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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033748
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】食器洗浄装置及び食器洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/24 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
A47L15/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139623
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000231888
【氏名又は名称】日本調理機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081271
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 芳春
(72)【発明者】
【氏名】嵐田 義治
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082AA01
3B082AA08
(57)【要約】
【課題】装置構成を複雑ではなく簡易なものとすることができ、その動作も単純化することができ、しかも、食器にこびりついた汚れ成分を確実に除去することが可能な食器洗浄装置及び食器洗浄方法を提供する。
【解決手段】食器洗浄装置は、洗浄すべき食器の底面が同一方向を向くように食器を収容した食器籠を搬送する搬送コンベアと、搬送される食器籠を液体内に完全に浸漬するための浸漬槽と、浸漬槽内の液体の噴流を搬送される食器籠内の食器に噴射する噴流印加機構とを備えている。搬送コンベアは、食器の底面が搬送コンベアの搬送方向又はその逆方向を向く状態で食器籠を搬送するように構成されている。噴流印加機構は、噴流が搬送される食器籠内の食器間の隙間を通過するように噴射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄すべき食器の底面が同一方向を向くように当該食器を収容した食器籠を搬送する搬送コンベアと、搬送される前記食器籠を液体内に完全に浸漬するための浸漬槽と、前記浸漬槽内の前記液体の噴流を搬送される前記食器籠内の前記食器に噴射する噴流印加機構とを備えており、前記搬送コンベアは、前記食器の底面が前記搬送コンベアの搬送方向又はその逆方向を向く状態で前記食器籠を搬送するように構成されており、前記噴流印加機構は、前記噴流が搬送される前記食器籠内の前記食器間の隙間を通過するように噴射することを特徴とする食器洗浄装置。
【請求項2】
前記噴流印加機構は、搬送される前記食器籠内の前記食器に下方から上方に向けて前記噴流を噴射する複数の噴出口を有していることを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄装置。
【請求項3】
前記噴流印加機構は、前記搬送コンベアの搬送方向に対して横長のスリット状の前記噴流を噴射する複数の噴出口を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の食器洗浄装置。
【請求項4】
前記噴流印加機構の前記噴出口は、前記搬送コンベアの搬送方向と直交する方向の中間の位置に配置されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の食器洗浄装置。
【請求項5】
前記搬送コンベアは搬送方向と平行であり互いに離隔した2本のチェーンを備えたチェーンコンベアであり、前記噴流印加機構の前記噴出口は前記チェーンコンベアの前記2本のチェーンの間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の食器洗浄装置。
【請求項6】
前記噴流印加機構は、前記浸漬槽内の前記液体を循環して前記噴流を噴射するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の食器洗浄装置。
【請求項7】
搬送される前記食器籠が前記浸漬槽の液体から上がった位置の下流に設けられ、前記食器籠に上方からシャワーを噴射するシャワー機構をさらに備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の食器洗浄装置。
【請求項8】
前記液体が、水、湯、又は水若しくは湯に酵素洗剤を添加したものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の食器洗浄装置。
【請求項9】
前記搬送コンベア、前記浸漬槽及び前記噴流印加機構を含む浸漬洗浄部の下流に設けられ、搬送される前記食器籠内の前記食器を洗浄する主たる洗浄部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の食器洗浄装置。
【請求項10】
洗浄すべき食器の底面が同一方向を向くように当該食器を収容した食器籠を、前記食器の底面が搬送方向又はその逆方向を向く状態で搬送し、搬送される前記食器籠を浸漬槽内の液体内に完全に浸漬し、前記浸漬槽内において前記液体の噴流が搬送される前記食器籠内の前記食器間の隙間を通過するように噴射することを特徴とする食器洗浄方法。
【請求項11】
搬送される前記食器籠内の前記食器に下方から上方に向けて前記噴流を噴射することを特徴とする請求項10に記載の食器洗浄方法。
【請求項12】
搬送方向に対して横長のスリット状の前記噴流を噴射することを特徴とする請求項10又は11に記載の食器洗浄方法。
【請求項13】
前記浸漬槽内の前記液体を循環して前記噴流を噴射することを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の食器洗浄方法。
【請求項14】
前記液体として、水、湯、又は水若しくは湯に酵素洗剤を添加したものを用いることを特徴とする請求項10から13のいずれか1項に記載の食器洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器籠内に収容した食器を効果的に洗浄する食器洗浄装置及び食器洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食器を食器籠内に収容した状態で洗浄する食器洗浄システムとして、特許文献1には、食器籠内に、表面側を上向きとして鉛直方向に積み重ねて複数の食器を収納し、食器籠内の最上端の食器の外周縁に向けて浸漬水を噴射し、上方の食器の外周縁から下方の食器へと浸漬水を流下させることにより、食器に付着している汚れ成分に水分を与えて湿潤させる洗浄システムが開示されている。
【0003】
この食器洗浄システムによれば、浸漬に必要とする浸漬水を少なくし、節水を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-000157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている食器洗浄システムによると、食器を積み重ねた食器籠を縦方向に立てた状態で洗浄を行い、次の洗浄を行う前に、この食器籠の姿勢を縦方向から横方向に変換する必要があった。このため、食器籠の姿勢変更機構を含む装置構成が複雑となるという問題があった。
【0006】
さらに、特許文献1に記載されている食器洗浄システムによると、食器籠を浸漬液内に完全に浸漬せずに洗浄を行うため、食器にこびりついた汚れ成分を充分にかつ確実に除去することが難しかった。
【0007】
従って本発明の目的は、複雑ではない簡易な装置構成とすることができ、動作も単純化させることができる食器洗浄装置及び食器洗浄方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、食器にこびりついた汚れ成分を確実に除去することが可能な食器洗浄装置及び食器洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、食器洗浄装置は、洗浄すべき食器の底面が同一方向を向くように食器を収容した食器籠を搬送する搬送コンベアと、搬送される食器籠を液体内に完全に浸漬するための浸漬槽と、浸漬槽内の液体の噴流を搬送される食器籠内の食器に噴射する噴流印加機構とを備えている。搬送コンベアは、食器の底面が搬送コンベアの搬送方向又はその逆方向を向く状態で食器籠を搬送するように構成されている。噴流印加機構は、噴流が搬送される食器籠内の食器間の隙間を通過するように噴射するように構成されている。
【0010】
食器籠は食器をその底面が同一方向を向くように収容しており、この食器籠が、食器の底面が搬送コンベアの搬送方向又はその逆方向を向く状態で搬送されるので、噴流印加機構により噴射される噴流は、順次、食器間の隙間を通過することができる。その結果、食器にこびりついた汚れ成分を充分にかつ確実に除去することが可能となる。また、浸漬槽内において食器籠の姿勢を変更する必要もないため、装置構成が複雑とならず簡易なものとすることができ、その動作も単純化される。
【0011】
なお、本明細書において、「食器」とは、例えば、学校給食に用いられる、椀(飯椀、汁椀)、菜皿(大皿、小皿)、及びコップ等を指している。本発明の食器洗浄装置は、箸、スプーン、及びフォーク等も洗浄可能である。
【0012】
噴流印加機構は、搬送される食器籠内の食器に下方から上方に向けて噴流を噴射する複数の噴出口を有していることが好ましい。
【0013】
噴流印加機構は、搬送コンベアの搬送方向に対して横長のスリット状の噴流を噴射する複数の噴出口を有していることも好ましい。
【0014】
噴流印加機構の噴出口は、搬送コンベアの搬送方向と直交する方向の中間の位置に配置されていることも好ましい。
【0015】
搬送コンベアは搬送方向と平行であり互いに離隔した2本のチェーンを備えたチェーンコンベアであり、噴流印加機構の噴出口はこのチェーンコンベアの2本のチェーンの間に配置されていることが好ましい。
【0016】
噴流印加機構は、浸漬槽内の液体を循環して噴流を噴射するように構成されていることも好ましい。
【0017】
搬送される複数の食器籠が浸漬槽の液体から上がった位置の下流に設けられ、複数の食器籠に上方からシャワーを噴射するシャワー機構をさらに備えていることも好ましい。
【0018】
液体が、水、湯、又は水若しくは湯に酵素洗剤を添加したものであることも好ましい。
【0019】
搬送コンベア、浸漬槽及び噴流印加機構を含む浸漬洗浄部の下流に設けられ、搬送される食器籠内の食器を洗浄する主たる洗浄部をさらに備えていることも好ましい。
【0020】
本発明によれば、食器洗浄方法は、洗浄すべき食器の底面が同一方向を向くように食器を収容した食器籠を、食器の底面が搬送方向又はその逆方向を向く状態で搬送し、搬送される食器籠を浸漬槽内の液体内に完全に浸漬し、浸漬槽内において液体の噴流が搬送される食器籠内の食器間の隙間を通過するように噴射する。
【0021】
食器籠は食器をその底面が同一方向を向くように収容しており、この食器籠が、食器の底面が搬送コンベアの搬送方向又はその逆方向を向く状態で搬送されるので、噴射される噴流は、順次、食器間の隙間を通過することができ、その結果、食器にこびりついた汚れ成分を充分にかつ確実に除去することが可能となり、また、浸漬槽内において食器籠の姿勢を変更する必要もないため、装置構成が複雑とならず簡易なものとすることができ、その動作も単純化される。
【0022】
搬送される食器籠内の食器に下方から上方に向けて噴流を噴射することが好ましい。
【0023】
搬送方向に対して横長のスリット状の噴流を噴射することも好ましい。
【0024】
浸漬槽内の液体を循環して噴流を噴射することも好ましい。
【0025】
液体として、水、湯、又は水若しくは湯に酵素洗剤を添加したものを用いることも好ましい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、食器にこびりついた汚れ成分を充分にかつ確実に除去することが可能となる。また、浸漬槽内において食器籠の姿勢を変更する必要もないため、装置構成が複雑とならず簡易なものとすることができ、その動作も単純化される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の一実施形態として、食器洗浄装置の外観全体の構成例を概略的に示す側面図である。
図2図1の食器洗浄装置における浸漬洗浄部の構成例を概略的に示す側面図である。
図3図1の食器洗浄装置における浸漬洗浄部の構成例を概略的に示す斜視図である。
図4図1の食器洗浄装置における浸漬洗浄部の構成例を概略的に示す斜視図である。
図5図1の食器洗浄装置において使用される代表的な食器籠を概略的に示す、(A)斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図である。
図6図5の食器籠内に食器を収容した状態を概略的に示す、(A)斜視図、(B)平面図、(C)正面図、(D)側面図である。
図7図5の食器籠内に食器を収容する手順を概略的に示す図である。
図8図1の食器洗浄装置の浸漬洗浄部における噴流印加機構の噴射動作を説明する、(A)平面図、(B)側面図である。
図9図1の食器洗浄装置の浸漬洗浄部における噴流印加機構の噴射動作を説明する斜視図である。
図10図1の食器洗浄装置における本洗浄部の構成例を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明の一実施形態として、食器洗浄装置の外観全体の構成例を概略的に示している。本実施形態の食器洗浄装置は、例えば学校給食に使用する食器やトレイを食器籠に収納した状態で洗浄する装置である。
【0029】
同図において、10は浸漬洗浄部であり、洗浄すべき食器が収納された食器籠11は、矢印Aで示すように、まず、この浸漬洗浄部10に搬送されて浸漬洗浄処理される。また、同図において、12、13、14及び15はこの浸漬洗浄部10によって浸漬洗浄された食器籠11が搬送されてシャワー洗浄される4つの本洗浄部、16は本洗浄部12、13、14及び15によって洗浄されて搬送された食器籠11に水道からのきれいな水を吹きかけて洗剤分を洗い流す仕上げ部、17は洗浄すべきトレイが収容されたトレイ籠が搬送されるトレイ搬送ラインをそれぞれ示している。
【0030】
図2は本実施形態の食器洗浄装置における浸漬洗浄部10の構成例を概略的に示す側面図であり、図3及び図4はこの浸漬洗浄部10の構成例を概略的に示す斜視図である。なお、図2において食器籠11は矢印Aで示すように左から右方向へ搬送され、図3及び図4において食器籠11は矢印Aで示すように右から斜め左方向へ搬送される。
【0031】
図2図4に示すように、浸漬洗浄部10は、洗浄用の液体10aが貯留されている浸漬槽10bと、浸漬槽10b内で食器籠11を搬送する本実施形態では3ラインの第1の搬送コンベア10cと、第1の搬送コンベア10cで搬送された食器籠11を斜め上方へ搬送し浸漬槽10bから引き上げる3ラインの第2の搬送コンベア10dと、食器籠11を3ラインの第1の搬送コンベア10c上にそれぞれ送り込む3つのシュート10eと、第1の搬送コンベア10cで搬送されている食器籠11に下方から上方に向けて噴流を噴射する複数の(本実施形態では第1の搬送コンベア10cのライン毎に6つの)噴出口10fを有する噴流印加機構と、第2の搬送コンベア10dによって浸漬槽10bから引き上げられた食器籠11に上方から液体10aのシャワーを噴射するシャワー機構10gとを備えている。洗浄用の液体10aは、食器籠11内の食器が全て浸かる水位まで浸漬槽10b内に貯留されている。シュート10eによって送り込まれた食器籠11は、自重により浸漬槽10b内に沈み、第1の搬送コンベア10c上に乗る。
【0032】
浸漬洗浄部10は、さらに、洗浄すべきトレイが収容されたトレイ籠を搬送するための本実施形態では1ラインの第3の搬送コンベアからなる搬送ライン17を備えている。ただし、本実施形態において、このトレイ籠の搬送ライン17は浸漬洗浄部10を処理なしで通過するように構成されている。
【0033】
第1の搬送コンベア10c及び第2の搬送コンベア10dは、本実施形態ではチェーンコンベアで構成されている。これらチェーンコンベアは、搬送方向と平行であり互いに離隔した2本のチェーンを備えており、従って、搬送方向と直交する方向の中央部が開口している。
【0034】
本実施形態において、洗浄用の液体10aは、水又は湯を使用しているが、水又は湯に酵素洗剤を添加したものを用いても良い。酵素洗剤を添加することによって、洗浄効果がより向上する。
【0035】
次に、本実施形態の食器洗浄装置において使用される食器籠について説明する。
【0036】
図5は食器洗浄装置において使用される代表的な食器籠を概略的に示しており、図6はこの食器籠内に食器を収容した状態を概略的に示しており、図7は食器籠内に食器を収容する手順を概略的に示している。なお、図5及び図6において、(A)は斜視図、(B)は平面図、(C)は正面図、(D)は側面図である。
【0037】
図5及び図6に示すように、食器籠11は、直方体形状の金属製(ステンレス製)のワイヤー籠であり、その1つの面(図における前面)に片開き式の開閉扉11aを備えている。洗浄すべき食器11bは、この開閉扉11aを介して姿勢をそろえて内部に収容される。即ち、洗浄すべき食器11bの底面が同一方向を向くように重ねた状態で内部に収容される。この場合、食器籠11の前面(開閉扉11a)に互いに平行な2本のガイド棒11cが設けられており、さらに、背面に互いに平行な2本のガイド棒11dが設けられているため、図6に示すように、食器11bは食器籠11内で整列して固定された状態で収容される。なお、食器籠11は、開閉扉11a側の前面が上向きの状態で(場合によっては下向きの状態で)かつ食器11bの底面が第1の搬送コンベア10c及び第2の搬送コンベア10dの搬送方向又はその逆方向を向いた状態で搬送される。
【0038】
食器籠11内に食器11bを収容する手順は、図7(A)に示すように、まず、開閉扉11aを開き、図7(B)に示すように、洗浄すべき食器11bを重ねた状態で内部に収容し、図7(C)に示すように、開閉扉11aを閉じてロックする。開閉扉11aのロックは、開閉扉11aの図にて下方に設けられたフック11eを食器籠11の図にて底面に設けられたフック孔11fに嵌合させると共に、開閉扉11aの図にて上方に設けられ、ばねによって上方向に付勢されているフック11gを食器籠11の前面にあるフック受け部11h内に嵌挿する。
【0039】
次に、本実施形態における噴流印加機構について説明する。
【0040】
図8及び図9は本実施形態の食器洗浄装置の浸漬洗浄部10における噴流印加機構の噴射動作を説明している。なお、図8において、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【0041】
図8に示すように、噴流印加機構は、第1の搬送コンベア10cで搬送されている食器籠11に下方から上方に向けて噴流10hを噴射する複数の噴出口10fを有している。各噴出口10fは、第1の搬送コンベア10cの搬送方向と直交する方向の中間の位置に配置されている。即ち、各噴出口10fは、第1の搬送コンベア10cを構成するチェーンコンベアの2本のチェーンの間に配置されている。チェーンコンベアの間に噴出口10fが立ち上がって配置されているため、食器籠11に非常に近い位置からこの食器籠11に向けて噴流10hを噴射させることができる。食器籠11が食器11bの底面が搬送方向又はその逆方向を向いた状態で搬送されるので、食器籠11に下方から噴射された噴流10hが移動する食器間の隙間に確実に順次入り込み、その結果、噴流による洗浄効果が高くなる。図9に示すように、各噴出口10fからの噴流10hが第1の搬送コンベア10cの搬送方向に対して横長のスリット状となっており、液体の膜を作るように噴射されているため、食器の積み重ね方向の隙間に水流が入り易くなり、洗浄効果がより高くなる。噴流10hの噴射により食器と食器との間を広げつつ水流が流れ込むため、食器間に挟まっている大きな汚れも浮き出されて排出される。なお、噴流印加機構によって、食器籠11に下方から噴流10hが噴射された場合にも、食器籠11の開閉扉11aがロックされており、ガイド棒11c及び11dによって食器11bが整列固定された状態となっているため、食器が浮き上がるような不都合は生じない。
【0042】
図2に示すように、本実施形態においては、第1の搬送コンベア10cのライン毎に6つの噴出口10fが設けられており、第1の搬送コンベア10cは3ラインであることから、合計で18個の噴出口10fが設けられている。噴流印加機構は、これら18個の噴出口10fの他に、洗浄用の液体10aを浸漬槽10bから循環して圧送する図示しないポンプやこのポンプと各噴出口10fとを連結する図示しない配管等を備えている。本実施形態の変更態様においては、洗浄用の液体10aを外部から取り込んで各噴出口10fへ圧送するように構成しても良い。
【0043】
シャワー機構10gは、第2の搬送コンベア10dによって浸漬槽10bから引き上げられた食器籠11に上方から液体10aのシャワーを噴射する。このようなシャワー噴射を行うことにより、浸漬槽10bの液体10aから上がってきた食器に付着しているかもしれない残滓等の汚れをある程度落とし、次の本洗浄部12、13、14及び15に汚れを極力持ち込まないようにしている。
【0044】
次に、浸漬洗浄部10の下流に設けられている本洗浄部12、13、14及び15の構成について説明する。
【0045】
図10は本洗浄部12の構成例を概略的に示している。なお、本洗浄部12、13、14及び15は基本的に同じ構成を有している。
【0046】
図10に示すように、本洗浄部12は、浸漬洗浄部10の第2の搬送コンベア10dで搬送された食器籠11を同じ姿勢で搬送する3ラインの第3の搬送コンベア12aと、搬送されている食器籠11に上方から下方に向けて水又は湯による液体のシャワーを噴射する上部噴射口12bと、搬送されている食器籠11に下方から上方に向けて水又は湯による液体のシャワーを噴射する下部噴射口12cとを備えている。上部噴射口12bは搬送方向に対して横長の膜状のシャワー12dを噴射して食器間にシャワーを流入させて洗浄を行う。下部噴射口12cは食器の下側を洗浄するために補助的にシャワー12eを噴射して洗浄を行う。
【0047】
なお、上述した本洗浄部12、13、14及び15の構成は単なる一例であり、その他の公知の構成が適用可能である。また、仕上げ部16として、ブロワ又はコンプレッサからの圧縮空気を吹き付けることで水滴を吹き飛ばす構成としても良く、さらに、他の公知の構成を適用しても良い。
【0048】
次に本実施形態の食器洗浄装置の動作を説明する。
【0049】
まず、洗浄すべき食器を食器籠11内に重ねて収納し、この食器籠11の開閉扉11aをロックする。ロックした食器籠11をその前面(開閉扉11a側の面)が上になるように、浸漬洗浄部10のシュート10eを介して浸漬槽10b内に送り込む。これにより、食器籠11は、浸漬槽10bの液体10a内に沈み、第1の搬送コンベア10cによって、食器の底面がこの第1の搬送コンベア10cの搬送方向又はその逆方向を向く状態で搬送される。第1の搬送コンベア10cによって搬送されている食器籠11には、非常に近い位置に配置されている複数の噴出口10fから噴流10hが下方から噴射され、この噴流10hが移動する食器間の隙間に順次入り込んで汚れが排出されて洗浄される。このように下方から噴流10hが噴射された場合にも、食器籠11の開閉扉11aがロックされており、ガイド棒11c及び11dによって食器11bが整列固定された状態となっているため、食器が浮き上がることはない。
【0050】
次いで、食器籠11は、第2の搬送コンベア10dによって浸漬槽10bから引き上げられ、シャワー機構10gによって上方から液体10aのシャワーを噴射され、食器に付着している可能性のある残滓等の汚れが除去されて、本洗浄部12、13、14及び15に送られて本洗浄が行われ。その後、仕上げ部16において乾燥等の仕上げ処理がなされる。このように、浸漬洗浄処理と本洗浄処理とが別個の洗浄装置で行われることなく、浸漬洗浄処理に続いて本洗浄処理が人の手を介さず自動的に行われる。また、本洗浄処理の前に浸漬洗浄処理を行うことにより、本洗浄処理において、汚れがふやけているので落としやすくなる。
【0051】
以上説明したように、本実施形態の食器洗浄装置においては、最初の洗浄処理機構として浸漬洗浄部10が設けられており、この浸漬洗浄部10によれば、食器籠11は食器をその底面が同一方向を向くように収容しており、この食器籠11が、食器の底面が搬送方向又はその逆方向を向く状態で搬送されるので、噴流印加機構から噴射される噴流は、食器間の隙間を確実に通過することができ、その結果、食器にこびりついた汚れ成分を充分にかつ確実に、しかも、容易に除去することが可能となる。また、浸漬槽10内において食器籠11の姿勢を変更する必要もないため、装置構成が複雑とならず簡易なものとすることができ、その動作も単純化される。
【0052】
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 浸漬洗浄部
10a 液体
10b 浸漬槽
10c 第1の搬送コンベア
10d 第2の搬送コンベア
10e シュート
10f 噴出口
10g シャワー機構
11 食器籠
11a 開閉扉
11b 食器
11c、11d ガイド棒
11e、11g フック
11f フック孔
11h フック受け部
12、13、14、15 本洗浄部
12a 第3の搬送コンベア
12b 上部噴射口
12c 下部噴射口
12d、12e シャワー
16 仕上げ部
17 トレイ搬送ライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10