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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033824
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】テント内の空気循環システム
(51)【国際特許分類】
   E04H 15/16 20060101AFI20230306BHJP
   E04H 15/42 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
E04H15/16
E04H15/42
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139737
(22)【出願日】2021-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-11
(71)【出願人】
【識別番号】521382148
【氏名又は名称】ザ コールマン カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 圭悟
【テーマコード(参考)】
2E141
【Fターム(参考)】
2E141AA08
2E141BB05
2E141CC05
2E141EE15
2E141EE26
2E141EE32
2E141FF03
2E141GG03
2E141GG06
2E141GG08
2E141GG10
2E141GG11
(57)【要約】
【課題】外の空気を取入れ、テント内の空気を外部へ送り出す空気流を形成し、その空気流によってテント内の居住者に心地よさを与えることのできるテント内の空気循環システムを提供する。
【解決手段】テント内の空気循環システムは、居住空間を形成するものであり、天部に開口窓を有するインナーテント(2)と、間隔をあけてインナーテントの外面を覆うものであり、インナーテントの開口窓に対面する位置に排気開口部(33)を有するフライシート(3)と、インナーテントの開口窓に内側から対面する位置にホルダーを介して着脱可能に取り付けられるファンとを備え、ファンの回転により、インナーテント内の空気を開口窓および排気開口部を通して外部に排出するとともに、外の空気を少なくともフライシートとインナーテントとの間の空間を通してインナーテント内に引き込むようにする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間を形成するものであり、天部に開口窓を有するインナーテントと、
間隔をあけて前記インナーテントの外面を覆うものであり、前記インナーテントの開口窓に対面する位置に排気開口部を有するフライシートと、
前記インナーテントの開口窓に内側から対面する位置にホルダーを介して着脱可能に取り付けられるファンとを備え、
前記ファンの回転により、インナーテント内の空気を前記開口窓および前記排気開口部を通して外部に排出するとともに、外の空気を少なくとも前記フライシートと前記インナーテントとの間の空間を通して前記インナーテント内に引き込むようにする、テント内の空気循環システム。
【請求項2】
前記ファンは、正転および逆転可能なリバーシブルファンである、請求項1に記載のテント内の空気循環システム。
【請求項3】
前記ホルダーは、
前記ファンの外周部を取り囲んで保持するリング部と、
前記リング部から120°間隔で外方に延びる3本のコードと、
前記各コードの長さを調節するコードロックとを備える、請求項1または2に記載のテント内の空気循環システム。
【請求項4】
前記インナーテントは、複数の側面部を周方向に連ねた角錐形状であり、
前記開口窓は、前記複数の側面部のうちの1つの側面部の天部に設けられており、
前記ホルダーの3本のコードは、隣接する2つの側面部の境界部分に着脱可能に連結される、請求項3に記載のテント内の空気循環システム。
【請求項5】
前記リング部は、中央に開口を有する三角形状のメッシュ地である、請求項3または4に記載のテント内の空気循環システム。
【請求項6】
前記ファンは、本体と、前記本体に電気的に接続された電源制御部とを含み、
前記インナーテントは、前記開口窓に近接した位置に前記電源制御部を収容するポケットを有する、請求項1~5のいずれかに記載のテント内の空気循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テント内の空気循環システムに関し、特に、フライシートを備えるテント内の空気循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば米国特許第6397869号公報(特許文献1)には、上方からテント内部へ向けて送風するファンを備えるテントが開示されている。ファンは、テント内の空気をテント内の居住者に向けて送風する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6397869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のテントが備えるファンは、テント内の空気が高温・高湿であれば、その高温・高湿な空気を居住者に当てるため、テント内の居住者は心地よさを感じることができない。
【0005】
また、特許文献1のテントが備えるファンは固定されており、風向を容易に変更することができない。そのため、居住者がファンからの風に当たりたくない場合はファンの運転を停止せざるを得ず、テント内の空気を循環させることができなくなる。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、外の空気を取入れ、テント内の空気を外部へ送り出す空気流を形成し、その空気流によってテント内の居住者に心地よさを与えることのできるテント内の空気循環システムを提供することである。
【0007】
また、本発明の別の目的は、ファンの風向を調節可能にすることで、空気を所望の方向に向けて送り出すことのできるテント内の空気循環システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係るテント内の空気循環システムは、居住空間を形成するものであり、天部に開口窓を有するインナーテントと、間隔をあけてインナーテントの外面を覆うものであり、インナーテントの開口窓に対面する位置に排気開口部を有するフライシートと、インナーテントの開口窓に内側から対面する位置にホルダーを介して着脱可能に取り付けられるファンとを備え、ファンの回転により、インナーテント内の空気を開口窓および排気開口部を通して外部に排出するとともに、外の空気を少なくともフライシートとインナーテントとの間の空間を通してインナーテント内に引き込むようにする。
【0009】
好ましくは、ファンは、正転および逆転可能なリバーシブルファンである。
【0010】
好ましくは、ホルダーは、ファンの外周部を取り囲んで保持するリング部と、リング部から120°間隔で外方に延びる3本のコードと、各コードの長さを調節するコードロックとを備える。
【0011】
好ましくは、インナーテントは、複数の側面部を周方向に連ねた角錐形状であり、開口窓は、複数の側面部のうちの1つの側面部の天部に設けられており、ホルダーの3本のコードは、隣接する2つの側面部の境界部分に着脱可能に連結される。
【0012】
好ましくは、リング部は、中央に開口を有する三角形状のメッシュ地である。
【0013】
好ましくは、ファンは、本体と、本体に電気的に接続された電源制御部とを含み、インナーテントは、開口窓に近接した位置に電源制御部を収容するポケットを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明のテント内の空気循環システムによれば、外の空気を取入れ、テント内の空気を外へ送り出す空気流を形成し、その空気流によってテント内の居住者に心地よさを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施の形態におけるインナーテントを示す斜視図である。
図2】本実施の形態におけるインナーテントをフライシートで覆った状態を示す斜視図である。
図3】本実施の形態におけるファンを示す斜視図である。
図4】本実施の形態におけるファンの風向を示す説明図である。
図5】本実施の形態におけるホルダーにファンを取り付けた状態を示す模式図である。
図6】本実施の形態におけるホルダーを示す平面図である。
図7】本実施の形態におけるコードロックを示す斜視図である。
図8】本実施の形態におけるインナーテントにホルダーおよびファンを取り付けた状態を示す模式図である。
図9】本実施の形態におけるテント内の空気の方向を示す模式図であり、(a)はインナーテント内の空気を外部に排出する際の空気の方向を示し、(b)は外部の空気をインナーテント内に取り込む際の空気の方向を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付し、その説明は繰り返さない。
【0017】
(構成について)
図1、2を参照して、本実施の形態に係るテント1の構成について説明する。図1は、本実施の形態におけるインナーテント2を示す斜視図であり、図2は、本実施の形態におけるインナーテント2をフライシート3で覆った状態を示す斜視図である。
【0018】
インナーテント2は、床部21と、天部22と、床部21及び天部22の間に設けられる側面部23とで居住空間を形成する。側面部23および天部22は、アーチ状に架設された複数の枠体24に支持され張設される。テント1の強度を高める観点から、複数本の枠体24のうち少なくとも2本は、インナーテント2の頭頂部で互いに交差していることが好ましい。なお、ここで言う床部21と、天部22と、側面部23とは、居住空間を形成する幕体および幕体を支持する枠体24を含む。また、枠体24は、インナーテント2の内面側または外面側の少なくとも片側から支持することができる。
【0019】
床部21は、地面からの湿気が浸透することを防ぐ観点から、防水または耐水加工が施された幕体で形成される。ここで言う「防水」とは、水分がしみ込むのを防ぐことであり、幕体に水分がしみ込まないよう処理・加工することを言う。また、「耐水」とは水分が幕体をしみ通らないことや、水分によって幕体が変質したり破損しないことを言う。
【0020】
側面部23は、通気性を有する幕体で形成されることが好ましい。本実施の形態のインナーテント2は、複数の側面部23を周方向に連ねた角錐形状である。各側面部23または特定の側面部23には開口部が設けられ、そのうち少なくとも1つは、居住空間へ出入り可能な開口部である。居住空間へ出入り可能な開口部は、2つの幕体、すなわち内部を視認できない素材で形成されたドアパネル26と、通気性のよい素材で形成されたメッシュパネル26’とを有していることが好ましい。ドアパネル26およびメッシュパネル26’は、ファスナで側面部23に取り付けられている。これにより、テント1内に滞在する居住者の目的に応じて容易に切り替えることができる。
【0021】
複数の側面部23のうち少なくとも1つには、下方領域に居住空間へ自然給気するための給気開口部27が設けられている。給気開口部27は、居住空間への虫の侵入を防ぐ観点から、通気性のよい素材であり、たとえばメッシュ等の網状の素材で形成される。給気開口部27は下方領域にあるため、夏場に涼しい空気を取り込み易くすることができる。
【0022】
天部22は、側面部23と連なる幕体であり、インナーテント2の上方領域を覆う幕体である。天部22は、側面部23と異なる幕体であってもよいし、側面部23と同じ幕体であってもよい。本実施の形態の天部22は、側面部23と同じ幕体で形成されている。
【0023】
天部22は、開口窓25を有する。本実施の形態の開口窓25は、天部22において、交差する2本の枠体24内に収まるように設けられる。開口窓25は、インナーテント2の形状および枠体24の配置に応じて適宜変更することができる。たとえば、本実施の形態におけるインナーテント2は角錐形状であるため、開口窓25は三角形状に形成される。開口窓25は、居住空間への虫の侵入を防ぐ観点から、通気性のよい素材であり、たとえばメッシュ等の網状の素材で形成される。なお、天部22には、開口窓25の周囲に、開閉可能なファスナを介して窓閉鎖シート(図示せず)が設けられている。開口窓25が不要の場合は、窓閉鎖シートで開口窓を閉じることができる。
【0024】
本実施の形態におけるテント1は、間隔をあけてインナーテント2の外面を覆うものであるフライシート3を備える。フライシート3は、シート部材31と、支持部32とを含む。
【0025】
シート部材31は、耐雨性を高める観点から防水、耐水あるいは撥水処理が施された幕体であることが好ましい。ここで言う「撥水」とは幕体の表面で水をはじくことを言う。シート部材31は、インナーテント2のドアパネル26に対面する位置に出入り開口部34が設けられている。出入り開口部34は、開口部の片側に纏めることで居住空間への出入り口となるが、図示しないポール等で支持することにより庇下空間を形成することもできる。すなわち、出入り開口部34は、キャノピーとしての機能を兼ね備えることもできる。
【0026】
シート部材31は、下方領域と地面との間に隙間がある。これにより、外の空気をインナーテント2の給気開口部27へ送り込む際に、空気の流れが遮られてしまうことを防止できる。
【0027】
支持部32は、シート部材31の内面側または外面側のうち少なくとも片側から支持することで、フライシート3の骨格を形成するポールである。なお、フライシート3はインナーテント2を内部に収めることができる形状であればよく、その骨格形状については特に限定されない。耐風性を高める観点から、支持部32は地面に固定されることが好ましい。
【0028】
フライシート3は、シート部材31の一部分であり、インナーテント2の開口窓25に対面する位置に排気開口部33を有する。排気開口部33は、通気性を高めつつ虫の侵入を防ぐ観点からメッシュ等の網状素材で形成される。また、排気開口部33は雨風の侵入を防ぐ観点から屋根部35に覆われている。これにより、雨風を防ぎながら高い通気性を確保できる。
【0029】
図3,4を参照して、本実施の形態におけるファン4の構成について説明する。図3は、本実施の形態におけるファン4を示す斜視図である。図4は、本実施の形態におけるファン4の風向を示す説明図である。
【0030】
ファン4は、テント1の居住空間内の空気を循環させるためのものである。ファン4は、本体41と、本体41に電気的に接続された電源制御部42とを含む。本実施の形態におけるファン4は、正転および逆転可能なリバーシブルファンである。リバーシブルファンは、たとえば正転により矢印A方向に送風し、逆転により矢印B方向に送風する。
【0031】
本体41は、外周部に溝部44を有している。電源制御部42は、本体41の駆動のためのバッテリ43と、ファン4の正転および逆転を切換える風向切換え部(図示せず)とを有している。なお、電源制御部42は、たとえば風量を調節する風量調節部など、既存のファン4に採用される機能を有していてもよい。
【0032】
図5~7を参照して、本実施の形態におけるホルダー5の構成について説明する。図5は、本実施の形態におけるホルダー5にファン4を取り付けた状態を示す模式図である。図6は、本実施の形態におけるホルダー5を示す平面図である。図7は、本実施の形態におけるコードロック53を示す斜視図である。
【0033】
ホルダー5は、ファン4をインナーテント2の内面側に取り付けるためのものである。ホルダー5は、ファン4の外周部を取り囲んで保持するリング部51と、リング部51から120°間隔で外方に延びる3本のコード52と、各コード52の長さを調節するコードロック53とを備える。
【0034】
リング部51は、その中央にファン4を収容する円形開口54と、円形開口54の大きさを調節するリング調節部55とを含む。本実施の形態のリング調節部55は、円形開口54の周囲を取り囲むように設けられた紐55であり、絞ったり緩めたりすることで円形開口54の大きさを調節する。なお、リング調節部55は、紐55であることに限定されない。たとえばゴムなどの弾性部材で形成されたものでもよいし、面ファスナやボタンなど、円形開口54の大きさを調節できる種々の部材で形成されたものであってもよい。これにより、ホルダー5は、リング部51の内周部をファン4の溝部44に嵌め入れることによって、ファン4を容易に保持することができる。
【0035】
本実施の形態におけるリング部51は、中央に円形開口54を有する三角形状のメッシュ地である。ここで、本実施の形態におけるインナーテント2の開口窓25もまた三角形状である。すなわち、リング部51の形状はインナーテント2の開口窓25の形状と類似していることが好ましい。ここでいう類似とは、同種の形状であればよいということを意図した記載である。たとえば、リング部51および開口窓25の形状の関係が、三角形状同士の関係であればよく、三角形状と円形形状の関係ではない、という意味である。これにより、開口窓25とホルダー5との外観に統一感が生じるため、ファン4を設置することによりテント1の居住空間の意匠性を損ねてしまうことを防止できる。
【0036】
3本のコード52は、三角形状のリング部51の各頂点付近から延びるように設けられる。3本のコード52には、各コード52の長さを調節するコードロック53が取り付けられている。コードロック53は、矢印方向に押下するだけで、容易にコード52を締付けたり、開放することができる。
【0037】
(ファンおよびホルダーの取付状態について)
図8を参照して、本実施の形態に係るテント内におけるファン4およびホルダー5の取付状態について説明する。図8は、本実施の形態におけるインナーテントにホルダーを取り付けた状態を示す模式図である。
【0038】
ファン4は、インナーテント2の開口窓25に内側から対面する位置に、ホルダー5を介して着脱可能に取り付けられる。以下の説明において、この状態を「取付状態」という。
【0039】
取付状態の際、各コードロック53において各コード52の長さを調節すると、ファン4の向きを調節することができる。これにより、居住者の好みに応じて容易にファン4の風向を変更することができる。
【0040】
ファン4は、本体41の他、電源制御部42を含んでいる。取付状態の際、電源制御部42は、インナーテント2の開口窓25に近接した位置に設けられたポケット(図示せず)に収容されることができる。
【0041】
本実施の形態の側面部23は、開口窓25を有する側面部23と隣接する2つの側面部23との境界部分に、ホルダー5を着脱可能に連結するためのループ28を有している。本実施の形態のホルダー5は、ループ28にコードロック53を挿通させることで連結する。なお、側面部23の「境界部分」とは、枠体24が通過する部分である。これにより、ファン4の位置を安定させることができる。また、本実施の形態のリング部51は三角形状であるため、角錐形状のインナーテント2の天部22への着脱が容易である。さらに、開口窓25およびホルダー5の形状は類似しているため、居住空間の意匠性をすっきりとさせることができる。
【0042】
(空気循環システムについて)
図9を参照して、本実施の形態に係るテント内の空気循環システムについて説明する。図9は、本実施の形態におけるテント内の空気の方向を示す模式図であり、(a)はインナーテント内の空気を外部に排出する際の空気の方向を示し、(b)は外部の空気をインナーテント内に取り込む際の空気の方向を示す。
【0043】
図9(a)は、ファン4がテントの屋外側に向けて空気を送り出す場合の空気の流れである。なお、ファン4は正転および逆転が可能なリバーシブルファンであるが、ファン4の風向が外向きであればよく、ファン4の回転方向は正転および逆転のいずれでもよい。この場合、ファン4の回転により、インナーテント2内の空気を開口窓25および排気開口部33を通して外部に排出するとともに、外の空気を少なくともフライシート3とインナーテント2との間の空間を通して給気開口部27またはメッシュパネル26’からインナーテント2内に引き込むようにする。
【0044】
本実施の形態における空気循環システムは、外の空気を取入れ、テント内の空気を外部へ送り出す空気流を形成する。これにより、テント内に溜まった高温・高湿な空気を外へ排気し、外の涼しい空気を給気するため、テント内の居住者に心地よさを与えることができる。
【0045】
また、本実施の形態における空気循環システムは、空気の流れが大きく、開口窓25近傍で機械排気を行うだけで、その他の開口から一気に自然給気を行うことができ、効率よく換気を行うことができる。
【0046】
さらに、本実施の形態におけるリング部51は、三角形状のメッシュ地である。これにより、ファン4周りの空気を、メッシュ地を介して排出することができるため、さらに効率よく換気を行うことができる。
【0047】
図9(b)は、ファン4がテントの屋内側に向けて空気を送り出す場合の空気の流れである。なお、ファン4は正転および逆転が可能なリバーシブルファンであるが、ファン4の風向が内向きであればよく、ファン4の回転方向は正転および逆転のいずれでもよい。この場合、ファン4の回転により、外部の空気を排気開口部33および開口窓25を通してインナーテント2内に送り出すとともに、インナーテント2内の空気を少なくともフライシート3とインナーテント2との間の空間を通して給気開口部27またはメッシュパネル26’から外部に排出するようにする。
【0048】
本実施の形態における空気循環システムは、特に、テント内の空気が高温・高湿でない場合に好適に用いることができる。本実施の形態における空気循環システムは、図9(b)に示すように、コード52の長さを調節することで居住空間の任意の場所に風向を変えて送風することができる。これにより、テント内にいる居住者に涼しい風を直接当てることができ、テント内の居住者に心地よさを与えることができる。
【0049】
また、本実施の形態における空気循環システムは、開口窓25近傍にファン4が配置されているため、居住者に涼風を当てながら自然給気を行うことができる。この際、その他の開口からは自然排気が行われている。すなわち、本実施の形態における空気循環システムは、開口窓25近傍から居住者に向けて送風するだけで、効率よくテント内の換気を行うことができる。
【0050】
なお、本実施の形態のインナーテント2は、角錐形状であるとしたが、この形状に限定されない。たとえばドーム型であってもよいし、家型であってもよい。また、本実施の形態のインナーテント2は複数の枠体24で形成したが、1本の枠体だけで形成するモノポール型であってもよい。
【0051】
また、本実施の形態のテント1は、1つの居住空間を備えるテント1を例示的に示したが、区画された複数の居住空間を備えるトンネル型のテントであってもよい。この場合、複数の居住空間のうち1つ以上の空間が、本実施の形態における開口窓25、ファン4、およびホルダー5を備えることができる。
【0052】
また、ループ28は、開口窓25を有する側面部23と隣接する側面部23との境界部分に設けられることに限定されない。たとえばトンネル型テントの場合、ループ28は開口窓25を有する側面部23上に設けられることが好ましい。
【0053】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0054】
1 テント、2 インナーテント、3 フライシート、4 ファン、5 ホルダー、21 床部、22 天部、23 側面部、24 枠体、25 開口窓、26 ドアパネル、26’ メッシュパネル、27 給気開口部、31 シート部材、32 支持部、33 排気開口部、34 出入り開口部、35 屋根部、41 本体、42 電源制御部、43 バッテリ、44 溝部、51 リング部、52 コード、53 コードロック、54 円形開口、55 リング調節部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-08-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住空間を形成するものであり、天部に開口窓を有するインナーテントと、
間隔をあけて前記インナーテントの外面を覆うものであり、前記インナーテントの開口窓に対面する位置に排気開口部を有するフライシートと、
前記インナーテントの開口窓に内側から対面する位置にホルダーを介して着脱可能に取り付けられるファンとを備え、
前記ホルダーは、
前記ファンの外周部を取り囲んで保持するリング部と、
前記リング部から異なる三方向に延びる3本のコードと、
前記各コードの長さを調節するコードロックとを備え、
前記ファンの回転により、インナーテント内の空気を前記開口窓および前記排気開口部を通して外部に排出するとともに、外の空気を少なくとも前記フライシートと前記インナーテントとの間の空間を通して前記インナーテント内に引き込むようにする、テント内の空気循環システム。
【請求項2】
前記ファンは、正転および逆転可能なリバーシブルファンである、請求項1に記載のテント内の空気循環システム。
【請求項3】
前記3本のコードは、前記リング部から120°間隔で外方に延びている、請求項1または2に記載のテント内の空気循環システム。
【請求項4】
前記インナーテントは、複数の側面部を周方向に連ねた角錐形状であり、
前記開口窓は、前記複数の側面部のうちの1つの側面部の天部に設けられており、
前記ホルダーの3本のコードは、隣接する2つの側面部の境界部分に着脱可能に連結される、請求項1~3のいずれかに記載のテント内の空気循環システム。
【請求項5】
前記リング部は、中央に開口を有する三角形状のメッシュ地である、請求項1~4のいずれかに記載のテント内の空気循環システム。
【請求項6】
前記ファンは、本体と、前記本体に電気的に接続された電源制御部とを含み、
前記インナーテントは、前記開口窓に近接した位置に前記電源制御部を収容するポケットを有する、請求項1~のいずれかに記載のテント内の空気循環システム。