(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033712
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/05 20060101AFI20230306BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E03C1/05
E03C1/042 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139571
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【弁理士】
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】風岡 大介
(72)【発明者】
【氏名】大畑 将吾
(72)【発明者】
【氏名】梅村 一樹
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060BA05
2D060BB01
2D060BC07
2D060BE01
2D060BE02
2D060BE04
2D060BE07
2D060BE09
2D060CA04
2D060CA07
2D060CB03
(57)【要約】
【課題】 2種類の吐止水操作を独立に実行可能なタッチレス式の水栓装置を提供すること。
【解決手段】 本発明は、水栓装置であって、第1センサ窓を介して第1信号を送受信して物体を検知可能な第1物体検知センサと、第2センサ窓を介して第2信号を送受信して物体を検知可能な第2物体検知センサと、第1物体検知センサと第2物体検知センサとが取り付けられたスパウトと、スパウトから吐水される水の吐止水を制御する制御装置と、を備える。制御装置は、第1物体検知センサによる検知状態に基づいて第1モードの吐止水制御を実行し、第2物体検知センサによる検知状態に基づいて第2モードの吐止水制御を実行する。第1センサ窓は、スパウトの右方側に面する表面部に配置され、第1信号は右方側に向けて送信される。第2センサ窓は、スパウトの上方側に面する表面部に配置され、第2信号は、第2センサ窓からスパウトの左方側の領域内に向けて送信される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓装置であって、
非接触で物体を検知可能な第1物体検知センサと、
非接触で検知可能な第2物体検知センサと、
前記第1物体検知センサと前記第2物体検知センサとが取り付けられたスパウトと、
前記スパウトから吐水される水の吐止水を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記第1物体検知センサによる検知状態に基づいて第1モードの吐水と止水を切り替えると共に、前記第2物体検知センサによる検知状態に基づいて前記第1モードとは異なる第2モードの吐水と止水を切り替え、
前記第1物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトからの左右の一方側に向けて形成されるように配置されており、
前記第2物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトから前記スパウトの上方側かつ、スパウトの左右の他方側の領域内に向けて形成されるように配置されている
ことを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
前記第1物体検知センサは、第1センサ窓を介して第1信号を送受信して物体を検知可能であり、
前記第2物体検知センサは、第2センサ窓を介して第2信号を送受信して物体を検知可能であり、
前記第1センサ窓は、前記スパウトの左右の一方側に面する表面に配置されており、
前記第1信号は、前記第1センサ窓から前記一方側の領域内に向けて送信されるようになっており、
前記第2センサ窓は、前記スパウトの上方側に面する表面に配置されており、
前記第2信号は、前記第2センサ窓から前記スパウトの左右の他方側の領域内に向けて送信されるようになっており、
前記第2センサ窓は、前記第1センサ窓よりも低い位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水栓装置。
【請求項3】
前記スパウトは、
上下方向または略上下方向に延在する基端部と、
前記基端部の上方側に設けられ水平方向または略水平方向に延出する延出部と、
を有しており、
前記第1センサ窓は、前記延出部に取り付けられており、
前記第2センサ窓は、前記基端部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の水栓装置。
【請求項4】
前記スパウトには、前記他方側に突出する突出部が設けられており、
前記第2センサ窓は、前記突出部に取り付けられており、
前記第2信号は、前記第2センサ窓から斜め前方上方側に向けて送信されるようになっている
ことを特徴とする請求項2乃至3のいずれかに記載の水栓装置。
【請求項5】
前記突出部は、前記基端部において前記他方側に突出するように設けられており、
前記延出部に、吐水口が設けられており、
前記第2信号は、前記吐水口よりも後方側に向けて送信されるようになっている
ことを特徴とする請求項4に記載の水栓装置。
【請求項6】
吐水口からの吐水流量を調整する操作部が、前記スパウトの左右の前記一方側に配置されており、
前記第2センサ窓は、前記スパウトの左右の前記他方側に配置されている
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の水栓装置。
【請求項7】
前記スパウトは、
外観部材と、
前記外観部材からプルアウト可能な吐水ヘッドと、
前記外観部材内に挿通され、前記吐水ヘッドに接続された給水ホースと、
前記第1物体検知センサを保持する第1センサケースと、
を有しており、
前記第1センサケースは、前記第1物体検知センサが前記給水ホースの下方側に位置するように、前記外観部材内に固定されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の水栓装置。
【請求項8】
前記第1センサケースは、前記スパウトに設けられた侵入水排出口に向かって下向きに傾斜する侵入水防止壁部を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水栓装置として、スパウトの正面方向に感知領域が向けられた第1の人体感知センサと、当該第1の人体感知センサに隣接して同じくスパウトの正面方向に感知領域が向けられた第2の人体感知センサと、を組み合わせたタッチレス式の水栓装置が知られている(特許文献1)。例えば、第1の人体感知センサは原水の吐止水操作に用いられ、第2の人体感知センサは浄水の吐止水操作に用いられる。
【0003】
また、スパウトの左方向及び右方向に感知領域が向けられた一対の第1の人体感知センサと、スパウトの下方向に感知領域が向けられた第2の人体感知センサと、を組み合わせたタッチレス式の水栓装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-154512号公報
【特許文献2】特開2012-127155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本件発明者は、2種類の吐止水操作を独立に実行可能なタッチレス式の水栓装置を商品化するにあたって、人体感知センサの感知領域のレイアウトの最適化について検討を重ねてきた。
【0006】
特許文献1に記載されたレイアウトでは、いずれの人体感知センサもスパウトの正面方向に感知領域が向けられているため、両者を区別した操作性が低く、すなわち、意図していない方の吐止水操作が実行されるという誤操作を生じやすい。
【0007】
特許文献2に記載されたレイアウトでは、第2の人体感知センサがスパウトの下方向に感知領域が向けられているため、食器洗浄等の作業時に意図していない吐止水操作が実行されるという誤操作を生じやすい。
【0008】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、2種類の吐止水操作を独立に実行可能なタッチレス式の水栓装置であって、誤操作を生じにくい水栓装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、水栓装置であって、非接触で物体を検知可能な第1物体検知センサと、非接触で検知可能な第2物体検知センサと、前記第1物体検知センサと前記第2物体検知センサとが取り付けられたスパウトと、前記スパウトから吐水される水の吐止水を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記第1物体検知センサによる検知状態に基づいて第1モードの吐水と止水を切り替えると共に、前記第2物体検知センサによる検知状態に基づいて前記第1モードとは異なる第2モードの吐水と止水を切り替え、前記第1物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトからの左右の一方側に向けて形成されるように配置されており、前記第2物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトから前記スパウトの上方側、かつ、スパウトの左右の他方側の領域内に向けて形成されるように配置されていることを特徴とする水栓装置である。
【0010】
本発明によれば、前記第1物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトからの左右の一方側に向けて形成されるように配置されており、前記第2物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトから前記スパウトの上方側、かつ、スパウトの左右の他方側の領域内に向けて形成されるように配置されているため、第1物体検知センサの検知領域と第2物体検知センサの検知領域とを確実に区別することができる。すなわち、意図していない方のモードの吐止水制御が実行されるという誤操作が生じにくい。
【0011】
例えば、前記第1物体検知センサは、第1センサ窓を介して第1信号を送受信して物体を検知可能であり、前記第2物体検知センサは、第2センサ窓を介して第2信号を送受信して物体を検知可能であり、前記第1センサ窓は、前記スパウトの左右の一方側に面する表面に配置されており、前記第1信号は、前記第1センサ窓から前記一方側の領域内に向けて送信されるようになっており、前記第2センサ窓は、前記スパウトの上方側に面する表面に配置されており、前記第2信号は、前記第2センサ窓から前記スパウトの左右の他方側の領域内に向けて送信されるようになっており、前記第2センサ窓は、前記第1センサ窓よりも低い位置に配置されている。
【0012】
この場合、第1センサ窓がスパウトの左右の一方側に面する表面に配置されており、第1信号が第1センサ窓から前記一方側の領域内に向けて送信されるようになっており、第2センサ窓がスパウトの上方側に面する表面に配置されており、第2信号が第2センサ窓からスパウトの左右の他方側の領域内に向けて送信されるようになっているため、第1センサ窓に手をかざす行為と第2センサ窓に手をかざす行為とを確実に区別して検知することができる。すなわち、意図していない方のモードの吐止水制御が実行されるという誤操作が生じにくい。
【0013】
前記第2センサ窓は、前記第1センサ窓よりも低い位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
この場合、第1センサ窓に手をかざす際の当該手の高さ位置と、第2センサ窓に手をかざす際の当該手の高さ位置と、を異ならせた設計レイアウトの採用が容易となるため、意図していない方のモードの吐止水制御が実行されてしまうという誤操作が更に生じにくい。
【0015】
例えば、前記スパウトは、上下方向または略上下方向に延在する基端部と、前記基端部の上方側に設けられ水平方向または略水平方向に延出する延出部と、を有しており、前記第1センサ窓は、前記延出部に取り付けられており、前記第2センサ窓は、前記基端部に取り付けられている。
【0016】
これによれば、簡単な構成で、第2センサ窓を第1センサ窓よりも低い位置に配置することができる。
【0017】
また、前記スパウトには、前記他方側に突出する突出部が設けられており、前記第2センサ窓は、前記突出部に取り付けられており、前記第2信号は、前記第2センサ窓から斜め前方上方側に向けて送信されるようになっていることが好ましい。ここで「前方」とは、左右方向に直交または略直交する方向で、使用者に向かう方向を指す。
【0018】
突出部を設けることによって、第2センサ窓を所望の設計位置に配置することが容易となる。また、第2信号が第2センサ窓から斜め前方上方側に向けて送信されることにより、第2センサ窓に手をかざす行為の際に、当該手から水が垂れて突出部を濡らしてしまうことが防止される。
【0019】
この場合、更に、前記突出部は、前記基端部において前記他方側に突出するように設けられており、前記延出部に、吐水口が設けられており、前記第2信号は、前記吐水口よりも後方側に向けて送信されるようになっていることが好ましい。
【0020】
これによれば、第2信号による検知領域が吐水口からの吐水領域の後方側に位置することになるため、食器洗浄等の作業時に意図していない吐止水制御が実行されるという誤操作が生じにくい。また、洗浄作業時の水が突出部を濡らしてしまうことも効果的に抑制される。
【0021】
また、吐水口からの吐水流量を調整する操作部が、前記スパウトの左右の前記一方側に配置されており、前記第2センサ窓は、前記スパウトの左右の前記他方側に配置されていることが好ましい。
【0022】
これによれば、吐水口からの吐水流量を調整する操作部に対する操作時に第2物体検知センサが誤作動(誤検知)してしまうことが防止される。
【0023】
また、前記スパウトは、外観部材と、前記外観部材からプルアウト可能な吐水ヘッドと、前記外観部材内に挿通され、前記吐水ヘッドに接続された給水ホースと、前記第1物体検知センサを保持する第1センサケースと、を有しており、前記第1センサケースは、前記第1物体検知センサが前記給水ホースの下方側に位置するように、前記外観部材内に固定されていることが好ましい。
【0024】
第1センサケースを用いることで、第1物体検知センサを外観部材内の下方側に寄せ、且つ、給水ホースを外観部材内の上方側に寄せて配置することが容易となるため、プルアウト可能な吐水ヘッドを採用する場合でも、外観部材の内径を太くする必要がない。
【0025】
この場合、更に、前記第1センサケースは、前記スパウトに設けられた侵入水排出口に向かって下向きに傾斜する侵入水防止壁部を有することが好ましい。
【0026】
これによれば、スパウト内に侵入した侵入水をより確実に排出することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、前記第1物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトからの左右の一方側に向けて形成されるように配置されており、前記第2物体検知センサは、その検知領域が、前記スパウトから前記スパウトの上方側、かつ、スパウトの左右の他方側の領域内に向けて形成されるように配置されているため、第1物体検知センサの検知領域と第2物体検知センサの検知領域とを確実に区別することができる。すなわち、意図していない方のモードの吐止水制御が実行されるという誤操作が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る水栓装置の概略正面図である。
【
図2】
図1の水栓装置の第1吐水状態(ソフト吐水)を示す説明図である。
【
図3】
図1の水栓装置の第2吐水状態(水ほうき吐水)を示す説明図である。
【
図4】
図1の水栓装置のプルアウト機能の説明図である。
【
図5】
図1の水栓装置の第1センサケースの近傍の前後方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水栓装置1の概略正面図である。
【0030】
本実施形態の水栓装置1は、原水の流調及び温調が可能な湯水混合水栓であり、且つ、原水(湯水)に代えて浄水を選択利用可能な水栓であり、例えばキッチンのシンクの後方側(奥側)に配置される。
【0031】
キッチンのシンクの下方壁面には、給湯口2と給水口3と浄水用給水口61とが設けられており、給湯口2は、湯供給電磁弁52及び給湯管22を介して、水栓装置1の基端部10内の湯水混合弁21に接続されており、給水口3は、水供給電磁弁53及び給水管23を介して、同じ湯水混合弁21に接続されており、浄水用給水口61は、浄水供給電磁弁54及び浄水給水管62を介して、浄水カートリッジ63の入水口に接続されている。
【0032】
湯水混合弁21は、それ自体公知の構成であって、シングルレバーカートリッジを利用して、流調と温調とを制御(操作)できるようになっている。具体的には、湯が給湯管22を介して供給され、水が給水管23を介して供給され、シングルレバーカートリッジの位置姿勢に応じて所望の流量及び温度となるように混合された後、出水管24及び給水ホース25を介して吐水がなされるようになっている。
【0033】
給水ホース25は、出水管24に接続されており、出水管24に固定されたホーススペーサガイド26を通過することで、キッチンのシンクの下方空間での動きを制限されている。また、ホーススペーサガイド26の下方で、給水ホース25にストッパ27が取り付けられ、給水ホース25の引き出し量を制限している。
【0034】
出水管24と給水ホース25との接続部には、原水/浄水分岐金具65が設けられており、浄水出水管64を介して浄水カートリッジ63の出水口に接続されている。
【0035】
本実施形態の水栓装置1のスパウトは、右方側(一方側)突出部と左方側(他方側)突出部とを有する略「十」字状の基端部10と、当該基端部10の右方側(一方側)突出部の右方側(一方側)側面に設けられた流調及び温調操作レバー20(流調操作部の一例)と、基端部10の上面側に当該基端部10に対して回転可能に設けられた回転部30(後述する吐出ヘッド36を含む)と、を備えている。回転部30の上方部が、水平方向に延在する延出部30eとなっている。
【0036】
水栓装置1は、基端部10において、キッチンのシンクの後方側に固定されている。基端部10の右方側(一方側)突出部の内部に、湯水混合弁21が収容されている。
【0037】
湯水混合弁21は、シングルレバーカートリッジ弁であって、そのシングルレバー部分が、流調及び温調操作レバー20(吐水口からの吐水流量を調整する操作部の一例)となっている。
【0038】
(回転部30)
回転部30の上方部である延出部30eには、その先端部付近に、ソフト吐水用の1個の吐水口41が設けられている。また、当該吐水口41よりも基端側に、水ほうき吐水用の複数の散水孔42がマトリクス状に配置されている。
【0039】
図2は、本実施形態の水栓装置1の第1吐水状態(ソフト吐水)を示す説明図であり、
図3は、本実施形態の水栓装置1の第2吐水状態(水ほうき吐水)を示す説明図である。
【0040】
図2に示す第1吐水状態(ソフト吐水)と
図3に示す第2吐水状態(水ほうき吐水)とは、延出部30eの先端の回転スイッチ43を手動で回転させることで、任意に切替可能となっている。
【0041】
図4は、本実施形態の水栓装置1のプルアウト機能の説明図である。
図4に示すように、本実施形態の水栓装置1のスパウトの延出部30eの先端側は、回転部30の外観部材31からプルアウト可能な吐水ヘッド36となっている。そして、給水ホース25が、外観部材31内に挿通され、吐水ヘッド36に接続されている。
【0042】
(第1光電センサ33)
図5は、本実施形態の水栓装置1の第1センサケース32の近傍の前後方向の縦断面図である。
図5に示すように、回転部30の外観部材31に対して、第1光電センサ33(第1物体検知センサの一例)を保持する第1センサケース32が固定されている。
【0043】
本実施形態の第1センサケース32は、第1光電センサ33が給水ホース25の下方側に位置するように(給水ホース25と第1光電センサ33とを上下に仕切るように)、外観部材31内に固定されている。
【0044】
また、本実施形態の第1センサケース32は、回転部30の外観部材31に設けられた侵入水排出口31dに向かって下向きに傾斜する侵入水防止壁部32wを有している。
【0045】
第1光電センサ33は、第1センサ窓33w(
図2及び
図3参照)を介して第1検出光(第1信号の一例)を投光する第1投光素子と、当該第1投光素子によって投光された第1検出光の反射光を第1センサ窓33wを介して受光する第1受光素子と、を有している。第1受光素子は、第1投光素子の奥側に配置されていることが好ましい。
【0046】
第1センサ窓33wは、スパウトの延出部30eの右方側(左右の一方側の一例)に面する表面部に配置されており、第1検出光は、第1センサ窓33wから右方側に向けて送信されるようになっている。
【0047】
(第2光電センサ13)
詳細な図示は省略するが、基端部10の外観部材に対して、第2光電センサ13(第2物体検知センサの一例)を保持する第2センサケースが固定されている。
【0048】
第2光電センサ13は、第2センサ窓13wを介して第2検出光(第2信号の一例)を投光する第2投光素子と、当該第2投光素子によって投光された第2検出光の反射光を第2センサ窓13wを介して受光する第2受光素子と、を有している。第2受光素子は、第2投光素子の奥側に配置されていることが好ましい。
【0049】
第2センサ窓13wは、スパウトの基端部10において左方側(左右の他方側の一例)に突出する左方側突出部10pの上方側に面する表面部に配置されており、第2検出光は、第2センサ窓13wから斜め前方上方側(例えば水平面に対して60°の角度)であって吐水口41及び散水孔42よりも後方側に向けて、且つ、スパウトの左方側の領域内に向けて、送信されるようになっている。
【0050】
(水栓装置1の吐止水制御)
止水→原水吐水の切り替え(第1モードの吐止水制御)は、第1光電センサ33がユーザの「手かざし」を検知することによって制御される。
【0051】
具体的には、第1光電センサ33の検知信号が、ハーネス(不図示)を介してコントローラボックス55(制御装置の一例)に伝達され、当該コントローラボックス55から所定の駆動信号が、不図示のハーネスを介して湯供給電磁弁52及び水供給電磁弁53に伝達される(
図1参照)。本実施形態では、ユーザの火傷防止の観点から、水供給電磁弁53の開放が湯供給電磁弁52の開放よりも所定時間だけ先行するようになっている。
【0052】
原水吐水→止水の切り替え(第1モードの吐止水制御)は、第1光電センサ33がユーザの「手かざし」を再び検知することによって制御されてもよいし、あるいは、所定時間ないし所定量の吐水によって自動的に止水するようになっていてもよい。
【0053】
吐水される原水の流調と温調については、流調及び温調操作レバー20に対するユーザの手動操作によって制御される。
【0054】
また、ソフト吐水(
図2参照)と水ほうき吐水(
図3)とは、延出部30eの先端の回転スイッチ43を手動で回転させることで、任意に切替可能である。
【0055】
一方、止水→浄水吐水の切り替え(第2モードの吐止水制御)は、第2光電センサ13がユーザの「手かざし」を検知することによって制御される。
【0056】
具体的には、第2光電センサ13の検知信号が、ハーネス(不図示)を介してコントローラボックス55(制御装置の一例)に伝達され、当該コントローラボックス55から所定の駆動信号が、不図示のハーネスを介して浄水供給電磁弁54に伝達される(
図1参照)。
【0057】
浄水吐水→止水の切り替え(第2モードの吐止水制御)は、第2光電センサ13がユーザの「手かざし」を再び検知することによって制御されてもよいし、あるいは、所定時間ないし所定量の吐水によって自動的に止水するようになっていてもよい。
【0058】
本実施形態の水栓装置1では、吐水される浄水に対する流量調整機能及び温度調整機能は有していない。
【0059】
但し、浄水吐水時においても、ソフト吐水(
図2参照)と水ほうき吐水(
図3)とは、延出部30eの先端の回転スイッチ43を手動で回転させることで、任意に切替可能である。
【0060】
なお、図示は省略しているが、コントローラボックス55には、商用のAC電源が接続されている。そして、第1光電センサ33及び第2光電センサ13とコントローラボックス55とを接続するハーネスは、信号線と電力供給線とを含んでいる。同様に、コントローラボックス55と湯供給電磁弁52、水供給電磁弁53及び浄水供給電磁弁54とを接続するハーネス(不図示)も、信号線と電力供給線とを含んでいる。
【0061】
(水栓装置1の作用効果)
以上のように構成された本実施形態の水栓装置1によれば、第1センサ窓33wがスパウトの回転部30の水平方向に延出する延出部30eの右方側に面する表面部に配置されており、第1検出光が第1センサ窓33wから当該右方側に向けて送信されるようになっており、第2センサ窓13wがスパウトの基端部10において左方側に突出する左方側突出部10pの上方側に面する表面部に配置されており、第2検出光が第2センサ窓13wからスパウトの左方側の領域内に向けて送信されるようになっているため、第1センサ窓33wに手をかざす行為と第2センサ窓13wに手をかざす行為とを確実に区別して検知することができる。これにより、意図していない方のモードの吐止水制御が実行されるという誤操作が生じにくい。
【0062】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、第2センサ窓13wは、第1センサ窓33wよりも低い位置に配置されている。これにより、第1センサ窓33wに手をかざす際の当該手の高さ位置と、第2センサ窓13wに手をかざす際の当該手の高さ位置と、を異ならせた設計レイアウトが採用されており、意図していない方のモードの吐止水制御が実行されてしまうという誤操作が更に生じにくい。
【0063】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、スパウトは、上下方向または略上下方向に延在する基端部10と、基端部10の上方側に設けられ水平方向に延出する延出部30e(回転部30の一部)と、を有しており、第1センサ窓33wは延出部30eに取り付けられており、第2センサ窓13wは基端部10に取り付けられている。これにより、簡単な構成で、第2センサ窓13wが第1センサ窓33wよりも低い位置に配置されている。
【0064】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、スパウトの左方側に突出する左方側突出部10pが設けられており、第2センサ窓13wが当該突出部10pの上方側に面する表面部に配置されており、第2検出光は、第2センサ窓13wから斜め前方上方側に向けて投光されるようになっている。当該突出部10pを設けたことにより、第2センサ窓13wを所望の設計位置に配置することが容易となっている。また、第2検出光が第2センサ窓13wから斜め前方上方側に向けて送信されることにより、第2センサ窓13wに手をかざす行為の際に、当該手から水が垂れて突出部10pを濡らしてしまうことが防止される。
【0065】
更に、本実施形態の水栓装置1によれば、突出部10pは、基端部10において左方側に突出するように設けられており、延出部30eに、吐水口41及び散水孔42が設けられており、第2検出光は、吐水口41及び散水孔42よりも後方側に向けて投光されるようになっている。これにより、第2検出光による検知領域が吐水口41ないし散水孔42からの吐水領域の後方側に位置することになるため、食器洗浄等の作業時に意図していない吐止水制御が実行されるという誤操作が生じにくい。また、洗浄作業時の水が突出部10pを濡らしてしまうことも効果的に抑制される。
【0066】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、流調及び温調操作レバー20がスパウトの右方側に配置されており、第2センサ窓13wがスパウトの左方側に配置されている。これにより、流調及び温調操作レバー20に対する操作時に第2光電センサ13が誤作動(誤検知)してしまうことが防止される。
【0067】
また、本実施形態の水栓装置1によれば、スパウトは、回転部30の外観部材31と、外観部材31からプルアウト可能な吐水ヘッド36と、外観部材31内に挿通され吐水ヘッド36に接続された給水ホース25と、第1光電センサ33を保持する第1センサケース32と、を有しており、第1センサケース32は、第1光電センサ33が給水ホース25の下方側に位置するように、外観部材31内に固定されている。このような第1センサケース32を用いることで、第1光電センサ33を外観部材31内の下方側に寄せ、且つ、給水ホース25を外観部材31内の上方側に寄せて配置することが容易となっており、プルアウト可能な吐水ヘッド36を採用していても、外観部材31の内径を太くする必要がない。
【0068】
また、本実施形態の第1センサケース32は、スパウトの回転部30の外観部材31に設けられた侵入水排出口31dに向かって下向きに傾斜する侵入水防止壁部32wを有している。これにより、スパウト内に侵入した侵入水をより確実に排出することができる。
【0069】
なお、本実施形態においては、物体検知センサとして、光電センサを用いて説明を行ったが、物体検知センサは非接触で物体を検知できれば、その他の方式であってもよい。例えば、マイクロ波などの電磁波を用いる方法、人体が接近した際の静電容量の変化を用いる方法や、カメラと画像認識を用いる方法などが考えられる。
【符号の説明】
【0070】
1 水栓装置
2 給湯口
3 給水口
10 基端部
10p 左方側突出部
13 第2光電センサ
13w 第2センサ窓
20 温調操作レバー
21 湯水混合弁
22 給湯管
23 給水管
24 出水管
25 給水ホース
26 ホーススペーサガイド
27 ストッパ
30 回転部
30e 延出部
31 外観部材
31d 侵入水排出口
32 第1センサケース
32w 侵入水防止壁部
33 第1光電センサ
33w 第1センサ窓
36 吐水ヘッド
41 吐水口
42 散水孔
43 回転スイッチ
52 湯供給電磁弁
53 水供給電磁弁
54 浄水供給電磁弁
55 コントローラボックス
61 浄水用給水口
62 浄水給水管
63 浄水カートリッジ
64 浄水出水管
65 浄水分岐金具