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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000335
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 6/34 20060101AFI20221222BHJP
   B09B 1/00 20060101ALI20221222BHJP
   H01G 4/40 20060101ALI20221222BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20221222BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221222BHJP
   H01M 50/251 20210101ALI20221222BHJP
【FI】
H01M6/34 A ZAB
B09B1/00 A
H01G4/40 A
H04Q9/00 311J
H02J7/00 302A
H01M50/251
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101088
(22)【出願日】2021-06-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年3月6日に令和2年度土木学会西部支部研究発表会にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504145342
【氏名又は名称】国立大学法人九州大学
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【弁理士】
【氏名又は名称】河部 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 朝都
(72)【発明者】
【氏名】島岡 隆行
(72)【発明者】
【氏名】金谷 晴一
(72)【発明者】
【氏名】中山 裕文
【テーマコード(参考)】
4D004
5E082
5G503
5H025
5H040
5K048
【Fターム(参考)】
4D004AA36
4D004BB05
4D004BB07
4D004CC03
4D004DA01
5E082DD15
5G503DA02
5H025AA11
5H025AA14
5H025CC11
5H025CC13
5H040AA31
5H040AT08
5K048AA16
5K048BA21
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA31
5K048HA37
(57)【要約】
【課題】監視装置の電力を長期的に供給する。
【解決手段】監視装置10は、焼却残渣を含む埋立用材90によって埋め立てられた埋立地9に関連する情報を検出するセンサ1と、センサ1に供給される電力を生成する電池2とを備えている。電池2は、埋立用材90の保有水又は埋立用材90からの浸出水に浸漬される正極21及び負極22とを有している。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却残渣を含む埋立用材によって埋め立てられた埋立地に関連する情報を検出するセンサと、
前記センサに供給される電力を生成する電池とを備え、
前記電池は、前記埋立用材の保有水又は前記埋立用材からの浸出水に浸漬される正極及び負極とを有している監視装置。
【請求項2】
請求項1に記載の監視装置において、
前記電池は、前記保有水又は前記浸出水を貯留する保水器をさらに有し、
前記正極及び前記負極は、前記保水器に含まれる前記保有水又は前記浸出水に浸漬される監視装置。
【請求項3】
請求項2に記載の監視装置において、
前記保水器は、前記埋立用材中に埋設されている監視装置。
【請求項4】
請求項2に記載の監視装置において、
前記保水器は、前記埋立地において前記浸出水を回収する集排水管内に設置されている監視装置。
【請求項5】
請求項2に記載の監視装置において、
前記保水器は、前記埋立地から回収された前記浸出水を貯留する貯留部内に設置されている監視装置。
【請求項6】
請求項2乃至5の何れか1つに記載の監視装置において、
前記保水器は、前記正極及び前記負極を収容し且つ前記保有水又は前記浸出水を貯留するケースを含む監視装置。
【請求項7】
請求項6に記載の監視装置において、
前記ケースは、前記保有水又は前記浸出水が流入する流入口と、前記保有水又は前記浸出水が流出する流出口とが形成されている監視装置。
【請求項8】
請求項7に記載の監視装置において、
前記流入口を介した前記保有水又は前記浸出水の流入流量は、前記流出口を介した前記保有水又は前記浸出水の流出流量よりも大きい監視装置。
【請求項9】
請求項2乃至8の何れか1つに記載の監視装置において、
前記保水器は、前記正極と前記負極とに挟持され且つ前記保有水又は前記浸出水を吸収する保水部材を含む監視装置。
【請求項10】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の監視装置において、
前記電池からの電力を蓄えるキャパシタをさらに備え、
前記センサは、前記キャパシタを介して給電される監視装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、埋立地の監視装置が知られている。例えば、特許文献1には、埋立地の地中に設けられ、地中の有害物を検出する装置が開示されている。この装置は、有害物を検出すると共に、有害物の検出データを外部に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-53356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、監視装置は、埋立地の任意の場所に設置され得る。仮に、監視装置が商用電源又は大型の電源装置から電力が供給されている場合、コンセント等の接続器又は電源装置から監視装置まで配線を延ばす必要があり、監視装置の設置が煩雑になる。つまり、監視装置の設置場所は、接続器又は電源装置からの制約を受ける。
【0005】
そこで、監視装置を電池によって駆動することが考えられる。しかし、埋立地を監視するためには、監視装置は長期的に動作することが好ましい。そのため、電池には、電力を監視装置へ長期的に供給することが求められる。
【0006】
ここに開示された技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、監視装置の電力を長期的に供給することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示された埋立地の監視装置は、焼却残渣を含む埋立用材によって埋め立てられた埋立地に関連する情報を検出するセンサと、前記センサに供給される電力を生成する電池とを備え、前記電池は、前記埋立用材の保有水又は前記埋立用材からの浸出水に浸漬される正極及び負極とを有している。
【発明の効果】
【0008】
前記監視装置によれば、監視装置の電力を長期的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、埋立地の監視システムの模式図である。
図2図2は、埋立地の構成を示す模式図である。
図3図3は、監視装置の機能ブロック図である。
図4図4は、電池の斜視図である。
図5図5は、ケースを取り外した状態の電池の斜視図である。
図6図6は、ケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、埋立地9の監視システム100の模式図である。図2は、埋立地9の構成を示す模式図である。
【0012】
埋立地9は、図2に示すように焼却残渣を含む埋立用材90によって造成されている。焼却残渣には、少なくとも焼却灰が含まれている。地盤Gの窪地91に埋立用材90が積み上げられることによって、埋立地9が造成されている。窪地91は、底91aと、底91の両側の法面91bとによって区画されている。例えば、窪地91は、山間又は谷間に形成されている。埋立地9は、湖や海を埋め立ててできた土地に限定されず、陸上において埋め立てられて形成された土地も含む。
【0013】
窪地91の表面には、遮水シート92が敷かれている。遮水シート92の上には保護層93が設けられている。保護層93は、保護マット、保護砂、及び保護土の少なくとも1つで形成されている。例えば、底91aにおける保護層93は、保護砂又は保護土であり、法面91bの保護層93は、保護マットであってもよい。
【0014】
保護層93の上に集排水管94が敷設されている。集排水管94は、浸出水を集めて排出する。集排水管94は、幹管94aと枝管94bと竪管94cとを有している。幹管94aは、底91aの上方に配置されている。幹管94aは、緩やかな勾配を持って底91aに沿って延びている。幹管94aには、複数の岐管94bが接続されている。岐管94b、底91aから法面91bに沿って延びている。幹管94aには、複数の竪管94cが接続されている。竪管94cは、幹管94aから上方へ延びている。集排水管94は、全体として葉脈状に形成されている。
【0015】
尚、幹管94a、枝管94b及び竪管94cの周囲には、栗石等の石(図示省略)が盛られていてもよい。すなわち、幹管94a、枝管94b及び竪管94cのそれぞれは石で覆われていてもよい。
【0016】
幹管94a、枝管94b及び竪管94cのそれぞれは、管壁を厚み方向に貫通する複数の孔を有する有孔管で形成されている。埋立用材90に浸透した雨水等は、幹管94a、枝管94b及び竪管94cのそれぞれの孔を介して幹管94a、枝管94b及び竪管94cのそれぞれの内部に浸入する。幹管94aは、浸出水を外部に排出する。枝管94bは、主に法面91bにおいて浸出水を回収し、回収された浸出水を幹管94aへ流入させる。竪管94cは、埋立用材90から浸出水を回収することに加え、埋立用材90又は幹管94a等で発生したガスを空中に排出する。竪管94cは、いわゆるガス抜き管の機能も有する。
【0017】
集排水管94で集められた浸出水は、図1に示すように、最終的に幹管94aを介して、浸出水調整池95に排出される。浸出水調整池95は、浸出水を一時的に貯留する。浸出水調整池95に貯留された浸出水は、浸出水処理施設96に送られ、浸出水処理施設96において浄化される。浸出水調整池95は、貯留部の一例である。
【0018】
監視システム100は、複数の監視装置10と、管理装置7とを備えている。監視装置10は、埋立地9に関連する情報を検出する。監視装置10は、対応する、埋立地9に関連する情報に応じた場所に設置される。監視装置10は、検出した情報(以下、「検出情報」と称する)を管理装置7へ送信する。管理装置7は、監視装置10からの検出情報を収集し、保存する。
【0019】
管理装置7は、例えば、サーバである。管理装置7は、クラウドコンピューティングを実現する、いわゆるクラウドサーバであってもよい。管理装置7は、監視装置10から無線通信を介して送信されてくる検出情報を保存していく。管理装置7は、保存された検出情報を端末72へ適宜送信する。
【0020】
図3は、監視装置10の機能ブロック図である。監視装置10は、埋立地9に関連する情報を検出するセンサ1と、センサ1に供給される電力を生成する電池2とを備えている。例えば、埋立地9に関連する情報は、埋立地9の物理的情報、化学的情報、又は生物学的情報である。具体的には、埋立地9に関連する情報は、埋立用材90の保有水若しくは埋立用材90からの浸出水の水質、竪管94cから排出されるガスの質、又は、遮水シート92の物理的状態等であってもよい。より詳しくは、埋立地9に関連する情報は、保有水若しくは浸出水の温度、pH、若しくは汚濁成分濃度、ガスの温度、湿度若しくは所定成分の濃度、遮水シート92に作用する圧力、又は、遮水シート92の歪み若しくは引張応力等であってもよい。
【0021】
センサ1は、検出対象となる情報に応じた場所に設置される。センサ1は、保有水の水質を検出する場合には、埋立用材90中に設置され得る。センサ1は、浸出水の水質を検出する場合には、集排水管94内又は浸出水調整池95内に設置され得る。センサ1は、ガスの質を検出する場合には、竪管94c内に設置され得る。センサ1は、遮水シート92の物理的状態を検出する場合には、遮水シート92に接して設置され得る。
【0022】
監視装置10は、制御部4をさらに備えていてもよい。例えば、制御部4は、プロセッサ及びメモリを有している。制御部4は、監視装置10の全体を制御する。具体的には、制御部4は、所定の周期でセンサ1に埋立地9に関連する情報を検出させる。
【0023】
監視装置10は、外部機器と通信を行う通信モジュール5をさらに備えていてもよい。通信モジュール5は、制御部4によって制御される。具体的には、制御部4は、センサ1の検出情報を管理装置7へ通信モジュール5を介して送信する。制御部4は、センサ1の検出情報を所定の通信周期で送信する。通信周期は、制御部4によって制御される。例えば、通信モジュール5は、LF(Low Frequency)通信、Wi-Fi通信、Bluetooth(登録商標)通信、Zigbee(登録商標)通信、又は、LoRa(登録商標)通信を実行する無線通信モジュールであってもよい。これらの無線通信規格は、接続されるセンサの通信データ量、通信電波の減衰等を考慮して選択される。例えば、LF通信は、土中又は水中であっても減衰が少なく、埋立用材90の内部での通信に適している。Wi-Fi通信及びBluetooth(登録商標)通信等の高周波通信は、集排水管94を導波管とした通信に適している。通信モジュール5は、Wi-Fiルータ等のゲートウェイ71を介して管理装置7と通信を行う。通信モジュール5は、携帯電話又はPCを介して管理装置7と通信を行ってもよい。
【0024】
監視装置10は、キャパシタ6をさらに備えていてもよい。キャパシタ6は、電池2からの電力を蓄える。センサ1は、キャパシタ6を介して給電される。制御部4及び通信モジュール5も、キャパシタ6を介して給電される。
【0025】
監視装置10は、少なくとも制御部4を含む本体11を有し、センサ1及び電池2はそれぞれ本体11から物理的に分離していてもよい。センサ1及び電池2はそれぞれ、本体11と配線を介して電気的に接続されている。この場合、センサ1及び電池2のそれぞれは、配線が許容する範囲で、本体11に対して自由な位置に配置され得る。
【0026】
続いて、電池2について詳しく説明する。図4は、電池2の斜視図である。図5は、ケース3を取り外した状態の電池2の斜視図である。図6は、ケース3の斜視図である。
【0027】
電池2は、図5に示すように、正極21及び負極22を有している。正極21及び負極22は、保有水又は浸出水に浸漬される。
【0028】
詳しくは、この例では、電池2は、2組の正極21及び負極22を有している。電池2では、一方の組の正極21と他方の組の負極22とが重なり合い、2組の正極21及び負極22が直列に接続されている。正極21及び負極22は、イオン化傾向が異なる金属で形成されている。正極21のイオン化傾向は、負極22のイオン化傾向に比べて小さい。例えば、正極21は、Cuであり、負極22は、Al、Zn又はMgである。ただし、正極21及び負極22の組み合わせは、これらに限定されない。
【0029】
電池2は、保有水又は浸出水を貯留する保水部材23をさらに有している。保水部材23は、水を保持する。例えば、保水部材23は、ポーラスメディアであってもよい。具体的には、保水部材23は、多孔質材で形成されている。保水部材23は、セラミック、石灰、スポンジで形成されていてもよい。保水部材23は、正極21と負極22との間に配置される。電池2は、2組の正極21及び負極22を有しているので、2つの保水部材23を有している。保水部材23は、保水器の一例である。
【0030】
それに加えて、電池2は、保有水又は浸出水を貯留するケース3をさらに有している。ケース3は、正極21及び負極22を収容すると共に、水を保持する。ケース3は、保水器の一例である。この例では、ケース3は、2組の正極21、負極22及び保水部材23を収容する。ケース3は、図6に示すように、略直方体状の箱型をしている。ケース3は、対向する天井31及び底32と、天井31と底32とを連結する4つの側壁33とを有している。天井31には、スリット状に形成された流入口34が形成されている。底32には、流出口35が形成されている。この例では、天井31には2つの流入口34が形成され、底32には6つの流出口35が形成されている。
【0031】
ケース3には、流入口34から水が流入する。ケース3内の水は、流出口35から流出する。ケース3は、流入口34を介した水の流入流量の方が流出口35を介した水の流出流量よりも大きくなるように構成されている。例えば、流入口34からの流入流量が流出口35からの流出流量よりも多くなるように、流入口34及び流出口35の個数及び形状が設定されている。これにより、ケース3は、水を一時的に保持する。
【0032】
さらに、2組の正極21、負極22及び保水部材23がケース3に収容された状態においては、図4に示すように、保水部材23が流入口34から露出している。つまり、流入口34からケース3内に流入する水は、保水部材23に浸透していく。また、保水部材23は、流出口35上に配置されている。そのため、保水部材23から滲み出る水は、流出口35を介してケース3から流出する。
【0033】
ケース3には、第1リード線36a及び第2リード線36bが接続されている。第1リード線36aは、一方の組の正極21と電気的に接続されている。第2リード線36bは、他方の組の負極22と電気的に接続されている。第1リード線36a及び第2リード線36bは、キャパシタ6に接続されている(図3参照)。
【0034】
電池2は、流入口34から保有水又は浸出水が流入するように配置されている。例えば、保有水を流入させる場合には、電池2(少なくともケース3及び保水部材23)は、埋立用材90中に埋設される。これにより、埋立用材90の保有水が流入口34からケース3内に流入する。浸出水を流入させる場合には、電池2(少なくともケース3及び保水部材23)は、集排水管94内又は浸出水調整池95内に配置される。これにより、集排水管94内又は浸出水調整池95内の浸出水が流入口34からケース3内に流入する。
【0035】
ケース3は、保有水又は浸出水を貯留する。さらに、保水部材23も保有水又は浸出水を貯留する。ケース3に貯留された保有水又は浸出水は、保水部材23に吸収されている。正極21及び負極22は、ケース3及び保水部材23に含まれる保有水又は浸出水に接触している(即ち、浸漬される)。尚、ケース3には、流入口34及び流出口35が形成されているので、ケース3内の保有水又は浸出水は、自然に適宜入れ替えられる。
【0036】
埋立用材90は、焼却残渣を含んでいる。焼却残渣中の可溶性塩化物等は、雨水と接触することによって溶解する。そのため、保有水及び浸出水は、いわゆる電解液であり、多くの電解質を含む。つまり、ケース3内の正極21及び負極22は、電解液に浸漬されている。そのため、正極21と負極22との間には起電力が発生する。発生した電力は、第1リード線36a及び第2リード線36bを介してキャパシタ6に供給される。キャパシタ6は、電池2から供給される電力を蓄電していく。
【0037】
このように構成された複数の監視装置10は、検出対象となる情報に応じて、埋立地9の様々な場所に設置される。埋立地9においては至る所に保有水及び浸出水が存在する。監視装置10が埋立用材90の中又は近傍に配置される場合には、電池2は埋立用材90の中に設置される。少なくともケース3及び保水部材23は、埋立用材90中に埋設される。監視装置10が集排水管94又は浸出水調整池95の中又は近傍に配置される場合には、電池2は集排水管94又は浸出水調整池95の中に設置される。少なくともケース3及び保水部材23は、集排水管94内又は浸出水調整池95内に設置されている。より具体的には、ケース3及び保水部材23は、集排水管94内の浸出水又は浸出水調整池95の浸出水に浸漬されている。そのため、電池2は、電解液としての保有水又は浸出水の確保が容易になる。各監視装置10の電池2は、その場で保有水又は浸出水を確保して電力を生成する。生成された電力は、キャパシタ6に蓄積される。
【0038】
監視システム100の動作としては、センサ1が埋立地9に関連する情報を周期的に検出し、検出情報が通信モジュール5を介して管理装置7へ送信される。検出情報を取得し、送信する周期は、監視装置10ごとに異なっていてもよいし、共通であってもよい。管理装置7は、複数の監視装置10からの検出情報を収集し、保存していく。例えば、ユーザは、必要に応じて、端末72を介して検出情報を管理装置7から読み出す。管理装置7は、端末72からの要求に応じて検出信号を端末72へ送信する。ユーザは、端末72に読み出された検出情報に基づいて埋立地9の状況を調べることができる。
【0039】
監視装置10のセンサ1、制御部4及び通信モジュール5の作動に必要な電力は、電池2によって生成される。電池2は、埋立地9の様々な場所において保有水又は浸出水を活用して、その場で電力を生成する。そのため、監視装置10は、検出対象となる情報を取得するために適切な場所に、電源の制約を受けることなく自由に配置することができる。さらに、埋立地9においては保有水及び浸出水は長期的に確保できるので、電池2は、電力を長期的且つ安定的に生成することができる。
【0040】
ここで、電池2は、保有水又は浸出水を貯留するケース3を有している。正極21及び負極22が保有水又は浸出水に浸漬された状態が長く維持される。これにより、電力が安定的に生成される。
【0041】
さらに、ケース3には保水部材23が収容されている。保水部材23も保有水又は浸出水を貯留する機能を有する。ケース3に貯留された保有水又は浸出水は、保水部材23に吸収されている。正極21及び負極22が保有水又は浸出水に浸漬された状態がより長く維持される。また、保水部材23は正極21及び負極22に接触しているので、保有水又は浸出水が正極21及び負極22に接触する時間が長くなる。これにより、電力がさらに安定的に生成される。
【0042】
それに加えて、ケース3は、流入口34及び流出口35が形成され、ケース3内の保有水又は浸出水が適宜入れ替わるように構成されている。ケース3内の保有水又は浸出水の一部は、新たな保有水又は浸出水に入れ替えられるので、電解液が適宜リフレッシュされる。これにより、電池2の発電環境が適宜改善される。さらに、このような構成において保水部材23が設けられているので、保有水又は浸出水を適切に入れ替えつつ、ケース3での保有水又は浸出水の滞留時間を長くすることができる。つまり、電力の安定的な生成と発電環境の改善とを両立させることができる。
【0043】
さらに、センサ1、制御部4及び通信モジュール5は、検出情報の取得及び送信を所定の周期で実行するように、間欠的に動作する。一方、電池2は、電力を常時生成する。そのため、監視装置10は、電池2の電力を蓄えるキャパシタ6を備えている。これにより、センサ1等が動作していない間に電池2によって生成された電力がキャパシタ6に蓄えられ、有効に活用される。それに加えて、センサ1等は、キャパシタ6から給電されることによって、電池2の発電量の変動の影響を受けることなく、安定的な給電を受けることができる。
【0044】
以上のように、監視装置10は、焼却残渣を含む埋立用材90によって埋め立てられた埋立地9に関連する情報を検出するセンサ1と、センサ1に供給される電力を生成する電池2とを備え、電池2は、埋立用材90の保有水又は埋立用材90からの浸出水に浸漬される正極21及び負極22とを有している。
【0045】
この構成によれば、埋立用材90は焼却残渣を含むため、保有水又は浸出水は電解液として機能する。埋立地9においては、至る所に保有水又は浸出水が存在する。監視装置10は、その設置場所において保有水又は浸出水を活用して電力を生成し、監視装置10に必要な電力を自身で確保することができる。そのため、監視装置10は、電源の制約を受けることなく、検出対象との関係で適切な場所に自由に配置することができる。さらに、埋立地9においては降雨等による雨水の流入によって保有水又は浸出水が継続的に発生する。つまり、電池2は、継続的に発生する保有水又は浸出水を活用して電力を生成する。その結果、電池2によって、監視装置10の電力を長期的に供給することができる。
【0046】
さらに、電池2は、保有水又は浸出水を貯留する保水器(例えば、保水部材23又はケース3)をさらに有し、正極21及び負極22は、保水器に含まれる保有水又は浸出水に浸漬されている。
【0047】
この構成によれば、保水部材23又はケース3によって保有水又は浸出水を貯留することによって、正極21及び負極22が保有水又は浸出水に接触した状態を長期間、維持することができる。その結果、電池2によって電力を安定的に供給することができる。
【0048】
保水部材23又はケース3は、埋立用材90中に埋設されている。
【0049】
この構成によれば、保水部材23又はケース3の周りには埋立用材90が存在するので、保水部材23又はケース3は、埋立用材90の保有水を容易に取り込むことができる。つまり、保水部材23又はケース3は、保有水を容易に確保することができる。
【0050】
また、保水部材23又はケース3は、埋立地9において浸出水を回収する集排水管94内に設置されている。
【0051】
この構成によれば、保水部材23又はケース3が集排水管94内の浸出水を貯留することによって、実質的に正極21及び負極22が集排水管94内の浸出水に浸漬されることになる。集排水管94には浸出水が流通している場合が多い。そのため、保水部材23又はケース3は、浸出水を容易に取り込んで貯留することができる。その結果、正極21及び負極22が浸出水に浸漬された状態を維持することが容易になり、電池2によって電力を安定的に供給することができる。
【0052】
あるいは、保水部材23又はケース3は、埋立地9から回収された浸出水を貯留する浸出水調整池95(貯留部)内に設置されている。
【0053】
この構成によれば、保水部材23又はケース3が浸出水調整池95内の浸出水を貯留することによって、実質的に正極21及び負極22が浸出水調整池95内の浸出水に浸漬されることになる。浸出水調整池95には浸出水が貯留されている場合が多い。そのため、保水部材23又はケース3は、浸出水を容易に取り込んで貯留することができる。その結果、正極21及び負極22が浸出水に浸漬された状態を維持することが容易になり、電池2によって電力を安定的に供給することができる。
【0054】
また、監視装置10の保水器は、正極21及び負極22を収容し且つ保有水又は浸出水を貯留するケース3を含む。
【0055】
この構成によれば、ケース3が保有水又は浸出水を貯留するので、正極21及び負極22が浸出水に浸漬された状態を維持することが容易になる。
【0056】
さらに、ケース3は、保有水又は浸出水が流入する流入口34と、保有水又は浸出水が流出する流出口35とが形成されている。
【0057】
この構成によれば、流入口34を介して保有水又は浸出水がケース3内に流入し、流出口35を介して保有水又は浸出水がケース3から流出する。これにより、ケース3内の保有水又は浸出水が適宜入れ替えられる。
【0058】
さらにまた、流入口34を介した保有水又は浸出水の流入流量は、流出口35を介した保有水又は浸出水の流出流量よりも大きい。
【0059】
この構成によれば、ケース3への保有水又は浸出水の流入流量の方がケース3からの保有水又は浸出水の流出流量よりも大きいので、ケース3では、保有水又は浸出水が不足するよりも過多となる傾向にある。その結果、正極21及び負極22が浸出水に浸漬された状態を維持することが容易になり、電池2によって電力を安定的に供給することができる。
【0060】
また、監視装置10の保水器は、正極21と負極22とに挟持され且つ保有水又は浸出水を吸収する保水部材23を含む。
【0061】
この構成によれば、保水部材23は、保有水又は浸出水を保持すると共に、保有水又は浸出水を正極21及び負極22に接触させる。その結果、正極21及び負極22が浸出水に浸漬された状態を維持することが容易になり、電池2によって電力を安定的に供給することができる。
【0062】
さらに、監視装置10は、電池2からの電力を蓄えるキャパシタ6をさらに備え、記センサ1は、キャパシタ6を介して給電される。
【0063】
この構成によれば、電池2からの電力がキャパシタ6に一旦、蓄電される。センサ1は、キャパシタ6から給電される。電池2からの電力は、保有水又は浸出水(即ち、電解液)の量及び状態に応じて変動し得る。電池2からの電力をキャパシタ6に一旦、蓄えて、キャパシタ6からセンサ1に給電することによって、センサ1に安定した電力を供給することができる。それに加え、センサ1が動作していない間に電池2によって生成された電力もキャパシタ6に蓄えられる。そのため、電池2からの電力を無駄にすることなく、有効に活用することができる。
【0064】
《その他の実施形態》
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、前記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、前記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。また、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、前記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0065】
例えば、監視装置10は、監視システム100に適用されているが、これに限定されない。監視装置10は、単体で使用されてもよい。また、前述の埋立地9の構造は一例に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0066】
監視装置10は、センサ1による検出情報を自発的に送信しなくてもよい。その場合、監視装置10は、センサ1による検出情報を保存しておいてもよい。そして、監視装置10は、外部からの要求に応じて、保存された検出情報を出力してもよい。
【0067】
監視装置10の通信モジュール5は、無線通信に限定されず、有線通信であってもよい。通信モジュール5が有線通信の場合には、通信モジュール5の電力供給も電池2からではなく、外部から有線を介して行われてもよい。
【0068】
センサ1及び電池2はそれぞれ、本体11から物理的に分離していなくてもよい。つまり、センサ1及び電池2は、本体11と一体的に形成されていてもよい。
【0069】
電池2は、正極21及び負極22の組数は、2組に限定されず、1組又は3組以上であってもよい。または、監視装置10は、直列に接続された2以上の電池2を有していてもよい。
【0070】
電池2は、ケース3を有していなくてもよい。その場合、正極21及び負極22が埋立用材90に直接埋設される、又は、正極21及び負極22が集排水管94内若しくは浸出水調整池95内の浸出水に直接浸漬される。その場合、正極21と負極22との間に保水部材23が設けられていることが好ましい。
【0071】
あるいは、電池2は、ケース3を有し、保水部材23を有していなくてもよい。正極21及び負極22は、ケース3に貯留された保有水又は浸出水に浸漬される。その場合、流出口35を小さくして、ケース3から流出する保有水又は浸出水を低減することが好ましい。これにより、保水部材23が無くても、ケース3での保有水又は浸出水の貯留時間を長くすることができる。
【0072】
電極21及び負極22の材料も、前述の材料に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
10 監視装置
1 センサ
2 電池
21 正極
22 負極
23 保水部材(保水器)
3 ケース(保水器)
34 流入口
35 流出口
9 埋立地
90 埋立用材
94 集排水管
95 浸出水調整池(貯留部)

図1
図2
図3
図4
図5
図6