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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034123
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】足湯器、保温用部材
(51)【国際特許分類】
   A61H 35/00 20060101AFI20230306BHJP
   F28D 20/00 20060101ALI20230306BHJP
   A47K 3/022 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61H35/00 F
F28D20/00 A
A47K3/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140209
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】502406085
【氏名又は名称】株式会社冲セキ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134371
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 隆志
(72)【発明者】
【氏名】緑間 浩市
(72)【発明者】
【氏名】市川 貴裕
【テーマコード(参考)】
4C094
【Fターム(参考)】
4C094AA02
4C094BC24
4C094EE20
(57)【要約】
【課題】商用電源を必要とせず、例えばキャンプ場の焚火などにおける、自然環境の熱を有効に利用して湯を短時間で温めることができると共に、温めた湯を長時間にわたって保温することができる足湯器を提供する。
【解決手段】足湯器1は、湯を溜めるための浴槽2と、浴槽2に対して出し入れ可能な保温用部材4と、を備える。保温用部材4は、石41と金属42とを含む組み合わせを有し、浴槽2外で火の中に投入可能に構成される。足湯器1は、火によって加熱されて蓄熱した保温用部材4を、浴槽2内の湯を温めるための熱源としている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石と金属とを含む組み合わせを有し、火の中に投入可能に構成され、火によって加熱されて蓄熱するように構成された保温用部材。
【請求項2】
前記石と前記金属とが連結されている、請求項1に記載の保温用部材。
【請求項3】
前記石の中心部には、穴が形成されており、
前記金属の少なくとも一部は、前記穴に挿入されている、請求項2に記載の保温用部材。
【請求項4】
前記穴は、前記石の中心部を貫通しており、
前記金属の少なくとも一部は、前記穴を貫通するように挿入されている、請求項3に記載の保温用部材。
【請求項5】
前記金属は、
前記穴に挿入された挿入部と、
前記挿入部の一端側及び他端側に設けられ、前記穴から抜け落ちないように前記金属を前記石に固定するための第1及び第2の固定部と、を備えた、請求項4に記載の保温用部材。
【請求項6】
前記挿入部は、前記穴を画定する壁面に対して非接触である、請求項5に記載の保温用部材。
【請求項7】
前記挿入部は、ボルトで構成され、
前記第1の固定部及び前記第2の固定部は、前記ボルトに螺号するナットを有している、請求項5又は6に記載の保温用部材。
【請求項8】
前記第1の固定部は、前記石の端部の外側に位置するリング部又はフック部を有している、請求項5から7のいずれか一項に記載の保温用部材。
【請求項9】
前記穴は、座ぐりを有しており、
前記第2の固定部は、前記石の端部から突出しないように、前記座ぐりに位置している、請求項5から8のいずれかに一項に記載の保温用部材。
【請求項10】
前記石は、前記座ぐりがある側の端部に平坦な着座面を有しており、
当該保温用部材は、前記着座面を介して立てることができる、請求項9に記載の保温用部材。
【請求項11】
前記石は、円筒状である、請求項1から10のいずれか一項に記載の保温用部材。
【請求項12】
前記石は、墓石加工で生じた廃材を利用してなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の保温用部材。
【請求項13】
湯を溜めるための浴槽と、
前記浴槽に対して出し入れ可能な保温用部材と、を備え、
前記保温用部材は、石と金属とを含む組み合わせを有し、前記浴槽外で火の中に投入可能に構成され、
当該火によって加熱されて蓄熱した前記保温用部材を、前記浴槽内の湯を温めるための熱源とした、足湯器。
【請求項14】
前記浴槽内に配置された保護ケースをさらに備え、
前記保護ケースは、前記浴槽内の湯と前記保温用部材との接触を可能にした状態で前記保温用部材を囲むように構成されている、請求項13に記載の足湯器。
【請求項15】
前記保護ケースには、前記保温用部材を囲う壁の一部に、当該保護ケースの内部と外部とを連通する複数の連通孔が形成されている、請求項14に記載の足湯器。
【請求項16】
前記複数の連通孔は、前記壁の下部に形成されている、請求項15に記載の足湯器。
【請求項17】
前記保温用部材は、複数あり、
前記保護ケースは、前記複数の保温用部材を個々に囲うための複数の収容室を有する、請求項14から16のいずれか一項に記載の足湯器。
【請求項18】
前記保護ケースは、前記複数の収容室を仕切る着脱可能な1つ又は複数の仕切りを有する、請求項17に記載の足湯器。
【請求項19】
前記保護ケースは、前記浴槽に対して出し入れ可能に構成されている、請求項14から18のいずれか一項に記載の足湯器。
【請求項20】
前記保護ケースは、下端に台座を有する、請求項14から19のいずれか一項に記載の足湯器。
【請求項21】
前記浴槽は、折り畳み可能に構成されている、請求項13から20のいずれか一項に記載の足湯器。
【請求項22】
前記保温用部材は、請求項1から12のいずれか一項に記載の保温用部材からなる、請求項13から21のいずれか一項に記載の足湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足湯器及び保温用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フットバスとも称される足湯器は、浴槽内の湯を温めるために、電熱式の加熱器を備えている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-224863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、加熱器のために商用電源を必要としており、商用電源のない環境、例えばキャンプ場では、特許文献1の足湯器を使用することができなかった。
【0005】
アウトドアで足湯をする場合、原始的な方法が行われていた。例えば、お湯を沸かして、バケツに入れ、それを浴槽として利用するといった方法である。しかし、バケツ内に熱源がないため、冬場などでは、バケツ内のお湯が短時間で冷めてしまう問題があった。
【0006】
本発明の第1の目的は、商用電源を必要とせず、例えばキャンプ場の焚火などの自然環境の熱を有効に利用して湯を短時間で温めることができると共に、温めた湯を長時間にわたって保温することができる足湯器を提供することである。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、そのような足湯器における熱源として有効に利用することができる保温用部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る足湯器は、湯を溜めるための浴槽と、浴槽に対して出し入れ可能な保温用部材と、を備え、保温用部材は、石と金属とを含む組み合わせを有し、浴槽外で火の中に投入可能に構成されており、火によって加熱されて蓄熱した保温用部材を浴槽内の湯を温めるための熱源としたものである。
【0009】
本発明の一態様に係る保温用部材は、石と金属とを含む組み合わせを有し、火の中に投入可能に構成され、火によって加熱されて蓄熱するように構成されたものである。
【0010】
このような態様によれば、例えばキャンプ場の焚火などの火を利用して、保温用部材における石及び金属に蓄熱させることができる。そして、蓄熱した保温用部材を足湯器の浴槽に入れた場合には、浴槽内の湯を温めることができる。この場合、比較的熱伝導率の高い金属によってお湯を瞬時に温めることができると共に、比較的熱伝導率の低い石によってお湯を温め続けることができる。したがって、商用電源を必要とせず、湯を短時間で温め、かつ、温めた湯を長時間にわたって保温することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る足湯器をキャンプ場で利用している状況を示す外観図である。
図2】実施形態に係る足湯器を示す上方からの斜視図である。
図3】実施形態に係る足湯器の保護ケースを示す斜視図である。
図4】別の実施態様に係る保護ケースを示す斜視図である。
図5】また別の実施態様に係る保護ケースを示す斜視図である。
図6】実施形態に係る保温用部材を示す正面からの斜視図である。
図7図6のVII-VII線で切断した断面図である。
図8】実施形態に係る保温用部材を火の中に投入した状況を示す外観図である。
図9】実施形態に係る保温用部材を火の中に投入する際に使用する加熱用トレーを示す図であり、(a)は3つの加熱用トレーの斜視図を示し、(b)は3つの加熱用トレーを使用して保温用部材を加熱している状況を示す模式的側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る足湯器及び保温用部材について説明する。
【0013】
図1及び2に示すように、足湯器1は、浴槽2、保護ケース3及び保温用部材4を備えており、浴槽2内に保護ケース3及び保温用部材4が配置されている。ここでは、3つの保温用部材4が一つの保護ケース3に収容されている。保護ケース3は、浴槽2に対して出し入れ可能に構成されている。また、保温用部材4は、浴槽2及び保護ケース3に対して出し入れ可能に構成されている。
【0014】
足湯器1は、持ち運び可能であり、例えばキャンプ場などの自然環境10で使用可能になっている。また、足湯器1は、商用電源を必要としないものであり、例えばキャンプ場などにおける焚火12を利用して、保温用部材4を加温し、蓄熱した保温用部材4を介して浴槽2内の湯(水)を温めることができるようになっている。
【0015】
浴槽2は、湯を溜めるためのものである。浴槽2は、例えば上方を開放した箱型に形成されており、底面21と、底面21から垂直に延びる前後左右の4つの内面23と、を有している。浴槽2は、人が両足14を浴槽2内に入れることができるサイズ(大きさ、深さ)で形成されている。例えば、浴槽2内の中央に保護ケース3及び保温用部材4を配置した際に、これらの両側に両足14を入れられるようになっている。浴槽2は、合成樹脂、金属、石材など、各種の素材で形成することができる。ただし、携帯性向上の観点からは、浴槽2は折り畳み可能に構成されるとよい。そのような折り畳み可能な浴槽2の一例は、塩ビバケツであるが、これに限られない。
【0016】
図2及び3に示すように、保護ケース3は、前後の壁31、31、左右の壁32、32及び底壁33を有しており、これらの壁31、32、33が組み付けられることで、全体として、上方を開放した横長の箱型に形成されている。また、保護ケース3は、1つ又は複数(ここでは2つ)の仕切り34、34を有しており、保護ケース3内が複数(ここでは3つ)の収容室35、35、35に仕切られている。複数の収容室35は、複数の保温用部材4を個々に囲うための空間であり、1つの収容室35に1つの保温用部材4が収容可能になっている。保護ケース3を構成する各パーツ(31~34)は、例えば金属で形成することができ、例えばステレンスを用いることができる。他の実施態様では、石材を用いてもよい。
【0017】
仕切り34は、壁31、31に対して着脱可能に構成されている。例えば、仕切り34は、鉛直方向において、壁31、31に着脱させることができる。一例を挙げると、壁31は、上端から鉛直下方の途中まで切欠き31aが形成され、仕切り34は、この切欠き31aに上側から係合されることで壁31に取り外し可能に装着される。仕切り34の高さは、壁31、32の高さよりも低く、仕切り34の下端は、底壁33から十分に離れている。これにより、隣り合う収容室35、35は、仕切り34の下方では互いに連通している。ただし、他の実施態様では、仕切り34の高さは、壁31、32の高さと同程度であってもよく、仕切り34の下端が底壁33に達していてもよい
【0018】
また、保護ケース3は、下端に台座36、36を有している。台座36は、浴槽2の底面21に保護ケース3をより安定して据え置く又は立たせるのに役立つ追加のパーツである。台座36は、保護ケース3の他の基本パーツに対して着脱可能に構成されている。例えば、台座36は、平板状に形成され、水平方向において壁31、31に対して着脱可能に構成される。一例を挙げると、壁31の下端には、水平方向に延びるスリット31bが形成され、台座36は、このスリット31bに水平方向(前後方向)から差し込まれることで壁31に取り外し可能に装着される。台座36は、前後の壁31、31の間の距離よりも長く形成され、底壁33の上側又は下側を通って、前後の壁31、31をそれぞれ外側に越えて延在している。
【0019】
他の実施態様では、図4に示すように、台座36a、36bを保護ケース3の前後に二つ設けてもよい。例えば、一つの台座36aを前側の壁31の下端に全長にわたって外向きに設け、もう一つの台座36bを後側の壁31の下端に全長にわたって外向きに設けてもよい。台座の設置の方法は任意に設計可能である。台座の素材としては、保護ケース3の基本パーツと同様にステンレスや石材を用いることができる。
【0020】
保護ケース3は、浴槽2内の湯と保温用部材4との接触を可能にした状態で、保温用部材4を囲むように構成されている。上記の例では、保護ケース3は、3つの収容室35のそれぞれに1つの保温用部材4を収容しており、各保温用部材4は、収容室35を画定する壁(具体的には、壁31、32、仕切り34)によって周囲を高さ方向にわたって囲まれている。保護ケース3の内側には、浴槽2内の湯が流入可能になっており、このために、浴槽2内の湯と保温用部材4との接触が可能になっている。このような湯の流入を確保又は促進するために、保護ケース3の内部と外部とを連通する連通孔37が保護ケース3に形成されている。また、保護ケース3内においては、隣り合う収容室35、35同士が仕切り34の下方を介して互いに連通されている。
【0021】
連通孔37は、保温用部材4を囲う壁の一部に複数形成されている。例えば、連通孔37は、保護ケース3の左右の壁32、32にそれぞれ複数形成されている。連通孔37が形成された箇所は、壁32、32の下部となっている。したがって、保護ケース3の両端にある収容室35、35には、壁32、32の連通孔37を介して、浴槽2内の湯が積極的に流出入可能となっている。また、保護ケース3の中央にある収容室35には、仕切り34、34の下方を介して、両端の収容室35、35からの湯が積極的に流出入可能となっている。
【0022】
他の実施態様では、図4に示すように、連通孔37aを保護ケース3の前後の壁31、31にそれぞれ複数形成してもよい。また、図5に示すように、連通孔37bを保護ケース3の前後左右の壁31、31、32、32にそれぞれ複数形成してもよいし、各壁の下部のみならず上部にも連通孔37bを形成してもよい。また、仕切り34に連通孔37bを形成してもよい。保護ケース3において連通孔が形成される位置、大きさ、範囲、個数は、適宜設計可能である。また、連通孔はどのような形状であってもよく、図4及び5に示すような丸穴のみならず、例えば、ロゴなどであってもよい。
【0023】
図6及び7に示すように、保温用部材4は、石41と金属42とを含む組み合わせを有している。石41と金属42とは、連結されている。材料の特性上、保温用部材4において、石41は、金属42よりも熱伝導率が低いものとなっている。
【0024】
石41は、円筒状であり、その中心部に穴44が形成されている。穴44は、石41の中心部を貫通している。また、穴44は、座ぐり45を有している。座ぐり45は、穴44の一端側、ここでは石41の下端部に形成されている。石41は、下端部(座ぐり45がある側の端部)に平坦な着座面46を有している。着座面46は、環状に形成されている。保温用部材4は、石41の着座面46を介して立てることができるようになっている。足湯器1においては、保温用部材4は、着座面46を介して、保護ケース3の底壁33に載置される。
【0025】
金属42は、石41の穴44に関連付けられて、石41に固定されている。金属42の少なくとも一部は、穴44を貫通するように挿入されている。詳細には、金属42は、穴44に挿入された挿入部50を有している。挿入部50は、穴44を画定する壁面44aに対して非接触となっている。すなわち、挿入部50は、石41の中心内部において、石41に対してわずかな隙間(例えば5mm程度)を存している。仮に両者が隙間なくぴったり収まる寸法であると、石41及び金属42の熱膨張率の違いのために、挿入部50の熱膨張によって石41の割れが生じ得るが、上記のとおり、両者を非接触とすることで、そのような石割れを防止することができる。加えて、両者の隙間に水(湯)が入り込み得るため、足湯器1において金属42による湯への熱放出を促進することができる。挿入部50は、軸が鉛直方向に沿ったボルトで形成されている。このため、挿入部50の外周面には、おねじが形成されている。
【0026】
また、金属42は、挿入部50の一端側及び他端側に、それぞれ、第1の固定部51及び第2の固定部52を有している。第1の固定部51及び第2の固定部52は、金属42が石41の穴44から抜け落ちないように、金属42を石41に固定するための部位として機能する。
【0027】
第1の固定部51は、例えばアイナットで形成されている。具体的には、第1の固定部51は、リング部61と、リング部61の下部につながるナット部62と、を有している。ナット部62には、挿入部50のおねじに螺号するめねじが形成されている。リング部61は、石41の上端部の外側に位置する。リング部61にフックのような器具をひっかけることができ、それにより、保温用部材4を移動させるのに便利となっている。なお、リング部61に代えて、例えばフック部を採用して、保温用部材4を把持できるようにしてもよい。
【0028】
第2の固定部52は、ワッシャ71とナット72とを有している。ワッシャ71は、挿入部50に装着される。ナット72には、挿入部50のおねじに螺号するめねじが形成されている。第2の固定部52は、石41の下端部から突出しないように、座ぐり45に位置している。すなわち、ナット72が座ぐり45において挿入部50に螺号され、それにより座ぐり45の底面に締め付けられる。ワッシャ71は、ナット72と座ぐり45の底面との間に介在し、ナット72がゆるむことを防止している。挿入部50に対してナット72及び/又はナット部62を締め付けることで、第1の固定部51及び第2の固定部52が石41の上下端に強く接触する。これにより、金属42が石41に固定される。
【0029】
図8に示すように、保温用部材4は、浴槽2外で火の中に投入可能に構成され、火によって加熱されて蓄熱するように構成されている。例えば、保温用部材4は、キャンプ場などにおける焚火12の中にそのまま入れられ、加熱される。保温用部材4は、焚火12のような比較的高温の火(例えば700℃~1200℃程度)で所定時間加熱されても、熱割れしない耐久性を有している。保温用部材4においては、石41及び金属42の両方とも、火による加熱によって蓄熱する。この蓄熱した保温用部材4が、足湯器1における浴槽2内の湯を温めるための熱源として利用される。
【0030】
図9に示すように、保温用部材4を加熱用トレー90に載せ、これを焚火12のような火によって直接的にまたは間接的に加熱することも可能である。加熱用トレー90は、例えば、複数の穴をあけた半円弧の板91を3つつなげ、各板91の端部を垂直板92で支持したステンレス製の部材として構成することができる。この加熱用トレー90では、1つの板91に1つの保温用部材4を載せることができ、計3つの保温用部材4を同時に加熱に供することができる。
【0031】
保温用部材4における石41は、大理石、御影石(花崗岩)など、各種の石材を用いることができる。石41としては、墓石加工で生じる端材(廃材)を利用することができる。例えば、墓石のための花立部材をホールソーでくり抜いた芯を、石41の素材として利用することができる。このような、これまでは廃棄処分されていた石材加工時に発生する端材を活用することで、石材の新しい活用を拡げるのみならず、資源の有効利用につながり、SDGsへの貢献に寄与することができる。
【0032】
保温用部材4における金属42は、ステンレス、アルミなど、各種の金属材料を用いることができる。ただし、足湯器1においては、湯に直接触れるため、錆にくい金属材料やそのための処理(例えば防錆剤のコーティングなど)をしたものを金属42として用いるとよい。好ましくは、ステンレスを用いるとよい。
【0033】
以上説明した実施形態の作用効果を説明する。
【0034】
実施形態に係る保温用部材4は、石41と金属42とを含む組み合わせを有し、火の中に投入可能に構成され、火によって加熱されて蓄熱するように構成されている。かかる様態によれば、商用電源を必要とせず、例えばキャンプ場の焚火12などの火を利用して、保温用部材4における石41及び金属42に蓄熱させることができる。
【0035】
そして、この蓄熱した保温用部材4を、各種の装置、物品、システム、施設の熱源として利用することができる。例えば、足湯器1の熱源として使用する場合、浴槽2内の湯を温めることができる。この場合、比較的熱伝導率の高い金属42によってお湯を瞬時に温めることができると共に、比較的熱伝導率の低い石41によってお湯を温め続けることができる。したがって、湯を短時間で温め、かつ、温めた湯を長時間にわたって保温することができる。
【0036】
また、実施形態に係る保温用部材4では、石41と金属42とが連結されている。このため、石41と金属42とを一緒に移動させ易く、また、保温用部材4全体としての管理がし易くなる。加えて、保温用部材4を加熱する際に、比較的熱伝導率の高い金属42を通じて比較的熱伝導率の低い石41を加熱することができ、石41の蓄熱を効率良く行うことができる。
【0037】
とりわけ、実施形態に係る保温用部材4では、石41の中心部の穴44に金属42の少なくとも一部(挿入部50)が挿入されている。このため、金属42の挿入部50を通じて、金属42から石41の中心部へと効率良く熱を伝えることができる。すなわち、石41をその外部から火などによって加熱することができるのみならず、石41の内部からも熱を伝え、加熱させることができる。よって、石41の蓄熱をより一層効率良く行うことができる。
【0038】
また、石41の穴44が貫通していて、金属42が穴44を貫通するように挿入されている。このため、石41を軸方向全体にわたって内部から伝熱させることができ、石41全体としての蓄熱を促進することができる。
【0039】
さらに、金属42は、挿入部50の一端側及び他端側に、穴44から抜け落ちないように金属42を石41に固定するための第1及び第2の固定部51、52を設けている。そして、挿入部50はボルトで構成され、第1及び第2の固定部51、52はナット(ナット部62、ナット72)を有している。このため、簡単な締結方法により、金属42を石41に固定することができる。
【0040】
また、金属42の第1の固定部51は、リング部61を有しており、リング部61を利用して保温用部材4を把持し、移動させることができる。加えて、このような金属42として、アイボルト・アイナットと称される目通しの金具を使用することができ、市販品を有効に利用して石41と組み合わせて保温用部材4を製造することができる。
【0041】
さらに、金属42の第2の固定部52は、石41の下端部から突出しないように、座ぐり45に位置している。そして、石41は、座ぐり45がある側の端部に平坦な着座面46を有している。これにより、保温用部材4は、石41の着座面46を介して、安定した垂直姿勢で立てることができる。
【0042】
また、実施形態に係る足湯器1は、湯を溜めるための浴槽2に対して、上記した保温用部材4を出し入れ可能に構成しており、浴槽2外で火によって加熱されて蓄熱した保温用部材4を浴槽2内の湯を温めるための熱源としている。かかる足湯器1によれば、キャンプ場の焚火などの熱を利用して、屋外で足湯を楽しむことができる。しかも、上記のとおり、浴槽2内の湯を短時間で温め、かつ、温めた湯を長時間にわたって保温することができる。とりわけ、熱伝導率の高い金属42が瞬時にお湯を温めることができると共に、金属42が熱を放出した後も、熱伝導率の低い石41がお湯を温め続けることができ、温かさを持続することができる。
【0043】
また、足湯器1は、浴槽2内に保護ケース3を配置し、保護ケース3は、浴槽2内の湯と保温用部材4との接触を可能にした状態で保温用部材4を囲むように構成されている。このため、足湯器1の利用者の足が熱源(保温用部材4)に直接触れないようにすることができる。
【0044】
さらに、足湯器1では、複数の保温用部材4を用いることができ、保護ケース3は複数の保温用部材4を個々に囲うための複数の収容室35を有している。これにより、例えば複数の保温用部材4をタイミングをずらして浴槽2内に入れることで、浴槽2内の湯の加熱を調整(例えば追い炊き)することができ、適温の湯を長時間保つことも可能となる。
【0045】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、石41の形状は円筒状に限らず、角筒状など他の形状とすることも可能である。金属42は、アイボルト・アイナットでなくてもよい。
【0046】
なお、火以外の別の熱源を利用して、保温用部材4を加熱し、蓄熱させることは可能であることは言うまでもない。例えば、保温用部材4をオーブンや、トースターなどで加熱することは可能である。ただし、本実施形態の保温用部材4は、上記のとおり、商用電源を必要とせず、例えばキャンプ場の焚火12などにおける、自然環境の熱を有効に利用して加熱され、蓄熱することができるものである。
【0047】
また、本発明の技術的思想を利用した変形例として、保温用部材4における石41と金属42とを含む組み合わせに、別の素材を追加することもできる。あるいは、この組み合わせではなく、別の異種素材の組み合わせを採用することもできる。例えば、金属42に代えて、可燃性の素材、例えば、木材、布、紐などの素材を用いることもできる。ただし、この場合には、保温用部材を火の中に投入することはできず、保温用部材の加熱は、火以外の熱源、例えば、オーブンや電子レンジを利用することになる。
【符号の説明】
【0048】
1…足湯器、2…浴槽、3…保護ケース、4…保温用部材、10…自然環境、12…焚火、14…両足、21…底面、23…内面、31、32…壁、31a…切欠き、31b…スリット、33…底壁、34…仕切り、35…収容室、36、36a、36b…台座、37、37a、37b…連通孔、41…石、42…金属、44…穴、44a…壁面、45…座ぐり、46…着座面、50…挿入部、51…第1の固定部、52…第2の固定部、61…リング部、62…ナット部、71…ワッシャ、72…ナット、90…加熱用トレー、91…板、92…垂直板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9