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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033890
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】基板搬送装置及び基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20230306BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230306BHJP
   B65G 13/071 20060101ALI20230306BHJP
   H05F 3/02 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/304 643B
H01L21/304 648A
H01L21/304 646
H01L21/304 651G
B65G13/071 Z
H05F3/02 F
H05F3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139826
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100112564
【弁理士】
【氏名又は名称】大熊 考一
(74)【代理人】
【識別番号】100163500
【弁理士】
【氏名又は名称】片桐 貞典
(74)【代理人】
【識別番号】230115598
【弁護士】
【氏名又は名称】木内 加奈子
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】西部 幸伸
【テーマコード(参考)】
3F033
5F131
5F157
5G067
【Fターム(参考)】
3F033BB02
3F033BC03
5F131AA02
5F131AA03
5F131BA12
5F131BA14
5F131BA17
5F131BA37
5F131CA05
5F131CA09
5F131CA12
5F131CA32
5F131DA02
5F131DA33
5F131DA42
5F131DB92
5F131DC22
5F131EA06
5F131EA17
5F131EA22
5F157AB02
5F157AB13
5F157AB33
5F157AB94
5F157BB23
5F157BB33
5F157BH13
5F157BH14
5F157DA21
5G067AA42
5G067BA02
5G067CA01
5G067DA02
(57)【要約】
【課題】基板の帯電を抑制できる基板搬送装置及び基板処理装置を提供する。
【解決手段】実施形態の基板搬送装置は、基板Wが搬入されるチャンバ20と、チャンバ20内において、基板Wに接して回転することにより、基板Wを搬送する複数の搬送ローラ30と、複数の搬送ローラ30が固定され、端部がチャンバ20外に延びた延設部42を有する複数のシャフト40と、延設部42を駆動することにより、搬送ローラ30を回転させる駆動部50と、複数の延設部42に架け渡され、シャフト40の回転に従って回転する無端状の導電性部材60と、導電性部材60に接する導電性の電極部80と、電極部80を接地する接地部90と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板が搬入されるチャンバと、
前記チャンバ内において、前記基板に接して回転することにより、前記基板を搬送する複数の搬送ローラと、
各搬送ローラが固定され、端部が前記チャンバ外に延びた延設部を有する複数のシャフトと、
前記延設部を駆動することにより、前記搬送ローラを回転させる駆動部と、
複数の前記延設部に架け渡され、前記シャフトの回転に従って回転する無端状の導電性部材と、
前記導電性部材に接する導電性の電極部と、
前記電極部を接地する接地部と、
を有する基板搬送装置。
【請求項2】
前記導電性部材を、前記シャフトとの接触面積が拡大する方向に付勢することにより、前記導電性部材にテンションを付与するテンション付与部を有する請求項1記載の基板搬送装置。
【請求項3】
前記駆動部は、前記シャフトに駆動力を伝達する伝達部を有し、
前記導電性部材は、前記伝達部よりも前記チャンバから離隔した位置に設けられている請求項1又は請求項2記載の基板搬送装置。
【請求項4】
前記導電性部材は、ベルトであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項5】
前記導電性部材は、ワイヤであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の基板搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の基板搬送装置と、
前記チャンバ内において、前記基板の処理面に流体を供給することにより基板を処理する処理部と、
を有する基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板搬送装置及び基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置や半導体デバイスなどの製造工程において、ガラス基板や半導体基板などの基板を処理する基板処理装置が用いられている。基板処理としては、例えば、レジスト塗布処理、レジスト剥離処理、エッチング処理、洗浄処理、乾燥処理がある。基板処理装置は、複数の搬送ローラにより基板を搬送しながら、その基板に対して、供給ツールによって、例えば、処理液や乾燥用の気体のような処理用の流体を供給して基板を処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-023123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような、基板処理装置は、シャフトを軸に回転する搬送ローラに、基板を載置した状態で搬送する基板搬送装置として構成されている。このような基板搬送装置によって基板を搬送するときに、搬送ローラと基板との摩擦に起因して静電気が発生する。また、シャフトなどの機構部分においても、摩擦により静電気が発生する。このため、発生した静電気が搬送ローラに接触した基板に蓄積されて、基板が帯電することになる。すると、帯電した基板が、気中に浮遊した塵埃(パーティクル)を吸引して、基板の処理面が汚染される原因となる。そして、帯電量が大きくなると、基板の処理面に形成された微細なパターン配線や回路が、放電により静電破壊されるので、断線や劣化の原因になる。
【0005】
これに対処するため、シャフトを支持するベアリングや駆動するギヤ機構等を接地することが考えられるが、これらはシャフトの回転に従って、接触部分が変化するので、接地できている状態と接地できていない状態が繰り返されることになる。このため、平均的には十分に基板を除電できないことが多い。すると、搬送される基板の枚数が増えて行くほど、静電気の蓄積が大きくなり、上記のような問題が生じる。
【0006】
また、基板に対してイオンを照射することにより、蓄積された静電気を除電することも可能である。しかし、基板の処理面に形成されたパターン配線や回路は、微細化が進んでいるため、少しの帯電でも破壊や劣化につながる可能性が高い。このため、基板が帯電すること自体を極力避けたい。しかし、イオン照射による除電の場合には、基板の全体にイオンを照射する前に、帯電が蓄積している状態が発生している。これは、基板が大型の場合に、より一層問題となる。
【0007】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、基板の帯電を抑制できる基板搬送装置及び基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態の基板搬送装置は、基板が搬入されるチャンバと、前記チャンバ内において、前記基板に接して回転することにより、前記基板を搬送する複数の搬送ローラと、各搬送ローラが固定され、端部が前記チャンバ外に延びた延設部を有する複数のシャフトと、前記延設部を駆動することにより、前記搬送ローラを回転させる駆動部と、
複数の前記延設部に架け渡され、前記シャフトの回転に従って回転する無端状の導電性部材と、前記導電性部材に接する導電性の電極部と、前記電極部を接地する接地部と、を有する。
【0009】
本発明の実施形態の基板処理装置は、前記基板搬送装置と、前記チャンバ内において、前記基板の処理面に流体を供給することにより基板を処理する処理部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、基板の帯電を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る基板搬送装置の概略構成を示す平面図である。
図2図1の基板搬送装置の導電性部材及び電極部を含む一部の機構を示し、他は省略した側面図である。
図3図1の基板搬送装置の導電性部材及び電極部を含む一部の機構を示し、他は省略した斜視図である。
図4】基板処理装置の概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1図3を参照して、実施形態の基板搬送装置10を説明する。なお、図面の寸法及び形状は実際の基板及び装置を反映した正確なものではなく、理解を容易にするために、誇張して表現している部分が存在する。また、以下の説明では、重力に従う方向を「下方」、重力に抗する方向を「上方」とするが、これらの方向は装置の設置方向を限定するものではない。
【0013】
[基板]
図1及び図2に示すように、本実施形態において、搬送対象となる基板Wとしては、例えば、ガラス基板、半導体基板などの矩形状の薄型基板が用いられる。本実施形態の基板Wは、搬送時に下となる面を搬送面S1とし、搬送時に上となる面を処理面S2とする。例えば、処理面S2には、回路のパターンが形成されている。
【0014】
[構成]
基板搬送装置10は、基板Wを、搬送面S1側を支持して搬送する装置である。この基板搬送装置10は、チャンバ20、搬送ローラ30、シャフト40、駆動部50、導電性部材60、テンション付与部70、電極部80、接地部90、制御部100(図3参照)を有する。
【0015】
チャンバ20は、基板Wが搬入される、概ね直方体状の筐体である。チャンバ20の対向する2側面には、基板Wが搬入される搬入口2a、搬出される搬出口2bが設けられている。チャンバ20内は、搬入口2aから搬入された基板Wが、水平な搬送方向Aに沿って内部を通過して、搬出口2bから排出する。なお、搬送方向Aに直交する水平方向を、幅方向とする。
【0016】
搬送ローラ30は、基板Wに接して回転することにより、搬送方向Aに沿って基板Wを搬送する。搬送ローラ30は、例えば、ゴムや樹脂を素材とする円柱形の部材である。各搬送ローラ30は、幅方向に所定間隔でシャフト40に固定して設けられる。シャフト40は、幅方向に延びる円柱形の棒状の部材であり、金属等の導電性の材料により形成されている。シャフト40が回転すると、シャフト40に固定された搬送ローラ30は、シャフト40を回転軸として回転する。
【0017】
シャフト40は、複数本が互いに等間隔で平行となるように、搬送方向Aに並べられ、それぞれの両端が、チャンバ20の対向する2側面に、軸受41を介して回転可能に支持されている。この2側面は、搬入口2a及び搬出口2bが設けられた2側面以外の側面、つまり搬送方向Aに平行な側面である。これにより、各シャフト40に設けられた複数の搬送ローラ30は、搬送方向A及び幅方向にマトリクス状に並ぶ。このように並んだ搬送ローラ30が、基板Wの搬送面S1を支持しながら回転することにより、基板Wが搬送方向Aに搬送される。
【0018】
さらに、各シャフト40は、チャンバ20外に延びた延設部42を有する。延設部42は、チャンバ20の一側面において、各シャフト40の一端がチャンバ20の外に突出した部分であり、後述する駆動部50、導電性部材60を配設できる長さを有する。
【0019】
駆動部50は、シャフト40の延設部42を駆動することにより、搬送ローラ30を回転させる。駆動部50は、駆動シャフト51、伝達部52、駆動源53(図3参照)を有する。駆動シャフト51は、円柱形状の棒状の部材であり、搬送路に平行な方向に延び、シャフト40に間隔を空けて交差する位置に配置されている。駆動シャフト51は、図示しない支持機構によって回転可能に支持されている。
【0020】
伝達部52は、シャフト40に駆動力を伝達する機構である。本実施形態の伝達部52は、ギヤ機構である。例えば、伝達部52は、シャフト40及び駆動シャフト51に、互いに交差する箇所に構成されたねじ歯車によって、駆動シャフト51の回転を、これに直交するシャフト40の回転に変換する。駆動源53は、図3に示すように、駆動シャフト51を、軸を中心に回転させる。駆動源53は、例えば、ベルトドライブによって駆動シャフト51を回転させるモータである。
【0021】
導電性部材60は、複数のシャフト40に架け渡され、シャフト40の回転に従って回回転する無端状の部材である。本実施形態の導電性部材60は、複数のシャフト40のうち、搬入口2a側のシャフト40から、搬出口2b側のシャフト40までに架け渡されている。つまり、導電性部材60は、全てのシャフト40に跨って接触するように設置されている。なお、導電性部材60は、伝達部52よりもチャンバ20から離隔した位置に設けられている。本実施形態では、導電性部材60は、チャンバ20から伝達部52よりも幅方向に離隔している。
【0022】
導電性部材60は、導電性を有するフレキシブルな材料で形成されている。例えば、カーボンなどの導電性の材料を含有する樹脂やゴム、金属製の網状の部材で伸縮性を有する構造のものや、金属製の帯状部材などにより、導電性部材60を構成できる。本実施形態の導電性部材60は、例えば、幅方向に広い帯状のベルトである。導電性部材60をベルトとすることにより、シャフト40に架け渡された導電性部材60は、シャフト40の外周面に接する面積を広く確保できる。このため、シャフト40と導電性部材60との接触部分の電気抵抗を低減できるとともに、電気的な導通が途切れる可能性を低減できる。
【0023】
テンション付与部70は、図2に示すように、導電性部材60とシャフト40との接触面積が拡大する方向に、導電性部材60にテンションを付与する。つまり、テンション付与部70は、導電性部材60がシャフト40から離れる方向ではなく、圧着してシャフト40に沿う面積が広がる方向にテンションを付与する。テンション付与部70は、シャフト40に平行な軸部71に、回転可能に設けられたベアリングローラ72を有する。軸部71及びベアリングローラ72は、平面方向から見て、搬送方向Aに並んだ複数のシャフト40の間に配置されている。
【0024】
軸部71は、シャフト40の軸に平行であり、図示しないガイド部材に上下に移動可能に支持され、図示しないバネ等の付勢部材により下方に付勢されている。このため、ベアリングローラ72の外周面が、一対のシャフト40の間の導電性部材60を押し込むように下方に付勢するので、導電性部材60にテンションが付与される。これにより、導電性部材60がシャフト40の外周に沿う距離が拡大するので、両者が接する面積が拡大する。また、ベアリングローラ72によって付勢されるので、搬入口2a側のシャフト40と搬出口2b側のシャフト40との間のシャフト40から、導電性部材60が浮き上がることが防止される。
【0025】
なお、付勢部材によらず、軸部71及びベアリングローラ72の自重によって、導電性部材60にテンションが付与される構成としてもよい。また、図2では、テンション付与部70は、導電性部材60の上面に接して、上方から下方に向かってテンションを付与しているが、導電性部材60の下面に接して、下方から上方に向かってテンションを付与する構成でもよい。
【0026】
電極部80は、導電性部材60に接する導電性の部材である。電極部80は、例えば、導電性樹脂により形成された平板状の部材である。電極部80は、例えば、導電性部材60と共通の材料により構成することにより、導電性部材60が電極部80に接して摺動した場合に、一方が摩耗しやすくなることを防止できる。電極部80は、回転する導電性部材60に接しても、移動しないように固定されている。例えば、電極部80は、チャンバ20に固定された図示しない支持部材に固定されている。電極部80は、導電性部材60の外表面に平行であり、回転する導電性部材60に接することにより、導電性部材60との電気的な接続が確保される。
【0027】
なお、図2では、電極部80は、テンション付与部70と反対側、つまり導電性部材60の下面に接しているが、テンション付与部70が下方に設けられる場合に、導電性部材60の上面に接する構成としても良い。また、電極部80は、導電性部材60の表面が曲面となる箇所に接する構成としても良く、その場合、電極部80を平面としても良いし、導電性部材60の曲面に沿う曲面としても良い。
【0028】
接地部90は、電極部80を電気的に接地する。接地部90は、一端が電極部80に接続され、他端が接地電位部分に接続された導電線、つまり接地線である。なお、電極部80を支持する支持部材を接地電位とすることにより、接地部90を構成してもよい。
【0029】
制御部100は、図3に示すように、基板搬送装置10の各部を制御するコンピュータであり、基板搬送に関する各種の情報及びプログラムなどを記憶する記憶部と、各種のプログラムを実行するプロセッサを有する。本実施形態の制御部100は、駆動部50の駆動源53を制御することにより、搬送ローラ30を回転させ、基板Wを搬送する。
【0030】
[動作]
次に、基板搬送装置10の動作を説明する。基板搬送装置10は、駆動源53が作動して、駆動シャフト51が回転すると、伝達部52を介して各シャフト40が回転するので、チャンバ20内の各搬送ローラ30が回転する。搬入口2aからチャンバ20内に搬入された基板Wは、回転する各搬送ローラ30上に支持された状態で、搬送方向Aに搬送されて、搬出口2bから搬出される。
【0031】
このとき、シャフト40に架け渡され、ベアリングローラ72によってテンションが付与された導電性部材60は、シャフト40の回転に従って回転している。導電性部材60は、固定された電極部80に接しているため、電極部80の表面に摺動する。搬送ローラ30と基板Wとの摩擦により発生する静電気は、シャフト40、導電性部材60及び電極部80を介して接地部90に流れるため、基板Wの帯電が抑制される。つまり、搬送ローラ30に接している基板Wは、常時接地されて除電される状態が確保されているので、基板Wに静電気が蓄積する時間を極力短くすることができる。
【0032】
[効果]
(1)本実施形態は、基板Wが搬入されるチャンバ20と、チャンバ20内において、基板Wに接して回転することにより、基板Wを搬送する複数の搬送ローラ30と、複数の搬送ローラ30が固定され、端部がチャンバ20外に延びた延設部42を有する複数のシャフト40と、延設部42を駆動することにより、搬送ローラ30を回転させる駆動部50と、複数の延設部42に架け渡され、シャフト40の回転に従って回転する無端状の導電性部材60と、導電性部材60に接する導電性の電極部80と、電極部80を接地する接地部90と、を有する。
【0033】
このため、搬送ローラ30と基板Wとの摩擦により発生する静電気を、シャフト40、導電性部材60及び電極部80を介して、接地部90に流すことにより除電でき、基板Wの帯電が抑制されるので、パーティクルを吸引することによる基板Wの処理面S2の汚染を低減できる。また、基板Wの帯電により発生する放電によって、処理面S2に形成されたパターン配線や回路が静電破壊することにより、断線や劣化が生じる可能性を低減できる。
【0034】
また、導電性部材60は、接触部分が変化するベアリングなどを介さず、基板Wの帯電の原因となるシャフト40に直接接触して、動作中に離脱しないので、導電の効率が良い。つまり、基板Wが除電されない時間がほとんど発生せず、基板Wに静電気が蓄積し難い。基板Wは、搬送ローラ30に接触しているだけで除電されるので、基板Wが帯電する時間を極力短くすることができる。
【0035】
導電性部材60は、シャフト40に架け渡されており、シャフト40の回転に伴って導電性部材60も回転するので、固定されたワイヤ等がシャフト40に接する場合に比べて、導電性部材60とシャフト40との擦れが発生しにくく、導電性部材60やシャフト40の削れによるパーティクルの発生が抑えられる。さらに、多少のパーティクルが発生したとしても、導電性部材60はチャンバ20の外に設けられているため、大半はチャンバ20により遮られ、チャンバ20内の基板Wに与える影響は小さい。
【0036】
(2)本実施形態は、導電性部材60を、シャフト40との接触面積が拡大する方向に付勢することにより、導電性部材60にテンションを付与するテンション付与部70を有する。このため、シャフト40と導電性部材60との接触面積を拡大させることができるとともに、導電性部材60が浮いて、一部のシャフト40から離れることが防止されるので、電気的な接続が維持され、静電気を継続的に接地部90から逃がすことができ、基板Wの帯電をより一層抑制できる。
【0037】
(3)駆動部50は、シャフト40に駆動力を伝達するための伝達部52を有し、導電性部材60は、伝達部52よりもチャンバ20から離隔した位置に設けられている。このため、電極部80と導電性部材60との摺動箇所が、チャンバ20から離れた位置となるので、摺動により発生するパーティクルが基板Wに影響を与える可能性を低減できる。例えば、チャンバ20の側面には、軸受41があるので、多少は隙間が生じてしまう。本実施形態では、摺動箇所が伝達部52よりも離隔した位置となっているので、搬送される基板Wから遠くなり、発生したパーティクルがチャンバ20内に侵入する可能性を低減できる。
【0038】
(4)導電性部材60は、ベルトである。このため、線状の部材と比較して、シャフト40と導電性部材60との接触面積が大きくなり、導電の効率が良い。また、導電性部材60の回転も安定する。
【0039】
[変形例]
(1)上記の態様では、導電性部材60をベルトとしていたが、シャフト40の回転に従って回転する無端状の部材であれば、ベルトには限定されない。例えば、ワイヤのように、導電性の線状の部材であってもよい。この場合、複数本のワイヤをシャフト40に掛け渡して、導電の効率を高めてもよい。複数本のワイヤを束ねて帯状にしたものを、導電性部材60として用いてもよい。
【0040】
(2)基板搬送装置10を、チャンバ20内において、基板Wの処理面S2に流体を供給することにより、基板Wを処理する処理部を有する基板処理装置として構成してもよい。例えば、洗浄された基板Wを乾燥する基板処理装置とする場合には、図4に示すように、処理部21として、気体吹出部21aを設けることができる。気体吹出部21aは、移動する基板Wに、例えば、空気又は窒素ガスのような乾燥用の気体を吹き出して供給するエアナイフである。気体吹出部21aは、基板搬送装置10による基板Wの搬送を妨げないように、搬送される基板Wとは搬送路Tを挟んで離間して基板Wに対向するように設ける。気体吹出部21aは、搬送路Tを通過する基板Wに向けて高圧で気体を吹き出し、基板Wに付着している洗浄液などの処理液を吹き飛ばして基板Wを乾燥させる。
【0041】
なお、基板処理装置の処理としては、乾燥に限るものではない。例えば、基板搬送装置10を、基板Wを洗浄するための洗浄処理装置、液晶基板や半導体基板、フォトマスクなどの製造のためのレジスト処理装置、露光処理装置、現像処理装置、エッチング処理装置、剥離処理装置として構成してもよい。これに応じて、処理液としては、目的の処理ごとに洗浄液、剥離液、現像液、リンス液(純水など)が適用される。
【0042】
このように液体による処理の場合、処理部としては、液噴射部を設けることができる。液噴射部は、移動する基板Wの処理面S2に、処理液を噴射して供給する。液噴射部としては、例えば、複数の貫通孔を有するシャワーパイプや複数のノズルを備えるパイプを用いることができる。但し、液体を用いる処理の場合には、液体による基板Wの除電も可能である。乾燥処理の方が、基板Wの帯電が生じ易いため、本実施形態による除電に適している。また、基板搬送装置10を、洗浄処理と乾燥処理を同じチャンバ内で行う基板処理装置として構成してもよい。
【0043】
(3)搬送ローラ30として、基板Wに反りがある場合などにも、基板Wの平坦を維持するために、基板Wの処理面S2の縁部を押えながら回転する押えローラを設けることもできる。この場合にも、押えローラのシャフトに上記と同様の導電性部材60を設け、電極部80、接地部90を設けることにより、押えローラと基板Wとの接触による帯電を抑制できる。
【0044】
(4)上記の態様では、基板Wを水平状態で搬送することを例示したが、これに限るものではなく、例えば、基板Wを傾けて傾斜状態で搬送するようにして、処理面S2における処理液の排出を促す構成としてもよい。
【0045】
[他の実施形態]
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
10 基板搬送装置
20 チャンバ
2a 搬入口
2b 搬出口
21 処理部
21a 気体吹出部
30 搬送ローラ
40 シャフト
41 軸受
42 延設部
50 駆動部
51 駆動シャフト
52 伝達部
53 駆動源
60 導電性部材
70 テンション付与部
71 軸部
72 ベアリングローラ
80 電極部
90 接地部
100 制御部

図1
図2
図3
図4