(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034101
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01R 24/54 20110101AFI20230306BHJP
H01R 13/11 20060101ALI20230306BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20230306BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20230306BHJP
H04N 23/50 20230101ALI20230306BHJP
H04N 23/52 20230101ALI20230306BHJP
G03B 17/02 20210101ALN20230306BHJP
【FI】
H01R24/54
H01R13/11 Z
H01R13/6581
H05K9/00 L
H04N5/225 100
H04N5/225 430
G03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140180
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関根 貴志
【テーマコード(参考)】
2H100
5C122
5E021
5E223
5E321
【Fターム(参考)】
2H100BB11
2H100EE03
5C122DA01
5C122EA02
5C122EA57
5C122GE01
5C122GE05
5C122GE07
5C122GE11
5E021FA03
5E021FA08
5E021FB16
5E021FC21
5E021LA06
5E021LA10
5E021LA15
5E223AA16
5E223AB12
5E223AC23
5E223BA07
5E223CA13
5E223GA22
5E321AA14
5E321AA21
5E321CC03
5E321CC16
5E321CC22
5E321GG09
5E321GH07
(57)【要約】
【課題】互いに電気的に接続される外側導体及び内部シェルを備える電子部品において、内部シェルと外側導体とを接合しなくても、内部シェルと外側導体との良好な電気的接続を確保する。
【解決手段】第二部品12(電子部品)は、第二ハウジング40と、内側導体51と、外側導体52と、内部シェル60と、を備える。第二ハウジング40は、第一ハウジング20に組み付けられることで、当該第一ハウジング20と共に収容空間15を形成する。外側導体52は、筒状であり、内側導体51を上下方向に垂直な方向から覆う。内部シェル60は、収容空間15の内部に配置され、外側導体52と電気的に接続する。内部シェル60は、外側導体52に弾性接触するバネ片部62を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の部品に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間を形成するハウジングと、
第一方向に沿って伸長し、前記収容空間の外部の第一接続対象物と前記収容空間の内部の第二接続対象物とを電気的に接続する内側導体と、
前記内側導体を第一方向に垂直な方向から覆う筒状の外側導体と、
前記収容空間の内部に配置され、前記外側導体と電気的に接続する内部シェルと、
を備える電子部品であって、
前記内部シェルは、前記外側導体に弾性接触するバネ片部を有する、
電子部品。
【請求項2】
前記バネ片部は、
前記外側導体に接触する接触部と、
前記接触部を支持する弾性支持部と、を有し、
前記弾性支持部は、第一方向に垂直な方向に伸長する、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記内部シェルは、前記バネ片部を4つ有し、
前記4つのバネ片部が有する4つの前記弾性支持部は、前記外側導体に対して第一方向に垂直な方向かつ互いに垂直な方向にある4つの位置から前記外側導体へ向けて伸長する、
請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記接触部は、前記弾性支持部の先端側が第一方向のうち前記第二接続対象物側に折り曲げられて形成される、
請求項2又は請求項3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記内部シェルは、第一方向に垂直な平面に沿う第一板部を有し、
前記バネ片部は、
前記外側導体に接触する接触部と、
前記接触部を支持する弾性支持部と、を有し、
前記弾性支持部は、前記第一板部から、第一方向に垂直な方向に伸長する、
請求項1に記載の電子部品。
【請求項6】
前記第一板部には、前記外側導体が貫通する開口部が形成され、
前記接触部は、前記弾性支持部の先端側が第一方向のうち前記第二接続対象物側に折り曲げられて形成され、
前記接触部と前記外側導体とは、前記第一板部に対して前記第二接続対象物側で接触する、
請求項5に記載の電子部品。
【請求項7】
前記第一板部は、前記バネ片部の基端から前記開口部へ向けて延びることで、シールド範囲を拡張する拡張部を有する、
請求項6に記載の電子部品。
【請求項8】
前記内部シェルは、前記ハウジングに保持される被保持部を有する、
請求項1~請求項7の何れか一項に記載の電子部品。
【請求項9】
前記内部シェルは、
第一方向に垂直な平面に沿う第一板部と、
前記第一板部の端部が第一方向のうち前記第二接続対象物側に折り曲げられて形成された側板部と、を有し、
前記側板部に前記ハウジングに圧入される圧入突起が形成されることで、前記被保持部が形成される、
請求項8に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1記載の電子部品(コネクタモジュール)は、ハウジング(コネクタケース)と、内側導体(中心導体)と、外側導体(導電性シェル)と、内部シェル(シールドケース)と、を備える。ハウジングは、他の部品(本体ケース)に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間を形成する。内側導体は、第一方向に沿って伸長し、収容空間の外部の第一接続対象物(同軸ケーブル)と収容空間の内部の第二接続対象物(レセプタクル)とを電気的に接続する。外側導体は、筒状であり、内側導体を第一方向に垂直な方向から覆う。内部シェルは、収容空間の内部に配置され、導電性シェルと電気的に接続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記電子機器では、内部シェルと外側導体とが接合されることで、内部シェルと外側導体との電気的接続を確保されている。このため、電子機器の製造において、内部シェルと外側導体とを接合するための工程を要する。
【0005】
本開示の目的は、互いに電気的に接続される外側導体及び内部シェルを備える電子部品において、内部シェルと外側導体とを接合しなくても、内部シェルと外側導体との良好な電気的接続を確保することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る電子部品は、他の部品に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間を形成するハウジングと、第一方向に沿って伸長し、前記収容空間の外部の第一接続対象物と前記収容空間の内部の第二接続対象物とを電気的に接続する内側導体と、前記内側導体を第一方向に垂直な方向から覆う筒状の外側導体と、前記収容空間の内部に配置され、前記外側導体と電気的に接続する内部シェルと、を備える電子部品であって、前記内部シェルは、前記外側導体に弾性接触するバネ片部を有する。
【0007】
上記態様では、電子部品は、ハウジングと、内側導体と、外側導体と、内部シェルと、を備える。ハウジングは、他の部品に組み付けられることで、当該他の部品と共に収容空間を形成する。内側導体は、第一方向に沿って伸長し、収容空間の外部の第一接続対象物と収容空間の内部の第二接続対象物とを電気的に接続する。外側導体は、筒状であり、内側導体を第一方向に垂直な方向から覆う。内部シェルは、収容空間の内部に配置され、外側導体と電気的に接続する。
【0008】
ここで、内部シェルは、外側導体に弾性接触するバネ片部を有する。このため、内部シェルと外側導体とを接合しなくても、内部シェルと外側導体との良好な電気的接続を確保することができる。
【0009】
第2の態様に係る電子部品は、第1の態様において、前記バネ片部は、前記外側導体に接触する接触部と、前記接触部を支持する弾性支持部と、を有し、前記弾性支持部は、第一方向に垂直な方向に伸長する。
【0010】
上記態様では、バネ片部は、外側導体に接触する接触部と、接触部を支持する弾性支持部と、を有する。
ここで、弾性支持部は、第一方向に垂直な方向に伸長する。このため、内部シェルを第一方向において大型化することなく、接触部の変位に必要なバネ長を弾性支持部において確保することができる。
【0011】
第3の態様に係る電子部品は、第2の態様において、前記内部シェルは、前記バネ片部を4つ有し、前記4つのバネ片部が有する4つの前記弾性支持部は、前記外側導体に対して第一方向に垂直な方向かつ互いに垂直な方向にある4つの位置から前記外側導体へ向けて伸長する。
【0012】
上記態様では、内部シェルは、バネ片部を4つ有する。そして、4つのバネ片部が有する4つの弾性支持部は、外側導体に対して第一方向に垂直な方向かつ互いに垂直な方向にある4つの位置から外側導体へ向けて伸長する。
このため、内部シェルと外側導体との良好な電気的接続を、より一層確実に確保することができる。
【0013】
第4の態様に係る電子部品は、第2又は第3の態様において、前記接触部は、前記弾性支持部の先端側が第一方向のうち前記第二接続対象物側に折り曲げられて形成される。
【0014】
上記態様では、接触部は、弾性支持部の先端側が第一方向内側(第一方向のうち第二接続対象物側)に折り曲げられて形成される。このため、外側導体に対し内部シェルを第一方向内側から組み付けることが容易である。
【0015】
第5の態様に係る電子部品は、第1の態様において、前記内部シェルは、第一方向に垂直な平面に沿う第一板部を有し、前記バネ片部は、前記外側導体に接触する接触部と、前記接触部を支持する弾性支持部と、を有し、前記弾性支持部は、前記第一板部から、第一方向に垂直な方向に伸長する。
【0016】
上記態様では、内部シェルは、第一方向に垂直な平面に沿う第一板部を有する。また、バネ片部は、外側導体に接触する接触部と、接触部を支持する弾性支持部と、を有する。
ここで、弾性支持部は、第一板部から、第一方向に垂直な方向に伸長する。このため、第一板部と弾性支持部とが略同一平面上に位置することとなる。
したがって、内部シェルが第一板部を有する場合において、内部シェルを第一方向において大型化することなく、接触部の変位に必要なバネ長を弾性支持部において確保することができる。
【0017】
第6の態様に係る電子部品は、第5の態様において、前記第一板部には、前記外側導体が貫通する開口部が形成され、前記接触部は、前記弾性支持部の先端側が第一方向のうち前記第二接続対象物側に折り曲げられて形成され、前記接触部と前記外側導体とは、前記第一板部に対して前記第二接続対象物側で接触する。
【0018】
上記態様では、第一板部には、外側導体が貫通する開口部が形成される。また、接触部は、弾性支持部の先端側が第一方向内側に折り曲げられて形成される。そして、接触部と外側導体とは、第一板部に対して第一方向内側で接触する。
このため、第一板部の第一方向外側(第一方向のうち第一接続対象物側)に、接触部と外側導体とが接触するための空間を確保する必要がなく、電子部品全体を小型化することができる。
【0019】
第7の態様に係る電子部品は、第6の態様において、前記第一板部は、前記バネ片部の基端から前記開口部へ向けて延びることで、シールド範囲を拡張する拡張部を有する。
【0020】
上記態様では、第一板部は、バネ片部の基端から開口部へ向けて延びることで、シールド範囲を拡張する拡張部を有する。
このため、内部シェルによって広い範囲をシールドすることができる。
【0021】
第8の態様に係る電子部品は、第1~第7の何れかの態様において、前記内部シェルは、前記ハウジングに保持される被保持部を有する。
【0022】
上記態様では、内部シェルは、ハウジングに保持される被保持部を有する。
このため、内部シェルが被保持部を有しない態様と比較して、内部シェルが適切に保持される。
なお、内部シェルがハウジングに保持されるので、内部シェルの位置がハウジングの影響を受け、内部シェルと外側導体との位置関係が所望の位置関係からズレる可能性がある。しかし、内部シェルがバネ片部を有するので、内部シェルと外側導体との位置関係が所望の位置関係からズレる場合でも、内部シェルと外側導体との良好な電気的接続が確保される。
【0023】
第9の態様に係る電子部品は、第8の態様において、前記内部シェルは、第一方向に垂直な平面に沿う第一板部と、前記第一板部の端部が第一方向のうち前記第二接続対象物側に折り曲げられて形成された側板部と、を有し、前記側板部に前記ハウジングに圧入される圧入突起が形成されることで、前記被保持部が形成される。
【0024】
上記態様では、内部シェルは、第一方向に垂直な平面に沿う第一板部と、第一板部の端部が第一方向内側(第一方向のうち第二接続対象物側)に折り曲げられて形成された側板部と、を有する。そして、側板部にハウジングに圧入される圧入突起が形成されることで、被保持部が形成される。
このため、内部シェルの形状が複雑化するのを抑えつつ、内部シェルをハウジングに保持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】カメラモジュールを構成する第一部品及び第二部品が分離された状態を示す断面図である。
【
図2】カメラモジュールの完成状態を示す断面図である。
【
図7】同軸コネクタ部と内部コネクタとの接続部分の拡大断面図である。
【
図8】カメラモジュールの分解斜視図(第二部品のみを分解)である。
【
図10】内部シェルを取り付ける前の状態を示す第二部品の分解断面図である。
【
図11】第二ハウジングの保持部を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、各図に示す±X方向を前後方向、±Y方向を幅方向、±Z方向を上下方向として説明する。
【0027】
[カメラモジュール10]
図1、
図2、
図8は、カメラモジュール10を示す。
カメラモジュール10は、接続部10a(
図2参照)において、「第一接続対象物」としての外部コネクタ(図示省略)と接続可能に構成される。カメラモジュール10は、第一部品11と、第二部品12と、を備える。
【0028】
[第一部品11]
第一部品11は、第一ハウジング20と、撮像ユニット30と、内部コネクタ70と、を備える。
【0029】
第一ハウジング20は、例えば、合成樹脂等の絶縁体で形成される。第一ハウジング20は、周壁20aと、底壁20bと、レンズ配置部20cと、を有する。周壁20aは、略四角筒状である。レンズ配置部20cは、円筒状である。底壁20bは、周壁20aとレンズ配置部20cとの下端同士を繋ぐように形成される。
【0030】
撮像ユニット30は、内部基板31と、撮像素子32と、レンズ33と、リテーナ34と、を備える。内部基板31は、第一ハウジング20に固定される。撮像素子32は、内部基板31の下面に配置される。レンズ33は、リテーナ34を介して内部基板31に取り付けられると共に、第一ハウジング20のレンズ配置部20cの内側に配置される。
【0031】
内部コネクタ70は、内部基板31の上面に取り付けられる。
図4に示すように、内部コネクタ70は、信号端子71と、グランド端子72と、コネクタハウジング73と、を備える。コネクタハウジング73は、内部基板31に固定される。グランド端子72は、コネクタハウジング73に対し上下方向に移動可能に弾性支持されている。グランド端子72は、図示しない他のグランド端子を介して内部基板31と電気的に接続されている。
【0032】
[第二部品12]
第二部品12は、「ハウジング」としての第二ハウジング40と、同軸コネクタ部50と、内部シェル60と、を備える。
【0033】
(第二ハウジング40)
第二ハウジング40は、第一ハウジング20(他の部品)に組み付けられることで、第一ハウジング20と共に収容空間15(
図2参照)を形成する。収容空間15には、内部コネクタ70、内部基板31及び撮像素子32等が収容される。第二ハウジング40は、例えば、合成樹脂等の絶縁体で形成される。第二ハウジング40は、ケース本体41と、外部接続部42と、を有する。
【0034】
ケース本体41は、第一ハウジング20と共に収容空間15を形成する部分である。
ケース本体41は、収容空間15の上側の壁を構成する天壁41aと、収容空間15の上下方向に垂直な方向の壁を構成する周壁41bと、を有する。
図10に示すように、天壁41aは、収容空間15の天井面を構成する天井面41dを有し、周壁41bは、収容空間15の上下方向に垂直な方向の側壁面を構成する側壁面41eを有する。天壁41aは上方向からみて略矩形状であり、周壁41bは、四角筒状である。
【0035】
外部接続部42は、ケース本体41の天壁41aから上方向に突出した部分であり、外部コネクタが嵌合可能に構成される。
【0036】
第二ハウジング40は、同軸コネクタ部50が上下方向に貫通した状態で配置可能に構成される。換言すると、第二ハウジング40は、同軸コネクタ部50が配置される配置孔40a(
図9参照)を有する。配置孔40aは、ケース本体41の天壁41aと、外部接続部42との両方を上下方向に貫通するように形成される。配置孔40aには、同軸コネクタ部50の外側導体52が下側から圧入される。
【0037】
ケース本体41は、第一ハウジング20の被嵌合部20d(
図1参照)に嵌合する嵌合部41cを有する。嵌合部41cは、周壁41bの下端に形成される。第二ハウジング40の嵌合部41cは、第一ハウジング20の被嵌合部20dの内側に配置される。これにより、第二ハウジング40と第一ハウジング20とを溶着、接着、ネジなどで固定する前の状態においても、第一ハウジング20に対する第二ハウジング40のXY方向の相対位置がある程度定まるようになっている。
【0038】
第二ハウジング40は、内部シェル60を保持する保持部43を有する。
図11に示すように、保持部43は、第二ハウジング40の天井面41dから下方向に突出すると共に、第二ハウジング40の側壁面41eから収容空間15の内側に突出するように形成された部分である。保持部43は、略四角柱状である。保持部43には、上下方向に延びる圧入溝43aが形成される。圧入溝43aには、内部シェル60の側板部64の一部が圧入される。側板部64には、後述するように圧入突起66(
図5参照)が形成されている。保持部43の下端は、側壁面41eの下端よりも上側に位置する。
保持部43は、複数(4つ)形成される。具体的には、第二ハウジング40の天井面41dは略矩形に形成されており、略矩形の天井面41dの四つ角に対応する位置に4つの保持部43が形成される。
【0039】
(同軸コネクタ部50)
同軸コネクタ部50は、外部コネクタと内部コネクタ70とを電気的に接続するための部分である。
図9に示すように、同軸コネクタ部50は、内側導体51と、外側導体52と、中間絶縁体53と、を有する。
【0040】
内側導体51は、ピン状の端子であり、上下方向(第一方向)に沿って伸長する。
内側導体51は、収容空間15の外部の外部コネクタ(図示省略、第一接続対象物)の信号端子と収容空間15の内部の内部コネクタ70(第二接続対象物)の信号端子71とを電気的に接続する。内側導体51は、下端付近に拡径部51aを有する。拡径部51aは、円筒形状である。
【0041】
外側導体52は、筒状であり、内側導体51を上下方向(第一方向)に垂直な方向から覆う。外側導体52は、鋳造又は切削で作られる。外側導体52の上端付近が外部コネクタのグランド端子に接触し、外側導体52の下端面(外側導体接触部52b1)が内部コネクタ70のグランド端子72に接触する。
外側導体52は、上部52aと下部52bとを有する。下部52bは、上部52aよりも外径が大きい。下部52bの外周面には、第二ハウジング40に圧入される圧入突起が形成される。
外側導体52は、内部シェル60に接触するシェル接触部52b2を有する。シェル接触部52b2は、外側導体52の下部52bの外周面の下端に形成される。
【0042】
中間絶縁体53は、筒状であり、内側導体51と外側導体52との間に配置される。中間絶縁体53は、外側導体52に対し内側導体51を保持するように機能する。中間絶縁体53は、筒状の外側導体52の内部に圧入される。筒状の中間絶縁体53の内部には、内側導体51が下方向から圧入される。
【0043】
図3に示すように、内側導体51の下端面は、内部コネクタ70の信号端子71に接触する内側導体接触部51a1となる。内側導体接触部51a1は、法線方向を-Z方向に向けた円形の平面である。
外側導体52の下端面は、内部コネクタ70のグランド端子72に接触する外側導体接触部52b1となる。外側導体接触部52b1は、法線方向を-Z方向に向けた平面であって、内側導体接触部51a1を囲むように円周状に延在する。
図10に示すように、内側導体51の下端部と、外側導体52の下端部との間の隙間には、ポッティングにより内側封止部54が形成される。内側封止部54の下面541により、内側導体51の下端面(内側導体接触部51a1)と、外側導体52の下端面(外側導体接触部52b1)とを滑らかに接続される。
すなわち、外側導体52の外側導体接触部52b1と、内側導体51の内側導体接触部51a1と、内側封止部54の下面541とは、法線方向を-Z方向に向けた同一平面上に形成される。これにより、同軸コネクタ部50の接触部51a1,541,52b1が平面状に形成される。
【0044】
外側導体52と第二ハウジング40の天井面41dとの間には、隙間が形成されるようになっている。この隙間には、ポッティングにより外側封止部55が形成される。外側封止部55の下面551は、第二ハウジング40の天井面41dと同一平面上に形成される。
【0045】
図10は、第二ハウジング40の配置孔40aに同軸コネクタ部50が配置され、更に、ポッティングにより封止部54,55が形成された状態を示す断面図である。封止部54,55により、第二ハウジング40の配置孔40aを介して水などが収容空間15に侵入することが防止される。
【0046】
第一部品11に第二部品12を組み付けると、第二部品12の同軸コネクタ部50が内部コネクタ70の信号端子71及びグランド端子72に上側から接触する。これにより、信号端子71が弾性変形すると共にグランド端子72は下方向へ弾性的に変位する。
【0047】
(内部シェル60)
内部シェル60は、収容空間15の内部に配置される。内部シェル60は、導電性の材料で形成される。具体的には、内部シェル60は、導電性の板材に対し、抜き加工及び曲げ加工等が施されて形成される。
【0048】
図5に示すように、内部シェル60は、天板部61を有する。天板部61は、板厚方向をZ方向に向けた平板状である。天板部61は、矩形状である。天板部61は、第二ハウジング40の天井面41dに接触又は近接する位置に配置される。
【0049】
天板部61には、開口部61aが形成される。開口部61aには、同軸コネクタ部50が貫通する。これにより、同軸コネクタ部50の接触部51a1,541,52b1は、天板部61よりも下側に位置する。
【0050】
図6に示すように、開口部61aは、天板部61の近接縁61bによって囲まれている。近接縁61bは、後述するバネ片部62が形成された位置で分離されている。本実施形態では、バネ片部62が4つ形成されるので、近接縁61bは、4つの部分に分離されている。分離された複数(4つ)の近接縁61bの各々は、外側導体52の外周面に沿う形状であり、円弧状である。複数の近接縁61bが形作る形状は、外側導体52の下部52bの断面と相似であり、具体的には円形である。複数の近接縁61bが形作る形状(本実施形態では円形)は、外側導体52の下部52bよりも若干大きい。このため、近接縁61bは、外側導体52の下部52bの外周面に近接して配置される。
【0051】
(バネ片部62)
内部シェル60は、外側導体52に弾性接触する4つのバネ片部62を有する。4つのバネ片部62が外側導体52に弾性接触することで、内部シェル60と外側導体52とが電気的に接続される。
【0052】
4つのバネ片部62の各々は、互いに同一の構造である。4つのバネ片部62の各々は、外側導体52に接触する接触部62aと、接触部62aを弾性的に支持する弾性支持部62bと、を有する。弾性支持部62bは、自由状態で、天板部61と同一平面上に位置する。弾性支持部62bは、先端側に向かうにつれて徐々に幅が狭くなっている。接触部62aは、弾性支持部62bの先端側が下側に折り曲げられて形成される。
【0053】
図6に示すように、弾性支持部62bの両側には、一対のスリット63が形成される。弾性支持部62bは、スリット63を介して天板部61(具体的には後述する拡張部61d)に隣接する。開口部61aの縁には、隣接縁61cが形成される。隣接縁61cは、弾性支持部62bに隣接する。隣接縁61cは、近接縁61bが形作る形状(本実施形態では円形)の外側に形成される。1つの弾性支持部62bに隣接する一対の隣接縁61cは、互いに平行である。
【0054】
4つのバネ片部62は、前側のバネ片部62と、後側のバネ片部62と、右側のバネ片部62と、左側のバネ片部62と、から構成される。
前側のバネ片部62の弾性支持部62bは、開口部61aの中心に対して前側の位置を基端として、開口部61aの中心に向かって伸長する。
後側のバネ片部62の弾性支持部62bは、開口部61aの中心に対して後側の位置を基端として、開口部61aの中心に向かって伸長する。
右側のバネ片部62の弾性支持部62bは、開口部61aの中心に対して右側の位置を基端として、開口部61aの中心に向かって伸長する。
左側のバネ片部62の弾性支持部62bは、開口部61aの中心に対して左側の位置を基端として、開口部61aの中心に向かって伸長する。
つまり、4つのバネ片部62が有する4つの弾性支持部62bは、外側導体52に対して上下方向(第一方向)に垂直な方向かつ互いに垂直な方向にある4つの位置から外側導体52へ向けて伸長する。
【0055】
図10に示す状態から、第二ハウジング40に内部シェル60を取り付ける際、同軸コネクタ部50の外側導体52が4つのバネ片部62の接触部62aに接触する。これにより、バネ片部62の弾性支持部62bが変形し、接触部62aは天板部61に対し、相対的に下側に変位する。第二部品12が完成した状態では、弾性支持部62bが変形した状態となり、その弾性復元力により、接触部62aは外側導体52のシェル接触部52b2に対して弾性接触した状態となる。
【0056】
図6の二点鎖線C1は、開口部61aの中心を中心とし、4つのバネ片部62の基端を通る仮想的な円である。天板部61は、この仮想的な円の内側に位置する部分を有する。この部分は、バネ片部62の基端から開口部61aへ向けて延びることで、シールド範囲を拡張する拡張部61dであると把握することができる。
【0057】
(側板部64)
図5に示すように、内部シェル60は、側板部64を有する。側板部64は、収容空間15を上下方向に垂直な方向からシールドする。側板部64は、板厚方向を上下方向に直交する方向に向ける。
【0058】
側板部64は、天板部61の縁部が下方向に折り曲げられて形成される。具体的には、側板部64は、前板部65A、後板部65B、右板部65C及び左板部65Dの4つの平板部65から構成される。側板部64を構成する4つの平板部65の下端は、第二ハウジング40の下端よりも下側に位置する(
図1参照)。
【0059】
内部シェル60は、第二ハウジング40に保持される被保持部66を有する。
具体的には、被保持部66は、側板部64を構成する平板部65に形成された圧入突起66である。被保持部66としての圧入突起66が、第二ハウジング40の保持部43の圧入溝43a(
図11参照)に圧入される。
より具体的には、圧入突起66は前板部65A及び後板部65Bに形成され、右板部65C及び左板部65Dには圧入突起が形成されない。圧入突起66は、前板部65A及び後板部65Bの板幅方向(左右方向)両側の板端に形成される。圧入突起66が形成される位置は、前板部65A及び後板部65Bの板幅方向(左右両側)の板端の上部であり、下部には形成されない。
【0060】
図3に示すように、右板部65C及び左板部65Dの板幅方向(前後方向)両側の板端の下部からは、内部シェル60の内側に向けて折り曲げられた折曲部67が形成される。折曲部67は、隣り合う平板部65(本実施形態では前板部65A及び後板部65B)の内側(前後方向内側)に配置される。これにより、隣り合う平板部65間の隙間がシールドされる。
【0061】
<作用効果>
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0062】
本実施形態では、「電子部品」としての第二部品12は、第二ハウジング40と、内側導体51と、外側導体52と、内部シェル60と、を備える。第二ハウジング40は、第一ハウジング20に組み付けられることで、当該第一ハウジング20と共に収容空間15を形成する。内側導体51は、上下方向に沿って伸長し、収容空間15の外部の外部コネクタ(第一接続対象物)と収容空間15の内部の内部コネクタ70とを電気的に接続する。外側導体52は、筒状であり、内側導体51を上下方向に垂直な方向から覆う。内部シェル60は、収容空間15の内部に配置され、外側導体52と電気的に接続する。
【0063】
ここで、内部シェル60は、外側導体52に弾性接触するバネ片部62を有する。このため、内部シェル60と外側導体52とを接合しなくても、内部シェル60と外側導体52との良好な電気的接続を確保することができる。
【0064】
また、本実施形態では、バネ片部62は、外側導体52に接触する接触部62aと、接触部62aを支持する弾性支持部62bと、を有する。
ここで、弾性支持部62bは、上下方向に垂直な方向に伸長する。このため、内部シェル60を上下方向において大型化することなく、接触部62aの変位に必要なバネ長を弾性支持部62bにおいて確保することができる。
【0065】
また、本実施形態では、内部シェル60は、バネ片部62を4つ有する。そして、4つのバネ片部62が有する4つの弾性支持部62bは、外側導体52に対して上下方向に垂直な方向かつ互いに垂直な方向にある4つの位置から外側導体52へ向けて伸長する。
このため、内部シェル60と外側導体52との良好な電気的接続を、より一層確実に確保することができる。
【0066】
また、本実施形態では、接触部62aは、弾性支持部62bの先端側が第一方向内側(第一方向のうち前記第二接続対象物側)に折り曲げられて形成される。このため、外側導体52に対し内部シェル60を第一方向内側から組み付けることが容易である。
【0067】
また、本実施形態では、内部シェル60は、上下方向に垂直な平面に沿う天板部61を有する。また、バネ片部62は、外側導体52に接触する接触部62aと、接触部62aを支持する弾性支持部62bと、を有する。
ここで、弾性支持部62bは、天板部61から、上下方向に垂直な方向に伸長する。このため、天板部61と弾性支持部62bとが略同一平面上に位置することとなる。
したがって、内部シェル60が天板部61を有する場合において、内部シェル60を上下方向において大型化することなく、接触部62aの変位に必要なバネ長を弾性支持部62bにおいて確保することができる。
【0068】
また、本実施形態では、天板部61には、外側導体52が貫通する開口部61aが形成される。また、接触部62aは、弾性支持部62bの先端側が第一方向内側に折り曲げられて形成される。そして、接触部62aと外側導体52とは、天板部61に対して第一方向内側で接触する。
このため、天板部61の第一方向外側(上側)に、接触部62aと外側導体52とが接触するための空間を確保する必要がなく、第二部品12全体を小型化することができる。
【0069】
また、本実施形態では、天板部61は、バネ片部62の基端から開口部61aへ向けて延びることで、シールド範囲を拡張する拡張部61dを有する。
このため、内部シェル60によって広い範囲をシールドすることができる。
【0070】
また、本実施形態では、内部シェル60は、第二ハウジング40に保持される被保持部66を有する。
このため、内部シェル60が被保持部66を有しない態様と比較して、内部シェル60が適切に保持される。
なお、内部シェル60が第二ハウジング40に保持されるので、内部シェル60の位置が第二ハウジング40の影響を受け、内部シェル60と外側導体52との位置関係が所望の位置関係からズレる可能性がある。しかし、内部シェル60がバネ片部62を有するので、内部シェル60と外側導体52との位置関係が所望の位置関係からズレる場合でも、内部シェル60と外側導体52との良好な電気的接続が確保される。
【0071】
また、本実施形態では、内部シェル60は、上下方向に垂直な平面に沿う天板部61と、天板部61の端部が第一方向内側に折り曲げられて形成された側板部64と、を有する。そして、側板部64に第二ハウジング40に圧入される圧入突起66が形成されることで、被保持部66が形成される。
このため、内部シェル60の形状が複雑化するのを抑えつつ、内部シェル60を第二ハウジング40に保持させることができる。
【0072】
〔上記実施形態の補足説明〕
なお、本開示は、上記実施形態に限定されない。以下、念のため補足する。
【0073】
上記実施形態では、外側導体52が、切削又は鋳造で作られる例を説明した。しかし、本開示の「外側導体」は、これに限定されず、例えば板材から作られてもよい。
【0074】
上記実施形態では、「ハウジング」としての第二ハウジング40が、合成樹脂等の絶縁体で形成される例を説明した。しかし、本開示の「ハウジング」は、これに限定されない。
【0075】
上記実施形態では、外側導体52の外側導体接触部52b1と、内側導体51の内側導体接触部51a1とが、同一平面上に形成される例を説明した。しかし、本開示の外側導体及び内側導体は、これに限定されない。
【0076】
上記実施形態では、内側導体51を一つ備える第二部品12(電子部品)を説明した。しかし、本開示の電子部品は、これに限定されず、内側導体を2つ以上を備えてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10 カメラモジュール
11 第一部品
12 第二部品(電子部品)
15 収容空間
20 第一ハウジング(他の部品)
40 第二ハウジング(ハウジング)
40a 配置孔
41 ケース本体
43 保持部
43a 圧入溝
50 同軸コネクタ部
51 内側導体
52 外側導体
60 内部シェル
61 天板部(第一板部)
61a 開口部
62 バネ片部
62a 接触部
62b 弾性支持部
64 側板部
66 圧入突起(被保持部)
70 内部コネクタ(第二接続対象物)