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特開2023-3397アタッチメントツールを位置特定するためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003397
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】アタッチメントツールを位置特定するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/36 20060101AFI20221228BHJP
   E02F 3/30 20060101ALI20221228BHJP
   E02F 3/40 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
E02F3/36
E02F3/30
E02F3/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022098157
(22)【出願日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】10 2021 116 246.7
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】502087404
【氏名又は名称】リープヘル-ヒュドラオリクバッガー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ズィッターバート トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シック カタリナ
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012GB00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アタッチメントツールと作業装置との間における関連付けの信頼性を高めること。
【解決手段】作業装置のアタッチメントツールを位置特定するシステムであって、アタッチメントツールに接続且つアタッチメントツールの瞬間加速度に関する第1の加速度信号を提供するように構成された第1の加速度センサを有する第1の通信ユニットとアタッチメントツールの作業装置への接続且つ接続領域の瞬間加速度に関する第2の加速度信号を提供するように構成された第2の加速度センサを有する第2の通信ユニットと第1及び/又は第2の通信ユニットに結合且つ第1及び第2の加速度信号の取得ともに信号の評価によって作業装置に対するアタッチメントツールの安全な配置を可能とした識別モジュールを備えるシステム。更に作業装置とシステムを含むアタッチメントツールとのセット及びシステムにより作業装置のためにアタッチメントツールを位置特定する方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置(10)のためのアタッチメントツール(30)を位置特定するためのシステムであって、
前記アタッチメントツール(30)に接続され且つ前記アタッチメントツール(30)の瞬間加速度に関する第1の加速度信号を提供するように構成された第1の加速度センサを有する第1の通信ユニット(21)と、
前記アタッチメントツール(30)のための接続領域(18)の領域において前記作業装置(10)に接続され且つ前記接続領域(18)の瞬間加速度に関する第2の加速度信号を提供するように構成された第2の加速度センサを有する第2の通信ユニット(22)と、
前記第1及び/又は第2の通信ユニット(21,22)に結合され且つ前記第1及び第2の加速度信号を取得するとともに前記信号を評価することによって前記作業装置に対する前記アタッチメントツールの安全な配置を可能にするように構成された識別モジュールと、を備える、システム。
【請求項2】
前記第1の通信ユニット(21)は、前記第1の加速度信号を受信ユニットに無線で送信するように構成されており、前記受信ユニットは、好ましくは、限られた受信半径内の信号を受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第2の通信ユニット(22)は、前記受信ユニットを有し且つ前記第1及び第2の加速度信号を前記識別モジュールに提供するように構成されており、前記第2の通信ユニット(22)は、前記識別モジュール、又は前記識別モジュールを含み且つ前記第2の通信ユニット(22)から前記第1及び第2の加速度信号を有線又は無線で受信するように構成された前記作業装置(10)に接続された識別ユニット(24)を、有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記識別モジュール及び前記受信ユニットを含む前記作業装置(10)に接続された識別ユニット(24)が設けられており、前記第2の通信ユニット(22)は、前記第2の加速度信号を前記識別ユニット(24)に有線又は無線で送信するように構成されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の通信ユニット(21)は、前記アタッチメントツール(30)の位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する識別信号を提供し且つそれを前記識別モジュール及び/又は前記作業装置(10)のコントローラ(26)に送信するように構成されている、請求項1から4のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項6】
前記識別モジュールは、前記第1の加速度信号と前記第2の加速度信号との比較において、次の情報
前記第1の通信ユニットの無線接続のプロパティ、特に信号強度、
前記アタッチメントツール(30)に配置された位置決定ユニットによって好ましくは決定され得る前記アタッチメントツール(30)の瞬間位置、
前記アタッチメントツール(30)での前記第1の通信ユニット(21)の位置、
少なくとも1つのセンサによって好ましくは決定され得る前記作業装置(10)の瞬間位置、及び
結合センサによって好ましくは決定され得る前記作業装置(10)の前記接続領域での前記アタッチメントツール(30)の瞬間結合状態、
のうちの1つ以上を考慮するように構成されている、請求項1から5のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項7】
前記識別モジュールは、複数の前記アタッチメントツール(30)の前記第1の通信ユニット(21)から前記第1の加速度信号を受信して、これら前記第1の加速度信号各々を前記第2の通信ユニット(22)の前記第2の加速度信号と比較して、前記比較を参照しながら、前記アタッチメントツール(30)が前記作業装置(10)に接続されているかどうか及び/又はどの前記アタッチメントツール(30)が前記作業装置(10)に接続されているかを決定する、ように構成されている、請求項1から6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
前記識別モジュールは、前記アタッチメントツール(30)が前記作業装置(10)に接続されているかどうか及び/又はどの前記アタッチメントツール(30)が前記作業装置(10)に接続されているかの決定において、次の基準
前記第1の加速度信号と前記第2の加速度信号との差分、及び
前記第2の加速度信号と、前記第2の加速度信号を参照して計算された前記アタッチメントツール(30)のための予想加速度と、の差分、
のうちの1つ又は両方を考慮するように構成されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
互いに及び/又は前記接続領域(18)に結合され得る異なる前記アタッチメントツール(30)に接続された少なくとも2つの前記第1の通信ユニット(21)が、設けられており、前記識別モジュールは、少なくとも2つの前記第1の通信ユニット(21)の前記第1の加速度信号を取得して、それらを互いに及び/又は前記第2の加速度信号と比較して前記比較を用いて前記アタッチメントツール(30)の取付順序を決定する、ように構成されている、請求項1から8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも2つの前記第1の通信ユニット(21)は、追加的に互いに通信する異なる前記アタッチメントツール各々に設けられている、請求項1から9のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項11】
前記識別モジュールは、前記第2の加速度信号に基づいて前記アタッチメントツール(30)のための予想加速度を計算して、それを前記アタッチメントツール(30)の前記第1の通信ユニット(21)の前記第1の加速度信号と比較して、前記比較を参照しながら前記アタッチメントツール(30)が前記作業装置(10)に接続されているかどうかを認識する、及び/又は前記作業装置(10)の想定された装備状態のための妥当性評価を実行する、ように構成されている、請求項1から10のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項12】
前記作業装置(10)、特に油圧掘削機と、請求項1から11のいずれか1つに記載のシステムを含む少なくとも1つの前記アタッチメントツール(30)とのセットであって、前記作業装置(10)は、前記アタッチメントツール(30)の位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する識別信号を取得して前記識別信号に基づいて作業動作を適合させるように構成されたコントローラ(26)を好ましくは含む、セット。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか1つに記載のシステムによって前記作業装置(10)のために前記アタッチメントツール(30)を位置特定する方法であって、
前記アタッチメントツール(30)に接続された前記第1の通信ユニット(21)の前記第1の加速度センサによって前記アタッチメントツールの瞬間加速度を検出して前記第1の加速度信号を提供するステップと、
前記第2の通信ユニット(22)の前記第2の加速度センサによって前記作業装置(10)の前記接続領域の瞬間加速度を検出して前記第2の加速度信号を提供するステップと、
前記第1及び第2の加速度信号を前記識別モジュールに送信するステップと、
前記第1及び第2の加速度信号を比較して、前記アタッチメントツール(30)を検証して、特に前記アタッチメントツール(30)が前記作業装置(10)に接続されているかどうかを認識するステップと、を含む、方法。
【請求項14】
異なる前記アタッチメントツール(30)に接続された少なくとも2つの前記第1の通信ユニット(21)が、設けられており、前記アタッチメントツール(30)は、互いに及び/又は前記接続領域(18)に結合可能であり、少なくとも2つの前記アタッチメントツール(30)の予想加速度は、前記第2の加速度信号に基づいて計算されて、前記アタッチメントツール(30)の前記第1の通信ユニット(21)の前記第1の加速度信号と比較されており、前記アタッチメントツール(30)のうちの1つ以上が前記作業装置(10)に接続されているかどうかを認識する、及び/又は想定される装備状態のための又は前記第1の通信ユニット(21)により送信される前記作業装置(10)の装備状態のための妥当性評価を実行する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の通信ユニット(21)各々により前記識別モジュールに好ましくは送信される前記アタッチメントツール(30)の位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する情報は、前記妥当性評価のために考慮されており、及び/又は、前記アタッチメントツール(30)の位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する識別信号は、関連する前記第1の通信ユニット(21)によって提供されており、前記識別信号は、前記識別信号に基づいて前記作業装置(10)の動作を適合させる前記作業装置(10)のコントローラに送信される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメントツールに接続された第1の通信ユニットと、作業装置に接続された第2の通信ユニットと、第1及び/又は第2の通信ユニットに通信接続された識別モジュールと、を備える、作業装置のためのアタッチメントツールを位置特定(Lokalisierung)する又は関連付けるための、システムに関する。本発明はさらに、そのようなシステムによって作業装置のためにアタッチメントツールを検証する又は識別するための方法、に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧掘削機のようないくつかの作業装置では、現場で特別な作業を実行するために、作業装置に取り付けられ得る又は作業装置から取り外され得る、多数の異なるアタッチメントツールを展開現場に準備することが、知られている。このような作業装置は、異なるアタッチメントツールを迅速且つ簡単に持ち上げたり置いたりできるように、クイックチェンジシステムを通常では備える。複数の作業ツールは、必要に応じて作業装置によって持ち上げられる又は置かれるために、展開現場において互いに近接して頻繁に格納される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
作業装置の動作をアタッチメントツール各々にセットできるようにするために、例えば識別又は幾何学データを作業装置のコントローラに送信する送信/受信モジュールを、アタッチメントツールに備えることが、知られている。無線送信及び受信モジュールが特定の範囲を有するという事実のため、しかしながら、複数の作業ツールから信号が受信されることが何度も起こる。交換されるデータが、安全に関する可能性があるので、どのアタッチメントツールがどの作業装置に結合されているかを正しく関連付ける必要がある。
【0004】
したがって、本発明の根底にある目的は、アタッチメントツールと作業装置との間における関連付けの信頼性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴を有するシステムによって、及び請求項12の特徴を有する方法によって、満たされる。本発明の有利な実施形態は、従属請求項から及び以下の説明から、得られる。
【0006】
したがって、作業装置のためのアタッチメントツールを位置特定するためのシステムが提供されており、作業装置は、例えば油圧掘削機とすることもでき、アタッチメントツールは、例えば、掘削機バケット、オレンジピールグラブ、又はアームエクステンションとすることもできる。しかしながら、本発明は、異なるアタッチメントツールが用いられ得る他の作業装置にも、用いられてよい。
【0007】
本発明に係るシステムは、アタッチメントツールに接続された第1の通信ユニットを、備える。前記第1の通信ユニットは、前記アタッチメントツールの瞬間加速度が検出され且つ加速度を表す第1の加速度信号を提供するように構成された第1の加速度センサを、有する。
【0008】
本発明に係るシステムは、前記作業装置に、実際には前記アタッチメントツールを取り付けるための接続領域の領域に接続される第2の通信ユニットを、さらに備える。接続領域は、掘削機アームの端部に配置され得ており、例えば、クイックチェンジャを表し得る又は含み得る。前記第2の通信ユニットは、前記接続領域の瞬間加速度が検出され且つ前記接続領域の検出加速度を表す第2の加速度信号を提供するように構成された第2の加速度センサを、有する。
【0009】
本発明に係るシステムは、前記第1及び/又は第2の通信ユニットに結合された識別モジュールを、さらに備える。前記識別モジュールは、前記第1及び第2の加速度信号を受信して又は取得して、それらを互いに比較して、この比較を参照しながら前記アタッチメントツールを位置特定する又は関連付ける、ように構成されている。識別モジュールは、特定のアタッチメントツールが、作業装置に接続されているかどうかを、すなわち接続領域に取り付けられているかどうかを、又は例えば地面に又は環境における第2の作業装置に配置されているかどうかを、上述の比較を参照しながら特に認識することができる。識別モジュールは、ソフトウェアモジュール又はプログラムでもよい。
【0010】
したがって、本発明に係るアイデアは、アタッチメントツールと接続領域との加速度が測定されて評価される、すなわち互いに比較されるという点で、アタッチメントツールの安全且つ信頼できる関連付け又は識別の達成を、含む。作業装置から(又は第2の通信ユニットから)信号(第1の加速度信号)が受信されるアタッチメントツールが、接続領域に設置される場合、アタッチメントツールと接続領域とは、接続領域の移動に対して同様の加速度を受ける。アタッチメントツールのみが移動される場合、後者は、同様に加速度を受ける。反対に、地面に置かれたアタッチメントツールは、任意の加速度を受けない。
【0011】
例えば、ここで、第2の通信ユニットが、一方が接続領域に取り付けられ且つ他方が地面に置かれた2つの異なるアタッチメントツールから、2つの第1の加速度信号を受信する場合、2つの第1の加速度信号のうちの一方によって表される加速度は、接続領域の移動(例えば掘削機アームの旋回)中における他方の加速度信号によって表される加速度よりも、接続領域の(第2の加速度信号によって表される)加速度に、類似する。
【0012】
アタッチメントツールのみが移動される(例えば接続領域に対して旋回される)場合、2つの第1の加速度信号のうちの一方によって表される加速度は、他方の第1の加速度信号によって表される加速度よりも、大きい。
【0013】
したがって、取り付けられたアタッチメントツールを確実に関連付けるためには、接続領域又は少なくともアタッチメントツールが、移動されて、十分な差分が、静止されたアタッチメントツールと取り付けられたアタッチメントツールとの間における加速度をもたらすことが、有利である。本発明に係るシステムによって達成される、取り付けられたアタッチメントツール各々の自動識別は、特に、ここでは、オペレータによる又は対応する操作補助による正しいアタッチメントツールの選択に機能せず、しかしむしろ、作業装置のコントローラが、例えば、同様に範囲内に配置された取り付けれていない作業ツールからではなく、取り付けられた作業ツールからの操作に関するデータのみを受信することを、確保するべきである。したがって、自動識別又は関連付けは、特に、接続領域及び/又はアタッチメントツールの移動又は加速が行われると直ぐに、アタッチメントツールの取り付け又は持ち上げの直後に、自動的に行われ得る。
【0014】
しかしながら、例えば、無線接続の信号強度が互いに比較されるという点で、本発明に係るシステムによるアタッチメントツールを加速せずに、関連付けも理論的に可能である。ここで、接続領域に取り付けられたアタッチメントツールは、他のアタッチメントツールよりも接続領域に近く、したがって、対応する第1の通信ユニットの第1の加速度信号は、他のアタッチメントツールの信号よりも、強い、すなわち、より高い振幅を有すると、仮定される。
【0015】
しかしながら、加速度信号の比較は、好ましくは、「正しい」第1の加速度信号がゼロよりも大きな加速度を表すように、取り付けられたアタッチメントツールの移動中に行われる。ここで、この移動は、適切な評価が自動的に行われ得るように、機械的結合手順にて自動的に起こる移動でもよい。ここで、加速度信号の比較又はアタッチメントツールの関連付けは、好ましくは、オペレータがこれ以上何もする必要がないように、自動的に行われる。
【0016】
可能な実施形態では、前記第1の通信ユニットは、前記第1の加速度信号を、例えばRFID又はBluetooth、好ましくはBLE(Bluetooth Low Energy)を介して、受信ユニットに無線で送信するように、構成されている。前記受信ユニットは、好ましくは、限られた受信半径内の信号を受信するように構成されている。BLEの場合、これは、複数のアタッチメントツールの信号を同時に受信され得るように、複数メートルに達することができる。反対に、第1の通信デバイスは、同様に数メートルに達し得る限られた送信半径を、特に有する。
【0017】
さらなる可能な実施形態では、前記第2の通信ユニットは、前記受信ユニットを有し且つ前記第1及び第2の加速度信号を前記識別モジュールに例えばケーブル又は無線を介して提供するように構成されている。受信ユニットは、第2の通信ユニットに統合され得る。
【0018】
1つの可能性は、第2の通信ユニットが識別モジュールを含むことである。ここで、識別モジュールは、第2の通信ユニットのデータストアに記憶されるソフトウェアモジュールでもよい。この場合、加速度信号の比較、すなわち評価は、第2の通信ユニットにおいて局所的に実行される。第2の通信ユニットは、コントローラと第2の通信ユニットとがデータを交換することができるように、作業装置のコントローラにさらに接続されてもよい。特に、第1の通信ユニットを介して提供される識別されたアタッチメントツールのデータは、第2の通信ユニット(コントローラへのインターフェース)を介してコントローラに送信されてもよい。
【0019】
さらなる可能性は、作業装置に接続され且つ識別モジュールを有するとともに有線又は無線で第2の通信ユニットから第1及び第2の加速度信号を受信するように構成された別個の識別ユニットが設けられることを、含む。ここで、識別ユニットは、接続領域の領域に配置される必要はなく、しかしむしろ、作業装置の任意の所望の点、例えば作業装置の上部構造体又は運転室に配置されてもよい。この場合、通信ユニットの異なる信号は、とりわけ加速度信号の評価又は比較が行われる識別ユニットに、集中的に集約する。
【0020】
識別ユニットは、識別モジュールがソフトウェアモジュールとして記憶されるデータストアを、含んでもよい。識別ユニットは、コントローラと識別ユニットとがデータを交換することができるように、作業装置のコントローラにさらに接続されてもよい。特に、第1の通信ユニットを介して提供される識別されたアタッチメントツールのデータは、識別ユニット(コントローラへのインターフェース)を介してコントローラに送信され得る。
【0021】
第2の通信ユニットと識別ユニットとは、好ましくは、互いに無線で接続されている。代替的には、これらの2つのユニットは、ケーブルによって互いに接続されてもよく、ケーブルは、掘削機の場合、接続領域までアームに沿って導かれることができる。このようなケーブル配線は、無線接続で省かれてもよい。
【0022】
代替的には、識別ユニットは、モバイル装置、例えばスマートフォン又はタブレットでもよく、識別モジュールは、そのようなモバイル装置で動作するプログラムでもよい。識別ユニットが外部処理ユニット又はクラウドであることが、同様に考えられる。モバイル装置又はクラウドは、第2の通信ユニットに無線又はケーブルによって次々に接続又は統合される、対応する送受信ユニットを用いて、クラウドに、無線、例えばセルラー無線によって、通信的に接続されてもよい。
【0023】
同様に、さらなる可能な実施形態では、作業装置に接続された識別ユニットが、設けられてもよい。しかしながら、この実施形態では、識別モジュールは、受信ユニットを有する、すなわち、第1の通信ユニットは、識別ユニットと直接的に通信する。この場合、前記第2の通信ユニットは、前記第2の加速度信号を識別ユニットに有線又は無線で送信するように構成されている。先の実施形態に関して説明された任意の設計の可能性は、この実施形態にも同様に適用される。
【0024】
さらなる可能な実施形態では、前記第1の通信ユニットは、識別信号を提供し且つそれを前記識別モジュール及び/又は前記作業装置のコントローラに送信するように構成されている。
【0025】
識別信号は、位置検出モジュール(例えばGPSモジュール)によって例えば検出可能であり得るアタッチメントツールの位置に、関してもよい。代替的に又は追加的には、識別信号は、アタッチメントツールの寸法又は複数の寸法又はジオメトリに、関してもよい。代替的に又は追加的には、識別ツールは、アタッチメントツールのタイプに関してもよく、すなわち、アタッチメントツール(例えば、掘削機バケット、オレンジピールグラブなど)を特徴付けてもよい。代替的に又は追加的には、識別信号は、アタッチメントツールの、重量、ツールパラメータなどの他のプロパティに、関してもよい。動作パラメータも、送信され得る。
【0026】
そこで、識別信号は、好ましくは、作業装置の動作を、認識されて取り付けられたアタッチメントツール各々に適合させるコントローラに、提供されてもよい。識別信号によって表されるデータが安全に関する可能性があるので、実際に取り付けられたアタッチメントツールのデータのみが、本発明に係るシステムの補助を借りて確保されるコントローラに、送信されることが、特に重要である。
【0027】
さらなる可能な実施形態では、前記識別モジュールは、前記第1の加速度信号と前記第2の加速度信号との比較において、次の情報のうちの1つ以上を考慮するように構成されている。
【0028】
・前記第1及び/又は第2の加速度信号のプロパティ。ここで、それは、好ましくは、加速度信号、特に第1の加速度信号の、信号強度又は振幅である。それは、接続領域からのアタッチメントツール各々の距離の指標とすることができる(距離が大きいほど、信号強度が小さい)。
【0029】
・識別信号のプロパティ。ここで、それは、好ましくは、識別信号の信号強度又は振幅である。
【0030】
・アタッチメントツールの瞬間位置。それは、アタッチメントツールに配置された位置決定ユニット(例えばGPSモジュール)によって、決定され得る。
【0031】
・アタッチメントツールでの第1の通信ユニットの位置又は配置。結合手順において及び動作中に、どの加速度がアタッチメントツールで予想され得るかに関するこの情報に基づいて、より正確な計算が行われ得ており、予想される加速度の計算において又は実際に測定される加速度との比較において、より高い精度が達成され得る。
【0032】
・作業装置の瞬間位置及び/又は瞬間装備状態。それらは、作業装置の少なくとも1つのセンサによって、決定され得る。位置は、例えば、掘削機アームの位置又は配向に関し得る。
【0033】
・作業装置の接続領域とのアタッチメントツールの瞬間結合状態。それは、例えばアタッチメントツールが接続領域に結合されていることを検出する結合センサによって、決定され得る。
【0034】
これにより、取り付けられたアタッチメントツールの位置特定の精度又は信頼性をさらに高めることが、可能である。
【0035】
さらなる可能な実施形態では、前記識別モジュールは、複数の前記アタッチメントツールの前記第1の通信ユニットから複数の加速度信号を受信して、これら前記第1の加速度信号各々を前記第2の通信ユニットの前記第2の加速度信号(基準としての単一の第2の加速度信号又は複数の第2の加速度信号のいずれか)と比較して、前記比較を参照しながら、前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているかどうか及び/又はどの前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているかを決定する、ように構成されている。第2の通信ユニットは、好ましくは、例えば複数メートルの特定の受信半径内でのアタッチメントツールから、加速度信号を受信することができる。
【0036】
さらなる可能な実施形態では、前記識別モジュールは、前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているかどうか及びどの前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているかの決定において、どの前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているか及び前記第1の加速度信号と前記第2の加速度信号との間における最小差分を、考慮するように構成されている。差分は、信号強度又は振幅のような加速度信号の異なるプロパティに、関し得る。差分は、好ましくは、観測されたアタッチメントツール及び接続領域の加速度に、関する。換言すると、加速度が接続領域の測定された加速度と最も一致する、例えば最小の差分を有する、アタッチメントツールが、取り付けられている(又はアタッチメントツールである見込みに関して少なくともより重み付けされている)として、認識されている。
【0037】
代替的に又は追加的には、識別モジュールは、第2の加速度信号と、上記決定における第2の加速度信号を参照して計算されたアタッチメントツールのための予想加速度と、の間における信号の差分又は他の任意の所望の評価アルゴリズムの形態の区別を考慮するように、構成されてもよい。したがって、理論的に予想され得る取り付けられたアタッチメントツールのための加速度は、第2の加速度センサによって測定される接続領域の加速度を用いて計算されて、第1の加速度センサによって実際に測定される取り付けられたアタッチメントツールの加速度と比較される。このプロセスでは、第1の通信ユニットによって(例えばツールのジオメトリにて)送信されるアタッチメントツールでのデータは、考慮され得る。偏差が大き過ぎる場合、作業ツールは、取り付けられていないとして認識される、又は少なくとも重み付けが小さくなる。
【0038】
さらなる可能な実施形態では、互いに及び/又は前記接続領域に結合され得る異なる前記アタッチメントツールに接続された少なくとも2つの前記第1の通信ユニットが、設けられており、前記識別モジュールは、少なくとも2つの前記第1の通信ユニットの前記第1の加速度信号を取得して、それらを互いに及び/又は前記第2の加速度信号と比較して前記比較を用いて前記アタッチメントツールの取付順序を決定する、ように構成されている。アタッチメントツールの1つは、例えば、異なるアタッチメントツールが次々に取り付けられ得る、アダプタ又はエクステンションでもよい。
【0039】
ここで、どのアタッチメントツールが接続領域に対してより近くに配置されているのかが、上述の基準を参照して決定され得ており、これにより、取付順序が決定され得る。例えば、作業装置のブームの旋回時、さらに外側に配置されたアタッチメントツールは、接続領域に直接的に設置されたものよりも大きな加速度を受けることができる。代替的に又は追加的には、信号強度は、さらに外側に配置されたアタッチメントツールが、第2の通信ユニットの位置での他のアタッチメントツールよりも、小さな信号強度を有するので、見られることができる。異なる位置で異なるアタッチメントツールのために予想され得る加速度は、同様に、アタッチメントツールの所定の又は想定される装備状態を参照して計算され得ており、測定される加速度値と比較され得る。差分が大き過ぎる場合、実際の取付順序は認識される。
【0040】
作業装置の運動学による取付又は結合の順序の正確な決定は、作業装置の正確なセッティング又はアタッチメントツールに対するその制御を、可能にする。
【0041】
上述のことは、取付順序だけでなく、調整可能なアタッチメントツールの位置にも、適用される。したがって、例えば、調節可能なエクステンションが、アタッチメントツールとして、設けられることができる。位置に応じて、第1の加速度信号は、エクステンション又はそれに取り付けられたさらなるアタッチメントツールに対して、変化することができる。したがって、測定値と計算値との比較によって、アタッチメントツールの正しくない設置位置は、認識されることができる。ここで、識別モジュールに接続されたコントローラは、警告を(例えば視覚的及び/又は音響的に)出力することができる、及び/又は作業装置の制御に介入することができる。
【0042】
さらなる実施形態では、少なくとも2つの前記第1の通信ユニットは、追加的に互いに通信する異なる前記アタッチメントツール各々に設けられている。これにより、結合の決定において、追加的な情報が用いられ得る。ツールは、それらの結合状態を、互いに追加的に交換することができる。さらに、それらは、例えば2つのツールが一緒に置かれたときに、それらが設置された構成を、記憶することができる。
【0043】
さらなる可能な実施形態では、前記識別モジュールは、前記第2の加速度信号に基づいて前記アタッチメントツールのための予想加速度を計算して、それを前記アタッチメントツールの前記第1の通信ユニットの前記第1の加速度信号と比較して、前記比較を参照しながら前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているかどうかを認識する、及び/又は前記作業装置の想定された装備状態のための妥当性評価を実行する、ように構成されている。妥当性評価は、第1の通信ユニットによって送信されるアタッチメントデバイスにおける値に、例えばタイプ、寸法など(識別信号)に、関することができる。
【0044】
評価は、例えば、エクステンション(例えば掘削機を持つアームエクステンション)の送信される寸法が、測定されるデータから導出される値と異なるかどうかの妥当性評価によって、行われ得る。妥当性評価は、1つ以上の取り付けられたツールの装備状態又は位置/構成に関し得るのみならず、作業装置自体にも関し得る。これにより、作業装置の動作安全性は、高められる。ここで、妥当性評価は、好ましくは、オペレータが何も開始する必要がないように、自動的に行われる。
【0045】
本発明はさらに、前記作業装置、特に掘削機、さらに特に油圧掘削機と、本発明に係るシステムを含む少なくとも1つの前記アタッチメントツールと、で構成されるセットに、関する。前記作業装置は、前記アタッチメントツールの位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する識別信号を取得して前記識別信号に基づいて前記作業装置の動作又は制御を適合させるように構成されたコントローラを、好ましくは含む。
【0046】
加速度の比較によって、作業装置の制御を基礎付ける又はそれに影響する識別信号が、実際には、受信範囲における異なるツールからではなく、取り付けられたアタッチメントツールからも発生することが、確保される。識別信号から得られるデータは、測定値と比較されて、任意に提供される妥当性評価を介して、正しさ又は妥当性についてチェックされ得る。
【0047】
ここで、本発明に係るシステムと全体的に同じ利点及び特性が得られ、この時点で繰り返しの説明は省略される。
【0048】
本発明はさらに、本発明に係るシステムによって前記作業装置のために前記アタッチメントツールを位置特定する方法に、関する。本方法は、次のステップを含む。
【0049】
・前記アタッチメントツールに接続された前記第1の通信ユニットの前記第1の加速度センサによって少なくとも1つの前記アタッチメントツールの瞬間加速度を検出して、前記第1の加速度信号を提供する。
【0050】
・前記第2の通信ユニットの前記第2の加速度センサによって前記作業装置の前記接続領域の瞬間加速度を検出して、前記第2の加速度信号を提供する。
【0051】
・前記第1及び第2の加速度信号を前記識別モジュールに送信する。
【0052】
・前記アタッチメントツールを位置特定するための適切なアルゴリズムを用いて、前記第1及び第2の加速度信号を比較して、前記アタッチメントツールを検証して、前記アタッチメントツールが前記作業装置に接続されているかどうか(又は複数の可能な前記アタッチメントツールのうちのどれが前記接続領域に取り付けられているか)を特に認識する。
【0053】
ここで、本発明に係るシステムと同じ利点及び特性が明らかに得られ、この時点で繰り返しの説明は省略される。したがって、システムの異なる構成要素の可能な実施形態及びそれらの相互作用に関する上の記載は、それに応じて適用される。
【0054】
取り付けられたアタッチメントツールの移動は、好ましくは、対応する第1の加速度信号がゼロよりも大きな加速度を表すように、比較を基礎付ける第2の加速度センサによるアタッチメントツールの瞬間加速度の測定中に、行われる。
【0055】
本方法の可能な実施形態では、異なる前記アタッチメントツールに接続された少なくとも2つの前記第1の通信ユニットが、設けられており、前記アタッチメントツールは、互いに及び/又は前記接続領域に結合可能である。少なくとも2つの前記アタッチメントツールの理論的に予想された加速度は、前記第2の加速度信号に基づいて計算されて、前記アタッチメントツールの前記第1の通信ユニットの前記第1の加速度信号と比較されており、前記アタッチメントツールのうちの1つ以上が前記作業装置に接続されているかどうかを認識する、及び/又は想定される装備状態のための又は前記第1の通信ユニットにより送信される前記作業装置の装備状態のための妥当性評価を実行する。
【0056】
本方法のさらなる可能な実施形態では、前記第1の通信ユニット各々により前記識別モジュールに好ましくは送信される前記アタッチメントツールの位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する情報を、前記妥当性評価のために考慮する。上記情報は、特に識別信号として送信されており、識別信号は、より多くの情報又はより多くの信号を含むことができる。
【0057】
本方法のさらなる可能な実施形態では、前記アタッチメントツールの位置及び/又は寸法及び/又はタイプ及び/又は他のプロパティに関する識別信号は、関連する前記第1の通信ユニットによって提供されており、前記識別信号は、前記識別信号に基づいて前記作業装置の動作を適合させる前記作業装置のコントローラに(直接的に又は前記第2の通信ユニットを介してのいずれかで)送信される。
【0058】
本発明のさらなる特徴、詳細及び利点は、図面を参照して以下で説明される実施形態から、得られる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、本発明の実施形態に係るアタッチメントツールが取り付けられた作業装置の側面図である。
図2図2は、第1の通信デバイスの送信領域が概略的に示される3つのアタッチメントツールの側面図である。
図3図3は、側面図での異なるアタッチメントツールの持ち上げ時における作業装置の接続領域である。
図4図4は、さらなる実施形態に係る2つのアタッチメントツールが取り付けられた作業装置の側面図である。
図5図5は、さらなる実施形態に係る2つのアタッチメントツールが取り付けられた接続領域の側面図である。
図6図6は、異なる部分に対して作用する加速力が描かれた図4に従った図である。
図7図7は、一実施形態による本発明に係るシステムの異なる構成要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明に係るシステムを備えるとともにアタッチメントツール30を備える作業装置10の第1実施形態が、図1の側面図に示されている。ここに示される実施形態では、それは、アタッチメントツールとしての掘削機バケット30を備える油圧掘削機10である。掘削機10は、走行可能な下部走行体12と、下部走行体12上に回転可能に支持された上部構造体14と、旋回可能なクイックチェンジャとして形成された接続領域18が端部(アーム端部)に配置された旋回可能な掘削機ブーム16と、を備える。クイックチェンジャ18は、それ自体公知の方法で、異なるアタッチメントツール30の、高速且つ単純な、取り付け及び取り外し又は交換を、可能にする。
【0061】
油圧掘削機10及び掘削機バケット30(及び、図1に示されていないが、任意に利用可能な、さらなるアタッチメントツール30)は、本発明に係るツール通信及び位置特定システムを、備える。システムは、掘削機バケット30に配置された第1の通信ユニット21(以下、ツールモジュール21とも呼ばれる)と、クイックチェンジャ18に配置された第2の通信ユニット22(以下、受信モジュール22とも呼ばれる)と、ここではさらに詳細に示されていないがベース装置に取り付けられた識別ユニット24と、を備える。後者は、車両コントローラ26へのコネクションを有する。
【0062】
異なるモジュール(すなわち、第1及び第2の通信ユニット21,22及び識別ユニット24)は、無線を介して互いに通信して、データを交換することができる。第1及び第2の通信ユニット21,22は、好ましくは、Bluetooth(BLE)よって、通信する。第1の通信ユニット21の信号は、この点で、第2の通信ユニット22に送信されており、第2の通信ユニット22は、第2の通信ユニット22自体により任意に提供される信号と共に、これらの信号を、識別ユニット24に次々に無線で送信する。したがって、信号が、第1の通信ユニット21から識別ユニット24に亘って車両コントローラ26に送信されることが、この経路に亘って可能である。
【0063】
第1及び第2の通信ユニット21,22は、加速度センサ(図示せず)を、さらに備える。加速度センサは、通信ユニット21,22の場所での対応する部分(すなわち、クイックチェンジャ18及び掘削機バケット30)の加速度を測定して、対応する加速度信号を提供するこれらの加速度信号は、識別ユニット24に集約して、対応するソフトウェア(識別モジュール)によってそこで分析される。
【0064】
第1及び第2の通信ユニット21,22は、対応するプロセッサ、メモリモジュール及び、送信及び/又は受信ユニットを、備えてもよい。
【0065】
加速度信号(第1の加速度信号)に加えて、第1の通信ユニット21は、関連のアタッチメントツール30に関するさらなるデータ(例えば、いわゆる識別信号)を、第2の通信ユニット22に、及びしたがって識別ユニット24に、提供することができる。ツール30におけるこれらのデータは、例えば、取り付けられたアタッチメントツール30各々に油圧掘削機10の動作をその後に適合又は設定し得る車両コントローラ26に提供される、識別データ、幾何学データ、及び/又動作データでもよい。
【0066】
図2は、オレンジピールグラブ30”として形成された3つのアタッチメントツール、及び油圧掘削機10のブーム16を、側面図で示す。
【0067】
通信ユニット21,22の無線結合は、自動的に行われる。第1の通信ユニット21は、複数のセンチメートル又はメートル(図2では円20として示される)までの特定の送信範囲20を有し得て、第2の通信ユニット22も、特定の受信範囲23(図2では円23として示される)を有するので、無線通信のため、第2の通信ユニット22が、複数の第1の通信ユニット21と同時に結合される、又はそれらの信号を受信することが、互いに近接して位置付けられた複数のアタッチメントツール30”と共に、起こり得る。異なるアタッチメントツール30”の対応する第1の通信ユニット21各々は、ここで、異なるツールデータを第2の通信ユニット22に送信し得る。
【0068】
これらの交換されたデータは、安全に関する可能性が高いので、どのツール30”がベースデバイス又は接続領域18に結合されているのかを取り付け後に正しく関連付けることが、必要である。
【0069】
本発明に係るシステムは、ここで、どのアタッチメントツール30,30’,30”がベース装置に結合されているかについて、明確且つ安全な識別が行われ得ることを、提供する。
【0070】
図3は、対応する第1の通信ユニット21を備える、可能なアタッチメントツール30,30’(ここでは、掘削バケット30及びクラムシェルグラブ30”)の複数の例を、側面図で示す。これらの全てのツール30,30’は、クイックチェンジャ18により接続又は把持され得る、対応する接続手段を有する。
【0071】
第2の通信ユニット22は、ここに示される実施形態に表示されるように、クイックチェンジャ18に横向きに配置され得る。しかしながら、代替的には、例えば、接続領域の中央又はクイックチェンジャ18の内側のような、他の配置も考えられる。第2の通信ユニット22は、クイックチェンジャ18に直接的に取り付けられるのではなく、むしろブーム16又はアームの異なる位置に取り付けられることも、同様に考えられる。
【0072】
ここに示されるアタッチメントツール30,30’,30”も、第1の通信ユニット21の考えられる配置を、例示的且つ概略的に示すに過ぎない。しかしながら、掘削機バケット30では、図示されるように、上側又は後壁にも配置された側壁のうちの1つに、取り付けられ得ることが、考えられる。オレンジピールグラブ30”では、第1の通信ユニット21は、例えば、回転接続の領域又はクイックチェンジャ18とのコモーション領域における中央の真ん中のコラム(図3参照)に、又は同様にグラブ自体(図3の右端参照)に、取り付けられ得る。
【0073】
掘削機10における受信モジュール22は、受信半径23に配置されたツールモジュール21の信号を、受信する。アタッチメントツール30,30’,30”が結合される場合、受信信号は、半径に配置されたアタッチメントツール30,30’,30”のうちのどれが、持ち上げられたものであるかを識別するために、評価される。
【0074】
これに関して、異なるツールモジュール21の第1の加速度信号は、適切な評価方法にて受信モジュール22により提供される第2の加速度信号と、識別ユニット24によって比較される。ここで、掘削機ブーム16が動かされると、取付構成(装備状態)及び第1及び第2の通信ユニット21,22の正確な位置に依存する加速力は、クイックチェンジャ18及びアタッチメントツール30,30’,30”の両方に作用する。第2の通信ユニット22の受信範囲23に配置されたさらなるアタッチメントツール30,30’,30”は、対照的に、任意の加速を受けない。したがって、アタッチメントツール30,30’,30”の識別は、測定された加速度の比較を介して、可能である。
【0075】
以下のさらなる信号は、正しい識別又は関連付けのために、加速度信号に加えて、追加的に使用され得る。
【0076】
・通信信号(第1の加速度信号及び/又は識別信号)の強度。
【0077】
・ツール30,30’,30”の位置。
【0078】
・結合状態に関するクイックチェンジャ18の情報。
【0079】
・掘削機10の位置に関する情報。
【0080】
異なる信号処理方法は、加速度信号の評価に、用いられてもよい。信号が、互いに比較される前に特定の期間に亘って平滑化及び/又は平均化されることが、例えば考えられる。
【0081】
加速度が、アタッチメントツールの持ち上げ後の加速度センサによってのみ、及び/又は、限られた期間のみ、及び/又は、明確な関連付けが行われるまでの長い間のみ、実行されることが、同様に考えられる。代替的には、加速度は、対応するデータをコントローラ及び/又は識別モジュールに対して、動作において連続的に(例えば、定期的に行われる妥当性チェック又は監視のために)提供するために、作業装置の全動作中に(例えば、一定の間隔で、又は連続的に)測定されもよい。
【0082】
加速度信号を評価するための適切な方法は、次のステップを含み得る。
【0083】
・受信モジュール22に対する加速度における最小差分を有するツールモジュール21は、結合モジュール21として認識される。
【0084】
・結合におけるツールモジュール21の予想される移動は、受信モジュール22の移動に基づいて事前に計算されて、この計算された加速度は、受信範囲23に配置された周囲のツールモジュール21の受信された加速度と、比較される。計算値との最小差分を有するツールモジュール21は、結合モジュール21として認識される。
【0085】
・ツールモジュール21と受信モジュール22との間の無線接触時、ツールモジュール21の位置決めに関する情報は、ツール30,30’,30”で、アタッチメントツール30,30’,30”から受信される。より正確な計算は、結合手順においてどの加速度がツール30,30’,30”で予想されるかという、この情報に基づいて、行われ得ており、より高い精度は、受信加速度と計算加速度との比較において、達成され得る。
【0086】
本発明に係る方法は、複数のツール30,30’,30”が一緒に持ち上げられたときに、同様に使用され得る。例えば、アームエクステンション30’がブーム16のクイックチェンジャ18に取り付けられ、ブーム16から離れたその端部にそれ自身のクイックチェンジャ18’を有し、掘削機バケット30が上記クイックチェンジャ18’に次々に取り付けられた、実施形態は、図4に示されている。図5は、より短いアダプタピース18’をブーム16と掘削機バケット30との間に有する、さらなる実施形態を、示す。
【0087】
アタッチメントツール30,30’のジオメトリ及び運動学に依存する異なる加速度は、ブーム16の移動時に(及びアタッチメントツール30,30’のうちの一方のみ又は両方の移動時にも)、2つのアタッチメントツール30,30’の2つのツールモジュール21に作用する。これは、クイックチェンジャ18の旋回ジョイント25と第1及び第2の通信ユニット21,22各々との間に描かれた矢印によって、図6に示されている。通信ユニット21,22の各固定点における加速度は、旋回ジョイント25と通信ユニット21,22との間の加速度成分と、これに垂直な成分と、でそれぞれ構成されている。クイックチェンジャ18の旋回時、アームエクステンション30’及び掘削機バケット30は、一緒に旋回して、後者は、旋回点25から、さらに離れる。したがって、より大きな加速点は、アームエクステンション30’よりも掘削機バケット30に作用する。
【0088】
複数の結合ツール30,30’では、掘削機10とツール30,30’,30”との運動学に基づいて、加速度が異なるので、それらの取付順序は、それぞれの加速度に基づいて、追加的に決定され得る。結合順序の正しい決定は、取り付けられたツール30,30’,30”に対する掘削機10の正確なセッティングを、可能にする。
【0089】
妥当性評価は、加速度と、理論的に計算される加速度と、の比較によって、追加的に実行され得る。これにより、測定される加速度が、送信されるデータに従って予想される加速度と比較されるという点において、アームエクステンション30’の送信される寸法(すなわち、例えば第1の通信ユニット21の識別信号を用いて送信される寸法)が、実際の寸法と異なるかどうかの評価が、行われ得る。
【0090】
図7は、一実施形態による本発明に係るシステムの異なる構成要素の概略図を、示す。アタッチメントツール30,30’,30”に接続されたツールモジュール21は、BLEを介して、掘削機10における受信モジュール22と通信する。受信モジュール22と、掘削機10の中央に配置された識別ユニット24との間の通信は、無線によって行われる、すなわち、データ送信は、BLEとは異なる無線規格を介して、行われ得る。識別ユニット24は、対応するインターフェースを介して、車両コントローラ26に接続されており、データは、交換され得る。
【0091】
車両コントローラ26は、セルラー無線による通信モジュール(ここではIoTゲートウェイ)を介して、クラウド28に次々に接続されている。したがって、データは、クラウド28と車両コントローラ26又は識別ユニット24との間で、交換され得る(例えば、情報は、クラウド28から呼び出され得る、又は、データは、そこに記憶され得る)。
【符号の説明】
【0092】
10 掘削機
12 下部走行体
14 上部構造体
16 ブーム
18 接続領域(クイックチェンジャ)
18’ 接続領域(クイックチェンジャ)
20 送信範囲
21 第1の通信ユニット
22 第2の通信ユニット
23 受信範囲
24 識別装置
25 旋回ジョイント
26 コントローラ
28 クラウド
30 アタッチメントツール
30’ アタッチメントツール
30” アタッチメントツール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【外国語明細書】