(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023033933
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
H01R 13/629 20060101AFI20230306BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01R13/629
H01R13/639 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021139913
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】高橋 威
(72)【発明者】
【氏名】水谷 亮太
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB20
5E021FB21
5E021FC31
5E021FC36
5E021HB02
5E021HB07
5E021HC11
5E021HC31
(57)【要約】
【課題】振動環境下で使用しても品質や接続性能が劣化しないコネクタ装置を提供する。
【解決手段】コネクタ100のレバー40は第1位置と第2位置の間で回転可能とされ、第2位置と第3位置の間でスライド可能とされ、レバー40が第1位置にあるコネクタ100が相手側コネクタ200に対し嵌合準備位置にあるとき、レバー40を第2位置まで回転させるとコネクタ100はカム機構により相手側コネクタ200に近接した嵌合位置に引き寄せられて、コネクタ100の主端子50と相手側コネクタ200の相手側主端子120とが接続する。レバー40を第3位置までスライドさせると、コネクタ100のハウジング30に設けた鍔部36,37と相手側コネクタの相手側ハウジング110に設けた相手側鍔部115,116は相互に密着した状態でレバー40の溝部45,46に収容されてレバー40に挟持される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングとレバーと主端子とを備えるコネクタと、相手側ハウジングと相手側主端子とを備える相手側コネクタとで構成されるコネクタ装置であって、
前記レバーと前記ハウジングの一方にガイド溝が形成され、他方にガイド軸が形成され、
前記レバーは、前記ガイド軸が前記ガイド溝に位置するように前記ハウジングに取り付けられることにより、前記ハウジングに対し、前記レバーが取る第1位置と第2位置の間で回転可能とされ、前記第2位置と第3位置の間でスライド可能とされており、
カム機構をなすカム溝と従動ボスの一方が前記レバーに形成され、他方が前記相手側ハウジングに形成され、
前記レバーが前記第1位置にある前記コネクタが前記相手側コネクタに対し嵌合準備位置にあるとき、前記レバーを前記第2位置まで回転させると、前記コネクタは前記カム機構により前記嵌合準備位置よりも前記相手側コネクタに近接した嵌合位置に引き寄せられると共に、前記レバーが少なくとも前記第2位置に到達するまでの間に前記主端子と前記相手側主端子とが接続し、
前記レバーが前記第2位置にある前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にあるとき、前記レバーを前記第1位置まで回転させると、前記コネクタは前記カム機構により前記嵌合準備位置に押し戻されて前記主端子と前記相手側主端子との接続が解除され、
前記ハウジングは鍔部を有し、
前記相手側ハウジングは相手側鍔部を有し、
前記レバーは前記スライドの方向に延伸する溝部を有し、
前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にある前記コネクタの前記レバーを前記第2位置から前記第3位置までスライドさせると、前記鍔部と前記相手側鍔部は相互に密着した状態で前記溝部に収容されることで前記レバーに挟持され、
前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にある前記コネクタの前記レバーを前記第3位置から前記第2位置までスライドさせると、前記レバーによる前記鍔部と前記相手側鍔部の挟持が解除されることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ装置において、
前記レバーは前記ハウジングを挟む一対のアーム部を有し、前記一対のアーム部が前記ハウジングに取り付けられており、
前記溝部は前記一対のアーム部の各先端側及び各基端側にそれぞれ位置して4つ設けられ、
前記ハウジングと前記相手側ハウジングには4つの前記溝部にそれぞれ収容される4つの前記鍔部と4つの前記相手側鍔部がそれぞれ設けられていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコネクタ装置において、
前記鍔部、前記相手側鍔部及び前記溝部は、前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置に位置する状態での前記スライドの方向に直交する断面形状が、それぞれ前記鍔部及び前記相手側鍔部の突出方向としての前記ハウジング及び前記相手側ハウジングから遠ざかる向きに従って拡幅してゆく形状とされていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れかに記載のコネクタ装置において、
前記コネクタはインターロック端子を備え、
前記相手側コネクタは相手側インターロック端子を備え、
前記レバーが前記第1位置にある前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合準備位置にあるとき、前記レバーを前記第1位置と前記第2位置の間の中間位置まで回転させると、前記コネクタは前記嵌合準備位置と前記嵌合位置の間の主端子接触開始位置に移動して前記主端子と前記相手側主端子とが接続し、
前記レバーが前記中間位置にある前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記主端子接触開始位置にあるとき、前記レバーを前記第2位置まで回転させると、前記コネクタは前記嵌合位置に移動して前記主端子と前記相手側主端子との接続が維持された状態で前記インターロック端子と前記相手側インターロック端子とが接続し、
前記レバーが前記第2位置にある前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にあるとき、前記レバーを前記中間位置まで回転させると、前記コネクタは前記嵌合位置を離れて前記主端子接触開始位置に移動し、ここで前記コネクタが前記嵌合位置を離れるときには前記主端子と前記相手側主端子との接続が維持された状態で前記インターロック端子と前記相手側インターロック端子との接続が解除され、
前記レバーが前記中間位置にある前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記主端子接触開始位置にあるとき、前記レバーを前記第1位置まで回転させると、前記コネクタは前記主端子接触開始位置を離れて前記嵌合準備位置に移動し、ここで前記コネクタが前記主端子接触開始位置を離れるときには前記主端子と前記相手側主端子との接続が解除されることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項5】
請求項1から3までの何れかに記載のコネクタ装置において、
前記コネクタはインターロックハウジングとインターロック端子を備え、
前記相手側コネクタは相手側インターロック端子を備え、
前記インターロック端子は前記インターロックハウジングに取り付けられ、
前記インターロックハウジングには外方に突出する突部を先端に備えたばね片が形成されて、前記突部は押圧されると自然位置から退避位置に変位するものとされ、
前記インターロックハウジングは、前記インターロックハウジングが取る開放位置と閉成位置の間でスライド可能に前記ハウジングに取り付けられ、但し、前記開放位置にある前記インターロックハウジングは、前記突部が前記自然位置にあるときは前記突部が前記ハウジングの突き当て面に突き当たることによって前記閉成位置へのスライドが阻止され、前記突部が前記退避位置にあるときは前記閉成位置へのスライドが可能であり、
前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にあり、かつ前記インターロックハウジングが前記開放位置にあるとき、前記インターロック端子と前記相手側インターロック端子とは相互に解離し、
前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にあり、かつ前記インターロックハウジングが前記閉成位置にあるとき、前記インターロック端子と前記相手側インターロック端子とは相互に接続し、
前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にあり、かつ前記レバーが前記第2位置にあるとき、前記突部は前記自然位置にあり、
前記コネクタが前記相手側コネクタに対し前記嵌合位置にあり、かつ前記レバーが前記第3位置にあるとき、前記突部は前記レバーの押圧部に押圧されて前記退避位置に位置することを特徴とするコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はレバーの回転及びスライド操作によりコネクタと相手側コネクタとの嵌合、離脱が行われるコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図25はこの種のコネクタ装置の従来例として特許文献1に記載されている構成を示したものであり、一方のコネクタハウジング11に取り付けられたレバー12の操作により一方のコネクタハウジング11は他方のコネクタハウジング21に装着されるものとなっている。
【0003】
コネクタハウジング11の下方には端子フード部11aが設けられ、端子フード部11a内には一対の端子(雄端子)13が設けられている。コネクタハウジング11の外壁には後述するレバー12のガイド溝14にそれぞれ係合する一対のガイドピン11bが突設されている。
【0004】
レバー12は
図26に示すように一対のアームプレート部12a,12bと、一対のアームプレート部12a,12bを連結する操作部12cとを備えている。一対のアームプレート部12a,12bには水平方向に延びるガイド溝14が設けられている。各ガイド溝14にはコネクタハウジング11の一対のガイドピン11bがそれぞれ挿入され、これによりレバー12はコネクタハウジング11に対して回転移動、かつ直線移動可能に設けられている。
【0005】
また、一対のアームプレート部12a,12bにはカム溝15が設けられており、一対のカム溝15には一方のコネクタハウジング11を他方のコネクタハウジング21に装着する際に他方のコネクタハウジング21の後述するカムピン21aが挿入される。
【0006】
さらに、この例では一対のアームプレート部12a,12bの一方は他方に比べて幅広に設けられ、幅広のアームプレート部12bにはコネクタ部12dが設けられ、コネクタ部12dには嵌合検知用雄端子16が設けられている。
【0007】
他方のコネクタハウジング21は上面が解放された略直方体形状を有し、その内部スペースがコネクタハウジング11の装着スペース21bとなっている。装着スペース21bの下面となる底面部には端子フード収容部21cが設けられており、端子フード収容部21c内には一対の端子(雌端子)22が収容されている。
【0008】
コネクタハウジング21の内周壁の対称位置には一対のカムピン21aが突設され、さらに装着スペース21b内にはコネクタ部21dが設けられている。コネクタ部21dには一対の嵌合検知用雌端子23が設けられている(後述する
図28参照)。
【0009】
図27A~Cは
図25に示した一方のコネクタハウジング11が他方のコネクタハウジング21に装着される前の状態から他方のコネクタハウジング21の装着スペース21b内に一方のコネクタハウジング11が挿入され、一方のコネクタハウジング11が他方のコネクタハウジング21に装着される過程におけるレバー12の状態を他方のコネクタハウジング21のカムピン21aと共に示したものであり、
図27Aはレバー12が
図25に示した回転開始位置から矢印a方向に回転され、回転開始位置と回転完了位置との間にある状態を示し、
図27Bはレバー12が回転完了位置にある状態を示す。また、
図27Cはレバー12が矢印b方向にスライドされて嵌合完了位置にある状態を示す。
【0010】
レバー12のカム溝15に入り込んだ他方のコネクタハウジング21のカムピン21aはレバー12の回転に伴い、カム溝15内を移動することによって一方のコネクタハウジング11は他方のコネクタハウジング21内に徐々に近接移動されて入り込み、この近接移動によってレバー12が回転完了位置に位置するまでに双方のコネクタハウジング11,21の端子13,22が接触状態となる。
【0011】
次に、レバー12を矢印b方向にスライドさせ、回転完了位置から嵌合完了位置までスライド移動させると、レバー12が嵌合完了位置に位置するまでにレバー12の嵌合検知用雄端子16が他方のコネクタハウジング21の一対の嵌合検知用雌端子23に接触する。
図28はレバー12が嵌合完了位置に位置し、一方のコネクタハウジング11の、他方のコネクタハウジング21への装着が完了した状態を示す。
【0012】
レバー12の操作はこのように回転操作とスライド操作の2アクションからなり、回転操作後のスライド操作によって嵌合検知用雄端子16が嵌合検知用雌端子23に接触して嵌合検知されることによって電源回路が初めて導通状態となり、端子13,22間に電流が流れるものとなっている。
【0013】
また、電源回路を導通状態から非導通状態とするレバー12の操作はその逆の2アクションからなり、先のスライド操作で電源回路がオフされ、その次の回転操作で端子13と端子22が離間するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のように動作するコネクタ装置は、レバーの操作が完了する前に電源回路が導通状態となるのを防止することができ、またアーク放電の発生を防止することができるものとなっており、高電圧大電流用のコネクタ装置として安全性が配慮されたものとなっている。
【0016】
ところで、このような高電圧大電流用のコネクタ装置は電気自動車等においても例えばバッテリーとケーブルハーネスとの接続に用いられており、電気系統等をメンテナンスするような場合に作業者の安全を確保することができるものとなっている。
【0017】
しかるに、このように車載用として用いられる場合、振動によってコネクタと相手側コネクタとが相対的に動くと、コネクタと相手側コネクタの部品同士が擦れ合うといった状況が生じ、それにより品質や接続性能が劣化するといった問題が生じうる。
【0018】
この発明の目的はこの問題に鑑み、振動環境下で使用しても品質や接続性能の劣化を防止することができるようにしたコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この発明によれば、ハウジングとレバーと主端子とを備えるコネクタと、相手側ハウジングと相手側主端子とを備える相手側コネクタとで構成されるコネクタ装置において、レバーとハウジングの一方にガイド溝が形成され、他方にガイド軸が形成され、レバーはガイド軸がガイド溝に位置するようにハウジングに取り付けられることにより、ハウジングに対しレバーが取る第1位置と第2位置の間で回転可能とされ、第2位置と第3位置の間でスライド可能とされ、カム機構をなすカム溝と従動ボスの一方がレバーに形成され、他方が相手側ハウジングに形成され、レバーが第1位置にあるコネクタが相手側コネクタに対し嵌合準備位置にあるとき、レバーを第2位置まで回転させると、コネクタはカム機構により嵌合準備位置よりも相手側コネクタに近接した嵌合位置に引き寄せられると共にレバーが少なくとも第2位置に到達するまでの間に主端子と相手側主端子とが接続し、レバーが第2位置にあるコネクタが相手側コネクタに対し嵌合位置にあるとき、レバーを第1位置まで回転させると、コネクタはカム機構により嵌合準備位置に押し戻されて主端子と相手側主端子との接続が解除され、ハウジングは鍔部を有し、相手側ハウジングは相手側鍔部を有し、レバーは前記スライドの方向に延伸する溝部を有し、相手側コネクタに対し嵌合位置にあるコネクタのレバーを第2位置から第3位置までスライドさせると、鍔部と相手側鍔部は相互に密着した状態で前記溝部に収容されることでレバーに挟持され、相手側コネクタに対し嵌合位置にあるコネクタのレバーを第3位置から第2位置までスライドさせると、レバーによる鍔部と相手側鍔部の挟持が解除されるものとされる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によるコネクタ装置によれば、コネクタのハウジングと相手側コネクタの相手側ハウジングとの相対的な動き(がたつき)を防止することができ、よって振動環境下で使用しても品質や接続性能が劣化しない、耐振動性能に優れたコネクタ装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】Aはこの発明によるコネクタ装置の実施例1におけるコネクタの上方から見た斜視図、BはAに示したコネクタの下方から見た斜視図。
【
図2】Aはこの発明によるコネクタ装置の実施例1における相手側コネクタの正面図、BはAに示した相手側コネクタの正面側から見た斜視図、CはAに示した相手側コネクタの背面側から見た斜視図。
【
図3】Aは
図1におけるハウジングの正面図、Bはその右側面図、Cはその上方から見た斜視図、Dはその下方から見た斜視図。
【
図4】Aは
図1におけるレバーの平面図、Bはその正面図、Cはその正面側上方から見た斜視図、Dはその正面側下方から見た斜視図、Eはその背面側上方から見た斜視図、Fはその背面側下方から見た斜視図。
【
図5】この発明によるコネクタ装置の実施例1において、コネクタが嵌合準備位置にある状態を示す斜視図。
【
図6】
図5に示した状態からレバーが第2位置まで回転された状態を示す斜視図。
【
図7】
図6に示した状態からレバーが第3位置までスライドされた状態を示す斜視図。
【
図8】
図7に示した状態からロック部品を押し込んだ状態を示す斜視図。
【
図9】Aは
図5に示した状態の平面図、BはAの右側面図、CはAのD-D線拡大断面図。
【
図10】Aは
図5に示した状態からレバーが第1位置と第2位置の間の中間位置まで回転された状態を示す平面図、BはAの右側面図、CはAのD-D線拡大断面図。
【
図11】Aは
図6に示した状態の平面図、BはAの右側面図、CはAのD-D線拡大断面図。
【
図12】Aは
図6に示した状態の平面図、BはAのD-D線断面図、CはAのE-E線断面図。
【
図13】Aは
図7に示した状態の平面図、BはAのD-D線断面図、CはAのE-E線断面図。
【
図14】Aは
図8に示した状態の平面図、BはAのC-C線断面図。
【
図15】Aは鍔部、相手側鍔部及び溝部の第1の形状例を示す図、Bは鍔部、相手側鍔部及び溝部の第2の形状例を示す図、Cは鍔部、相手側鍔部及び溝部の第3の形状例を示す図。
【
図16】Aはこの発明によるコネクタ装置の実施例2におけるコネクタの上方から見た斜視図、BはAに示したコネクタの下方から見た斜視図。
【
図17】Aはこの発明によるコネクタ装置の実施例2における相手側コネクタの正面図、BはAに示した相手側コネクタの正面側から見た斜視図、CはAに示した相手側コネクタの背面側から見た斜視図。
【
図18】Aは
図16におけるレバーの側面図、Bはその背面図、Cはその正面側上方から見た斜視図、Dはその背面側下方から見た斜視図、EはAのF-F線断面図。
【
図19】
図16に示したコネクタと
図17に示した相手側コネクタの嵌合前の状態を示す斜視図。
【
図20】
図16に示したコネクタと
図17に示した相手側コネクタの接続完了状態を示す斜視図。
【
図21】Aは
図16に示したコネクタと
図17に示した相手側コネクタとが嵌合され、レバーが第2位置まで回転された状態を示す平面図、BはAのC-C線断面図。
【
図22】Aは
図21に示した状態からレバーが第3位置までスライドされた状態を示す平面図、BはAのC-C線断面図。
【
図23】Aはこの発明によるコネクタ装置の実施例2においてコネクタが嵌合準備位置にあるときのインターロックハウジングの状態を示す部分拡大断面図、BはAに示した状態からレバーが第2位置まで回転された状態を示す部分拡大断面図。
【
図24】Aは
図23Bに示した状態からレバーが第3位置までスライドされた状態を示す部分拡大断面図、BはAに示した状態からインターロックハウジングが閉成位置にスライドされた状態を示す部分拡大断面図。
【
図26】Aは
図25におけるレバーの斜視図、Bはその側面図。
【
図27】Aはレバーが回転開始位置と回転完了位置との間にある状態を示す正面図、Bはレバーが回転完了位置にある状態を示す正面図、Cはレバーが嵌合完了位置にある状態を示す正面図。
【
図28】Aは
図25に示したコネクタ装置の装着完了状態を示す部分断面図、BはAの要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【実施例0023】
図1及び2はこの発明によるコネクタ装置の実施例1を構成するコネクタ100と相手側コネクタ200をそれぞれ示したものであり、このコネクタ100と相手側コネクタ200とよりなるコネクタ装置はHVIL(High-Voltage Inter Lock:高電圧インターロック)を備える高電圧大電流用のコネクタ装置であって、車載用として用いられるものとなっている。
【0024】
図1中、30はハウジングを示し、40はレバーを示す。300はケーブルを示し、コネクタ100はこの例では2本のケーブル300の端末に取り付けられている。ハウジング30には2本のケーブル300とそれぞれ接続されている主端子50が収容されており、さらにインターロック端子60が収容されている。また、レバー40にはCPA(Connector Position Assurance:コネクタ位置保証)のためのロック部品70が取り付けられている。
図1中、80はハウジング30に取り付けられているケーブルカバーを示す。
【0025】
まず、コネクタ100のハウジング30及びレバー40の構成について説明する。
【0026】
ハウジング30は
図3に示したように大別して嵌合部31と、嵌合部31の後方に続くケーブル収容部32とよりなる。嵌合部31には下面に大きく開口する収容部33が2つ設けられており、これら収容部33に主端子50がそれぞれ収容配置される。また、収容部33に加え、下面に開口する収容部34が1つ設けられており、この収容部34にはインターロック端子60が収容配置される。
【0027】
嵌合部31の前後方向ほぼ中央の両側面には一対のガイド軸35が互いに外向きに突出して形成されており、さらに嵌合部31の前側(ケーブル収容部32が位置する側と反対側)の両側面には一対の鍔部36が互いに外向きに突出して形成されている。また、嵌合部31とケーブル収容部32にまたがってハウジング30の両側面には一対の鍔部37が互いに外向きに突出して形成されている。これら4つの鍔部36及び37はハウジング30の前後方向に伸長する突条をなす。
【0028】
ハウジング30の上面にはケーブル収容部32の後端から嵌合部31にかけて前後方向に伸長する溝38が設けられており、この溝38の前端側において溝38内には突起38aが突出形成されている。
【0029】
レバー40は
図4に示したように板状をなす一対のアーム部41と、一対のアーム部41の基端側の上端を連結する連結部42とよりなる。一対のアーム部41にはアーム部41の伸長方向に延びるガイド溝43がそれぞれ形成されており、さらにカム溝44がそれぞれ形成されている。カム溝44は
図4に示したように湾曲形状をなし、その先端はアーム部41の先端に位置している。
【0030】
両アーム部41の先端側の内面には溝部45がそれぞれ形成されており、基端側の内面にも溝部46がそれぞれ形成されている。これら4つの溝部45,46はアーム部41の伸長方向に延びる略凹溝形状をなす。一方、連結部42の伸長方向中央の上面にはロック部品70を取り付けるための取付け部47が形成されている。
【0031】
上記のような構成を有するレバー40にはロック部品70が取り付けられ、ロック部品70が取り付けられたレバー40は一対のアーム部41の各ガイド溝43に、ハウジング30の一対のガイド軸35がそれぞれ挿入、位置され、一対のアーム部41がハウジング30を挟んでハウジング30に取り付けられる。レバー40はハウジング30に対し、後述するようにレバー40が取る第1位置と第2位置の間で回転可能とされ、第2位置と第3位置の間でスライド可能とされている。
図1はレバー40が第1位置にある状態を示す。
【0032】
一方、相手側コネクタ200を示した
図2において、110は相手側ハウジングを示し、120は相手側主端子を示す。また、130は相手側インターロック端子を示す。相手側コネクタ200は基板に実装されるものとなっている。
【0033】
相手側ハウジング110は板部111と、上方に開口する枠状をなして板部111上に突出して位置する被嵌合部112とを備えている。被嵌合部112の枠状をなす周壁112aにおいて、左右に位置する部分の外側面には一対の従動ボス113が互いに外向きに突出して形成されている。また、周壁112aの後方に向く部分は切欠き114によって大きく切り欠かれている。一対の相手側主端子120は被嵌合部112内に収容配置され、インターロック端子130は切欠き114側において被嵌合部112内に収容配置されている。
【0034】
相手側ハウジング110の板部111上にはさらに各一対の相手側鍔部115,116が設けられている。これら4つの相手側鍔部115,116は板部111から垂直に立ち上がった直立部117,118の上端にそれぞれ形成されており、一対の相手側鍔部115は被嵌合部112の前側において被嵌合部112の左右に位置し、一対の相手側鍔部116は被嵌合部112の後側において被嵌合部112の左右に位置している。一対の相手側鍔部115及び一対の相手側鍔部116はそれぞれ左右方向において互いに外向きに突出した構成となっている。
【0035】
次に、上述したコネクタ100と相手側コネクタ200の嵌合動作について説明する。
【0036】
コネクタ100と相手側コネクタ200とは状態1~5の嵌合過程を経て嵌合が完了する。
図5~8は状態1,3~5における外観を示したものであり、
図9~11は状態1~3における要部詳細を示したものである。また、
図12~14は状態3~5における要部詳細を示したものである。
【0037】
<状態1:
図5,9>
状態1はレバー40が第1位置にあるコネクタ100のハウジング30の嵌合部31が相手側コネクタ200の相手側ハウジング110の被嵌合部112に嵌合され、コネクタ100が相手側コネクタ200に対し、嵌合準備位置にある状態であり、相手側コネクタ200の一対の従動ボス113はコネクタ100のレバー40のカム溝44にそれぞれ入り込んだ状態となっている。この状態1では主端子50と相手側主端子120はまだ接続されておらず、インターロック端子60と相手側インターロック端子130もまだ接続されていない。
【0038】
<状態2:
図10>
状態2はレバー40が第1位置と第2位置の間の中間位置まで回転された状態であり、レバー40のカム溝44と、カム溝44に入り込んだ相手側コネクタ200の従動ボス113とよりなるカム機構により、コネクタ100は相手側コネクタ200に引き寄せられ、嵌合準備位置と嵌合位置の間の主端子接触開始位置に移動する。これにより、主端子50と相手側主端子120は
図10Cに示したように接続され、即ち主端子50と相手側主端子120はレバー40が第2位置に到達するまでの間に接続される。
【0039】
なお、レバー40が中間位置にあるコネクタ100が相手側コネクタ200に対し、この状態2の主端子接触開始位置にあるとき、レバー40を第1位置まで回転させると、コネクタ100はカム機構により押し戻され、主端子接触開始位置を離れて嵌合準備位置に移動し、コネクタ100が主端子接触開始位置を離れるとき、主端子50と相手側主端子120との接続は解除される。
【0040】
<状態3:
図6,11,12>
状態3はレバー40が回転完了位置である第2位置まで回転された状態であり、コネクタ100はカム機構によりさらに相手側コネクタ200に引き寄せられて相手側コネクタ200に近接した嵌合位置に移動する。主端子50と相手側主端子120との接続は維持されており、この状態3で
図11Cに示したようにインターロック端子60と相手側インターロック端子130とが接続され、これにより嵌合が検知される。
【0041】
なお、レバー40が第2位置にあるコネクタ100が相手側コネクタ200に対し、この状態3の嵌合位置にあるとき、レバー40を中間位置まで回転させると、コネクタ100は嵌合位置を離れて主端子接触開始位置に移動し、コネクタ100が嵌合位置を離れるときには主端子50と相手側主端子120との接続が維持された状態でインターロック端子60と相手側インターロック端子130との接続が解除される。
【0042】
CPAのためにレバー40に取り付けられているロック部品70はこの状態3では
図11C、12Bに示されているように、その具備するロック片71の先端がレバー40に設けられているロック部48に突き当たっており、これによりロック部品70は矢印a方向に押し込めない状態となっている。
【0043】
コネクタ100のハウジング30に設けられている4つの鍔部36,37と相手側コネクタ200の相手側ハウジング110に設けられている4つの相手側鍔部115,116は、この状態3で対応するもの同士が相互に密着する。
図12Cはその状態を示したものである。
【0044】
<状態4:
図7,13>
状態4はレバー40が第2位置から第3位置にスライドされた状態であり、コネクタ100のハウジング30の鍔部36,37と相手側コネクタ200の相手側ハウジング110の相手側鍔部115,116は相互に密着した状態でレバー40の一対のアーム部41にスライド方向(アーム部41の伸長方向)に延伸形成されている溝部45,46に
図13Cに示したように収容され、つまりレバー40によって鍔部36,37と相手側鍔部115,116は相互に密着した状態で挟持される。
【0045】
なお、相手側コネクタ200に対し嵌合位置にあるコネクタ100のレバー40を第3位置から第2位置までスライドさせると、レバー40による鍔部36,37と相手側鍔部115,116の挟持は解除される。
【0046】
一方、ロック部品70のロック片71の先端はレバー40が第2位置から第3位置にスライドされることによりハウジング30に設けられている突起38aに
図13Bに示したように乗り上げ、これによりロック部48への突き当てが解除され、矢印a方向へ押し込める状態となる。
【0047】
<状態5:
図8,14>
状態5はロック部品70が矢印a方向に押し込まれた状態であり、ロック部品70のロック片71の先端は
図14Bに示したようにレバー40のロック部48の先に位置し、これによりレバー40はロックされてスライド不可となり、即ちCPAが達成される。
【0048】
なお、レバー40のロック解除はロック部品70を矢印a方向と逆方向に引っ張ることにより行うことができる。
【0049】
以上、コネクタ100と相手側コネクタ200とで構成される、この発明によるコネクタ装置の実施例1の構成、嵌合動作について説明したが、大電流用の主端子50と相手側主端子120が接続した上で、HVIL用のインターロック端子60と相手側インターロック端子130が接続し、HVIL回路が閉じることで、主端子50と相手側主端子120間に大電流を流す回路装置がコネクタ装置の外部に備えられる。
【0050】
上述した実施例1のコネクタ装置によれば、下記の効果を得ることができる。
【0051】
即ち、レバー40は回転とスライドの動作をし、第1位置から第2位置への回転によってコネクタ100と相手側コネクタ200とが嵌合し、続く第2位置から第3位置へのスライドによってレバー40の回転が阻止され、つまり嵌合がロックされるものとなっているが、この例ではこの第2位置から第3位置へのレバー40のスライドにおいて、レバー40に設けた溝部45,46に鍔部36,37と相手側鍔部115,116とが相互に密着した状態で挟み込まれるように収容され、これによりコネクタ100のハウジング30と相手側コネクタ200の相手側ハウジング110がレバー40によって堅固に挟持されるものとなっている。
【0052】
よって、コネクタ100と相手側コネクタ200との相対的な動き(がたつき)を防止することができ、がたつきによってハウジング同士がこすれて削れたり、あるいは端子同士がこすれて削れ、めっきがはがれたりするといった不具合の発生を防止することができるため、優れた耐振動性能を得ることができ、振動環境下で使用しても品質や接続性能が劣化しないコネクタ装置を実現することができる。
【0053】
なお、鍔部36,37、相手側鍔部115,116及びレバー40の溝部45,46は、コネクタ100が相手側コネクタ200に対し嵌合位置に位置する状態でのレバー40のスライド方向に直交する断面形状が、それぞれ鍔部36,37及び相手側鍔部115,116の突出方向としてのハウジング30及び相手側ハウジング110から遠ざかる向きに従って拡幅してゆく形状とするのが好ましい。これにより、溝部45、46による鍔部36,37と相手側鍔部115,116の挟持がより確実になり、例えばレバー40が幅方向(スライド方向と直交する左右方向)に動いて挟持が外れるといったことを防止することができる。
【0054】
図15Aは上述した断面形状を溝部45に鍔部36と相手側鍔部115が挟持されている部分について例示したものである。
【0055】
なお、溝部45,46による鍔部36,37と相手側鍔部115,116の挟持をより確実にする形状としては
図15Aに例示した断面形状に限らず、
図15B,Cに例示したような断面形状を採用することもできる。
【0056】
図15Bは鍔部36と相手側鍔部115の突出方向先端の互いの外側面に突条36a及び115aを形成し、溝部45の開口部分の互いに対向する内側面に突条45aを形成したものである。また、
図15Cは
図15Aに示した溝部45と
図15Bに示した鍔部36及び相手側鍔部115とを組み合わせたものである。突条36a,115a、45aの断面形状としては
図15B,Cに示した形状に限らず、方形や台形あるいは三角形としてもよい。
【0057】
なお、この例ではレバー40に4つの溝部45,46を設け、コネクタ100のハウジング30と相手側コネクタ200の相手側ハウジング110を、ハウジング30の嵌合部31周りの4方で挟持するものとなっているが、溝部の数、即ちハウジング30及び相手側ハウジング110に設ける鍔部及び相手側鍔部の数は4つに限定されるものではない。
この例ではコネクタ400のレバー40は実施例1とは逆方向に回転するものとなっており、即ちケーブル300から遠ざかる方向に回転するものとなっている。また、コネクタ400のインターロック端子60はこの例ではハウジング30に取り付けられたインターロックハウジング90に収容されている。
コネクタ400のハウジング30は嵌合部31とケーブル収容部32と、嵌合部31の前面に位置する取付け部39とよりなる。嵌合部31の両側面には一対のガイド軸35が形成されており、さらに嵌合部31の前側の両側面には一対の鍔部36が形成され、嵌合部31の後側の両側面には一対の鍔部37が形成されている。取付け部39はインターロックハウジング90が取り付けられる部分であり、上下方向に開口した略筒状をなす。取付け部39にはその上下方向の中間に、取付け部39の前端から後方に向かって延びる一対のスリット39aが互いに対向する位置に形成されている。
一対のアーム部41にはガイド溝43とカム溝44がそれぞれ形成されており、さらに両アーム部41の先端側の内面には溝部46がそれぞれ形成され、基端側の内面にも溝部45がそれぞれ形成されている。なお、溝部45はこの例ではアーム部41の外面に開口するスリット状をなす。
連結部42には下半部側に開口42aが形成され、この開口42aと連通する開口49bが操作部49にも形成されている。操作部49の開口49bの幅方向両側には上下方向に延びる壁部49cがそれぞれ形成され、これら壁部49cの互いの内側面にはスライド挿入部49dがそれぞれ突出形成されている。スライド挿入部49dはアーム部41の伸長方向に延びる突条とされ、その伸長方向中間には切欠き49eが設けられている。
インターロックハウジング90は筒状部91と、筒状部91の上端に位置して筒状部91を蓋する形状の操作部92とを備えている。インターロックハウジング90の詳細構成及びハウジング30の取付け部39への取付け状態については後述する。
被嵌合部112の前方、即ち周壁112aに設けられている切欠き114が位置する側とは反対側において板部111上には取付け部119が突出形成されている。取付け部119は上方に開口する筒状をなし、相手側インターロック端子130はこの取付け部119に取付け固定されている。
なお、このようにインターロックハウジング90が押し下げられて閉成位置に位置する状態では、詳細図示は省略しているが、インターロックハウジング90の筒状部91に外向きに突出されて形成されている一対のレバースライド阻止部がレバー40のスライド挿入部49dに設けられている切欠き49eに入り込むことにより、レバー40は第3位置に固定され、第2位置へのスライド復帰が阻止されるものとなっている。
加えて、実施例2ではHVILの接続、解離はレバー40とは別に設けたインターロックハウジング90の押し下げ、引き上げによって行われるものとなっている。即ち、HVILの接続はレバー40を回転操作して主端子50と相手側主端子120を接続した後、レバー40をスライド操作し、さらにインターロックハウジング90を押し下げることによって行われ、また主端子50と相手側主端子120の解離はインターロックハウジング90を引き上げてHVILを解離した後、レバー40をスライド操作し、さらに回転操作することによって行われるものとなっている。
従って、大電流用の主端子の接続、解離とHVILの接続、解離との間に十分な時間間隔が空くものとなっており、よってコネクタ装置の嵌合、離脱作業をより安全に行えるものとなっている。