(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033764
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20230306BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
G07B15/00 510
G07B15/00 P
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139647
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】中溝 祐樹
【テーマコード(参考)】
3E127
5H181
【Fターム(参考)】
3E127AA16
3E127BA25
3E127CA13
3E127CA17
3E127CA18
3E127CA22
3E127CA23
3E127CA38
3E127CA41
3E127CA42
3E127DA21
3E127EA03
3E127EA12
3E127FA22
3E127FA27
5H181AA01
5H181BB04
5H181DD09
5H181EE10
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】車両による不正通行をより高精度に検知することを可能とする技術が提供されることが望まれる。
【解決手段】プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、
ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、
前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、
前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示す場合に、第1の情報を出力する出力部を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記第1の情報として前記車両を特定するための情報を記録サーバに送信する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記第1の情報を管理会社の職員端末に送信する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記第1の情報として所定の音データまたは所定の表示データを出力する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記第1の情報として前記第1の出口情報または前記第2の出口情報が示す出口に設置されている開閉バーの閉状態を維持するための制御信号を出力する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、
前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すと判定した場合における、前記第2の入口情報と前記第2の出口情報とに応じた料金の前記車両と同一車両についての累積金額が所定の金額よりも大きいか否かを判定する、
請求項2~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記累積金額が前記所定の金額よりも大きい場合に、前記第1の情報と異なる第2の情報を出力する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記推定部は、前記プローブデータに基づいて、前記第1の入口情報が示す第1の入口を前記車両が通過した第1の入口通過時刻と、前記第1の出口情報が示す第1の出口を前記車両が通過した第1の出口通過時刻とを推定し、
前記特定部は、前記ETCデータに基づいて、前記第2の入口情報が示す第2の入口を前記車両が通過した第2の入口通過時刻と、前記第2の出口情報が示す第2の出口を前記車両が通過した第2の出口通過時刻とを特定し、
前記判定部は、前記第1の入口通過時刻と前記第2の入口通過時刻との差分が第1の閾値より大きいという第1の条件と、前記第1の出口通過時刻と前記第2の出口通過時刻との差分が第2の閾値より大きいという第2の条件との少なくともいずれか一方が満たされるか否かをさらに判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理装置は、
前記第1の条件と前記第2の条件との少なくともいずれか一方が満たされると判定された場合に、第1の情報を出力する出力部を備える、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定することと、
ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定することと、
前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定することと、
を備える、情報処理方法。
【請求項12】
コンピュータを、
プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、
ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、
前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、
を備える情報処理装置として機能させるプログラム。
【請求項13】
プローブ処理装置と、料金所サーバと、情報処理装置とを備える、情報処理システムであって、
前記プローブ処理装置は、プローブデータを前記情報処理装置に送信し、
前記料金所サーバは、ETCデータを前記情報処理装置に送信し、
前記情報処理装置は、
前記プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、
前記ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、
前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、
を備える、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路上のETC(Electronic Toll Collection System)レーンの車両による不正通行を検知するシステムに関する各種の技術が知られている。例えば、車載器から読み取られた位置情報に、上り車線に対応する位置情報と、下り車線に対応する位置情報とが混在しているか否かに基づいて、車両による不正通行を検知する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、車両の走行経路の推定を行う技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-283517号公報
【特許文献2】特開2018-22398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、車両による不正通行をより高精度に検知することを可能とする技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0006】
前記情報処理装置は、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示す場合に、第1の情報を出力する出力部を備えてもよい。
【0007】
前記出力部は、前記第1の情報として前記車両を特定するための情報を記録サーバに送信してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記第1の情報を管理会社の職員端末に送信してもよい。
【0009】
前記出力部は、前記第1の情報として所定の音データまたは所定の表示データを出力してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記第1の情報として前記第1の出口情報または前記第2の出口情報が示す出口に設置されている開閉バーの閉状態を維持するための制御信号を出力してもよい。
【0011】
前記判定部は、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すと判定した場合における、前記第2の入口情報と前記第2の出口情報とに応じた料金の前記車両と同一車両についての累積金額が所定の金額よりも大きいか否かを判定してもよい。
【0012】
前記出力部は、前記累積金額が前記所定の金額よりも大きい場合に、前記第1の情報と異なる第2の情報を出力してもよい。
【0013】
前記推定部は、前記プローブデータに基づいて、前記第1の入口情報が示す第1の入口を前記車両が通過した第1の入口通過時刻と、前記第1の出口情報が示す第1の出口を前記車両が通過した第1の出口通過時刻とを推定し、前記特定部は、前記ETCデータに基づいて、前記第2の入口情報が示す第2の入口を前記車両が通過した第2の入口通過時刻と、前記第2の出口情報が示す第2の出口を前記車両が通過した第2の出口通過時刻とを特定し、前記判定部は、前記第1の入口通過時刻と前記第2の入口通過時刻との差分が第1の閾値より大きいという第1の条件と、前記第1の出口通過時刻と前記第2の出口通過時刻との差分が第2の閾値より大きいという第2の条件との少なくともいずれか一方が満たされるか否かをさらに判定してもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記第1の条件と前記第2の条件との少なくともいずれか一方が満たされると判定された場合に、第1の情報を出力する出力部を備えてもよい。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定することと、ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定することと、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定することと、を備える、情報処理方法が提供される。
【0016】
また、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、
を備える情報処理装置として機能させるプログラムが提供される。
【0017】
また、本発明の別の観点によれば、プローブ処理装置と、料金所サーバと、情報処理装置とを備える、情報処理システムであって、前記プローブ処理装置は、プローブデータを前記情報処理装置に送信し、前記料金所サーバは、ETCデータを前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置は、前記プローブデータに基づいて車両の走行経路の第1の入口情報と第1の出口情報とを推定する推定部と、前記ETCデータに基づいて前記車両が通過した第2の入口情報と第2の出口情報とを特定する特定部と、前記第1の入口情報と前記第2の入口情報との比較結果および前記第1の出口情報と前記第2の出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する判定部と、を備える、情報処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように本発明によれば、車両による不正通行をより高精度に検知することを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す図である。
【
図2】同実施形態に係る情報処理システムの動作例を示すシーケンス図である。
【
図3】同実施形態に係る不正通行検知装置の例としての情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素等の各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0022】
(1.実施形態の詳細)
本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0023】
(1-1.情報処理システムの構成)
まず、本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成例について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの機能構成例を示す図である。
図1に示されるように、情報処理システム1は、不正通行検知装置10と、RSU(Roadside Unit)20と、プローブ処理装置30と、ETC40と、料金所サーバ50と、職員端末60とを備える。なお、車両M1と車両M2とは、同一の車両である。
【0024】
図1に示されるように、RSU20とプローブ処理装置30とが接続されており、ETC40と料金所サーバ50とが接続されており、プローブ処理装置30と不正通行検知装置10とが接続されており、料金所サーバ50と不正通行検知装置10とが接続されている。さらに、
図1に示されるように、不正通行検知装置10と職員端末60とが接続されている。装置間は、有線または無線によって接続されていてよい。
【0025】
(RSU20)
RSU20は、路側無線通信装置に該当し、ITS(Intelligent Transport Systems)スポットとも称される。RSU20は、車両M1に搭載されたETC車載器との間において無線通信を行うことによって、車両M1から車両M1に関する情報(以下、「プローブデータ」とも言う。)を取得する。
【0026】
ここで、プローブデータは、あらかじめ登録された位置(キロポスト)ごとの車両M1の通過時刻と、車両M1の識別情報の例としてのASL-ID(ETC車載器の識別情報)とを少なくとも含む。なお、ASL-IDは、車両M1の識別情報の一例に過ぎないため、ASL-IDの代わりに、車両M1の他の識別情報が用いられてもよい。RSU20は、取得したプローブデータをプローブ処理装置30に送信する。
【0027】
(プローブ処理装置30)
プローブ処理装置30は、RSU20によって送信されたプローブデータを受信する。そして、プローブ処理装置30は、受信したプローブデータを蓄積する。プローブ処理装置30は、蓄積したプローブデータを不正通行検知装置10に送信する。例えば、プローブ処理装置30は、蓄積したプローブデータを所定の時間ごと(例えば、5分ごと)に不正通行検知装置10に送信してもよい。
【0028】
なお、プローブ処理装置30は、コンピュータによって実現され得る。すなわち、プローブ処理装置30は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【0029】
(ETC40)
ETC40は、有料道路(例えば、高速道路など)の料金所に設けられた開閉ゲートのアンテナと、車両M2に搭載されたETC車載器とを含んで構成される。ここで、料金所は、一般道路と有料道路とをつなぐ出入口に設けられる。出入口は、IC(インターチェンジ)に該当する。以下では、車両M2が一般道路から有料道路に入ったインターチェンジを入口ICとも言う。さらに、車両M2が有料道路から一般道路に出たインターチェンジを出口ICとも言う。
【0030】
開閉ゲートのアンテナは、ETC車載器との間において無線通信を行うことによって、車両M2の識別情報の例としてのWCN(Wireless Call Number)(ETC車載器の識別情報)を取得する。なお、WCNは、車両M2の識別情報の一例に過ぎないため、WCNの代わりに、車両M2の他の識別情報が用いられてもよい。ETC40は、取得した車両M2のWCNと、車両M2が通過した出入口に関する情報と、車両M2が出入口を通過した通過時刻とを料金所サーバ50に送信する。
【0031】
ここで、出入口に関する情報は、入口ICを示す情報、または、出口ICを示す情報を含む。以下では、入口ICを示す情報を単に「入口情報」とも言う。さらに、出口ICを示す情報を単に「出口情報」とも言う。さらに、開閉ゲートのアンテナは、料金所サーバ50によって算出された料金を受信し、車両M2に搭載されたETCカードとの間において無線通信を行うことによって、受信した料金の決済処理を行う。
【0032】
(料金所サーバ50)
料金所サーバ50は、ETC40によって送信された、車両M2のWCNと、車両M2が通過した出入口に関する情報と、車両M2が通過した出入口を通過した通過時刻とを受信する。そして、料金所サーバ50は、料金所サーバ50は、受信した車両M2のWCNと、車両M2が通過した出入口に関する情報と、車両M2が通過した出入口を通過した通過時刻とを蓄積する。料金所サーバ50は、あらかじめ用意された入口情報および出口情報と料金との対応表に基づいて、車両M2の入口情報と出口情報とに応じた料金を車両M2の支払料金として算出する。
【0033】
料金所サーバ50は、算出した車両M2の支払料金をETC40に送信する。さらに、料金所サーバ50は、不正通行検知装置10に対して、車両M2のWCNと車両M2が通過した入口情報と車両M2が通過した出口情報とを含んだETCデータを送信する。なお、後の変形例にて説明するように、料金所サーバ50から不正通行検知装置10に送信されるETCデータには、車両M2の支払料金と、車両M2が入口を通過した入口通過時刻と、車両M2が出口を通過した出口通過時刻とが含まれてもよい。
【0034】
なお、料金所サーバ50は、コンピュータによって実現され得る。すなわち、料金所サーバ50は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【0035】
(不正通行検知装置10)
不正通行検知装置10は、コンピュータによって実現され、情報処理装置の例として機能し得る。
図1を参照すると、不正通行検知装置10は、推定部120と、特定部130と、判定部140と、出力部150とを備える。不正通行検知装置10には、同一の車両のWCNとASL-IDとがあらかじめ対応付けられた対応情報が蓄積されている。
【0036】
推定部120、特定部130、判定部140および出力部150は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【0037】
(推定部120)
推定部120は、プローブ処理装置30から受信されたプローブデータを取得する。そして、推定部120は、プローブデータに基づいて車両M1の走行経路の入口情報(第1の入口情報)と出口情報(第1の出口情報)とを推定する。
【0038】
より詳細に、プローブデータには、車両M1のASL-IDとあらかじめ登録された位置ごとの車両M1の通過時刻とが含まれる。そこで、推定部120は、プローブデータに含まれる位置ごとの車両M1の通過時刻と、あらかじめ用意された道路地図とに基づいて、マップマッピングにより、車両M1の走行経路の入口情報と出口情報とを推定し得る。
【0039】
(特定部130)
特定部130は、料金所サーバ50から受信されたETCデータを取得する。そして、特定部130は、ETCデータに基づいて車両M2が通過した入口情報(第2の入口情報)と出口情報(第2の出口情報)とを特定する。
【0040】
より詳細に、ETCデータには、車両M2のWCNと車両M2が通過した入口情報と車両M2が通過した出口情報とが含まれる。そこで、特定部130は、ETCデータに含まれる入口情報を車両M2が通過した入口情報として特定し、ETCデータに含まれる出口情報を車両M2が通過した出口情報として特定し得る。
【0041】
(判定部140)
判定部140は、車両M1のASL-IDと車両M2のWCNとあらかじめ蓄積された対応情報とに基づいて、車両M1と車両M2とが同一車両であるか否かを判定する。ここでは、車両M1と車両M2とが同一車両(以下、単に「同一車両」とも言う。)であると判定された場合を想定する。
【0042】
判定部140は、推定部120によって推定された入口情報と特定部130によって特定された入口情報とを比較する。さらに、判定部140は、推定部120によって推定された出口情報と特定部130によって特定された出口情報とを比較する。そして、判定部140は、入口情報同士の比較結果および出口情報同士の比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定する。
【0043】
入口情報同士の比較結果および出口情報同士の比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すことは、車両によるETCレーンの不正通行(以下、単に「車両による不正通行」とも言う。)がなされた可能性があることを示す。したがって、かかる判定によれば、車両による不正通行を高精度に検知することが可能となる。
【0044】
(出力部150)
出力部150は、入口情報同士の比較結果および出口情報同士の比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示す場合に、車両による不正通行がなされた可能性があること(第1の情報)を出力する。これによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが所定の人物(例えば、有料道路の管理会社の職員など)によって把握され得る。
【0045】
出力部150は、車両による不正通行がなされた可能性があることを職員端末60に送信する。これによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが有料道路の管理会社の職員によって把握され得る。
【0046】
出力部150は、車両による不正通行がなされた可能性があることとして車両を特定するための情報を図示しない記録サーバに送信してもよい。これによって、図示しない記録サーバによって記録された車両を特定するための情報が、後に有料道路の管理会社の職員によって参照されることによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが後に職員によって把握され得る。ここで、車両を特定するための情報は、特に限定されない。一例として、車両を特定するための情報は、車両のWCNであってもよい。
【0047】
あるいは、出力部150は、車両による不正通行がなされた可能性があることとして所定の音データを図示しないスピーカに出力してもよい。これによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが職員および車両の運転手などによって聴覚的に把握され得る。例えば、所定の音データは、「不正通行がなされた可能性があります」などといった音声データであってもよい。
【0048】
あるいは、出力部150は、車両による不正通行がなされた可能性があることとして所定の表示データを図示しないディスプレイ(例えば、電光掲示板など)に出力してもよい。これによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが職員および車両の運転手などによって視覚的に把握され得る。例えば、所定の表示データは、「不正通行がなされた可能性があります」などといった表示データであってもよい。
【0049】
出力部150は、車両による不正通行がなされた可能性があることとして、推定部120によって推定された出口情報または特定部130によって特定された出口情報が示す出口に設置されている図示しない開閉バーの閉状態を維持するための制御信号を図示しない開閉装置に出力してもよい。これによって、開閉バーの閉状態が維持されるため、不正通行がなされた可能性のある車両が出口から出てしまうことが防止され得る。
【0050】
(職員端末60)
職員端末60は、有料道路の管理会社の職員によって使用される端末である。職員端末60は、車両による不正通行がなされた可能性があることを不正通行検知装置10から受信し得る。このとき、職員端末60は、車両による不正通行がなされた可能性があることを職員端末60のスピーカまたはディスプレイから出力させることによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが有料道路の管理会社の職員によって把握され得る。
【0051】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の構成例について説明した。
【0052】
(1-2.情報処理システムの動作)
まず、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の動作例について説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の動作例を示すシーケンス図である。
【0053】
図2に示されるように、プローブ処理装置30は、プローブデータを不正通行検知装置10に送信する(S11)。続いて、不正通行検知装置10において、推定部120は、プローブ処理装置30から受信されたプローブデータを取得する。そして、推定部120は、プローブデータに基づいて車両の走行経路の入口情報と出口情報とを推定する(S12)。推定部120は、推定した車両の走行経路の入口情報と出口情報とを判定部140に送信する(S13)。
【0054】
一方、料金所サーバ50は、不正通行検知装置10に対して、車両のWCNと車両が通過した入口情報と車両が通過した出口情報とを含んだETCデータを送信する(S14)。不正通行検知装置10において、特定部130は、料金所サーバ50から受信されたETCデータを取得する。そして、特定部130は、ETCデータに基づいて車両が通過した入口情報と出口情報とを特定する(S15)。特定部130は、推定した車両が通過した入口情報と出口情報とを判定部140に送信する(S16)。
【0055】
判定部140は、推定部120によって推定された入口情報と特定部130によって特定された入口情報とを比較する。さらに、判定部140は、推定部120によって推定された出口情報と特定部130によって特定された出口情報とを比較する。そして、判定部140は、入口情報同士の比較結果および出口情報同士の比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かを判定することによって、車両による不正通行がなされたか否かを判定する(S17)。
【0056】
続いて、判定部140は、判定結果を出力部150に出力する(S18)。出力部150は、車両による不正通行がなされた場合には、車両による不正通行がなされた可能性があることを職員端末60に通知する(S19)。これによって、車両による不正通行がなされた可能性があることが職員によって把握され得る。
【0057】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の動作例について説明した。
【0058】
(1-3.効果)
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る情報処理システム1によれば、プローブデータに基づいて推定された車両の走行経路の入口情報とETCデータに基づいて特定された車両が通過した入口情報との比較結果、および、プローブデータに基づいて推定された車両の走行経路の出口情報とETCデータに基づいて特定された車両が通過した出口情報との比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すか否かが判定される。これによって、車両による不正通行をより高精度に検知することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の実施形態に係る情報処理システム1が奏する効果について説明した。
【0060】
(2.ハードウェア構成例)
続いて、本発明の実施形態に係る不正通行検知装置10のハードウェア構成例について説明する。
【0061】
以下では、本発明の実施形態に係る不正通行検知装置10のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、不正通行検知装置10のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、不正通行検知装置10のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。なお、プローブ処理装置30および料金所サーバ50それぞれのハードウェア構成も、不正通行検知装置10のハードウェア構成と同様に実現され得る。
【0062】
図3は、本発明の実施形態に係る不正通行検知装置10の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0063】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバス等から構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0064】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バス等の外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0065】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバー等ユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路等から構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0066】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプ等の表示装置およびスピーカ等の音声出力装置を含む。
【0067】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置等を含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0068】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイス等で構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0069】
以上、本発明の実施形態に係る不正通行検知装置10のハードウェア構成例について説明した。
【0070】
(3.まとめ)
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0071】
例えば、推定部120は、プローブデータに基づいて、車両の走行経路の入口情報(第1の入口情報)が示す入口(第1の入口)を車両が通過した入口通過時刻(第1の入口通過時刻)を推定してもよい。さらに、推定部120は、プローブデータに基づいて、車両の走行経路の出口情報(第1の出口情報)が示す出口(第1の出口)を車両が通過した出口通過時刻(第1の出口通過時刻)を推定してもよい。例えば、入口通過時刻および出口通過時刻は、マップマッチングによって推定されてもよい。
【0072】
さらに、特定部130は、ETCデータに基づいて、入口情報(第2の入口情報)が示す入口(第2の入口)を車両が通過した入口通過時刻(第2の入口通過時刻)を特定してもよい。さらに、特定部130は、ETCデータに基づいて、出口情報(第2の出口情報)が示す出口(第2の出口)を車両が通過した出口通過時刻(第2の出口通過時刻)を特定してもよい。
【0073】
このとき、判定部140は、推定部120によって推定された入口通過時刻と特定部130によって特定された入口通過時刻との差分が第1の閾値より大きいという第1の条件が満たされるか否かを判定してもよい。さらに、判定部140は、推定部120によって推定された出口通過時刻と特定部130によって特定された出口通過時刻との差分が第2の閾値より大きいという第2の条件が満たされるか否かを判定してもよい。
【0074】
そして、判定部140は、入口情報同士の比較結果および出口情報同士の比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示す場合に、第1の条件と第2の条件との少なくともいずれか一方が満たされるか否かをさらに判定してもよい。かかる構成によれば、車両による不正通行がなされた可能性があることがより高精度に検知され得る。
【0075】
なお、出力部150は、第1の条件と第2の条件との少なくともいずれか一方が満たされると判定部140によって判定された場合に、車両による不正通行がなされた可能性があることを出力してもよい。
【0076】
また、判定部140は、入口情報同士の比較結果および出口情報同士の比較結果の少なくともいずれか一方が不一致を示すと判定した場合に、特定部130によって特定された入口情報と出口情報とに応じた料金を同一車両について積算してもよい。そして、判定部140は、積算して得られた累積金額が所定の金額よりも大きいか否かを判定してもよい。これによって、多額の料金に相当する不正通行を累積的に行った車両が検知され得る。
【0077】
このとき、出力部150は、累積金額が所定の金額よりも大きい場合に、車両による不正通行がなされた可能性があることとは異なる情報(第2の情報)を出力してもよい。例えば、出力部150は、累積金額が所定の金額よりも大きい場合に、多額の料金に相当する不正通行が車両によって累積的に行われたことを出力してもよい。なお、多額の料金に相当する不正通行が車両によって累積的に行われたことは、車両による不正通行がなされた可能性があることと同様の手法によって出力されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理システム
10 不正通行検知装置
120 推定部
130 特定部
140 判定部
150 出力部
20 RSU
30 プローブ処理装置
40 ETC
50 料金所サーバ
60 職員端末