(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034198
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】接着剤
(51)【国際特許分類】
C09J 133/00 20060101AFI20230306BHJP
C09J 163/10 20060101ALI20230306BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20230306BHJP
C09J 133/08 20060101ALI20230306BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20230306BHJP
C09J 121/00 20060101ALI20230306BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230306BHJP
C08G 59/42 20060101ALI20230306BHJP
C08G 18/80 20060101ALI20230306BHJP
C08G 18/62 20060101ALI20230306BHJP
C08F 8/00 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
C09J133/00
C09J163/10
C09J163/00
C09J133/08
C09J175/04
C09J121/00
C09J11/04
C08G59/42
C08G18/80
C08G18/62 016
C08F8/00
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140316
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000166683
【氏名又は名称】互応化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前川 咲奈
(72)【発明者】
【氏名】橋本 壮一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 倫也
【テーマコード(参考)】
4J034
4J036
4J040
4J100
【Fターム(参考)】
4J034GA33
4J034HD12
4J034RA08
4J036AD08
4J036AF07
4J036FA06
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4J040CA042
4J040DF031
4J040DF061
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4J040KA14
4J040KA16
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4J040KA35
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4J040LA06
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4J040NA19
4J100AJ02Q
4J100AL03P
4J100AL03R
4J100BA03H
4J100BA15H
4J100CA05
4J100CA31
4J100HA62
4J100HC39
4J100JA03
(57)【要約】
【課題】PET又はPIと銅との接着性に優れ、かつ十分な柔軟性を有する接着層を形成することができる接着剤を提供する。
【解決手段】接着剤は、(A)エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂と、(B)2官能エポキシ樹脂とを含有する。(A)カルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有するアクリル系共重合体と、エチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物との反応生成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂と、(B)2官能エポキシ樹脂とを含有し、
前記(A)カルボキシル基含有樹脂が、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有するアクリル系共重合体と、エチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物との反応生成物である接着剤。
【請求項2】
前記アクリル系共重合体が、(メタ)アクリル酸単位、(メタ)アクリル酸メチル単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有する共重合体を含む請求項1に記載の接着剤。
【請求項3】
(C)ブロックイソシアネート化合物をさらに含有する請求項1又は2に記載の接着剤。
【請求項4】
(D)熱硬化触媒をさらに含有する請求項1から3のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項5】
(E)ゴム粒子をさらに含有する請求項1から4のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項6】
(F)黒色着色剤をさらに含有する請求項1から5のいずれか一項に記載の接着剤。
【請求項7】
(G)酸化チタンをさらに含有する請求項6に記載の接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着剤に関し、詳しくは、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂と、2官能エポキシ樹脂とを含有する接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、軽量化等に伴い、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムや、ポリイミド(PI)フィルムに、銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板が用いられるようになってきている。このようなフレキシブル基板の製造に用いる接着剤には、PET又はPIと、銅との両方に対する接着性に優れることが求められる。特許文献1~6には、エポキシ樹脂等の熱硬化性成分を含有する種々の樹脂組成物が、粘接着剤層や、ドライフィルム、シート等を形成する接着剤などに用いられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-147299号公報
【特許文献2】特開2004-083602号公報
【特許文献3】特開平8-239636号公報
【特許文献4】特開2016-027435号公報
【特許文献5】特開平03-162421号公報
【特許文献6】特開2002-212522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フレキシブル基板の製造に用いられる接着剤には、前述の接着性だけでなく、形成される接着層が十分な柔軟性を有することも求められる。しかし、前記従来の樹脂組成物では、優れた接着性と十分な柔軟性とを両立させることはできていない。
【0005】
本開示の課題は、PET又はPIと銅との接着性に優れ、かつ十分な柔軟性を有する接着層を形成することができる接着剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る接着剤は、(A)エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂と、(B)2官能エポキシ樹脂とを含有する。前記(A)カルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有するアクリル系共重合体と、エチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物との反応生成物である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、PET又はPIと銅との接着性に優れ、かつ十分な柔軟性を有する接着層を形成することができる接着剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<接着剤>
本実施形態の接着剤(以下、接着剤(X)ともいう)は、(A)エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂(以下、(A)カルボキシル基含有樹脂ともいう)と、(B)2官能エポキシ樹脂とを含有する。(A)カルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有するアクリル系共重合体と、エチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物との反応生成物である。
【0009】
発明者らは、本開示の課題を解決するため、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ樹脂とを反応させて硬化する接着剤において、PET又はPI及び銅への接着性と、接着層の柔軟性とを両立させる方法について鋭意検討を行った。その結果、カルボキシル基含有樹脂と反応させるエポキシ樹脂として、2官能エポキシ樹脂を用い、かつカルボキシル基含有樹脂が(メタ)アクリル酸ブチル単位を有すること、加えて、カルボキシル基含有樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を有する構造とすると、PET又はPIと銅との優れた接着性と接着層の十分な柔軟性とを両立させることができることを見出し、発明を完成させた。
【0010】
本実施形態の接着剤(X)によれば、PET又はPIと銅との接着性に優れ、かつ十分な柔軟性を有する接着層を形成することができる。接着剤(X)が、前記構成を備えることで、前記効果を奏する理由については、必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、(A)カルボキシル基含有樹脂が(メタ)アクリル酸ブチル単位を有することと、(A)カルボキシル基含有樹脂と反応させるエポキシ樹脂として(B)2官能エポキシ樹脂を用いることとにより、接着剤(X)から形成される接着層の柔軟性を向上させることができると考えられ、また、この接着層の柔軟性の向上と、エチレン性不飽和基の作用とにより、PET、PI及び銅に対し、特にPIに対し、接着性を向上させることができ、その結果、接着性の向上と柔軟性の向上とを両立させることができると考えられる。
【0011】
接着剤(X)は、(A)カルボキシル基含有樹脂及び(B)2官能エポキシ樹脂に加えて、(C)ブロックイソシアネート化合物、(D)熱硬化触媒、(E)ゴム粒子、(F)黒色着色剤、及び/又は(G)酸化チタンをさらに含有することが好ましく、本開示の効果を損なわない範囲において、(A)~(G)成分以外のその他の成分を含有していてもよい。以下、各成分について説明する。
【0012】
[(A)カルボキシル基含有樹脂]
(A)カルボキシル基含有樹脂は、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂であり、すなわち、エチレン性不飽和基とカルボキシル基とを有する樹脂である。(A)カルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有するアクリル系共重合体(以下、(a1)共重合体ともいう)と、エチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物(以下、(a2)化合物ともいう)との反応生成物であり、すなわち、(a1)共重合体と、(a2)化合物とを反応させることにより得られる。(A)カルボキシル基含有樹脂は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0013】
((a1)共重合体)
(a1)共重合体は、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有するアクリル系共重合体である。「(メタ)アクリ」とは、アクリ及びメタクリの一方又は両方を意味する。「アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリル構造を含む単位を主構造単位とする共重合体をいい、例えば(a1)共重合体を構成する全単位に対する(メタ)アクリル構造を含む単位の割合が、例えば50質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは100質量%である共重合体をいう。「カルボキシル基含有単位」とは、カルボキシル基を含む構造単位をいう。「(メタ)アクリル酸ブチル単位」とは、(メタ)アクリル酸ブチルに由来する構造単位をいう。(a1)共重合体は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。
【0014】
(a1)共重合体は、カルボキシル基含有単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位以外の他の単位を有していてもよい。
【0015】
カルボキシル基含有単位を与える単量体としては、例えばアリルカルボン酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2-プロペノイックアシッド,3-(2-カルボキシエトキシ)-3-オキシプロピルエステル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルテトラヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ω-カルボキシ-ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。カルボキシル基含有単位は、(メタ)アクリル酸単位を含むことが好ましく、メタクリル酸単位を含むことがより好ましい。
【0016】
(メタ)アクリル酸ブチルとしては、例えば(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸iso-ブチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸ブチル単位は、(メタ)アクリル酸n-ブチル単位を含むことが好ましい。
【0017】
他の単位を与える単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル等の(メタ)アクリル酸ブチル以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどの(メタ)アクリル酸エステル、エチレン等のオレフィン、スチレン等のビニル芳香族化合物、(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリルなどが挙げられる。他の単位は、(メタ)アクリル酸メチル単位を含むことが好ましく、メタクリル酸メチル単位を含むことがより好ましい。
【0018】
(a1)共重合体は、(メタ)アクリル酸単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有する共重合体を含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸単位、(メタ)アクリル酸メチル単位及び(メタ)アクリル酸ブチル単位を有する共重合体を含むことがより好ましく、メタクリル酸単位、メタクリル酸メチル単位及びメタクリル酸ブチル単位を有する共重合体を含むことがさらに好ましく、メタクリル酸-メタクリル酸メチル-メタクリル酸ブチル共重合体を含むことが特に好ましい。
【0019】
(a1)共重合体を構成する全単位に対するカルボキシル基含有単位の割合は、10質量%以上60質量%以下であることが好ましい。この場合、接着性をより向上させることができる。この割合は、20質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、25質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
【0020】
(a1)共重合体の全単位に対する(メタ)アクリル酸ブチル単位の割合は、3質量%以上40質量%以下であることが好ましい。この場合、接着性と柔軟性とをより向上させることができる。この割合は、4質量%以上37質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが特に好ましい。
【0021】
(a1)共重合体の全単位に対する他の単位の割合は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上70質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上65質量%以下であることがさらに好ましい。(a1)共重合体の合成には、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステル以外の単量体を用いないことが好ましい。
【0022】
(a1)共重合体は、カルボキシル基含有単位を与える単量体、(メタ)アクリル酸ブチル、及び必要に応じて、他の単位を与える単量体を、ラジカル重合開始剤の存在下、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶媒中で重合反応を行うことにより合成することができる。
【0023】
ラジカル重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビスイソブチレート等のアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤などが挙げられる。
【0024】
(a1)共重合体を得る重合反応の温度は、例えば50℃以上100℃以下であり、70℃以上90℃以下であることが好ましい。この重合反応の時間は、例えば1時間以上10時間以下であり、3時間以上7時間以下であることが好ましい。
【0025】
((a2)化合物)
(a2)化合物は、エチレン性不飽和基を有するエポキシ化合物であり、すなわち、エチレン性不飽和基とエポキシ基とを有する化合物である。「エチレン性不飽和基」とは、エチレン性の炭素-炭素二重結合を含む基をいい、芳香環等における共役炭素-炭素二重結合を含む基を含まないことを意味する。
【0026】
エチレン性不飽和基としては、例えばビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等が挙げられる。エチレン性不飽和基は、(メタ)アクリロイル基を含むことが好ましい。
【0027】
(a2)化合物は、エチレン性不飽和基とエポキシ基とをそれぞれ1又は2以上有していてもよい。(a2)化合物中のエチレン性不飽和基の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。(a2)化合物中のエポキシ基の数は、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0028】
(a2)化合物が含むエポキシ基としては、例えば脂肪族エポキシ基、脂環式エポキシ基等が挙げられる。
【0029】
脂肪族エポキシ基を含む基としては、例えばグリシジル基、β-メチルグリシジル基、4,5-エポキシペンチル基等が挙げられる。
【0030】
脂肪族エポキシ基を有する(a2)化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、クロトン酸グリシジル、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸4,5-エポキシペンチル、α-エチルアクリル酸グリシジル等が挙げられる。(a2)化合物は、(メタ)アクリル酸グリシジルを含むことが好ましく、メタクリル酸グリシジルを含むことがより好ましい。
【0031】
脂環式エポキシ基を含む基としては、例えば3,4-エポキシシクロヘキシルメチル基、2,3-エポキシシクロヘキシルメチル基等のエポキシシクロヘキシルメチル基、エポキシシクロペンチルメチル基、エポキシトリシクロデシルメチル基などが挙げられる。
【0032】
脂環式エポキシ基を有する(a2)化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2,3-エポキシシクロヘキシルメチル等の(メタ)アクリル酸エポキシシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。(a2)化合物は、(メタ)アクリル酸エポキシシクロヘキシルメチルを含むことが好ましく、(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチルを含むことがより好ましく、アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシルメチルを含むことがさらに好ましい。
【0033】
(a2)化合物は、脂肪族エポキシ基及び脂環式エポキシ基の少なくとも一方を含むことが好ましく、脂環式エポキシ基を含むことがより好ましい。この場合、PIと銅との接着性をより向上させることができる。
【0034】
(a1)共重合体のカルボキシル基が、(a2)化合物のエポキシ基に付加反応することにより、(A)カルボキシル基含有樹脂が得られる。
【0035】
反応に用いる(a1)共重合体に対する(a2)化合物の質量比((a2)/(a1)は、0.05以上1以下であることが好ましい。この場合、接着性と柔軟性とをより向上させることができる。この質量比は、0.1以上0.5以下であることがより好ましく、0.15以上0.3以下であることがさらに好ましい。
【0036】
(a1)共重合体と(a2)化合物との反応は、例えば(a1)共重合体の重合反応液に、(a2)化合物、ハイドロキノン等の重合禁止剤及びジメチルベンジルアミン等の付加反応触媒を加えることにより進行させることができる。この反応の温度は、例えば80℃以上150℃以下であり、100℃以上120℃以下であることが好ましい。この反応の時間は、例えば2時間以上24時間以下であり、5時間以上15時間以下であることが好ましい。
【0037】
(A)カルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上50000以下であることが好ましい。この場合、接着性及び柔軟性をより向上させることができる。(A)カルボキシル基含有樹脂のMwは、10000以上40000以下であることがより好ましく、15000以上30000以下であることがさらに好ましい。(A)カルボキシル基含有樹脂のMwは、通常、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量測定結果から算出される値である。GPCによる分子量測定は、例えば下記条件の下で行うことができる。
【0038】
GPC装置:昭和電工社製のSHODEX SYSTEM 11
カラム:昭和電工社製のSHODEX KF-800P、KF-005、KF-003及びKF-001の4本直列
移動相:テトラヒドロフラン
流量:1mL/分
カラム温度:45℃
検出器:示差屈折率(RI)検出器
標準物質:ポリスチレン
【0039】
(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましい。この場合、接着性及び柔軟性をより向上させることができる。(A)カルボキシル基含有樹脂の酸価は、70mgKOH/g以上140mgKOH/g以下であることがより好ましく、100mgKOH/g以上130mgKOH/g以下であることがさらに好ましい。「酸価」とは、(A)カルボキシル基含有樹脂の固形分1gを中和するのに必要な水酸化カリウムのmg数をいう。
【0040】
(A)カルボキシル基含有樹脂は、脂環式骨格を有することが好ましい。すなわち、(a1)共重合体及び(a2)化合物の少なくともいずれかが脂環式骨格を有することが好ましい。この場合、接着性及び柔軟性をより向上させることができる。この脂環式骨格は、(a1)共重合体及び(a2)化合物のいずれに由来していてもよい。
【0041】
(A)カルボキシル基含有樹脂の接着剤(X)に対する割合は、例えば20質量%以上70質量%以下であり、30質量%以上60質量%以下であることが好ましい。
【0042】
[(B)成分]
(B)成分は、2官能エポキシ樹脂である。「2官能エポキシ樹脂」とは、1分子中に、2個のエポキシ基を有する樹脂をいう。(B)2官能エポキシ樹脂は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0043】
(B)2官能エポキシ樹脂としては、例えば下記式(1)で表される化合物等が挙げられる。
【0044】
【0045】
A1及びA2は、それぞれ独立して、炭素数1以上50以下の2価の有機基である。R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、硫黄原子又は炭素数1以上50以下の2価の有機基である。E1及びE2は、それぞれ独立して、エポキシ基を含む1価の基である。nは、0以上10以下の整数である。nが2以上の場合、複数のA1は同一でも異なっていてもよく、複数のR2は同一でも異なっていてもよい。
【0046】
「有機基」とは、少なくとも1個の炭素原子を含む基をいう。A1及びA2で表される有機基としては、例えばビスフェノールから2個のフェノール性水酸基の水素原子を除いた基、ジオールから2個のアルコール性水酸基の水素原子を除いた基、ジカルボン酸から2個のカルボキシル基の水素原子を除いた基などが挙げられる。
【0047】
ビスフェノールとしては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールE、ビフェノール、ハイドロキノン等が挙げられる。ジオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、水添ビスフェノールS、水添ビスフェノールE等の水添ビスフェノールなどが挙げられる。ジカルボン酸としては、例えばシュウ酸、コハク酸、アジピン酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。
【0048】
R1、R2及びR3で表される2価の有機基としては、例えばエタンジイル基等のアルカンジイル基;ヒドロキシプロパンジイル基等のヒドロキシアルカンジイル基;エチレングリコール基、プロピレングリコール基等のアルキレングリコール基;ポリエチレングリコール基、ポリプロピレングリコール基等のポリアルキレングリコール基などが挙げられる。R1及びR3は、単結合を含むことが好ましい。R2は、ヒドロキシアルカンジイル基を含むことが好ましく、ヒドロキシプロパンジイル基を含むことがより好ましい。
【0049】
E1及びE2におけるエポキシ基を含む基としては、例えば前述の(a2)化合物における脂肪族エポキシ基、脂環式エポキシ基等を含む基と同様の基などが挙げられる。E1及びE2で表されるエポキシ基を含む基としては、例えばエポキシ基、グリシジル基、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル基等が挙げられる。
【0050】
式(1)のnは、0以上5以下であることが好ましく、1以上4以下であることがより好ましく、2以上3以下であることがさらに好ましい。
【0051】
(B)2官能エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂:ナフタレン環含有エポキシ樹脂;水添ビスフェノール型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;アダマンタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。(B)2官能エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂を含むことが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むことがより好ましく、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を含むことがさらに好ましい。この場合、柔軟性をより向上させることができる。
【0052】
(B)2官能エポキシ樹脂のエポキシ当量は、100g/eq以上800g/eq以下であることが好ましく、300g/eq以上600g/eq以下であることがより好ましい。「エポキシ当量」とは、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量(グラム数)をいう(単位:g/eq)。
【0053】
(B)2官能エポキシ樹脂の割合は、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対して、30質量部以上300質量部以下であることが好ましい。この場合、柔軟性をより向上させることができる。この割合は、70質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、90質量部以上160質量部以下であることがさらに好ましい。
【0054】
(B)2官能エポキシ樹脂の接着剤(X)の固形成分に対する割合は、20質量%以上80質量%以下であることが好ましく、30質量%以上65質量%以下であることがより好ましい。「固形成分」とは、接着剤(X)における溶媒以外の成分をいう。
【0055】
[(C)成分]
(C)成分は、ブロックイソシアネート化合物である。「ブロックイソシアネート化合物」とは、イソシアネートのイソシアネート基(-N=C=O)がブロック剤との反応によりブロックされて、不活性化された化合物である。(C)ブロックイソシアネート化合物は、接着剤(X)を加熱すると、イソシアネート基を生じる。(C)ブロックイソシアネート化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0056】
接着剤(X)は、(A)カルボキシル基含有樹脂及び(B)2官能エポキシ樹脂に加えて、(C)ブロックイソシアネート化合物を含有すると、接着性を低下させることなく、柔軟性をより向上させることができる。
【0057】
イソシアネートとしては、例えばジイソシアネート、トリイソシアネート及びこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体等の多量体などが挙げられる。
【0058】
ジイソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。
【0059】
イソシアネートとしては、ジイソシアネート、トリイソシアネート及びこれらの多量体を含むことが好ましく、ジイソシアネート及びこれらの多量体を含むことがより好ましく、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びこれらの多量体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことがさらに好ましい。
【0060】
ブロック剤としては、例えばメチルエチルケトオキシム、メチルイソアミルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム化合物;γ-ブチロラクタム、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクタム、プロピオラクタムなどのラクタム化合物;フェノール、クレゾール、カテコール、ニトロフェノール、1-ナフトール等のフェノール化合物;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノール、トリメチロールプロパン、2-エチルヘキサノール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール化合物;マロン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、アセト酢酸アルキルエステル、アセチルアセトン等の活性メチレン化合物;ピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール、3,5-ジイソプロピルピラゾール、3,5-ジフェニルピラゾール、3,5-ジ-t-ブチルピラゾール、3-メチルピラゾール、4-ベンジル-3,5-ジメチルピラゾール、3-メチル-5-フェニルピラゾール等のピラゾール化合物などが挙げられる。ブロック剤は、1種又は2種以上を用いてもよい。
【0061】
接着剤(X)が(C)ブロックイソシアネート化合物を含有する場合、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対する(C)ブロックイソシアネート化合物の割合は、10質量部以上100質量部以下であることが好ましい。この場合、柔軟性をより向上させることができる。この割合は、25質量部以上75質量部以下であることがより好ましく、30質量部以上60質量部以下であることがさらに好ましい。
【0062】
接着剤(X)が(C)ブロックイソシアネート化合物を含有する場合、(C)ブロックイソシアネート化合物の接着剤(X)の固形成分に対する割合は、3質量%以上40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上25質量%以下であることがより好ましい。
【0063】
[(D)成分]
(D)成分は、熱硬化触媒である。「熱硬化触媒」とは、加熱により(A)カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と(B)2官能エポキシ樹脂のエポキシ基との反応を促進する触媒を意味する。(D)熱硬化触媒は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0064】
接着剤(X)は、(C)ブロックイソシアネート化合物を含有し、(D)熱硬化触媒を含有しない場合、(A)カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基が(B)2官能エポキシ樹脂のエポキシ基と反応する前に、(C)ブロックイソシアネート化合物から生じたイソシアネート基との反応が起こり易くなり、その結果、二酸化炭素が発生し、接着層中に泡が含まれ易くなり、接着層の表面性が低下する場合がある。接着剤(X)が、(C)ブロックイソシアネート化合物を含有する場合に、(D)熱硬化触媒を含有すると、(A)カルボキシル基含有樹脂のカルボキシル基と(B)2官能エポキシ樹脂のエポキシ基との反応が促進され、その結果、(C)ブロックイソアネート化合物のイソシアネート基は、この反応により生じた水酸基と優先的に反応するため、接着層中の泡の発生を抑制することができ、接着層の表面性を向上させることができると考えられる。
【0065】
(D)熱硬化触媒としては、例えばベンジルジメチルアミン、4-メチル-N,N-ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、4-(ジメチルアミノ)-N,N-ジメチルベンジルアミン等の第3級アミン;トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、メチルトリエチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩;イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、4-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-(2-シアノエチル)-2-エチル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体;アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等のヒドラジン化合物;トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン化合物;トリフェニルスチビン等のスチビン化合物;ジシアンジアミドなどが挙げられる。(D)熱硬化触媒は、ホスフィン化合物を含むことが好ましく、トリフェニルホスフィンを含むことがより好ましい。
【0066】
接着剤(X)が(D)熱硬化触媒を含有する場合、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対する(D)熱硬化触媒の割合は、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましく、0.5質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがさらに好ましい。
【0067】
接着剤(X)が(D)熱硬化触媒を含有する場合、(D)熱硬化触媒の接着剤(X)の固形成分に対する割合は、0.05質量%以上5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上3質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以上1.5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0068】
接着剤(X)が(C)ブロックイソシアネート化合物及び(D)熱硬化触媒を含有する場合、(C)ブロックイソシアネート化合物に対する(D)熱硬化触媒の質量比((D)/(C))は、0.001以上1以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることがより好ましい。
【0069】
[(E)成分]
(E)成分は、ゴム粒子である。「ゴム粒子」とは、ゴムを含有する粒子をいい、ゴムを通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上含有する粒子をいう。接着剤(X)は、(E)ゴム粒子を含有すると、柔軟性をより向上させることができる。(E)ゴム粒子の平均粒径は、例えば体積基準の50%累積粒子径(D50)が0.01μm以上10μm以下である。
【0070】
(E)ゴム粒子としては、特に限定されず、公知のゴム種の少なくともいずれかを含有する粒子を用いることができる。(E)ゴム粒子は、1種又は2種以上を用いることができる。ゴムとしては、例えば架橋ブタジエンゴム、架橋アクリルゴム、架橋アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、架橋水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム(HNBR)、架橋アクリロニトリル・ブタジエン・イソプレンゴム(NBIR)、架橋メタクリル酸メチル・ブタジエン・スチレンゴム(MBS)、架橋スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、架橋フッ素ゴム等が挙げられる。フッ素ゴムとしては、例えば四フッ化エチレン系ゴム、四フッ化エチレンプロピレン系ゴム、フッ化ビニリデン系ゴム、四フッ化エチレン-パーフルオロメチルビニルエーテル系ゴム等が挙げられる。ゴムは、架橋ブタジエンゴム、架橋アクリルゴム、架橋NBR、架橋MBS及び架橋SBRからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。(E)ゴム粒子は、ゴム粒子分散型エポキシ樹脂の形態で添加してもよい。
【0071】
接着剤(X)が(E)ゴム粒子を含有する場合、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対する(E)ゴム粒子の割合は、1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。この場合、柔軟性をより向上させることができる。この割合は、3質量部以上20質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上15質量部以下であることがさらに好ましい。
【0072】
接着剤(X)が(E)ゴム粒子を含有する場合、(E)ゴム粒子の接着剤(X)の固形成分に対する割合は、0.5質量%以上15質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以上7.5質量%以下であることがさらに好ましい。
【0073】
[(F)成分]
(F)成分は、黒色着色剤である。接着剤(X)は、黒色隠蔽性が求められる用途において、(F)黒色着色剤を含有すると、接着層に隠蔽性を付与することができる。また、接着剤(X)は、(F)黒色着色剤を含有することで、ラミネート時の樹脂流れを抑制することができ、樹脂流れ耐性をより向上させることができる。(F)黒色着色剤は、1種又は2種以上を用いることができる。
【0074】
(F)黒色着色剤としては、例えばカーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック、ラクラムブラック、チタンブラック、グラファイト、シアニンブラック、無機顔料ヘマタイト、活性炭、二硫化モリブデン、クロム錯体、アントラキノン系着色剤等が挙げられる。(F)黒色着色剤は、カーボンブラック、ペリレンブラック、アニリンブラック、ラクタムブラック及びチタンブラックからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0075】
接着剤(X)が(F)黒色着色剤を含有する場合、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対する(F)黒色着色剤の割合は、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。この場合、接着層の隠蔽性をより向上させることができる。この割合は、3質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、5質量部以上20質量部以下であることがさらに好ましい。
【0076】
接着剤(X)が(F)黒色着色剤を含有する場合、(F)黒色着色剤の接着剤(X)の固形成分に対する割合は、0.5質量%以上25質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、2.5質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0077】
[(G)成分]
(G)成分は、酸化チタンである。接着剤(X)は、(F)黒色着色剤と併用して、(G)酸化チタンを含有すると、接着層に隠蔽性をさらに付与することができる。
【0078】
(G)酸化チタンとしては、例えばルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、ラムスデライト型酸化チタン等が挙げられる。(G)酸化チタンは、ルチル型酸化チタンを含むことが好ましい。ルチル型酸化チタンは、塩素法で製造されたものであっても、硫酸法で製造されたものであってもよい。(G)酸化チタンは、1種又は2種以上を用いることができる。
【0079】
接着剤(X)が(G)酸化チタンを含有する場合、(A)カルボキシル基含有樹脂100質量部に対する(G)酸化チタンの割合は、1質量部以上80質量部以下であることが好ましい。この場合、接着層の隠蔽性をより向上させることができる。この割合は、5質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、20質量部以上60質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以上55質量部以下であることが特に好ましい。
【0080】
接着剤(X)が(G)酸化チタンを含有する場合、(G)酸化チタンの接着剤(X)の固形成分に対する割合は、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、2.5質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることがさらに好ましい。
【0081】
接着剤(X)が(F)黒色着色剤及び(G)酸化チタンを含有する場合、(G)酸化チタンの(F)黒色着色剤に対する質量比((G)/(F))は、1以上10以下であることが好ましく、1.5以上5以下であることがより好ましい。
【0082】
[その他の成分]
その他の成分としては、例えば(E)ゴム粒子以外の他の有機フィラー、(G)酸化チタン以外の他の無機フィラー、(F)黒色着色剤以外の他の着色剤、密着性付与剤、レオロジーコントロール剤、レベリング剤、チクソトロピー剤、重合禁止剤、ハレーション防止剤、難燃剤、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。他の有機フィラーとしては、例えばアクリル樹脂粒子等が挙げられる。他の無機フィラーとしては、例えばシリカ等が挙げられる。接着剤(X)は、熱重合開始剤を含有しないことが好ましく、熱重合開始剤及び光重合開始剤を含有しないことがより好ましい。
【0083】
<接着剤の調製方法>
接着剤(X)は、(A)カルボキシル基含有樹脂及び(B)2官能エポキシ樹脂、並びに必要に応じて、(C)~(G)成分及びその他の成分等を混合することにより、調製することができる。混合方法としては、例えば三本ロール、ボールミル、サンドミル等を用いる方法などが挙げられる。
【実施例0084】
以下、本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示は実施例のみに限定されるものではない。
【0085】
<(A)カルボキシル基含有樹脂の合成>
[合成例1]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル57質量部、メタクリル酸ブチル10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル188質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度35質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル社製の「サイクロマーA-400」)25質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂A-1の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂A-1の重量平均分子量は22000であった。また、カルボキシル基含有樹脂A-1の酸価は113mgKOH/gであった。
【0086】
[合成例2]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル57質量部、メタクリル酸ブチル10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル177.75質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度36質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、メタクリル酸グリシジル18.5質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂A-2の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂A-2の重量平均分子量は20000であった。また、カルボキシル基含有樹脂A-2の酸価は119mgKOH/gであった。
【0087】
[合成例3]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル62質量部、メタクリル酸ブチル5質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル188質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度35質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル社製の「サイクロマーA-400」)25質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂A-3の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂A-3の重量平均分子量は21000であった。また、カルボキシル基含有樹脂A-3の酸価は113mgKOH/gであった。
【0088】
[合成例4]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル32質量部、メタクリル酸ブチル35質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル188質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度35質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル社製の「サイクロマーA-400」)25質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂A-4の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂A-4の重量平均分子量は24000であった。また、カルボキシル基含有樹脂A-4の酸価は113mgKOH/gであった。
【0089】
[比較合成例1]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル57質量部、メタクリル酸ブチル10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル150質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、カルボキシル基含有樹脂B-1の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂B-1の重量平均分子量は18000であった。また、カルボキシル基含有樹脂B-1の酸価は213mgKOH/gであった。
【0090】
[比較合成例2]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル57質量部、メタクリル酸ブチル10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル210質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度33質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、C12、13混合高級アルコールグリシジルエーテル(共栄社化学社製の「エポライトM-1230」)40質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂B-2の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂B-2の重量平均分子量は25000であった。また、カルボキシル基含有樹脂B-2の酸価は101mgKOH/gであった。
【0091】
[比較合成例3]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル67質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル188質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度35質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル社製の「サイクロマーA-400」)25質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂B-3の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂B-3の重量平均分子量は21000であった。また、カルボキシル基含有樹脂B-3の酸価は113mgKOH/gであった。
【0092】
[比較合成例4]
還流冷却器、温度計、窒素置換用ガラス管及び攪拌機を取り付けた四つ口フラスコ中に、メタクリル酸33質量部、メタクリル酸メチル57質量部、スチレン10質量部、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル188質量部、及びアゾビスイソブチロニトリル3質量部を加えた。この四つ口フラスコ内の液を窒素気流下、80℃で5時間加熱して重合反応を進行させることで、濃度35質量%の共重合体溶液を得た。
この共重合体溶液に、ハイドロキノン0.05質量部、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート(ダイセル社製の「サイクロマーA-400」)25質量部、及びジメチルベンジルアミン0.5質量部を加え、110℃で10時間加熱することで付加反応を進行させた。これにより、エチレン性不飽和基を有するカルボキシル基含有樹脂B-4の40質量%溶液を得た。カルボキシル基含有樹脂B-4の重量平均分子量は24000であった。また、カルボキシル基含有樹脂B-4の酸価は113mgKOH/gであった。
【0093】
<接着剤の調製>
[実施例1~12及び比較例1~6]
表1に示す成分を必要に応じて3本ロールで混錬してから、フラスコ内に加え、温度35℃で撹拌混合することで、接着剤を調製した。なお、表1に示す成分の詳細は次の通りである。
((B)成分)
・エポキシ樹脂Aの70質量%溶液:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製の「YDF-2001」、エポキシ当量475g/eq)を固形分含有量で70質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた溶液。
・エポキシ樹脂Bの70質量%溶液:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(日鉄ケミカル&マテリアル社製の「YD-011」、エポキシ当量475g/eq)を固形分含有量で70質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた溶液。
・エポキシ樹脂Cの70質量%溶液:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製の「EPICLON N-695」、エポキシ当量214g/eq)を固形分含有量で70質量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに溶解させた溶液。
((C)成分)
・ブロックイソシアネート:旭化成社製の「デュラネートE402-B80T」、メチルエチルケトオキシムブロック化・ヘキサメチレンジイソシアネートのアダクト体(固形分80質量%/トルエン)(特開2015-108049号公報参照)。
((D)成分)
・熱硬化触媒:トリフェニルホスフィン。
((E)成分)
・ゴム粒子分散型エポキシ樹脂:カネカ社製の「カネエースMX-136」、平均粒径0.1μmのブタジエンゴム粒子25%分散型ビスフェノールF型エポキシ樹脂、231g/eq。
((F)成分)
・黒色着色剤:カーボンブラック。
((G)成分)
・酸化チタン:ルチル型酸化チタン、石原産業社製の「CR-90」。
【0094】
<評価>
[テストピースの作製]
前記調製した接着剤から、テストピースを次のようにして作製した。
ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethyleneterephthalate)製、又はポリイミド(PI)製のフィルム上に、前記調製した接着剤を適量のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで希釈した後、アプリケーターで塗布することにより、湿潤塗膜を形成した。この湿潤塗膜に、120℃、5分間の条件で、加熱乾燥を行い、PET製又はPI製のフィルム上に厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を作製した。
【0095】
(1)PETと銅との接着性
厚み17.5μmの銅箔を備えたガラスエポキシ銅張積層板(FR-4タイプ)の銅箔側に、PET製フィルム上に形成した厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を張り合わせ、真空ラミネーターで加熱ラミネートした。加熱ラミネートの条件は、圧力0.5MPa、加熱温度100℃、加熱時間45秒間である。加熱ラミネートを行った後、続いて、2枚の基板を加熱温度100℃、加熱時間60分の条件で加熱した。加熱を行った後、JIS-C-6481の銅張積層板の銅箔の密着強度を測定する方法に準拠して、密着強度を測定し、接着性を以下の基準で評価した。
A:密着強度が0.8kN/mより高い。
B:密着強度が0.5kN/mより高く、0.8kN/m以下である。
C:密着強度が0.2kN/mより高く、0.5kN/m以下である。
D:密着強度が0.2kN/m以下である。
【0096】
(2)PIと銅との接着性
厚み17.5μmの銅箔を備えたガラスエポキシ銅張積層板(FR-4タイプ)の銅箔側に、PI製フィルム上に形成した厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を張り合わせ、真空ラミネーターで加熱ラミネートした。加熱ラミネートの条件は、圧力0.5MPa、加熱温度100℃、加熱時間45秒間である。加熱ラミネートを行った後、続いて、2枚の基板を加熱温度150℃、加熱時間60分の条件で加熱した。加熱を行った後、JIS-C-6481の銅張積層板の銅箔の密着強度を測定する方法に準拠して、密着強度を測定し、接着性を以下の基準で評価した。
A:密着強度が0.8kN/mより高い。
B:密着強度が0.5kN/mより高く、0.8kN/m以下である。
C:密着強度が0.2kN/mより高く、0.5kN/m以下である。
D:密着強度が0.2kN/m以下である。
【0097】
(3)柔軟性(屈曲性)
PI製のフィルム上に厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を形成したテストピースを150℃で60分間加熱した後、JIS-K-5600-5-1の耐屈曲性(円筒形マンドレル法)を評価する方法に準拠して、屈曲性の評価を行い、以下の基準で評価した。
A:直径2mmのマンドレルを用いて、屈曲性試験を行った結果、接着層の割れや、基材からのはがれが見られず、追加でマンドレル無しで180°折り曲げを行っても、接着層の割れや、基材からのはがれが見られなかった。
B:直径2mmのマンドレルを用いて、屈曲性試験を行った結果、接着層の割れや、基材からのはがれが見られなかったが、追加でマンドレル無しで180°折り曲げを行った結果、接着層の割れや、基材からのはがれが見られた。
C:直径4mmのマンドレルを用いて、屈曲性試験を行った結果、接着層の割れや、基材からのはがれが見られなかったが、直径2mmのマンドレルを用いて、屈曲性試験を行った結果、接着層の割れや、基材からのはがれが見られた。
D:直径4mmのマンドレルを用いて、屈曲性試験を行った結果、接着層の割れや、基材からのはがれが見られた。
【0098】
(4)表面性
PI製のフィルム上に厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を形成したテストピースを150℃で60分間加熱した後、接着層を観察し、表面性を以下の基準で評価した。
A:ハジキや泡の発生がなく、綺麗な表面状態であった。
B:わずかに泡の発生が見られた。
C:泡の発生が多く見られた。
D:ハジキが発生し、均一な表面が形成できなかった。
【0099】
(5)樹脂流れ耐性
厚み17.5μmの銅箔を備えたガラスエポキシ銅張積層板(FR-4タイプ)の銅箔側に、PI製フィルム上に形成した厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を張り合わせ、真空ラミネーターで加熱ラミネートした。加熱ラミネートの条件は、圧力0.5MPa、加熱温度100℃、加熱時間45秒間である。加熱ラミネートを行った後、基板を観察し、接着層のはみ出し(樹脂流れ)の有無の評価を行った。
A:接着剤のはみ出しは見られなかった。
B:接着剤のはみ出しが、部分的に若干あった。
C:接着剤のはみ出しが、部分的に多く見られた。
D:接着剤のはみ出しが、全体に見られた。
【0100】
(6)隠蔽性
PI製のフィルム上に厚み5μmの皮膜(乾燥皮膜)を形成したテストピースを150℃で60分間加熱した後、テストピースを観察し、隠蔽性を以下の基準で評価した。
A:隠蔽性が強く、ほとんど透けない。
B:隠蔽性が適度に強く、若干透ける。
C:隠蔽性が若干あるが、透ける。
D:隠蔽性が全くない。
【0101】
【0102】
表1の結果から分かるように、実施例1~12の接着剤は、PET又はPIと銅との接着性に優れると共に、接着層が十分な柔軟性を有している。一方、比較例1~6の接着剤は、PET又はPIと銅との接着性と、接着層の柔軟性とを両立させることができていない。