に示すように、実施例17~22を比較すると、(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤を含有すると、第1剤における乳化安定性が向上することが分かる。また、(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤の含有量が増えると、第1剤における乳化安定性及、泡量が向上することが分かる。
【0098】
表7に示すように、実施例23~26を比較すると、(B)カチオン界面活性剤、(C)高級脂肪酸及び(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤において物質が異なっても良好な結果を示した。よって、本発明の酸化染毛剤組成物において、(B)カチオン界面活性剤、(C)高級脂肪酸及び(D)HLB値17以上のノニオン界面活性剤として様々な物質を用いることができることが分かる。
【0099】
表8に示すように、実施例27~30を比較すると、(E)パラトルイレンジアミンを含有すると、第1剤及び第2剤の混合直後の酸化染毛剤組成物の黒色変化を抑制することができることが分かる。