(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033779
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】自動改札機
(51)【国際特許分類】
G07B 11/02 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
G07B11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139668
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(74)【代理人】
【識別番号】100200218
【弁理士】
【氏名又は名称】沼尾 吉照
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 雅朗
【テーマコード(参考)】
3E127
【Fターム(参考)】
3E127AA01
3E127BA01
3E127BA03
3E127CA02
3E127DA27
3E127DA28
3E127FA32
3E127FA34
3E127FA47
3E127FA48
3E127FA61
(57)【要約】
【課題】裏面を上側にして券が投入された場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性が向上する自動改札機を提供することである。
【解決手段】実施形態の自動改札機は、印刷ヘッドと、パンチ部と、反転機構と、を備える。印刷ヘッドは、複数枚の媒体が投入される投入口から媒体を1枚ずつ分離して搬送する搬送路の途中に設けられ、媒体の一方の面に印刷する。パンチ部は、搬送路の印刷ヘッドよりも手前に設けられ、媒体の搬送を一時的に停止し、媒体に穿孔処理を行う。反転機構は、印刷ヘッドとパンチ部と間の搬送路に設けられ、媒体の表裏を反転させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の媒体が投入される投入口から前記媒体を1枚ずつ分離して搬送する搬送路の途中に設けられ、前記媒体の一方の面に印刷する印刷ヘッドと、
前記搬送路の前記印刷ヘッドよりも手前に設けられ、前記媒体の搬送を一時的に停止し、前記媒体に穿孔処理を行うパンチ部と、
前記印刷ヘッドと前記パンチ部と間の前記搬送路に設けられ、前記媒体の表裏を反転させる反転機構と、
を備える自動改札機。
【請求項2】
前記媒体の処理を制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、前記媒体の印刷が必要な面と前記印刷ヘッドが印刷可能な面とが異なる場合、前記媒体の表裏を反転させるよう前記反転機構を制御する、
請求項1に記載の自動改札機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記搬送路を搬送される先行する前記媒体が前記反転機構による反転時、前記搬送路を搬送される後行する前記媒体の搬送を前記パンチ部によって停止させる、
請求項2記載の自動改札機。
【請求項4】
前記搬送路の前記パンチ部よりも上流側に、搬送される前記媒体を保留する保留部をさらに備え、
前記制御部は、複数の前記媒体を前記投入口に投入された際に、前記パンチ部が先行する前記媒体の停止を終了するまで、後行する前記媒体の搬送を一時的に保留させるよう前記保留部を制御する、請求項3に記載の自動改札機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、自動改札機に関する。
【背景技術】
【0002】
自動改札機は、投入口から放出口まで搬送路に沿って券を搬送し、搬送路において券に所定の処理を行う。自動改札機に投入される券は、情報が印刷される表面と、磁気情報が記録される裏面とを備える。そして、自動改札機は、搬送する券の磁気情報を処理する磁気処理部と、搬送する券に情報を印刷する印刷部と、を備える。例えば、裏面を上側にした姿勢で券が自動改札機の投入口から投入された場合、自動改札機は、表面処理用とは別に設けられた裏面処理用の構成により、券から磁気情報の読み取り及び券に情報の印刷を行うことができる。このような自動改札機では、券が裏面を上側にして投入される頻度は低いにもかかわらず、表面処理用と同様の構成が裏面処理用の構成として設けられている。
【0003】
すなわち、券の表面に印刷を行う表面印刷用サーマルヘッドと裏面印刷用サーマルヘッドとを設けた構成となっている(特許文献1)。このような構成であると、印刷ヘッドは単価が高価であり、搬送部のコストアップの要因となっている。また、印刷ヘッドは調整に時間が掛かり、印刷ヘッド搭載個数分だけメンテナンスコストが必要になる。
【0004】
また印刷ヘッド数を減らすために、裏面を上側にして投入された券は表裏反転部で表裏反転した後に印刷部に搬送して印刷を行うようにしたものもある(特許文献2)。しかしながら特許文献2に記載されたような構成では、構成が複雑化するとともに、複数枚の券が投入されるような自動改札機では、先行する券が表裏反転する必要があるか否かが判明するまで、次の券の取り込みができないので、時間が掛かってしまうという問題もある。さらに、先行する券の表裏反転が完了するまで次の後行する券の取り込みができないので、券の処理に時間が掛かる、という問題もある。
【0005】
そこで、自動改札機では、券の裏面に印刷が必要な場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性を向上することが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-275622号公報
【特許文献2】特許第2827418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、券の裏面に印刷が必要な場合の処理を簡素な構成で実現するとともに、メンテナンス性が向上する自動改札機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の自動改札機は、印刷ヘッドと、パンチ部と、反転機構と、を備える。印刷ヘッドは、複数枚の媒体が投入される投入口から媒体を1枚ずつ分離して搬送する搬送路の途中に設けられ、媒体の一方の面に印刷する。パンチ部は、搬送路の印刷ヘッドよりも手前に設けられ、媒体の搬送を一時的に停止し、媒体に穿孔処理を行う。反転機構は、印刷ヘッドとパンチ部と間の搬送路に設けられ、媒体の表裏を反転させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る自動改札機の構成の一例を示す概略図。
【
図2】実施形態に係る自動改札機の磁気処理部の構成の一例を示す概略図。
【
図3】実施形態に係る自動改札機のパンチ・印刷部の構成の一例を示す概略図。
【
図4】実施形態に係る自動改札機の制御部の構成の一例を示すブロック図。
【
図5】実施形態に係る自動改札機に1枚の券が投入されたときに自動改札機1が実行する処理の一例を示すフローチャート。
【
図6】実施形態に係る自動改札機の制御部が実行する券の読取処理の一例を示すフローチャート。
【
図7】実施形態に係る自動改札機の制御部が実行する券のパンチ・印刷処理の一例を示すフローチャート。
【
図8】実施形態に係る自動改札機に複数枚の券が投入されたときに、自動改札機1が実行する処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、鉛直方向に沿う方向を高さ方向とし、高さ方向について高い側を上側、高さ方向について低い側を下側として説明する。また、自動改札機に投入される券(媒体)は、自動改札機に投入時に情報(可視情報)が既に印刷されている表面と、磁気情報が記録されている裏面(磁気記録面)とを備え、例えば、乗車券である。券は、表面に印刷が必要な券と、裏面に印刷が必要な券と、がある。表面に印刷が必要な券は、例えば、エドモンソン券や85mm券のうち大型券等である。裏面に印刷が必要な券は、例えば、SF(Stored fare)カード等である。
【0011】
図1は、実施形態に係る自動改札機1の構成の一例を示す概略図を示す。自動改札機1は、分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40及び放出・集札部50を備える。分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40及び放出・集札部50は、それぞれ券を搬送する搬送ベルト、搬送ベルトを駆動するローラ等が設けられる搬送路を備える。自動改札機1では、投入口ENに投入された券が、分離部10、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40及び放出・集札部50を搬送路に沿って搬送される。当該券は、放出・集札部50に設けられる放出口EXから放出される。
【0012】
分離部10は、投入口ENに複数枚の券が同時に投入された場合に、各券を分離し、券を一枚ずつ整列部20に搬送する。整列部20は、分離部10から搬送される券の搬送方向を券の長手方向に揃えるとともに、券の搬送位置を一方側に整列させ、磁気処理部30に券を搬送する。磁気処理部30は、整列部20から搬送される券に対して磁気処理を行う。例えば、磁気処理部30は、駅構内に入場する利用者が自動改札機1を利用する際に、入場駅、入場時刻等の情報を券に磁気記録する。磁気処理部30は、磁気処理した券をパンチ・印刷部40に搬送する。パンチ・印刷部40は、磁気処理部30から搬送される券に自動改札機1を通過した印を示す穴をパンチにより開けるとともに、券面に必要な情報を印刷する。パンチ・印刷部40は、パンチ処理及び印刷処理をした券を放出・集札部50に搬送する。放出・集札部50は、パンチ・印刷部40から搬送される券を放出口EXから放出する。このとき、券が複数枚、例えば2枚同時に投入口ENに投入され、分離部10で分離され順次、整列部20、磁気処理部30、パンチ・印刷部40を搬送される場合は、放出・集札部50で重ね合わせた後、2枚の券を放出口EXから2枚同時に放出する。
【0013】
図2は、実施形態に係る自動改札機1の磁気処理部30の構成の一例を示す概略図である。磁気処理部30は、読取ヘッド31、書込ヘッド32、ベリファイヘッド33、保留部34及び第一の反転機構35を備える。
【0014】
読取ヘッド31は、複数の読取ヘッドによって構成され、本実施形態の自動改札機は、上側読取ヘッド31a及び下側読取ヘッド31bを備える。上側読取ヘッド31aは、搬送される券の上側の面に記録された磁気情報を読み取る。下側読取ヘッド31bは、搬送される券の下側の面に記録された磁気情報を読み取る。
【0015】
上側読取ヘッド31aで磁気情報を読取ることができた券は、第一の反転機構35によってスイッチバックすることにより表裏反転され、書込ヘッド32に送られる。また、下側読取ヘッド31bで磁気情報を読取ることができた券は表裏反転されることなく、書込ヘッド32に送られる。
【0016】
書込ヘッド32は、搬送される券の裏面に磁気情報を書込む。ベリファイヘッド33は、書込ヘッド32によって券の裏面に記録された磁気情報を読み取り、正しく記録されたかを確認する。
【0017】
読取ヘッド31、書込ヘッド32及びベリファイヘッド33は、投入口EN側から放出口EX側へ、この順で搬送路に配置される。なお、上側読取ヘッド31a及び下側読取ヘッド31bは、搬送路に配置される順が逆であってもよい。すなわち、読取ヘッド31は磁気処理部30において投入口EN側の搬送路に設けられ、券の磁気記録面(裏面)が搬送路の上側又は下側のいずれを向いているかを確認するとともに、磁気記録面から磁気情報を読取る。そして、磁気記録面が上側である場合は、第一の反転機構35によって磁気記録面が下側になるように揃えられ、書込ヘッド32によって入場駅情報や入場時刻などを書き込まれる。そして、ベリファイヘッド33によって書込み情報が正しく書き込まれたかを確認する。
【0018】
パンチ・印刷部40よりも上流側に設けられた保留部34は、券が複数枚投入されたときは、搬送される券を保留する。保留部34は、ストッパS1及びストッパS1とは別のストッパS2を備える。ストッパS1には1枚の券を保留でき、ストッパS2には1枚の券を保留できる。すなわち、保留部34は搬送される券を保留する保留スペースを2つ備え、保留部34は2枚の券を保留できる。保留部34は、ストッパS2が券を保留している場合に、ストッパS1を用いて券を保留する。なお、保留部34に保留される券の枚数は2枚に限定されるものではなく、自動改札機1の構成等に応じて適宜設定することができる。
【0019】
図3は、実施形態に係る自動改札機のパンチ・印刷部40の構成の一例を示す概略図である。パンチ・印刷部40は、パンチ部41、第二の反転機構43及び印刷ヘッド42を備える。
【0020】
パンチ部41は、搬送路の印刷ヘッド42よりも上流に設けられ、券の搬送を一時的に停止し、券に穿孔処理を行う。例えば、パンチ部41は、券に対して必要に応じてパンチ孔を形成する機能を有している。パンチ部41は、書込ヘッド32により入場駅情報や入場時刻などの情報が書き込まれた券にパンチ処理を施す。また、プリペイドカード等の券には使用目安のパンチ処理を施す。このパンチ部41においては、穿孔処理の際に券の搬送を一時的に停止させる必要がある。このため、パンチ部41は、ストッパS3を備えており、券を一時的に保留可能な構成となっている。このように、パンチ部41は、保留手段としての機能も有している。
【0021】
印刷ヘッド42は、複数枚の券が投入される投入口ENから券を1枚ずつ分離して搬送する搬送路の途中に設けられ、券の一方の面に印刷する。例えば、印刷ヘッド42は、搬送される券の上側の面に情報を印刷する。印刷ヘッド42は、搬送される券の種類が表面に印刷が必要な券である場合は、その券の表面すなわち、磁気記録面とは反対の面に日付や入場時刻等の所定の情報を印刷する。また、印刷ヘッド42は、搬送される券の種類が裏面に印刷が必要な券である場合は、券の裏面すなわち、磁気記録面に利用情報を印刷する。印刷ヘッド42は、券を加熱して感熱層を発色させることにより印刷記録を施すサーマルヘッドなどにより構成される。
【0022】
第二の反転機構43は、印刷ヘッド42とパンチ部41と間の搬送路に設けられ、券の表裏を反転させる。例えば、第二の反転機構43は、第一の反転機構35と同様のスイッチバック機構を備える。
【0023】
第二の反転機構43は、搬送される券の種類に基づいて、券の表面に印刷すべきか券の裏面に印刷すべきか判定する。第二の反転機構43は、印刷ヘッド42が券の印刷が必要な面と印刷ヘッド42が印刷可能な面とが異なる場合に券の上側と下側(表裏)を反転する。例えば、磁気処理部30では、磁気記録面が下側になるように券の表裏が揃えられている。搬送される券が表面に印刷が必要な券である場合は、磁気記録面が下側になっていれば、印刷面は磁気記録面と反対側(上側)であるので、そのまま印刷ヘッド42に搬送して印刷を行えばよい。しかしながら、搬送される券の種類が裏面に印刷が必要な券である場合は、利用情報を磁気記録面側(下側)に印刷する必要がある。このため、搬送されてくる券の種類が裏面に印刷が必要な券である場合は、券を第二の反転機構43に搬入し、表裏反転した後に印刷ヘッド42に搬送して印刷を行う。
【0024】
このように、磁気処理部30では磁気記録面が下側となるように揃えられるが、券の印刷面は券の種類によって磁気記録面とは反対の面であったり、磁気記録面であったりする。このため、券の印刷面が磁気記録面である場合は、券を第二の反転機構(反転機構)に搬入して表裏反転した後に印刷ヘッドに搬入するように構成することによって、単一の印刷ヘッドで搬送される券のいずれの面にも印刷可能である。
【0025】
しかも、磁気記録面に印刷する必要のある券は、一日乗車券のように自動改札機での券の利用頻度は少ないので、表裏反転の必要な券は少なく、自動改札機としての券の処理時間は短くなる。換言すれば、自動改札機を通過する利用者に対する処理時間も短時間で済むものである。
【0026】
また、パンチ・印刷部40に備えられる第二の反転機構43は、搬送路において磁気処理部30に備えられる第一の反転機構35よりも印刷ヘッド42に近い位置に備えられる。これにより、自動改札機1は、搬送される券の下側の面に情報を印刷する印刷ヘッドを備えることなく、券の表面及び裏面への情報の印刷が可能である。また、自動改札機1は、備える印刷ヘッドの数を削減することで、メンテナンスの手間が軽減され且つより簡素な構成で券の表面及び裏面への情報の印刷を実現できる。なお、第二の反転機構43は、券の表裏を第一の反転機構35と異なる方法で反転させてもよい。
【0027】
次に、自動改札機1の制御部の構成について説明する。
図4は、実施形態に係る自動改札機1の制御部60の構成の一例を示すブロック図である。自動改札機1の制御部60は、券の処理を制御する。制御部60は、主制御部61、搬送制御部62及び磁気制御部63を備える。
【0028】
主制御部61は、自動改札機1全体を制御する。主制御部61は、例えば、券の分離処理、磁気処理、パンチ・印刷処理、集札処理等を実行する。搬送制御部62は、主制御部61の制御の下で、投入口ENに投入された券が放出口EXから放出されるまでの券の搬送処理を制御する。搬送制御部62は、例えば、券の分離制御、券の整列制御、磁気処理部30の搬送制御、パンチ・印刷部40における搬送制御(パンチ・印刷制御)、及び放出・集札部50における搬送制御(放出・集札制御)を実行する。磁気処理部30及びパンチ・印刷部40の搬送制御では、例えば、反転制御及び保留制御を実行する。本実施形態の自動改札機1では、搬送制御部62は、自動改札機1の搬送路、保留部34、パンチ部41での券の保留、第一の反転機構35及び第二の反転機構43の作動を少なくとも制御する。磁気制御部63は、主制御部61の制御及び/又は搬送制御部62の制御の下で、磁気処理部30に搬送された券に対する磁気処理の全般を制御する。本実施形態の自動改札機1では、磁気制御部63は、
図2等に示す読取ヘッド31、書込ヘッド32及びベリファイヘッド33の作動を制御する。また、読取ヘッド31によって読取った情報を主制御部61に送ることで、読取った券の種類を判定するようになっている。
【0029】
なお、自動改札機1の制御部60は、上記の制御部に加えて、通行制御部64、電源制御部65、及びIC制御部66を備えていてもよい。通行制御部64は、自動改札機1における人の通行に関連する制御を実行する。電源制御部65は、自動改札機1の電源を制御する。IC制御部66は、自動改札機1で使用されるICカード等に関連する制御を実行する。通行制御部64、電源制御部65、及びIC制御部66のそれぞれも、主制御部61の制御の下で、それぞれの制御を実行する。
【0030】
制御部60は、例えば、処理装置によって構成される。処理装置は、プロセッサ及び記憶媒体を備える。プロセッサは、主制御部61、搬送制御部62及び磁気制御部63の処理を実行し、記憶媒体がプロセッサの処理に必要となるデータ等を記憶する。処理装置は、例えば、コンピュータ等である。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)及びDSP(Digital Signal Processor)等のいずれかを含む。記憶媒体には、メモリ等の主記憶装置に加えて、補助記憶装置が含まれ得る。記憶媒体は、磁気ディスク及び半導体メモリ(USBメモリ,SSD等)等である。
【0031】
ある処理装置において、プロセッサ及び記憶媒体のそれぞれは、1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。プロセッサは、記憶媒体等に記憶されるプログラムを実行することにより、主制御部61、搬送制御部62及び磁気制御部63の処理を実行する。プロセッサにより実行されるプログラムが、ネットワークを介して接続された処理装置に格納されてもよい。ネットワークは、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN等である。ネットワークを介して接続された処理装置は、コンピュータ、サーバ、クラウド環境のサーバ等である。この場合、プロセッサは、ネットワーク経由でプログラムをダウンロードする。なお、処理装置には、ユーザーインタフェースが設けられてもよい。
【0032】
制御部60は、券の印刷が必要な面と印刷ヘッド42が印刷可能な面とが異なるか否かを判定する。例えば、制御部60は、搬送される券の磁気情報を上側読取ヘッド31a、又は下側読取ヘッド31bで読み取った情報に基づいて、搬送される券の種類を判定する。制御部60は、券の種類を判定した結果に基づいて、情報が印刷される面が上側にして搬送されるか否かを判定することで、券の印刷が必要な面と印刷ヘッド42が印刷可能な面とが異なるか否かを判定する。
【0033】
制御部60は、券の印刷が必要な面と印刷ヘッド42が印刷可能な面とが異なる場合、券の表裏を反転させるよう第二の反転機構43を制御する。例えば、制御部60は、パンチ部41側から搬送された券の印刷が必要な面が下側にして搬送される場合、第二の反転機構43を制御して反転し、印刷ヘッド42側へ搬送する。これにより、自動改札機1は、印刷ヘッド42が券の印刷が必要な面に印刷して、印刷処理に失敗することを避けることができる。
【0034】
また、制御部60は、搬送路を搬送される先行する券が第二の反転機構43による反転時、搬送路を搬送される後行する券の搬送をパンチ部41のストッパS3によって停止させる。例えば、投入口ENから複数の券が投入された場合、制御部60は、印刷ヘッド42又は第二の反転機構43において先行する券の印刷処理又は反転制御を行っているか否かを判定する。制御部60は、先行する券の印刷処理又は反転制御を行っている場合、パンチ部41が備えるストッパS3を制御して後行する券を保留する。制御部60は、先行する券の印刷処理及び反転制御の完了に応じて、ストッパS3による保留を解除し、搬送路を制御して後行の券を放出口EX側に搬送する。これにより、自動改札機1は、保留部34よりも印刷ヘッド42に近いパンチ部41で後行の券を保留することで、券の投入から放出までにかかる時間を短縮することができる。また、パンチ部41が穿孔処理を行う際に券の搬送を一時的に停止させるためのストッパS3を、先行する券の印刷処理又は反転制御のために後行の券を保留する保留スペースとして活用することができる。
【0035】
また、制御部60は、複数の券を投入口ENに投入された際に、パンチ部41が先行する券の停止を終了するまで、後行する券の搬送を一時的に保留させるよう保留部34を制御する。例えば、制御部60は、パンチ部41のストッパS3が先行の券を保留しているか否かを判定する。パンチ部41が先行の券を保留している場合、制御部60は、保留部34が備えるストッパS1又はS2を制御して券を保留する。制御部60は、先行する券のパンチ部41による保留の解除に応じて、ストッパS1又はS2による保留を解除し、搬送路を制御して後行の券を放出口EX側に搬送する。これにより、自動改札機1は、投入口ENから3枚以上の券が投入された場合であっても、パンチ部41又は保留部34が備えるストッパS1、S2及びS3によって券を保留することで、印刷ヘッド42による券の印刷処理及び第二の反転機構43による券の反転制御が完了するまで後行の券を保留することができる。
【0036】
次に、搬送制御部62及び磁気制御部63により実行される処理の一例を説明する。ただし、搬送制御部62及び磁気制御部63は、主制御部61と協働し、制御部60として自動改札機1の処理を実行する。
【0037】
図5は、自動改札機1に1枚の券が投入されたときに、自動改札機1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、自動改札機1に1枚の券が投入されるごとに、自動改札機1は、
図5に示す処理を繰り返し実行する。
図5に示すフローチャートは、自動改札機1に1枚の券が投入されてから放出されるまで、自動改札機1が一連の処理として実行するフローチャートである。
【0038】
図5に示すように、自動改札機1に1枚の券が投入口ENから投入されると、制御部60は、自動改札機1の搬送路を制御して、券の読取処理を行う(ST1-1)。次に、制御部60は、自動改札機1の搬送路を制御して、券のパンチ・印刷処理を行う(ST2-1)。その後、制御部60は、自動改札機1の搬送路を制御して、券を放出・集札部50から放出し(ST3)、処理を終了する。
【0039】
図6は、実施形態に係る自動改札機1の制御部60が実行する券の読取処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示すように、制御部60は、自動改札機1の搬送路を制御して、1枚の券を投入口ENから磁気処理部30まで搬送する(ST101)。磁気処理部30では、1枚の券が読取ヘッド31を通過する際に、磁気制御部63が上側読取ヘッド31a及び下側読取ヘッド31bの作動を制御して、当該券に記録された情報を読み取る(ST102)。
【0040】
上側読取ヘッド31aで券に記録された情報が読み取れた時は、券の磁気記録面が上側を向けた状態で投入されたと判断して、券を第一の反転機構35に搬送して券の表裏反転を行った後に券を書込ヘッド32に搬送する。一方、上側読取ヘッド31aで情報が読取りできず、下側読取ヘッド31bで情報の読取りができたときは、券の磁気記録面が下側を向けた正しい状態で投入されたと判断して、券を書込ヘッド32に搬送する。
【0041】
制御部60は、券を書込ヘッド32へ搬送し、書込ヘッド32の作動を制御して、読み取った情報に対応して、搬送された券に必要な情報を書き込む(ST103)。制御部60は、ベリファイヘッド33の作動を制御して、ベリファイヘッド33で券に記録された情報を読み取るとともに、券に記録された情報を確認する。ST105でベリファイヘッド33が券に記録された情報を正しく読み取れなかった場合(ST105、No)、書き込みエラー/係員処理(ST106)として処理を終了する。ベリファイヘッド33が券に記録された情報を正しく読み取れた場合(ST105、Yes)、読取処理を終了する。
【0042】
図7は、実施形態に係る自動改札機1の制御部60が実行する券のパンチ・印刷処理の一例を示すフローチャートである。まず、制御部60は、搬送される券に穿孔処理が必要か否かを判定する(ST201)。穿孔処理が必要ない場合(ST201、No)、処理をST203に進める。穿孔処理が必要である場合(ST201、Yes)、制御部60は、パンチ部41を制御してストッパS3で搬送される券を一時停止させるとともに、券の穿孔処理を行う(ST202)。次に、制御部60は、券の印刷が必要か否かを判定する(ST203)。印刷が必要でない場合(ST203、No)、パンチ・印刷処理を終了する。印刷が必要である場合(ST203、Yes)、制御部60は、券の印刷が必要な面と印刷ヘッド42が印刷可能な面とが異なるか否かを判定する(ST204)。券の印刷が必要な面と印刷ヘッド42が印刷可能な面とが異なる場合(ST204、Yes)、制御部60は、第二の反転機構43を制御して券を反転する(ST205)。制御部60は、印刷ヘッド42を制御して必要な情報を印刷し(ST206)、パンチ・印刷処理を終了する。
【0043】
図8は、自動改札機1に複数枚の券が投入されたときに、自動改札機1が実行する処理の一例を示すフローチャートである。なお、自動改札機1に複数枚の券が投入されるごとに、自動改札機1は、
図8に示す処理を繰り返し実行する。
図8に示すフローチャートは、自動改札機1に複数枚の券が投入されてから放出されるまで、自動改札機1が一連の処理として実行するフローチャートである。
【0044】
図8に示すように、自動改札機1に複数枚の券が投入口ENから投入されると、制御部60は、分離部10を制御して複数枚の券を券毎に分離させる(ST301)。制御部60は、搬送路を制御して、分離部10から整列部20までそれぞれの券を搬送させる。制御部60は、分離された券のそれぞれに対して読取処理を実行する(ST1-2)。読取処理(ST1-2)が完了すると、制御部60は、搬送路を制御して読取処理が完了した券をパンチ部41へ搬送し保留する(ST302)。制御部60は、読取処理が実行されていない券(未読取り券)があるか否かを判定する(ST303-1)。読取処理が実行されていない券(未読取り券)がある場合(ST303―1、Yes)、未読取り券の読取処理を行う(ST1-3)。未読取り券の読取処理(ST1-3)が完了すると、制御部60は、搬送路を制御して読取処理を実行した券を保留部34へ搬送して保留する(ST304)。制御部60は、読取処理が実行されていない券(未読取り券)があるか否かを判定する(ST303-2)。読取処理が実行されていない券(未読取り券)がある場合(ST303-2、Yes)、ST1-3に処理を戻して未読取り券の読取処理を行う。
【0045】
読取処理が実行されていない券(未読取り券)がない場合(ST303-2、No)、制御部60は、自動改札機1の搬送路を制御して、券のパンチ・印刷処理を行う(ST2-2)。制御部60は、未パンチ・印刷券があるか否かを判定する(ST305)。未パンチ・印刷券がある場合(ST305、Yes)、制御部60は、ST2-2に処理を戻し未パンチ券・印刷券のパンチ・印刷処理を行う。未パンチ・印刷券がない場合(ST305、No)、制御部60は、自動改札機1の搬送路を制御して、券を放出・集札部50で複数枚の券を重ね合わせて放出口EXから放出し(ST306)、処理を終了する。
【0046】
なお、上述の各実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わってもよい。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されてもよい。
【0047】
本実施形態によれば、自動改札機1は、投入口ENから放出口EXまで搬送路に沿って券を搬送し、必要に応じて磁気処理、パンチ処理、印刷処理を行う。また、自動改札機1は、搬送された券の裏面(磁気記録面)に印刷する必要がある場合に券の表裏を反転する第二の反転機構43を備える。自動改札機1は、パンチ部41から印刷ヘッド42に向かって搬送された券の印刷すべき面(印刷面)が下側となって搬送される場合、第二の反転機構43を制御して券を反転する。これにより、自動改札機1は、印刷ヘッド42を一方の面にのみ設ければよいので、製造コストやメンテナンスの手間を抑えることが可能な簡素な構成によって券の印刷処理を行うことができる。
【0048】
さらに、自動改札機1は、複数の券が投入された場合、分離処理を行って先行の券の印刷処理又は反転制御が終わるまでパンチ部41又は保留部34で後行の券を保留する。これにより、自動改札機1は、複数枚の券を処理する場合においても短時間でかつ、効率的に券の搬送が可能である。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 自動改札機
10 分離部
20 整列部
30 磁気処理部
31 読取ヘッド
31a 上側読取ヘッド
31b 下側読取ヘッド
32 書込ヘッド
33 ベリファイヘッド
34 保留部
35 第一の反転機構
40 パンチ・印刷部
41 パンチ部
42 印刷ヘッド
43 第二の反転機構
50 放出・集札部
60 制御部
61 主制御部
62 搬送制御部
63 磁気制御部
64 通行制御部
65 電源制御部
66 IC制御部
EN 投入口
EX 放出口
S1、S2、S3 ストッパ