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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003403
(43)【公開日】2023-01-11
(54)【発明の名称】組織回収用器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20221228BHJP
【FI】
A61B17/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】39
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099450
(22)【出願日】2022-06-21
(31)【優先権主張番号】P 2021104024
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592261476
【氏名又は名称】ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】関澤 研二
(72)【発明者】
【氏名】土器屋 忠麿
(72)【発明者】
【氏名】大岸 範史
(72)【発明者】
【氏名】粕谷 淳一
(72)【発明者】
【氏名】荻原 悠
(72)【発明者】
【氏名】太田 盛貴
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160GG36
4C160MM32
(57)【要約】
【課題】回収組織を体内から体外へ取り出すための組織回収用器具であって、より簡便且つより確実に回収組織の体外への取り出しを行うことが可能な、組織回収用器具の提供。
【解決手段】回収組織を体内から体外へ取り出すための組織回収用器具1であって、上端側に開口部12を有し、回収組織を内部に収納する収納部11bと、下端側から上端側へと向かって収納部11bの内容積を減ずることで、下端側から上端側へと回収組織を移動させる指向性減容部14と、を備える、組織回収用器具1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回収組織を体内から体外へ取り出すための組織回収用器具であって、
一端側に開口部を有し、前記回収組織を内部に収納する収納部と、
他端側から前記一端側へと向かって前記収納部の内容積を減ずることで、前記他端側から前記一端側へと前記回収組織を移動させる指向性減容部と、
を備える、組織回収用器具。
【請求項2】
前記指向性減容部が、
内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、前記収納部の内容積を減少させる可変容積部材と、
前記可変容積部材の前記他端側から前記導入媒体を導入させる媒体導入部と、
を備え、
前記可変容積部材が、内部に導入された前記導入媒体が前記他端側から前記一端側へと移動することに対する抵抗を生じさせる媒体移動抵抗部を有する、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項3】
前記可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置された部分可変容積部材を備える、請求項2に記載の組織回収用器具。
【請求項4】
複数配置された前記部分可変容積部材を相互に連通させる連通部であって、前記導入媒体の移動を制限する連通部によって、前記媒体移動抵抗部が構成されている、請求項3に記載の組織回収用器具。
【請求項5】
前記部分可変容積部材が伸縮部材によって形成されていることにより前記媒体移動抵抗部が構成されている、請求項3に記載の組織回収用器具。
【請求項6】
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、前記収納部の外周に沿った環状の部材である、請求項3に記載の組織回収用器具。
【請求項7】
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されている、請求項3に記載の組織回収用器具。
【請求項8】
前記可変容積部材が、前記他端側から前記一端側へと螺旋状に配された管状の管状螺旋部材によって構成され、管状部材であることによって生じる摩擦損失に基づいて前記媒体移動抵抗部が構成されている、請求項2に記載の組織回収用器具。
【請求項9】
前記管状螺旋部材が伸縮部材によって形成されていることにより前記摩擦損失が増大されている、請求項8に記載の組織回収用器具。
【請求項10】
前記管状螺旋部材に、前記導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁が設けられている、請求項8に記載の組織回収用器具。
【請求項11】
前記可変容積部材が、前記他端側から前記一端側へと延在するように配された管状の管状可変容積部材によって構成され、管状部材であることによって生じる摩擦損失に基づいて前記媒体移動抵抗部が構成されている、請求項2に記載の組織回収用器具。
【請求項12】
前記管状可変容積部材が複数配されている、請求項11に記載の組織回収用器具。
【請求項13】
複数の前記管状可変容積部材のそれぞれに対して、独立して前記導入媒体を導入させる媒体導入部を備える、請求項12に記載の組織回収用器具。
【請求項14】
前記管状可変容積部材が伸縮部材によって形成されていることにより前記摩擦損失が増大されている、請求項11に記載の組織回収用器具。
【請求項15】
前記管状可変容積部材に、前記導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁が設けられている、請求項11に記載の組織回収用器具。
【請求項16】
前記指向性減容部が、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、前記収納部の内容積を減少させる部分可変容積部材を備え、
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されており、
複数の前記部分可変容積部材のそれぞれに対して個別に前記導入媒体を導入させる媒体導入部を備える、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項17】
前記媒体導入部が、前記他端側から前記一端側へと順番に前記部分可変容積部材に前記導入媒体を導入させる、請求項16に記載の組織回収用器具。
【請求項18】
前記部分可変容積部材への前記導入媒体の単位時間当たりの導入量が、前記一端側に比べて前記他端側の方が多い、請求項16に記載の組織回収用器具。
【請求項19】
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、前記収納部の外周に沿った環状の部材である、請求項16に記載の組織回収用器具。
【請求項20】
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されている、請求項16に記載の組織回収用器具。
【請求項21】
前記部分可変容積部材が伸縮部材によって形成されている、請求項16に記載の組織回収用器具。
【請求項22】
前記指向性減容部が、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、前記収納部の内容積を減少させる部分可変容積部材を備え、
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側に少なくとも1つ配置されており、前記部分可変容積部材の前記一端側から前記他端側へ向かう方向の長さが、前記収納部の前記一端側から前記他端側へ向かう方向の長さの4/5以下である、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項23】
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されている、請求項22に記載の組織回収用器具。
【請求項24】
前記指向性減容部が、前記収納部の外周に摺動可能に巻き回された可撓性長細部材によって構成され、
前記可撓性長細部材の一端部が前記収納部の前記一端側となる箇所に直接または間接的に固定され、前記可撓性長細部材は前記収納部の外周を前記一端側から前記他端側へと向かって巻き回され、前記可撓性長細部材の他端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項25】
前記可撓性長細部材が複数配されている、請求項24に記載の組織回収用器具。
【請求項26】
前記複数の可撓性長細部材の、前記一端側へと引き出された端部が、前記開口部の外周上で対称的に配置されている、請求項25に記載の組織回収用器具。
【請求項27】
前記指向性減容部が、前記収納部の外周に摺動可能に巻き回された可撓性長細部材によって構成され、
前記可撓性長細部材の中間部が前記収納部の前記一端側となる箇所に直接または間接的に固定され、前記可撓性長細部材は前記収納部の外周を前記一端側から前記他端側へと向かって巻き回され、前記可撓性長細部材の両端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項28】
前記可撓性長細部材が複数配されている、請求項27に記載の組織回収用器具。
【請求項29】
前記複数の可撓性長細部材の、前記一端側へと引き出された端部が、前記開口部の外周上で対称的に配置されている、請求項28に記載の組織回収用器具。
【請求項30】
前記指向性減容部が、
その一端部が前記収納部に直接または間接的に固定され、前記収納部の外周を巻き回されて、他端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、可撓性長細部材を備え、
前記可撓性長細部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されている、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項31】
前記複数の可撓性長細部材の、前記一端側へと引き出された端部が、前記開口部の外周上で対称的に配置されている、請求項30に記載の組織回収用器具。
【請求項32】
前記指向性減容部が、
その中間部が前記収納部に直接または間接的に固定され、前記収納部の外周を巻き回されて、両端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、可撓性長細部材を備え、
前記可撓性長細部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されている、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項33】
前記複数の可撓性長細部材の、前記一端側へと引き出された端部が、前記開口部の外周上で対称的に配置されている、請求項32に記載の組織回収用器具。
【請求項34】
前記指向性減容部が、その一端部が前記収納部に直接または間接的に固定され、前記収納部の外周を巻き回されている、可撓性長細部材を備え、
前記可撓性長細部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されており、
最も前記収納部の前記他端側に配置された前記可撓性長細部材の、他端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されており、
前記収納部の前記一端側へと引き出されている前記可撓性長細部材に対して、他の前記可撓性長細部材の他端部が、所定距離だけ摺動可能で所定距離以上は摺動不能となるように係合しており、それぞれの前記可撓性長細部材の前記摺動可能な距離が、前記収納部の前記一端側に配置された前記可撓性長細部材に比べて、前記収納部の前記他端側に配置された前記可撓性長細部材の方が長く構成されている、請求項1に記載の組織回収用器具。
【請求項35】
前記収納部の少なくとも一部が、前記指向性減容部によって構成されている、請求項1から23の何れかに記載の組織回収用器具。
【請求項36】
前記指向性減容部の外容積の増大を抑止する外側拘束体を有する、請求項1から23の何れかに記載の組織回収用器具。
【請求項37】
前記収納部の、前記一端側から前記他端側へと向かう軸に略直交する断面積が、前記一端側から前記他端側へ向かうに従い小さくなる、請求項1から34の何れかに記載の組織回収用器具。
【請求項38】
前記組織回収用器具の少なくとも一部を体内へ挿入する際の、体内への挿入位置の指標となる表示を備える、請求項1から34の何れかに記載の組織回収用器具。
【請求項39】
前記収納部の前記一端側から前記他端側へ向かう方向の長さが、25cm以下である、請求項1から34の何れかに記載の組織回収用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡外科手術において、回収組織(標本)を体内から体外へ取り出すための組織回収用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
胸腔鏡下手術や腹腔鏡下手術等の内視鏡外科手術は、数mm~数cm程度の切開創から内視鏡やメス等の処置具などを挿入して行う外科的手術法である。内視鏡外科手術は、切開創が小さいため、患者の負担が小さいという大きなメリットを有している。
内視鏡外科手術によって体内で切除された組織は、体腔内で組織回収用の袋に入れられて、この袋ごと切開創から引き出されることで、体外へと取り出される。切除した患部組織が、健康な組織に接触することによって生じる問題を低減させること等を目的として、切除した組織を袋に入れて取り出すようにしているものである。
このような組織回収用の袋に関する従来技術が、特許文献1によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公報第2012/0109144号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組織回収用の袋に入れられた組織を体外に取り出す際に、組織が比較的大きいものである場合、小さな切開創から袋を引っ張り出す作業において、大きな力が必要であったり、コツが必要であったり、時間がかかるなどといった問題がある。
これに対し、特許文献1には、袋が外袋140と内袋110の2重に構成され、内袋110に組織を入れた上で、内袋110と外袋140の間の空間150に流体を注入し、内袋110を裏返させるようにして排出させることによって、組織を体外へ取り出すものの記載がある。特許文献1の技術によれば、流体を注入することによって発生する圧力に基づいて組織を取り出すことができるため、上記の問題を低減することができると考えられる。
しかしながら、特許文献1の技術においては、内袋110と外袋140の間の空間150に流体を注入した際に発生する圧力が、内袋110の開口を閉じさせるように作用する恐れがある。実際の手術では、体腔内の袋の配置状態が、特許文献1の図3a~3cで示されるような理想的な配置にはなり難く、流体が空間150内において開口側へと先に回ってしまい、内袋110の開口側を先に閉じてしまうように作用してしまう場合があるためである。図25にこの状態の概念図を示した。図25に示されるように、回収組織Spより開口側となる箇所にまで流体Fが回ってしまい、流体Fの圧力に基づいて内袋110が閉じられてしまうと、組織Spの取り出しがうまくいかないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、回収組織を体内から体外へ取り出すための組織回収用器具であって、より簡便且つより確実に回収組織の体外への取り出しを行うことが可能な、組織回収用器具を提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
回収組織を体内から体外へ取り出すための組織回収用器具であって、一端側に開口部を有し、前記回収組織を内部に収納する収納部と、他端側から前記一端側へと向かって前記収納部の内容積を減ずることで、前記他端側から前記一端側へと前記回収組織を移動させる指向性減容部と、を備える、組織回収用器具。
【0007】
(構成2)
前記指向性減容部が、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、前記収納部の内容積を減少させる可変容積部材と、前記可変容積部材の前記他端側から前記導入媒体を導入させる媒体導入部と、を備え、前記可変容積部材が、内部に導入された前記導入媒体が前記他端側から前記一端側へと移動することに対する抵抗を生じさせる媒体移動抵抗部を有する、構成1に記載の組織回収用器具。
【0008】
(構成3)
前記可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置された部分可変容積部材を備える、構成2に記載の組織回収用器具。
【0009】
(構成4)
複数配置された前記部分可変容積部材を相互に連通させる連通部であって、前記導入媒体の移動を制限する連通部によって、前記媒体移動抵抗部が構成されている、構成3に記載の組織回収用器具。
【0010】
(構成5)
前記部分可変容積部材が伸縮部材によって形成されていることにより前記媒体移動抵抗部が構成されている、構成3又は4に記載の組織回収用器具。
【0011】
(構成6)
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、前記収納部の外周に沿った環状の部材である、構成3から5の何れかに記載の組織回収用器具。
【0012】
(構成7)
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されている、構成3から5の何れかに記載の組織回収用器具。
【0013】
(構成8)
前記可変容積部材が、前記他端側から前記一端側へと螺旋状に配された管状の管状螺旋部材によって構成され、管状部材であることによって生じる摩擦損失に基づいて前記媒体移動抵抗部が構成されている、構成2に記載の組織回収用器具。
【0014】
(構成9)
前記管状螺旋部材が伸縮部材によって形成されていることにより前記摩擦損失が増大されている、構成8に記載の組織回収用器具。
【0015】
(構成10)
前記可変容積部材が、前記他端側から前記一端側へと延在するように配された管状の管状可変容積部材によって構成され、管状部材であることによって生じる摩擦損失に基づいて前記媒体移動抵抗部が構成されている、構成2に記載の組織回収用器具。
【0016】
(構成11)
前記管状可変容積部材が複数配されている、構成10に記載の組織回収用器具。
【0017】
(構成12)
複数の前記管状可変容積部材のそれぞれに対して、独立して前記導入媒体を導入させる媒体導入部を備える、構成11に記載の組織回収用器具。
【0018】
(構成13)
前記管状可変容積部材が伸縮部材によって形成されていることにより前記摩擦損失が増大されている、構成10から12の何れかに記載の組織回収用器具。
【0019】
(構成14)
前記管状螺旋部材又は前記管状可変容積部材に、前記導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁が設けられている、構成8から13の何れかに記載の組織回収用器具。
【0020】
(構成15)
前記指向性減容部が、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、前記収納部の内容積を減少させる部分可変容積部材を備え、前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されており、複数の前記部分可変容積部材のそれぞれに対して個別に前記導入媒体を導入させる媒体導入部を備える、構成1に記載の組織回収用器具。
【0021】
(構成16)
前記媒体導入部が、前記他端側から前記一端側へと順番に前記部分可変容積部材に前記導入媒体を導入させる、構成15に記載の組織回収用器具。
【0022】
(構成17)
前記部分可変容積部材への前記導入媒体の単位時間当たりの導入量が、前記一端側に比べて前記他端側の方が多い、構成15に記載の組織回収用器具。
【0023】
(構成18)
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、前記収納部の外周に沿った環状の部材である、構成15から17の何れかに記載の組織回収用器具。
【0024】
(構成19)
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されている、構成15から17の何れかに記載の組織回収用器具。
【0025】
(構成20)
前記部分可変容積部材が伸縮部材によって形成されている、構成15から19の何れかに記載の組織回収用器具。
【0026】
(構成21)
前記指向性減容部が、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、前記収納部の内容積を減少させる部分可変容積部材を備え、
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側に少なくとも1つ配置されており、前記部分可変容積部材の前記一端側から前記他端側へ向かう方向の長さが、前記収納部の前記一端側から前記他端側へ向かう方向の長さの4/5以下である、構成1に記載の組織回収用器具。
【0027】
(構成22)
前記部分可変容積部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されている、構成21に記載の組織回収用器具。
【0028】
(構成23)
前記指向性減容部が、前記収納部の外周に摺動可能に巻き回された可撓性長細部材によって構成され、前記可撓性長細部材の一端部が前記収納部の前記一端側となる箇所に直接または間接的に固定され、前記可撓性長細部材は前記収納部の外周を前記一端側から前記他端側へと向かって巻き回され、前記可撓性長細部材の他端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、構成1に記載の組織回収用器具。
【0029】
(構成24)
前記指向性減容部が、前記収納部の外周に摺動可能に巻き回された可撓性長細部材によって構成され、前記可撓性長細部材の中間部が前記収納部の前記一端側となる箇所に直接または間接的に固定され、前記可撓性長細部材は前記収納部の外周を前記一端側から前記他端側へと向かって巻き回され、前記可撓性長細部材の両端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、構成1に記載の組織回収用器具。
【0030】
(構成25)
前記可撓性長細部材が複数配されている、構成23又は24に記載の組織回収用器具。
【0031】
(構成26)
前記複数の可撓性長細部材の、前記一端側へと引き出された端部が、前記開口部の外周上で対称的に配置されている、構成25に記載の組織回収用器具。
【0032】
(構成27)
前記指向性減容部が、その一端部が前記収納部に直接または間接的に固定され、前記収納部の外周を巻き回されて、他端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、可撓性長細部材を備え、前記可撓性長細部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されている、構成1に記載の組織回収用器具。
【0033】
(構成28)
前記指向性減容部が、その中間部が前記収納部に直接または間接的に固定され、前記収納部の外周を巻き回されて、両端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されている、可撓性長細部材を備え、前記可撓性長細部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されている、構成1に記載の組織回収用器具。
【0034】
(構成29)
前記複数の可撓性長細部材の、前記一端側へと引き出された端部が、前記開口部の外周上で対称的に配置されている、構成27又は28に記載の組織回収用器具。
【0035】
(構成30)
前記指向性減容部が、その一端部が前記収納部に直接または間接的に固定され、前記収納部の外周を巻き回されている、可撓性長細部材を備え、前記可撓性長細部材が、前記収納部の前記他端側から前記一端側へと順に複数配置されており、最も前記収納部の前記他端側に配置された前記可撓性長細部材の、他端部が前記収納部の前記一端側へと引き出されており、前記収納部の前記一端側へと引き出されている前記可撓性長細部材に対して、他の前記可撓性長細部材の他端部が、所定距離だけ摺動可能で所定距離以上は摺動不能となるように係合しており、それぞれの前記可撓性長細部材の前記摺動可能な距離が、前記収納部の前記一端側に配置された前記可撓性長細部材に比べて、前記収納部の前記他端側に配置された前記可撓性長細部材の方が長く構成されている、構成1に記載の組織回収用器具。
【0036】
(構成31)
前記収納部の少なくとも一部が、前記指向性減容部によって構成されている、構成1から22の何れかに記載の組織回収用器具。
【0037】
(構成32)
前記指向性減容部の外容積の増大を抑止する外側拘束体を有する、構成1から22の何れかに記載の組織回収用器具。
【0038】
(構成33)
前記収納部の、前記一端側から前記他端側へと向かう軸に略直交する断面積が、前記一端側から前記他端側へ向かうに従い小さくなる、構成1から32の何れかに記載の組織回収用器具。
【0039】
(構成34)
前記組織回収用器具の少なくとも一部を体内へ挿入する際の、体内への挿入位置の指標となる表示を備える、構成1から33の何れかに記載の組織回収用器具。
【0040】
(構成35)
前記収納部の前記一端側から前記他端側へ向かう方向の長さが、25cm以下である、構成1から34の何れかに記載の組織回収用器具。
【発明の効果】
【0041】
本発明の組織回収用器具によれば、回収組織を開口部へと移動させる指向性減容部を備えることにより、より簡便且つより確実に回収組織の体外への取り出しを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明に係る実施形態1の組織回収用器具を示す図
図2】実施形態1の組織回収用器具を断面的に示す図
図3】実施形態1の指向性減容部を示す図
図4】実施形態1の組織回収用器具の作用を説明する説明図
図5】実施形態2の組織回収用器具を概念的に示す図
図6】実施形態2の組織回収用器具を別の例を概念的に示す図
図7】実施形態3の組織回収用器具を断面的に示す図
図8】実施形態3の指向性減容部を示す図
図9】実施形態4の組織回収用器具を概念的に示す図
図10】実施形態5の組織回収用器具を概念的に示す図
図11】実施形態6の組織回収用器具を概念的に示す図
図12】実施形態6の組織回収用器具を概念的に示す図
図13】実施形態7の組織回収用器具を断面的に示す図
図14】実施形態7の指向性減容部を示す図
図15】実施形態7の組織回収用器具の作用を説明する説明図
図16】実施形態7の組織回収用器具の別の例を断面的に示す図
図17】実施形態7の指向性減容部の別の例を示す図
図18】実施形態7の組織回収用器具の別の例を概念的に示す図
図19】実施形態8の組織回収用器具を概念的に示す図
図20】実施形態8の組織回収用器具の別の例の可撓性長細部材の開口部の外周上における配置を概念的に示す図
図21】実施形態9の組織回収用器具を概念的に示す図
図22】実施形態10の組織回収用器具を概念的に示す図
図23】実施形態11の組織回収用器具を断面的に示す図
図24】実施形態11の組織回収用器具の作用を説明する説明図
図25】従来の組織回収用の袋に関する説明図
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0044】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1の組織回収用器具1を示す図であり、図2は組織回収用器具1を断面的に示した図である。
組織回収用器具1は、胸腔鏡下手術や腹腔鏡下手術等において、回収組織を体内から体外へ取り出すために使用される組織回収用の器具である。組織回収用器具1は、その基本態様として、一端側(図中の上部側)に開口部12を有し、回収組織を内部に収納する収納部11bと、他端側(図中の下部側)から一端側へと向かって収納部11bの内容積を減ずることで、他端側から一端側へと回収組織を移動させる指向性減容部14と、を備える。
なお、以下の説明において、開口部12がある一端側を“上部側”とし、他端側を“下部側”として説明する。
【0045】
収納部11bは、開口部12を有して回収組織を内部に収納するための袋状の部材であり、図2に示されるように、本実施形態では、外側拘束体11aと共に、袋部11を構成している。収納部11bは、後に説明するように、指向性減容部によって絞られるようにして内容積が減じられるものであるため、柔軟性を有する部材で形成される。前記柔軟性を有する部材は、構造上の工夫によって柔軟性をもたらすものでもよく、前記部材の素材の物性が柔軟性をもたらすものでもよく、それらの任意の組み合わせでもよい。構造上の工夫としては、展開性をもったものであれば特に限定されず、中でも蛇腹構造が好ましい。なお、収納部11bは、必ずしも規則性を持って折り畳まれるものである必要は無く、指向性減容部14の容積が最大の状態(膨らんだ状態)からその容積を減ずる(折り畳む)際に生じる折り目によって、任意に折り畳まれるもの等であってよい。柔軟性をもたらす物性を有する素材としては、可撓性を有する軟質の合成樹脂が好ましく、生体或いは摘出臓器との馴染み性(滑り性や生体適合性等)の点で、ウレタン樹脂薄膜が最も好適であるが、内視鏡下手術での適性を備えたものであれば、その他の合成樹脂薄膜の採用も除外するものではない。例えば、ポリエチレン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、シリコンゴム等のゴム系材料その他の軟質材料が挙げられる。 なお、以下で説明するように、組織回収用器具1は、内部に収納した回収組織を、絞り上げるようにして上部側へと移動させる作用を有するものである。当該回収組織の移動を円滑化するために、収納部11b等の回収組織と接触する面の回収組織に対する滑り性をより向上させる加工を施すとよい。当該加工としては、例えば、親水性加工がある。すなわち、水溶性高分子を材料表面に固定化する。例を挙げると、材料表面にγ線照射やオゾン処理、低温プラズマ処理などによってラジカル活性基を導入し、アクリルアミドやN-ビニルピロリドンを表面グラフトする方法がある。また、水溶性高分子を溶媒コーティングする加工がある。具体的には、基材表面をポリイソシアネート化合物で被覆し、そこに活性水素を有する水溶性高分子を共有結合により固定化する加工である。また、フッ素系樹脂やシリコン系樹脂等をコーティングするコーティング加工を施してもよい。さらには、表面を微細に粗面化してもよい。微細構造はランダムでもよく、また指向性を付与する加工をしてもよい。指向性を付与する加工としては、他端側から一端側に、すなわち臓器の押出方向に平行に溝を切ってもよい。
【0046】
本実施形態では、収納部11bが逆円錐状の形状を有している。即ち、上端側から下端側へと向かう軸に略直交する断面積が、上端側から下端側へ向かうに従い小さくなる形状を有している。
外側拘束体11aは、指向性減容部14の外側に配され、指向性減容部14の外容積の増大を抑止する。従って、外側拘束体11aは実質的に伸縮しない部材で形成されることが望ましい。前記収縮しない部材には、合成樹脂が用いられることが好ましく、生体或いは摘出臓器との馴染み性(滑り性や生体適合性等)の点で、ウレタン樹脂薄膜が最も好適であるが、内視鏡下手術での適性を備えたものであれば、その他の合成樹脂薄膜の採用も除外するものではない。例えば、ポリエチレン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、シリコンゴム等のゴム系材料その他の軟質材料が挙げられる。また、外側拘束体11aは、生体適合性を有する部材で形成され、収納部11bも生体適合性を有する部材で形成されることが望ましい。
本実施形態の組織回収用器具1では、外側拘束体11aと収納部11bが一体的に形成されており、収納部11bを外側拘束体11aの内部へと折り返すようにして、袋部11が構成されている。
なお、外側拘束体11aと収納部11bを別体で形成してもよいことは勿論である。
【0047】
図3は、指向性減容部14を示す図である。
指向性減容部14は、収納部11bを下から絞るようにして、収納部11bの内容積を下部側から上部側へと向かって減じさせる部材である。
指向性減容部14は、内部に液体などの導入媒体が導入されることでその容積が増大することで、収納部11bの内容積を減少させる可変容積部材であって、収納部11bの下端側から上端側へと順に複数配置された部分可変容積部材141a~141fを備える。
複数配置された部分可変容積部材141a~141fは、連通部142によって導入媒体が通過可能に相互に連通されている(図2参照)。
指向性減容部14の下端部には、導入媒体の導入口である媒体導入口143が形成されており、導入媒体を導入させる媒体導入部131が連結されている。また、媒体導入部131にはハンドポンプ132が接続されている。
指向性減容部14は、生体適合性を有する部材で形成されることが望ましい。
【0048】
各部分可変容積部材141a~141fは、収納部11bの周りに配されるドーナツ状の部材である。即ち、上端側から下端側へと向かう軸に略直交する断面視において、収納部11bの外周に沿った環状の部材である。
指向性減容部14は、収納部11bの周りに概ね沿う形状であり、従って、各部分可変容積部材141a~141fは、上端側から下端側へ向かうに従い小さくなる。
本実施形態の各部分可変容積部材141a~141fは、弾性部材によって形成されており、導入媒体が充填されてない状況ではその容積は小さく、導入媒体が充填されることで容積が増大するドーナツ状のバルーンである。
【0049】
指向性減容部14は、その下端側から導入される液体等の導入媒体が、上端側へと移動することに対する抵抗を生じさせる媒体移動抵抗部を有している。
本実施形態では、部分可変容積部材141a~141fが弾性部材で形成されることと、連通部142によって、媒体移動抵抗部が構成される。
部分可変容積部材141a~141fが弾性部材を形成することで、各部分可変容積部材141a~141fの容積を増大させる際に、所定の圧力を要するようにしている。これによってこの中を流通する導入媒体に対してより大きな摩擦損失を生じさせ、媒体移動抵抗部として機能させているものである。なお、部分可変容積部材141a~141fを弾性部材で形成する際に、上部側の部分可変容積部材を、下部側よりも高い弾性率になるようにしてもよい。異なる素材によって弾性率を変えるものであってもよいし、例えば同じ素材を使用しつつ、上部側の部分可変容積部材をより厚い部材とするもの等であってよい。
また、連通部142において、流路を絞ること等によって導入媒体の移動を制限し、媒体移動抵抗部として機能させている。なお、本実施形態では、図2に示されるように、連通部142が上下方向に一直線上に配置されているものを例としているが、連通部142が上下方向に直線状に並ばないように配置することで、導入媒体が上端側へとより移動し難いようにしてもよい。
【0050】
図4は、組織回収用器具1の作用を説明するための説明図である。
胸腔鏡下手術や腹腔鏡下手術等において、体内で切除した病変摘出臓器などの組織を体外へと取り出すために、組織回収用器具1が使用される。
組織回収用器具1は、体腔に配されて、回収組織Spが袋(収納部11b)の中に入れられる。なお、体腔への回収用の袋の導入や、体腔において、回収組織を回収用の袋に入れること自体は、従来使用されている器具を用いる等して従来と同様の方法で行うものであってよいため、ここでの詳しい説明を省略する。
回収組織Spを収納部11bの中に入れた後、開口部12を体表Sの外に引き出した状態で、ハンドポンプ132によって、導入媒体を、媒体導入部131を介して指向性減容部14へと送り込む。
導入媒体は、指向性減容部14の下端側から導入され、上記説明した“媒体移動抵抗部”の機能により、上部側への移動に対して抵抗を受ける。即ち、導入媒体が直ぐに上端側の部分可変容積部材へと流入するといったことが抑止される。従って、導入媒体は、下端側から順番に各部分可変容積部材141a~141fに導入されることになる。これにより、図4に示されるように、最も下端側の部分可変容積部材141aから順番に上部側へと各部分可変容積部材141a~141fが膨張していく。
部分可変容積部材141a~141fの膨張によって、収納部11bの内容積が減少するが、上記により、収納部11bの下端側から絞り上げられるようにして上端側へと順次内容積が減少していくことになる。
これにより、図4に示されるように、収納部11bの中の回収組織Spが、絞り上げられるようにして上部側へと移動し、体外へと容易に取り出すことができる。
本実施形態の組織回収用器具1は、外側拘束体11aや指向性減容部14が逆円錐状の形状をしているため、下端側では収納部11bの内容積がより早く減少しやすい構成となっている。これにより、上記説明の“下端側から絞り上げ”の機能をより有効に発揮させることができる。
【0051】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具1によれば、より簡便且つより確実に回収組織の体外への取り出しを行うことができる。
図25を使用して説明したように、特許文献1の回収袋の場合、回収組織Spより開口側となる箇所にまで流体Fが回ってしまい、流体Fの圧力に基づいて内袋110が閉じられてしまうと、組織Spの取り出しがうまくいかないという問題がある。
これに対し、組織回収用器具1によれば、図25のような姿勢においても、部分可変容積部材141aから順番に部分可変容積部材141fへと導入媒体が導入される作用が生じるため、より確実に回収組織の体外へ取り出しを行うことができる。
【0052】
なお、導入媒体は、液体や気体等の流体の他、粉状体や粒状体、粘性体など、可変容積部材の内部へ導入させてその容積を増大させることが可能な任意の媒体を用いることができる。粉状体や粒状体、粘性体など、液体や気体等に比して摩擦抵抗が大きくなるものを用いることによって、“導入媒体が他端側から一端側へと移動することに対する抵抗を生じさせる”ようにするものであってもよい。
【0053】
本実施形態では、部分可変容積部材が弾性部材で形成されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではない。部分可変容積部材は、導入媒体の導入によってその容積が増大するものであればよく、伸縮性のある任意の伸縮部材を用いることが可能であり、伸縮性が無い部材で形成してもよい。即ち、全く伸縮性のない部材であっても、折り畳まれた状態から、内部に導入媒体が導入されることでその容積が増大することができるものである(この場合、“媒体移動抵抗部”としての機能は小さくなり得るが、流通部等によって“媒体移動抵抗部”としての機能を得るようにすれば問題無い)。前記部分可変容積部材には、合成樹脂が用いられることが好ましく、生体或いは摘出臓器との馴染み性(滑り性や生体適合性等)の点で、ウレタン樹脂薄膜が最も好適であるが、内視鏡下手術での適性を備えたものであれば、その他の合成樹脂薄膜の採用も除外するものではない。例えば、ポリエチレン、ポリアミド、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、シリコンゴム等のゴム系材料その他の軟質材料が挙げられる。
また、本実施形態では、部分可変容積部材が6段であるもの(部分可変容積部材141a~141f)を例としているが、部分可変容積部材の段数を適宜増減することができるのは勿論である。
【0054】
本実施形態では、外側拘束体11aを設けるものを例としたが、外側拘束体11aは必須のものではない。ただし、外側拘束体11aを設けることにより、指向性減容部14が外側へ膨張することが制限され、これにより、収納部11bの内容積を効率的に減少させることができるため好適である。
また、収納部11bも、指向性減容部14とは別途に設けることが必要なものではない。例えば、図3からも理解し得るように、指向性減容部14そのものを収納部として機能させること、即ち、収納部を指向性減容部によって構成することもできる。この場合、回収組織と接する指向性減容部に対して上述した滑り性を向上させる加工を施すとよい。
【0055】
本実施形態では、ハンドポンプによって導入媒体を送り込むものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、電動ポンプやシリンジ等、導入媒体を送り込むことができる任意の手段を用いることができる(導入媒体の種別に応じて、適当なものを選択すればよい)。
【0056】
下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”として、導入媒体の流路上(部分可変容積部材や連通部)に、導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁を設けるようにしてもよい。例えば、流路を塞ぐように付勢されている弁を設け、導入媒体の圧力がこの付勢力を上回らないと弁を超えて導入媒体が移動できないようにするもの等である。
【0057】
<実施形態2>
図5は、実施形態2の組織回収用器具2を概念的に示す図である。
本実施形態の組織回収用器具2の基本的な概念は実施形態1の組織回収用器具1と同様であり、下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”の機能を有することで、収納部を“下端側から絞り上げる”ものである。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0058】
組織回収用器具2は、実施形態1と同様に、外側拘束体11aと収納部11bによって構成されて、開口部12を有する袋部11を備える。
外側拘束体11aと収納部11bの間となる箇所に、本実施形態では、複数の指向性減容部24-1~指向性減容部24-3が配されている。
【0059】
各指向性減容部24-1~3は、基本的に同様の構成であるため、ここでは指向性減容部24-1について説明する。
指向性減容部24-1は、図5の右端の図からも理解されるように、上下方向に配された複数の膨張部241a1~241d1を有している。下端側の241a1から、上端側の241d1に行くに従い、膨張時の容積が大きくなるように構成されており、下端側の241a1から上端側の241d1まで、連通部(特に図示せず)によって導入媒体が通過可能に相互に連通されている。
指向性減容部24-1の下端側には、媒体導入部131から分岐された導入部が接続さされており、下端側から導入媒体が導入される。
また、膨張部241a1~241d1は弾性体で形成されたバルーンであり、連通部では流路が絞られている。これらにより、下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”として機能する。従って、指向性減容部24-1は、下部側から上端側へと向かって順次収納部11bの内容積を減ずることができ、下端側から上端側へと回収組織を移動させる機能を有する。
【0060】
上述の指向性減容部24-1と同様の構成を有する各指向性減容部24-2、3が、上面視で開口部12の外周に沿って対称的に配置されており、共通の媒体導入部131から分岐された導入部によって、導入媒体が導入される。
当該構成により、図5からも理解されるように、導入媒体が導入されると、下端側の膨張部241a1、膨張部241a2、膨張部241a3が先ず膨張し、次に、膨張部241b1、膨張部241b2、膨張部241b3が膨張するといった具合で、順次、下端側から上端側へと膨張が進んで行く。
これによって、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織Spを絞り上げるようにして上部側へと移動させるものである。
当該説明からも理解されるように、組織回収用器具2の基本的概念は、実施形態1と同様である。即ち、膨張部241a1~3をひとまとまりとして、一つの部分可変容積部材とみなすことができる。同様に、膨張部241b1~3、膨張部241c1~3、膨張部241d1~3のそれぞれを、部分可変容積部材とみなすことができ、これらの部分可変容積部材が下端側から上端へと複数配置され、相互に連通部によって連通されているとみなすことができる。この見方によれば、下端側から上端側へと向かう軸に略直交する断面視において、実施形態の1の部分可変容積部材が複数に分割されて、膨張部241a1~3等になっているとみなすことができる。
なお、部分可変容積部材としての段数を増減してもよい点は実施形態1と同様である。また、下端側から上端側へと向かう軸に略直交する断面視における分割数を増減するものであっても勿論よい。即ち、例えば、指向性減容部24-1だけを設けるものであっても良いし、指向性減容部を4つ以上設けるようなものであってもよい。
【0061】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具2によれば、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、部分可変容積部材を構成する各膨張部を、伸縮性のある任意の伸縮部材で形成したり、全く伸縮性のない部材で形成してもよい点や、導入媒体の流路上に導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁を設けるようにしてもよい点等は、実施形態1と同様である。
【0062】
組織回収用器具2では、指向性減容部24-1~3に対して、共通の媒体導入部131から分岐された導入部によって導入媒体を導入するものを例としたが、それぞれに個別に導入媒体を導入させるようにしてもよい。
図6にはこのようなものの例を示した。
図6の組織回収用器具2-1は、指向性減容部24-1~3のそれぞれに対して個別に媒体導入部131-1~3が設けられており、それ以外については組織回収用器具2と同様である。なお、図では省略しているが、媒体導入部131-1~3のそれぞれに対して個別に導入媒体を送り込むことができるように、ハンドポンプ等が設けられる。
組織回収用器具2-1によれば、指向性減容部24-1~3のそれぞれに対して個別に導入媒体を送り込むことができるため、回収組織を移動させる際に、水平方向に回収組織を移動させるような使用もでき得る。例えば、指向性減容部24-1のみに対して導入媒体を送り込むことで、図6において回収組織を右方向へ寄せながら上部側へ移動させるというようなことが可能となる。
【0063】
<実施形態3>
図7は、実施形態3の組織回収用器具3を断面的に示した図であり、図8は、実施形態3の指向性減容部34を示す図である。
本実施形態の組織回収用器具3の基本的な概念は実施形態1の組織回収用器具1と同様であり、下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”の機能を有することで、収納部を“下端側から絞り上げる”ものである。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0064】
組織回収用器具3は、実施形態1と同様に、外側拘束体11aと収納部11bによって構成されて、開口部12を有する袋部11を備える。
外側拘束体11aと収納部11bの間となる箇所に、本実施形態では、下端側から上端側へと螺旋状に配された管状の管状螺旋部材341によって構成された指向性減容部34が配されている。管状螺旋部材341は内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、収納部11bの内容積を減少させる可変容積部材である。
【0065】
指向性減容部34は、図8に示されるように、弾性部材で形成された管状の部材が螺旋状に配されること(管状螺旋部材341)によって構成され、その下端部において、媒体導入部131が接続されている。
従って、媒体導入部131によって導入される導入媒体は、管状螺旋部材341の内部を順次上部側へと流入していくことになる。この際、管状の部材の中を導入媒体が通過することによって摩擦損失が生じ、この摩擦損失が、管状の部材が弾性部材であることによって増大される。当該摩擦損失を生じさせる構成によって、下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”として機能する。従って、指向性減容部34は、下部側から上端側へと向かって順次収納部11bの内容積を減ずることができ、下端側から上端側へと回収組織を移動させる機能を有する。
【0066】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具3によれば、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、指向性減容部を構成する管状螺旋部材を、伸縮性のある任意の伸縮部材で形成したり、全く伸縮性のない部材で形成してもよい点や、導入媒体の流路上に導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁を設けるようにしてもよい点等は、実施形態1と同様である。
【0067】
<実施形態4>
図9は、実施形態4の組織回収用器具4を概念的に示す図である。
本実施形態の組織回収用器具4の基本的な概念は実施形態1の組織回収用器具1と同様であり、下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”の機能を有することで、収納部を“下端側から絞り上げる”ものである。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0068】
組織回収用器具4は、実施形態1と同様に、外側拘束体11aと収納部11bによって構成されて、開口部12を有する袋部11を備える。
外側拘束体11aと収納部11bの間となる箇所に、本実施形態では、下端側から上端側へと延在するように配された管状の管状可変容積部材によって構成された指向性減容部44-1~3が配されている。指向性減容部44-1~3は内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、収納部11bの内容積を減少させる可変容積部材である。
【0069】
各指向性減容部44-1~3は、基本的に同様の構成であるため、ここでは指向性減容部44-1について説明する。
指向性減容部44-1は、図9に示されるように、弾性部材で形成された管状の部材(管状可変容積部材)が下端側から上端側へと延在するように配されることによって構成され、その下端部において、媒体導入部131から分岐された導入部が接続されている。
従って、媒体導入部131から分岐された導入部によって導入される導入媒体は、管状可変容積部材の内部を上部側へと流入していくことになる。この際、管状の部材の中を導入媒体が通過することによって摩擦損失が生じ、この摩擦損失が、管状の部材が弾性部材であることによって増大される。当該摩擦損失を生じさせる構成によって、下端側から導入された導入媒体が、上端側へと移動することに対して抵抗を生じさせる“媒体移動抵抗部”として機能する。従って、指向性減容部44-1は、下部側から上端側へと向かって順次収納部11bの内容積を減ずることができ、下端側から上端側へと回収組織を移動させる機能を有する。
【0070】
上述の指向性減容部44-1と同様の構成を有する各指向性減容部44-2、3が、上面視で開口部12の外周に沿って対称的に配置されており、共通の媒体導入部131から分岐された導入部によって、導入媒体が導入される。
当該構成により、図9からも理解されるように、導入媒体が導入されると、各指向性減容部44-1~3が下端側から徐々に膨張していく。
これによって、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織Spを絞り上げるようにして上部側へと移動させるものである。
【0071】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具4によれば、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、指向性減容部(管状可変容積部材)を、伸縮性のある任意の伸縮部材で形成したり、全く伸縮性のない部材で形成してもよい点や、導入媒体の流路上に導入媒体の移動に対する抵抗を生じさせる弁を設けるようにしてもよい点等は、実施形態1と同様である。
また、指向性減容部(管状可変容積部材)の数を増減させるものであっても勿論よい(指向性減容部が一つであってもよい)。
【0072】
本実施形態では、指向性減容部44-1~3に対して、共通の媒体導入部131から分岐された導入部によって導入媒体を導入するものを例としたが、それぞれに個別に導入媒体を導入させるようにしてもよい。
即ち、図6で説明した組織回収用器具2-1と同様の概念により、指向性減容部44-1~3のそれぞれに対して独立した媒体導入部131-1~3を設けてもよい。
このような構成とすることにより、回収組織を移動させる際に、水平方向に回収組織を移動させるような使用もでき得る。
【0073】
<実施形態5>
図10は、実施形態5の組織回収用器具5を概念的に示す図である。
本実施形態の組織回収用器具5は、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、収納部11bの内容積を減少させる部分可変容積部材54-1~3を備え、部分可変容積部材54-1~3が、収納部11bの下端側から上端側へと順に複数配置されている。また、部分可変容積部材54-1~3のそれぞれに対して個別に導入媒体を導入させる媒体導入部131-1~3を備える。図では省略しているが、媒体導入部131-1~3のそれぞれに対して個別に導入媒体を送り込むことができるように、ポンプ等が設けられる。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0074】
各部分可変容積部材54-1~3は、弾性部材で形成され、収納部11bの周りに配されるドーナツ状の部材である。即ち、上端側から下端側へと向かう軸に略直交する断面視において、収納部11bの外周に沿った環状の部材である。
【0075】
組織回収用器具5では、図10に示されるように、下端側の部分可変容積部材54-1から上端側の部分可変容積部材54-3へと順番に導入媒体を導入させることにより、下端側の部分可変容積部材から順番に膨張していく。
これによって、収納部11bの下端側から絞り上げられるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積が減少していき、収納部11bの中の回収組織Spが絞り上げられるようにして上部側へと移動するものである。
【0076】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具5によれば、より簡便且つより確実に回収組織の体外へ取り出しを行うことができる。
なお、部分可変容積部材を、伸縮性のある任意の伸縮部材で形成したり、全く伸縮性のない部材で形成してもよい点は、実施形態1と同様である。
また、部分可変容積部材の数を増減させるものであっても勿論よい。例えば、部分可変容積部材の段数を1段とすることも可能である、これに相当する例として、後に実施形態11を記載する。
【0077】
なお、各部分可変容積部材54-1~3に順番に導入媒体を導入させる方法は、各媒体導入部131-1~3に接続されたハンドポンプ等を手動で順番に動作させるようなものであってもよいし、電動ポンプ等の動作を自動的に制御するようなものであってもよい。
電動ポンプ等の動作を自動制御する場合、各部分可変容積部材54-1~3の容量に応じた量の導入媒体を、下端側の部分可変容積部材から順番に供給させていくようにすればよい。また、圧力計を設けて、所定圧力となるまで導入媒体を供給し、所定圧力になったら次(上部側)の部分可変容積部材への供給を開始するもの等であってもよい。各部分可変容積部材に対する導入媒体の導入時期が一部オーバーラップするようなものであってもよい。
【0078】
各部分可変容積部材54-1~3への導入媒体の導入において、単位時間当たりの導入量を、上端側に比べて下端側の方が多くなるようにしてもよい。
例えば、各部分可変容積部材54-1~3に対して同時に導入媒体の導入を開始しても、上端側に比べて下端側の方の単位時間当たりの導入量を多くすることで、収納部11bの下端側から絞り上げるようにする効果が得られるものである。なお、収納部を逆円錐状にすることで、上端側に比べて下端側の方が容量が小さくなるため、例えば、各部分可変容積部材54-1~3に対して同時に同量の導入媒体を導入しても、収納部11bの下端側から絞り上げるようにする効果を得ることができる。
【0079】
<実施形態6>
図11は、実施形態6の組織回収用器具6を概念的に示す図である。
本実施形態の組織回収用器具6の基本的な概念は実施形態5の組織回収用器具5と同様であり、部分可変容積部材64-1~4が、収納部11bの下端側から上端側へと順に複数配置され、部分可変容積部材64-1~4のそれぞれに対して下端側から順番に導入媒体を導入させることで、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織Spを上部側へと移動させるものである。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0080】
組織回収用器具6は、各部分可変容積部材64-1~4が、下端側から上端側へと向かう軸に略直交する断面視において、複数に分割されており、これよって形成されている各膨張体に対して、個別に媒体導入部が設けられている点で、実施形態5と異なる。
【0081】
各部分可変容積部材64-1~4は、基本的に同様の概念であるため、ここでは上端側にある部分可変容積部材64-4について説明する。
部分可変容積部材64-4は、弾性部材によって形成される膨張体64-4a~cによって構成され、各膨張体64-4a~cに対して個別に導入媒体を導入させる媒体導入部131-4a~cが設けられている。
【0082】
組織回収用器具6によれば、図12からも理解されるように、実施形態5と同様に、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織を上部側へと移動させることができる。
加えて、任意の膨張体に対して個別に導入媒体を導入させることができるため、収納部11bの中の回収組織を任意の方向へと導くようにすることも可能である。
なお、部分可変容積部材を構成する各膨張体を、伸縮性のある任意の伸縮部材で形成したり、全く伸縮性のない部材で形成してもよい点は、実施形態1と同様である。
また、部分可変容積部材の数を増減させるものや、部分可変容積部材を構成する膨張体の数を増減させるものであっても勿論よい。
また、各膨張体への導入媒体を導入させる方法として、手動若しくは自動の何れでも良い点、自動とする場合において、流量制御や圧力制御等に基づいてよい点は実施形態5と同様である。
【0083】
<実施形態7>
図13は、実施形態7の組織回収用器具7を断面的に示した図であり、図14は、実施形態7の指向性減容部74を示す図である。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0084】
組織回収用器具7は、実施形態1と同様に、外側拘束体11aと収納部11bによって構成されて、開口部12を有する袋部11を備える。
外側拘束体11aと収納部11bの間となる箇所に、本実施形態では、指向性減容部74を備えている。
図14に示されるように、指向性減容部74は、収納部11bの外周に摺動可能に巻き回された可撓性長細部材(本実施形態では紐部材741)を備え、紐部材741の一端部が、上端側となるポイント744に直接または間接的に固定され、紐部材741は収納部11bの外周を上端側から下端側へと向かって巻き回され、紐部材741の他端部が収納部11bの上端側から引き出されている。
指向性減容部74は、紐部材741の“巻き回し”の配置を保持するための紐挿通部材743a~fを備えている。各紐挿通部材743a~fは基本的に同様の構成であり、可撓性を有するリング状で帯状の部材であって、外周上に紐部材741を摺動可能に挿通させる挿通部を有している。挿通部はリングの外周を略一周回って形成され、紐挿通部材743a~fで略同じ向きとなる場所において、挿通部への紐部材741の入口と出口が形成される。紐挿通部材の出口から出た紐部材741は、その下段側の紐挿通部材の入口から入り、当該紐挿通部材の周りを一周回って出口から出た紐部材741が、またその下段側の紐挿通部材の入口から入るという構成が繰り返される。なお、最上段の紐挿通部材743fには、入口はなく、ポイント744にて紐部材741の一端部が固定されている。最下段の紐挿通部材743aの出口745から出た紐部材741は、収納部11bの上端側から引き出され、その端部にハンドル772が締結される(図13参照)。
【0085】
図15は、組織回収用器具7の作用を説明するための説明図である。
回収組織Spを収納部11bの中に入れた後、開口部12を体表Sの外に引き出した状態で、ハンドル772を持って紐部材741を引くと、下端側の紐挿通部材743aから順番に収縮するような作用が生じる。ハンドル772を引かれたことによって生じる引張力によって、紐部材741が各紐挿通部材743a~fに対して摺動し、各紐挿通部材を収縮させるが、この際に、下端側の紐挿通部材743aから順番に収縮させる作用が働くものである。
当該作用を具体的に説明すると、紐部材741は、収納部11bの外周を上端側から下端側へと向かって巻き回されるように配されているため、その下端部側から引っ張られることになる。ここで、紐部材741のハンドル772側を基端側、ポイント744側を先端側とした場合、摺動する紐部材741はその経路に渡って摩擦抵抗を受けるため、基端側では引張力の減衰が小さいが、先端側に行くに従い摺動する経路長が長くなり、それに伴って摩擦抵抗による減衰も大きくなるため、先端側へ行くほど引張力が弱くなる。従って、より下端側の紐挿通部材の方が強い引張力が作用することとなり、下端側の紐挿通部材743aから順番に収縮させる作用が働くものである。
当該作用により、図15に示されるように、下端側の紐挿通部材743aから上端側の紐挿通部材743fへと順番に締め付けられるような作用が生じ、これによって、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織Spを上部側へと移動させることができる。
【0086】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具7によれば、より簡便且つより確実に回収組織の体外へ取り出しを行うことができる。
なお、本実施形態では、可撓性長細部材の例として紐部材を例としたが、本発明をこれに限るものでは無く、例えばバンド状或いはベルト状のもの等であってよく、可撓性を有する任意の部材を使用することができる。なお、以下の実施形態でも説明するように、可撓性長細部材を複数設けるようにしてもよい。
また、本実施形態では、紐挿通部材が6段であるもの(紐挿通部材743a~f)を例としているが、紐挿通部材の段数を適宜増減することができるのは勿論である。
本実施形態では、外側拘束体11aを設けるものを例としたが、外側拘束体11aは必須のものではない。
また、収納部11bも、指向性減容部14とは別途に設けることが必要なものではない。例えば、図14からも理解されるように、指向性減容部74そのものを収納部として機能させること、即ち、収納部を指向性減容部によって構成することもできる。
【0087】
本実施形態では、リング状の紐挿通部材が上下に重ねて配置されるものを例としたが、図16、17に示すように、螺旋状の紐挿通部材を設けるようにしてもよい。
図16は、組織回収用器具の別の例である組織回収用器具7-1を断面的に示した図であり、図17は、組織回収用器具7-1の指向性減容部74-1を示す図である。
組織回収用器具7-1は、指向性減容部74-1以外は組織回収用器具7と同様の構成である。
指向性減容部74-1は、紐部材741の“巻き回し”の配置を保持するための紐挿通部材743-1を備えている。紐挿通部材743-1は、収納部11bの周りに螺旋状に巻き回された可撓性を有する帯状の部材であって、外周上に紐部材741を摺動可能に挿通させる挿通部を有している。
紐部材741は上端側のポイント744において直接または間接的に固定され、挿通部を通って螺旋状に下端側へ向かって巻き回され、下端部の出口745から出た紐部材741は、収納部11bの上端側から引き出される。
当該構成を有する組織回収用器具7-1は、組織回収用器具7と同様の作用効果を得ることができる。
【0088】
なお、本実施形態では、可撓性長細部材が螺旋状に巻き回されるものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、例えば、図18にその一例を示したように、可撓性長細部材は、収納部の外周を上端側から下端側へと向かって巻き回されるものであればよい。
図18は、組織回収用器具の別の例である組織回収用器具7-2を概念的に示す図である。
組織回収用器具7-2は、収納部11bの外周を上端側から下端側へと向かって巻き回されるように紐部材741が配置されている点で、組織回収用器具7と同様であるが、紐部材741の巻き方が異なっている。
組織回収用器具7-2では、上端側となるポイント744で紐部材741の一端部が固定され、収納部11bの外周を上端側から下端側へと向かって紐部材741が巻き回されていくが、途中で巻き回し方向が反転されている。より具体的には、収納部11bに固定され、上下方向に紐部材741を摺動可能に挿通させる挿通部741aと挿通部741bにおいて、紐部材741の巻き回し方向が反転されている。また、下端側に設けられた挿通部741cから出た紐部材741は、収納部11bの上端側から引き出されている。
図18の例からも明らかなように、図14図17で示したような、収納部11bの外側の全体を覆うような紐挿通部材は必ずしも必要ない。紐部材741の配置状態を適宜保持できるような部材があればよい。ただし、図14図17で示したような帯状の紐挿通部材を備えることにより、紐部材による締め付けによって生じる収納部11bに対する圧力が、局所的なものとならないようにする効果を得ることができる。
【0089】
<実施形態8>
図19は、実施形態8の組織回収用器具8を概念的に示す図である。
組織回収用器具8は、可撓性長細部材が収納部の外周を上端側から下端側へと向かって巻き回され、これによって収納部の下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部の内容積を減少させ、収納部の中の回収組織を上部側へと移動させるものである点で、実施形態7と同様である。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0090】
組織回収用器具8では、中間部が上端側となるポイント844に直接または間接的に固定されている可撓性長細部材(本実施形態では紐部材841)によって指向性減容部が構成されている。紐部材841は収納部11bの外周を上端側から下端側へと向かって巻き回され、紐部材841の両端部846-1、846-2が収納部11bの上端側へと引き出されている。
なお、図示では省略しているが、紐部材841の配置状態を適宜保持できるように、紐挿通部材等が適宜設けられている。
【0091】
本実施形態の組織回収用器具8は、実施形態7と同様の作用効果を得ることができる。
なお、可撓性長細部材について、バンド状或いはベルト状のもの等、可撓性を有する任意の部材を使用することができる点や、巻き回す回数を増減してよい点は、実施形態7と同様である。
【0092】
可撓性長細部材を複数設けるようにしてもよく、その際には、上端側へと引き出された可撓性長細部材の端部が、開口部12の外周上で対称的に配置されるようにするとよい。
図20は、このような組織回収用器具8-1を上面側からみた状態を概念的に示す図である。
組織回収用器具8-1は、組織回収用器具8について上記説明した紐部材841と同じ構成の紐部材841aを備え、且つ、紐部材841と同様の構成で、紐部材841aに対して180°回転した状態で配置される紐部材841bが備えられている。当該構成により、図20に示されるように、紐部材841aの両端部846-1a、846-2aと、紐部材841bの両端部846-1b、846-2bが、開口部12の外周上で対称的に配置される。
組織回収用器具8-1によれば、複数の紐部材の端部が、開口部の外周上で対称的に配置されるため、紐部材を引っ張った際に、組織回収用器具にかかる力を均等化することができる点で好ましい。
【0093】
<実施形態9>
図21は、実施形態9の組織回収用器具9を概念的に示す図である。
組織回収用器具9は、中間部が収納部11bに直接または間接的に固定され、収納部11bの外周を巻き回されて、両端部が上端側へと引き出されている可撓性長細部材(本実施形態では紐部材941a、941b)を備え、紐部材941a、941bが、下端側から上端側へと順に配置されている。当該構成によって指向性減容部が構成されている。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0094】
紐部材941aと、紐部材941bは、それぞれ、実施形態8の紐部材841と同じ概念であり、それぞれ、収納部11bの外周を上端側から下端側へと向かって巻き回され、両端部946-1a、946-2aと、両端部946-1b、946-2bが収納部11bの上端側へと引き出されている。
なお、図示では省略しているが、各紐部材の配置状態を適宜保持できるように、紐挿通部材等が適宜設けられている。
【0095】
組織回収用器具9では、下端側の紐部材941bの両端部946-1b、946-2bを先に引張り、これに続いて、上端側の紐部材941aの両端部946-1b、946-2bを引っ張るようにすることで、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織を上部側へと移動させることができる。
なお、可撓性長細部材について、バンド状或いはベルト状のもの等、可撓性を有する任意の部材を使用することができる点や、巻き回す回数を増減してよい点は、実施形態7と同様である。
また、ここでは上下方向に配される可撓性長細部材が2段であるものを例としているが、3段以上にしてもよいことは勿論である。
【0096】
本実施形態では、上下方向に複数配置する可撓性長細部材として実施形態8の紐部材841と同じ概念のものを例としたが、実施形態7以降で説明した任意の可撓性長細部材を任意に組み合わせて上下方向に配置することができる。
【0097】
また、図20で説明したように、可撓性長細部材を複数配置した上で、可撓性長細部材の端部が、開口部の外周上で対称的に配置されるようにしてもよい。
【0098】
<実施形態10>
図22は、実施形態10の組織回収用器具10を概念的に示す図である。
組織回収用器具10では、その一端部が収納部11bに直接または間接的に固定され、収納部11bの外周を巻き回されている可撓性長細部材(本実施形態では紐部材1041a、1041b、1041c)を備え、紐部材1041a、1041b、1041cが、収納部11bの下端側から上端側へと順に複数配置されている。
【0099】
最も下端側である紐部材1041aは、一端部がポイント1044aで収納部11bに固定され、収納部11bを巻き回された上で、他端部が収納部11bの上端側へと引き出されている。
また、係止部1047aが、最も上端側である紐部材1041cの巻き回し位置より上側となる位置において紐部材1041aに固定されている。
【0100】
紐部材1041bは、一端部がポイント1044bで収納部11bに固定され、収納部11bを巻き回された上で、他端部が、紐部材1041aに対して所定距離だけ摺動可能で所定距離以上は摺動不能となるように係合している。
より具体的には、紐部材1041bの他端部にリング部材1048bが形成され、当該リング部材1048bに紐部材1041aが挿通される。リング部材1048bは、その内径が、紐部材1041aの直径以上であり、且つ、係止部1047aの外径より小さく形成されている。即ち、リング部材1048bに対して、紐部材1041aは摺動可能であるが、係止部1047aは通り抜け不能であり、これにより、紐部材1041bの他端部が、紐部材1041aに対して所定距離だけ摺動可能で所定距離以上は摺動不能となるように係合する。
【0101】
紐部材1041bより上部側の紐部材1041cは、一端部がポイント1044cで収納部11bに固定され、収納部11bを巻き回された上で、他端部が、紐部材1041aに対して所定距離だけ摺動可能で所定距離以上は摺動不能となるように係合している。
より具体的には、紐部材1041cの他端部にリング部材1048cが形成され、当該リング部材1048cに紐部材1041aが挿通される。リング部材1048cは、その内径が、紐部材1041aの直径以上であり、且つ、係止部1047a(若しくはリング部材1048b)の外径より小さく形成されている。即ち、リング部材1048cに対して、紐部材1041aは摺動可能であるが、係止部1047a(若しくはリング部材1048b)は通り抜け不能であり、これにより、紐部材1041cの他端部が、紐部材1041aに対して所定距離だけ摺動可能で所定距離以上は摺動不能となるように係合する。
【0102】
可撓性長細部材1041aの摺動可能な距離L1は、可撓性長細部材1041bの摺動可能な距離L2より長く構成される。可撓性長細部材1041bの摺動可能な距離L2は、可撓性長細部材1041cの摺動可能な距離L3より長く構成される。
なお、図示では省略しているが、各紐部材の配置状態を適宜保持できるように、紐挿通部材等が適宜設けられている。
【0103】
本実施形態の組織回収用器具10は、上記説明した構成によって指向性減容部が形成されている。
なお、実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0104】
組織回収用器具10は、収納部11bの上端側へと引き出されている紐部材1041aの他端部を引っ張ると、先ず、収納部11bに巻き回されている紐部材1041aの直径が縮小し、その部分で収納部11bを締め付ける。この際、紐部材1041aが引っ張られることにより、係止部1047aも上部へ移動するが、係止部1047aがリング部材1048b、リング部材1048cに当接しない限り、紐部材1041bと紐部材1041cには引張力は生じない。
その後、係止部1047aがリング部材1048bに当接すると、それ以降はリング部材1048bも上部側へと引っ張られることになる。これによって、収納部11bに巻き回されている紐部材1041bの直径が縮小し、その部分で収納部11bを締め付ける。
さらにその後、係止部1047a(若しくはリング部材1048b)がリング部材1048cに当接すると、それ以降はリング部材1048cも上部側へと引っ張られることになる。これによって、収納部11bに巻き回されている紐部材1041cの直径が縮小し、その部分で収納部11bを締め付ける。
【0105】
以上の説明から理解されるように、組織回収用器具10によれば、収納部11bの下端側から絞り上げるようにして上端側へと順次収納部11bの内容積を減少させ、収納部11bの中の回収組織を上部側へと移動させることができる。
なお、可撓性長細部材について、バンド状或いはベルト状のもの等、可撓性を有する任意の部材を使用することができる点は、実施形態7と同様である。
また、ここでは上下方向に配される可撓性長細部材が3段であるものを例としているが、2段又は4段以上にしてもよいことは勿論である。
【0106】
<実施形態11>
図23は、実施形態11の組織回収用器具15を断面的に示した図である。また、図24は、組織回収用器具15の作用を説明する説明図である。
本実施形態の組織回収用器具15は、内部に導入媒体が導入されることで容積が増大し、収納部11bの内容積を減少させる部分可変容積部材154-1、2を備え、当該部分可変容積部材154-1、2が、収納部11bの下端側に配置されている。導入媒体を導入させるための、媒体導入部131やハンドポンプ132については、実施形態1等と同様の概念である(実施形態1と同様の構成については、同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する)。
【0107】
部分可変容積部材154-1と154-2は、基本的に同様の構成(左右対称の構成)であるため、ここでは部分可変容積部材154-1について主に説明する。
部分可変容積部材154-1は、収納部11bの下端側において、収納部11bの内周面に沿うように配置されている。本実施形態の部分可変容積部材154-1は、上端側から下端側へと向かう軸に略直交する断面視において、収納部11bの内周の略半分にわたって存在している(部分可変容積部材154-2が残りの半周部分に存在する構成となる)。
また、図24に示されるように、部分可変容積部材154-1、2の上下方向の長さL1は、組織回収用器具15によって回収することが想定される回収組織Spの最大寸法L2よりも短い。また、部分可変容積部材154-1、2の上下方向の長さL1は、収納部11bの上下方向の長さL3の4/5以下(例えば、2/3以下、または1/2以下、または1/3以下)である。
図24に示されるように、部分可変容積部材154-1、2は、収納部11bに収容された回収組織Spに対して主に下部側に位置している。なお、“組織回収用器具によって回収することが想定される回収組織”とは、製品化の際のそれぞれの組織回収用器具の仕様や設計思想に基づいて適宜定められるものである。
上記構成を有する組織回収用器具15によれば、図24に示されるように、導入媒体が導入されることで部分可変容積部材154-1、2の容積が増大し、収納部11bの内容積(回収組織Spが存在することができるスペース)が減少されると、これに伴って、回収組織Spが絞り上げられるようにして上部側へと移動する。
【0108】
以上のごとく、本実施形態の組織回収用器具15によれば、実施形態1と同様の作用効果を得ることができる。
なお、部分可変容積部材を、伸縮性のある任意の伸縮部材で形成したり、全く伸縮性のない部材で形成してもよい点等は、実施形態1と同様である。
また、部分可変容積部材の分割数(上端側から下端側へと向かう軸に略直交する断面視における分割数(本実施形態では2))を増減させるものであっても勿論よい。部分可変容積部材を分割する場合、部分可変容積部材を収納部11bの内周面に全周的に連続的に設ける必要は必ずしもなく、例えば、断続的に配されるものであってもよい。
加えて、部分可変容積部材と収納部は、それぞれ別体的に形成されて組み合わされる(貼り合わされる等)ものであっても良いし、一体的に形成されるもの(例えば、部分可変容積部材が収納部の一部として一体的に形成されるもの等)であってもよい。
【0109】
また、部分可変容積部材へ導入媒体を導入させる方法として、手動若しくは自動の何れでも良い点、自動とする場合において、流量制御や圧力制御等に基づいてよい点は実施形態5と同様である。
本実施形態では、部分可変容積部材154-1、2に対して、共通の媒体導入部131から分岐された導入部によって導入媒体を導入するものを例としたが、それぞれに個別に導入媒体を導入させるようにしてもよい。
【0110】
以上、各実施形態で説明したように、各実施形態の組織回収用器具によれば、回収組織を開口部へと移動させる指向性減容部を備えることにより、より簡便且つより確実に回収組織の体外への取り出しを行うことが可能となる。
例えば、胸腔鏡下手術で肺葉を摘出する場合、肋骨の間から肺葉が入った組織回収用の袋を引っ張り出さなければならない場合があるが、肺葉が入った袋が肋骨に引っかかって出てこないことや、この際に肋間神経が圧迫されてしまうことがあった。術中に肋間神経が圧排されると、術後痛みを生じさせる場合があり、患者の負担が増えるという問題がある。
各実施形態の組織回収用器具によれば、収納部の中の回収組織を上部側へと移動させて取り出すことができるため、このような問題を低減させることが可能であり、非常に有用である。
【0111】
なお、各実施形態の組織回収用器具において、組織回収用器具を体内へ挿入する際の、体内への挿入位置の指標となる表示を設けるようにしてもよい。
例えば、図24に矢印で示した箇所に、体表Sより上に出しておくようにする位置の目印としての表示Mを付しておくようにしてもよい。表示Mは、指標として機能する任意の表記を用いることができ、例えば、基準線、矢印、文字などによる標記の他、色分けで示す(例えば、Mの位置より上と下で着色を変える)もの等であってもよい。また、段階的な指標を表示するもの(例えば、複数の基準線や、メモリを標記するもの)等であってもよい。
加えて、可変容積部材が形成されている位置を示す表示を設けるようにしてもよい。上記各実施形態で説明したように、可変容積部材は、その容積が増大するものであり、これが切開創の位置に配されないようにする方が好ましい。可変容積部材が膨らんだ際に切開創を押し広げる作用が働くことを低減するためである。よって、可変容積部材が形成されている位置や範囲を外部から容易に認識できるような表示(例えば、「この位置までは必ず体内へ挿入すること」といった警告的な表示としてもよい)を設けるようにしてもよい。
【0112】
各実施形態の組織回収用器具において、収納部の上下方向(一端から他端へ向かう方向)の長さ(例えば、図24における長さL3)は、胸腔内のスペースの制限を考量すると、25cm以下とすることが好ましく、20cm以下とするとさらに好ましい。また、指向性減容部(若しくは部分可変容積部材)の上下方向(一端から他端へ向かう方向)の長さは、収納部の上下方向(一端から他端へ向かう方向)の長さ(例えば、図24における長さL3)の1/3から4/5の長さであることが好ましい。
【0113】
なお、収納部の開口部の辺縁に沿って紐を配し、その紐を引くと巾着状に開口部が閉じる機構を備えさせるようにしてもよい。この際、開口部が一定以下の大きさにならないようにするための制限部材(所定開口維持部材)を備えさせるようにしてもよい。例えば、紐の途中、もしくは紐が配されている収納部(開口部)の辺縁の任意の箇所に、前記の紐が一定以上引けないように物理的に食い止めるストッパーを配するようにしてもよい。もしくは開口部が一定以下の大きさにならないように、開口部にリング状の部品を配するもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1...組織回収用器具
11a...外側拘束体
11b...収納部
12...開口部
131...媒体導入部
14...指向性減容部
141a~141f...部分可変容積部材
142...連通部(媒体移動抵抗部)
341...管状螺旋部材
44-1~44-3...指向性減容部(管状可変容積部材)
741...紐部材(可撓性長細部材)
S...体表
Sp...回収組織
100...従来(特許文献1)の組織回収用袋
110...従来(特許文献1)の組織回収用袋の内袋
140...従来(特許文献1)の組織回収用袋の外袋
150...従来(特許文献1)の組織回収用袋の空間
F...従来(特許文献1)の組織回収用袋に導入される流体
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