(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003374
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】ロールペーパーホルダーおよび中間蓋セット
(51)【国際特許分類】
A47K 10/36 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A47K10/36 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021195322
(22)【出願日】2021-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2021104229
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】313000748
【氏名又は名称】道端 裕行
(72)【発明者】
【氏名】道端 裕行
(72)【発明者】
【氏名】道端 亮裕
(57)【要約】
【課題】片手で容易にロール紙を切断できるロールペーパーホルダーにあって、使用者に対する面倒な作業を極力抑制しつつ、ロール紙の交換も容易なものを提供すること。
【解決手段】
ロール紙13を回転可能に保持するロールペーパーホルダーにおいて、側壁3に、蓋1を回動可能に取付け、蓋1を構成する各板(1a~1c)を、通常時(ロール紙の切断時以外の時)は、横一列に平行に付勢するとともに、ロール紙13を切断するために、ロール紙13の引き出し部を蓋1の切断部4に押し当てた時に、各板(1a~1c)が、ロール紙13のロール部側に凸状に付勢され、ロール抑え部18がロール紙13のロール部に押し当てられる事で、ロール紙13の回転を抑制し、その切断を容易とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙を回転可能に保持するロール保持部と、前記ロール保持部を設置する側壁と、前記ロール紙側に回動可能な状態で前記側壁に取付けられた蓋とを備え、前記蓋は、前記ロール紙を切断するための切断部を有するとともに、前記ロール紙の引き出し部を前記切断部に押し当てた時に、ロール紙のロール部側に凸状に変形可能としてなるロールペーパーホルダー。
【請求項2】
前記蓋は、前記側壁に取付けるための取付け軸を備え、前記取付け軸を回動軸として、前記蓋を前記ロール紙のロール部側に回動付勢するための蓋付勢部を有してなる請求項1に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項3】
前記蓋は、ロール紙のロール部側に凹状に変形するのを防ぐための凹状制限部を有してなる請求項1または2に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項4】
前記蓋は、ロール紙のロール部側に所定角以上に凸状に変形するのを抑制するための凸状抑制部を有してなる請求項1~3のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項5】
前記蓋は、前記ロール紙の回転を容易とするためのロール滑り部と、前記ロール紙の回転を抑制するためのロール抑え部とを備え、前記蓋と前記ロール紙のロール部の接触箇所において、前記蓋が平面状にある場合に、前記ロール抑え部の最下点が前記ロール滑り部の最下点より下方に無く、前記蓋がロール紙のロール部側に凸状に変形した場合に、前記ロール滑り部の最下点が、ロール抑え部の最下点より下方に無いように配置してなる請求項1~4のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項6】
前記蓋は、前記切断部と平行に、分割された複数枚の板で構成されてなる請求項1~5のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項7】
前記蓋は、前記切断部と平行に、湾曲困難な肉厚部と湾曲容易な薄肉部を有してなる請求項1~6のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項8】
前記蓋は、ロール紙のロール部側に凸状に変形する箇所に、前記薄肉部を備えるとともに、前記薄肉部に、前記ロール滑り部とロール抑え部を配してなる請求項7に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項9】
前記蓋は、ロール紙のロール部側に凸状に変形可能とする箇所の取付け軸側に、前記切断部と平行に、ロール紙のロール部側に凹状に変形可能な凹変形可能部を設けてなる請求項1~8のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項10】
前記蓋は、前記ロール紙を切断する際に、前記切断部の先端を上側に回動可能としてなる請求項1~9のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項11】
前記蓋の取付け軸の上方に付された蓋抑え板取付け軸を軸として回動自在な状態で前記蓋の上方に取付けられた蓋抑え板を備え、前記蓋は、その上面に、前記蓋抑え板に当接する蓋抑え板留部を有し、前記ロール紙を切断するために、前記ロール紙のロール部側に凸状とした際に、前記蓋抑え板留部が、前記蓋抑え板の上方への回動を抑制可能としてなる請求項1~10のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項12】
前記蓋抑え板留部は、前記蓋抑え板に当接する複数の板当接部を有し、前記ロール紙のロール部の直径が小さくなり、前記蓋の水平面に対する角度が鋭角になるのに従い、より取付け軸側に近い前記板当接部が前記蓋抑え板に当接してなる請求項11に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項13】
前記蓋抑え板は、前記ロール紙の交換時に、前記蓋抑え板取付け軸の略真上の位置まで回動可能としてなる請求項11または12に記載のロールペーパーホルダー。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか1項に記載のロールペーパーホルダーの蓋と、前記蓋を他のロールペーパーホルダーの既存の蓋の下側に回動自在に設置するための後付け軸受け部を備えてなる中間蓋セット。
【請求項15】
前記蓋の上側に蓋留め部を備え、前記蓋留め部は、前記ロール紙の引き出し部を前記切断部に押し当てて、前記蓋をロール紙のロール部側に凸状に変形させた際に、前記他のロールペーパーホルダーの既存の蓋が上方に回動するのを抑制可能としてなる請求項14に記載の中間蓋セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレ等で使用され、ロール状に巻回されたロールペーパー(ロール紙)を、任意の量だけ引出して切断するためのロールペーパーホルダーに関するものであり、特に、ロールペーパーを片手等で、容易に切断する事を可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トイレ等で使用されるロールペーパーを、片手等で容易に切断する方法として、特許文献1(
図25に代表図を示す)に記載されるように、ロールペーパーホルダー(本明細書では、単に、「ホルダー」と略称する場合もある。)の蓋に、ロールペーパー(ロール紙)の幅より少し広めのスロットを設け、当該スロットにロール紙を通すとともに、蓋の先端部に設けた切断用の刃でロール紙を切断する際に、スロットと刃の間に設けた凸部でロール紙を押さえることで、紙を切断し易くする方法があった。
しかしながら、この方法では、紙をスロット内に通す必要があるため、使用者にとって、ロール紙を切断する度に、ロール紙をスロット内に通すという面倒な作業を要する可能性があった。また、ロール紙の先端部分が、常時、外側に露出するため、トイレで手を洗った際の水の飛び散り等で、当該ロール紙のスロットから先の部分が濡れることがあり、また、当該先の部分に埃が付きやすく、使用者に対して、不衛生な印象を与える可能性が有り得た。
【0003】
また、特許文献2(
図26に代表図を示す)に記載されるように、ロール紙を切断する為の切断部を蓋の取付け軸と同一軸に回動自在に取付け、当該切断部を下方に下げた後、ロール紙の先端部を、当該切断部の上方から垂れさせ、その後に、蓋を下方に回動してロール紙の上にセットする方法が提案されている。当該方法によれば、ホルダーの蓋を上方に開けることにより、ロール紙の先端部を切断部の上側に配置することが可能となるが、当該方法では、ロール紙を切断する度に、蓋を上方に開ける必要が生じ得た。
【0004】
また、特許文献3(
図27に代表図を示す)には、蓋の回動軸の位置を、ホルダーの後方(奥側)ではなく、蓋の中央付近に設ける構成が提示されている。当該構成によれば、紙を切断する際に、梃子の原理を利用し、蓋の切断部と反対側の端部で、ロール紙を押さえる事ができるが、この構成では、ロール紙を新しいものに交換する際に、当該蓋の回動軸が邪魔となり、ロール紙を、この回動軸より高く上方に移動できないため、ロール紙の交換が不便となり得た。
【0005】
また、特許文献4(
図28に代表図を示す)には、ロール紙を下方に直置きするための載置部を備え、この載置部にロール紙の下側の最外周を接触させた状態で、ロール紙の先端部を前方に手繰り出すものが提示されている。当該方法によれば、ロール紙自体の重みと、ロール紙を前方に手繰り出す時に生ずるロール紙と載置部との接触抵抗によって、ロール紙の回転を押さえることが出来る。しかしながら、当該方法では、ロール紙が常に、下方の載置部に接触しているため、載置部の状態によっては、埃などが付きやすく、衛生的に不安を与える可能性があった。さらに、当該方法では、ロール紙の回転を抑制する方法として、ロール紙自体の自重や、載置部との接触抵抗を利用するため、ロール紙の使用が進むにつれて、ロール紙自体が軽くなった際に、ロール紙の回転を抑制し難くなる、という問題が有り得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-23654号公報
【特許文献2】実開平4-131398号公報
【特許文献3】特開2006-142041号公報
【特許文献4】特開2012-147899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来のホルダーの課題を踏まえ、片手で容易にロール紙を切断可能とするホルダーにあって、使用者に対して面倒な作業を極力抑制しつつ、ロール紙の交換も容易なものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のロールペーパーホルダーは、ロール紙を切断する際に、蓋をロール紙の円筒状の部分(以下、「ロール部」と略称する場合もある。)側に凸状に変形可能としたことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、本発明のロールペーパーホルダーは、ロール紙を切断する際に、ロール紙のロール部側に凸状となった蓋の下面でロール紙のロール部を押さえることが可能となるので、使用者に対する面倒な作業を極力抑制しつつ、ロール紙を容易に切断できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施例のロールペーパーホルダーの主要部品の外観図
【
図2】
図2は、同ホルダーの蓋の取付け部の構造を示した図
【
図3】
図3は、同ホルダーのロール保持部の構造を示した図
【
図5】
図5は、同ホルダーの蓋の屈曲部の構造を示した図
【
図6】
図6は、同ホルダーの蓋の屈曲部とロール部との当接状態を示した図
【
図7】
図7は、同ホルダーの蓋の屈曲部とロール部との当接状態をロール部の大小に応じて示した図
【
図8】
図8は、同ホルダーの蓋の屈曲部とロール部との当接状態の詳細図
【
図9】
図9は、同ホルダーのロール滑り部とロール抑え部の構造を示した図
【
図10】
図10は、同ホルダーの蓋を構成する各板と蓋カバーを示した図
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施例のロールペーパーホルダーの蓋の湾曲部の構造を示した図
【
図13】
図13は、同ホルダーの突起部と凹変形可能部の詳細を示した図
【
図14】
図14は、同ホルダーの凹変形可能部の動作状態を示した図
【
図15】
図15は、本発明の第3の実施例のロールペーパーホルダーの外観の一部を示した図
【
図16】
図16は、同ホルダーの中間蓋の取付け状態を示した図
【
図17】
図17は、同ホルダーの中間蓋の取付け部の詳細を示した図
【
図18】
図18は、同ホルダーの中間蓋の凹変形可能部の状態を示した図
【
図19】
図19は、本発明の第4の実施例のロールペーパーホルダーの外観を示した図
【
図20】
図20は、同ホルダーの既存蓋の既存先端部の動きを示した図
【
図21】
図21は、同ホルダーのペーパー切断時の状態を示した図
【
図22】
図22は、本発明の第5の実施例のロールペーパーホルダーの外観を示した図
【
図24】
図24は、同ホルダーにおけるペーパーを交換する際の状態を示した図
【
図25】
図25は、従来のロールペーパーホルダーの構造を示した図
【
図26】
図26は、別の従来のロールペーパーホルダーの構造を示した図
【
図27】
図27は、更に別の従来のロールペーパーホルダーの構造を示した図
【
図28】
図28は、更に別の従来のロールペーパーホルダーの構造を示した図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関わるロールペーパーホルダーは、先端部に切断部を有する蓋を、ロール紙の円筒状の部分(ロール部)に向かって、凸状に変形可能とするとともに、蓋の下面に設けられた回転抑制部(ロール抑え部)をロール部に当接させることで、ロール紙の回転を抑制し、片手で容易にロール紙を切断可能とするものである。
【実施例0012】
以下、本発明の第1の実施例について説明する。
図1は、本発明のロールペーパーホルダーの主要部品の外観を示したものである。本実施例では、トイレで使用するロール紙のホルダーについて、説明する。
ロール紙(
図1では、図示せず)の上部を覆う蓋1と、当該ロール紙を保持するためのロール保持部2を備え、前記ロール保持部2は、ロール紙の交換を容易とするため、その先端部が、上方に回動自在に取り付けられている。
使用者は、ロール紙を使用する際に、ロール紙を手前(使用者側)に巻き取った後、蓋1の先端部に取付けられた切断部4に、当該ロール紙を手前に巻き取った部分(以下、「引き出し部」と略称する場合もある。)を押し当てて切断する。
【0013】
また、
図2(a)に示すように、取付け軸5に、ねじりコイルバネ6(蓋付勢部)が取付けられており、取付け軸5を回動軸として、蓋1を下方(ロール紙のロール部側)に回動付勢している。
なお、蓋1を下方に回動する方法は、
図2(a)の構造に限定されるものではない。例えば、
図2(b)に示すように、蓋1の取付け軸5と連動して回動する側翼7と側壁3に固定されたばね支点8の間に、コイル押しバネ9を設けて実現してもよい。この構成では、蓋1の上方への回動に伴い、側翼7の端部に配置されたコイル押しバネ9のばね支点10が、A→B→Cと移動する。A→Bに移動する際には、コイル押しバネ9が徐々に短縮方向に付勢されるので、コイル押しバネ9が元の長さに戻る方向(蓋1を下方に戻す方向)に働く力が強くなる。Bの時点付近になると、両側のばね支点(10、8)の間の距離が最も短くなるため、コイル押しバネ9が伸びようとする反発力が増し、蓋1が閉まる方向、または、開く方向に力が加わることになる。そのため、ロール紙を交換する際に、ロール紙をロール保持部2に下から押し当て、ロール保持部2を上方に回動させ、その後、ロール紙が蓋1を下から押し上げた場合、B→Cの段階では、コイル押しバネ9は、蓋1を開く方向に付勢するため、ロール紙の交換作業も容易となる。
【0014】
なお、ねじりコイルバネ6(または、コイル押しバネ9)が、取付け軸5を回動軸に、蓋1を下方に回動付勢するので、当該ねじりコイルバネ6(または、コイル押しバネ9)を設置することで、蓋1(切断部4)でロール紙13のロール部を押さえ、その回転を抑えつつ、切断部4でロール紙を切断することが容易となり得る。しかしながら、このねじりコイルバネ6(または、コイル押しバネ9)の強度を強くすると、ロール紙のロール部を押さえる力が強くなり過ぎ、ロール紙を前方に引き出し難くなる。逆に、この強度を弱くすると、ロール紙のロール部を押さえる力が弱くなり過ぎる。また、ロール紙13の使用状態、即ち、ロール紙13のロール部の直径が変化すると(使用が進むに連れて、次第に直径が小さくなると)、蓋1がロール紙のロール部を押す強度も変化するため、当該ねじりコイルバネ6(または、コイル押しバネ9)を取り付けるだけでは、ロール紙を片手で容易に切断することは困難である。
【0015】
ロール保持部2の動きについて、
図3を用いて、改めて説明する。ロール保持部2は、側壁3に対して、保持回動軸11を軸に、上方向に回動自在に取り付けられている。具体的には、当該保持回動軸11にねじりコイルバネ12を取付け、ロール保持部2の先端が、下方に回動するように付勢され、且つ、ロール保持部2の先端部が、水平方向より下方に回動しないように、ストッパー(図示せず)が取り付けられている。そのため、通常時は、ロール保持部2で、ロール紙13を保持することが可能となる。
ロール紙13を交換する際には、ロール紙13を上方に持ち上げる際の使用者の力が、ねじりコイルバネ12の下方への付勢に抗って、ロール保持部2の先端を上方に回動させる。その後、ロール紙13の芯部(中空部)が、ロール保持部2の先端に差し掛かった時に、ロール保持部2の先端が、同中空部に入り込む。その後、ロール紙13を下に降ろすことで、ロール紙13の中空部(芯部)の上部分が、水平方向まで下方に回動したロール保持部2の上面に載置され、ロール紙13が保持される。
なお、以上の説明では、ロール保持部2及び取付け軸5は、側壁3に対して、所定の方法で配置される構造として説明したが、側壁3は、ロール保持部2や取付け軸5を取り付ける事ができれば、
図1に示した形態等に限定されるものではなく、例えば、
図4に示すように、ロール保持部2の保持回動軸11を保持回動軸受け部62で保持するとともに、取付け軸5を取付け軸受け部63で保持しつつ、両受け部62、63をパイプ状の連結具64で繋げる構造等であっても良い。
【0016】
図5は、本実施例のホルダーの蓋1の構造を示している。本実施例では、
図5(a)に示すように、蓋1は、3枚の板(1a、1b、1c)で構成される。
図5(b)(c)に示すように、板回動軸14に接続された隣の板の接続架橋14aを介して、隣り合う各板が相互に繋がるように構成される。この際、板回動軸14に取付けたねじりコイルバネ15によって、板回動軸14に対して、隣の板が、下方に回動付勢される。ただし、凹状制限部16が、隣の板の下方に跨って設置されるため、隣の板が、板回動軸14を設けた側の板に対して、平行面を超えて下方に回動することはなく、本実施例では、3枚の板(1a、1b、1c)が、ロール紙13のロール部に向かって、凹状となる事はない。
また、ねじりコイルバネ15を、ロール滑り部17(後で説明)の内側に配置することで、ねじりコイルばね15が、各板の外側に露出するのを抑制できる。
【0017】
ロール紙13を切る際は、ロール紙13の先端部を手間に引き出し、その後、
図6(a)に示すように、切断部4に押し当てる。切断部4にロール紙13の引き出し部が押し当てられることで、蓋1の各板(1a、1b、1c)は、板回動軸14に対して上方向に回動する。その際、ねじりコイルバネ15(凸状抑制部)により、板回動軸14に対して、反対方向の力(下方向に回動させる力)が加わる事で、双方向の力のバランスにより、各板(1a、1b、1c)が、所定角度以上、鋭角に曲がるのを防ぐ。具体的には、
図6(d)に示すように、蓋1の先端部Gが、ロール紙13のロール部の中心部Hと(ロール紙13と蓋1の)接点Sを結ぶ延長線上を超えて取付け軸5側に折れ曲がるのを防ぐ。本実施例では、当該角度以上になると、蓋1がロール紙13のロール部を押す力が弱まり易いためである。
【0018】
蓋1の各板(1a、1b、1c)の下面は、
図6(b)に示すように、凹状制限部16を有するとともに、凸状のロール滑り部17と、その先端にあるロール抑え部18(この実施例では、凹状制限部16と一体となっている。)の機能を備える。前述のように、通常時、即ち、ロール紙13を切断する時以外は、各板(1a、1b、1c)は、ねじりコイルバネ15の作用により、板回動軸14に対して下向きに力が加わり、3枚の板(1a、1b、1c)は、平面状(各板が平行)となっている。当該ロール滑り部17は、緩い凸状(凸状部の断面形状における底面幅に対する山の高さが1/3以下程度)となっており、ロール紙13を前方に手繰り出す際に、ロール滑り部17がロール紙13のロール部と接するため、ロール紙13の回転は抑制され難い。
【0019】
一方、ロール紙13を切断する際には、ロール紙13の引き出し部を切断部4に押し当て、その奥側(蓋1の取付け軸5の方向)に押し出す事で、3枚の板(1a、1b、1c)は、ロール紙13のロール部側に凸状となる。この時、
図6(c)に示すように、ロール抑え部18が、ロール紙13のロール部に押し当てられる。当該ロール抑え部18は、ロール滑り部17と異なり、滑り難いもの(尖った形状や、ゴム等の材料等)で形成される。そのため、ロール抑え部18が、ロール紙13のロール部を的確に押さえ付け、その回転動作を抑制した状態で、ロール紙13の引き出し部を切断部4に押し当てることとなる。その結果、片手で、(もう一方の手で、蓋1を上から抑える等の必要もなく)、ロール紙13を切断することが容易となる。
【0020】
なお、蓋1の各板(1a、1b、1c)の中で、どの板に付されたロール抑え部18が、ロール紙13のロール部に当接するかについては、
図7(a)(b)に示すように、ロール紙13の直径、即ち、ロール紙13の使用状態によって異なる。ロール紙13の使い始めの状態(
図7(a))では、ロール紙13のロール部の直径が大きいため、各板の大きさによって、多少異なるものの、本実施例では、比較的、板1aと板1bのジョイント部分にあるロール抑え部18が、ロール紙13のロール部に当接しやい構成となっている。一方、ロール紙13の使用が進み、その直径が小さくなると(
図7(b))、板1bと板1cのジョイント部分にあるロール抑え部18が当接しやすく構成されている。
【0021】
蓋1の各板(1a、1b、1c)が、ロール紙13のロール部側に凸状となる際に、ロール抑え部18の形状(長さや角度を含む)によって、ロール紙13のロール部との当接状態が異なる。そのため、当該ロール抑え部18の形状によっては、板の分割枚数(5枚に分割する等)、あるいは、各板の分割割合(各板の大きさの割合)を調整する必要はあり得る。
【0022】
図8は、トイレ用のホルダーについて、蓋1とロール紙13との実際の具体的な位置関係を示したものである。当該実際のトイレ用のホルダーでは、取付け軸5とロール保持部2との位置関係は、x=40mm、y=55mm、蓋1の長さz=85mm程度のものが多い。
また、ロール紙13の中央芯部にあたる中空部の直径kは38mm程度で、この中空部の上面が、ロール保持部2に当接する。未使用状態のロール紙13の直径は110mm、最終使用時の同直径は、40mm程度が多いため、
図8(a)に示すように、ロール紙13の使用状況に応じて、蓋1とロール紙13のロール部の当接場所が異なる。この事例では、蓋1の各板(1b、1c)の長さ(Za、Zb)を10mm程度とすることで、ロール紙13の使用当初から終了間際まで、その使用状態に関わらず、板1bまたは1cに取付けられたロール抑え部18を、ロール紙13のロール部に当接させることが可能となる。
【0023】
なお、これまでの説明では、ロール抑え部18について、取付け軸5側に尖がった形状を用いて説明したが(
図5等)、通常時(ロール紙13の切断時以外の時)、ロール抑え部18の最下点が、ロール滑り部17の最下点より上に位置していれば(例えば、
図9(b)のギャップAが存在する状態)、ロール紙13のロール部がロール滑り部17に当接するため、ロール紙13を手前に繰り出す事は容易となる。
一方、ロール紙13を切断する際(蓋1がロール紙13のロール部側に凸状となった際)には、ロール抑え部18を、できるだけ強く、ロール紙13のロール部に押し当てることが望ましい。そのため、ロール抑え部18を、板(1b、1c)と垂直に下方向に尖がった形状(例えば、
図9(b)の形状)とすることで、ロール抑え部18を、ロール滑り部17より、より下方に位置させる事が出来るので(
図9(c)に示すように、ギャップBだけ、ロール滑り部17より、その最下点を下方に位置させることができる。)、効果的にロール紙13の回転を抑制することができる。
【0024】
また、
図9(d)に示すように、ロール滑り部17とロール抑え部18の最下点の位置を離す事により(
図9(d)の事例では、距離Cだけ離している。)、更に、ロール抑え部18を、効果的に、ロール紙13のロール部に当接させることが可能となる。
また、
図9(e)に示すように、ロール抑え部18の形状について、側壁3側から見た際の断面形状を円弧状とすることにより、蓋1が凸状となった際の各板の傾斜角度に関わらず、ロール抑え部18のロール紙13のロール部への当接部分を、同一の円弧状と出来るため、各板の傾斜角度によらず、ロール紙13の回転を安定して抑えることが可能となり得る。
【0025】
また、
図10に示すように、蓋1の上面を、蓋カバー19で覆う事により、各板の間の隙間に埃などが付着するのを抑制することができる。この際、蓋カバー19の下面に設置した変形可能な凸状抑制部20を、各板の間の隙間に挟むことにより、蓋1がロール紙13のロール部側に向かって凸状となる際に、各板(1a、1b、1c)が、板回動軸14に対して、極端に上方に折れ曲がるのを抑制できる。
当該凸状抑制部20は、
図10(d)(e)に示すように、各板(1a、1b、1c)を板回動軸14に対して、下方向(各板が、平面状に並ぶ方向)に付勢することとなるので、その材料や大きさを選定することで、ねじりコイルバネ15を、より簡易的なものとするか、あるいは排除する事が可能となり得る。なお、蓋カバー19とは独立して、凸状抑制部20(各板間の緩衝材)を配置することも可能である。
【0026】
また、
図11に示すように、切断部4について、通常時は下向きであるが、本実施例では、ロール紙13を切断する際に、上方向に回動自在とする。具体的には、
図11(c)に示すように、ロール紙13を切断する時以外は、切断部4は、切断部回動軸21を回動軸として、ねじりコイルバネ(図示せず)等により、その先端が蓋1(板1a)と垂直に下方向を向く。ロール紙13を切断するために、使用者がロール紙13の先端部を、切断部4に押し当て、その上側に持ち上げた場合に、
図11(d)に示すように、切断部4の先端部が、切断部回動軸21を軸として、上方に回動するので、当該回動動作に合わせて、ロール紙13の引き出し部を奥側(取付け軸5側)に押し出すことが容易となり、蓋1がロール紙13のロール部側に凸状となるのを促進できる。
【0027】
なお、本実施例では、取付け軸5にねじりコイルバネ6(蓋付勢部)を配置し、取付け軸5を回動軸に、蓋1を下方に回動付勢する構成を用いて説明したが、ねじりコイルバネ(板付勢部)15や凸状抑制部20(各板間の緩衝材)等の強度を調整(蓋1が凸状になり易いように、ねじコイルばね15を、より弱めにする等)することで、ねじりコイルバネ6(蓋付勢部)が無くても、蓋1をロール紙13のロール部側に凸状に変形させ、ロール紙13のロール部に押し当てることは可能である。
なお、本実施例では、凹変形可能部30は、薄肉部23と円錐状の突起部24等で形成されるため、同時に、ロール紙13のロール部側に凸状となり得る。そのため、凹変形可能部30の切断部4側の範囲を厳密に設定する必要性は少なく、(ロール紙13のロール部側に凸状となるべき箇所を含めて)薄肉部23の全域に、凹変形可能部30の範囲を拡げることは可能である。ただし、その場合、薄肉部23の強度が弱いと、本来、平面状や凸状になるべき箇所が、極端にロール紙13のロール部側に凹状に垂れ下がる可能性が生じ得る。そのため、薄肉部23に、より適度な反発力を有する材料等を選択する必要が生じ得る。