(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034206
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】接触面積低減ティッシュボックス
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20230306BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20230306BHJP
A47K 10/42 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
B65D83/08 A
A47K10/20 A
A47K10/42 A
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140329
(22)【出願日】2021-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-27
(71)【出願人】
【識別番号】508254129
【氏名又は名称】株式会社プラネット
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 忠樹
(72)【発明者】
【氏名】大成 珠生
【テーマコード(参考)】
3E014
【Fターム(参考)】
3E014LA09
(57)【要約】
【課題】
テーブルや机の表面に存在する雑菌や湿気等との物理的接触を断つ、特に医療施設等で有用に用いられる接触面積低減ティッシュボックスを提供せんとする。
【解決手段】
ティッシュボックスに、長手方向側面部(a2)の外端線より長手方向に延出された糊しろ部(a2-1)の幅方向中央部に切り取り線と折り目線を設け、切り取り線と折り目線から簡単に形成される脚部により、ティッシュボックスとテーブルや机の表面に存在する雑菌や湿気等の物理的接触を断つ。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティッシュペーパー等の紙類を交互に畳み込んで収納する直方体状の容器であって、
この容器は、上面部(a1)、長手方向側面部(a2)、幅方向側面部(a3)、底面部(a4)からなり、
上面部(a1)は中央に任意形状の開口予定部(a1-1)を有し、
長手方向側面部(a2)は長手方向に糊しろ部(a2-1)が延出され、幅方向両側面部(a3)にはそれぞれ長手方向両端に糊しろ部が形成され、底面部(a4)には長手方向両端及び幅方向に糊しろ部が形成され、
長手方向側面部(a2)の外端線(h)より長手方向に延出された糊しろ部(a2-1)の幅方向中央部に切り取り線(c1)と折り目線(f1)が設けられてなる容器。
【請求項2】
長手方向側面部(a2)の外端線(h)より長手方向に延出された糊しろ部(a2-1)の幅方向中央部に切り取り線(c1)と折り目線(f1)、(f2)が設けられてなる請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触面積低減ティッシュボックスに関わり、さらに詳しくは、ティッシュボックスの底面に脚部を有する接触面積低減ティッシュボックスの提供にある。
【背景技術】
【0002】
従来技術のティッシュボックスは、
図1(外観図)及び
図2(展開図)に示すティッシュボックス(T)の形状を備えている。
このティッシュボックス(T)には、通常200組400枚程度の枚数のティッシュ(t)が折り畳まれた形で収納されており、その枚数を使い切るまでの比較的長期間、テーブルや机の上に直置きされたまま使用される。
【0003】
昨今、一層の衛生面重視の観点から、雑菌との接触をできるだけ避けるよう、あらゆる方面で、非接触型の製品が普及しつつある。
一般に、ティッシュボックス(T)は、底面全体がテーブルや机に長期間接触したまま使用される。
このような状態では、ティッシュボックス(T)に対し、雑菌との接触はもとより、汚れ、湿気などの付着・吸着が進む。
特に、徹底した衛生管理が求められる病院等の医療施設においては注視すべき問題であり、実際、医療施設においては大量のティッシュボックスが使用されることから、清潔さの維持という観点からティッシュボックスの構造を考察することは重要である。
ティッシュボックス(T)のテーブルや机の上に載置する際に接触面積を小さくするために、特許文献1で開示された技術が存在する。
このティッシュボックスは、
図3(1)に示す如く、ティッシュボックスの容器(1)の折り目線(2)、(2’)(2点鎖線)と切り取り線(3)、(3’)(点線)を設け、切り取り線(3)、(3’)に従い切除した後、折り目(2)、(2’)を折り込んで、容器(1)に脚部(L)を4隅に形成する技術が開示されている。
上述の容器(1)に形成される脚部(L)では、テーブルや机との接触面積が大きく、また、切り取り線(3)、(3’)に従い切除した後、折り目(2)、(2’)を折り込んで脚部(L)を形成する作業は手間が大きいという欠点が有った。
容器(1)が開封間もなく、ティッシュがまだ容器一杯に存在する段階では、折り目(2)、(2’)を折り込んで脚部(L)を形成することが不可能であるという問題が有った。
【0004】
特許文献2で開示された技術が存在するが、このティッシュボックスも、
図3(2)に示す如く、ティッシュペーパー(B)がまだ容器一杯に存在する段階では脚部(4a)、(4b)の形成が不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭62―191682号公報
【特許文献2】実開昭61―153775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑み、延出させた長手方向側面部の糊しろ部に切り取り線及び折り目線を設けるという簡便かつ実効的な手段で、ティッシュボックスに従来よりも接触面積を格段に低減する脚部を形成し、テーブルや机の表面に存在する雑菌や湿気等との物理的接触を断つ接触面積低減ティッシュボックスを提供せんとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、ティッシュペーパー等の紙類を交互に畳み込んで収納する直方体状の容器であって、
この容器は、上面部(a1)、長手方向側面部(a2)、幅方向側面部(a3)、底面部(a4)からなり、
上面部(a1)は中央に任意形状の開口予定部(a1-1)を有し、
長手方向側面部(a2)は長手方向に糊しろ部(a2-1)が延出され、幅方向両側面部(a3)にはそれぞれ長手方向両端に糊しろ部が形成され、底面部(a4)には長手方向両端及び幅方向に糊しろ部が形成され、
長手方向側面部(a2)の外端線(h)より長手方向に延出された糊しろ部(a2-1)の幅方向中央部に切り取り線(c1)と折り目線(f1)が設けられていることを特徴とする容器に関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、長手方向側面部(a2)の外端線(h)より長手方向に延出された糊しろ部(a2-1)の幅方向中央部に切り取り線(c1)と折り目線(f1)、(f2)が設けられてなる請求項1に記載の容器に関する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、ティッシュボックスの底面に形成された長手方向側面部の糊しろ部(a2-1)の切り取り線(c1)と折り目線(f1)に基づき、切り取り線(c1)に従い、長手方向側面部の糊しろ部(a2-1)を切り離し、折り目線(f1)に従い、切り離された長手方向側面部の糊しろ部(a2-1)を内側に折り曲げることで脚部を簡単に形成し、この接触面積が低減された脚部により、ティッシュボックスとテーブルや机の表面に存在する雑菌や湿気等の物理的接触を断つことができる。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、長手方向側面部(a2)の外端線(h)より長手方向に延出された糊しろ部(a2-1)の幅方向中央部に、折り目線(f1)の他に折り目線(f2)を設け、糊しろ部(a2-1)を折り目(f2)に従って折り二重とした後に、折り目(f1)に従って内側に折り曲げることで、糊しろ部を折り曲げて形成する上記脚部の強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3(1)】は、特許文献1で開示されたティッシュボックスの脚部の形成に関する図である。
【
図3(2)】は、特許文献2で開示されたティッシュボックスの脚部の形成に関する図である。
【
図4(1)】は、請求項1に記載された本発明の実施形態に係る接触面積低減ティッシュボックスの展開図である。
【
図4(2)】は、請求項2に記載された本発明の実施形態に係る接触面積低減ティッシュボックスの展開図である。
【
図5】(1)は、本発明の実施形態に係る接触面積低減ティッシュボックスの脚部の形成過程の説明図、(2)は形成を可能とする糊付け位置を示す参考図である。
【
図6】(1)は、請求項1に記載された本発明の実施形態に係る脚部の外観図、(2)は請求項2に記載された本発明の実施形態に係る脚部の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について詳述するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
本発明の接触面積低減ティッシュボックスは、
図4(1)に示すように、長手方向に延出された長手方向側面部の糊しろ部(a2-1)に切り取り線(c1)と折り目線(f1)が設けられている。
この切り取り線(c1)と折り目線(f1)に基づき、
図5(1)に示す手順により、脚部を形成して、テーブルや机に載置して使用される。
【0013】
図5(1)を基に、脚部形成の手順を説明する。
<1>は、点止め糊(g)が糊付けされた、脚部の形成前の本発明のティッシュボックスである。
図5(2)は、本発明の接触面積低減ティッシュボックスの長手方向側面部の糊しろ部(a2-1)と底面部(a4)が点止め糊(g)により糊付けされ、接着された状態を示している。
<2>に示すように、点止め糊(g)を剥がし、底面部(a4)への接着により折り目(f0)により90度に折り曲げられていた長手方向側面部の糊しろ部(a2-1)を該側面部(a2)の面上に真っすぐに起こす。
<3>に示すように、切り取り線(c1)に従い、長手方向側面部(a2)の糊しろ部を切り離す。
この際、切り取り線(c1)にミシン目を施しておくと、素手で容易に切り離すことができる。
<4>に示すように、折り目線(f1)に従い、切り離された長手方向側面部(a2)の糊しろ部を内側に折り曲げる。
この際、紙をプレスすること等により、折り目線(f1)に折り目の型をつけておくと、素手で容易に真っすぐに折ることができる。
以上により、本発明の接触面積低減ティッシュボックスを形成することができる(
図6(1)参照)。
【0014】
本発明の他の実施形態として、
図4(2)及び
図6(2)に示すように、折り目線(f1)、(f2)を設けることにより、脚部の強度を高めた接触面積低減ティッシュボックスがある。
図5(1)において上記<3>までの手順は同様である。上記<4>に代えて、折り目(f2)に従って折り、糊しろ部(a2-1)を二重とした後に、折り目(f1)に従って内側に折りこむ。こうすることで、糊しろ部を折り曲げて形成する上記脚部の強度を高めた接触面積低減ティッシュボックスを形成することができる。
【0015】
本発明は、ティッシュボックスに限定されるものではなく、ティッシュと同じように交互に畳み込んで収納可能な紙類であれば、例えば、キッチンペーパーの収納容器にも適用できる。
【0016】
本発明の容器は、紙製であることが一般的であるが、素材は限定されるものではなく、例えば、合成樹脂を素材とすることも可能である。
【実施例0017】
本発明の接触面積低減ティッシュボックスの一実施例について説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。ティッシュボックスとテーブル等との接触面積がどの程度低減されたかについて、
図4(1)を基に説明する。
【0018】
ティッシュボックスの底面積は、226mm×116mm≒26,200平方ミリメートルであった。
本発明の接触面積低減ティッシュボックスの脚部のテーブル等との接触面積は、紙の厚さが1mmであるので、116mm×1mm×2=232平方ミリメートルである。
「脚による接触面積/底面積」を求めると、232/26,200≒0.00885となる。
接触面積の低減率を求めると、1-0.00885≒0.991であるから、約99.1%もの接触面積の低減を実現した。
本発明の接触面積低減ティッシュボックスは、テーブルや机の表面に存在する雑菌や湿気等との物理的接触を断つことができる脚部を有するティッシュボックスを簡単に形成できることから、事務用品の分野で利用価値が高い。特に、徹底した衛生管理が求められる病院等の医療施設や飲食店、実験室等での利用価値が高い。