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特開2023-34132配管切削方法、配管切削装置、及び、該配管切削装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034132
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】配管切削方法、配管切削装置、及び、該配管切削装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/18 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
F16L55/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140224
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000151025
【氏名又は名称】株式会社タブチ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】桶川 智也
(72)【発明者】
【氏名】清水 彰人
(57)【要約】      (修正有)
【課題】配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管に対し、配管を不都合なく処理することができる配管切削方法、配管切削装置、及び、該配管切削装置の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の配管切削方法は、配管10の径外方を覆うように保護材9が設けられる既設配管8における配管の肉厚切削する切削部13と、配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、を備えた配管切削装置を用いた配管切削方法であって、切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に配管の肉厚を除去する送り工程と、切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を含み、送り工程及び戻し工程のうち、少なくとも送り工程における切削部が配管を切削している間を除く間に気体流入手段で配管の内部に気体を流入させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管における前記配管を、管軸方向の中心周りに回動し、前記配管に対して管軸方向で当接して前記配管の肉厚を切削する切削部と、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達するように連結可能に構成される連結部と、前記配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、を備えた配管切削装置を用いた配管切削方法であって、
前記切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、前記切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に前記配管の肉厚を除去する送り工程と、該送り工程で前記配管の一端側から他端側に移動した前記切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を含み、
前記送り工程で前記切削部を一端側から他端側に移動させる距離である送り距離は、前記戻し工程で前記切削部を他端側から一端側に移動させる距離である戻し距離よりも長く、
前記送り工程で、前記切削部が前記配管を切削する距離である切削距離は、前記戻し距離よりも短く設定され、
前記送り工程及び前記戻し工程のうち、少なくとも前記送り工程における切削部が前記配管を切削している間を除く間に前記気体流入手段で前記配管の内部に気体を流入させる配管切削方法。
【請求項2】
前記切削部は、前記配管を切削する刃部と、前記刃部の先端側に突設される挿入ガイド部と、を備え、
前記挿入ガイド部は、前記配管の内部に管軸方向に沿って挿入され、前記刃部の管軸方向への移動のガイドとなるよう構成され、
前記戻し工程における戻し距離は、前記挿入ガイド部の突出長さよりも短く設定される請求項1に記載の配管切削方法。
【請求項3】
配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管における前記配管を、管軸方向の中心周りに回動し、前記配管に対して管軸方向で当接して前記配管の肉厚を切削する切削部と、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達するように連結可能に構成される連結部と、前記切削部を前記配管の管軸方向に沿って管軸方向の一方側及び他方側に移動させる移動手段と、前記配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、装置全体を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、前記切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に前記配管の肉厚を除去する送り工程と、該送り工程で前記配管の一端側から他端側に移動した前記切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を実行し、
前記送り工程で前記切削部を一端側から他端側に移動させる距離である送り距離は、前記戻し工程で前記切削部を他端側から一端側に移動させる距離である戻し距離よりも長く、
前記送り工程で、前記切削部が前記配管を切削する距離である切削距離は、前記戻し距離よりも短く設定し、
前記送り工程及び前記戻し工程のうち、少なくとも前記送り工程における切削部が前記配管を切削している間を除く間に前記気体流入手段で前記配管の内部に気体を流入させるように制御する配管切削装置。
【請求項4】
配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管における前記配管を、管軸方向の中心周りに回動し、前記配管に対して管軸方向で当接して前記配管の肉厚を切削する切削部と、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達するように連結可能に構成される連結部と、前記切削部を前記配管の管軸方向に沿って管軸方向の一方側及び他方側に移動させる移動手段と、前記配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、を備える配管切削装置の制御方法であって、
前記切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、前記切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に前記配管の肉厚を除去する送り工程と、該送り工程で前記配管の一端側から他端側に移動した前記切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を実行し、
前記送り工程で前記切削部を一端側から他端側に移動させる距離である送り距離は、前記戻し工程で前記切削部を他端側から一端側に移動させる距離である戻し距離よりも長く、
前記送り工程で、前記切削部が前記配管を切削する距離である切削距離は、前記戻し距離よりも短く設定し、
前記送り工程及び前記戻し工程のうち、少なくとも前記送り工程における切削部が前記配管を切削している間を除く間に前記気体流入手段で前記配管の内部に気体を流入させるように制御する配管切削装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管を切削する配管切削方法、配管切削装置、及び、該配管切削装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、断面円形の既設配管(埋設樹脂管)を拡径する、切断刃を備えた拡径装置が開示されている。拡径装置は、その外周を既設配管の内径を広げる拡径面とされ、拡径装置の前側に放射状に前記切断刃を複数個配置し、拡径装置の後方には、新配管(交換用樹脂管)の先端が固定された構成である。
【0003】
特許文献1に記載の構成では、切断刃で既設配管の内面に管軸方向に沿う拡径用切込みを形成し、拡径装置の拡径面により既設配管の内径を拡径し、拡径装置に後続する新配管を、拡径用切込みを広げて既設配管を導くことで、既設配管に新配管を挿入する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-184996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋内に設けられる給水配管等には、内部を流れる流体の温度を保つことや、給水配管等を保護するために、配管の径外方を覆うように保護材が設けられることがある。しかしながら、特許文献1に記載の方法で保護材に覆われた既設配管を拡径すると、配管を管軸方向で切断するため保護材を傷つける不都合がある。
【0006】
そこで、本発明は、配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管に対し、配管を不都合なく処理することができる配管切削方法、配管切削装置、及び、該配管切削装置の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の配管切削方法は、配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管における前記配管を、管軸方向の中心周りに回動し、前記配管に対して管軸方向で当接して前記配管の肉厚を切削する切削部と、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達するように連結可能に構成される連結部と、前記配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、を備えた配管切削装置を用いた配管切削方法であって、前記切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、前記切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に前記配管の肉厚を除去する送り工程と、該送り工程で前記配管の一端側から他端側に移動した前記切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を含み、前記送り工程で前記切削部を一端側から他端側に移動させる距離である送り距離は、前記戻し工程で前記切削部を他端側から一端側に移動させる距離である戻し距離よりも長く、前記送り工程で、前記切削部が前記配管を切削する距離である切削距離は、前記戻し距離よりも短く設定され、前記送り工程及び前記戻し工程のうち、少なくとも前記送り工程における切削部が前記配管を切削している間を除く間に前記気体流入手段で前記配管の内部に気体を流入させるよう構成される。
【0008】
かかる構成によれば、切削部は、配管の肉厚を管軸方向から当接して切削するので、保護材を傷つけることを抑制でき、かつ、切削部が配管を切削していない間に気体流入手段で配管の内部に気体を流入するので、切削によって発生した切粉を気体によって確実に飛ばすことができる。よって、保護材を傷つけることを抑制しつつ切粉の堆積によって切削が阻害されることを抑制できるため、配管を不都合なく処理することができる。
【0009】
また、前記切削部は、前記配管を切削する刃部と、前記刃部の先端側に突設される挿入ガイド部と、を備え、前記挿入ガイド部は、前記配管の内部に管軸方向に沿って挿入され、前記刃部の管軸方向への移動のガイドとなるよう構成され、前記戻し工程における戻し距離は、前記挿入ガイド部の突出長さよりも短く設定することもできる。
【0010】
かかる構成によれば、戻し工程の際に挿入ガイド部が配管の管軸方向で切削されていない部分に挿入された状態が維持されるので、送り工程及び戻し工程を繰り返し実行しても切削部が配管に対して径方向にずれることを抑制できる。
【0011】
また、本発明の配管切削装置は、配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管における前記配管を、管軸方向の中心周りに回動し、前記配管に対して管軸方向で当接して前記配管の肉厚を切削する切削部と、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達するように連結可能に構成される連結部と、前記切削部を前記配管の管軸方向に沿って管軸方向の一方側及び他方側に移動させる移動手段と、前記配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、装置全体を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、前記切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に前記配管の肉厚を除去する送り工程と、該送り工程で前記配管の一端側から他端側に移動した前記切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を実行し、前記送り工程で前記切削部を一端側から他端側に移動させる距離である送り距離は、前記戻し工程で前記切削部を他端側から一端側に移動させる距離である戻し距離よりも長く、前記送り工程で、前記切削部が前記配管を切削する距離である切削距離は、前記戻し距離よりも短く設定し、前記送り工程及び前記戻し工程のうち、少なくとも前記送り工程における切削部が前記配管を切削している間を除く間に前記気体流入手段で前記配管の内部に気体を流入させるように制御するよう構成される。
【0012】
かかる構成によれば、切削部は、配管の肉厚を管軸方向から当接して切削するので、保護材を傷つけることを抑制でき、かつ、制御部は、切削部が配管を切削していない間に気体流入手段で配管の内部に気体を流入するよう制御するので、切削によって発生した切粉を気体によって確実に飛ばすことができる。よって、保護材を傷つけることを抑制しつつ切粉の堆積によって切削が阻害されることを抑制できるため、配管を不都合なく処理することができる。
【0013】
また、本発明の配管切削装置の制御方法は、配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管における前記配管を、管軸方向の中心周りに回動し、前記配管に対して管軸方向で当接して前記配管の肉厚を切削する切削部と、前記切削部に回動力を与える駆動部と、前記切削部及び前記駆動部を回動力が伝達するように連結可能に構成される連結部と、前記切削部を前記配管の管軸方向に沿って管軸方向の一方側及び他方側に移動させる移動手段と、前記配管の内部に気体を流入させる気体流入手段と、を備える配管切削装置の制御方法であって、前記切削部を前記配管の管軸方向の一端側から他端側に移動させ、前記切削部が一端側から他端側に移動する一部の間に前記配管の肉厚を除去する送り工程と、該送り工程で前記配管の一端側から他端側に移動した前記切削部を他端側から一端側に移動させる戻し工程と、を実行し、前記送り工程で前記切削部を一端側から他端側に移動させる距離である送り距離は、前記戻し工程で前記切削部を他端側から一端側に移動させる距離である戻し距離よりも長く、前記送り工程で、前記切削部が前記配管を切削する距離である切削距離は、前記戻し距離よりも短く設定し、前記送り工程及び前記戻し工程のうち、少なくとも前記送り工程における切削部が前記配管を切削している間を除く間に前記気体流入手段で前記配管の内部に気体を流入させるように制御するよう構成される。
【0014】
かかる構成によれば、配管切削装置は、切削部が配管の肉厚を管軸方向から当接して切削するので、保護材を傷つけることを抑制でき、かつ、切削部が配管を切削していない間に気体流入手段で配管の内部に気体を流入するよう制御されるので、切削によって発生した切粉を気体によって確実に飛ばすことができる。よって、保護材を傷つけることを抑制しつつ切粉の堆積によって切削が阻害されることを抑制できるため、配管を不都合なく処理することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、配管の径外方を覆うように保護材が設けられる既設配管に対し、配管を不都合なく処理することができる配管切削方法、配管切削装置、及び、該配管切削装置の制御方法を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る配管切削方法を備えた配管更新方法の対象である配管の、建築物への配置例を示す概略図である。
図2】前記配管切削方法に用いられる配管切削装置の要部を示す図である。
図3】(a)は刃部の正面図、(b)は進行方向からの側面図である。
図4】前記配管切削装置の概略を示す図である。
図5】前記配管切削方法の入口加工工程を示す図である。(a)は準備段階、(b)は入口を切削する段階、(c)は切削部を入口側に移動させる段階を示す。
図6】前記配管切削方法の切削サイクルを示す図である。(a)は開始時を、(b)は送り工程の完了時を、(c)は戻し工程の完了時を示す。
図7】前記切削サイクルにおける気体流入手段が気体を流入させるタイミングを示す図である。
図8】前記配管更新方法の挿入工程を示す図である。(a)は挿入の準備段階を、(b)は挿入工程の完了段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る配管切削方法を含む配管更新方法、該配管更新方法に用いられる配管切削装置12、及び、該配管切削装置12の制御方法について図1乃至図8を参照して説明する。説明の便宜上入口4及び出口5は、既設配管8の管軸方向で、切削部13を挿入する側を入口4として、反対側を出口5として説明する。はじめに、一般的に建物内で用いられる給湯配管1又は給水配管2の概略について説明する。
【0018】
図1に示すように、一般的に、屋内における給湯配管1又は給水配管2は、床面3によって管軸方向の少なくとも途中部分が覆われている。管軸方向は、給湯配管1又は給水配管2の軸中心に沿う方向である。また、管軸方向の入口4から出口5が床面3から露出され、給湯配管1の後方端部である入口4は給湯器に例えばヘッダー部材6を介して接続され、給湯配管1の前方端部である出口5は、例えば浴室の水栓7に接続されている。なお、入口4及び出口5は、上記のように接続される場合に限らず、例えば、入口4が、継手部材を介して給湯器に取り付けられていてもよい。
【0019】
給湯配管1と給水配管2は同様の構成であるので、給湯配管1を給水配管2に兼用して説明すると、給湯配管1は管状とされた、例えば発泡樹脂製の断熱材からなる保護材9にポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、アルミ三層管等から構成されたフレキシブルな内部配管(配管10)を挿通して形成される。即ち、給湯配管1(給水配管2)は、可撓性を有し、湾曲させることができる配管10である。また、給湯配管1は、床面3の下側に配置されたスラブ等に、管軸方向において所定間隔で、強固に固定されている(図示しない)。
【0020】
本実施形態では、既設の給湯配管1又は給水配管2(既設配管8)を更新する配管更新方法に関連し、配管10の肉厚を切削したうえで、保護材9の内部に新配管11を管軸方向に沿って設置する。ここでは、配管10と、配管10の径外方を覆うように設けられる保護材9と、を有する既設配管8としての給湯配管1に対して新配管11を設置する(図8参照)。
【0021】
管軸方向とは、給湯配管1の軸方向に沿った方向であり、新配管11もまた、給湯配管1の管軸方向に沿って挿入される。新配管11は、新たな給湯配管1を構成する。新配管11は、配管10と同じく、ポリエチレン管、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、アルミ三層管等により形成されており、軸方向で湾曲できるフレキシブルな配管である。また、本実施形態で新配管11は、配管10の外径よりも外径が小さい配管である。さらに、新配管11は、配管10の内径よりも外径が大きい配管である。
【0022】
本実施形態の配管更新方法の説明に先立って、配管更新方法に用いられる配管切削装置12について説明する。
【0023】
図2に示すように、配管切削装置12は、駆動部14の先端に着脱自在な把手16と、把手16の先端側に配置された切削部13と、把手16及び切削部13を連結する連結部15と、を備える。また、図4に示すように、配管切削装置12は、切削部13及び連結部15を入口4側から押し込むよう構成される送り部17と、切削部13を出口5側から引っ張るよう構成される牽引部18と、配管10内部に気体を流入させる気体流入手段23と、を備える。さらに、配管切削装置12は、装置全体を制御する制御部(図示しない)を備える。
【0024】
図2に示すように、駆動部14については、一般的な回動式電動工具が用いられ、その本体は、その先端に把手16を連結させて、切削部13を管軸方向が回動中心となるように回動させる。本実施形態で駆動部14は、既設配管8の外部に配置される。なお、駆動部14は、既設配管8の内部に配置されていてもよい。
【0025】
配管切削装置12における把手16は、駆動部14の先端形状に対し着脱可能に連結できるように形成されている。把手16は、管軸方向に沿うよう駆動部14の把持に耐えうる管軸方向の長さに形成されている。また、把手16は、駆動部14の回動力を連結部15に伝達可能に構成されている。
【0026】
連結部15は、把手16と切削部13とを連結する部位である。連結部15は、後端部が把手16の先端部と接続され、先端部が切削部13の後端部と接続されることで、把手16と先端部とを連結する。また、連結部15は、把手16を介して伝達される駆動部14の回動力を切削部13に伝達可能である。さらに、連結部15は、先端部に、切削部13を着脱可能な取付部151を備える。本実施形態の連結部15は、軸線方向に延びる棒状のシャフト19を複数連結して構成されている。具体的に、シャフト19は、軸線方向の両端部に継足部191を備える。継足部191は、他の継足部191と連結可能に構成されている。即ち、一のシャフト19の継足部191と他のシャフト19の継足部191とを連結することで、シャフト19同士を連結し、連結部15の軸線方向長さを伸ばすことができる。本実施形態のシャフト19には、先端部に雄ねじが設けられ、後端部に雌ねじが形成されている(図示しない)。即ち、本実施形態のシャフト19は、先端の雄ねじと後端の雌ねじを螺合することで一のシャフト19と他のシャフト19とを連結することができるように構成されている。また、シャフト19は、軸線方向において可撓性を有する。即ち、連結部15は、配管10に挿入された際に、配管10の管軸方向に沿って曲がることができるよう構成されている。
【0027】
切削部13は、配管10に対して管軸方向で当接して配管10の肉厚を切削する部位である。具体的に、切削部13は、配管10を切削する刃部130と、刃部130の先端側に設けられる挿入ガイド部22と、を備える。また、刃部130及び挿入ガイド部22は連結部15の先端に取り付け可能である。本実施形態で刃部130と挿入ガイド部22は別体として構成される。
【0028】
図3に示すように、刃部130は、配管10の管軸中心に(回転方向Rに)回動して、配管10の管端面(切削端面10a)に当たって配管10の肉厚全部を切削する部位(切削用工具)である。また、刃部130は、連結部15に伝達された回動力を受けて、回転方向Rに回動可能である。本実施形態において、刃部130は、基端部135と、複数の切削刃部136とを備える。
【0029】
基端部135は、円板状に形成されており、基端部135の中心には、連結部15の取付部151に連結可能な装着凹部135aを備える。装着凹部135aは、連結部15の先端部に設けられる取付部151に螺合可能な雌ねじ135bを有する。また、基端部135は、取付部151との連結を解除可能に構成されている。装着凹部135aと取付部151との螺合を解除することで、基端部135と連結部15との連結が解除される。
【0030】
切削刃部136について述べる。切削刃部136は、基端部135の外周から進行方向に配置されて基端部135の周方向に配置され、切削刃部136は、基端部135の周方向に所定角度だけ離間して複数配置されている。例えば、切削刃部136は、周方向に90°だけ離間して配置されている。この場合、基端部135の径方向に対向する切削刃部136の外周における外径寸法は、配管10の外径寸法よりも大きく、且つ保護材9の内径寸法よりも小さく設定されている。
【0031】
各切削刃部136は、先行側面(すくい面)137Aと、後行側面137Bと、外周面137Cと、内周面137Dと、先端面(逃げ面)137Eと、後端面137Fとを備える。先行側面137Aは、中心軸線方向と径方向とに沿う面と、中心軸線方向の先端縁に配管10の切削端面10aに当接して配管10を切削する刃先139とを有する。後行側面137Bは、先行側面137Aに平行に配置されている。すなわち、後行側面137Bは、回転方向Rの後続の切削刃部136における先行側面137Aに垂直な方向に沿う面である。また、後行側面137Bは、後続の先行側面137Aに対して回転方向Rに90°以上の角度を持った面である。そして、切削刃部136は、周方向に90°だけ離間して配置されているので、切削刃部136の間に隙間138が生じている。外周面137Cは、径方向外周を形成して回転の周方向に沿い、先行側面137Aと後行側面137Bとを外周で連続する面である。この外周面137Cは円筒面である。内周面137Dは、外周面137Cの径方向内方において、外周面137Cと平行に形成されている。先端面137Eは、外周面137Cにおける先端領域から、配管10の中心に向かって後方に傾斜した面である。換言ずれば、径方向の外端縁が、内端縁より管軸方向に先端側に位置するよう傾斜して形成される。
また、先行側面137Aと、先端面137Eとの連続面が刃先139とされており、先端面137Eは、刃先139が管軸方向の先端となるよう、回転方向Rの後方側ほど後端側に傾斜して形成されている。後端面137Fは、先行側面137A及び後行側面137Bの後端に形成され、円板状に形成された基端部135の後端に連続する面である。
【0032】
また、本実施形態では、外周面137Cと先端面137Eとの連続部、すなわち、外周面137Cにおける管軸方向の先端縁部、及び先端面137Eの径方向外縁部である連続部には、先端稜線部141が形成されている。この先端稜線部141により、刃先側部分が面取りされている。この先端稜線部141(面取り)は切削刃部136の回転方向R側の一部分とされる
【0033】
また、本実施形態では、先行側面137Aと外周面137Cとの連続部、すなわち先行側面137Aの径方向外縁部、及び外周面137Cの回転方向縁部である連続部には、先行稜線部(刃先角部)142が形成されている。この先行稜線部142により、先行側部分が面取りされている。
【0034】
また、本実施形態では、外周面137Cと後端面137Fとの連続部、すなわち、外周面137Cの管軸方向後端縁部、及び後端面137Fの径方向外縁部である連続部には、後端稜線部143が形成されている。この後端稜線部143により、切削刃部136の管軸方向後端縁部が面取りされている。
【0035】
図2に示すように、挿入ガイド部22は、刃部130の先端側に突設されるように設けられる部位である。また、挿入ガイド部22は、刃部130の外径よりも外径が小さい部位である。さらに、挿入ガイド部22は、先端部が先細り形状となっている部位である。具体的に、挿入ガイド部22は、刃部130の先端部に設けられる柱状のガイド基部221と、ガイド基部221の先端に設けられる先細り形状のガイド先端部222と、を備える。また、挿入ガイド部22は、配管10の内部に管軸方向に沿って挿入され、刃部130の管軸方向への移動をガイドする。本実施形態の挿入ガイド部22は、刃部130の管軸方向入口4側(配管10に挿入する方向)への移動及び管軸方向出口5側(配管10から抜き取る方向)への移動の両方をガイドするよう構成されている。具体的に、挿入ガイド部22は、配管10の内周面に当接して、刃部130が配管10に対して径方向にずれることを抑制することで、刃部130の管軸方向への移動をガイドする。
【0036】
ガイド基部221は、刃部130の先端部に取り付け可能な柱状体である。本実施形態のガイド基部221は円柱状である。また、ガイド基部221は、刃部130の外径よりも外径が小さい。さらに、ガイド基部221は、切削される前の配管10の内径よりも外径が小さい。本実施形態のガイド基部221は、連結部15の先端部に連結可能である。即ち、ガイド基部221は、連結部15の取付部151に取り付け可能である。具体的に、ガイド基部221は、刃部130が取付けられた状態の取付部151に対して、刃部130より先端側の位置に取り付け可能である。また、本実施形態のガイド基部221は、刃部130から先端側に突出するように設けられる。
【0037】
ガイド先端部222は、ガイド基部221の先端側に設けられる先細形状の部位である。また、ガイド先端部222には、後述する索体20を連結可能な索体連結孔222aが形成される。即ち、ガイド先端部222は、索体20とガイド基部221及びガイド基部221に連結される連結部15とを連結する部位であるガイド先端部222は、後端部の外径がガイド基部221の外径と略同じで、先端側に向かうにつれて外径が小さくなるように構成されている。
【0038】
図4に示すように、送り部17は、連結部15(具体的にはシャフト19)を後端側から先端側に向かって押し出すことができる送り機171と、送り機171及び既設配管8の入口4を連結する管状の入口側補助管173と、入口側補助管173を既設配管8の入口4に連結する治具である補助管取付治具174と、を備える。
【0039】
送り機171は、長尺体を長尺体の軸線方向に沿って移動させることができる器具である。本実施形態の送り機171は、円形で、連結部15を側方から挟むように配置される一対の送り本体部172を備え、送り本体部172は、上下方向を軸にそれぞれ逆向きに回動するよう構成される。このように構成されることで、送り機171は、一対の送り本体部172が回動することで、一対の送り本体部172で挟んだ連結部15を連結部15の軸線方向に沿って移動させることができる。なお、本実施形態の送り機171は、連結部15を軸線方向の一方側に移動させるように動作することも、他方側に移動させるように動作することもできる。
【0040】
入口側補助管173は、送り機171の先端部と配管10の入口4とを連結する管である。また、入口側補助管173は、切削部13及び連結部15を内部に挿通可能な管である。具体的に、入口側補助管173は、内径が配管10の内径よりも大きい管である。また、入口側補助管173の内径は、連結部15の外径よりも大きい。さらに、入口側補助管173は、軸線方向において可撓性を有する管である。本実施形態の入口側補助管173は、配管10の入口4に、配管10の入口4の開口に対して正面に延びる管状の補助管取付治具174を介して配管10の入口4に取り付けられている。
【0041】
補助管取付治具174は、可撓性を有さない直線状に延びる管である。さらに、入口側補助管173及び補助管取付治具174の少なくとも一部は、内部の状態を確認できるように構成されている。本実施形態では、補助管取付治具174の一部に内部の状態を確認可能な窓部175が設けられている。このように、補助管取付治具174の一部に窓部175が設けられることで、配管10に挿入される直前の連結部15や切削部13の状態、切粉の排出状態などを確認することができる。さらに、補助管取付治具174は、既設配管8の入口4に連結される入口連結部176と、入口側補助管173の先端部に連結される補助管連結部177と、入口連結部176及び補助管連結部177の中途部分に設けられ、気体及び切粉が外部に流出可能な切粉排出部178と、を備える。切粉排出部178は、窓部175及び補助管連結部177の間に設けられ、気体及び切粉が外部に流出可能な孔が形成された部位である。また、切粉排出部178は、後述する集塵機25を連結可能な部位である。
【0042】
牽引部18は、出口5側から切削部13を牽引する部位である。図4及び図5に示すように、牽引部18は、切削部13に連結され、切削部13から先端側に向かって(管軸方向で出口5側に向かって)延びる索体20と索体20の延伸方向の中途部分に設けられる、中間ガイド部21と、索体20及び中間ガイド部21を配管10内に出口5側から挿入又は出口5側から牽引する巻き取り機181と、巻き取り機181及び既設配管8の出口5を連結する出口側補助管182と、を備える。
【0043】
索体20は、配管10の内径よりも外径が小さい索状体である。また、切削部13を牽引する引張力に耐えることができる索状体である。本実施形態の索体20は、金属製のワイヤで構成される。また、索体20は、中間ガイド部21よりも先端側(配管10の軸線方向で切削部13とは反対側)に位置する先端側索体20Aと、中間ガイド部21よりも後端側(切削部13側)に位置する後端側索体20Bと、を備える。
【0044】
中間ガイド部21は、索体20の延伸方向の中途部分に設けられる部位である。また、中間ガイド部21は、索体20の外径よりも外径が大きい部位である。具体的に、中間ガイド部21は、外径が配管10の内径と略同じ筒体又は柱体である。本実施形態の中間ガイド部21は円柱体である。なお、配管10の内径と略同じとは、配管10の内径と全く同じ径を指すものではなく、配管10の内径に対して、配管10内で移動ができる程度に小さいものを指す。即ち、中間ガイド部21は、配管10の内径に対して、配管10に挿入する際に詰まったり引っかかったりしない程度にだけ外径が小さい筒体又は柱体である。本実施形態の中間ガイド部21は、軸線方向の一端部及び他端部に索体20が連結されることで、索体20の延伸方向の中途部に配置される。また、中間ガイド部21は、軸線方向の一端部と軸線方向の他端部とが軸線方向中心で相対回動するように構成されている。具体的に、中間ガイド部21のうち、一端部で索体20が連結される部位と他端部で索体20が連結される部位とは、軸線方向中心で相対回動するよう構成されている。本実施形態の中間ガイド部21は、内部にベアリングを備えている(図示しない)。このような中間ガイド部21は、切削部13の回動が中間ガイド部21よりも先端側に配置される索体20(先端側索体20A)に伝達しないように構成された回動絶縁部である。即ち、索体20においては、中間ガイド部21よりも後端側(後端側索体20B)の部分のみ回動が表面に現れる。
【0045】
巻き取り機181は、長尺体を長尺体の延伸方向に沿って移動させることができる器具である。本実施形態の巻き取り機181は、円形で、索体20を側方から挟むように配置される一対の巻き取り本体部183を備え、巻き取り本体部183は、上下方向を軸にそれぞれ逆向きに回動するよう構成される。このように構成されることで、巻き取り機181は、一対の巻き取り本体部183が回動することで、一対の巻き取り本体部183で挟んだ索体20を索体20の軸線方向に沿って移動させることができる。なお、本実施形態の巻き取り機181は、索体20を軸線方向の一方側に移動させるように動作することも、他方側に移動させるように動作することもできる。さらに、一対の巻き取り本体部183のうち、一方の巻き取り本体部183には、索体20が巻き付けられる。具体的に、一方の巻き取り機181本体には索体20が巻き付けられ、索体20が入口4側に移動する際には、巻き取り機181本体を離れ、配管10内に挿入され、索体20が出口5側に移動するように牽引される際には、索体20が巻き取り機181本体に巻き取られる。
【0046】
巻き取り機181及び送り機171は、同期して動作するように構成される。具体的に、巻き取り機181及び送り機171は、制御部によって、同期して動作するように制御される。本実施形態で、制御部は、送り機171が配管10内に連結部15を送った(出口5側に移動させた)場合には、送られた連結部15の長さ分だけ巻き取り機181が索体20を巻き取り、送り機171が連結部15を配管10内から抜き取る方向に(入口4側に)移動させた場合には、抜き取る方向に移動した長さ分だけ巻き取り機181が索体20を配管10内に送るように制御する。また、本実施形態で、巻き取り機181及び送り機171は、同一の電源供給装置Pから電源の供給を受けるように構成される。
【0047】
図4に示すように、気体流入手段23は、出口5側から配管10内に気体を流入させる圧縮機24と、既設配管8の入口4側で気体及び該気体と共に流れる切粉を吸入する集塵機25と、を備える。即ち、気体流入手段23は、配管10の出口5側から配管10内に気体を流入させる手段である。本実施形態で、気体流入手段23が配管10内に流入させる気体は、空気である。なお、気体流入手段23が配管10内に流入させる気体は空気に限らず、例えば、不活性ガスを流入させることもできる。また、本実施形態の気体流入手段23は、間欠的に配管10内に気体を流入させる。気体流入手段23は、出口5側から入口4側に向かって気体を流すことで、配管10内に気流Fを発生される。本実施形態の気流Fは、圧縮機24から出口側補助管182、既設配管8(配管10及び保護材9)、入口側補助管173、を介して集塵機25へと向かう気体の流れである。
【0048】
圧縮機24は、気体を圧縮し、圧縮気体を配管10に流入させるように構成される。本実施形態で圧縮機24は、空気を圧縮し、圧縮空気を配管10内に流入させる。また、圧縮機24は少なくとも所定のタイミングで気体を配管10内に流入するように制御される。具体的に、圧縮機24は、制御部によって制御され、巻き取り機181及び送り機171の動作に合わせて所定のタイミングで気体を配管10内に流入する。本実施形態で、圧縮機24は、間欠的に気体を配管10内に流入させるように構成される。さらに、圧縮機24は、気体を圧縮する圧縮本体部241と、圧縮した気体を配管10内に送る管である流入菅242と、を備え、流入菅242は、出口側補助管182の出口5側に連結される。即ち、本実施形態で、圧縮機24は、出口側補助管182を介して配管10内に気体を流入させる。
【0049】
集塵機25は、配管10の入口4側で切粉を集める部位である。即ち、集塵機25は、圧縮機24によって配管10内に流入させられた気体と共に、配管10内から入口4側に流れた切粉を集める。本実施形態の集塵機25は、気体を吸入する吸入部251と、吸入部251及び補助管取付治具174の切粉排出部178を連結可能な管状の集塵管252と、流れる気体をろ過して、切粉を除去できるフィルタ部253と、を備える。本実施形態で、フィルタ部253は、集塵機25によって吸入される気体と共に流れる切粉を除去するように構成される。
【0050】
以上のような構成の配管切削装置12を用いて配管10を切削する方法について図5乃至図7参照して説明する。なお、図5及び図6では、配管切削方法を模式的に説明するため、入口4側に配置される送り機171や、給湯配管1の湾曲部分等を図示しない。
【0051】
本実施形態に係る配管更新方法を具体的に説明すると、
(1)管軸方向の入口4から出口5までの配管10を切削部13により切削することで、配管10の肉厚を切削する配管切削工程、
(2)配管10の肉厚が切削され、内径が拡径された既設配管8の内部に、新配管11を挿入具(この場合図9に示す配管挿入具26)により、出口5から引っ張って挿入する挿入工程、
を備えている。この施工方法では、保護材9、配管10、及び、新配管11は断面円形である。
【0052】
前述(1)の配管切削工程についてさらに詳述する。(1)の配管切削工程は、配管切削方法を適用して行う。具体的に、配管切削工程は、切削の準備段階としての取外し工程と、配管10の肉厚を切削する配管切削実行工程と、を施工順に備えている。
【0053】
取外し工程は、図1に二点鎖線で示すように、一本の給湯配管1につき、該給湯配管1のうち床面3に露出されている領域を、自由端とする工程である。
【0054】
取外し工程の施工方法は、ヘッダー部材6から給湯配管1の一端部(入口4側端部)を外して入口4とし、水栓7から給湯配管1の他端部を外して出口5とし、直線状及び曲線状(例えば図1の湾曲部分)の領域を含む一本の保護材9と既設配管8とする入口4及び出口5を自由端とする。また、本取外し工程で、自由端を後工程で都合のよい(作業のしやすい)向きに向ける工程を含んでもよい。
【0055】
配管切削実行工程では、図5に示すように、まず、配管10の入口4から所定距離だけ切削する入口加工工程を実行し、入口加工工程の完了後に配管10を順次切削する切削サイクル工程を実行する。
【0056】
図5(a)に示すように、入口加工工程では、まず、配管10の出口5から入口4側に向かって牽引部18の索体20及び中間ガイド部21、並びに、先端部が索体20と連結された挿入ガイド部22を挿通する。具体的には、あらかじめ、索状の呼び線を配管10内に挿通して、該呼び線によって索体20(先端側索体20A)を既設配管8の出口5から入口4まで牽引して挿通する。索体20が入口4から露出したのちに、中間ガイド部21(第一中間ガイド部21A)、後端側索体20B、挿入ガイド部22を索体20(先端側索体20A)の後端部に連結することで、牽引部18が配管10の出口5側から入口4側に挿通され、第一準備工程は完了する。なお、第一準備工程では、上記のように呼び線を用いて、索体20のみを一旦配管10内に挿通してから、入口4側で中間ガイド部21及び挿入ガイド部22を連結する場合について説明したが、このような場合に限らず、挿入ガイド部22及び中間ガイド部21が取付けられた索体20を呼び線によって牽引して配管10内に挿通してもよい。また、牽引部18を挿通する場合に、呼び線を用いて挿通する場合に限らず、出口5側から牽引部18を押し込んで配管10内に挿通することもできる。
【0057】
図5(b)に示すように、出口5側から入口4側まで挿通された索体20の後端部に切削部13及び連結部15を連結し、刃部130を配管10の入口4側の管端に当接させて、出口5側に移動させることで切削を開始する。具体的には、切削部13の刃部130を配管10の入口4側の管端に当接させ、挿入ガイド部22を配管10内に挿入した状態で、駆動部14を回動させて、駆動部14の回動力によって切削部13(刃部130)を回転方向Rに回動させて、刃部130で配管10の肉厚を切削する。また、本実施形態で、切削部13は、出口5側から牽引部18によって牽引されつつ、入口4側から送り部17によって押し込まれることで、入口4側から出口5側に移動する。なお、本実施形態で、切削部13は、主として入口4側から送り部17によって押し込まれることで入口4側から出口5側に移動し、牽引部18によって、補助的に出口5側に牽引される。本実施形態の入口加工工程では、切削部13を配管10の入口4から所定距離(送り距離L1)だけ移動させる。即ち、本実施形態の入口加工工程では、配管10の入口4から所定距離(送り距離L1)分だけ配管10の肉厚を切削する。
【0058】
図5(c)に示すように、所定距離(送り距離L1)だけ切削した後に、切削部13は、所定距離(戻し距離L2)だけ、入口4側に移動する。即ち、入口加工工程で、配管10を所定距離(送り距離L1)切削した後、切削部13は、切削により形成される切削端面10aから所定距離(戻し距離L2)だけ入口4側に移動した位置まで移動する。ここで、入口加工工程において、切削部13が入口4側に移動する距離(戻し距離L2)は、入口加工工程で切削部13が配管10を切削する距離(送り距離L1)よりも短い。さらに、入口加工工程において、切削部13が入口4側に移動する距離(戻し距離L2)は、挿入ガイド部22の刃部130からの突出長さよりも短い。即ち、切削部13が入口4側に所定距離(戻し距離L2)だけ移動した状態で、挿入ガイド部22は先端部の一部が配管10内に挿入された状態となる。また、本実施形態で、切削部13は、入口4側から連結部15によって牽引されることで、出口5側から入口4側に移動する。具体的に、送り機171が連結部15を入口4側に移動させることで、連結部15に連結された切削部13を入口4側に牽引する。なお、本実施形態で、切削部13の入口4側への移動に伴って、索体20が出口5側から入口4側に移動する。また、本実施形態で、駆動部14は、切削部13が入口4側に移動する間も切削部13に回動力を供給する。即ち、本実施形態の切削部13は、切削端面10aに当接していない間も管軸中心に回動するように構成される。
【0059】
また、入口加工工程のうち、所定のタイミングで、気体流入手段23は配管10内に気体を流入させる。具体的に、気体流入手段23は、入口加工工程の内、少なくとも切削部13が出口5側に移動しつつ、配管10を切削する間に配管10内に気体を流入させる。また、気体流入手段23は、入口加工工程の内、少なくとも、切削部13が入口4側に移動している間に配管10内に気体を流入させる。即ち、気体流入手段23は、少なくとも、切削部13が切削端面10aから離れている間に気体を配管10内に流入させる。さらに、本実施形態で気体流入手段23は、入口加工工程の内、少なくとも、切削部13が出口5側への移動から入口4側への移動に切り替わるタイミングを含むように配管10内に気体を流入させる。さらに、本実施形態では、圧縮機24が配管10の出口5側から気体を流入させることで配管10内に気体が流入する。
【0060】
入口加工工程が完了した後に、切削サイクル工程を実行する。切削サイクル工程は、後述の送り工程及び戻し工程を1サイクルとする切削サイクルを繰り返し実行する工程である。本実施形態で、切削サイクルは、配管10の全長に亘って切削部13で切削するまで繰り返し実行される。
【0061】
図6(a)に示すように、入口加工工程が完了し、切削部13が切削端面10aから所定距離(戻し距離L2)だけ離れた状態から切削サイクルは開始される。切削サイクルは、図6(b)に示す送り工程と、図6(c)に示す戻し工程と、を工程順に実行する。
【0062】
送り工程では、図6(b)に示すように、切削部13が切削端面10aから戻し距離L2分離れた状態から、切削部13を戻し距離L2よりも長い送り距離L1分出口5側に送り、戻し距離L2と送り距離L1の差分である切削距離L3の長さ分配管10を切削する。具体的には、切削部13の刃部130を配管10の入口4側の管端に当接させ、挿入ガイド部22を配管10内に挿入した状態で、駆動部14を回動させて、駆動部14の回動力によって切削部13(刃部130)を回転方向Rに回動させて、刃部130で配管10の肉厚を切削する。また、本実施形態で、切削部13は、出口5側から牽引部18によって牽引されつつ、入口4側から送り部17によって押し込まれることで、入口4側から出口5側に移動する。なお、本実施形態で、切削部13は、主として入口4側から送り部17によって押し込まれることで入口4側から出口5側に移動し、牽引部18によって、補助的に出口5側に牽引される。また、図7に示すように、本実施形態で送り工程は、7秒間実行され、うち、送り工程の最後の2秒間に、刃部130が切削端面10aに当接して切削部13が配管10を切削する。即ち、本実施形態の送り工程で、切削部13は、7秒間かけて送り距離L1分出口5側に移動し、最初の5秒間は刃部130が切削端面10aに当接せず、最後の2秒間で刃部130が切削端面10aに当接して切削距離L3分配管10を切削する。
【0063】
戻し工程では、図6(c)に示すように、送り工程が完了した(送り距離L1分出口5側に移動した)切削部13を、入口4側に戻し距離L2分移動させる工程である。即ち、戻し工程では、切削端面10aに当接した切削部13(刃部130)を、入口4側に移動させ、刃部130を切削端面10aから離間させ、切削部13と切削端面10aの間に空間を形成する工程である。本実施形態で、戻し工程で切削部13が入口4側に移動する距離(戻し距離L2)は、挿入ガイド部22の刃部130からの突出長さよりも短い。即ち、切削部13が入口4側に戻し距離L2だけ移動した状態で、挿入ガイド部22は先端部の一部が配管10内に挿入された(残った)状態となる。また、本実施形態で、切削部13は、入口4側から連結部15によって牽引されることで、出口5側から入口4側に移動する。具体的に、送り機171が連結部15を入口4側に移動させることで、連結部15に連結された切削部13を入口4側に牽引する。なお、本実施形態で、切削部13の入口4側への移動に伴って、索体20が出口5側から入口4側に移動する。また、本実施形態で、駆動部14は、切削部13が入口4側に移動する間も切削部13に回動力を供給する。即ち、本実施形態の切削部13は、切削端面10aに当接していない間も管軸中心に回動するように構成される。さらに、本実施形態で、戻し工程は、送り工程が完了した直後に5秒間実行される。即ち、本実施形態の戻し工程で、切削部13は5秒間かけて戻し距離L2分入口4側に移動する。
【0064】
切削サイクルにおいて、送り工程で、切削部13が出口5側に移動する距離である送り距離L1は、戻し工程で、切削部13が入口4側に移動する距離よりも長い。また、送り工程で、切削部13は、戻し距離L2と送り距離L1の差分の距離である切削距離L3分配管10を切削する。本実施形態で、切削距離L3は、戻し距離L2よりも短い。即ち、本実施形態の切削サイクルでは、送り工程で切削部13が配管10を切削する距離よりも、戻し工程で切削部13が入口4側に戻る距離のほうが長い。さらに、本実施形態で、戻し距離L2は、挿入ガイド部22の刃部130からの突出長さよりも短い。即ち、切削端面10aに刃部130が当接した状態で、挿入ガイド部22は、戻し距離L2以上の長さ分配管10内に挿入された状態となる。
【0065】
気体流入手段23は、送り工程及び戻し工程の所定タイミングで配管10内に気体を流入させる。図7に示すように、気体流入手段23は、少なくとも送り工程が開始されるタイミングで気体を配管10内に流入させる(第一流入時T1)。また、気体流入手段23は、少なくとも送り工程において、刃部130が切削端面10aに当接する直前のタイミングで気体を配管10内に流入させる(第二流入時T2)。さらに、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接して配管10を切削しているタイミングで気体を配管10内に流入させる(第三流入時T3)。また、気体流入手段23は、少なくとも、戻し工程の途中に配管10内に気体を流入させる(第四流入時T4)。さらに、本実施形態で、気体流入手段23が気体を配管10内に流入させる間に亘って、駆動部14は回動力を刃部130に供給する。本実施形態で、駆動部14は、切削サイクルが実行させている間に亘って、切削部13に回動力を供給する。
【0066】
具体的に、気体流入手段23は、少なくとも送り工程における切削部13が配管10を切削している間を除く間に気体を配管10内に流入させている(第一流入時T1、第二流入時T2、第四流入時T4)。言い換えると、気体流入手段23は、刃部130が切削端面10aから離れ、刃部130と切削端面10aとの間に空間が形成されている間に気体を配管10内に流入させる。また、本実施形態で、気体流入手段23は、少なくとも、切削距離L3以上に刃部130が切削端面10aから離れているタイミングで気体を配管10内に流入させる(第一流入時T1、第四流入時T4)。以下、各タイミングでの気体の流入について説明する。
【0067】
第一流入時T1は、送り工程が開始されるタイミングである。そのため、第一流入時T1には、刃部130が切削端面10aから戻し距離L2だけ離れたタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。また、第一流入時T1には、刃部130が切削端面10aから切削距離L3よりも長い戻し距離L2離れて位置しているので、刃部130が、直前の切削で配管10を切削した範囲よりも入口4側に位置している。よって、切削により生じた切粉を確実に気体で飛ばすことができる。
【0068】
第二流入時T2は、刃部130が切削端面10aに当接する直前のタイミングである。そのため、第二流入時T2には、刃部130が切削端面10aに当接又は近接して位置しているタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。このようなタイミングで気体を出口5側から流入させることで、配管10を通った気体がほぼそのままの圧力で切削部13にあたることができる。そのため、流入してきた気体の圧力で、刃部130に付着した切粉を飛ばしやすくなるため、切粉による切削不良の発生を抑制できる。
【0069】
第三流入時T3は、刃部130が切削端面10aに当接して配管10を切削しているタイミングである。刃部130は、切削する際に回動しながら切削端面10aに当接するので、摩擦熱が発生することがある。そのため、第三流入時T3に気体を配管10内に流入させることで、摩擦熱を気体によって冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生(例えば、摩擦熱によって溶けた配管10が刃部130に付着するなど)を抑制できる。特に、図7に示すように、本実施形態で、第三流入時では、1回の送り工程において刃部130が切削端面10aに当接しての配管10を切削が終了するタイミングで気体を配管10内に流入させるので、摩擦熱により配管10や切削部13が熱されやすいタイミングに適切に刃部130や配管10を冷ますことができる。
【0070】
第四流入時T4は、戻し工程の途中のタイミングである。そのため、第四流入時T4には、刃部130が入口4側に移動しているので、気体を配管10の出口5側から流入させた場合に、気体及び気体によって飛ばされた切粉が刃部130に当たる力が、送り工程の途中で当たる場合に比べて小さくなる。よって、気体によって飛ばされて切粉が刃部130に強く当たり、刃部130に張り付くことで切削不良が発生することを抑制できる。
【0071】
以上の切削サイクルを繰り返し実行し、所定の長さ(例えば配管10の全長)を切削部13で切削して、配管切削工程は完了する。
【0072】
(1)配管肉厚除去工程が完了したのちに、(2)挿入工程に移行する。挿入工程では、内径が拡径された既設配管8の内部に、新配管11を挿入する。本実施形態では、外径が既設配管8の外径よりも小さい新配管11を挿入する場合について説明する。また、本実施形態では、索体20及び、新配管11の端部を固定可能な配管挿入具26を用いて新配管11を既設配管8に挿入する場合について説明する。
【0073】
図8に示すように、挿入工程では、索体20の後端部に取り付けられた配管挿入具26を新配管11の先端部に取り付け、索体20を牽引することで、新配管11を入口4側から出口5側へと牽引し、既設配管8の内部に新配管11を挿入する。
【0074】
図8(a)に示すように、挿入工程では、初めに、索体20及び索体20の後端部に取り付けられた配管挿入具26を既設配管8の出口5側から入口4側で露出するまで挿入する。入口4側で配管挿入具26が露出してから、配管挿入具26に新配管11の先端部を固定する。なお、配管挿入具26としては、新配管11の先端部を固定して、新配管11と索体20とを連結可能な種々の配管挿入具26を採用できる。
【0075】
図8(b)に示すように、新配管11の先端部が配管挿入具26に固定されてから、索体20をウインチW等で出口5から牽引し、新配管11の先端部を入口4から出口5まで移動させる。新配管11の先端部が出口5から露出すると挿入工程が完了する。なお、索体20の牽引はウインチWで行う場合に限らず、巻き取り機181で行ってもよい。
【0076】
以上の工程で、本実施形態の配管更新は完了する。
【0077】
上記のような配管切削方法によれば、切削部13は、配管10の肉厚を管軸方向から当接して切削するので、保護材9を傷つけることを抑制でき、かつ、切削部13が配管10を切削していない間に気体流入手段23で配管10の内部に気体を流入するので、切削によって発生した切粉を気体によって確実に飛ばすことができる。よって、保護材9を傷つけることを抑制しつつ切粉の堆積によって切削が阻害されることを抑制できるため、配管10を不都合なく処理することができる。
【0078】
また、戻し工程の際に挿入ガイド部22が配管10の管軸方向で切削されていない部分に挿入された状態が維持されるので、送り工程及び戻し工程を繰り返し実行しても切削部13が配管10に対して径方向にずれることを抑制できる。
【0079】
さらに、気体流入手段23は、少なくとも送り工程が開始されるタイミング(第一流入時T1)で配管10内に気体を流入するので、刃部130の先端が、刃部130が配管10を切削して形成される切削端面10aから戻し距離L2だけ離れたタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。また、第一流入時T1には、刃部130が切削端面10aから切削距離L3よりも長い戻し距離L2離れて位置しているので、刃部130が、直前の切削で配管10を切削した範囲よりも入口4側に位置している。よって、切削により生じた切粉を確実に気体で飛ばすことができる。
【0080】
また、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接する直前のタイミング(第二流入時T2)で配管10内に気体を流入するので、刃部130が切削端面10aに当接又は近接して位置しているタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。このようなタイミングで気体を出口5側から流入させることで、配管10を通った気体がほぼそのままの圧力で切削部13にあたることができる。そのため、流入してきた気体の圧力で、刃部130に付着した切粉を飛ばしやすくなるため、切粉による切削不良の発生を抑制できる。
【0081】
さらに、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接して配管10を切削しているタイミング(第三流入時T3)で配管10内に気体を流入するので、配管10切削によって生じた摩擦熱を気体で冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生(例えば、摩擦熱によって溶けた配管10が刃部130に付着するなど)を抑制できる。
【0082】
また、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接しての配管10を切削が終了するタイミングで気体を配管10内に流入させるので、摩擦熱により配管10や切削部13が熱されやすいタイミングに適切に刃部130や配管10を冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生を抑制できる。
【0083】
さらに、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aから切削距離L3以上離れている時に配管10内に気体を流入させるように構成されるので、直前の送り工程における切削で生じた切粉を確実に除去することができる。
【0084】
また、気体流入手段23は、配管10の他端側(出口5側)から気体を流入させるように構成され、気体流入手段23は、少なくとも戻し工程の途中のタイミング(第四流入時T4)で配管10内に気体を流入させるので、刃部130が入口4側向かってに移動している間に、気体を配管10の出口5側から流入させると、気体及び気体によって飛ばされた切粉が刃部130に当たる力が、送り工程の途中で当たる場合に比べて小さくなる。よって、気体によって飛ばされて切粉が刃部130に強く当たり、刃部130に張り付くことで切削不良が発生することを抑制できる。
【0085】
さらに、気体流入手段23は、気体を配管10の他端側(出口5側)から一端側(入口4側)に向かって流すよう構成されるので、配管10が未切削の既設配管8の内径の狭い側から配管10が切削済の既設配管8の内径の広い側に向かって気体が流れるため、切粉を効率的に除去することができる。
【0086】
また、駆動部14は、切削サイクルが実行されている間に亘って切削部13に回動力を供給するので、切削サイクルが実行されている間は切削部13が回動した状態となり、気体によって既設配管8内を流れる切粉が切削部13に付着することを抑制できるため、切粉によって切削が阻害されることを抑制できる。
【0087】
さらに、配管切削装置12は、既設配管8の一端側で、切削により生じた切粉を吸引する吸塵手段を有するので、切粉を吸塵手段で吸引できるため、切粉が既設配管8から外部に流出して散乱することを抑制できる。
【0088】
切削部13の先端部に、配管10の内径よりも小さく、配管10の管軸方向に沿って延び、配管10の内周面に当接して切削部13が前記配管10に対して径方向にずれることを抑制する挿入ガイド部22が設けられ、戻し工程における戻し距離は、挿入ガイド部22の管軸方向長さよりも短く設定されるので、戻し工程の後、再び切削部13を配管10内に送る場合に、切削部13が配管10に対して径方向にずれることを抑制できる。
【0089】
上記の配管切削装置12によれば、切削部13は、配管10の肉厚を管軸方向から当接して切削するので、保護材9を傷つけることを抑制でき、かつ、制御部は、切削部13が配管10を切削していない間に気体流入手段23で配管10の内部に気体を流入するよう制御するので、切削によって発生した切粉を気体によって確実に飛ばすことができる。よって、保護材9を傷つけることを抑制しつつ切粉の堆積によって切削が阻害されることを抑制できるため、配管10を不都合なく処理することができる。
【0090】
また、制御部は、戻し距離を挿入ガイド部22の刃部130からの突出長さよりも短く設定するので、戻し工程の際に挿入ガイド部22が配管10の管軸方向で切削されていない部分に挿入された状態が維持されるため、送り工程及び戻し工程を繰り返し実行しても切削部13が配管10に対して径方向にずれることを抑制できる。
【0091】
さらに、制御部は、少なくとも送り工程が開始されるタイミング(第一流入時T1)で配管10内に気体を流入するよう気体流入手段23を制御するので、刃部130の先端が、刃部130が配管10を切削して形成される切削端面10aから戻し距離L2だけ離れたタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。また、第一流入時T1には、刃部130が切削端面10aから切削距離L3よりも長い戻し距離L2離れて位置しているので、刃部130が、直前の切削で配管10を切削した範囲よりも入口4側に位置している。よって、切削により生じた切粉を確実に気体で飛ばすことができる。
【0092】
また、制御部は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接する直前のタイミング(第二流入時T2)で配管10内に気体を流入するよう気体流入手段23を制御するので、刃部130が切削端面10aに当接又は近接して位置しているタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。このようなタイミングで気体を出口5側から流入させることで、配管10を通った気体がほぼそのままの圧力で切削部13にあたることができる。そのため、流入してきた気体の圧力で、刃部130に付着した切粉を飛ばしやすくなるため、切粉による切削不良の発生を抑制できる。
【0093】
さらに、制御部は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接して配管10を切削しているタイミング(第三流入時T3)で配管10内に気体を流入するよう気体流入手段23を制御するので、配管10切削によって生じた摩擦熱を気体で冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生(例えば、摩擦熱によって溶けた配管10が刃部130に付着するなど)を抑制できる。
【0094】
また、制御部は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接しての配管10を切削が終了するタイミングで気体を配管10内に流入させるよう制御部を制御するので、摩擦熱により配管10や切削部13が熱されやすいタイミングに適切に刃部130や配管10を冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生を抑制できる。
【0095】
さらに、気体流入手段23は、配管10の他端側(出口5側)から気体を流入させるように構成され、制御部は、少なくとも戻し工程の途中のタイミング(第四流入時T4)で配管10内に気体を流入させるよう気体流入手段23を制御するので、刃部130が入口4側向かってに移動している間に、気体を配管10の出口5側から流入させると、気体及び気体によって飛ばされた切粉が刃部130に当たる力が、送り工程の途中で当たる場合に比べて小さくなる。よって、気体によって飛ばされて切粉が刃部130に強く当たり、刃部130に張り付くことで切削不良が発生することを抑制できる。
【0096】
また、制御部は、少なくとも刃部130が切削端面10aから切削距離L3以上離れている時に配管10内に気体を流入させるように気体流入手段23を制御するので、直前の送り工程における切削で生じた切粉を確実に除去することができる。
【0097】
さらに、制御部は、切削サイクルが実行されている間に亘って切削部13に回動力を供給するよう駆動部14を制御するので、切削サイクルが実行されている間は切削部13が回動した状態となり、気体によって既設配管8内を流れる切粉が切削部13に付着することを抑制できるため、切粉によって切削が阻害されることを抑制できる。
【0098】
上記の配管切削装置12の制御方法によれば、配管切削装置12は、切削部13が配管10の肉厚を管軸方向から当接して切削するので、保護材9を傷つけることを抑制でき、かつ、切削部13が配管10を切削していない間に気体流入手段23で配管10の内部に気体を流入するよう制御されるので、切削によって発生した切粉を気体によって確実に飛ばすことができる。よって、保護材9を傷つけることを抑制しつつ切粉の堆積によって切削が阻害されることを抑制できるため、配管10を不都合なく処理する
【0099】
また、戻し距離が挿入ガイド部22の刃部130からの突出長さよりも短くなるよう制御されるので、戻し工程の際に挿入ガイド部22が配管10の管軸方向で切削されていない部分に挿入された状態が維持されるため、送り工程及び戻し工程を繰り返し実行しても切削部13が配管10に対して径方向にずれることを抑制できる。
【0100】
さらに、気体流入手段23は、少なくとも送り工程が開始されるタイミング(第一流入時T1)で配管10内に気体を流入するよう制御されるので、刃部130の先端が、刃部130が配管10を切削して形成される切削端面10aから戻し距離L2だけ離れたタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。また、第一流入時T1には、刃部130が切削端面10aから切削距離L3よりも長い戻し距離L2離れて位置しているので、刃部130が、直前の切削で配管10を切削した範囲よりも入口4側に位置している。よって、切削により生じた切粉を確実に気体で飛ばすことができる。
【0101】
また、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接する直前のタイミング(第二流入時T2)で配管10内に気体を流入するよう制御されるので、刃部130が切削端面10aに当接又は近接して位置しているタイミングで気体を配管10内に流入させることができる。このようなタイミングで気体を出口5側から流入させることで、配管10を通った気体がほぼそのままの圧力で切削部13にあたることができる。そのため、流入してきた気体の圧力で、刃部130に付着した切粉を飛ばしやすくなるため、切粉による切削不良の発生を抑制できる。
【0102】
さらに、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接して配管10を切削しているタイミング(第三流入時T3)で配管10内に気体を流入するよう制御されるので、配管10切削によって生じた摩擦熱を気体で冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生(例えば、摩擦熱によって溶けた配管10が刃部130に付着するなど)を抑制できる。
【0103】
また、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aに当接しての配管10を切削が終了するタイミングで気体を配管10内に流入させるよう制御されるので、摩擦熱により配管10や切削部13が熱されやすいタイミングに適切に刃部130や配管10を冷ますことができ、摩擦熱による切削不良の発生を抑制できる。
【0104】
さらに、気体流入手段23は、配管10の他端側(出口5側)から気体を流入させるように構成され、少なくとも戻し工程の途中のタイミング(第四流入時T4)で配管10内に気体を流入させるよう制御されるので、刃部130が入口4側向かってに移動している間に、気体を配管10の出口5側から流入させると、気体及び気体によって飛ばされた切粉が刃部130に当たる力が、送り工程の途中で当たる場合に比べて小さくなる。よって、気体によって飛ばされて切粉が刃部130に強く当たり、刃部130に張り付くことで切削不良が発生することを抑制できる。
【0105】
また、気体流入手段23は、少なくとも刃部130が切削端面10aから切削距離L3以上離れている時に配管10内に気体を流入させるように制御されるので、直前の送り工程における切削で生じた切粉を確実に除去することができる。
【0106】
さらに、駆動部14は、切削サイクルが実行されている間に亘って切削部13に回動力を供給するよう制御されるので、切削サイクルが実行されている間は切削部13が回動した状態となり、気体によって既設配管8内を流れる切粉が切削部13に付着することを抑制できるため、切粉によって切削が阻害されることを抑制できる。
【0107】
以上、本発明の実施形態について一例を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0108】
例えば、気体流入手段23は、間欠的に気体を配管10内に流入させる構成である場合について説明したが、このような場合に限らず、切削サイクルの間、常に気体を既設配管8内に流入させるよう構成することもできる。
【0109】
また、配管切削装置12は、配管10の肉厚をすべて切削する場合について説明したが、このような場合に限らず、配管10の肉厚の一部のみを切削するように構成することもできる。
【0110】
さらに、気体流入手段23は、配管10の他端側から気体を送ることで配管10内に気体を流入するように構成される場合について説明したが、既設配管8の一端側から気体を吸入することで、配管10の他端側から気体が流入するように構成することもできる。
【0111】
また、切削部13の配管10の管軸方向への移動は、制御部が制御する場合について説明したが、このような場合に限らず、作業者が切削部13の移動を管理することもできる。
【0112】
さらに、切削部13には、管軸方向に気体が流れることができる溝部が形成される場合について説明したが、このような場合に限らず、切削部13に溝部が形成されていない構成とすることもできる。
【0113】
また、連結部15は、索体20によって牽引されて配管10の一方側に移動する場合について説明したが、このような構成に限らず、移動手段によって押し出されて配管10の一方側に移動するように構成することもできる。
【0114】
さらに、送り工程と戻し工程は連続して実行される場合について説明したが、このような場合に限らず、例えば、戻し工程と送り工程の間に、停止工程を備え、切削部13が端面から離れた状態で切削部13の移動を一旦停止するように構成することもできる。
【0115】
また、移動手段と気体流入手段23は同期して動作する場合について説明したが、同期せず、移動手段が切削部13を送るタイミング及び戻すタイミングの位相と気体流入手段23が気体を流入するタイミング及び流入を停止するタイミングの位相がずれていてもよい。
【符号の説明】
【0116】
1…給湯配管、2…給水配管、3…床面、4…入口、5…出口、6…ヘッダー部材、7…水栓、8…既設配管、9…保護材、10…配管、11…新配管、12…配管切削装置、13…切削部、130…刃部、
14…駆動部、15…連結部、151…取付部、16…把手、17…送り部、171…送り機、172…送り本体部、173…入口側補助管、174…補助管取付治具、175…窓部、176…入口連結部、177…補助管連結部、178…切粉排出部、18…牽引部、181…巻き取り機、182…出口側補助管、183…巻き取り本体部、19…シャフト、191…継足部、20…索体、20A…先端側索体、20B…後端側索体、21…中間ガイド部、22…挿入ガイド部、221…ガイド基部、222…ガイド先端部、23…気体流入手段、24…圧縮機、241…圧縮本体部、242…流入菅、25…集塵機、251…吸入部、252…集塵管、253…フィルタ部、26…配管挿入具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8