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▶ アルデクサ セラピューティクス, インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033426
(43)【公開日】2023-03-10
(54)【発明の名称】多形化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/38 20060101AFI20230303BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 17/04 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 27/12 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230303BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
C07D215/38 CSP
A61K31/47
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10 101
A61P17/00
A61P17/06
A61P17/04
A61P21/00
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61P27/02
A61P27/12
A61P35/00
A61P37/02
A61P37/08
A61P29/00
A61P43/00 111
A61K45/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023004641
(22)【出願日】2023-01-16
(62)【分割の表示】P 2019550247の分割
【原出願日】2018-03-16
(31)【優先権主張番号】62/472,478
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/519,331
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】507387033
【氏名又は名称】アルデイラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ ブイスト
(72)【発明者】
【氏名】エデン フッチ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジー. マチャサ
(72)【発明者】
【氏名】オサマ スレイマン
(72)【発明者】
【氏名】ケイト ウィッタリング
(57)【要約】
【課題】 疾患を処置する方法を提供すること
【解決手段】 本発明は、毒性アルデヒドのスカベンジャーとして作用する小分子治療剤の投与による、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置するのに有用な遊離塩基および塩形態、ならびにその組成物および方法を提供する。一般に、塩形態または遊離塩基形態、および薬学的に許容されるそれらの組成物は、本明細書において詳細に記載されている種々の疾患または障害を処置する、またはそれらの重症度を低下させるのに有用である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本出願は、毒性アルデヒドのスカベンジャーとして作用する小分子治療剤の投与による、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置するのに有用な様々な形態および組成物、ならびに方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
細胞における代謝過程および炎症過程は、毒性アルデヒド、例えば、マロンジアルデヒド(MDA)、4-ヒドロキシル-2-ノネナール(4HNE)、グリオキサールおよびメチルグリオキサールを生じさせる。これらのアルデヒドは、タンパク質、炭水化物、脂質およびDNAと高度に反応性であり、化学修飾された生物学的分子、炎症メディエーター、例えば、NF-カッパBの活性化、および多種多様な器官の損傷をもたらす。例えば、レチンアルデヒドは、ホスファチジルエタノールアミン(PE)と反応して、加齢黄斑変性(AMD)の発達および進行に関与していると考えられるリポフスチンの構成成分であるA2Eと呼ばれる高度に毒性の化合物を形成することができる。多くの身体防御機構は、アルデヒドデヒドロゲナーゼによる代謝、分子、例えばGSHによる緩衝化、およびトランスポーター、例えばABCA4による潜在的な毒性部位からの除去を含む、毒性アルデヒドを除去またはそのレベルを低下させるように機能する。新規な小分子治療剤を使用して、網膜における「逃れた」レチンアルデヒドをスカベンジし、こうしてA2Eの形成を低減させ、AMDのリスクを低下させることができる(Jordanら(2006年))。
【0003】
アルデヒドは、多種多様な病的状態、例えば、ドライアイ、白内障、円錐角膜、角膜におけるフックス内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、眼性瘢痕性類天疱瘡、光学的角膜屈折矯正手術(PRK)の治癒または他の角膜の治癒と関連する状態、涙液脂質の分解または涙腺機能障害と関連する状態、炎症性の眼の状態、例えば、眼性酒さ(マイボーム腺機能障害を伴う、もしくは伴わない)、および眼以外の障害または状態、例えば、皮膚がん、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、尋常性座瘡、シェーグレン-ラルソン症候群、虚血再灌流傷害、炎症、糖尿病、神経変性(例えば、パーキンソン病)、強皮症、筋萎縮性側索硬化症、自己免疫障害(例えば、狼瘡)、心血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化症)、およびびらん剤の傷害性作用と関連する状態に関係している(Negre-Salvagreら(2008年)、Nakamuraら(2007年)、Batistaら(20
12年)、Kenneyら(2003年)、Int J Dermatol、43巻:494頁(2004年)、Invest Ophthalmol Vis Sci、48巻:1552頁(2007年)、Graefe's Clin Exp Ophthalmol、233巻:694頁(1994年)、Molecular Vision、18巻:194頁(2012年))。したがって、アルデヒドを低減または排除することは、症状を軽快させ、これらの病的状態の進行を緩徐にするはずである。
【0004】
MDA、HNEおよび他の毒性アルデヒドは、脂肪アルコール、スフィンゴ脂質、糖脂質、フィトール、脂肪酸、アラキドン酸(arachadonic acid)代謝(Rizzo(2007年))、ポリアミン代謝(Woodら(2006年))、脂質過酸化、酸化的代謝(Buddiら(
2002年)、Zhouら(2005年))、およびグルコース代謝(Pozziら(2009年
))を含む多種多様な代謝機序によって生じる。アルデヒドは、タンパク質、リン脂質、炭水化物、およびDNA上の第一級アミノ基および他の化学部分と架橋することができ、多くの場合、毒性の結果、例えば、変異誘発および発癌をもたらす(Marnett(2002
年))。MDAは、状態、例えば円錐角膜、水疱性角膜症および他の角膜症、ならびにフックス内皮ジストロフィーにおける疾患性の角膜と関連する(Buddiら(2002年))
。また、皮膚障害、例えば、シェーグレン-ラルソン症候群における皮膚の水バリアの機能障害は、脂肪アルデヒド、例えば、オクタデカナールおよびヘキサデカナールの蓄積と関連する可能性がある(Rizzoら(2010年))。さらに、脂質過酸化の増加および結
果として生じるアルデヒドの生成は、びらん剤の毒性作用と関連する(Sciutoら(2004年)およびPalら(2009年))。
【0005】
アルデヒド、例えば、MDAおよび/またはHNEに対するスカベンジャーとして作用する小分子治療剤の投与によって、毒性アルデヒドと関連する様々な状態を処置することについては当技術分野で示唆されてこなかった。したがって、アルデヒド毒性が病態形成に関係している疾患または障害を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減することが必要とされる。本発明は、このような必要性に対処するものである。
従って、アルデヒド毒性が病態形成に関係している疾患、障害、または状態を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減する方法についての必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Int J Dermatol、43巻:494頁(2004年)
【非特許文献2】Invest Ophthalmol Vis Sci、48巻:1552頁(2007年)
【非特許文献3】Graefe's Clin Exp Ophthalmol、233巻:694頁(1994年)
【非特許文献4】Molecular Vision、18巻:194頁(2012年)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の化合物およびその組成物は、アルデヒド毒性が病態形成に関係している疾患、障害、または状態を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減するのに有用であることが今や見出された。一般に、塩形態または遊離塩基形態、および薬学的に許容されるそれらの組成物は、本明細書において詳細に記載されている種々の疾患または障害を処置する、またはそれらの重症度を低下させるのに有用である。このような化合物は、化合物Aとして表される以下の化学構造:
【化1】
または薬学的に許容されるその塩によって表される。
【0008】
本発明の化合物および薬学的に許容されるその組成物は、毒性アルデヒドと関連する種々の疾患、障害または状態を処置するのに有用である。このような疾患、障害または条件には、本明細書に記載のものが含まれる。
【0009】
本発明によって提供される化合物はまた、生物学および病理学的現象における、ある特定のアルデヒドの研究にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、化合物Aの形態AのXRPDパターンを図示する。
【0011】
図2図2は、化合物Aの形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0012】
図3図3は、化合物Aの形態BのXRPDパターンを図示する。
【0013】
図4図4は、化合物Aの形態BのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0014】
図5図5は、化合物1の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0015】
図6図6は、化合物1の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0016】
図7図7は、化合物1の形態BのXRPDパターンを図示する。
【0017】
図8図8は、化合物1の形態BのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0018】
図9図9は、化合物2の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0019】
図10図10は、化合物2の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0020】
図11図11は、化合物2の形態BのXRPDパターンを図示する。
【0021】
図12図12は、化合物3の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0022】
図13図13は、化合物3の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0023】
図14図14は、化合物4の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0024】
図15図15は、化合物4の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0025】
図16図16は、化合物5の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0026】
図17図17は、化合物5の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0027】
図18図18は、化合物6の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0028】
図19図19は、化合物6の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0029】
図20図20は、化合物7の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0030】
図21図21は、化合物7の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0031】
図22図22は、化合物8の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0032】
図23図23は、化合物8の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0033】
図24図24は、化合物9の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0034】
図25図25は、化合物9の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
本発明のある特定の態様の一般説明
2012年12月10日に出願し、US2013/0190500として2013年7月25日に公開された、米国特許出願番号US13/709,802(その全体が参照により本明細書に組み込まれている、「第’500号公報(the '500 publication)」)は、ある特定のアルデヒドスカベンジ化合物を記載している。このような化合物は、化合物A:
【化2】
を含む。
【0036】
化合物Aである(6-クロロ-3-アミノ-2-(2-ヒドロキシプロピル)-1-アザナフタレン)は、第’500号公報では化合物Aと表されており、化合物Aの合成は、第’500号公報の実施例5に詳細に記載されており、容易に参照されるよう本明細書において再現する。
【0037】
特徴、例えば、水溶解度、安定性および製剤化の容易さの改善をもたらす、化合物A(例えば、その遊離塩基またはその塩として)の固体形態を提供するのが望ましいと思われる。したがって、本発明は、化合物Aの遊離塩基形態および塩形態のどちらも提供する。
【0038】
化合物Aの遊離塩基形態
化合物Aは種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物Aは、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物Aは、固体形態にある。化合物Aが固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0039】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない、化合物Aの形態を提供す
る。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、化合物Aの異なる形態、残留溶媒、または化合物Aの調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物Aの形態が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物Aの形態が、少なくとも約99重量%存在する。
【0040】
一実施形態によれば、化合物Aの形態は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、本組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物Aの形態は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物Aの形態は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0041】
化合物Aの形態について図示されている構造はまた、化合物Aのすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0042】
化合物Aは種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0043】
本明細書で使用する場合、用語「多形」とは、化合物、またはその塩もしくは溶媒和物が結晶化することができる、異なる結晶構造を指す。
【0044】
ある特定の実施形態では、化合物Aは、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物Aは、非晶質化合物Aを実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物Aを実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物Aを含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物Aが、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物Aが、少なくとも約99重量%存在する。
【0045】
化合物Aは、少なくとも2つの区別される多形形態で存在することができることが見出された。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書において形態Aと称される化合物Aの多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書において形態Bと称される化合物Aの多形形態を提供する。
【0046】
一部の実施形態では、化合物Aは、非晶質である。一部の実施形態では、化合物Aは非晶質であり、結晶性化合物Aを実質的に含まない。
【0047】
化合物Aの形態A
一部の実施形態では、化合物Aの形態Aは、以下の表1に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表1-1】
【0048】
一部の実施形態では、化合物Aの形態Aは、約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折(XRPD)パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物Aの形態Aは、約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物Aの形態Aは、約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。本明細書で使用する場合、用語「約」とは、度の2θ値を参照して使用する場合、確定した値±0.2度の2θを指す。
【0049】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図1に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0050】
化合物Aの形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0051】
化合物Aの形態B
一部の実施形態では、化合物Aの形態Bは、以下の表2に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表2-1】
【0052】
一部の実施形態では、化合物Aの形態Bは、約11.6、約23.3および約35.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物Aの形態Bは、約11.6、約23.3および約35.3のピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物Aの形態Bは、約11.6、約23.3および約35.3のピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0053】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図3に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0054】
化合物Aの形態Bを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0055】
一部の実施形態では、本発明は、化合物A:
【化3】
であって、結晶性である化合物Aを提供する。
【0056】
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aであって、非晶質化合物Aを実質的に含まない化合物Aを提供する。
【0057】
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aであって、不純物を実質的に含まない化合物
Aを提供する。
【0058】
一部の実施形態では、本発明は、約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物Aを提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物1を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物Aを提供する。
【0059】
一部の実施形態では、本発明は、図1に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物Aを提供する。
【0060】
一部の実施形態では、本発明は、約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物Aを提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約5.4、約10.8および約16.6度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物Aを提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Bの化合物である化合物Aを提供する。
【0061】
一部の実施形態では、本発明は、図3に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物Aを提供する。
【0062】
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aおよび薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0063】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物Aまたはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に化合物Aまたはその組成物を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、化合物Aは、形態Bの化合物である。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0065】
化合物Aの塩形態
一部の実施形態では、酸および化合物Aはイオン結合して、以下に記載されている化合物1~9のうちの1つを形成する。化合物1~9は、種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物1~9は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物1~9は固体形態にある。化合物1~9が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。化合物1~9の例示的なこのような固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0066】
化合物1(化合物Aのメシル酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物1によって表される、化合物Aのメシル酸塩:
【化4】
を提供する。
【0067】
メタンスルホン酸と化合物Aは、イオン結合して化合物1を形成することは当業者により理解される。化合物1は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物1は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物1は、固体形態にある。化合物1が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0068】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物1を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰のメタンスルホン酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物1の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物1が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物1が、少なくとも約99重量%存在する。
【0069】
一実施形態によれば、化合物1は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物1は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物1は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0070】
化合物1の図示されている構造はまた、化合物1のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0071】
化合物1は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0072】
ある特定の実施形態では、化合物1は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物1は、非晶質化合物1を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物1を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物1を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物1が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物1が、少なくとも約99重量%存在する。
【0073】
化合物1は、少なくとも2つの区別される多形形態で存在することができることが見出された。一部の実施形態では、本発明は、本明細書において形態Aと称される化合物1の多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書において形態Bと称される化合物1の多形形態を提供する。
【0074】
一部の実施形態では、化合物1は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物1は非晶質であり、結晶性化合物1を実質的に含まない。
【0075】
化合物1の形態A
一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、以下の表3に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表3-1】
【0076】
一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピ
ークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Aは、約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0077】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図5に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0078】
化合物1の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0079】
化合物1の形態B
一部の実施形態では、化合物1の形態Bは、以下の表4に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表4-1】
【0080】
一部の実施形態では、化合物1の形態Bは、約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Bは、約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物1の形態Bは、約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0081】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図7に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0082】
化合物1の形態Bを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0083】
一部の実施形態では、本発明は、化合物1:
【化5】
を提供する。
【0084】
一部の実施形態では、本発明は、化合物1であって、結晶性である化合物1を提供する。
【0085】
一部の実施形態では、本発明は、化合物1であって、非晶質化合物1を実質的に含まない結晶性固体である化合物1を提供する。
【0086】
一部の実施形態では、本発明は、化合物1であって、不純物を実質的に含まない化合物1を提供する。
【0087】
一部の実施形態では、本発明は、約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物1を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物1を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物1を提供する。
【0088】
一部の実施形態では、本発明は、図5に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物1を提供する。
【0089】
一部の実施形態では、本発明は、約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物1を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物1を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Bの化合物である化合物1を提供する。
【0090】
一部の実施形態では、本発明は、図7に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物1を提供する。
【0091】
一部の実施形態では、本発明は、化合物1および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0092】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0093】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に化合物1またはその組成物を投与す
ることを含む方法を提供し、化合物1は、本明細書に記載されているとおりの結晶形態である。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0094】
化合物2(化合物Aのベシル酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物2によって表される、化合物Aのベシル酸塩:
【化6】
を提供する。
【0095】
ベンゼンスルホン酸と化合物Aは、イオン結合して化合物2を形成することは当業者により理解される。化合物2は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物2は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物2は、固体形態にある。化合物2が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0096】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物2を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰のベンゼンスルホン酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物2の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物2が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物2が、少なくとも約99重量%存在する。
【0097】
一実施形態によれば、化合物2は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物2は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物2は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0098】
化合物2の図示されている構造はまた、化合物2のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0099】
化合物2は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、化合物2は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物
2は、非晶質化合物2を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物2を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物2を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物2が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物2が、少なくとも約99重量%存在する。
【0101】
化合物2は、少なくとも2つの区別される多形形態で存在することができることが見出された。一部の実施形態では、本発明は、本明細書において形態Aと称される化合物2の多形形態を提供する。ある特定の実施形態では、本発明は、本明細書において形態Bと称される化合物2の多形形態を提供する。
【0102】
一部の実施形態では、化合物2は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物2は非晶質であり、結晶性化合物2を実質的に含まない。
【0103】
化合物2の形態A
一部の実施形態では、化合物2の形態Aは、以下の表5に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表5-1】
【0104】
一部の実施形態では、化合物2の形態Aは、約8.4、約14.0および約25.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Aは、約8.4、約14.0および約25.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Aは、約8.4、約14.0および約25.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴
とする。
【0105】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図9に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0106】
化合物2の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0107】
化合物2の形態B
一部の実施形態では、化合物2の形態Bは、以下の表6に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表6-1】
【0108】
一部の実施形態では、化合物2の形態Bは、約8.4、約26.8および約29.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Bは、約8.4、約26.8および約29.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物2の形態Bは、約8.4、約26.8および約29.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0109】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図11に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0110】
化合物2の形態Bを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0111】
一部の実施形態では、本発明は、化合物2:
【化7】
を提供する。
【0112】
一部の実施形態では、本発明は、化合物2であって、結晶性である化合物2を提供する。
【0113】
一部の実施形態では、本発明は、化合物2であって、非晶質化合物2を実質的に含まない結晶性固体である化合物2を提供する。
【0114】
一部の実施形態では、本発明は、化合物2であって、不純物を実質的に含まない化合物2を提供する。
【0115】
一部の実施形態では、本発明は、約8.4、約14.0および約25.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物2を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約8.4、約14.0および約25.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物2を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物2を提供する。
【0116】
一部の実施形態では、本発明は、図9に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物2を提供する。
【0117】
一部の実施形態では、本発明は、約8.4、約26.8および約29.3度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物2を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約8.4、約26.8および約29.3の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物2を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Bの化合物である化合物2を提供する。
【0118】
一部の実施形態では、本発明は、図11に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物2を提供する。
【0119】
一部の実施形態では、本発明は、化合物2および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0120】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物2またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0121】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載されるとおりの化合物2または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0122】
化合物3(化合物Aの硫酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物3によって表される、化合物Aの硫酸塩:
【化8】
を提供する。
【0123】
硫酸と化合物Aは、イオン結合して化合物3を形成することは当業者により理解される。化合物3は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物3は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物3は、固体形態にある。化合物3が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0124】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない、化合物3を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰な硫酸、過剰な化合物A、残留溶媒、または化合物Aの調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物3の形態が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物3が、少なくとも約99重量%存在する。
【0125】
一実施形態によれば、化合物3は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、本組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物3は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物3は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0126】
化合物3について図示されている構造はまた、化合物3のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0127】
化合物3は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、化合物3は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物3は、非晶質化合物Aを実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、
用語「非晶質化合物3を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物3を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物3が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物3が、少なくとも約99重量%存在する。
【0129】
一部の実施形態では、化合物3は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物3は非晶質であり、結晶性化合物3を実質的に含まない。
【0130】
化合物3の形態A
一部の実施形態では、化合物3の形態Aは、以下の表7に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表7-1】
【0131】
一部の実施形態では、化合物Aの形態3は、約17.2、約23.8および約25.5度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物3の形態Aは、約17.2、約23.8および約25.5度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物3の形態Aは、約17.2、約23.8および約25.5度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0132】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図12に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0133】
化合物3の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0134】
一部の実施形態では、本発明は、化合物3:
【化9】
を提供する。
【0135】
一部の実施形態では、本発明は、化合物3であって、結晶性である化合物3を提供する。
【0136】
一部の実施形態では、本発明は、化合物3であって、非晶質化合物3を実質的に含まない結晶性固体である化合物3を提供する。
【0137】
一部の実施形態では、本発明は、化合物3であって、不純物を実質的に含まない化合物3を提供する。
【0138】
一部の実施形態では、本発明は、約17.2、約23.8および約25.5度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物3を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約17.2、約23.8および約25.5度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物3を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物3を提供する。
【0139】
一部の実施形態では、本発明は、図12に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物3を提供する。
【0140】
一部の実施形態では、本発明は、化合物3および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0141】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物3またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0142】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載される化合物3または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0143】
化合物4(化合物Aのトシル酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物4によって表される、化合物Aのトシル酸塩:
【化10】
を提供する。
【0144】
「トシル酸塩」とは、p-トルエンスルホン酸塩、すなわちp-トルエンスルホン酸のイオン性形態を意味する。p-トルエンスルホン酸と化合物Aは、イオン結合して化合物4を形成することは当業者により理解される。化合物4は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物4は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物4は、固体形態にある。化合物4が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0145】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物4を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰のp-トルエンスルホン酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物4の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物4が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物4が、少なくとも約99重量%存在する。
【0146】
一実施形態によれば、化合物4は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物4は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物4は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0147】
化合物4の図示されている構造はまた、化合物4のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0148】
化合物4は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0149】
ある特定の実施形態では、化合物4は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物4は、非晶質化合物4を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物4を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物4を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物4が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物4が、少なくと
も約99重量%存在する。
【0150】
一部の実施形態では、化合物4は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物4は非晶質であり、結晶性化合物4を実質的に含まない。
【0151】
化合物4の形態A
一部の実施形態では、化合物4の形態Aは、以下の表8に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表8-1】
【0152】
一部の実施形態では、化合物4の形態Aは、約13.4、約17.0および約25.9度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物4の形態Aは、約13.4、約17.0および約25.9度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物4の形態Aは、約13.4、約17.0および約25.9度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0153】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図14に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0154】
化合物4の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0155】
一部の実施形態では、本発明は、化合物4:
【化11】
を提供する。
【0156】
一部の実施形態では、本発明は、化合物4であって、結晶性である化合物4を提供する。
【0157】
一部の実施形態では、本発明は、化合物4であって、非晶質化合物4を実質的に含まない結晶性固体である化合物4を提供する。
【0158】
一部の実施形態では、本発明は、化合物4であって、不純物を実質的に含まない化合物4を提供する。
【0159】
一部の実施形態では、本発明は、約13.4、約17.0および約25.9度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物4を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約13.4、約17.0および約25.9度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物4を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物4を提供する。
【0160】
一部の実施形態では、本発明は、図14に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物4を提供する。
【0161】
一部の実施形態では、本発明は、化合物4および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0162】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物4またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0163】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載されるとおりの化合物4または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0164】
化合物5(化合物Aの塩酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物5によって表される、化合物Aの塩酸塩:
【化12】
を提供する。
【0165】
塩酸と化合物Aは、イオン結合して化合物5を形成することは当業者により理解される。化合物5は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物5は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物5は、固体形態にある。化合物5が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0166】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物5を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰の塩酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物5の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物5が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物5が、少なくとも約99重量%存在する。
【0167】
一実施形態によれば、化合物5は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物5は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物5は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0168】
化合物5の図示されている構造はまた、化合物5のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0169】
化合物5は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0170】
ある特定の実施形態では、化合物5は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物5は、非晶質化合物5を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物5を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物5を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物5が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物5が、少なくとも約99重量%存在する。
【0171】
一部の実施形態では、化合物5は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物5は非晶質であり、結晶性化合物5を実質的に含まない。
【0172】
化合物5の形態A
一部の実施形態では、化合物5の形態Aは、以下の表9に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表9-1】
【0173】
一部の実施形態では、化合物5の形態Aは、約17.0、約22.6および約26.1度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物5の形態Aは、約17.0、約22.6および約26.1度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物5の形態Aは、約17.0、約22.6および約26.1度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0174】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図16に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0175】
化合物5の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0176】
一部の実施形態では、本発明は、化合物5:
【化13】
を提供する。
【0177】
一部の実施形態では、本発明は、化合物5であって、結晶性である化合物5を提供する。
【0178】
一部の実施形態では、本発明は、化合物5であって、非晶質化合物5を実質的に含まない結晶性固体である化合物5を提供する。
【0179】
一部の実施形態では、本発明は、化合物5であって、不純物を実質的に含まない化合物5を提供する。
【0180】
一部の実施形態では、本発明は、約17.0、約22.6および約26.1度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物5を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約17.0、約22.6および約26.1度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物5を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物5を提供する。
【0181】
一部の実施形態では、本発明は、図16に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物5を提供する。
【0182】
一部の実施形態では、本発明は、化合物5および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0183】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物5またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0184】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載されるとおりの化合物5または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0185】
化合物6(化合物Aのシュウ酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物6によって表される、化合物Aのシュウ酸塩:
【化14】
を提供する。
【0186】
シュウ酸と化合物Aは、イオン結合して化合物6を形成することは当業者により理解される。化合物6は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物6は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物6は、固体形態にある。化合物6が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0187】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物6を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰のシュウ酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物6の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物6が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物6が、少なくとも約99重量%存在する。
【0188】
一実施形態によれば、化合物6は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物6は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物6は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0189】
化合物6の図示されている構造はまた、化合物6のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0190】
化合物6は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0191】
ある特定の実施形態では、化合物6は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物6は、非晶質化合物6を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物6を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物6を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物6が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物6が、少なくとも約99重量%存在する。
【0192】
一部の実施形態では、化合物6は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物6は非晶質であり、結晶性化合物6を実質的に含まない。
【0193】
化合物6の形態A
一部の実施形態では、化合物6の形態Aは、以下の表10に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表10-1】
【0194】
一部の実施形態では、化合物6の形態Aは、約16.9、約19.8および約25.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物6の形態Aは、約16.9、約19.8および約25.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物6の形態Aは、約16.9、約19.8および約25.3度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0195】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図18に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0196】
化合物6の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0197】
一部の実施形態では、本発明は、化合物6:
【化15】
を提供する。
【0198】
一部の実施形態では、本発明は、化合物6であって、結晶性である化合物6を提供する。
【0199】
一部の実施形態では、本発明は、化合物6であって、非晶質化合物6を実質的に含まない結晶性固体である化合物6を提供する。
【0200】
一部の実施形態では、本発明は、化合物6であって、不純物を実質的に含まない化合物6を提供する。
【0201】
一部の実施形態では、本発明は、約16.9、約19.8および約25.3度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物6を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約16.9、約19.8および約25.3度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物6を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物6を提供する。
【0202】
一部の実施形態では、本発明は、図18に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物6を提供する。
【0203】
一部の実施形態では、本発明は、化合物6および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0204】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物6またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0205】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載されるとおりの化合物6または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0206】
化合物7(化合物Aのリン酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物7によって表される、化合物Aのリン酸塩:
【化16】
を提供する。
【0207】
リン酸と化合物Aは、イオン結合して化合物7を形成することは当業者により理解される。化合物7は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物7は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物7は、固体形態にある。化合物7が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0208】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物7を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰のリン酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物7の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物7が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物7が、少なくとも約99重量%存在する。
【0209】
一実施形態によれば、化合物7は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物7は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物7は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0210】
化合物7の図示されている構造はまた、化合物7のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0211】
化合物7は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0212】
ある特定の実施形態では、化合物7は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物7は、非晶質化合物7を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物7を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物7を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物7が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物7が、少なくと
も約99重量%存在する。
【0213】
一部の実施形態では、化合物7は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物7は非晶質であり、結晶性化合物7を実質的に含まない。
【0214】
化合物7の形態A
一部の実施形態では、化合物7の形態Aは、以下の表11に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表11-1】
【0215】
一部の実施形態では、化合物7の形態Aは、約16.8、約24.3および約27.8度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物7の形態Aは、約16.8、約24.3および約27.8度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物7の形態Aは、約16.8、約24.3および約27.8度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0216】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図20に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0217】
化合物7の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0218】
一部の実施形態では、本発明は、化合物7:
【化17】
を提供する。
【0219】
一部の実施形態では、本発明は、化合物7であって、結晶性である化合物7を提供する。
【0220】
一部の実施形態では、本発明は、化合物7であって、非晶質化合物7を実質的に含まない結晶性固体である化合物7を提供する。
【0221】
一部の実施形態では、本発明は、化合物7であって、不純物を実質的に含まない化合物7を提供する。
【0222】
一部の実施形態では、本発明は、約16.8、約24.3および約27.8度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物7を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約16.8、約24.3および約27.8度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物7を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物7を提供する。
【0223】
一部の実施形態では、本発明は、図20に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物7を提供する。
【0224】
一部の実施形態では、本発明は、化合物7および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0225】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物7またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0226】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載されるとおりの化合物7または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0227】
化合物8(化合物Aのカンシル酸塩(camsylate salt))
一実施形態によれば、本発明は、化合物8によって表される、化合物Aのカンシル酸塩:
【化18】
を提供する。
【0228】
カンファースルホン酸と化合物Aは、イオン結合して化合物8を形成することは当業者により理解される。化合物8は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物8は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物8は、固体形態にある。化合物8が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0229】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物8を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰のカンファースルホン酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物8の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物8が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物8が、少なくとも約99重量%存在する。
【0230】
一実施形態によれば、化合物8は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物8は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物8は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0231】
化合物8の図示されている構造はまた、化合物8のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0232】
化合物8は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0233】
ある特定の実施形態では、化合物8は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物
8は、非晶質化合物8を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、用語「非晶質化合物8を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物8を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物8が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物8が、少なくとも約99重量%存在する。
【0234】
一部の実施形態では、化合物8は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物8は非晶質であり、結晶性化合物8を実質的に含まない。
【0235】
化合物8の形態A
一部の実施形態では、化合物8の形態Aは、以下の表12に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表12-1】
【0236】
一部の実施形態では、化合物8の形態Aは、約7.1、約17.2および約18.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物8の形態Aは、約7.1、約17.2および約18.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物8の形態Aは、約7.1、約17.2および約18.4度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0237】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図22に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0238】
化合物8の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0239】
一部の実施形態では、本発明は、化合物8:
【化19】
を提供する。
【0240】
一部の実施形態では、本発明は、化合物8であって、結晶性である化合物8を提供する。
【0241】
一部の実施形態では、本発明は、化合物8であって、非晶質化合物8を実質的に含まない結晶性固体である化合物8を提供する。
【0242】
一部の実施形態では、本発明は、化合物8であって、不純物を実質的に含まない化合物8を提供する。
【0243】
一部の実施形態では、本発明は、約7.1、約17.2および約18.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物8を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約7.1、約17.2および約18.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物8を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物8を提供する。
【0244】
一部の実施形態では、本発明は、図22に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物8を提供する。
【0245】
一部の実施形態では、本発明は、化合物8および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0246】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物8またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0247】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に本明細書に記載されるとおりの化合物8または結晶形態を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0248】
化合物9(化合物Aの酒石酸塩)
一実施形態によれば、本発明は、化合物9によって表される、化合物Aの酒石酸塩:
【化20】
を提供する。
【0249】
酒石酸と化合物Aは、イオン結合して化合物9を形成することは当業者により理解される。化合物9は種々の物理形態で存在することができることが企図されている。例えば、化合物9は、溶液、懸濁液で、または固体形態で存在することができる。ある特定の実施形態では、化合物9は、固体形態にある。化合物9が固体形態にある場合、前記化合物は、非晶質、結晶、またはそれらの混合物であってもよい。例示的な固体形態は、以下に一層詳細に記載されている。
【0250】
一部の実施形態では、本発明は、不純物を実質的に含まない化合物9を提供する。本明細書で使用する場合、用語「不純物を実質的に含まない」は、この化合物が有意な量の外来物質を含有しないことを意味する。このような外来物質は、過剰の酒石酸、過剰の化合物A、残留溶媒、または化合物9の調製および/もしくは単離に起因しうる任意の他の不純物を含むことができる。ある特定の実施形態では、化合物9が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、化合物9が、少なくとも約99重量%存在する。
【0251】
一実施形態によれば、化合物9は、少なくとも約97、97.5、98.0、98.5、99、99.5、99.8重量パーセントの量で存在し、この場合、百分率は、組成物の総重量を基準とする。別の実施形態によれば、化合物9は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約3.0HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有し、ある特定の実施形態では、約1.5HPLC面積パーセント以下の有機不純物の合計を含有する。他の実施形態では、化合物9は、HPLCクロマトグラムの合計面積に対して、約1.0%HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物、約0.6HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有し、ある特定の実施形態では、約0.5HPLC面積パーセント以下の任意の単一不純物を含有する。
【0252】
化合物9の図示されている構造はまた、化合物9のすべての互変異性形態を含むことが意図される。さらに、本明細書において図示されている構造はまた、1個または複数の同位体に富む原子が存在することしか違いのない、化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13Cもしくは14Cに富む炭素による炭素の置き換えを除く、本構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。
【0253】
化合物9は種々の固体形態で存在することができることが見出された。例示的な、このような形態は、多形、例えば本明細書に記載されているものを含む。
【0254】
ある特定の実施形態では、化合物9は、結晶性固体である。他の実施形態では、化合物9は、非晶質化合物9を実質的に含まない結晶性固体である。本明細書で使用する場合、
用語「非晶質化合物9を実質的に含まない」は、その化合物が有意な量の非晶質化合物9を含有しないことを意味する。ある特定の実施形態では、結晶性化合物9が、少なくとも約95重量%存在する。本発明のさらに他の実施形態では、結晶性化合物9が、少なくとも約99重量%存在する。
【0255】
一部の実施形態では、化合物9は、非晶質である。一部の実施形態では、化合物9は非晶質であり、結晶性化合物9を実質的に含まない。
【0256】
化合物9の形態A
一部の実施形態では、化合物9の形態Aは、以下の表13に列挙されているピークから選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのスペクトルピークを有する。
【表13-1】
【0257】
一部の実施形態では、化合物9の形態Aは、約7.2、約8.1および約16.1度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける1つまたは複数のピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物9の形態Aは、約7.2、約8.1および約16.1度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける2つまたはそれより多いピークを有することを特徴とする。一部の実施形態では、化合物9の形態Aは、約7.2、約8.1および約16.1度の2θのピークから選択される、その粉末X線回折パターンにおける3つのピークすべてを有することを特徴とする。
【0258】
ある特定の実施形態では、粉末X線回折パターンは、図24に提示されているXRPDに実質的に類似している。
【0259】
化合物9の形態Aを調製するための方法は、以下に記載されている。
【0260】
一部の実施形態では、本発明は、化合物9:
【化21】
を提供する。
【0261】
一部の実施形態では、本発明は、化合物9であって、結晶性である化合物9を提供する。
【0262】
一部の実施形態では、本発明は、化合物9であって、非晶質化合物9を実質的に含まない結晶性固体である化合物9を提供する。
【0263】
一部の実施形態では、本発明は、化合物9であって、不純物を実質的に含まない化合物9を提供する。
【0264】
一部の実施形態では、本発明は、約7.2、約8.1および約16.1度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、化合物9を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、約7.2、約8.1および約16.1度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、化合物9を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、形態Aの化合物である化合物9を提供する。
【0265】
一部の実施形態では、本発明は、図24に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、化合物9を提供する。
【0266】
一部の実施形態では、本発明は、化合物9および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。
【0267】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、A2Eの蓄積を阻害または予防する方法であって、前記患者に化合物9またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。
【0268】
一部の実施形態では、本発明は、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態を処置する方法であって、前記患者に化合物9またはその組成物を投与することを含む方法を提供する。一部のこのような実施形態では、患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している様々な状態は、ドライアイ、白内障、円錐角膜、角膜におけるフックス内皮ジストロフィー、ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、眼性瘢痕性類天疱瘡、光学的角膜屈折矯正手術(PRK)の治癒または他の角膜の治癒と関連する状態、涙液脂質の分解または涙腺機能障害と関連する状態、炎症性の眼の状態、例えば、眼性酒さ(マイボーム腺機能障害を伴う、もしくは伴わない)、および眼以外の障害または状態、例えば、皮膚がん、乾癬、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、尋常性座瘡、シェーグレン-ラルソン症候群、虚血再灌流傷害、炎症、糖尿病、神経変性(例えば、パーキンソン病)、強皮症、筋萎縮性側索硬化症、自己免疫障害(例えば、狼瘡)、心血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化症)、およびびらん剤の傷害性作用と関連する状態を含むこと
ができる。
【0269】
一部の実施形態では、本発明は、化合物Aの形態A;化合物Aの形態B;化合物1の形態A;化合物1の形態B;化合物2の形態A;化合物2の形態B;化合物3の形態A;化合物4の形態A;化合物5の形態A;化合物6の形態A;化合物7の形態A;化合物8の形態Aおよび化合物9の形態Aから選択される化合物を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、上記の化合物の形態の1つ、および薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤を含む組成物を提供する。一部のこのような実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている、疾患、障害または状態のうちの1つまたは複数を処置する方法を提供する。
【0270】
塩化合物を提供する一般方法
化合物Aは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、第’500号公報に詳細に記載されている方法に従って調製する。その式がとりわけ塩化合物1~9、および/またはその特定の形態を包含する、一般式Xの塩化合物は、以下の一般スキームに従って、化合物Aから調製される。
【化22】
【0271】
例えば、化合物1~9の各々、およびそれらの形態は、化合物Aから、化合物Aを適切な酸と組み合わせて、その酸の塩を形成させることにより調製される。したがって、本発明の別の態様は、化合物1~9、およびそれらの形態を調製するための方法を提供する。
【0272】
上で一般に記載されている通り、一部の実施形態では、本発明は、一般式Xの塩化合物:
【化23】
を調製するための方法であって、
化合物A:
【化24】
を、一般式Xの塩化合物を形成するのに好適な条件下、好適な酸、および必要に応じて好適な溶媒と組み合わせるステップを含む方法を提供する。
【0273】
一部の実施形態では、好適な酸はメタンスルホン酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aのメシル酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aのメシル酸塩は化合物1である。ある特定の実施形態では、化合物Aのメシル酸塩は、化合物1の形態Aである。ある特定の実施形態では、化合物Aのメシル酸塩は、化合物1の形態Bである。
【0274】
一部の実施形態では、好適な酸は、ベンゼンスルホン酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aのベシル酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aのベシル酸塩は化合物2である。ある特定の実施形態では、化合物Aのベシル酸塩は、化合物2の形態Aである。ある特定の実施形態では、化合物Aのベシル酸塩は、化合物2の形態Bである。
【0275】
一部の実施形態では、好適な酸は、硫酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aの硫酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aの硫酸塩は化合物3である。ある特定の実施形態では、化合物Aの硫酸塩は、化合物3の形態Aである。
【0276】
一部の実施形態では、好適な酸は、p-トルエンスルホン酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aのトシル酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aのトシル酸塩は化合物4である。ある特定の実施形態では、化合物Aのトシル酸塩は、化合物4の形態Aである。
【0277】
一部の実施形態では、好適な酸は、塩酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aの塩酸塩(hydrochloride salt)を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態
では、化合物Aの塩酸塩(hydrochloric salt)は化合物5である。ある特定の実施形態では、化合物Aの塩酸塩は、化合物5の形態Aである。
【0278】
一部の実施形態では、好適な酸は、シュウ酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aのシュウ酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aのシュウ酸塩は化合物6である。ある特定の実施形態では、化合物Aのシュウ酸塩は、化合物6の形態Aである。
【0279】
一部の実施形態では、好適な酸は、リン酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aのリン酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aのリン酸塩は化合物7である。ある特定の実施形態では、化合物Aのリン酸塩は、化合物7の形態Aである。
【0280】
一部の実施形態では、好適な酸は、カンファースルホン酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aのカンシル酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aのカンシル酸塩は化合物8である。ある特定の実施形態では、化合物Aのカンシル酸塩は、化合物8の形態Aである。
【0281】
一部の実施形態では、好適な酸は、酒石酸である。一部の実施形態では、本発明は、化合物Aの酒石酸塩を作製する方法を提供する。ある特定の実施形態では、化合物Aの酒石酸塩は化合物9である。ある特定の実施形態では、化合物Aの酒石酸塩は、化合物9の形態Aである。
【0282】
好適な溶媒は、化合物Aおよび/もしくは酸が可溶である、または少なくとも一部が可溶である任意の溶媒系(例えば、1種の溶媒、または溶媒の混合物)とすることができる
【0283】
本発明において有用な好適な溶媒の例には、これらに限定されないが、プロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、極性非プロトン性溶媒またはそれらの混合物が含まれる。ある特定の実施形態では、好適な溶媒には、エーテル、エステル、アルコール、ケトンまたはそれらの混合物が含まれる。一部の実施形態では、溶媒は、1種または複数種の有機アルコールである。一部の実施形態では、溶媒は塩素化されている。一部の実施形態では、溶媒は芳香族溶媒である。
【0284】
ある特定の実施形態では、好適な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはアセトンであり、前記溶媒は、無水であるか、または水もしくはヘプタンとの組合せである。一部の実施形態では、好適な溶媒には、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、グライム、ジグライム、メチルt-ブチルエーテル、t-ブタノール、n-ブタノールおよびアセトニトリルが含まれる。一部の実施形態では、好適な溶媒は、エタノールである。一部の実施形態では、好適な溶媒は、無水エタノールである。一部の実施形態では、好適な溶媒は、MTBEである。
【0285】
一部の実施形態では、好適な溶媒は、酢酸エチルである。一部の実施形態では、好適な溶媒は、メタノールと塩化メチレンとの混合物である。一部の実施形態では、好適な溶媒は、アセトニトリルと水との混合物である。ある特定の実施形態では、好適な溶媒は、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、アセトンまたはテトラヒドロフランである。ある特定の実施形態では、好適な溶媒は、ジエチルエーテルである。ある特定の実施形態では、好適な溶媒は、水である。ある特定の実施形態では、好適な溶媒は、メチルエチルケトンである。ある特定の実施形態では、好適な溶媒は、トルエンである。
【0286】
一部の実施形態では、本発明は、一般式Xの塩化合物を調製するための方法であって、溶媒の除去および溶媒の添加のうちの1つまたは複数のステップを含む方法を提供する。一部の実施形態では、添加される溶媒は、除去される溶媒と同一である。一部の実施形態では、添加される溶媒は、除去される溶媒と異なる。溶媒除去の手段は、合成技術および化学技術において公知であり、これらに限定されないが、本明細書および実施例に記載されている手段のいずれも含む。
【0287】
一部の実施形態では、一般式Xの塩化合物を調製するための方法は、調製物の加熱または冷却のうちの1つまたは複数のステップを含む。
【0288】
一部の実施形態では、一般式Xの塩化合物を調製するための方法は、調製物の振とうまたは撹拌のうちの1つまたは複数のステップを含む。
【0289】
一部の実施形態では、一般式Xの塩化合物を調製するための方法は、好適な酸を化合物Aの溶液またはスラリーに添加するステップを含む。
【0290】
一部の実施形態では、一般式Xの塩化合物を調製するための方法は、加熱するステップを含む。
【0291】
ある特定の実施形態では、式Xの塩化合物は、混合物から沈殿する。別の実施形態では、式Xの塩化合物は、混合物から結晶化する。他の実施形態では、式Xの塩化合物は、溶液の種を加えた(すなわち、式Xの塩化合物の結晶を溶液に加えること)後に溶液から結晶化する。
【0292】
式Xの塩化合物は、反応混合物から析出することができるか、または方法、例えばエバ
ポレーション、蒸留、濾過(例えば、ナノ濾過、限外濾過)、逆浸透、吸収および反応により溶媒の一部もしくは全部を除去することにより、貧溶媒、例えばヘプタンを添加することにより、冷却することにより、またはこれらの方法の様々な組合せにより生成することができる。
【0293】
上で一般に記載されている通り、式Xの塩化合物は、必要に応じて単離される。式Xの塩化合物は、当業者に公知の任意の好適な物理手段によって単離することができることを理解される。ある特定の実施形態では、式Xの沈殿した固体塩化合物は、濾過によって上澄み液から分離される。他の実施形態では、式Xの沈殿した固体塩化合物は、上澄み液のデカンテーションにより上澄み液から分離される。
【0294】
ある特定の実施形態では、式Xの塩化合物は、濾過によって上澄み液から分離される。
【0295】
ある特定の実施形態では、式Xの単離された塩化合物は、空気中で乾燥させる。他の実施形態では、式Xの単離された塩化合物は、必要に応じて高温で、減圧下で乾燥させる。
【0296】
化合物および薬学的に許容されるその組成物の使用
本明細書に記載のある特定の化合物は、毒性アルデヒド、例えば、MDAおよびHNEをスカベンジするのに有用であることが見出されている。本明細書に記載の化合物は、MDA、HNE、または他の毒性アルデヒドとのシッフ塩基縮合を起こし、エネルギー的に起こりやすい反応でアルデヒドと錯体を形成し、したがって、タンパク質、脂質、炭水化物、またはDNAとの反応に利用され得るアルデヒドを減少させるかまたは排除する。重要なことに、本明細書に記載の化合物は、アルデヒドと反応して、アルデヒドを含有する閉環構造を有する化合物を形成することができ、したがってアルデヒドを捕捉し、アルデヒドが細胞環境中に再び放出されることを予防する。
【0297】
本明細書において使用する場合、用語「処置」、「処置する」および「処置すること」とは、本明細書に記載の通り、疾患もしくは障害、または1つもしくは複数のそれらの症状の進行を反転させること、軽減すること、それらの発症を遅延させること、または阻害することを指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に施される。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で施される。例えば、処置は、症状の発症前(例えば、症状の病歴に照らし合わせて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子に照らし合わせて)に、感受性の高い個体に施される。処置はまた、例えば、その再発を予防する、遅延させる、またはその重症度を低下させるために、症状が消散した後にも継続される。
【0298】
本発明は、アルデヒド毒性が病態形成に関係している疾患、障害、または状態を処置する、予防する、かつ/またはそのリスクを低減するための、本明細書に記載の化合物に関する。
【0299】
アルデヒド毒性が関係している疾患、障害、または状態の例は、これらに限定されないが、角膜疾患(例えば、ドライアイ症候群、白内障、円錐角膜、水疱性角膜症および他の角膜症、ならびにフックス内皮ジストロフィー)、他の眼の障害または状態(例えば、アレルギー性結膜炎、眼性瘢痕性類天疱瘡、PRKの治癒および他の角膜の治癒と関連する状態、ならびに涙液脂質の分解または涙腺機能障害と関連する状態)、ならびに炎症の結果としての高いアルデヒドレベルと関連する他の眼の状態(例えば、ブドウ膜炎、強膜炎、眼のスティーブンスジョンソン症候群、眼性酒さ(マイボーム腺機能障害を伴う、もしくは伴わない))を含めた眼の疾患、障害、または状態を含む。一例では、眼の疾患、障害、または状態は、黄斑変性、例えば、加齢黄斑変性(「AMD」)、またはシュタルガルト病ではない。さらなる例では、眼の疾患、障害、または状態は、ドライアイ症候群、
眼性酒さ、またはブドウ膜炎である。
【0300】
アルデヒド毒性が関係している疾患、障害、状態または徴候の例はまた、乾癬、局部(円板状)狼瘡、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、放射線皮膚炎、尋常性座瘡、シェーグレン-ラルソン症候群および他の魚鱗癬、日光弾力線維症/しわ、肌の張りと弾力、腫脹、湿疹、喫煙または刺激物質誘発性皮膚変化、皮膚切開、火傷および/または創傷が関連する皮膚状態、狼瘡、強皮症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、関節リウマチ、炎症性腸疾患、敗血症、アテローム性動脈硬化症、虚血再灌流傷害、パーキンソン病、アルツハイマー病、コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素欠損症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、糖尿病、メタボリックシンドローム、加齢関連障害ならびに線維性疾患を含めた眼以外の障害を含む。さらなる例では、眼以外の障害は、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、および放射線皮膚炎から選択される皮膚の疾患、障害、または状態である。別の例では、眼以外の障害は、シェーグレン-ラルソン症候群および、火傷および/もしくは創傷に関連する美容上の徴候から選択される皮膚の疾患、障害、または状態である。
【0301】
さらなる例では、アルデヒド毒性が関係している疾患、障害、または状態は、加齢関連障害である。加齢関連疾患、障害、または状態の例には、皮膚のしわ、乾燥および色素沈着が含まれる。
【0302】
アルデヒド毒性が関係している疾患、障害、または状態の例は、びらん剤の毒性作用またはアルカリ剤からの火傷と関連する状態をさらに含む。本明細書に記載の化合物は、毒性アルデヒドを減少させるかまたは排除し、したがって、これらの疾患または障害を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減する。
【0303】
一部の実施形態では、本発明は、それを必要とする被験体に本明細書に記載の化合物を投与することを含む、アルデヒド毒性が病態形成に関係している眼の疾患、障害、または状態の処置、予防、および/またはそのリスクの低減に関する。眼の疾患、障害、または状態には、これらに限定されないが、角膜疾患(例えば、ドライアイ症候群、白内障、円錐角膜、水疱性角膜症および他の角膜症、ならびに角膜におけるフックス内皮ジストロフィー)、他の眼の障害または状態(例えば、アレルギー性結膜炎、眼性瘢痕性類天疱瘡、PRKの治癒および他の角膜の治癒と関連する状態、ならびに涙液脂質の分解または涙腺機能障害と関連する状態)、ならびに炎症が高いアルデヒドレベルをもたらす他の眼の状態(例えば、ブドウ膜炎、強膜炎、眼のスティーブンスジョンソン症候群、眼性酒さ(マイボーム腺機能障害を伴う、もしくは伴わない))が含まれる。眼の疾患、障害、または状態は、黄斑変性症、例えば、AMD、またはシュタルガルト病を含まない。一例示では、眼の疾患、障害、または状態において、MDAまたはHNEの量または濃度は、眼の組織または細胞において増加している。例えば、アルデヒド(例えば、MDAまたはHNE)の量または濃度は、正常な眼の組織または細胞におけるものと比較したとき、少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、2倍、2.5倍、5倍、10倍増加している。化合物1などの本明細書に記載の化合物は、時間依存的様式でアルデヒド(例えば、MDAおよびHNE)濃度を減少させる。アルデヒド(例えば、MDAまたはHNE)の量または濃度は、当技術分野で公知の方法または技術、例えば、Tukozkanら、Furat Tip Dergisi、11巻:88~92頁(2006年)に記載されているものによって測定することができる。
【0304】
一つのクラスでは、眼の疾患、障害、または状態は、ドライアイ症候群である。第2のクラスでは、眼の疾患、障害、または状態は、PRKの治癒および他の角膜の治癒と関連する状態である。例えば、本発明は、それを必要とする被験体に本明細書に記載の化合物を投与することを含む、進行中のPRKの治癒または他の角膜の治癒を対象とする。第3
のクラスでは、眼の疾患、障害、または状態は、炎症からもたらされる高いアルデヒドレベルと関連する眼の状態(例えば、ブドウ膜炎、強膜炎、眼のスティーブンスジョンソン症候群、および眼性酒さ(マイボーム腺機能障害を伴う、もしくは伴わない)である。第4のクラスでは、眼の疾患、障害、または状態は、円錐角膜、白内障、水疱性角膜症および他の角膜症、フックス内皮ジストロフィー、眼性瘢痕性類天疱瘡、またはアレルギー性結膜炎である。本明細書に記載の化合物は、本明細書の下記に記載のように局所的または全身に投与されうる。
【0305】
第2の実施形態では、本発明は、アルデヒド毒性が病態形成に関係している、皮膚の障害もしくは状態、または美容上の徴候の処置、予防、および/またはそのリスクの低減に関し、それを必要とする被験体に本明細書に記載の化合物を投与することを含む。皮膚の障害または状態には、これらに限定されないが、乾癬、強皮症、局部(円板状)狼瘡、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、放射線皮膚炎、尋常性座瘡、ならびにシェーグレン-ラルソン症候群および他の魚鱗癬が含まれ、美容上の徴候は、日光弾力線維症/しわ、肌の色と張り、腫脹、湿疹、喫煙もしくは刺激物質誘発性皮膚変化、皮膚切開、または火傷および/もしくは創傷に関連する皮膚状態が挙げられる。一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている通り、皮膚の加齢関連疾患、障害または状態に関する。
【0306】
様々な皮膚の障害または状態、例えば、アトピー性皮膚炎、局部(円板状)狼瘡、乾癬および強皮症は、高いMDAおよびHNEレベルによって特徴付けられる(Br J Dermatol、149巻:248頁(2003年);JEADV、26巻:833頁(2012年);Clin Rheumatol、25巻:320頁(2006年))。さらに、シェーグレン-ラルソン
症候群(SLS)の特徴である魚鱗癬は、脂肪アルデヒドの蓄積に起因し、これはラメラ体(LB)の正常機能および分泌を撹乱し、角質層(strateum corneum)(SC)にお
ける細胞間脂質沈着、および皮膚層における水バリアの欠陥をもたらす(W.B. Rizzoら
(2010年))。SLS患者では、アルデヒドを代謝する酵素である脂肪アルデヒドデヒドロゲナーゼが機能異常を起こしている。したがって、アルデヒドを低減または排除する化合物、例えば、本明細書に記載の化合物を使用して、アルデヒド毒性が病態形成に関係している皮膚の障害または状態、例えば、本明細書に記載のものを処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減することができる。さらに、水バリアの改善およびアルデヒドが媒介する炎症(線維症および弾力線維症(Chairpottoら(2005年)を含む)の予防を伴って、多くの美容上の徴候、例えば、日光弾力線維症/しわ、肌の色、張り(腫脹)、湿疹、喫煙または刺激物質誘発性皮膚変化および皮膚切開美容術、ならびに火傷および/または創傷に関連する皮膚状態は、本発明の方法を使用して処置することができる。
【0307】
1つのクラスでは、皮膚疾患、障害または状態は、乾癬、強皮症、局部(円板状)狼瘡、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、放射線皮膚炎、尋常性座瘡またはシェーグレン-ラルソン症候群および他の魚鱗癬である。一例では、皮膚疾患、障害または状態は、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎、放射線皮膚炎、またはシェーグレン-ラルソン症候群および他の魚鱗癬である。第2のクラスでは、美容上の徴候は、日光弾力線維症/しわ、肌の色 張り、腫脹、湿疹、喫煙もしくは刺激物質誘発性皮膚変化、皮膚切開、または火傷および/もしくは創傷に関連する皮膚状態である。
【0308】
第3の実施形態では、本発明は、アルデヒド毒性が病態形成に関係しているびらん剤(blister agent)の毒性作用またはアルカリ剤からの火傷と関連する状態の処置、予防、および/またはそのリスクの低減であって、それを必要とする被験体に本明細書に記載の化合物を投与することを含む、処置、予防、および/またはそのリスクの低減に関する。
【0309】
びらん剤には、これらに限定されないが、サルファマスタード、ナイトロジェンマスタード、およびホスゲンオキシムが含まれる。びらん剤の毒性作用または傷害性作用は、疼痛、刺激、ならびに/または皮膚、目、および/もしくは粘膜における裂け、ならびに結膜炎ならびに/または目への角膜の損傷を含む。サルファマスタードは、化合物ビス(2-クロルエチル)スルフィドである。ナイトロジェンマスタードは、化合物ビス(2-クロルエチル)エチルアミン、ビス(2-クロルエチル)メチルアミン、およびトリス(2-クロルエチル)アミンを含む。サルファマスタードまたはその類似体は、酸化ストレス、特に、HNEレベルの増加を引き起こすことができ、抗酸化防御系を枯渇させ、それによって脂質過酸化を増加させることによって、酸化ストレス応答を誘発し、こうしてアルデヒドレベルを増加させうる(Jafariら(2010年);Palら(2009年))。抗酸
化物質の酵素の活性の増加は、サルファマスタードによって生じる活性酸素種への代償性応答でありうる。抗酸化剤、例えば、シリビニンは、局所に適用されたとき、サルファマスタードまたはその類似体への曝露によって誘発される皮膚の傷害を減弱する(Jafariら(2010年);Tewari-Singhら(2012年))。さらに、フリーラジカル種を低減させる介入は、ホスゲン誘発性肺傷害に対する曝露後の有効な処置であった(Sciutoら(2004年))。したがって、アルデヒドを低減または排除する化合物、例えば、本明細書に記載の化合物を使用して、びらん剤、例えば、サルファマスタード、ナイトロジェンマスタード、およびホスゲンオキシムの毒性作用と関連する状態を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減することができる。
【0310】
アルカリ剤には、これらに限定されないが、石灰、灰汁、アンモニア、および排水管洗浄剤が含まれる。アルデヒドを低減または排除する化合物、例えば、本明細書に記載の化合物を使用して、アルカリ剤からの火傷と関連する状態を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減することができる。
【0311】
第4の実施形態では、本発明は、アルデヒド毒性が病態形成に関係している自己免疫性、免疫媒介性、炎症性、心血管性、もしくは神経系の疾患、障害、もしくは状態、またはメタボリックシンドローム、または糖尿病の処置、予防、および/またはそのリスクの低減に関し、それを必要とする被験体に本明細書に記載の化合物を投与することを含む。自己免疫性または免疫媒介性の疾患、障害、または状態には、これらに限定されないが、狼瘡、強皮症、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および関節リウマチが含まれる。炎症性の疾患、障害、または状態には、これらに限定されないが、関節リウマチ、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、敗血症、ならびに線維症(例えば、腎臓、肝臓、肺、および心臓の線維症)が含まれる。心血管の疾患、障害、または状態には、これらに限定されないが、アテローム性動脈硬化症および虚血再灌流傷害が含まれる。神経系の疾患、障害、または状態には、これらに限定されないが、パーキンソン病、アルツハイマー病、コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素欠損症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、ならびにシェーグレン-ラルソン症候群の神経学的態様(認知の遅延および痙縮)が含まれる。
【0312】
本明細書において列挙する疾患、障害、または状態は、1つより多い病理学的機構が関与しうることを当業者は理解する。例えば、本明細書において列挙する疾患、障害、または状態は、免疫応答および炎症応答における調節不全に関与しうる。したがって、疾患、障害、または状態の上記の分類は絶対的ではなく、疾患、障害、または状態は、免疫性、炎症性、心血管性、神経系、および/または代謝性の疾患、障害、または状態であると考えうる。
【0313】
アルデヒドデヒドロゲナーゼの欠乏を有する個体は、高いアルデヒドレベル、ならびにパーキンソン病(PNAS、110巻:636頁(2013年))およびアルツハイマー病(BioChem Biophys Res Commun.、273巻:192頁(2000年))のリスクの
増加を有することが見出されている。パーキンソン病において、アルデヒドは特に、ドパミンの生理機能を妨げる(Free Radic Biol Med、51巻:1302頁(2011年);Mol Aspects Med、24巻:293頁(2003年);Brain Res、1145巻:1
50頁(2007年))。さらに、アルデヒドレベルは、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、自己免疫疾患、例えば、狼瘡、関節リウマチ、狼瘡、乾癬、強皮症、および線維性疾患において上昇しており、HNE、MDA、グリオキサールおよびメチルグリオキサールのレベルの増加は、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の進行に関係している(J. Cell. Mol. Med.、15巻:1339頁(2011年);Arthritis Rheum、62巻:
2064頁(2010年);Clin Exp Immunol、101巻:233頁(1995年);Int J Rheum Dis、14巻:325頁(2011年);JEADV、26巻:833頁(2
012年);Clin Rheumatol、25巻:320頁(2006年);Gut、54巻:9
87頁(2005年);J Am Soc Nephrol、20巻:2119頁(2009年);Curr. Aging Sci.、10巻:18頁(2017年));Oxid. Med. Cell Longev.論文1625130(2017年)。MDAは、アテローム性動脈硬化症をもたらす泡沫細胞の形成の増加にさらに関係している(Leibundgutら、Current Opinion in Pharmacology、13巻:168頁(2013年))。また、アルデヒドに関連する毒性は、多くの炎症性肺疾患、例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)の病態形成において重要な役割を果たす(Bartoliら、Mediators of Inflammation、2011年、論文891752)。したがって、アルデヒドを低減または排除する化合物、例えば、本明細書に記載の化合物を使用して、自己免疫性、免疫媒介性、炎症性、心血管性、もしくは神経系の疾患、障害、もしくは状態、またはメタボリックシンドローム、または糖尿病を処置し、予防し、かつ/またはそのリスクを低減することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、ニューロンにおけるアルデヒド媒介性細胞死を予防する。さらに、本明細書に記載の化合物は、広範囲の炎症促進性サイトカインをダウンレギュレートし、かつ/または抗炎症性サイトカインをアップレギュレートするが、このことは本明細書に記載の化合物が、炎症性疾患、例えば、多発性硬化症および筋萎縮性側索硬化症の処置に有用であることを示す。
【0314】
上で議論されている通り、開示されている組成物は、黄斑変性、ならびにその病因にA2Eおよび/またはリポフスチンの蓄積が関与する網膜疾患の他の形態を処置または予防するために、被験体に投与されうる。A2Eの蓄積によって特徴付けられる、他の疾患、障害、または状態が同様に処置されうる。
【0315】
一実施形態では、A2Eの形成を低減する化合物が、被験体に投与される。例えば、本化合物は、trans-RALとの反応に関してPEと競合することができ、それにより、形成されるA2Eの量を低減し得る。別の実施形態では、A2Eの蓄積を防止する化合物が、被験体に投与される。例えば、本化合物は、trans-RALとの反応に関して、PEとかなり首尾よく競合し、A2Eが形成されない。
【0316】
処置される個体は、3つの群に分類される:(1)目視検査および/もしくは網膜電図検査によって決定される視覚的欠陥(これらに限定されないが、暗順応、コントラスト感度および明瞭度を含む)、ならびに/またはドルーゼンの蓄積、組織萎縮および/もしくはリポフスチン蛍光に関して、網膜およびRPE組織の眼底検査(fundoscopic examination)によって示される網膜の健康状態に基づくと、黄斑変性、またはその病因にA2Eおよび/もしくはリポフスチンの蓄積が関与する網膜疾患の他の形態であると臨床的に診断される者、(2)黄斑変性疾患の発症前にあるが、同一尺度のいずれかまたはすべてにおける異常な結果に基づいてリスクがあると考えられる者、ならびに(3)発症前であるが、黄斑変性疾患の家族歴、および/あるいは疾患と関連する1つもしくは複数のアレルまたは多形を示す遺伝子型判定結果に基づいて、遺伝的にリスクがあると考えられる者。組成物は、1か月、1週または1日当たり、1回または複数回、局所にまたは全身に投与
される。投与量は、ある場合、暗順応における視覚性能における副作用を回避するよう選択されうる。処置は、少なくとも1か月間、3か月間、6か月間もしくは12か月間、またはそれよりも長い期間、継続される。患者は、安全性および有効性を評価するために、1か月間、3か月間、6か月間もしくは12か月間、またはそれよりも長い間隔で試験されうる。有効性は、上記の視覚性能および網膜の健康状態を検査することにより測定される。
【0317】
一実施形態では、被験体は、黄斑変性の症状を有すると診断されて、次いで開示した化合物が投与される。別の実施形態では、被験体は、黄斑変性を発症するリスク(リスク要因には、喫煙歴、年齢、女性の性別および家族歴が含まれる)があると同定され得、次いで、開示した化合物が投与される。別の実施形態では、被験体は、両目に萎縮型AMDを有している場合があり、次いで、開示した化合物が投与される。別の実施形態では、被験体は、一方の目に滲出型AMDを有しているが、他方の目に萎縮型AMDを有している場合があり、次いで、開示した化合物が投与される。さらに別の実施形態では、被験体は、シュタルガルト病を有すると診断され得、次いで、開示した化合物が投与される。別の実施形態では、被験体は、その病因にA2Eおよび/またはリポフスチンの蓄積が関与する網膜疾患の他の形態の症状を有すると診断され、次いで、化合物が投与される。別の実施形態では、被験体は、その病因にA2Eおよび/またはリポフスチンの蓄積が関与する網膜疾患の他の形態を発症するリスクがあると同定され得、次いで、開示した化合物が投与される。一部の実施形態では、化合物は、予防的に投与される。一部の実施形態では、被験体は、網膜の損傷が明らかとなる前に、疾患を有すると診断されている。例えば、被験体は、ABCA4に関する遺伝子変異を担持することが見出されており、任意の眼科的兆候が明白になる前に、シュタルガルト病のリスクにあると診断されており、または被験体は、被験体が視力に関してなんらかの影響を自覚する前に、黄斑変性を示す早期黄斑変化を有することが見出されている。一部の実施形態では、ヒト被験体は、黄斑生成(macular generation)の処置または予防を必要としていることを知っている場合がある。
【0318】
一部の実施形態では、被験体は、黄斑変性の程度がモニターされうる。被験体は、例えば、眼検査、散瞳検査(dilated eye examination)、眼底検査、視力検査および/ま
たは生検による種々の方法でモニターされうる。モニタリングは、種々の時間で行うことができる。例えば、被験体は、化合物が投与された後にモニターされうる。モニタリングは、化合物の最初の投与後、例えば、1日間、1週間、2週間、1か月間、2か月間、6か月間、1年間、2年間、5年間、または任意の他の期間、行うことができる。被験体は、繰り返しモニターすることができる。一部の実施形態では、化合物の用量は、モニタリングに応じて、変更することができる。
【0319】
一部の実施形態では、開示した方法は、黄斑変性、またはその病因にA2Eおよび/もしくはリポフスチンの蓄積が関与する網膜疾患の他の形態を処置または予防するための他の方法、例えば光線力学療法と組み合わせてもよい。例えば、患者は、1つもしくは複数の疾患または障害に対する、1つよりも多い療法により処置されうる。例えば、患者は、一方の目が萎縮型のAMDに罹患しており、このAMDは、本発明の化合物により処置され、他方の目が滲出型のAMDを罹患しており、このAMDは、例えば、光線力学療法により処置される。
【0320】
一部の実施形態では、黄斑変性、またはその病因にA2Eおよび/もしくはリポフスチンの蓄積が関与する網膜疾患の他の形態を処置または予防するための化合物は、長期間、投与されてもよい。化合物は、毎日、1日1回よりも多く、1週間に2回、1週間に3回、毎週、2週間毎、1か月毎、2か月毎、半年毎、1年毎、および/または2年毎、投与されうる。
【0321】
多様な細胞機能を有する生物活性シグナル伝達分子である、スフィンゴシン1-リン酸は、小胞体酵素であるスフィンゴシン1-リン酸リアーゼによって、不可逆的に分解され、trans-2-ヘキサデセナールおよびホスホエタノールアミンを生じる。trans-2-ヘキサデセナールは、JNK依存経路を介して、複数の細胞タイプにおいて、細胞骨格再構築、脱離およびアポトーシスを引き起こすことが実証されている。Biochem Biophys Res Commun. 2012年7月20日;424巻(1号):18~21頁を参照。これらの知見および関連するα,β-不飽和アルデヒドの公知の化学的性質は、trans-2-ヘキサデセナールが追加の細胞構成成分と相互作用する可能性を喚起する。trans-2-ヘキサデセナールは、デオキシグアノシンおよびDNAと容易に反応して、環式1,N(2)-デオキシグアノシン付加体のジアステレオ異性体である、3-(2-デオキシ-β-d-エリトロ-ペントフラノシル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-8R-ヒドロキシ-6R-トリデシルピリミド[1,2-a]プリン-10(3H)オンおよび3-(2-デオキシ-β-d-エリトロ-ペントフラノシル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-8S-ヒドロキシ-6S-トリデシルピリミド[1,2-a]プリン-10(3H)オンを生成することが示された。これらの知見により、スフィンゴシン1-リン酸リアーゼによって内生的に産生されたtrans-2-ヘキサデセナールは、変異誘発性の帰結を潜在的に有するDNA形成性アルデヒドに由来するDNA付加体と直接反応することが実証される。
【0322】
4-ヒドロキシ酪酸尿症またはガンマ-ヒドロキシ酪酸尿症としても公知の、コハク酸セミアルデヒド脱水素酵素欠損症(SSADHD)は、GABA代謝の最も一般的な常染色体性劣性遺伝障害であり(Vogelら、2013年)、幼児期における発達遅延および緊
張低下、ならびに青年期および成人期における重症な表出性言語障害および強迫性障害の表現型を呈する。てんかんは、通常、全身性強直性間代性発作として、患者の半分に起こるが、時として、アブサンス発作およびミオクローヌス発作が起こる(Pearlら、201
4年)。青年期および成人期において、3分の2よりも多い患者が、身体障害となる恐れのある、神経精神病学的問題(すなわち、ADHD、OCDおよび攻撃性)を呈する。代謝的に、神経調節性モノカルボン酸である、主要な抑制性神経伝達物質、GABAおよびガンマ-ヒドロキシ酪酸(GHB)の蓄積がある(SneadおよびGibson、2005年)。
さらに、この障害に特有のいくつかの他の中間体が、患者および対応するネズミモデルの両方において検出されている。GABA-トランスアミナーゼの不可逆性阻害剤である、ビガバトリン(VGB;γ-ビニル-GABA)は、GABAトランスアミナーゼを阻害することによって、GABAがGHBに変換されるのを阻止するので、SSADH欠乏症の処置に対する論理的な選択である。転帰は様々であり、選択された患者では、処置は、悪化をもたらした(Good、2011年;Pellock、2011年;Escaleraら、2010年
;Casaranoら、2011年;Maternら、1996年;Al-Essaら、2000年)。SSA
DH欠乏症の標的療法は、依然として当てにならず、介入は姑息的である。
【0323】
上で議論されている通り、本開示の化合物は、炎症性障害を処置するために使用される。一部の実施形態では、本化合物は、全身性炎症性障害を処置するために、被験体に治療有効量で投与される。一部の実施形態では、全身性炎症性障害は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、炎症性腸疾患(IBD)クローン病、潰瘍性大腸炎(UC)、乾癬、痙攣性結腸を含むIBS(過敏性腸症候群または痙攣性結腸)、強直性脊椎炎、骨粗鬆症、関節リウマチ(RA)、乾癬性関節炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)、アテローム性動脈硬化症、乾癬性関節炎、肺動脈性高血圧症、ピリドキシン依存性てんかん、アトピー性皮膚炎、酒さ、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、敗血症、好酸球性食道炎、慢性腎疾患(CKD)、線維性腎疾患、慢性好酸球性肺炎、外因性アレルギー性肺胞炎、子癇前症(pre-clampsia)、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、女性受精能の低下、精子生存率および運動性の低下、またはシクロ
ホスファミド誘発性出血性膀胱炎である。
【0324】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、全身性疾患、障害または状態を処置するために使用される。一部の実施形態では、全身性疾患、障害または状態は、軽鎖沈着症、IgA腎症、末期腎疾患、痛風、偽痛風、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、外傷性脳損傷、騒音誘発性難聴、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、子宮平滑筋腫、サルコイドーシスまたは慢性腎疾患である。一部の実施形態では、本開示の化合物は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を処置するために有効な量で投与される。
【0325】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を処置するために有効な量で投与される。
【0326】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、炎症性腸疾患(IBD)を処置するために有効な量で投与される。
【0327】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、クローン病を処置するために有効な量で投与される。
【0328】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、潰瘍性大腸炎(UC)を処置するために有効な量で投与される。
【0329】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、乾癬を処置するために有効な量で投与される。
【0330】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、IBS(過敏性腸症候群)または痙攣性結腸を処置するために有効な量で投与される。
【0331】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、強直性脊椎炎を処置するために有効な量で投与される。
【0332】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、骨粗鬆症を処置するために有効な量で投与される。
【0333】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、関節リウマチ(RA)を処置するために有効な量で投与される。
【0334】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、乾癬性関節炎を処置するために有効な量で投与される。
【0335】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を処置するために有効な量で投与される。
【0336】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、間質性肺疾患(特発性肺線維症を含む)を処置するために有効な量で投与される。
【0337】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、アテローム性動脈硬化症を処置するために有効な量で投与される。
【0338】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、乾癬性関節炎を処置するために有効な量で投
与される。
【0339】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、肺動脈性高血圧症を処置するために有効な量で投与される。
【0340】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、ピリドキシン依存性てんかんを処置するために有効な量で投与される。
【0341】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、アトピー性皮膚炎を処置するために有効な量で投与される。
【0342】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、酒さを処置するために有効な量で投与される。
【0343】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、多発性硬化症(MS)を処置するために有効な量で投与される。
【0344】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、全身性エリテマトーデス(SLE)を処置するために有効な量で投与される。
【0345】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、ループス腎炎を処置するために有効な量で投与される。
【0346】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、敗血症を処置するために有効な量で投与される。
【0347】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、好酸球性食道炎を処置するために有効な量で投与される。
【0348】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、慢性腎疾患(CKD)を処置するために有効な量で投与される。
【0349】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、線維性腎疾患を処置するために有効な量で投与される。
【0350】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、慢性好酸球性肺炎を処置するために有効な量で投与される。
【0351】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、外因性アレルギー性肺胞炎を処置するために有効な量で投与される。
【0352】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、子癇前症を処置するために有効な量で投与される。
【0353】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、子宮内膜症を処置するために有効な量で投与される。
【0354】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を処置するために有効な量で投与される。
【0355】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、女性受精能の低下を処置するために有効な量で投与される。
【0356】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、精子生存率および運動性の低下を処置するために有効な量で投与される。
【0357】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、シクロホスファミド誘発性出血性膀胱炎を処置するために有効な量で投与される。
【0358】
一部の実施形態では、炎症性障害は、眼の炎症性障害である。一部の実施形態では、眼の炎症性障害は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、アトピー性角結膜炎(AKC)、春季カタル(VKC)、加齢黄斑変性(AMD)、ドライアイ疾患(DED)、アレルギー性結膜炎(AC)、アレルギー性結膜炎を伴うドライアイ疾患、非感染性前部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、汎ぶどう膜炎、術後眼痛および炎症である。
【0359】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、放射状角膜切開術後の角膜線維症の予防、外傷もしくは発赤剤への曝露後の角膜線維症の予防、または感染後の角膜線維症の予防に有効な量で投与される。
一部の実施形態では、本開示の化合物は、糖尿病性黄斑浮腫(DME)を処置するために有効な量で投与される。一部の実施形態では、処置のための糖尿病性黄斑浮腫は、非臨床的に深刻な黄斑浮腫(非CSME)である。一部の実施形態では、処置のための糖尿病性黄斑浮腫は、臨床的に深刻な黄斑浮腫(CSME)である。
【0360】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、原発性基礎障害に続発しうる眼の障害である、汎ぶどう膜炎、前部ぶどう膜炎、後部ぶどう膜炎、および非感染性ぶどう膜炎を含めたぶどう膜炎を処置するのに有効な量で投与される。ぶどう膜炎が時として関連している障害のうちのいくつかは、ベーチェット症候群、強直性脊椎炎、ライム病、サルコイドーシスおよび乾癬である。ぶどう膜炎は、虹彩、毛様体および脈絡膜の炎症である。ぶどう膜炎は、かすみ目;暗い浮遊性の斑点(「浮遊物」)が見えること;眼痛;目の赤み;および光への感受性(光恐怖症)に関連する。ぶどう膜炎の治療の標準的方針は、局所コルチコステロイドであり、一部の例では、拡張剤、例えば(such)シクロペントレートまたは免疫調節剤である。
【0361】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、アトピー性角結膜炎(AKC)または春季カタル(VKC)を処置するために有効な量で投与される。
【0362】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、加齢黄斑変性(AMD)を処置するために有効な量で投与される。
【0363】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、ドライアイ疾患(DED)を処置するために有効な量で投与される。
【0364】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、アレルギー性結膜炎(AC)を処置するために有効な量で投与される。
【0365】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、アレルギー性結膜炎を伴うドライアイ疾患を処置するために有効な量で投与される。
【0366】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、術後眼痛および炎症を処置するために有効な量で投与される。
【0367】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、放射状角膜切開術後の角膜線維症を予防するために有効な量で投与される。
【0368】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、外傷後の角膜線維症を予防するために有効な量で投与される。
【0369】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、感染後の角膜線維症を予防するために有効な量で投与される。
【0370】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を処置するために有効な量で投与される。
【0371】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、軽鎖沈着症を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0372】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、IgA腎症を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0373】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、末期腎疾患を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0374】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、痛風を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0375】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、偽痛風を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0376】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、糖尿病性腎症を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0377】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、糖尿病性神経障害を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0378】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、外傷性脳損傷を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0379】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、騒音誘発性難聴を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0380】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、アルツハイマー病を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0381】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、パーキンソン病を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0382】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、ハンチントン病を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0383】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、筋萎縮性側索硬化症を処置および/または予
防するために有効な量で投与される。
【0384】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、原発性胆汁性肝硬変を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0385】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、原発性硬化性胆管炎を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0386】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、子宮平滑筋腫を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0387】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、サルコイドーシスを処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0388】
一部の実施形態では、本開示の化合物は、慢性腎疾患を処置および/または予防するために有効な量で投与される。
【0389】
薬学的に許容される組成物
本発明の方法による化合物および組成物は、上で提示されている障害を処置する、またはその重症度を低下させるのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して投与される。必要とされる正確な量は、被験体の種、年齢および全身状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与方式などに応じて、被験体毎に様々である。本発明の化合物は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために、投薬単位形態(dosage unit form)で好ましくは製剤化される。表現「投薬単位形態」とは、本明細書において使用する場合、処置される患者に適切な、薬剤の物理的に個別の単位を指す。しかし、本発明の化合物および組成物の1日の全使用量は、妥当な医学的判断の範囲内で、担当医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物に対する具体的な有効用量レベルは、処置される障害および障害の重症度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、全般的な健康、性別および食事;用いられる具体的な化合物の投与時間、投与経路および排出速度;処置の持続時間;用いられる具体的な化合物と組み合わせて、または同時に使用される薬物、ならびに医療分野において周知の同様の因子を含めた、種々の因子に依存する。
【0390】
本発明の薬学的に許容される組成物は、処置される感染の重症度に応じて、経口で、直腸に、非経口で、槽内に、膣内に、腹腔内に、局所に(粉剤・散剤(powder)、軟膏またはドロップ剤によって)口腔に、経口または鼻用スプレーとしてなどにより、ヒトおよび他の動物に投与されうる。ある特定の実施形態では、本発明の化合物は、1日当たり、被験体の体重の、約0.01mg/kg~約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg~約25mg/kgの投薬レベルで、1日に1回または複数回、経口または非経口投与されて、所望の治療効果が得られる。
【0391】
経口投与のための液体剤形には、これらに限定されないが、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当技術分野において一般的に使用される不活性な希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などを含有してもよ
い。不活性な希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤および芳香剤を含むことができる。
【0392】
注射用調製物、例えば、注射用の滅菌の水性または油性の懸濁剤を、適当な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用する、公知の技術に従って製剤化することができる。注射用滅菌調製物は、非経口的に許容される非毒性希釈剤または溶媒中の、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、注射用滅菌液剤、懸濁剤またはエマルジョンとすることもできる。用いられうる許容されるビヒクルおよび溶媒には、水、リンガー液、U.S.Pおよび等張性の塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含めた、任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。さらに、脂肪酸、例えばオレイン酸が、注射剤の調製に使用される。
【0393】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターによる濾過によって、または使用前に滅菌水もしくは他の注射用滅菌媒体に溶解または分散することができる、滅菌の固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことによって、滅菌することができる。
【0394】
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を緩慢にすることが望ましいことが多い。これは、水溶性に乏しい、結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成されうる。次いで、化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶性形態に依存しうる。あるいは、非経口で投与される化合物の形態の吸収の遅延は、油状ビヒクルに化合物を溶解または懸濁することにより達成される。注射用デポー形態は、生分解性ポリマー、例えばポリラクチド-ポリグリコリド中に化合物のマイクロ封入マトリックスを形成させることにより作製される。化合物とポリマーとの比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)が含まれる。デポー注射用製剤はまた、身体組織と適合するリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を捕捉することにより調製される。皮下用デポー製剤はまた、ヒアルロニダーゼを用いて調製される。
【0395】
直腸または膣投与のための組成物は、本発明の化合物を、適当な非刺激性賦形剤またはキャリア、例えば、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔で融解して活性化合物を放出する、カカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスと混合することにより調製することができる、好ましくは坐剤である。
【0396】
経口投与のための固体剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤・散剤(powder)および顆粒剤が含まれる。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤またはキャリア、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム、ならびに/またはa)増量剤もしくはエキステンダー、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなど、c)保湿剤、例えばグリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウム、e)溶解遅延剤、例えばパラフィン、f)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど、h)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイトクレイ、ならびにi)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含みうる。
【0397】
また、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、類似のタイプの固体組成物が増量剤として用いられてもよい。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティング、および医薬製剤化分野において周知の他のコーティングを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を任意選択で含有してもよく、有効成分(複数可)のみ放出する、または腸管のある特定の部分において、任意選択で遅れて、優先的に有効成分(複数可)を放出する組成物のものとすることもできる。使用することができる埋め込み式組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。また、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、類似のタイプの固体組成物が増量剤として用いられてもよい。
【0398】
上記の通り、活性化合物はまた、1種または複数種の賦形剤を含むマイクロ封入化形態とすることができる。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤の固体剤形は、コーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティング、および医薬製剤化分野において周知の他のコーティングを用いて調製することができる。このような固体剤形では、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な希釈剤、例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプンと混和することができる。このような剤形はまた、通常の実行の通り、不活性な希釈剤以外の追加的な物質、例えば、打錠用滑沢剤、および他の打錠用助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶性セルロースを含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。それらは、乳白剤を任意選択で含有してもよく、有効成分(複数可)のみ放出する、または腸管のある特定の部分において、任意選択で遅れて、優先的に有効成分(複数可)を放出する組成物のものとすることもできる。使用することができる埋め込み式組成物の例には、ポリマー物質およびワックスが含まれる。
【0399】
本発明の化合物の局所または経皮投与のための剤形には、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉剤・散剤、液剤、スプレー剤、吸入剤またはパッチが含まれる。活性成分は、滅菌条件下、薬学的に許容されるキャリア、および必要な任意の保存剤、または必要な場合にはバッファと混和される。眼科用製剤、点耳薬および点眼薬もまた、本発明の範囲内にあるものとして企図される。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を企図しており、経皮パッチは、身体への化合物の制御送達を実現するという追加の利点を有する。このような剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解または分配することにより作製されうる。吸収増強剤はまた、皮膚を通過する化合物の流量を増加させるために使用することができる。速度は、速度制御膜を設けることによって、またはポリマーマトリックスもしくはゲルに化合物を分散させることによって、制御することができる。
【0400】
本発明の化合物はまた、局所に、例えば、目に直接的に、例えば、点眼薬または眼科用軟膏として投与することができる。点眼薬は、典型的には、有効量の少なくとも1つの本発明の化合物、および目に安全に適用することができるキャリアを含む。例えば、点眼薬は、等張液の形態であり、溶液のpHは、目の刺激がないように調整される。多くの場合、上皮バリアは、目への分子の浸透を妨げる。したがって、大部分の現在使用される眼科用薬物は、なんらかの形態の浸透増強剤が補充されている。これらの浸透増強剤は、最も上方の上皮細胞のタイトジャンクションを緩めることによって働く(Burstein、1985年、Trans Ophthalmol Soc U K 104巻(Pt4):402~9頁;Ashtonら、1991年、J Pharmacol Exp Ther 259巻(2号):719~24頁;Greenら、1971年、Am J Ophthalmol 72巻(5号):897~905頁)。最も一般に使用
される浸透増強剤は、微生物汚染に対する保存剤としても働く塩化ベンザルコニウムである(Tangら、1994年、J Pharm Sci 83巻(1号):85~90頁;Bursteinら
、1980年、Invest Ophthalmol Vis Sci 19巻(3号):308~13頁)。塩化ベンザルコニウムは、典型的には、0.01~0.05%の最終濃度となるよう添加される。
【0401】
用語「生物学的試料」には、本明細書において使用する場合、これらに限定されないが、細胞培養物またはその抽出物、哺乳動物から得られる生検材料またはその抽出物、および血液、唾液、尿、便、精液、涙液もしくは他の体液、またはそれらの抽出物が含まれる。
【0402】
併用療法
処置される具体的な状態または疾患に応じて、その状態を処置するために、通常、投与される追加の治療剤は、本発明の化合物および組成物と組み合わせて投与されてもよい。本明細書で使用する場合、具体的な疾患または状態を処置するために、通常、投与される追加の治療剤は、「処置されている疾患または状態に適切なもの」として公知である。
【0403】
ある特定の実施形態では、提供される化合物またはその組成物は、別の治療剤と組み合わせて投与される。
【0404】
追加の治療剤は、複数回投与量レジメンの一部として、提供される併用療法とは個別に投与されてもよい。代替的に、それらの薬剤は、単一組成物中に、本発明の化合物と一緒に混合された、単一剤形の一部であってもよい。複数回投与量レジメンの一部として投与される場合、2種の活性剤は、同時に、逐次に、または互いにある期間内に供給されうる。
【0405】
本明細書で使用する場合、用語「組合せ」、「組み合わせた」および関連用語は、本発明による治療剤の同時投与または逐次投与を指す。例えば、本発明の組合せは、個別の単位剤形で、別の治療剤と同時にもしくは逐次に投与されてもよく、または単一の単位剤形で一緒に投与されてもよい。
【0406】
本発明の組成物中に存在する追加の治療剤の量は、唯一の活性剤として該治療剤を含む組成物で通常、投与される量以下である。好ましくは、本開示組成物中の追加の治療剤の量は、唯一の治療活性剤として該薬剤を含む組成物中に通常、存在する量の約50%~100%の範囲である。
【0407】
一実施形態では、本発明は、式Iの化合物および1種または複数種の追加の治療剤を含む組成物を提供する。治療剤は式Iの化合物と一緒に投与されてもよく、または式Iの化合物の投与前もしくは投与後に投与されてもよい。好適な治療剤は、以下にさらに詳細に記載されている。ある特定の実施形態では、式Iの化合物は、治療剤の最大で5分前、10分前、15分前、30分前、1時間前、2時間前、3時間前、4時間前、5時間前、6時間前、7時間前、8時間前、9時間前、10時間前、11時間前、12時間前、13時間前、14時間前、15時間前、16時間前、17時間前または18時間前に投与されてもよい。他の実施形態では、式Iの化合物は、治療剤の最大で5分後、10分後、15分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、13時間後、14時間後、15時間後、16時間後、17時間後または18時間後に投与されてもよい。
【0408】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されている障害を処置する方法であって、提供される化合物またはその組成物を追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、追加の治療は、処置されている障害の標準治療である。
【0409】
本明細書で使用する場合、用語「標準治療」とは、ある特定のタイプの疾患に対する適切な処置として、医療専門家により受け入れられており、医療従事者により幅広く使用されている処置を指す。最良実施、標準医療および標準治療法としても公知である。当業者は、本明細書に記載されている障害の処置のための、標準治療処置プロトコールを認識する。
【0410】
別の実施形態では、本発明は、炎症性疾患、障害または状態の処置を必要としている患者に、式Iの化合物および1種または複数種の追加の治療剤を投与することによる、炎症性疾患、障害または状態を処置する方法を提供する。このような追加の治療剤は、小分子または組換え生物学的薬剤とすることができ、例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)、例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、エトドラク(Lodine(登録商標))およびセレコキシブから選択される抗炎症剤、コルヒチン(Colcrys(登録商標))、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾンなど、メトトレキセート(Rheumatrex(登録商標))、「抗TNF」剤、例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標))、インフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))およびアダリムマブ(Humira(登録商標))、「抗IL-1」剤、例えば、アナキンラ(Kineret(登録商標))およびリロナセプト(Arcalyst(登録商標))、カナキヌマブ(Ilaris(登録商標))、抗Jak阻害剤、例えば、トファシチニブ、抗体、例えば、リツキシマブ(Rituxan(登録商標))、「抗T細胞」剤、例えば、アバタセプト(Orencia(登録商標))または「抗IL-6」剤、例えば、トシリズマブ(Actemra(登録商標))、ジクロフェナク、コルチゾン、ヒアルロン酸(Synvisc(登録商標)またはHyalgan(登録商標))を含む。
【0411】
一部の実施形態では、本発明は、アレルギー性結膜炎の処置を必要としている患者においてアレルギー性結膜炎を処置する方法であって、患者に、提供される化合物またはその組成物を、アレルギーまたは少なくとも1つのアレルギー関連症状を処置するのに有用な追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態では、追加の治療剤は抗ヒスタミン薬である。一部の実施形態では、抗ヒスタミン薬は、フェキソフェナジン(Allegra)、テルフェナジン(Seldane)、トリプロリジン(Zymine)、ブロムフェニラミン(Lodrane)、クロルフェニラミン(Chlor-Trimeton)、セチリジン、ジフェンヒドラミン、カルビノキサミン、プロメタジン、ロラタジン(loratedine)(Claritin)、デスロラタジン(Clarinex)、セチリジン(Zyrtec)、クレマスチン(Allerhist)、レボセチリジン(Xyzal)またはヒドロキシジン(Atarax)から選択される。
【0412】
一部の実施形態では、追加の治療剤は、抗アレルギー剤である。このような抗アレルギー剤は、当分野で周知であり、抗炎症性鼻噴霧剤、点眼薬、鼻充血除去薬(例えば、オキシメタゾリン、フェニレフリンまたはシュードエフェドリン)および免疫療法(例えば、アレルギーショット)を含む。このような薬剤には、肥満細胞阻害剤(例えば、クロモリンナトリウム)およびロイコトリエン阻害剤(例えば、Singulair)が含まれる。一部の実施形態では、追加の治療剤は、セチリジン(例えば、セチリジン眼科溶液剤であるZerviate)である。
【0413】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、ロイコトリエン阻害剤、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、ステロイド、チロシンキナーゼ阻害剤、受容体キナーゼ阻害剤、転写因子の核内受容体ファミリーのモジュレーター、HSP90阻害剤、アデノシン受容体(A2A)アゴニスト、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDS)、ホスホジエステラーゼ
(PDE)阻害剤、好中球エラスターゼ阻害剤、Axlキナーゼのモジュレーターまたはそれらの組合せである。
【0414】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、ロイコトリエン阻害剤である。一部の実施形態では、ロイコトリエン阻害剤は、モンテルカスト、ザフィルルカスト、プランルカスト、ジロートンまたはそれらの組合せである。
【0415】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、NSAIDである。一部の実施形態では、NSAIDは、アセチルサリチル酸、ジフルニサル、サルサレート、イブプロフェン、デクスイブプロフェン、ナイオキセン(naioxen)、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デク
スケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナク、アセクロフェナク、ナブメトン、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、フェニルブタゾン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、セレコキシブまたはそれらの組合せである。
【0416】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、ステロイドである。一部の実施形態では、ステロイドは、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾン、トリアムシノロン(triacmcinolone)、ベタメタゾン、デキサメタゾンおよびそれらのプロドラッグである。
【0417】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、チロシンキナーゼ阻害剤である。一部の実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、とりわけ、JAK、Syk、JNK/SAPK、MAPK、PI-3KまたはRipk2を含めた、上記のキナーゼの阻害剤である。一部の実施形態では、チロシンキナーゼ阻害剤は、ルキソリチニブ、トファシチニブ、オクラクチニブ(oclactinib)、フィルゴチニブ、ガノチニブ(ganotinib)、レスタウルチニブ、モメロチニブ、パクリチニブ、ウパダシチニブ、ペフィシチニブ、フェドラチニブ、ベンタマピモド(bentamapimod)、D-JNKI-1(XG-102、AM-111)、ポナチニブ、WEHI-345、OD36、GSK583、イデラリシブ、コパンリシブ、タセリシブ、デュベリシブ、アルペリシブ、ウムブラリシブ(umbralisib)、ダクトリシブ、CUDC-907、エントスプレチニブ、フォスタマチニブまたはそれらの組合せである。
【0418】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、とりわけ、EGFRまたはHER2の阻害剤を含む受容体キナーゼ阻害剤である。一部の実施形態では、受容体キナーゼ阻害剤は、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ネラチニブ、ラパチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、バンデタニブ、ネシツムマブ、オシメルチニブ、トラスツズマブ、ネラチニブ、ラパチニブ、ペルツズマブ、またはそれらの組合せである。
【0419】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、とりわけ、PPAR、RXR、FXRまたはLXRの阻害剤を含む、転写因子の核内受容体ファミリーのモジュレーターである。一部の実施形態では、阻害剤は、ピオグリタゾン、ベキサロテン、オベチコール酸、ウルソデオキシコール酸、フェキサラミン、ヒポコラミド(hypocholamide)、またはそれらの組合せである。
【0420】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、Hsp90阻害剤である。一部の実施形態では、Hsp90阻害剤は、ガネテスピブ(ganetespib)、17-AAG(17-アリルアミノゲルダナマイシン、NSC330507)、17-DMAG(17-ジメチルアミノエチルアミノ-17-デメトキシ-ゲルダナマイシン、NSC707545)、IPI-504、CNF1010、CNF2024、CNF1010またはそれらの組合せである。
【0421】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、アデノシン受容体(A2A)アゴニストである。一部の実施形態では、アデノシン受容体アゴニストは、とりわけ、参照により本明細書に組み込まれている、US9,067,963に開示されている。一部の実施形態では、アデノシン受容体アゴニストは、LNC-3050、LNC-3015、LNC-3047、LNC-3052またはそれらの組合せである。
【0422】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDS)である。一部の実施形態では、DMARDSは、とりわけ、トシリズマブ、セルトリズマブ、エタネルセプト、アダリムマブ、アナキンラ、アバタセプト、インフリキシマブ、リツキシマブ、ゴリムマブ、ウテスキヌマブまたはそれらの組合せである。
【0423】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤である。一部の実施形態では、ホスホジエステラーゼ阻害剤は、アプレミラスト、クリサボロール、ピクリミラスト、ドロタベリン、イブデュラスト、ロフルミラスト、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィル、またはそれらの組合せである。
【0424】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、好中球エラスターゼ阻害剤である。一部の実施形態では、好中球エラスターゼ阻害剤は、とりわけ、シベレスタットである。
【0425】
一部の実施形態では、第2の治療剤は、Axlキナーゼのモジュレーターである。一部の実施形態では、Axlキナーゼのモジュレーターは、ベムセンチニブ(BGB324またはR428)、TP-0903、LY2801653、アムバチニブ(MP-470)、ボスチニブ(SKI-606)、MGCD265、ASP2215、カボザンチニブ(XL184)、フォレチニブ(GSK1363089/XL880)またはSGI-7079である。一部の実施形態では、Axlキナーゼのモジュレーターは、AXLを標的とするモノクローナル抗体(例えば、YW327.6S2)またはAXLデコイ受容体(例えば、GL2I.T))またはグレサチニブ、メレスチニブまたはデュアルFlt3-Axl阻害剤、例えば、ギルテリチニブである。
【0426】
本発明の態様のそれぞれの特徴はすべて、必要な変更を加えて、他のすべての態様に適用する。
【0427】
本明細書に記載の本発明が、一層完全に理解されうるよう、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例示目的に過ぎず、本発明を決して限定するものとして解釈されるものではないことが理解されるべきである。
【実施例0428】
例示
以下の実施例に示されている通り、ある特定の例示的な実施形態では、化合物は、以下の一般手順に従って調製される。一般的な方法は、本発明のある特定の化合物の合成を示しているが、以下の一般的な方法、および当業者に公知の他の方法が、すべての化合物、ならびに本明細書に記載のこれらの化合物のそれぞれのサブクラスおよび種に適用されうることが理解される。
【0429】
一般手順
粉末X線回折パターンは、2つの機器、Bruker AXS C2 GADDS回折計またはBruker AXS D8 Advance回折計のどちらか一方で収集した。
【0430】
Bruker AXS C2 GADDS回折計で収集した粉末X線回折パターンの場合、以下のパラメーターを使用した。粉末X線回折パターンは、Cu Kα放射線(40kV、40mA)、自動化XYZステージ、自動試料位置調整用レーザービデオ顕微鏡およびHiStar二次元領域検出器を使用して収集した。X線レンズは、0.3mmのピンホールコリメーターに接続した単一のゲーベル多層膜ミラー(multilayer mirror)を含んだ。この機器は、認証済みコランダム標準品(NIST1976)を使用して性能確認する。ビーム発散(例えば、試料に対するX線ビームの有効サイズ)は、約4mmであった。3.2°~29.7°の有効2θ範囲をもたらす20cmの試料-検出器間距離で、θ-θ連続走査モードを使用した。通常、試料は、X線ビームに対し120秒間、曝露させる。データ収集に使用したソフトウェアは、XP/2000 4.1.43用のGADDSであり、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を使用して、データを解析して提示した。
【0431】
周囲条件:周囲条件下で処理した試料は、粉砕することなく、得られたままの粉末を使用して、平板検体として調製した。平らな表面を得るため、約1~2mgの試料をガラス製スライドに軽く押圧した。非周囲条件:非周囲条件下で処理した試料を、熱伝導性化合物と共にシリコンウェハ上にマウントした。次に、試料を20℃/分で適切な温度まで加熱し、続いてデータ収集を開始する前に、1分間、等温状態に保持した。
【0432】
Bruker AXS D8 Advance回折計で収集した粉末X線回折パターンの場合、以下のパラメーターを使用した。Cu Kα放射線(40kV、40mA)、θ-2θゴニオメーターおよびV4の発散および受信スリット、GeモノクロメーターおよびLynxeye検出器を使用して、粉末X線回折パターンを収集した。この機器は、認証済みコランダム標準品(NIST1976)を使用して性能確認する。データ収集に使用したソフトウェアは、Diffrac Plus XRD Commander v2.6.1であり、Diffrac Plus EVA v15.0.0.0を使用して、データを解析して提示した。試料は、得られた粉末をそのまま使用して、平板検体として周囲条件下で処理した。試料は、研磨したゼロバックグラウンド(510)シリコンウェハに切込みを入れた空洞に緩やかに充填した。試料を、分析中、それ自体の平面内で回転させた。データ収集の詳細は、以下である:A)角度範囲:2~42° 2θ;B)ステップサイズ:0.05° 2θ;およびC)収集時間:0.5秒/ステップ。
【0433】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルは、オートサンプラーを装備し、DRX400コンソールによって制御したBruker 400MHz機器で収集した。標準Bruker搭載実験を使用して、Topspin v1.3で実行するICON-NMR v4.0.7を使用して、自動化した実験を取得した。非ルーチン分光法の場合、データは、Topspin単独使用により取得した。試料は、特に明記しない限り、DMSO-d中で調製した。オフライン分析は、ACD Spectrusプロセッサ2014を使用して実施した。
【0434】
示差走査熱量測定(DSC)データは、50位置オートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000で収集した。熱容量の較正はサファイアを使用して実施し、エネルギーおよび温度の較正は、認証済みインジウムを使用して実施した。通常、ピンホール付きアルミニウム製パン中の0.5~3mgの各試料を、25℃から300℃まで、10℃/分で加熱した。50ml/分の乾燥窒素のパージを試料上で維持した。温度変調DSCは、2℃/分の基礎加熱速度、および60秒(期間)ごとの±0.318℃(振幅)となる温度調整パラメーターを使用して実施した。機器制御ソフトウェアは、Advantage for Q Series v2.8.0.394およびThermal Advantage v5.5.3であり、データは、Universal Analysis v4.5Aを使用して解析した。
【0435】
熱重量分析(TGA)データは、16位置オートサンプラーを備えたTA Instruments Q500 TGAで収集した。この機器は、認証済みアルメルおよびニッケルを使用して温度較正した。通常、予め風袋測定したアルミニウム製DSCパン上に5~10mgの各試料を載せ、周囲温度から350℃まで、10℃/分で加熱した。60ml/分の窒素のパージを試料上に維持した。機器制御ソフトウェアは、Advantage for Q Series v2.5.0.256およびThermal Advantage v5.5.3であり、データは、Universal Analysis v4.5Aを使用して解析した。
【0436】
(実施例A)
化合物Aの一般調製
【化25】
表題化合物は、以下、およびその全体が参照により本明細書に組み込まれている、第’500号公報中に記載されているステップおよび中間体(例えば、スキーム1)に従って調製した。
【化26】
【0437】
ステップ1:中間体A-1の合成
2Lの丸底フラスコに、エタノール(220mL)およびピリジン(31g、392mmol)を投入し、得られた溶液を、窒素下、温和なかき混ぜ速度で撹拌した。この溶液に、ブロモピルビン酸エチル(76.6g、354mmol)を、遅い安定液流で添加した。反応混合物を65±5℃で2時間、撹拌した。
【0438】
ステップ2:中間体A-2の合成
実施例1における2時間の撹拌時間の完了時に、反応混合物を18~22℃にゆっくりと冷却した。フラスコに3回、真空パージして、この時点で、長いプラスチック製漏斗を使用して、2-アミノ-5-クロロ-ベンズアルデヒド(ACB)(50.0g、321mmol)を固体として、反応フラスコに直接、添加した。ピリジン(64.0g、809mmol)を添加し、続いてEtOHすすぎ液(10mL)を添加し、反応混合物を窒素下、80±3℃で約16時間(一晩)、加熱し、この時点で、HPLC分析により、反応は効果的に完了したことが示された。
【0439】
ステップ3:中間体A-3の合成
実施例2からの反応混合物を約70℃に冷却し、2Lの反応フラスコに滴下漏斗を使用して、モルホリン(76.0g、873mmol)を添加した。反応混合物を約2.5時間、80±2℃で加熱し、この時点で、反応は、HPLC分析により完了していると考えられた(A-3の面積%の増加が停止している)。クエンチ、後処理および単離のために、反応混合物を10~15℃に冷却した。
【0440】
ステップ4:中間体A-3の単離
2Lの反応フラスコに、滴下漏斗を使用して、30~60分間かけて水(600g)を投入し、添加速度を調整し、冷却浴を使用することにより、温度を15℃未満に維持した。反応混合物を10~15℃でさらに45分間、撹拌し、次いで、ブフナー漏斗を使用する濾過によって、粗製A-3を単離した。ケーキを水(100mL×4)で洗浄して、各回、ケーキに水を浸透させた後、真空を適用した。ケーキを空気乾燥して、粗製A-3をほぼ乾燥した茶色固体として得た。ケーキを2Lの反応フラスコに戻し、ヘプタン(350mL)およびEtOH(170mL)を添加し、混合物を30~60分間、70±3℃に加熱した。スラリーを0~5℃に冷却し、真空下で濾過することにより単離した。A-3を真空下、および35±3℃で一晩(16~18時間)、真空乾燥オーブン中で乾燥して、A-3を、暗緑色固体として得た。
【0441】
ステップ5:化合物Aの合成
2Lの丸底フラスコにメチルマグネシウムクロリド(THF中の3.0M溶液を200mL、600mmol)を投入した。溶液を、氷浴を使用して、0~5℃に冷却した。
【0442】
500mLのフラスコ(磁気撹拌)に、実施例4からのA-3を22.8グラムおよびTHF(365mL)を投入し、撹拌して溶解し、次いで、2Lの反応フラスコ上の滴下漏斗に移した。反応フラスコに5.75時間かけてA-3溶液を滴下添加し、添加全体を通じて、反応フラスコの温度を0~5℃の間に維持した。添加の終了時点で、フラスコの内容物を0~5℃でさらに15分間、撹拌し、次いで、冷却浴を除去して、反応物を周囲温度で一晩、撹拌した。
【0443】
フラスコを氷浴中で冷却し、反応混合物にEtOH(39.5g、857mmol)を滴下添加することにより、反応混合物を注意深くクエンチし、添加の経過の間、反応混合物の温度を15℃未満に維持した。次いで、NH4Clの水溶液(水415mL中に84.7gのNH4Cl)を注意深く添加し、混合物を約30分間、温和なかき混ぜ下で撹拌し、次いで、分液漏斗に移して、層を分離した。固体が、水相中に存在し、そこで、HOAc(12.5g)を添加し、内容物を穏やかに回転させ、下部にほぼ均一な水相を得た。下部の水層を2Lの反応フラスコに移して戻し、2-メチルTHF(50mL)と共に約15分間、温和なかき混ぜ下で撹拌した。元の上部の有機層を≦40℃、ロータリーエバポレーターを使用し、必要な場合、真空下で、約40mLに体積を低下させた。分液漏斗中の相を分離し、上部の2-MeTHF相を生成物の残留物と合わせ、500mLのフラスコに移して、約25mLの体積に真空蒸留した。この残留物に、2-MeTHF(50mL)を添加し、約50mLの体積になるように蒸留した。粗製化合物A溶液を2-MeTHF(125mL)で希釈し、5~10℃に冷却し、2M H2SO4(水性)(250mL)をゆっくりと添加し、周囲温度に戻るように、混合物を30分間、撹拌した。ヘプタン(40mL)を投入し、反応混合物をさらに15分間、撹拌し、次いで、分液漏斗に移して層を分離した。下部の水性生成物層を追加のヘプタン(35mL)で抽出し、次いで、下部の水相を、機械式撹拌機を備えた1Lの反応フラスコに移し、混合物を5~10℃に冷却した。合わせた有機層を廃棄した。25% NaOH(水性)の溶液を調製し(NaOH、47g、水200mL)、1Lの反応フラスコにゆっくりと添加して、pHを6.5~8.5の範囲にした。
【0444】
EtOAc(250mL)を加え、この混合物を一晩、撹拌した。この混合物を分液漏斗に移し、下部相を廃棄した。上部の有機層をブライン(25mL)で洗浄し、次いで、上部の有機生成物層をロータリーエバポレーターで体積を低下させ、粗製化合物Aを、暗色油状物として得、これは、数分以内に固化した。粗製化合物AをEtOAc(20mL)に溶解して、シリカゲル(23g)のプラグにより濾過し、3/1のヘプタン/EtO
Acを用いて、すべての化合物Aが溶出するまで(約420mLが必要であった)溶出し、化合物Aの暗着色物の大部分を除去した。溶媒を真空中で除去して、14.7gの化合物Aを黄褐色固体として得た。化合物AをEtOAc(25mL)に溶解し、7/1のヘプタン/EtOAcから3/1のヘプタン/EtOAc(合計1400mL)の移動相グラジエントを使用する、シリカゲル(72g)のカラムにより溶出した。化合物Aを含有している溶媒画分を除去し、化合物AをEtOAc(120mL)で希釈し、Darco
G-60脱色炭(4.0g)を含むフラスコ中で約1時間、撹拌した。フリット漏斗(fitted funnel)を使用してセライトに通して混合物を濾過し、ケーキをEtOAc(3×15mL)ですすいだ。合わせた濾液をロータリーエバポレーターで除去し、化合物Aをヘプタン(160mL)/EtOAc(16mL)に76℃で溶解した。均一な溶液を0~5℃にゆっくりと冷却し、2時間、保持して、次いで、化合物Aを濾過により単離した。最高の真空下、35℃で5時間、真空オーブン中で乾燥した後、化合物Aを白色固体として得た。HPLC純度:100%(AUC)。
【0445】
(実施例1)
化合物Aの遊離塩基形態AおよびBの調製
【化27】
化合物Aは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、第’500号公報の実施例1~5に詳細に記載されている方法に従って調製する。
【0446】
化合物Aの形態A
化合物Aの形態Aは、以下の通り調製した。
【0447】
化合物Aを、ジクロロメタン(DCM、15ml)に溶解した。澄明な溶液を周囲条件でヘプタン(130ml)により処理した。得られた固体を濾過して空気乾燥した。
【0448】
得られた物質の特徴付けにより、非吸湿性の溶媒和されていない結晶形態Aであることが実証された。
【0449】
上記の表1を、以下に再現し、これは、化合物Aの形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表1-2】
【0450】
図1は、化合物Aの形態AのXRPDパターンを図示する。
【0451】
図2は、化合物Aの形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0452】
化合物Aの形態B
化合物Aの形態Bは、以下の通り調製した。
【0453】
形態A(直前に記載した通りに得た)を、周囲条件で、イソプロピルアルコール:シクロヘキサン(700μl:7ml)の事前混合溶液で処理した。この試料を75℃まで加熱して、75℃で5分間、撹拌した。次に、この溶液を毎分0.3℃の速度で5℃まで冷却した。約12時間、5℃で撹拌した後、一定分量をXRPDにより分析した。形態Aが得られた。形態B(AB-1324-09-29)の種をこの試料に加えた。この試料を4日間、5℃で撹拌し、濾過後にXRPDにより分析した。
【0454】
得られた物質の特徴付けにより、わずかに吸湿性の溶媒和されていない結晶形態Bであることが実証された。
【0455】
上記の表2を、以下に再現し、これは、化合物Aの形態Bについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表2-2】
【0456】
図3は、化合物Aの形態BのXRPDパターンを図示する。
【0457】
図4は、化合物Aの形態BのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0458】
遊離塩基の競合的スラリー:
この一連の実験は、様々な溶媒および溶媒組合せを使用して行った。交差種添加実験(cross-seeding experiment)を、ある範囲の温度で行い、形態Aと形態Bとの間の関係
を明確にする一助にした。
【0459】
手順:等量の形態AおよびB(重量/重量、合計25mg)を添加することにより、21種の交差種添加実験を行った。この混合物を室温で、所与の溶媒/系(約5体積、125μl)中でスラリーにし、次いで、指定温度(5℃、25℃または50℃)で72時間、熟成させた。この固体を濾過して空気乾燥し、XRPDによって分析した。2日後に、試料3および15は完全に乾燥しており、追加分量のそれらの対応する溶媒を加えた(試料3には、250μlを加え、試料15には248.6μlを加えた)。得られた固体をXRPDにより特徴付けた。これらの結果が、以下の表14に示されている。
【表14】
【0460】
2つの無水形態(形態Aおよび形態B)の競合的スラリーは、形態Bが、調査した条件下では最も安定な形態であることを示した。それにもかかわらず、形態Aは、単離されると安定である。特定の形態の優位性は、溶媒および温度に依存する。形態Aと形態Bとの間の遷移温度は、50℃未満であり、このことは、特定の形態を単離するためには、特定の方法を開発して、これに従わなければならないことを意味する。
【0461】
5℃では、試料の大部分は、形態Bに転換した。シクロヘキサンからの試料は、形態Aと形態Bとの混合物のままであった。25℃では、試料のすべてが、形態Bに転換した。50℃では、試料の大部分は、形態Bに転換した。アセトン:水10%実験からの試料は、形態Aと形態Bとの混合物のままであった。トルエンからの試料は、形態Aに転換した。考慮すべき一側面は、試料は、指定温度で3日間、インキュベートした後に分析したということである。長時間のインキュベーションは、形態Bの形成に有利になるようであり、このことは、形態Bの形成は、速度論因子により誘導されることを示唆しており、転じて、保持時間は、結晶化の進展の間に考慮すべき重要なパラメーターであることを意味する。2つの形態間のモノトロピー関係またはエナンチオトロピー関係を確立することができなかった。純粋な形態Aまたは純粋な形態Bのどちらか一方が、この実験から単離される場合、この形態が、安定状態のままであり、もう一方には転換しない。しかし、形態Aが、長時間のインキュベーションの間に溶媒媒体中に残留する場合、形態Aは形態Bに転
換する。
【0462】
(実施例2)
化合物1の形態AおよびBの調製
【化28】
化合物1の形態A
化合物1の形態Aは、以下の通り調製した。
【0463】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、メタンスルホン酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、この溶液を周囲条件において、貧溶媒(TBME、4ml)で処理した。冷却後に固体が得られなかった場合、貧溶媒の溶液を濾過して空気乾燥し、得られた固体を適切な技法によりさらに分析した。
【0464】
得られた物質の特徴付けにより、水和していない結晶形態Aであることが実証された。
【0465】
上記の表3を、以下に再現し、これは、化合物1の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表3-2】
【0466】
図5は、化合物1の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0467】
図6は、化合物1の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0468】
化合物1の形態B
化合物1の形態Bは、以下の通り調製した。
【0469】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を周囲条件でメタンスルホン酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、得られた固体を濾過して空気乾燥し、XRPDによって分析した。この溶液を周囲条件において貧溶媒(TBME、4ml)で処理した。周囲条件で48時間撹拌した後、得られた固体を濾過して空気乾燥し、適切な技法によって分析した。
【0470】
得られた物質の特徴付けにより、水和形態の可能性があるわずかに吸湿性の結晶形態Bであることが実証された。
【0471】
上記の表4を、以下に再現し、これは、化合物1の形態Bについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表4-2】
【0472】
図7は、化合物1の形態BのXRPDパターンを図示する。
【0473】
図8は、化合物1の形態BのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0474】
(実施例3)
化合物2の形態AおよびBの調製
【化29】
化合物2の形態A
化合物2の形態Aは、以下の通り調製した。
【0475】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、ベンゼンスルホン酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、この溶液を周囲条件において貧溶媒(TBME、4ml)で処理した。冷却後に固体が得られなかった場合、貧溶媒の溶液を濾過して空気乾燥し、得られた固体を適切な技法によりさらに分析した。
【0476】
得られた物質の特徴付けにより、わずかに吸湿性の水和していない形態Aであることが実証された。
【0477】
上記の表5を、以下に再現し、これは、化合物2の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表5-2】
【0478】
図9は、化合物2の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0479】
図10は、化合物2の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0480】
化合物2の形態B
化合物2の形態Bは、以下の通り調製した。
【0481】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、ベンゼンスルホン酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、この溶液を周囲条件において貧溶媒(TBME、4ml)で処理した。冷却後に固体が得られなかった場合、貧溶媒の溶液を濾過して空気乾燥し、得られた固体を適切な技法によりさらに分析した。次に、回収した固体の一定分量を1週間、40℃/75%RHで保存し、XRPDを分析した。
【0482】
この物質にはXRPD分析しか行わなかった。
【0483】
上記の表6を、以下に再現し、これは、化合物2の形態Bについて観察されたX線回折
ピークを示している。
【表6-2】
【0484】
図11は、化合物2の形態BのXRPDパターンを図示する。
【0485】
(実施例4)
化合物3の形態Aの調製
【化30】
化合物3の形態A
化合物3の形態Aは、以下の通り調製した。
【0486】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、硫酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、この溶液を周囲条件において貧溶媒(TBME、4ml)で処理した。冷却後に固体が得られなかった場合、貧溶媒の溶液を濾過して空気乾燥し、得られた固体を適切な技法によりさらに分析した。
【0487】
得られた物質の特徴付けにより、わずかに吸湿性の水和していない形態Aであることが実証された。
【0488】
上記の表7を、以下に再現し、これは、化合物3の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表7-2】
【0489】
図12は、化合物3の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0490】
図13は、化合物3の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0491】
(実施例5)
化合物4の形態Aの調製
【化31】
化合物4の形態A
化合物4の形態Aは、以下の通り調製した。
【0492】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、トルエンスルホン酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した
。20時間後、固体は得られず、次に、この溶液を48時間、-20℃でさらに冷却した。固体は得られず、この溶液を周囲条件でエバポレートし、その結果、ガム状物が得られた。このガム状物を500μlのヘプタンで処理し、24時間、熟成させるために静置した(50℃/室温)。この実験から固体が得られ、次に、この固体を濾過して空気乾燥し、適切な技法により分析した。
【0493】
得られた物質の特徴付けにより、結晶性の水和した可能性のある形態であることが実証された。
【0494】
上記の表8を、以下に再現し、これは、化合物4の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表8-2】
【0495】
図14は、化合物4の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0496】
図15は、化合物4の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0497】
(実施例6)
化合物5の形態Aの調製
【化32】
化合物5の形態A
化合物5の形態Aは、以下の通り調製した。
【0498】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、塩酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、得られた固体を濾過して空気乾燥し、適切な技法によって分析した。
【0499】
得られた物質の特徴付けにより、水和したわずかに吸湿性の結晶形態Aであることが実証された。
【0500】
上記の表9を、以下に再現し、これは、化合物5の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表9-2】
【0501】
図16は、化合物5の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0502】
図17は、化合物5の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0503】
(実施例7)
化合物6の形態Aの調製
【化33】
化合物6の形態A
化合物6の形態Aは、以下の通り調製した。
【0504】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、シュウ酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、固体は得られず、そして(wand)、この溶液を48時間、-20℃で冷却した。固体が冷却後に得られなかった場合、この溶液を貧溶媒(TBME、500μl)で処理した。24時間後に固体が得られなかった場合、この溶液を周囲条件でエバポレートした。24時間後に固体が得られ、適切な技法により分析した。
【0505】
得られた物質の特徴付けにより、結晶性の水和した形態Aであることが実証された。
【0506】
上記の表10を、以下に再現し、これは、化合物6の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表10-2】
【0507】
図18は、化合物6の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0508】
図19は、化合物6の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0509】
(実施例8)
化合物7の形態Aの調製
【化34】
化合物7の形態A
化合物7の形態Aは、以下の通り調製した。
【0510】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、1ml)に溶解した。この澄明な溶液をリ
ン酸(1.0mol当量、THF中の保存溶液(1M)として添加)で処理した。その酸の添加後、澄明な溶液を得て、所与の貧溶媒(ヘプタン)8mlで処理した。この試料を一晩、撹拌した。試料を濾過し、周囲条件で空気乾燥し、適切な技法によって分析した。
【0511】
得られた物質の特徴付けにより、わずかに吸湿性の水和していない結晶形態Aであることが実証された。
【0512】
上記の表11を、以下に再現し、これは、化合物7の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表11-2】
【0513】
図20は、化合物7の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0514】
図21は、化合物7の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0515】
(実施例9)
化合物8の形態AおよびBの調製
【化35】
化合物8の形態A
化合物8の形態Aは、以下の通り調製した。
【0516】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50℃まで加熱し、次に、カンファースルホン酸(1.0mol当量、保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、この溶液を周囲条件において貧溶媒(TBME、4ml)で処理した。冷却後に固体が得られなかった場合、貧溶媒の溶液を濾過して空気乾燥し、得られた固体を適切な技法によりさらに分析した。
【0517】
得られた物質の特徴付けにより、結晶性の無水形態Aであることが実証された。
【0518】
上記の表12を、以下に再現し、これは、化合物8の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表12-2】
【0519】
図22は、化合物8の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0520】
図23は、化合物8の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0521】
(実施例10)
化合物9の形態Aの調製
【化36】
化合物9の形態A
化合物9の形態Aは、以下の通り調製した。
【0522】
化合物Aを周囲条件でEtOH(10体積、500μl)に溶解した。この溶液を50
℃まで加熱し、次に、酒石酸(1.0mol当量、保存溶液(1M)として添加)で処理した。冷却勾配は0.1℃/分で、50℃から5℃まで適用した。20時間後、固体は得られず、そして(wand)、この溶液を48時間、-20℃で冷却した。固体が冷却後に得られなかった場合、この溶液を貧溶媒(TBME、500μl)で処理した。24時間後に固体が得られなかった場合、この溶液を周囲条件でエバポレートした。24時間後に固体が得られ、適切な技法により分析した。
【0523】
得られた物質の特徴付けにより、結晶性の水和した形態Aであることが実証された。
【0524】
上記の表13を、以下に再現し、これは、化合物9の形態Aについて観察されたX線回折ピークを示している。
【表13-2】
【0525】
図24は、化合物9の形態AのXRPDパターンを図示する。
【0526】
図25は、化合物9の形態AのDSCサーモグラムおよびTGAトレースを図示する。
【0527】
(実施例11)
化合物1および3~8に関する水溶解度研究
塩化合物1および3~8の水溶解度研究は、較正曲線によって決定した。化合物1および3~8はそれぞれ、5種の異なる濃度レベルで調製し(例えば、0.25mM、0.5mM、0.75mM、1.0mMおよび2.0mM)、各塩に関する較正曲線を、塩溶液濃度に対してHPLC応答測定値をプロットして導いた。
【0528】
溶解度の決定は以下の通り行った。50~100mgの物質を最小量の水(0.1~0.2mLから開始)に添加することにより塩懸濁液をそれぞれ、作製した。溶解度に基づいて、追加の物質を加え、塩懸濁液を得た。次に、この懸濁液を0.25μmのフィルターに通して濾過し、この濾液を水でさらに希釈し、塩溶液をHPLCにより分析した。注入した塩溶液の濃度は、較正曲線から誘導した直線式y=mx+c(Yは、注入した塩溶
液について得られたHPLC応答を指す)を用いて算出した。これらの結果が、以下の表15に示されている。
【表15】
【0529】
確認できる通り、化合物1および3~8は、遊離塩基化合物Aよりもかなり溶解度が高く、化合物1が、最高の溶解度を示した。
【0530】
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は改変されて、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供してもよいことは明らかである。したがって、本発明の範囲は、例として表されている具体的な実施形態によってというよりもむしろ、添付の特許請求の範囲によって定義されることが理解される。
【0531】
本発明の好ましい実施形態によれば、例えば、以下が提供される。
(項1)
化合物1:
【化37】

(項2)
結晶である、上記項1に記載の化合物。
(項3)
非晶質化合物1を実質的に含まない結晶性固体である、上記項1に記載の化合物。
(項4)
不純物を実質的に含まない、上記項1に記載の化合物。
(項5)
約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、上記項1に記載の化合物。
(項6)
約9.3、約16.9および約26.4度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、上記項5に記載の化合物。
(項7)
形態Aの化合物である、上記項6に記載の化合物。
(項8)
図5に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、上記項1に記載の化合物。
(項9)
約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける1つまたは複数のピークを有する、上記項1に記載の化合物。
(項10)
約9.6、約19.1および約28.8度の2θのピークから選択される、そのXRPDにおける少なくとも2つのピークを有する、上記項9に記載の化合物。
(項11)
形態Bの化合物である、上記項10に記載の化合物。
(項12)
図7に図示されているXRPDと実質的に類似したXRPDを有する、上記項1に記載の化合物。
(項13)
上記項1に記載の化合物および薬学的に許容されるキャリア、賦形剤またはビヒクルを含む、薬学的に許容される組成物。
(項14)
患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している状態を処置する方法であって、前記患者に、上記項1に記載の化合物またはその組成物を投与することを含む方法。
(項15)
前記患者に追加の治療剤を投与することをさらに含む、上記項14に記載の方法。
(項16)
形態AもしくはBの化合物A:
【化38】

形態AもしくはBの化合物2:
【化39】

化合物3:
【化40】

もしくはその結晶形態;
化合物4:
【化41】

もしくはその結晶形態;
化合物5:
【化42】

もしくはその結晶形態;
化合物6:
【化43】

もしくはその結晶形態;
化合物7:
【化44】

もしくはその結晶形態;
化合物8:
【化45】

もしくはその結晶形態;
または
化合物9:
【化46】

もしくはその結晶形態
から選択される化合物。
(項17)
上記項16に記載の化合物および薬学的に許容されるキャリア、賦形剤またはビヒクルを含む、薬学的に許容される組成物。
(項18)
患者における、アルデヒド毒性が病態形成に関係している状態を処置する方法であって、前記患者に、上記項17に記載の組成物を投与することを含む方法。
(項19)
前記患者に追加の治療剤を投与することをさらに含む、上記項18に記載の方法。
(項20)
式Xの塩化合物:
【化47】

を調製するための方法であって、
A:
【化48】

を、式Xの塩化合物を形成させるための条件下、酸、および必要に応じて溶媒と組み合わせるステップを含む方法。
(項21)
(a)好適な前記酸がメタンスルホン酸であり、これにより、化合物Aのメシル酸塩を形成し、必要に応じて、前記メシル酸塩を形態Aもしくは形態Bに結晶化させる、
(b)好適な前記酸がベンゼンスルホン酸であり、これにより、化合物Aのベシル酸塩を形成し、必要に応じて、前記ベシル酸塩を結晶化させて形態Aもしくは形態Bを形成させる、
(c)好適な前記酸が硫酸であり、これにより、化合物Aの硫酸塩を形成し、必要に応じて、前記硫酸塩を結晶化させて形態Aを形成させる、
(d)好適な前記酸がp-トルエンスルホン酸であり、これにより、化合物Aのトシル酸塩を形成し、必要に応じて、前記トシル酸塩を結晶化させて形態Aを形成させる、
(e)好適な前記酸が塩酸であり、これにより、化合物Aの塩酸塩を形成し、必要に応じて、前記塩酸塩を結晶化させて形態Aを形成させる、
(f)好適な前記酸がシュウ酸であり、これにより、化合物Aのシュウ酸塩を形成し、必要に応じて、前記シュウ酸塩を結晶化させて形態Aを形成させる、
(g)好適な前記酸がリン酸であり、これにより、化合物Aのリン酸塩を形成し、必要に応じて、前記リン酸塩を結晶化させて形態Aを形成させる、
(h)好適な前記酸がカンファースルホン酸であり、これにより、化合物Aのカンシル酸塩を形成し、必要に応じて、前記カンシル酸塩を結晶化させて形態Aを形成させる、または
(i)好適な前記酸が酒石酸であり、これにより、化合物Aの酒石酸塩を形成し、必要に応じて、前記酒石酸塩(tatrate salt)を再結晶化させて形態Aを形成させる、上記項20に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【外国語明細書】