IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ホシザキ電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-加熱調理器 図1
  • 特開-加熱調理器 図2
  • 特開-加熱調理器 図3
  • 特開-加熱調理器 図4
  • 特開-加熱調理器 図5
  • 特開-加熱調理器 図6
  • 特開-加熱調理器 図7
  • 特開-加熱調理器 図8
  • 特開-加熱調理器 図9
  • 特開-加熱調理器 図10
  • 特開-加熱調理器 図11
  • 特開-加熱調理器 図12
  • 特開-加熱調理器 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033818
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20230306BHJP
   F24C 13/00 20060101ALI20230306BHJP
   F24C 15/14 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
F24C1/00 330Z
F24C13/00 A
F24C15/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139730
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晃央
(72)【発明者】
【氏名】大矢 敏史
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】横山 竜也
(72)【発明者】
【氏名】堀田 佳歩
(57)【要約】
【課題】加熱調理器において、調理庫の排水口を通水可能に塞ぐ目皿が上下を逆に取り付けられたときでも、排水口に食材の小片等が入らないように排水口を覆うことができるようにする。
【解決手段】加熱調理器10は、食材を加熱調理する調理庫20と、調理庫内を加熱するヒータ25と、調理庫20内の空気を対流させる対流ファン26と、調理庫20の底部に設けた排水口20cと、排水口20cを通水及び通気可能に覆う目皿50とを備えている。目皿50は、調理庫20の排水口20cより大きな径の環状枠部51と、環状枠部51の内側に設けた網部材を用いたフィルタ部52とを備え、フィルタ部52は、排水口20cの外側で上側に立ち上がる環状の立ち上がり部53と、立ち上がり部53の内側にて排水口20c内に嵌挿されるように凹む嵌挿凹部54とを備えている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理する調理庫と、
前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫の底部に設けた排水口と、
前記排水口を通水及び通気可能に覆う目皿とを備えた加熱調理器であって、
前記目皿は、前記排水口より大きな径の環状枠部と、前記環状枠部の内側に設けた網部材を用いたフィルタ部とを備え、
前記フィルタ部は、前記排水口の外側で上側に立ち上がる環状の立ち上がり部と、前記立ち上がり部の内側にて前記排水口内に嵌挿されるように凹む嵌挿凹部とを備えたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置と、ヒータと対流ファンと蒸気発生装置の作動を制御する制御装置とを備えている。この加熱調理器の制御装置は食材を加熱調理する調理プログラムを備えており、制御装置により調理プログラムを実行したときには、調理庫内の空気はヒータと対流ファンとの作動によって熱風となって対流するとともに、対流する熱風には蒸気発生装置の作動によって蒸気が供給され、調理庫内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0003】
この加熱調理器は、調理庫内を洗浄水により自動で洗浄する洗浄機能を有しており、調理庫の天井部に洗浄水を噴射する洗浄ノズルと、調理庫の底部に設けた排水口と洗浄ノズルを接続する洗浄水通路と、洗浄水通路に介装されて洗浄水を一時的に貯めるタンクと、タンク内の洗浄水を洗浄ノズルに送出するポンプとを備えている。調理庫内を洗浄するときにポンプを作動させると、タンク内の洗浄水は洗浄水通路を通って洗浄ノズルに送出され、洗浄ノズルから調理庫内に噴射された洗浄水は排水口からタンク内に戻され、調理庫内はタンクとの間で循環する洗浄水により洗浄される。
【0004】
調理庫の排水口には食材の小片等の固形物(異物)が洗浄水通路に入るのを防ぐための排水目皿(目皿)が設けられており、排水目皿は、排水口より大きな径をした環状の枠部と、枠部の内側に設けられて排水口内に挿通されるように下側に凹むように形成された網状のフィルタ部と、枠部の上側にて低い円柱形のタブレット形をした固形洗剤を起立させるスタンド部とを備えている。排水目皿のスタンド部にタブレット形をした固形洗剤を起立させることで、排水口はタブレット形の固形洗剤によって塞がれるのが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-138618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の加熱調理器は、排水口に排水目皿が着脱可能に設けられており、食材の小片等の固形物が排水口から洗浄水通路に入るのを防ぐことができる。この加熱調理器では、上下を逆にした排水目皿が排水口に誤って取り付けられることがある。この場合に、排水目皿の上側に立設するスタンド部が排水口周縁に引っかかり、上下を逆にした排水目皿が排水口の上側で斜めに傾くように取り付けられ、排水口が排水目皿により固形物が入らないように塞ぐことができないおそれがある。また、調理庫からトレイを搬入出する過程で、トレイやユーザの手が排水目皿のスタンド部に引っかかり、排水目皿が上下を逆となってひっくり返り、排水目皿が排水口の上側に斜めに傾くようになって取り付けられ、排水口が排水目皿により塞がれないようになるおそれがある。本発明は、加熱調理器において、調理庫の排水口を通水及び通気可能に塞ぐ目皿が上下を逆に取り付けられたときでも、排水口に食材の小片等の固形物(異物)が入らないように排水口を覆うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するために、食材を加熱調理する調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫の底部に設けた排水口と、排水口を通水及び通気可能に覆う目皿とを備えた加熱調理器であって、目皿は、排水口より大きな径の環状枠部と、環状枠部の内側に設けた網部材を用いたフィルタ部とを備え、フィルタ部は、排水口の外側で上側に立ち上がる環状の立ち上がり部と、立ち上がり部の内側にて排水口内に嵌挿されるように凹む嵌挿凹部とを備えたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、目皿のフィルタ部は、排水口の外側で上側に立ち上がる環状の立ち上がり部と、立ち上がり部の内側にて排水口内に嵌挿されるように凹む嵌挿凹部とを備えている。調理庫の底部に落下した食材の小片等の固形物は排水口側に転がっていったとしても、排水口の外側に目皿の立ち上がり部が配置されているので、食材の小片が排水口内の嵌挿凹部内に入りにくくなる。これによって、排水口が食材の小片等の固形物により塞がれにくくなる。上下を逆にした目皿が排水口に取り付けられるときに、目皿の上側にはタブレット形の固形洗剤を起立させるスタンド等の突起物が設けられていないので、目皿が排水口の周縁部に傾いて取り付けられにくくなる。上下を逆にした目皿が排水口に取り付けられても、排水口の外側に立ち上がり部が当接した状態で、排水口の上側を嵌挿凹部によって通水及び通気可能に覆うようになるので、排水口は上下を逆にした目皿であっても通水及び通気可能に覆われるようになり、排水口に食材の小片等の固形物が入りにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態の斜視図である。
図3】扉の背面側の斜視図である。
図4】扉の狭開放位置と広開放位置とで保持する保持機構の概略図であり、ヒンジ軸部の平面図(a)、ヒンジ軸受部の平面図(b)、扉が閉められているときのヒンジ軸部がヒンジ軸受部に係合しているときの斜視図と平面図(c)、扉が狭開放状態で開放されたときのヒンジ軸部がヒンジ軸受部に係合しているときの斜視図と平面図(d)及び扉が広開放状態で開放されたときのヒンジ軸部がヒンジ軸受部に係合しているときの斜視図と平面図(e)である。
図5】インナガラスの前面側の斜視図(a)、インナガラスの背面側の斜視図(b)及びA-A拡大断面図(c)である。
図6】B-B断面図である。
図7】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図8】斜め後方から見たC-C断面斜視図である。
図9】蒸気発生装置が配設された位置における縦方向断面図である。
図10】排水口に目皿を取り付けたときの縦方向断面図(a)であり、排水口に上下を逆にした目皿を取り付けたときの縦方向断面図(b)である。
図11】制御装置のブロック図である。
図12】支持フレームのレールに熱風通過口を形成した実施例の扉を開けた状態の斜視図である。
図13】他の実施例の仕切板を示す斜視図(a)と、仕切板を調理庫に取り付けた状態の仕切板と調理庫の底部の一部拡大斜視図(b)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、ハウジング11の前面右側部には調理庫20の開口部20aを開閉する扉30が鉛直軸線回りに回動可能に軸支されている。
【0011】
図1図3に示したように、扉30は、前面側(外側)に配設されるアウタガラス31と、アウタガラス31の後側(内側)に配設されたインナガラス32とを備えている。アウタガラス31の前面周縁部には左側部を除くようにして金属製のフロントフレーム31aが設けられており、アウタガラス31の後面左側部には金属製のリアフレーム31bが設けられており、アウタガラス31はフロントフレーム31aとリアフレーム31bとの間に挟まれて固定されている。アウタガラス31の前面左側部には金属製のフレームが配置されていないので、アウタガラス31のハンドル33の近傍が高温となりにくくなっている。
【0012】
図2及び図3に示したように、アウタガラス31の右側部後面にはアウタガラス31をハウジング11の前面右側部に軸支させるとともに、インナガラス32を軸支するための取付部34が設けられている。取付部34の上部及び下部にはヒンジ軸受部35,36が設けられており、ヒンジ軸受部35,36はハウジング11の前面右側部の上部及び下部に設けたヒンジ軸部13,14に回動可能に係合している。扉30は、調理庫20の開口部20aを狭い開度で開放する狭開放位置(この実施形態では5°であるが、1°~5°の範囲であればよい。)と、調理庫20からホテルパン等のトレイを前側に搬入出可能とするように調理庫20の開口部20aを広い開度で開放する広開放位置(この実施形態では110°であるが、90°~120°の範囲であればよい。)とで開放状態を保持可能としている。
【0013】
扉30を狭開放位置と広開放位置とで保持する保持機構を図4を用いて説明する。ハウジング11の下部に設けたヒンジ軸部14はヒンジブラケット14aによりハウジング11の前面右側部の下部に固定されている。図4(a)に示したように、ヒンジ軸部14の基端部には左右両側に保持突部14bが設けられている。これらの保持突部14bはヒンジ軸部14の左右両側から反時計回りに5°傾いた位置に配設されている。図4(b)に示したように、アウタガラス31の取付部34の下部に設けたヒンジ軸受部36は、厚みのある板部材が用いられ、ヒンジ軸受部36が挿通されるヒンジ孔部36aが形成されている。扉30が調理庫20の開口部20aを閉塞した状態で、ヒンジ軸受部36の下面にはヒンジ孔部36aの左右両側に上側に凹む第1保持凹部36bが形成され、ヒンジ軸受部36の下面にはヒンジ孔部36aの上下両側から時計回りに15°傾いた位置に上側に凹む第2保持凹部36cが形成されている。
【0014】
第1保持凹部36bは、ヒンジ軸部14の左右両側の保持突部14bに係合することで、扉30を狭開放位置に保持する機能を有している。また、第2保持凹部36cは、ヒンジ軸部14の左右両側の保持突部14bに係合することで、扉30を広開放位置に保持する機能を有している。図4(c)に示したように、扉30が調理庫20の開口部20aを閉塞しているときには、ヒンジ軸部14の両側の保持突部14bがヒンジ軸受部36の第1保持凹部36bに完全に係合していない。図4(d)に示したように、ハンドル33を操作して扉30を開放しようとすると、ヒンジ軸受部36の第1保持凹部36bがヒンジ軸部14の両側の保持突部14bに係合し、扉30が狭開放状態で回動が停止して保持される。扉30を調理庫20の開口部20aを閉塞させた状態から開放させたときに、扉30は狭開放状態で回動が停止されてこの状態で保持されるので、調理庫20の開口部20aから高温の蒸気がハンドル操作をしているユーザに向けて勢いよく吹き出されないようになる。
【0015】
図4(e)に示したように、扉30が狭開放状態で停止しているときに扉30をさらに開放させると、扉30が少し上側に持ち上がって、ヒンジ軸受部36の第1保持凹部36bがヒンジ軸部14の保持突部14bから乗り越えて離脱する。ヒンジ軸受部36の第2保持凹部36cがヒンジ軸部14の保持突部14bに係合すると、扉30は広開放状態で停止して保持される。扉30を狭開放状態からさらに開放させたときに、扉30は広開放状態で回動が停止されてこの状態で保持されるので、調理庫20の開口部20aからホテルパン等のトレイを搬入出するときに、高温の扉30がユーザに当たらないようにすることができる。
【0016】
図5に示したように、インナガラス32の前面には金属製の枠体32aが設けられており、インナガラス32は枠体32aによってアウタガラス31の右側部の後面に鉛直軸線回りに回動可能に軸支されている。枠体32aは内側が開いた矩形の枠形状をし、枠体32aはシリコンコーキング剤Iによってインナガラス32の前面周縁部に固定されている。枠体32aの上端部にはインナガラス32の上端部を前後で挟み込むように前後方向の縦断面が略コ字形に曲げ加工された上側爪部32bが設けられている。枠体32aの右端部にはインナガラス32の右端部を前後で挟み込むように左右方向の水平断面が略コ字形に曲げ加工された右側爪部32cが設けられている。枠体32aの下端部には左右両側部で後方に延びる下側爪部32dが設けられており、下側爪部32dの上側にはインナガラス32の下端との間にスペーサ32eが設けられている。枠体32aの左端部にはインナガラス32の左端部を枠体32aに固定するホルダ32fが設けられている。また、枠体32aの右側部にはヒンジ軸受部32gが設けられており、ヒンジ軸受部32gはアウタガラス31の右側部の取付部34のヒンジ軸部34aに回動可能に係合している。
【0017】
インナガラス32は上下に分離されていない1枚の枠体32aに接着されているので、インナガラス32の端部と枠体32aの上側爪部32b、右側爪部32c及び下側爪部32dとの接触を減らすことができ、インナガラス32が金属製の枠体32aの各爪部32b~32dとの接触により破損するおそれを低減することができる。また、枠体32aの上部には上側爪部32bが配設され、枠体32aの右側部には右側爪部32cが配設され、枠体32aの下部には下側爪部32dが配設され、枠体32aの左側部にはホルダ32fが配設されているので、インナガラス32を枠体32aに接着させているシリコンコーキング剤Iによる接着力が低下しても、インナガラス32が枠体32aから脱落するのを防ぐことができる。ホルダ32fの左側部に切欠部32hが形成されているので、この切欠部32hから手指を入れてインナガラス32を取付部34に対して鉛直軸線回りに回動させることができる。
【0018】
図2及び図3に示したように、アウタガラス31の背面にはインナガラス32の下側に扉側ドレン樋37が設けられており、インナガラス32で結露した水滴は扉側ドレン樋37によって受けられる。扉側ドレン樋37の右端部には排水口37aが設けられており、扉側ドレン樋37で受けた水滴は排水口37aから排水される。ハウジング11の前面下部には庫側ドレン樋15が設けられており、扉側ドレン樋37の排水口37aから排出される水は庫側ドレン樋15で受けられる。庫側ドレン樋15にはドレン樋排水管(図示省略)が接続されており、庫側ドレン樋15で受けられた水はドレン樋排水管(図示省略)を通ってハウジング11の外側に排出される。
【0019】
図2及び図6に示したように、ハウジング11の前面には調理庫20の矩形状の開口部20aの周囲を囲むように矩形の環状の取付溝11aが形成されており、取付溝11aにはパッキン40が取り付けられている。パッキン40は、ハウジング11の前面と扉30のインナガラス32との間をシールして調理庫20の開口部20aを気密に塞ぐものである。パッキン40は、取付溝11aに嵌入された基部41と、ハウジング11の前面と扉30のインナガラス32との間を気密に塞ぐ緩衝部42とを備えている。基部41は、長手方向と直交する方向の断面形状が略矩形状をし、内部に当該断面形状が円形の中空部41aを有している。基部41は中空部41aが潰れることによって取付溝11a内に嵌入されている。
【0020】
緩衝部42は、長手方向と直交する方向の断面形状が略三角形状をし、内部に当該断面形状が略三角形の中空部42aを有している。また、緩衝部42の開口部20aと反対側の斜面には長手方向に延びる突起部42bが形成されている。突起部42bの内部も中空部42aと連続するように中空形状となっている。緩衝部42に中空形状の突起部42bが形成されているので、扉30を閉じてインナガラス32を緩衝部42に押し付けたときに、緩衝部42の開口部20a側の斜面が中空部42a側に弾性変形しながら、緩衝部42の開口部20aと反対側の斜面がインナガラス32に密着する。このとき、緩衝部42の開口部20aと反対側の斜面に形成した突起部42bは、内部の中空部分が潰れるようにしてインナガラス32に密着する。このように、緩衝部42に突起部42bが形成されていることで、インナガラス32をパッキン40に押し付けたときのクッション機能が良好となり、パッキン40の耐久性を高くすることができる。
【0021】
また、上述したように、突起部42bは緩衝部42の開口部と反対側の斜面に形成されており、開口部20aの下側に配置されるパッキン40の緩衝部42の突起部42bの直下には扉側ドレン樋37または庫側ドレン樋15が配設されている。調理庫20内で発生した結露が直接またはインナガラス32を介してパッキン40の緩衝部42に付着することがある。開口部20aの下側に配置されるパッキン40の緩衝部42に付着した結露による水滴は開口部20aの反対側(下側)の斜面に沿って流れ、流れる水滴は突起部42bから直下の扉側ドレン樋37または庫側ドレン樋15に流れ落ちる。このように、パッキン40の緩衝部42に付着した水滴は突起部42bから扉側ドレン樋37または庫側ドレン樋15に流れ落ちるので、緩衝部42の開口部20aと反対側の斜面からハウジング11の前面に沿って流れ落ちないようなる。
【0022】
図7に示したように、調理庫20は、食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。図8に示したように、調理庫20の左側壁には蒸気導入口20bが形成され、図9に示したように、調理庫20の底壁には排水口20cが形成されている。蒸気導入口20bには後述する蒸気発生装置60が接続されている。また、排水口20cには後述する目皿50が設けられており、排水口20cは目皿50により通水及び通気可能に覆われている。排水口20cは第1排水管16により排水タンク17に接続されており、調理庫20内の水は第1排水管16を通って排水タンク17に排水される。排水タンク17には第2排水管(図示省略)が接続されており、調理庫20内の水は第1排水管16を通って排水タンク17内に排出された後で第2排水管を通ってハウジング11の外側に排出される。
【0023】
図6及び図7に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側には仕切板23が設けられており、仕切板23は食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っている。仕切板23は熱風生成室22に配設された対流ファン26の吸込口側を覆うファンカバーの機能を有している。図6に示したように、仕切板23には多数の吸込口23aが形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口23aを通って熱風生成室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に空気が通過可能な空間が形成されるように取り付けられている。仕切板23と調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間には空気が通過する通風路23bが形成されており、熱風生成室22の空気は通風路23bを通って食材収容室21に送られる。
【0024】
図7に示したように、調理庫20の食材収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。この実施形態の支持フレーム24は、浅いトレイを上下に3段、図7に示した深いトレイを上下に2段で支持可能としており、左側の支持フレーム24は仕切板23に固定され、右側の支持フレーム24は調理庫20の右側壁に固定されている。左右一対の支持フレーム24は、前後に延びるレール24aを上下に3段で備え、各レール24aはトレイの左右両側の上縁部を支持可能としている。
【0025】
図7及び図8に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン26は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ25の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン26は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。調理庫20の左側壁には温度センサ27が設けられており、温度センサ27は調理庫20内の温度を検出する。
【0026】
対流ファン26を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口23aを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ25とともに対流ファン26を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン26の外側に配置されるヒータ25に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路23bを通って食材収容室21に戻される。
【0027】
図8に示したように、調理庫20の前壁の左側部には庫内の温度保護器として感温筒28が設けられており、感温筒28はホルダ29によって調理庫20の前壁左側部に取り付けられている。ホルダ29は、調理庫20の前壁左側部に固定される柱部29aと、柱部29aの上部及び下部にて左右に延びる板ばね部材を用いた腕部29bとを備え、感温筒28は右側の上下の腕部29bによって調理庫20の前壁側に付勢されて保持されている。腕部29bに板ばね部材を用いているので、感温筒28を外側から腕部29bに取付け及び取外しをすることができる。左側の上下の腕部29bには調理庫20内に搬入した食材の芯温を検出するための芯温センサの電気配線(図示省略)を保持させることができる。この芯温センサの電気配線も外側から腕部29bに取付け及び取外しをすることができる。
【0028】
図9及び図10(a)に示したように、調理庫20の底壁後部に形成された円形の排水口20cには目皿50が設けられており、目皿50は排水口20cに食材の小片等の固形物(異物)が入らないように通水及び通気可能に覆っている。目皿50は、排水口20cより大きな径を有した円形の環状枠部51と、環状枠部51の内側に設けた金属製の網部材を用いたフィルタ部52とを備えている。フィルタ部52は、排水口20cを通水及び通気可能に覆っており、排水口20cの外側で上側に立ち上がる円形の環状の立ち上がり部53と、立ち上がり部53の内側にて排水口20c内に嵌挿されるように凹む嵌挿凹部54と備えている。
【0029】
調理庫20内で食材を加熱調理した際に、調理庫20の底部にはトレイから食材の小片(固形物)が落下する場合がある。落下した食材の小片は対流する熱風によって排水口20cに向けて転がり、排水口20cは食材の小片によって塞がれるおそれがある。対流する熱風によって調理庫20の排水口20cに向けて転がる食材の小片は、フィルタ部52の立ち上がり部53によって排水口20cの内側への移動が規制されるので、排水口20cの内側に嵌挿さている嵌挿凹部54に落下しにくくなる。これにより、嵌挿凹部54から調理庫20内の水及び空気が第1排水管16を通って排水タンク17に通過可能な状態が維持される。
【0030】
図10(b)に示したように、ユーザが目皿50を上下を逆にして排水口20cの上側に置いたときに、立ち上がり部53は排水口20cの径よりも大きく、目皿50の上側に突出する部品等が設けられていないので、上下を逆向きとした目皿50が斜めに傾くことなく立ち上がり部53により排水口20cの周囲を覆うことができる。また、食材の小片は上下を逆向きとした目皿50の立ち上がり部53により排水口20cの内側への移動が規制されるので、排水口20cが食材の小片等の固形物によって塞がれないようにすることができる。このときに、立ち上がり部53の周囲に食材の小片等の固形物によって塞がれたとしても、排水口20cの上側で突出するように配置される嵌挿凹部54が塞がれないので、目皿50は調理庫20内を通水及び通気可能な状態で排水口20cを塞ぐことができる。この実施形態では、立ち上がり部53の頂部の径が排水口20cの径より大きく、立ち上がり部53の頂部が排水口20cよりも外側に配置されている。これに限られるものでなく、立ち上がり部53の頂部の径が排水口20cの径より小さくても、立ち上がり部53の頂部近傍が排水口20cに嵌挿され、排水口20cに食材の小片が入るのを防ぐことができる。
【0031】
図9に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置60が設けられている。蒸気発生装置60は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、機械室12に設けた排水タンク17の上側に立設している。蒸気発生装置60は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器61と、蒸気発生容器61内の水を加熱する加熱体62と、蒸気発生容器61の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル63と、蒸気発生容器61内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒64とを備えている。蒸気送出筒64は調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口20bに接続されており、蒸気送出筒64蒸気発生容器61内で発生した蒸気は蒸気送出筒64を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0032】
図11に示したように、加熱調理器10は制御装置70を備えており、制御装置70は、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27及び蒸気発生装置60に接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0033】
制御装置70は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置60を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置60を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0034】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20内に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置60から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。
【0035】
上記のように構成した加熱調理器10は、食材を加熱調理する調理庫20と、調理庫20内を加熱するヒータ25と、調理庫20内の空気を対流させる対流ファン26と、調理庫20の底部に設けた排水口20cと、排水口20cを通水及び通気可能に覆う目皿50とを備えている。この加熱調理器10においては、目皿50は、調理庫20の排水口20cより大きな径の環状枠部51と、環状枠部51の内側に設けた網部材を用いたフィルタ部52とを備え、フィルタ部52は、排水口20cの外側で上側に立ち上がる環状の立ち上がり部53と、立ち上がり部53の内側にて排水口20c内に嵌挿されるように凹む嵌挿凹部54とを備えている。
【0036】
目皿50のフィルタ部52は、環状枠部51の内側で排水口20cの外側に上側に立ち上がる立ち上がり部53を備えているので、食材の小片等の固形物が立ち上がり部53によって移動が遮られて排水口20c内の嵌挿凹部54内に入りにくくなる。これによって、目皿50が通水及び通気できないような状態となりにくく、排水口20cは食材の小片等の固形物によって塞がれにくくすることができる。また、目皿50の上側に従来技術で説明したようなタブレット形の固形洗剤を起立させるスタンドのような突起物が設けられていないので、上下を逆にして目皿50を排水口20cに取り付けたときに、目皿50が排水口20cの周縁部に傾いて取り付けられにくくなる。
【0037】
また、上下を逆にした目皿50を排水口20cに取り付けたときであっても、排水口20cの周囲に立ち上がり部53が当接した状態で、排水口20cの上側は嵌挿凹部54によって通水及び通気可能に覆うようになる。これにより、排水口20cは上下を逆にした目皿50により通水及び通気可能に覆われ、排水口20cに食材の小片等の固形物が入るのを防ぐことができる。
【0038】
上記のように構成した加熱調理器10においては、調理庫20内に搬入した食材を入れたトレイの熱風の当たり具合を変えるために、以下に示す変形例を実施したものであってもよい。図12に示した変形例は、支持フレーム24のレール24aにはトレイの上側に熱風を導入する熱風通過口24bを形成している。このようにしたときには、上下の各トレイ、特に、熱風の通りにくい下側に配置されるトレイに熱風が通過するようになり、各トレイの加熱具合を良好とすることができる。
【0039】
また、この加熱調理器10においては、仕切板23の上端部及び下端部には食材収容室側に折り曲げた折曲部が形成され、上下の折曲部に形成した挿通孔に調理庫20の上下に設けた取付ピンに挿通させることで、仕切板23を調理庫20内に着脱可能に取り付けるようにしている。仕切板23を取り付けるときには、仕切板23を斜めに持ち上げながら、仕切板23の上側の折曲部の挿通孔に調理庫20の上側の取付ピンを差し込み、仕切板23を垂直に起立させてから下方に移動させながら、仕切板23の下側の折曲部23cの挿通孔に調理庫20の下側の取付ピンを差し込むようにしている。この場合には、上側の通風路23bの上下の幅が大きくなって、調理庫20内の上部に収納したトレイの食材に多く熱が加えられるおそれがある。
【0040】
図13に示した変形例では、仕切板23の下端部には下側の折曲部23cの挿通孔23dと連続する取付孔23eを形成し、この取付孔23eが形成された位置に下側の取付ピン20eに着脱可能に係合する板ばね部材よりなるストッパ23fを設けるようにする。仕切板23の下端部に下側の折曲部23cの挿通孔23dと連続する取付孔23eを形成したことで、仕切板23の上側の折曲部23cの挿通孔23dに調理庫20の上側の取付ピン(図示省略)を差し込み、仕切板23を垂直に起立させることなく、仕切板23の下端部の取付孔23eに調理庫20の下側の取付ピン20eを挿通させ、仕切板23の下端部にて取付ピン20eにストッパ23fを係合させる。仕切板23の下端部に折曲部23cの挿通孔23dと連続する取付孔23eを形成したことで、仕切板23を上側に持ち上げてから調理庫20の下側の取付ピン20eに上側から差し込む必要がなくなる。これによって、調理庫20の上面と仕切板23の上側との間の通風路23bの間隔を小さくすることができ、調理庫20内にて最上段に収納したトレイの食材の加熱具合を抑えることができる。
【符号の説明】
【0041】
10…加熱調理器、20…調理庫、20c…排水口、25…ヒータ、26…対流ファン、50…目皿、51…枠部、52…フィルタ部、53…立ち上がり部、54…嵌挿凹部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13