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特開2023-33850ネットワークシステム及び情報処理装置
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  • 特開-ネットワークシステム及び情報処理装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033850
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ネットワークシステム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/19 20180101AFI20230306BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20230306BHJP
   H04W 4/38 20180101ALI20230306BHJP
   H04W 28/14 20090101ALI20230306BHJP
【FI】
H04W76/19
H04W4/00 110
H04W4/38
H04W28/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139770
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000182937
【氏名又は名称】日鉄パイプライン&エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】濱元 勲
(72)【発明者】
【氏名】古賀 正明
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 保
(72)【発明者】
【氏名】足立 和光
(72)【発明者】
【氏名】久保 憲輝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 伸孝
(72)【発明者】
【氏名】安達 真吾
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 弘明
(72)【発明者】
【氏名】杉山 崇
(72)【発明者】
【氏名】野口 元秀
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA33
5K067AA41
5K067BB27
5K067DD11
5K067DD24
5K067DD42
5K067EE10
5K067EE12
5K067EE16
5K067HH21
(57)【要約】
【課題】パイプラインの各施設からデータを収集するためのコストを抑えることのできるネットワークシステムを提供する。
【解決手段】パイプライン1の施設2に設置され、所定のデータを外部に送信する情報処理装置100と、クラウド400上に構築され、パイプライン1の各施設2の情報処理装置100から所定のデータを受信するSCADA401とを備え、情報処理装置100は、クラウド400側と無線通信を行い、所定のデータをSCADA401に送信する。情報処理装置100は、クラウド400側と、複数の無線回線500a、500bを介して無線通信可能である。また、情報処理装置100は、クラウド400側との無線通信が切断したとき、それ以降の所定のデータを記憶部103に蓄積し、再接続後に、記憶部103に蓄積した所定のデータをSCADA401に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を輸送するパイプラインの施設に設置され、所定のデータを外部に送信する情報処理装置と、
クラウド上に構築され、前記パイプラインの各施設の前記情報処理装置から前記所定のデータを受信するデータ収集システムとを備え、
前記情報処理装置は、前記クラウド側と無線通信を行い、前記所定のデータを前記データ収集システムに送信することを特徴とするネットワークシステム。
【請求項2】
前記情報処理装置は、前記クラウド側と、複数の無線回線を介して無線通信可能であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記クラウド側との無線通信が切断したとき、それ以降の前記所定のデータを記憶部に蓄積し、再接続後に、前記記憶部に蓄積した前記所定のデータを前記データ収集システムに送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
流体を輸送するパイプラインの施設に設置された情報処理装置であって、
クラウド側と無線通信を行い、所定のデータを、前記クラウド上に構築されたデータ収集システムに送信することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプラインの各施設から所定のデータを収集して、一元管理するのに利用して好適なネットワークシステム及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気体や液体を輸送するために、パイプを連続的に接合したパイプラインが敷設される。パイプラインには数百kmの長さに達するものもあり、広域に広がるパイプラインの要所には、パイプラインを監視、制御するための施設(バルブステーションやガバナーステーション等)が設置される。
このようなパイプラインにおいて、各施設からデータを収集して、一元管理することが求められる。
例えば特許文献1には、被監視環境内の物理的資産を監視するためのシステムであって、被監視資産から収集されたデータがクラウド環境にアップロードされる構成が開示されており、これをパイプラインに適用することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2020-510248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、パイプラインの施設は広域に点在しているため、各施設からデータを収集するのに有線回線を利用する場合、配線設備・工事、通信デバイス構築等の、設備インフラの建設のための期間が長くなったり、コストが高くなったりするといった課題がある。
【0005】
本発明は上記のような点に鑑みてなされたものであり、パイプラインの各施設からデータを収集するための設備インフラの建設期間やコストを抑えることのできるネットワークシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネットワークシステムは、流体を輸送するパイプラインの施設に設置され、所定のデータを外部に送信する情報処理装置と、クラウド上に構築され、前記パイプラインの各施設の前記情報処理装置から前記所定のデータを受信するデータ収集システムとを備え、前記情報処理装置は、前記クラウド側と無線通信を行い、前記所定のデータを前記データ収集システムに送信することを特徴とする。
また、本発明のネットワークシステムの他の特徴とするところは、前記情報処理装置は、前記クラウド側と、複数の無線回線を介して無線通信可能である点にある。
また、本発明のネットワークシステムの他の特徴とするところは、前記情報処理装置は、前記クラウド側との無線通信が切断したとき、それ以降の前記所定のデータを記憶部に蓄積し、再接続後に、前記記憶部に蓄積した前記所定のデータを前記データ収集システムに送信する点にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パイプラインの各施設からデータを収集するための設備インフラの建設期間やコストを抑えることのできるネットワークシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す図である。
図2】実施形態に係るネットワークシステムの情報処理装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
図1に、実施形態に係るネットワークシステムの構成を示す。
パイプライン1の施設2には、産業用エッジコンピュータとして機能する情報処理装置100が設置される。情報処理装置100は、所定のデータを外部に送信する機能を有する。所定のデータは、例えば当該施設2の防爆エリアにある設備に設けられたセンサ/デバイス200から集められるデータ(例えば監視対象とする設備の状態を表すセンサ値等)である。なお、図1では一つの施設2の情報処理装置100だけを図示するが、広域に点在する各施設2に情報処理装置100が設置される。本実施形態では、情報処理装置100が本発明でいう情報処理装置に相当する。
【0010】
クラウド400上には、産業用制御システムであるSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)401が構築される。SCADA401は、パイプライン1の各施設2の情報処理装置100から所定のデータを受信、収集して、一元管理することにより、システム監視やプロセス制御を行う。本実施形態では、SCADAが本発明でいうデータ収集システムに相当する。
【0011】
なお、現場作業者やシステム管理者は、自身の端末(コンピュータ装置やモバイル端末等)600からインターネット700を介してクラウド400上のSCADA401に接続することができる。これにより、例えば現場作業者がSCADA401で一元管理されている所定のデータを参照して、所望の施設2の設備の状態を監視することが可能になる。また、システム管理者がSCADA401のリモート管理が可能になる。
【0012】
ここで、各施設2の情報処理装置100と、クラウド400側とは、双方向の無線通信を行うように構成される。情報処置装置100は、ルータ等の通信機器300を介してクラウド400側と無線通信を行い、所定のデータをSCADA401に送信する。これにより、有線回路を利用してクラウド400側と有線通信を行う場合と比べて、配線設備・工事、通信デバイス等の、設備インフラの建設期間やコストを抑えることができ、施設2側のコスト改善に寄与することができる。なお、「情報処理装置がクラウド側と無線通信を行う」とは、情報処理装置100がクラウド400に接続するために無線通信を行うことを意味し、情報処理装置100からクラウド400までの間の通信のすべてが無線通信であることを意味するものではない。例えばキャリアが提供する無線回線を利用する場合に、キャリア側でクラウド400に接続するまでの一部の回線が有線回線になっていてもよい。
【0013】
このように無線通信を行う場合に、通信の可用性を確保することが求められる。具体的には、通信できない状態をできるだけ回避し、通信できない状態が発生したときにも容易に回復できるようにする必要がある。
【0014】
そこで、各施設の情報処理装置100と、クラウド400側とは、複数のキャリアが提供する無線回線500a、500bを介して無線通信可能に構成されるようにする。すなわち、情報処理装置100は、クラウド400側と、複数の無線回線500a、500bを介して無線通信可能である。このように無線回線の冗長化を行い、通信状態の良い無線回線を利用するマルチキャリア構成を採用する。通信機器300は、無線回線500a、500bの状態に応じて、通信状態の良い無線回線を選択して、情報処理装置100からの所定のデータをSCADA401に送信する。
以上のように、無線回線の切断等により通信できない状態になるのを回避することができ、継続的なシステム監視やプロセス制御が可能になる。
【0015】
また、情報処理装置100は、クラウド400側との無線通信が切断したとき、それ以降の所定のデータを記憶部103に蓄積し、再接続後に、記憶部103に蓄積した所定のデータをSCADA401に送信する。この機能を実現するために、情報処理装置100は、判定部101と、制御部102と、記憶部103とを有する。判定部101は、クラウド400側との無線通信の切断、切断後の再接続を判定する。制御部102は、所定のデータを記憶部103に蓄積すること、記憶部103に蓄積した所定のデータをSCADA401に送信することを制御する。
【0016】
図2を参照して、情報処理装置100が実行する処理例を説明する。図2は、情報処理装置100が実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、例えば一定の時間で繰り返し実行される。
ステップS1で、判定部101は、クラウド400側との無線通信の切断が発生したか否かを判定する。無線通信の切断が発生したと判定したとき、ステップS2に進み、無線通信の切断が発生していないと判定したとき、本フローチャートを抜ける。本実施形態では、複数の無線回線500a、500b両方の無線通信の切断が発生したとき、ステップS2に進む。
【0017】
ステップS2で、制御部102は、ステップS1における切断判定のタイミング以降の所定のデータ、すなわち切断判定のタイミング以降にセンサ/デバイス200から集められるデータを、記憶部103に一時的に蓄積するように制御する。
ステップS3で、判定部101は、ステップS1における切断判定の対象の無線通信の再接続が発生したか否かを判定し、無線通信の再接続が発生するまで待機する。
【0018】
ステップS4で、制御部102は、記憶部103に一時的に蓄積した所定のデータを、SCADA401に送信するように制御する。
以上のように、通信できない状態が発生したときにも容易に回復することができるとともに、SCADA401に送信する情報の欠損を回避して、信頼性を確保することができる。
【0019】
以上述べたように、パイプライン1の各施設2から所定のデータを収集するための設備インフラの建設期間やコストを抑えるとともに、その際に利用する無線通信の可用性を確保したネットワークシステムを提供することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、情報処理装置100がSCADA401に対して所定のデータを送信することを主として説明したが、SCADA401が情報処理装置100に対して各種データを送信するときも、無線回線500a、500bを利用する。
【0021】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
本発明を適用した情報処理装置は、例えばCPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータ装置により実現される。なお、情報処理装置は一台の装置として構成することに限定されず、例えば複数台の装置により構成されるようにしてもよい。
また、本発明を適用した情報処理装置の機能は、ソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。
【符号の説明】
【0022】
1:パイプライン、2:施設、100:情報処理装置、101:判定部、102:制御部、103:記憶部、200:センサ/デバイス、300通信機器、400:クラウド、401:SCADA
図1
図2