(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033545
(43)【公開日】2023-03-10
(54)【発明の名称】可変光透過デバイスのための駆動方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/34 20060101AFI20230303BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20230303BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20230303BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20230303BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20230303BHJP
【FI】
G09G3/34 C
G02F1/167
G02F1/1685
G02F1/15 502
G09G3/20 611A
G09G3/20 641C
G09G3/20 641J
G09G3/20 641K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023005764
(22)【出願日】2023-01-18
(62)【分割の表示】P 2021563012の分割
【原出願日】2020-04-30
(31)【優先権主張番号】62/844,205
(32)【優先日】2019-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】コスタ ラダバック
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジェイ. パオリニ ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ジェイ. テルファー
(72)【発明者】
【氏名】リー イェゼック
(72)【発明者】
【氏名】スニル クリシュナ サイニス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター カルステン ベイリー ウィドガー
(57)【要約】
【課題】可変光透過デバイスを動作させる方法を提供すること。
【解決手段】可変光透過デバイスは、荷電粒子を備える電気泳動媒体の少なくとも1つの層を有する。搬送波形と変調波形との重ね合わせによって形成される波形を有する電場の印加は、閉鎖状態から開放状態へのデバイスの切替を可能にし、開放状態は、閉鎖状態より高い光透過を有する。結果として、デバイスは、ユーザによる所望の光学状態の選択を可能にする。一側面では、本発明の種々の実施形態は、デバイスを最終光学状態に駆動するためにデバイスの初期光学状態において印加される波形を使用して、可変光透過デバイスを動作させる方法を提供し、デバイスは、最終光学状態では、初期光学状態より高いパーセントの透過率を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2019年5月7日に出願された米国仮出願第62/844,205号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、可変光透過デバイスを動作させる方法に関する。具体的には、本発明は、電場を使用して、光学状態間で粒子ベースの電気光学デバイスを切り替えるための駆動方法に関する。可変光透過デバイスは、光を変調することができ、鏡、窓、および同様のアイテム上で使用されることができる。それらは、それらを通過する光または他の電磁放射線の量を変調することができる。例えば、下記に述べられるように、本発明は、建物内の温度を制御するために赤外線放射線を変調することができる窓を提供するように適用され得る。具体的には、本発明は、粒子ベースの電気泳動媒体を使用して光変調を制御する可変光透過デバイスに関する。本発明の種々の実施形態に組み込まれ得る電気泳動媒体の例は、例えば、米国特許第7,116,466号および第7,327,511号、米国特許出願公開第2014/0055841号、第2017/0351155号、US第2011/0199671号、および第62/784,897号の番号を有する米国特許出願(2019年12月26日出願)に説明される電気泳動媒体を含み、その内容は、参照することによってその全体として本明細書に援用される。
【0003】
複数の荷電粒子が電場の影響下で懸濁流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイは、ここ数年にわたって集中的研究および開発の対象となっている。そのようなディスプレイは、液晶ディスプレイと比較して、良好な明るさおよびコントラスト、広視認角、状態双安定性、ならびに低電力消費の属性を有することができる。
【0004】
用語「双安定性」および「双安定」は、本明細書で、当技術分野におけるそれらの従来の意味で使用され、少なくとも1つの光学性質が異なる第1および第2の表示状態を有する表示要素を備えるディスプレイであって、その第1または第2の表示状態のいずれかをとるように、有限持続時間のアドレス指定パルスを用いて、任意の所与の要素が駆動されてから、アドレス指定パルスが終了した後に、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレス指定パルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば少なくとも4倍、その状態が持続するようなディスプレイを指す。公開された米国特許出願第2002/0180687号では、グレースケールが可能ないくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極限黒色状態および白色状態においてだけではなく、それらの中間グレー状態においても安定し、同じことが、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切には、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性ディスプレイおよび多安定性ディスプレイの両方を網羅するために使用され得る。
【0005】
上記に記載のように、電気泳動媒体は、懸濁流体の存在を要求する。殆どの従来技術の電気泳動媒体では、この懸濁流体は、液体であるが、電気泳動媒体は、ガス状懸濁流体を使用して生産されることができる。そのようなガスベースの電気泳動媒体は、媒体がそのような沈降を可能にする向きで、例えば、媒体が垂直面に配置される標識において使用されるとき、粒子沈降に起因する液体ベースの電気泳動媒体と同じタイプの問題を被りやすいと考えられる。実際に、液体のものと比較してガス状懸濁流体のより低い粘度は、電気泳動粒子のより迅速な沈降を可能にするので、粒子沈降は、液体ベースのものよりもガスベースの電気泳動媒体においてより深刻な問題となると考えられる。
【0006】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California, LLC、ならびに関連する企業に譲渡された、またはそれらの名義の多数の特許および出願が、カプセル型およびマイクロセル電気泳動ならびに他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明している。カプセル型電気泳動媒体は、多数の小型カプセルを備え、その各々自体は、電気泳動により移動可能な粒子を流体媒体中に含有する内相と、内相を囲繞するカプセル壁とを備える。典型的に、カプセルは、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成するために、それ自体がポリマー結合剤内に保持される。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、典型的にはポリマーフィルムである搬送媒体内に形成された複数の空洞内に保有される。これらの特許および出願に説明される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加物(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、結合剤、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールするための方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含有するフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着剤層、および他の補助層、ならびにディスプレイにおいて使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h)ディスプレイを駆動するための方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i)ディスプレイの用途(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)電気泳動ではないディスプレイ(例えば、米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号において説明される)、ならびにディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の用途(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)
【0007】
前述の特許および出願の多くは、カプセル型電気泳動媒体内の個別のマイクロカプセルを囲繞する壁が、連続相と置換され、したがって、いわゆるポリマー分散型電気泳動ディスプレイを生産し得、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の個別の液滴と、ポリマー材料の連続相とを備え、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の個別の液滴が、いかなる個別のカプセル膜も各々の個々の液滴と関連付けられない場合であっても、カプセルまたはマイクロカプセルと見なされ得ることを認識する。例えば、前述の第2002/0131147号を参照されたい。故に、本願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル型電気泳動媒体の亜種と見なされる。
【0008】
電気泳動ディスプレイの関連タイプは、いわゆる「マイクロセル電気泳動ディスプレイ」である。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および懸濁流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、典型的にポリマーフィルムである搬送媒体内に形成される複数の空洞内に保有される。例えば、両方ともSipix Imaging, Inc.に譲渡された国際出願公開第WO02/01281号および公開された米国出願第2002/0075556号を参照されたい。
【0009】
(例えば、多くの電気泳動媒体では、粒子は、ディスプレイを通した可視光の透過を実質的に遮断するので)電気泳動媒体は、多くの場合不透明であり、反射モードで動作するが、多くの電気泳動ディスプレイは、いわゆる「シャッタモード」で動作するように作製されることができ、シャッタモードでは、1つのディスプレイ状態は実質的に不透明であり、1つは光透過性である。例えば、米国特許第6,130,774号および第6,172,798号、ならびに米国特許第5,872,552号、第6,144,361号、第6,271,823号、第6,225,971号、および第6,184,856号を参照されたい。電気泳動ディスプレイと同様であるが電場強度における変動に依拠する誘電泳動ディスプレイは、同様のモードで動作することができる(米国特許第4,418,346号参照)。他のタイプの電気光学ディスプレイもまた、シャッタモードで動作することが可能であり得る。
【0010】
カプセル型電気泳動ディスプレイまたはマイクロセル電気泳動ディスプレイは、典型的に、従来の電気泳動デバイスの集塊化および沈降故障モードを被らず、ディスプレイを様々な可撓性基板および剛性基板上に印刷またはコーティングする能力等のさらなる利点を提供する。単語「印刷」の使用は、限定ではないが、前計量コーティング(パッチダイコーティング、スロットまたは押出成形コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等)、ロールコーティング(ナイフオーバーロールコーティング、順方向コーティングおよび逆方向ロールコーティング等)、グラビア印刷コーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積、および他の同様の技法を含む、あらゆる形態の印刷およびコーティングを含むように意図される。したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であることができる。さらに、ディスプレイ媒体は、(種々の方法を使用して)印刷されることができるので、ディスプレイ自体が、安価に作製されることができる。
【0011】
電気泳動媒体のための1つの潜在的に重要な市場は、可変光透過を伴う窓である。建物および車両のエネルギー性能が、ますます重要になるにつれて、電気泳動媒体は、窓上のコーティングとして使用され、窓を通して透過される入射放射線の割合が、電気泳動媒体の光学状態を変動させることによって電子的に制御されることを可能にし得る。建物におけるそのような「可変透過率」(「VT」)技術の効果的実装は、(1)高い外気温の間の不要な加熱効果の低減(したがって、冷却のために必要とされるエネルギーの量、空調設備のサイズ、およびピーク電気需要を低減させる)、(2)天然日光の増加された使用(したがって、照明のために使用されるエネルギーおよびピーク電気需要を低減させる)、ならびに、(3)熱的快適性および視覚的快適性の両方を増加させることによって、増加された居住者の快適性を提供することが予期される。さらなる利益は、光沢表面と封入された体積の比率が典型的な建物におけるものを有意に上回る自動車において生じることが予期されるであろう。特に、自動車におけるVT技術の効果的実装は、前述の利益だけではなく、(1)増加された運転安全性、(2)低減させられたグレア、(3)(電気光学コーティングをミラー上に使用することによる)強化されたミラー性能、および(4)ヘッドアップディスプレイを使用する増加された能力も提供することが予期される。VT技術の他の潜在的用途は、電子デバイスにおけるプライバシガラスおよびグレア保護を含む。
【0012】
本発明は、粒子ベースの電気泳動媒体を有する可変光透過デバイスを動作させる方法に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第7,116,466号明細書
【特許文献2】米国特許第7,327,511号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一側面では、本発明の種々の実施形態は、デバイスを最終光学状態に駆動するためにデバイスの初期光学状態において印加される波形を使用して、可変光透過デバイスを動作させる方法を提供し、デバイスは、最終光学状態では、初期光学状態より高いパーセントの透過率を有する。可変光透過デバイスは、荷電粒子を備える少なくとも1つの電気泳動媒体層を備え、電気泳動媒体層は、2つの電極間に配置される。方法は、荷電粒子の移動を引き起こす電場を、電気泳動媒体層を横断して印加し、初期光学状態から最終光学状態への可変光透過デバイスの切替をもたらすステップであって、最終光学状態は、初期光学状態より高いパーセントの光透過率を有する、ステップを含む。印加される電場の波形は、搬送波形と変調波形との重ね合わせである。搬送波形は、振幅V1および周波数ω1を有し、変調波形は、初期振幅V2および周波数ω2を有し、V1は、約30V~約180Vであり、ω1は、約50Hz~約1000Hzであり、V2は、約3V~約60Vであり、ω2は、約0.1Hz~約10Hzである。V1は、V2を上回り、ω1は、ω2を上回る。変調波形の振幅は、可変であり、可変光透過デバイスへの波形の印加の開始時の初期振幅値から可変光透過デバイスへの波形の印加の完了時の最終振幅値に低減させられる。変調波形の最終振幅値は、0Vであり得る。変調波形の最終振幅値はまた、ゼロVより高く、約0.1V~約3Vであり得る。
【0015】
別の側面では、可変光透過デバイスへの印加される電場の波形タイプは、方形、正弦、三角形、および鋸歯タイプから成る群から選択される。
【0016】
別の側面では、波形の印加の総駆動時間は、約1秒~約100秒である。初期振幅値から最終振幅値までの変調波形の振幅値の低減は、2以上の連続的段階、5以上の段階、10以上の段階、100以上の段階、および200以上の段階で実施され得る。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
可変光透過デバイスを動作させる方法であって、
荷電粒子を備える少なくとも1つの電気泳動媒体層を備える可変光透過デバイスを提供することであって、前記電気泳動媒体層は、2つの電極間に配置される、ことと、
前記荷電粒子の移動を引き起こす電場を前記電気泳動媒体層を横断して印加し、初期光学状態から最終光学状態への前記可変光透過デバイスの切替をもたらすことであって、前記最終光学状態は、前記初期光学状態より高いパーセントの光透過を有し、前記印加される電場の波形は、搬送波形と変調波形との重ね合わせであり、前記搬送波形は、振幅V
1
および周波数ω
1
を有し、前記変調波形は、初期振幅V
2
および周波数ω
2
を有し、V
1
は、約30V~約180Vであり、ω
1
は、約50Hz~約1000Hzであり、V
2
は、約3V~約60Vであり、ω
2
は、約0.1Hz~約10Hzであり、V
1
は、V
2
を上回り、ω
1
は、ω
2
を上回り、前記変調波形の振幅は、可変であり、前記可変光透過デバイスへの前記波形の印加の開始時の初期振幅値から前記可変光透過デバイスへの前記波形の印加の完了時の最終振幅値に低減させられる、ことと
を含む、方法。
(項目2)
前記変調波形の前記最終振幅値は、ゼロである、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目3)
前記変調波形の前記最終振幅値は、0.1V~3Vである、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目4)
前記可変光透過デバイスへの前記印加される電場の波形タイプは、方形タイプ、正弦タイプ、三角形タイプ、および鋸歯タイプから成る群から選択される、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目5)
前記可変光透過デバイスへの前記印加される電場の波形タイプは、方程式1によって表され、前記方程式1は、
【数5】
であり、t
total
は、前記可変光透過デバイスを切り替えるための駆動波形の印加の総駆動時間であり、tは、前記波形の初期印加からの経過時間である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目6)
前記可変光透過デバイスへの前記印加される電場の波形タイプは、方程式2によって表され、前記方程式2は、
【数6】
であり、t
total
は、前記可変光透過デバイスを切り替えるための駆動波形の印加の総駆動時間であり、tは、前記波形の初期印加からの経過時間である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目7)
前記可変光透過デバイスへの前記印加される電場の波形タイプは、方程式3によって表され、前記方程式3は、
【数7】
であり、t
total
は、前記可変光透過デバイスを切り替えるための駆動波形の印加の総駆動時間であり、tは、前記波形の初期印加からの経過時間である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目8)
前記可変光透過デバイスへの前記印加される電場の波形タイプは、方程式4によって表され、前記方程式4は、
【数8】
であり、t
total
は、前記可変光透過デバイスを切り替えるための駆動波形の印加の総駆動時間であり、tは、前記波形の初期印加からの経過時間である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目9)
前記変調波形は、約80V~約140Vの初期振幅V
1
および約70Hz~約110Hzの周波数ω
1
を有する、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目10)
前記変調波形は、約10V~約30Vの初期振幅V
2
および約0.5Hz~約5Hzの周波数ω
2
を有する、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目11)
前記可変光透過デバイスの電気泳動媒体層の荷電粒子は、二酸化チタンを備える、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目12)
前記波形の印加の総駆動時間は、約1秒~約100秒である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目13)
前記可変光透過デバイスへの前記波形の印加の開始から前記波形の印加の完了までの総駆動時間は、約5秒~約90秒である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目14)
前記初期振幅値から前記最終振幅値までの前記変調波形の振幅値の低減は、2以上の連続的段階で実施される、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目15)
前記初期振幅値から前記最終振幅値までの前記変調波形の振幅値の低減は、5以上の連続的段階で実施される、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目16)
前記初期振幅値から前記最終振幅値までの前記変調波形の振幅値の低減は、10以上の連続的段階で実施される、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目17)
前記初期振幅値から前記最終振幅値までの前記変調波形の振幅値の低減は、100以上の連続的段階で実施される、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目18)
前記可変光透過デバイスの前記最終光学状態の%総透過率は、約30%~約95%である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目19)
前記可変光透過デバイスの前記最終光学状態の%総透過率は、約40%~約90%である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
(項目20)
前記可変光透過デバイスの前記最終光学状態の%ヘイズ率は、約5%~約20%である、項目1に記載の可変光透過デバイスを動作させる方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、(30秒にわたって21Vから0Vまでの)5段階における変調波形の振幅の経時的な線形段階的低減のグラフの例である。
【0018】
【
図2A】
図2Aは、初期光学状態(閉鎖状態)における可変光透過デバイスの概略図である。
【0019】
【
図2B】
図2Bは、最終光学状態(開放状態)における可変光透過デバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、用語「最終光学状態」、「開放状態」、および光透過性状態は、同義的に使用され、フィルムがより高い光透過率を有する状態を表す。用語「初期光学状態」、「閉鎖状態」、非光透過性は、同義的に使用され、フィルムが開放状態を下回る光透過率を有する状態を表す。
【0021】
便宜上、用語「光」が、通常、本明細書で使用されるが、この用語は、広義には、非可視波長における電磁放射線も含むと理解されたい。
【0022】
本発明の可変光透過デバイスでは、透明状態(最終光学状態または開放状態)は、電気泳動粒子の場依存集約によってもたらされ、そのような場依存集約は、(液滴がポリマー分散媒体内、またはカプセルもしくマイクロセル内に存在するかどうかにかかわらず)液滴の側方壁への電気泳動粒子の移動、もしくは「連鎖」、すなわち、液滴内の電気泳動粒子の房の形成、または、可能性として、他の方法での形態をとり得る。達成される集約の正確なタイプにかかわらず、電気泳動粒子のそのような場依存集約は、視認表面(視認表面を通して、観察者が電気泳動媒体を視認する)に対して垂直に見た方向に見られるように、粒子に各液滴の視認可能面積のうちの少ない割合のみを占有させる。したがって、光透過性状態(または最終光学状態または開放状態)では、各液滴の視認可能面積の主要な部分は、電気泳動粒子がなく、光は、それを通過することができる。電気泳動粒子が各液滴の視認領域を横断して比較的均一に分散される閉鎖状態(または初期光学状態)(
図2A参照)から、粒子が電場の印加を介して液滴の側方壁に集約される開放状態または最終光学状態(
図2B参照)への電気泳動粒子の移動の場合、誘起電荷電気浸透(ICEO)の現象が関与する可能性が高い。この現象は、当技術分野において説明されている(SquiresおよびBazantによる論文「Induced-charge electro-osmosis」(J.Fluid Mech.2004,509,217-252)参照)。
【0023】
閉鎖状態では、電気泳動デバイスの液滴の視認領域を横断した粒子の比較的均一な分布(
図2A)が、デバイスを通した光の透過を妨害する。対照的に、電気泳動デバイスの液滴の側方壁の近傍への電気泳動粒子の集約(
図2B)は、より多くの光がデバイスを通過することを可能にする。
【0024】
ICEOは、分極可能粒子が電解質の存在下で電場を被るときに生じる二次現象である。誘起粒子運動は、印加される電圧の二乗に依存するが、印加される場の極性に依存せず、したがって、AC場によって駆動されることができる。この場合、粒子速度は、AC周波数に逆依存する。粒子のICEO媒介編成、故に、開放状態の形成は、電気泳動媒体への比較的高い周波数AC場(典型的には、少なくとも50Hz)の印加によって、および高電圧(典型的には、少なくとも約30V)の使用によって助長される。逆に言えば、閉鎖状態の形成につながる懸濁流体の中への電気泳動粒子の分散は、電気泳動媒体への低周波数場(典型的には、50Hz未満)の印加によって助長される。この状態は、通常電気泳動粒子切替によって、またはこれらの低周波数でのICEO誘起流動によって生み出され得る。通常電気泳動粒子切替は、高電圧を要求しない。典型的には、5~20Vの範囲内の電圧が、適正である。
【0025】
換言すると、デバイスの開放状態に有利に働くために、高周波数高電圧波形を使用して、動作電圧および波形の両方を変動させることが有利である。対照的に、低周波数および低電圧の波形は、閉鎖状態に有利に働く。これらの波形の変化は、パターン化された電極か、または米国特許第7,327,511号に説明されるもののようなドープされた材料、金属材料、もしくは半導体材料等の種々の伝導性粒子材料のいずれかと結合され、両方向への応答を最適化することができる。
【0026】
カプセルを備える可変光透過デバイスに関する付加的懸念は、粒塊である。本願では、「粒塊」は、着色結合剤の集塊化またはカプセルの凝集/層、カプセル充塞変動性、空隙、厚さ変動、およびコーティング瑕疵(ピン孔を含む)等のいくつかの要因によって引き起こされる視覚的非均一性を指す。これらの非均一性は、ユーザが開放状態におけるデバイスを通して見るときの可視性を低減させる。用語「粒塊」は、フィルム写真を起源とし、初期の銀フィルムは、現像された写真が「粒塊状」に見える銀の凝集を有することが知られている。
【0027】
マイクロカプセルを備える可変光透過デバイスは、コーティング重量および多層化の程度における差異を有する微視的領域から成る。これらのデバイスがその最も暗い状態に駆動される場合、コーティング重量および充塞における差異は、粒塊としてユーザに視認され得る。カプセル化された電気泳動媒体内の粒塊の量を低減させるための1つの方法は、本発明の種々の実施形態に従う駆動方法を適用することによるものである。
【0028】
本発明の一実施形態によると、粒塊は、初期光学状態を有するデバイスにフィルムが最終光学状態に切り替わるまで波形を印加することを含む駆動方法を利用することによって、カプセル化された電気泳動媒体を含有する可変光透過デバイスに関して著しく改良されることができ、初期状態は、最終状態を下回るパーセントの透過率を有する。
【0029】
上記に述べられるように、電気泳動媒体層は、開放状態および閉鎖状態を表示することが可能であり、光学状態の選択は、電極に印加される電場によって駆動される。最終光学状態を駆動するためにフィルムの初期光学状態にあるデバイス上に印加される電場の波形は、2つのより単純である波形、すなわち、(a)搬送波形および(b)変調波形の重ね合わせであり、変調波形は、可変光透過デバイス上への波形の印加の期間にわたって低減される初期振幅を有する。したがって、変調波形の用語「初期振幅」は、本開示全体を通して、値が可変光透過デバイスへの波形の初期印加時の振幅であることを示すために使用される。初期振幅値のみならず印加される変調波形の全ての振幅値を含み得る、変調波形のより概略的用語「振幅」も、使用される。変調波形の「最終振幅」という用語は、デバイスをその開放状態にするために可変光透過デバイスへの波形の印加が終了される時点における変調波形の振幅を示すために使用される。
【0030】
本明細書では、搬送波形の振幅は、V1によって表され、ボルト(V)単位で表現される。搬送波形の周波数は、ω1によって表され、ヘルツ(Hz)単位で表現される。変調波形の初期振幅は、V2によって表され、ボルト(V)単位で表現される。変調波形の周波数は、ω2によって表され、ヘルツ(Hz)単位で表現される。可変光透過デバイスを切り替えるための駆動波形の印加の総駆動時間は、ttotalによって表され、秒単位で表現される。
【0031】
最終光学状態を駆動するためにデバイスの初期光学状態において印加される波形は、下記に提供される方程式1-4のうちの1つによって表現され得る。これらの方程式は、最大初期振幅値から最終振幅値への線形態様での変調波形の振幅の経時的減少に対応する。本実施形態では、最終振幅値は、可変光透過デバイス上への波形印加が終了され、デバイスがその開放状態にあるときに、到達される。方程式1は、方形波形に対応し、方程式2は、正弦波波形に対応し、方程式3は、三角形波形に対応し、方程式4は、鋸歯波形に対応する。他のタイプの波形もまた、印加されることができる。変調波形の振幅の経時的低減を説明するために本明細書で使用されるような用語「線形」は、段階的(デジタル化された)態様での任意の経時的低減を含む。例証として、
図1は、5段階での経時的な線形段階的振幅低減の例を提供する。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【0032】
方程式1-4は、波形が、方程式の第1の因数によって表される搬送AC波形と、方程式の第2の因数によって表される変調器AC波形の重ね合わせの結果であることを示す。方程式中の項tは、波形の初期印加からの経過時間であって、秒(s)単位で表現される。式|sin(ω1t)|および|sin(ω2t)|は、正弦値の絶対値に対応する。Sinは、記号に続く数の正弦値である。床関数は、入力として実数をとり、出力としてその実数未満またはそれに等しい最大整数を与える関数である。
【0033】
一実施形態では、デバイスを最終光学状態に駆動するためにデバイスの初期光学状態において印加される電場の波形は、搬送波形および変調波形の重ね合わせであり、変調波形は、初期振幅(デバイスへの重ね合わせられた波形の印加時)から最終振幅(デバイスへの重ね合わせられた波形の印加の終了時)に経時的に低減させられ、最終振幅は、ゼロボルトである。別の実施形態では、最終振幅は、ゼロボルトを上回る。変調波形の最終振幅値は、約0.01V~約4Vまたは約0.1V~約3Vであることができる。
【0034】
一実施形態では、最終光学状態を駆動するためにデバイスの初期光学状態において印加される電場の波形は、搬送波形と変調波形との重ね合わせであり、変調波形は、非線形態様で初期振幅(デバイスへの重ね合わせられた波形の印加時)から最終振幅(デバイスへの重ね合わせられた波形の印加の終了時)に経時的に低減させられる。変調波形の振幅の経時的非線形低減は、指数関数、冪乗則、または任意の他の式等の任意の非線形数学的方程式(振幅対時間)によって説明されるように選択されることができる。線形態様と同様に、低減は、段階的態様によって実施されることができ、変調波形の最終振幅(デバイスへの振幅の印加の完了時)は、ゼロボルト、またはゼロボルトを上回る値であることができる。変調波形の最終振幅値は、約0.01V~約4Vまたは約0.1V~約3Vであることができる。
【0035】
波形の搬送部分の振幅V1は、約30V~約180Vの値であり、搬送波形の周波数ω1は、約50Hz~約1,000Hzの値を有する。波形の変調部分の初期振幅V2は、約3V~約60Vの値を有し、変調波形の周波数ω2は、約0.1Hz~約10Hzの値を有する。波形の搬送部分の振幅V1は、約50V~約150V、または約90V~約140Vの値を有し得、搬送波形の周波数ω1は、約60Hz~約500Hzまたは70Hz~120Hzの値を有し得る。変調波形の初期振幅V2は、約5V~約50Vまたは約10V~約30Vから選択されることができる。変調波形の周波数ω2は、約0.5Hz~約5Hzまたは約0.8Hz~約2Hzから選択されることができる。波形の搬送部分の振幅V1は、波形の変調部分の初期振幅V2より高い。搬送波形の周波数ω1は、変調波形の周波数ω2より高い。初期光学状態から最終光学状態に切り替えるために波形が可変光透過デバイスに印加される総駆動時間(ttotal)は、約1秒~約100秒、約5秒~約90秒、約10秒~約60秒、または約20秒~約40秒であり得る。
【0036】
概して、ここで述べられた周波数は、典型的には、そのような開放状態への切替のために使用されるものより低い値を有する。これは、デバイスのためのより少ないエネルギー消費に寄与し、これは、低減させられた動作コストおよび/またはより高い自律性をもたらす。加えて、搬送波形と変調波形との重ね合わせは、他の典型的に使用される波形と比較して、切替のために要求されるより短い時間、および開放状態において観察されるより低いヘイズのより高い透過から利点を享受する。
【0037】
上記に述べられるように、デバイスの最終光学状態を駆動するために可変光透過デバイスの初期光学状態において印加される波形は、2つの波形、すなわち、搬送波形と変調波形との重ね合わせである。搬送波形V1の振幅および搬送波形ω1の周波数は、それぞれ、対応する初期振幅および初期変調波形の周波数V2およびω2より大きい。搬送方形波形部分の印加の目的は、顔料粒子を遮蔽する、すなわち、それらを電気泳動流体のカプセルまたは液滴の赤道空間内に集約することである。変調波形部分は、搬送波形の振幅および周波数を下回る振幅および周波数を有する。したがって、理論によって拘束されることを所望するわけではないが、変調波形に加えた搬送波形の利用は、粒子のICEO運動を促進し、それらを電気泳動流体のカプセルまたは液滴の赤道空間内に集約することによって、遮蔽を改良し得ると考えられる。本発明の種々の実施形態による方法は、荷電可能粒子が常駐するカプセルまたは液滴の液体の再混合に寄与し、カプセルまたは液体液滴の中心に捕獲されていた任意のそのような粒子が赤道位置に移動することを可能にし得る。空洞の中心の中心内に捕獲されたそのような粒子は、開放状態において、光透過を低減させ、フィルムのヘイズを増加させ得る。したがって、変調波形を含む波形の印加は、より高い透過およびより低いヘイズを有する開放状態に寄与する。
【0038】
変調波形の振幅は、デバイスの初期光学状態における波形の印加時の初期振幅値V2から、波形の印加が完了された時点の変調波形のより小さい最終振幅値に低減させられる。変調波形の振幅の低減は、時間に伴って線形であるように選択されることができるか、または時間に伴って指数関数的であることができるか、または時間の関数として任意の他の数学的方程式を介して表現されることができる。概して、変調波形の振幅のこの低減は、2を上回る、または5を上回る、または10を上回る、または50を上回る、または100を上回る、または200を上回る段階で実施されることができる。可変光透過デバイスに印加される波形は、方形波形、正弦波形、三角波形、鋸歯波形であることができ、または任意の他の波形タイプであることができる。
【0039】
多数の変更および修正が、本発明の範囲から逸脱することなく、上記に説明される本発明の具体的実施形態において行われ得ることが当業者に明白となるであろう。故に、前述の説明の全体は、限定的意味ではなく、例証的意味で解釈されるものである。前述の公開された特許、公報、および係属中の出願は全て、参照することによってその全体として本明細書に援用される。
【実施例0040】
例が、ここで与えられるが、本発明の種々の実施形態に従って作製および評価される可変光透過デバイスの詳細を示すためだけの例証にすぎない。
【0041】
調製-可変光透過デバイス
【0042】
非水性内相が、ポリイソブチレンスクシンイミド(Chevron製OLOA(R)11000)、1-リモネン、Cargille(R) 5040浸漬流体、Mogul Lカーボンブラック(Cabot Corp.製)、ポリスチレン、および2-デカン酸ヘキシルを組み合わせることによって調製された。そのように調製された内相は、次いで、混合物をブタゼラチン/アカシアの水溶液に添加後、続いて、5重量%Kolliphor P188を伴うEmperor 2000カーボンブラックの添加によって、カプセル化された。
加熱、混合、およびpH調節後、結果として生じるカプセルは、冷却され、次いで、30~50μmの平均直径を有する20~60μm直径のサイズ分布を有するカプセルの混合物を生成するために分類された。
【0043】
カプセルスラリーが、遠心分離され、次いで、1重量部結合剤対7重量部カプセルの比率で魚ゼラチン(Norland HiPure液体ゼラチン)の水性結合剤と混合された。着色剤(5重量%Kolliphor P188(Sigma-Aldrich 15759)を有する10重量%Emperor 2000カーボンブラック)の溶液が、水中で調製され、次いで、1重量部着色剤対49重量部結合剤の比率で水性結合剤に添加された。結合剤およびカプセル化された内相の結果として生じる混合物は、125μm厚のインジウムスズ酸化物でコーティングされたポリエステルフィルム上にバーコーティングされた。コーティングされたフィルムは、乾燥させられ、実質的に単一層のカプセルを含有する約23μm厚の電気泳動媒体を生み出した。
【0044】
コーティングされたフィルムのカプセル-コーティングされた表面は、次いで、ウレタンアクリレートベースの接着剤でオーバーコーティングされた。接着性層が添加されると、125um厚のインジウムスズ酸化物でコーティングされたポリエステルフィルムのスクリーン印刷シートが、付与された。結果として生じるアセンブリは、次いで、CSunUVランプからのUV光への暴露によって硬化させられた。上記の技法を使用して、窓ピクセル(すなわち、上部および底部光透過性電極)が、構築された。
【0045】
試験-可変光透過デバイス
上記に説明されるように構築されたデバイスは、デバイスを閉鎖状態から開放状態に切り替えるように設計されたシーケンスに従って、上記に説明される形態の波形を用いて駆動された。この波形は、搬送波形と変調波形との重ね合わせから成っていた。搬送波形は、120Vの振幅および86Hzの周波数を有していた一方、変調波形は、21Vの振幅および1Hzの周波数を有していた。波形は、30秒にわたってデバイスに印加された。例1では、変調波形の振幅は、30秒の印加期間にわたって、5段階で21Vからゼロに低減させられた。経時的に印加された変調振幅が、
図1に提供される。例2では、変調波形の振幅は、30秒の印加期間にわたって、30段階で21VからゼロVに減少させられた。例1および例2の両方において、変調波形の振幅の低減は、線形態様で実施された。すなわち、例1では、変調波形の初期振幅(21V)は、6秒(30/5)毎に、4.2V(21/5)ずつ5回、連続して低減させられた。例2では、変調波形の初期振幅(21V)は、1秒(30/30)毎に、0.70V(21/30)ずつ30回、連続して低減させられた。対照的に、比較例Aでは、変調波形は、30秒の印加周期にわたって、21Vで一定であった。波形の印加後、各サンプルは、デバイスの反対側に統合された球体検出器を有する較正された光源の正面に設置された。デバイスを通した光の%総透過率(入射光の強度のパーセントとしての光透過強度)が、決定された。パーセントヘイズも決定され、これは、透過された光を拡散するパーセンテージ、すなわち、2.5°を上回る方位角角度を有する垂直なコリメートされた源からの総透過光と比較して、透過されるときに散乱される光として定義される。パーセントヘイズは、較正されたチョッピングホイールを介して決定された。下記の表1は、3つの波形例の前述の評価から取得される結果を示す。
【0046】
【0047】
表1は、デバイスの開放状態を達成するために、可変光透過デバイスへの波形の印加の時間にわたって、変調波形の振幅が減少させられたとき、%総透過率が増加させられ、パーセントヘイズが減少されたことを示す。一定振幅変調波形が印加された比較例Aは、例1および例2と比較して、より低い%総透過率およびより高いパーセントヘイズを示した。
【0048】
本発明は、方形波AC波形に関して説明されているが、他の周期的形態(例えば、正弦波、三角形波、および同等物)も、本発明の精神から逸脱することなく代用されるであろうことが、当業者に明らかであろう。