(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003343
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】現像ローラ及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
G03G15/08 235
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104459
(22)【出願日】2021-06-23
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】江川 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】中田 欣志
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AD06
2H077FA12
2H077FA16
2H077FA22
2H077GA03
(57)【要約】
【課題】フィルミング、及び高湿高湿条件下のカブリが改善され、高品質な画像が得られる現像ローラ、その現像ローラを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】本発明は、軸体2と、軸体2の外側に設けられる弾性層3と、弾性層3の外側に設けられる中間層4と、中間層4の外側に設けられる被覆層5とを備え、被覆層5が、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成され、被覆層5の表面の窒素原子の含有量が、4原子%より大きく15原子%以下である現像ローラ1である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体と、該軸体の外側に設けられる弾性層と、該弾性層の外側に設けられる中間層と、該中間層の外側に設けられる被覆層とを備え、
前記被覆層が、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成され、
前記被覆層の表面の窒素原子の含有量が、4原子%より大きく15原子%以下である現像ローラ。
【請求項2】
前記中間層が、ウレタン弾性層である請求項1記載の現像ローラ。
【請求項3】
前記被覆層を構成する樹脂が、多官能基型シランカップリング剤をベースとした樹脂であり、かつ前記ウレタン弾性層に含浸されており、
前記被覆層と前記ウレタン弾性層とが密着している請求項2記載の現像ローラ。
【請求項4】
前記現像ローラの表面の表面粗さRzが、2μm以上15μm以下である請求項1から3いずれか1項記載の現像ローラ。
【請求項5】
現像ローラの抵抗値が、1×106Ω以上9×109Ω以下である請求項1から4いずれか1項記載の現像ローラ。
【請求項6】
現像ローラの弾性層が、シリコーンゴムである請求項1から5いずれか1項記載の現像ローラ。
【請求項7】
請求項1から6いずれか1項記載の現像ローラを備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像ローラ及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を採用する複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像ローラは、トナーに均一な摩擦電荷を付与し、かつ、所定量のトナーを現像領域に安定して搬送する機能を有する。近年の電子写真装置の高速化、長寿命化、高画質化への対応の過程で、トナーの性能が進化したため、現像ローラを構成する各種材料の電気的特性を調整することにより、現像ローラの現像剤搬送性を向上させることが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び2には、ウレタン系樹脂皮膜の最外層にシランカップリング剤を積層コートして、耐久性に優れた柔軟性と低摩擦係数を両立し、優れた帯電特性を有する半導電性ロールが提案されている。
【0004】
現像ローラは、長期間使用された場合、その表面に現像剤が固着する(以下、「フィルミング」とも記載する。)ことがある。フィルミングは、現像剤を帯電又は付着させる際に現像ローラと圧接する被当接体との摺動ストレスによって現像剤が変形又は破壊されること、更には、ブレード等との摩擦熱による現像剤の溶融に起因して生じるものと考えられている。このようなことから、フィルミングの発生が極力抑制され、耐久印字性能が安定化した現像ローラが要求されている。
【0005】
また、電子写真方式を採用する画像形成装置においては、特に、初期から大量に画像出力を行うと、高温高湿状況下となり、帯電不足が生じ、画像の白地部に現像剤が現像されてしまう画像不良(以下、「カブリ」とも記載する。)が発生する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-318249号公報
【特許文献2】特開2003-98782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献における従来技術では、接触帯電量を制御できるという効果はあるものの、近年の高速化及び高耐久性が求められる状況下では、フィルミングの防止、高温高湿下でのカブリの更なる改善が求められる。また、従来の現像ローラでは、最外層の被膜が硬く、高速及び長時間での使用で、ひび割れが起こることが懸念される。このような不具合は、画像品質の低下につながる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フィルミング、及び高湿高湿下でのカブリが改善され、高品質な画像が得られる現像ローラ、その現像ローラを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
現像ローラの最外層である被覆層は、柔軟性があり、かつ、トナー搬送性、カブリ及びフィルミングに対する性能を有する必要がある。本発明者らは、現像ローラの被覆層を多官能型シランカップリング剤で構成し、窒素含有量をある特定の範囲とすることによってフィルミング、及び高湿高湿下のカブリが改善され、高品質な画像が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、軸体と、軸体の外側に設けられる弾性層と、弾性層の外側に設けられる中間層と、中間層の外側に設けられる被覆層とを備え、被覆層が、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成され、被覆層の表面の窒素原子の含有量が、4原子%より大きく15原子%以下である現像ローラである。
【0009】
中間層は、ウレタン弾性層であることが好ましい。
【0010】
被覆層を構成する樹脂は、多官能基型シランカップリング剤をベースとした樹脂であり、かつウレタン弾性層に含浸されており、被覆層とウレタン弾性層とが密着していることが好ましい。
【0011】
現像ローラの表面の表面粗さRzは、2μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0012】
現像ローラの抵抗値は、1×106Ω以上9×109Ω以下であることが好ましい。
【0013】
現像ローラの弾性層は、シリコーンゴムであることが好ましい。
【0014】
本発明の画像形成装置は、本発明の現像ローラを備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フィルミング、及び高湿高湿条件下のカブリが改善され、高品質な画像が得られる現像ローラ、その現像ローラを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の現像ローラの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明の現像ローラの一実施形態を示す断面図である。
【
図3】本発明の画像形成装置の一実施形態を示す概略断面図である。
【
図4】現像ローラの表面の抵抗を測定する装置を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
[現像ローラ]
図1に示すように、本発明の現像ローラ1は、軸体2と、軸体2の外側に設けられる弾性層3と、弾性層3の外側に設けられる中間層4と、中間層4の外側に設けられる被覆層5とを備える。そして、被覆層5は、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成され、被覆層5の表面の窒素原子の含有量は、4原子%より大きく15原子%以下である現像ローラである。
以下、各構成要素の詳細について説明する。
【0018】
(軸体)
軸体2は、好ましくは、導電特性を有する、従来公知の現像ローラに用いられる軸体を用いることができる。軸体2は、例えば、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、及び真鍮からなる群より選択される少なくとも1種の金属で構成されていることが好ましい。なお、このような軸体2は、一般に、「芯金」の名称でも知られている。
【0019】
軸体2は、絶縁性樹脂を含むものであってもよい。絶縁性樹脂は、例えば、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。軸体2は、例えば、絶縁性樹脂からなる芯体と、この芯体上に設けられたメッキ層と、を備えるものであってよい。このような軸体2は、例えば、絶縁性樹脂からなる芯体にメッキを施して導電化することにより得ることができる。
軸体2は、良好な導電特性を得るために、芯金であることが好ましい。
【0020】
軸体2の形状は、例えば、棒状、管状等であることが好ましい。軸体2の断面形状は、例えば、円形、楕円形であってもよく、多角形等の非円形であってもよい。軸体2の外周面には、洗浄処理、脱脂処理、プライマー処理等の処理が施されていてもよい。
【0021】
軸体2の軸方向の長さは特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整してもよい。また、軸体2の直径(外接円の直径)も特に限定されず、設置される画像形成装置の形態に応じて適宜調整すればよい。
【0022】
(弾性層)
弾性層3は、感光体の表面に形成された静電潜像にトナーを過不足なく供給することができるように、適切なニップ幅とニップ圧をもって感光体に押圧可能な硬度や弾性を現像ローラ1に付与するために設けられる。
弾性層3は種々のゴム材を用いることができる。ゴム材に使用するゴムとしては、エチレン-プロピレン-ジエン共重合ゴム(EPDM)、アクリルニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、エピクロロヒドリンゴム、NBRの水素化物、ウレタンゴム以下が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
これらの中でも、トナーダメージの軽減、及び押圧による圧縮応力歪みを小さくする観点から、シリコーンゴムが好ましい。シリコーンゴムとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルトリフルオロプロピルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサン、ポリフェニルビニルシロキサン、これらのシロキサンの共重合体が挙げられる。
【0023】
弾性層形成用のゴム組成物は、各種の添加剤を含有していてもよい。このような添加剤としては、例えば、導電性付与剤、鎖延長剤、及び架橋剤等の助剤、付加反応触媒等の触媒、反応制御剤、分散剤、老化防止剤、酸化防止剤、充填材、顔料、着色剤、加工助剤、軟化剤、可塑剤、乳化剤、耐熱性向上剤、難燃性向上剤、受酸剤、熱伝導性向上剤、離型剤、溶剤などを挙げることができる。
【0024】
シリコーンゴムからなる弾性層3を形成する場合、液状シリコーンゴム組成物を用いて、LIMS(Liquid Injection Molding System)方式で形成してもよく、ミラブル型シリコーンゴム組成物を用いた射出成形で形成してもよい。ミラブル型シリコーンゴム組成物を用いた場合は、弾性層の表面は研磨されることが好ましい。
【0025】
弾性層3は、中実な層が好ましく、層の内部に中空を有していないことが好ましい。本明細書において「中実」とは、層の内部に0.1mm2/個以上の中空を有しないことを意味する。
【0026】
弾性層3のJIS A硬度(JIS K 6301)は、20以上55以下であることが好ましい。弾性層3のJIS A硬度が、上記範囲内であることにより、現像ローラ1と被当接体(例えば、感光体等の像担持体)との接触面積(ニップ幅)が大きくなるため、転写効率、帯電効率、及び現像効率等の性能が一層向上する傾向にある。また、被当接体に機械的ダメージを与える可能性が低減される。
【0027】
弾性層3の厚さは、被当接体との当接状態において被当接体との均一なニップ幅を確保することができる等の観点から、0.5mm以上10mm以下であることが好ましく、1mm以上5mm以下であることがより好ましい。なお、本発明において「厚さ」とは、現像ローラ1の軸方向に垂直な方向の厚さを意味する。
弾性層3の外径は、特に限定されない。外径は、例えば、5mm以上20mm以下であってもよい。なお、本明細書において、「外径」とは、現像ローラ1の軸方向に垂直な断面における外径を意味する。
弾性層3の厚さ及び外径は、弾性層3を形成する際に用いるゴム組成物の量を調整する、弾性層3の形成後に弾性層3の外周面を研磨又は研削する、等の方法により調整することができる。
【0028】
弾性層3の外周面には、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、エキシマ処理、UV処理、イトロ処理、フレーム処理等の表面処理が施されていてもよい。
【0029】
(中間層)
本発明の現像ローラ1は、弾性層3の外側に中間層4を備える。中間層4は、弾性層3の表面を保護する目的、及び、現像ローラ1の表面特性、すなわち、抵抗値、トナー搬送性、制電性等を調整する目的を有する。
【0030】
中間層4は、被覆層5の密着性の観点からウレタン弾性層が好ましい。ウレタン弾性層は、ポリオールとイソシアネートによるウレタン結合を構成単位として有する。
ポリオール成分としては特に限定されるものではないが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、アクリルポリオール、シリコーン変性ポリオール、フッ素変性ポリオールを用いることができる。
また、これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではないが、エチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の如き脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3-ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネートの如き脂環式ポリイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の如き芳香族イソシアネート及びこれらの共重合物や、そのブロック体を用いることができる。
【0031】
-導電性付与剤-
中間層4の中には、電子導電性物質やイオン導電性物質のような導電性付与剤を配合することで、現像ローラ1の表面の抵抗値を調整することができる。電子導電性物質としては、ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン、酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、銅、銀、ゲルマニウム等の金属及びその金属酸化物が挙げられる。この中でも、少量で導電性を制御しやすいことからカーボンブラック(導電性カーボン、ゴム用カーボン、カラー(インク)用カーボン)が好ましい。また、イオン導電性物質としては、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム、リチウムビスイミド、カリウムビスイミド等の無機イオン導電性物質、変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテート等の有機イオン導電性物質が挙げられる。
【0032】
-粗さ剤-
中間層4の中には、現像ローラ1の表面粗さを調整するため、粗さ剤を含有することが好ましい。粗さ剤としては、シリカ(表面処理シリカを含む)、金属酸化物等の無機粒子、有機金属化合物粒子、アクリル粒子、ウレタン粒子、ナイロン粒子、アクリロニトリル粒子、スチレン粒子、シリコーン粒子、シリコーンゴム粒子、ベンゾグアナミン粒子が挙げられる。粗さ剤は、中間層4に、1種のみ含有してもよく、2種以上含有してもよい。
【0033】
粗さ剤の大きさは、平均粒子径2μm以上15μm以下であることが好ましい。粗さ剤の平均粒子径を上記範囲とすることにより、後述のように、現像ローラ1の表面粗さRzを2μm以上15μm以下にすることが可能である。現像ローラ1の表面粗さが、上記範囲であることにより、表面粗さが適切に維持され、現像剤搬送性が良好に保たれる一方で、解像度を高い水準に維持して、画質の悪化を防止することができる。なお、平均粒子が2μm程度の場合、凝集しやすく、完全分散しない状態を確認した後コーティングすることが好ましい。
粗さ剤の平均粒子径(二次粒子)は、粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製)で測定することができる。
【0034】
本発明において使用する粗さ剤は、100℃以上の温度でも変形又は溶融等しない耐熱性を有することが好ましく、130℃から180℃での耐熱性を有することがより好ましい。これにより、中間層4の架橋温度においても、粗さ剤が、変形することを防止することができる。粗さ剤の耐熱性は、メルトフローインデクサーにおいて、圧力と熱を与えて粗さ剤が溶けて流れ出すことがないことを確認することにより、評価することができる。
【0035】
粗さ剤は、中間層4中に存在(埋没)していてもよく、また、中間層4において不均一に分散していてもよく、中間層4の表面側に偏在していてもよい。
【0036】
粗さ剤の含有量は、中間層形成用組成物100質量部に対して、1質量部以上40質量部以下であることが好ましく、3質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。粗さ剤の使用量を、上記使用量の範囲内のものとすることにより、現像ローラ1の表面粗さが適切に維持され、現像剤搬送性が良好に保たれる一方で、解像度を高い水準に維持して、画質の悪化を防止することができる。
【0037】
中間層4の厚さは、5μm以上13μm以下があることが好ましく、6μm以上11μm以下であることがより好ましい。
【0038】
中間層4の表面に、シロキサンがブリードするのを防止するため、HMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)のプラズマコートを設けてもよい。ヘキサメチルシロキサンのプラズマコートとは、ヘキサメチルジシロキサンをプラズマと同時にコートするものであり、シロキサンのブリード防止とともに、プライマー層の役割も有する。
【0039】
(被覆層)
被覆層5は、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成される。特に、シロキサン結合を含んでいる構造を有する化合物が好ましい。被覆層5が、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成されることにより、表面の付着力が小さくでき、結果的にはフィルミングを抑制させる効果がある。なお、被覆層5は、トナー粒子と摩擦帯電の帯電列の観点から電位が下がる方向になるのでフッ素原子含まないことが好ましい。
【0040】
被覆層5を構成する樹脂として、多官能基型シランカップリング剤をベースとした樹脂が好ましい。「ベースとした」とは、多官能基型シランカップリング剤を少なくとも80%含有していること意味する。多官能基型シランカップリング剤は単独で成膜性があるため、被覆層5が全て多官能基型シランカップリング剤で構成されてもよいが、他の添加剤を含有してもよい。多官能基型シランカップリング剤を用いることにより、単独での成膜性が良好であり、かつ現像ローラの表面に柔軟性を与えることができるので、ひび割れの発生が抑制され、耐久性があり、画像品質が劣ることがない。
また、多官能型シランカップリング剤を塗布及び乾燥すると、アルコキシシランの縮合が起こり、膜としてシロキサン結合を有することから、トナーの付着力も小さいのでフィルミングが抑制される。さらに、多官能型シランカップリング剤は、反応によって水分を吸収するような官能基もなくなり、良好にカブリを防止することができる。またさらに、窒素を含有する多官能基型シランカップリング剤は、アルコキシシランの縮合と同時に窒素化合物の反応も進み、窒素元素の割合が高くなるため、マイナス帯電トナーに対して帯電性も向上するので、高温高湿条件におけるカブリが改善される。
【0041】
多官能基型シランカップリング剤として、アミン系シランカップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤が挙げられる。
アミノ系シランカップリング剤としては、例えば、X-12-972F(商品名、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
イソシアネート系シランカップリング剤としては、例えば、X-12-1234(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-12-1159L(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-12-1242(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-12-1248(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-24-9750A(商品名、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
メルカプト系シランカップリング剤としては、例えば、X-12-1154(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-12-1156(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-41-1805(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-41-1810(商品名、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、X-12-981S(商品名、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
アクリル系シランカップリング剤としては、例えば、X-12-1048(商品名、信越化学工業株式会社製)、X-12-1050(商品名、信越化学工業株式会社製)が挙げられる。
上記の中でも、柔軟性がある、イソシアネート系多官能型シランカップリング剤が好ましい。多官能型シランカップリング剤は、1種のみでも、数種類混合して使用してもよい。
【0042】
被覆層5中の多官能型シランカップリング剤は、一部が下層の中間層4に含浸されており、中間層4と被覆層5との密着性を向上させる。特に、中間層4が、ウレタン弾性層の場合は、被覆層5と中間層4との密着がより良好となる。
【0043】
-窒素原子の含有量-
被覆層5の表面の窒素原子の含有量は、4原子%より大きく15原子%以下である。被覆層5の表面の窒素原子の含有量が、4原子%以上であることにより、マイナストナーに対して摩擦帯電が向上し、カブリを防止することができる。また、被覆層5の表面の窒素原子の含有量が、15原子%以下であることにより、帯電過多になるのを防止して、画像のガサツキを防止することができる。また、被覆層5の表面の窒素原子の含有量は、5原子%以上10原子%以下であることがより好ましい。
窒素原子の含有量は、X線光電子分光法(XPS、x-ray Photoelectron Spectroscopy)により、測定される値とする。測定方法は、具体的には、後述の実施例で示すとおりである。
【0044】
被覆層5の厚さは、0.1μm以上3μm以下があることが好ましく、0.2μm以上1.5μm以下であることがより好ましい。
【0045】
[現像ローラの物性]
本発明の現像ローラ1は以下の物性を有する。
(現像ローラの抵抗値)
現像ローラ1の抵抗値は、1×106Ω以上9×109Ω以下であることが好ましい。現像ローラ1の抵抗値が1×106Ω以上であることにより、リーク発生を防止することができる。また、9×109Ω以下であることにより、画像のガサツキを防止することができる。
現像ローラ1の抵抗値は、上記の中間層4におけるポリオールとイソシアネートの組み合わせで、抵抗値が9×109以下になるように選択することで調整することができる。また、必要であれば過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウム、リチウムビスイミド、カリウムビスイミド等のイオン導電材;ピリジウム系、イミダゾール系、4級アンモニウム系等のイオン液体;カーボン、カーボンナノチューブ、金属、金属酸化物、有機導電材等の電子導電材で、抵抗値を1×106Ω以上1×10E9Ω以下に調整することが可能である。
ただし、基本的にカーボンによる電子導電は分散条件により抵抗値がバラつき、調整しにくい範囲にあり、イオン系導電機構を用いることが好ましい。
現像ローラ1の抵抗値が1×106Ω以上では、イオン導電材で抵抗値の調整がしやすく、9×109Ω以下では、カブリの発生を良好に防止することができる。
現像ローラ1の抵抗値は、後述の実施例における測定方法により測定されるものとする。
【0046】
(表面粗さRz)
現像ローラ1の表面粗さRzは、2μm以上15μm以下であることが好ましく、2μm以上10μm以下であることがより好ましい。表面粗さRzが2μm以上であることにより、トナーの最低搬送量を確保することができる。また、表面粗さRzが15μm以下であることにより、トナーの最大搬送量を確保することができる。
現像ローラ1の表面粗さRzは、上記のように、中間層4に含有される粗さ剤の大きさを選択することによって、調整することが可能である。
ここで、表面粗さRzは、接触式粗さ計を用い、JIS B0601:1994十点平均粗さに基づいて求めた値である。
【0047】
本発明の現像ローラ1は、被覆層5が、少なくとも炭素、窒素、酸素、及びケイ素を含有する高分子化合物を含む樹脂で構成されることで、フィルミング、及び高温高湿下のカブリを解決することができ、高品質が画像を提供することができる。さらに、最外層の被膜を柔らかくすることができ、高速及び長時間での使用によってひび割れが生じるのを防止することができる。
【0048】
[現像装置及び画像形成装置]
本発明の現像ローラ1は、現像装置及び画像形成装置における現像剤担持体として、好適に用いることができる。本実施形態において、画像形成装置における現像ローラ1以外の構成は特に限定されない。本発明の現像ローラ1を備えた現像装置及び画像形成装置10の一例を、
図3を参照して説明する。
【0049】
画像形成装置10は、各色(黒色、シアン、マゼンタ、黄色)の現像ユニットB、C、M及びYに装備された複数の像担持体11B、11C、11M及び11Yを転写搬送ベルト6上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置であり、現像ユニットB、C、M及びYが転写搬送ベルト6上に直列に配置されている。現像ユニットBは、像担持体11B例えば感光体(感光ドラムとも称される。)と、帯電手段12B例えば帯電ローラと、露光手段13Bと、現像装置20Bと、転写搬送ベルト6を介して像担持体11Bに当接する転写手段14B例えば転写ローラと、クリーニング手段15Bとを備えている。
【0050】
現像装置20Bは、本発明の現像装置の一例であり、
図3に示されるように、本発明の現像ローラ1と現像剤22Bとを備えている。したがって、この画像形成装置10において、現像ローラ1は、現像剤担持体23B、23C、23M及び23Yとして装着されている。現像装置20Bは、具体的には、一成分非磁性の現像剤22Bを収容する筐体21Bと、現像剤22Bを像担持体11Bに供給する現像剤担持体23Bと、現像剤担持体23Bに現像剤22Bを供給するトナー供給ローラ25Bと、現像剤22Bの厚みを調整する現像剤量調節手段24B例えばブレードとを備えてなる。現像装置20Bにおいて、現像剤量調節手段24Bは、
図3に示されるように、現像剤担持体23Bの外周面に接触又は圧接している。すなわち、現像装置20Bは「接触式現像装置」である。現像ユニットC、M及びYは現像ユニットBと基本的に同様に構成されており、同じ要素には、同じ符号と各ユニットを示す記号C、M又はYとを付して、説明を省略する。
【0051】
画像形成装置10において、現像装置20Bの現像剤担持体23Bは、その表面が像担持体11Bの表面に接触又は圧接するように配置されている。現像装置20C、20M及び20Yも、現像装置20Bと同様に、その表面が現像剤担持体23C、23M及び23Yが像担持体11C、11M及び11Yの表面に接触又は圧接するように配置されている。すなわち、この画像形成装置10は「接触式画像形成装置」である。
【0052】
定着手段30は、現像ユニットYの下流側に配置されている。この定着手段30は、記録体16を通過させる開口部35を有する筐体34内に、定着ローラ31と、定着ローラ31の近傍に配置された無端ベルト支持ローラ33と、定着ローラ31及び無端ベルト支持ローラ33に巻き掛けられた無端ベルト36と、定着ローラ31と対向配置された加圧ローラ32とを備え、無端ベルト36を介して定着ローラ31と加圧ローラ32とが互いに当接又は圧接するように回転自在に支持されてなる圧力熱定着装置である。画像形成装置10の底部には、記録体16を収容するカセット41が設置されている。転写搬送ベルト6は複数の支持ローラ42に巻回されている。
【0053】
画像形成装置10に使用される現像剤22B、22C、22M及び22Yはそれぞれ、摩擦により帯電可能な現像剤であれば、乾式現像剤でも湿式現像剤でもよく、また、非磁性現像剤でも磁性現像剤でもよい。各現像ユニットB、C、M及びYの筐体21B、21C、21M及び21Y内には、一成分非磁性の、黒色現像剤22B、シアン現像剤22C、マゼンタ現像剤22M及び黄色現像剤22Yがそれぞれ収納されている。
【0054】
画像形成装置10は、以下のようにして記録体16にカラー画像を形成する。まず、現像ユニットBにおいて、帯電手段12Bで帯電した像担持体11Bの表面に露光手段13Bにより静電潜像が形成され、現像剤担持体23Bにより供給された現像剤22Bで黒色の静電潜像が現像される。そして、記録体16が転写手段14Bと像担持体11Bとの間を通過する際に黒色の静電潜像が記録体16表面に転写される。次いで、現像ユニットBと同様にして、現像ユニットC、M及びYによって、静電潜像が黒像に顕像化された記録体16に、それぞれシアン像、マゼンタ像及び黄色像が重畳され、カラー像が顕像化される。次いで、カラー像が顕像化された記録体16は、定着手段30によりカラー像が永久画像として記録体16に定着される。このようにして、記録体16にカラー画像を形成することができる。
【0055】
現像装置20Bは、現像ローラ1を備えており、現像剤搬送性に優れるとともにトナーフィルミングの発生を抑えて、高濃度で高画質の画像を長期にわたって形成することに貢献できる。また、この現像装置20Bを備えた画像形成装置は高濃度で高画質の画像を長期にわたって形成できる。
【0056】
本発明の現像装置及び画像形成装置は、上記したものに限定されることはなく、本発明の目的を達成することができる範囲において、種々の変更が可能である。
【0057】
この発明において、画像形成装置10は、電子写真方式には限定されず、例えば、静電方式の画像形成装置であってもよい。また、本発明の現像ローラ1が配設される画像形成装置10は、各色の現像ユニットを備えた複数の像担持体を転写搬送ベルト上に直列に配置したタンデム型カラー画像形成装置に限られず、例えば、単一の現像ユニットを備えたモノクロ画像形成装置、像担持体上に担持された現像剤像を無端ベルトに順次一次転写を繰り返す4サイクル型カラー画像形成装置等であってもよい。また、画像形成装置に用いられる現像剤は、一成分非磁性現像剤とされているが、この発明においては、一成分磁性現像剤であってもよく、二成分非磁性現像剤であっても、また、二成分磁性現像剤であってもよい。
【0058】
画像形成装置は、現像ローラの表面が像担持体の表面に接触又は圧接して配置される接触式画像形成装置である。なお、本発明の画像形成装置は、非接触式画像形成装置であってもよい。
【0059】
本発明の画像形成装置10は、本発明の現像ローラ1を備えるため、高温高湿の条件下でのカブリの発生が抑制され、高品質な画像を提供することができる。
【0060】
以上、本発明を、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に記載の発明の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた発明も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【実施例0061】
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
【0062】
[実施例1]
以下の手順により、現像ローラを作製した。
(プライマー層の形成)
無電解ニッケルメッキ処理が施された軸体(SUM22製、直径10mm、長さ274.2mm)をエタノールで洗浄し、その表面にシリコーン系プライマー(商品名「プライマーNo.16」、信越化学工業株式会社製)を塗布した。プライマー処理した軸体を、ギヤオーブンを用いて、150℃の温度にて10分焼成処理した後、常温にて30分以上冷却し、軸体の外周面にプライマー層を形成した。
【0063】
(弾性層の形成)
シリコーンゴムを含むミラブル型ゴム組成物(導電性カーボン含む組成物)を用いた押出成形により、軸体の外周面上にゴム材料からなる弾性体を成形した。なお、押出成形では、ミラブル型シリコーンゴム組成物を、赤外線加熱炉(IR炉)を用いて270℃で5分間加熱し、更に、ギヤオーブンを用いて200℃で4時間加熱して硬化させた。これにより、プライマー処理された軸体の外周面上にゴム組成物の硬化物からなる弾性層を形成した。
弾性層は中実な層であり、弾性層の厚さは、3mmであった。
【0064】
(中間層(ウレタン弾性層)の形成)
次に、弾性層の外周面をUV処理した。その後、UV処理された弾性層上にプライマー(KBP-40 信越化学製)を塗布後、スプレー法によって下記ウレタン弾性層用組成物を塗布した。ウレタン弾性層は、現像ローラの抵抗調整及び表面粗さ調整のため設けられる。
-ウレタン弾性層形成用組成物-
ポリエステルポリオール 28質量部
イソシアネート 14質量部
カーボン 3質量部
イオン導電材(EF-112N、三菱電子化成マテリアル製) 0.1質量部
ウレタン粒子(平均粒子径φ7μm) 10質量部
シンナー 130質量部
【0065】
塗布されたウレタン弾性層形成用組成物を160℃30分間加熱した後、冷却した。
【0066】
(被覆層の形成)
次に、下記被覆層形成用組成物を調整し、被覆層形成用組成物をスプレー法によってウレタン弾性層の外周に塗布した。150℃10分乾燥後、1日放置し現像ローラを得た。
乾燥後の被覆層の厚さは0.5μmであった。
―被覆層形成用組成物-
多官能型シランカップリング剤(X-12-1159L、信越化学工業株式会社製)
10質量部
酢酸ブチル 100質量部
【0067】
[実施例2]
多官能型シランカップリング剤(X-12-1159L)8質量部と、シランカップリング剤(KBE-9007N、信越化学工業株式会社製)2質量部を、混合したものを使用したこと以外は実施例1と同様に現像ローラを作製した。
【0068】
[実施例3]
ウレタン弾性層の表面にHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン)をプラズマコートし、その表面に多官能型シランカップリング剤を塗布したこと以外は、実施例1と同様に現像ローラを作製した。
【0069】
[比較例1]
多官能型シランカップリング剤を、アミノシラン(KBE-902、信越化学工業社製)に変更したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
【0070】
[物性]
上記実施例及び比較例について、抵抗値、表面粗さRz、窒素原子の含有量を測定した。
【0071】
(現像ローラの表面の抵抗値)
上記実施例及び比較例の現像ローラの表面の抵抗値を測定した。
図4に測定装置を示す。
図4に示すように、金メッキ板51上に、現像ローラ1を乗せ、両端部に重さ500gのおもり52を掛け、印加電圧100Vでシャフト53と金メッキ板51との抵抗値を、超高抵抗/微少電流計「5450」(株式会社エーディーシー製)54を用いて測定した。
【0072】
(表面粗さRz)
表面粗さRzは、接触式表面粗さ測定器サーフコム1400G(東京精密製)を用いJIS B 0601:1994に従って、十点平均粗さを測定し、これを表面粗さRzとした。
【0073】
(被覆層の窒素原子の含有量)
被覆層の表面におけるチッ素原子の含有量は、被覆層を形成した後、測定できる大きさのサンプルに切りだし、形成したサンプルを、ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis、商品名「ESCA―1000」、島津製作所製)で、以下の測定条件で被覆層の表面から1~10nmの深さにおける窒素原子の含有量を測定した。
X線銃の加速電圧:10kV
X線銃のエミッション電流:20mA
X線の径:1mmφ
【0074】
[評価]
上記実施例及び比較例について印字性能を評価した。
【0075】
(高温高湿条件下のカブリ評価)
カラー画像形成装置(商品名「C610dn2」、株式会社沖データ製)で上記実施例及び比較例の現像ローラをマゼンダ色カートリッジに装着し、27℃80%RH高温高湿条件下のカブリを評価した。
0.3%dutyの印字4000枚行い、白ベタ印字を瞬断で止めて、感光ドラムにテープ貼り付け白い紙上に転写する。基準の紙にテープを貼り、基準値と転写した部分の色差ΔEを測定した。色差ΔEは、色差計(商品名「CR-241」、コニカミノルタ株式会社製)で測定した。
4000枚印字後の色差Δを、以下の評価基準で評価した。高温高湿条件下のカブリ評価は、A以上が合格である。
A:ΔEが1未満
B:ΔEが1~2
C:2以上
【0076】
(フィルミング評価)
カラー画像形成装置(商品名「C610dn2」、株式会社沖データ製)で上記実施例及び比較例の現像ローラをマゼンダ色カートリッジに装着し、0.3%dutyの印字23℃55%RH環境条件下4000枚印刷後のフィルミング状況を評価した。
現像ローラの表面に付着している現像剤を吸引後、フィルミング重量測定ジグに転写した質量を測定した。転写した現像剤の質量を以下の評価基準で評価した。フィルミング評価は、Aであると合格である。
A:0.00mg/cm2以上0.03mg/cm2以下
B:0.03mg/cm2より多く0.06mg/cm2以下
C:0.06mg/cm2より多い
【0077】
評価結果を表1に示す。
【0078】
【0079】
表1に示すように、被覆層の表面の窒素原子の含有量が、4原子%より大きく15原子%以下である実施例1から3は、窒素原子の含有量が4原子%以下である比較例1に比べて、高温高湿でのカブリ及びフィルミングが抑制されていることがわかる。