(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034208
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】医療用水平挿入型S字フックハンガー
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
D06F57/00 340
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140331
(22)【出願日】2021-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-10
(71)【出願人】
【識別番号】508254129
【氏名又は名称】株式会社プラネット
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 忠樹
(57)【要約】 (修正有)
【課題】製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易で医療用のハンガーとして好適に使用できる、S字フックハンガーを提供する。
【解決手段】物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成されるS字フックハンガーにおいて、前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状に湾曲しており、横方向に開口部を持ち、最小幅の開口部4は物干し竿Pの物干し竿の直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とするS字フックハンガーを提供する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成されるS字フックハンガーにおいて、
前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状5に湾曲しており、横方向に開口部を持ち、最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とするS字フックハンガー。
【請求項2】
前記フック部1の素材が合成樹脂又は金属からなる、請求項1に記載のS字フックハンガー。
【請求項3】
前記フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部3側の内接円の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のS字フックハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、S字フックハンガーに関し、詳しくは製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易である、S字フックハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すハンガーは、フック部1がハンガー本体部3側に開口しており、前記フック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rよりも大きいハンガーである。
上記の特徴から、
図1に示すハンガーはフック部1を物干し竿Pに着脱自在に引っかけることが可能な形状となっており、物干し竿Pへ素早く着脱することが可能である特徴を有している。
風等の意図しない外力によって物干し竿Pを中心にハンガーが横揺れし(
図2)、物干し竿Pからフック部1が外れることでハンガーが落下し、衣服等が汚れるなどの衛生的な問題が発生している。
【0003】
図1に示すハンガーの易脱落性を改善した、脱落防止機能付きの衣類用ハンガーは多数考案されている。
【0004】
(横着脱式)
特許文献1では、
図3に示すように、フック基部2にフック開口部4の幅を開閉自在となす竿体取付機構Mを備え、竿体取付機構Mを開閉することでフック部1を竿体に取り付けることができる。
竿体取付機構Mは竿体に当接してハンガー本体を支持固定できることを特徴とし、着脱が容易かつ落下しにくいハンガーを提供している。
開閉可能な竿体取付機構Mはフック基部2にしか備わっておらず、前記ハンガーを設置する際には、取り付ける時に加わる力F1がフック部1の先端と竿体取付機構Mに分散し、なおかつ竿体取付機構MがF1から受ける力は、竿体取付機構を開くために必要な力F2の方向と異なっており、竿体取付機構Mを開閉するために力の方向及びハンガーPの当たる部分を意識して力を加える必要が生じ、前記ハンガーは掛けづらいという問題を有している。
その構造故に、製造工程も従来ハンガーに比べて煩雑となるという問題も存在する。
【0005】
(縦着脱式)
特許文献2では、
図4に示すように、ハンガー本体3から延設されたフック部1は鈎状に屈曲して第1のフック6を形成し、その先端部分Tからさらに延設して第1のフック下側にその内径よりも内径及びフック開放部の幅の大きな第2のフック7を形成してなる形状のフック部1を持つ。第1のフック6は物干し竿Pの外径よりも僅かに小さい内径でフック開放部の幅がその直径よりも小さく、弾性変形による反発力で固定力を発揮することを特徴とすることで、落下しにくいハンガーを提供している。
前記ハンガー(
図4)は、フック部で物干し竿Pを固定し、取外す際には上方向に力F3を加える必要があるため、取り外しがしにくく、物干し竿が持ち上がってしまい、物干し竿そのものの落下を引き起こす可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-240044号公報
【特許文献2】特開2011-239901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、製造工程が簡単で、フック部1が風等の外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易である、特に医療用として好適に使用できるS字フックハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成されるS字フックハンガーにおいて、前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状5に湾曲しており、横方向に開口部を持ち、最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とするS字フックハンガーに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記フック部1の素材が合成樹脂又は金属からなる、請求項1に記載のS字フックハンガーに関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部3側の内接円の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載のS字フックハンガーに関する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、S字フックハンガーのフック部1はS字状5に湾曲しており、ハンガーに取り付ける別部品は存在しない。
この構成により、従来のハンガー(
図1)と同程度に構造が単純であり、製造工程に関しても簡単なものとすることができる。
S字フックハンガーのフック部1は最小幅の開口部4が物干し竿Pの直径Rよりも小さいことで、風等の意図しない外力によって、フック部1が物干し竿Pから脱落することを防ぐことができる。
フック部1のS字状5部は横方向に開口していることから、S字フックハンガーを物干し竿Pから人為的に着脱する際に掛かる力の方向と開口方向(横方向)が一致しており、開口部の開閉に関係の無い部位に着脱するための力が分散されず、力を加える方向を意識する必要もない。
このことから、物干し竿Pからの意図しない外力によるS字フックハンガーの落下を防ぎながら、人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、S字フックハンガーのフック部1の素材が合成樹脂又は金属として形成されることで、可撓性を保持したまま構造を単純化することが可能となる。
特に、合成樹脂では製造工程をより簡単にすることが可能となり、金属では紫外線による劣化や外力による破損を防ぐことが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、S字フックハンガーのフック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部3側の内接円の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする。
この特徴により、直径が異なる物干し竿Pに対応することが可能となる。内接円の直径より直径がわずかに大きい物干し竿Pを用いる場合は、物干し竿はフックの可塑性によって支持固定され、ハンガーの落下や横滑りを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来例としてのハンガー及びハンガーフックを示す正面図である。
【
図2】従来例としてのハンガー及びハンガーフックが落下する際の正面図である。
【
図5】本発明における第1実施形態のS字フックハンガー正面図である。
【
図6】本発明における第1実施形態のS字フックハンガー着脱時のフックの可撓性を示す図である。
【
図7】本発明における第1実施形態のS字フックハンガーが外力により大きく横揺れした際の図である。
【
図8】本発明における第2実施形態のS字フックハンガー正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るS字フックハンガーの第1の実施形態について、図面を参考にしながら詳細を説明する。(
図5、6及び7参照)
【0016】
本発明に係るS字フックハンガーは、物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びる本体部3より形成されるS字フックハンガーにおいて、フック部1が横方向に開口しており、フック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく、フック部1はS字状5に湾曲しており、可撓性素材で形成された、ことを特徴としている。(
図5参照)
【0017】
本発明に係るハンガー本体3は、上着等を掛けるために左右に緩やかに傾斜しながら延びている。
図5のハンガー本体3には、ズボンを引っ掛けるための機構等が設けられていないが、ハンガーとしての機能を果たすことができれば、ハンガー本体部3の形状は問わないものとする。(
図5参照)
【0018】
本発明に係るハンガー本体3は製造工程を簡単にするため、全体を同一素材でかつ一体型として提供される。
アルミ、鉄又はステンレス等の金属、合成樹脂、木又は竹などの可撓性素材であることが好ましいが、製造工程が上記素材の成形と同程度に簡単であり、可撓性を有していれば、素材は問わないものとする。
合成樹脂製であれば、射出成形等の簡単な方法で形成されるものとする。
【0019】
本発明に係るフック部1はS字状5の形状をしており、横方向に開口していることから、S字フックハンガーの着脱は横方向から行うことが可能である。
即ち、ハンガー本体部3の非開口部側を持って、フック部を物干し竿Pに掛ける際に、自然とフック部1に掛かる力の方向と開口方向が一致しており、開口部の開閉に関係の無い部位に着脱するための力が分散されず、力を加える方向を意識する必要もない。
このことから、物干し竿PへのS字フックハンガーの人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
図5では、フック部1の最小幅の開口部4は、ハンガー本体部3の肩部とフックのS字状5部を用いて作製されており、開口方向Dはハンガー本体部3の肩部と平行である。
ここでいう開口方向Dの定義は、取付時に物干し竿Pが最小幅の開口部4を通過する際の物干し竿PとフックのS字状5部との接線方向とする。(
図5及び6参照)
【0020】
本発明に係るフック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく、物干し竿Pに掛けた後は開口方向に、ある程度継続的に力を加えないと着脱ができない。
図7のように風等の突発的な外力によって大きく横揺れしたとしても、フック内側に挿入した物干し竿Pからフック1は容易に脱落しない。
人為的な着脱を容易にするため、通常はフック部1の内径はS字フックハンガーが揺れ動く程度の余裕を残すものとするが、着脱が容易であれば当接もしくは嵌着していても問題ないものとする。
ここで、物干し竿Pの直径Rは一般的に30mm乃至40mmであることがほとんどであるため、開口部4の最小幅は30mm未満とするが、用途によって最小幅は自由に設定できるものとする。(
図5及び7参照)
【0021】
本発明に係るS字フックハンガーのフック部1の最小幅の開口部4の場所は、装着時に可撓性を発揮する部位9からの距離が大きければ、可撓性発揮部9を中心とした力のモーメントの考え方から、より小さな力でS字フックハンガーを着脱することが可能となる。
フック部1の開口幅が直径Rよりも小さい距離を長くすると、物干し竿Pを着脱するために必要な力を加える距離が長くなり、継続的に力を加えるもしくは強い力を加える必要が生じる。
以上のような特性から、S字フックハンガーの材質、最小の開口幅の大きさ、開口幅が直径Rよりも小さい距離および最小幅の場所を変更することで目的に応じた着脱のしやすさを調整することができる。
好ましくは、
図6のように、フック部1の最小幅の開口部4の場所は、装着時に可撓性を発揮する部位9からの距離が短く、フック部1の開口幅が直径Rよりも小さい距離も短い。ハンガーの材質による可撓性及び開口幅によって、落下のしやすさ及び着脱のしやすさが決定されるS字フックハンガーである。
(
図5及び6参照)
【0022】
本発明に係るフック部1はS字状5に湾曲していることで、フック部1が物干し竿Pに着脱する際のガイドの役目を果たすとともに、着脱時に加える力の方向を開口方向Dにに近づけることができる。
このことから、意図しない外力によるS字フックハンガーの落下を防ぎながら、人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
ただし、上記効果と同様の効果をもたらす構造であればフック部1の形状は問わないものとする。
具体的には最小幅部が緩やかな「くの字型」に形成することなどが考えられる。(
図5及び6参照)
【0023】
以下、本発明に係るS字フックハンガーの第2の実施形態について、図面を参考にしながら詳細を説明する。(
図8参照)
【0024】
本発明にかかる第2の実施形態のS字フックハンガーは、
図8に示す通りである。
第1の実施形態の特徴に加えて、フック部1はS字状5に湾曲しており、ハンガー本体部3側の内接円径R
1と物干し竿P側の内接円形R
2はR
1>R
2の関係にあることを特徴としている。(
図8参照)
好ましくは、フック部1の内接円の直径R
1及びR
2は40mm未満であり、R
2は物干し竿Pが揺れ動く程度の余裕を残しており、異なる直径を持つ物干し竿Pを支持固定することが可能となる。
直径40mmの物干し竿Pにハンガーを設置する場合、フック部1の内接円の直径R
1は物干し竿Pによって押し広げられ、嵌着し、物干し竿Pに支持固定することが可能となる。
より好ましくは、直径30mmの物干し竿Pにハンガーを設置する場合、物干し竿Pはフック部1の上部で嵌着し、物干し竿Pに支持固定することが可能となる。
ただし、目的によって物干し竿や内接円の直径は変更することができ、R
1で直径の大きな物干し竿を嵌着できるのであれば、必ずしもR
1>R
2の関係ではなくても良いものとする。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明のS字フックハンガーは、製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易であることから、洗濯関連用品の分野で利用価値が高い。特に、徹底した衛生管理が求められる病院等の医療施設や介護施設等での利用価値が高い。
【符号の説明】
【0026】
1:フック部
2:フック基部
3:ハンガー本体
4:最小幅のフック開口部
5:フックのS字状部
P:物干し竿
R:物干し竿の直径
R1:ハンガー本体部側の内接円の直径
R2:物干し竿P側の内接円の直径
【手続補正書】
【提出日】2022-01-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成される医療用S字フックハンガーにおいて、
前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状5に湾曲しており、前記フック部の内径は物干し竿がフックに係合していても揺れ動く程度の余裕を持つように物干し竿の直径より大きく、横方向に開口部を持ち、最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とする医療用S字フックハンガー。
【請求項2】
前記フック部1の素材が合成樹脂又は金属からなる、請求項1に記載の医療用S字フックハンガー。
【請求項3】
前記フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R
1
の内接円P
1
を形成してなり、内接円P
1
の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療用S字フックハンガー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用S字フックハンガーに関し、詳しくは製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易である、医療用S字フックハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すハンガーは、フック部1がハンガー本体部3側に開口しており、前記フック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rよりも大きいハンガーである。
上記の特徴から、
図1に示すハンガーはフック部1を物干し竿Pに着脱自在に引っかけることが可能な形状となっており、物干し竿Pへ素早く着脱することが可能である特徴を有している。
風等の意図しない外力によって物干し竿Pを中心にハンガーが横揺れし(
図2)、物干し竿Pからフック部1が外れることでハンガーが落下し、衣服等が汚れるなどの衛生的な問題が発生している。
【0003】
図1に示すハンガーの易脱落性を改善した、脱落防止機能付きの衣類用ハンガーは多数考案されている。
【0004】
(横着脱式)
特許文献1では、
図3に示すように、フック基部2にフック開口部4の幅を開閉自在となす竿体取付機構Mを備え、竿体取付機構Mを開閉することでフック部1を竿体に取り付けることができる。
竿体取付機構Mは竿体に当接してハンガー本体を支持固定できることを特徴とし、着脱が容易かつ落下しにくいハンガーを提供している。
開閉可能な竿体取付機構Mはフック基部2にしか備わっておらず、前記ハンガーを設置する際には、取り付ける時に加わる力F1がフック部1の先端と竿体取付機構Mに分散し、なおかつ竿体取付機構MがF1から受ける力は、竿体取付機構を開くために必要な力F2の方向と異なっており、竿体取付機構Mを開閉するために力の方向及びハンガーPの当たる部分を意識して力を加える必要が生じ、前記ハンガーは掛けづらいという問題を有している。
その構造故に、製造工程も従来ハンガーに比べて煩雑となるという問題も存在する。
【0005】
(縦着脱式)
特許文献2では、
図4に示すように、ハンガー本体3から延設されたフック部1は鈎状に屈曲して第1のフック6を形成し、その先端部分Tからさらに延設して第1のフック下側にその内径よりも内径及びフック開放部の幅の大きな第2のフック7を形成してなる形状のフック部1を持つ。第1のフック6は物干し竿Pの外径よりも僅かに小さい内径でフック開放部の幅がその直径よりも小さく、弾性変形による反発力で固定力を発揮することを特徴とすることで、落下しにくいハンガーを提供している。
前記ハンガー(
図4)は、フック部で物干し竿Pを固定し、取外す際には上方向に力F3を加える必要があるため、取り外しがしにくく、物干し竿が持ち上がってしまい、物干し竿そのものの落下を引き起こす可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-240044号公報
【特許文献2】特開2011-239901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、製造工程が簡単で、フック部1が風等の外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易である、特に医療用として好適に使用できる医療用S字フックハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成される医療用S字フックハンガーにおいて、前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状5に湾曲しており、前記フック部の内径は物干し竿がフックに係合していても揺れ動く程度の余裕を持つように物干し竿の直径より大きく、横方向に開口部を持ち、最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とする医療用S字フックハンガーに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記フック部1の素材が合成樹脂又は金属からなる、請求項1に記載の医療用S字フックハンガーに関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R
1
の内接円P
1
を形成してなり、内接円P
1
の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする、請求項1又は2に記載の医療用S字フックハンガーに関する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、
医療用S字フックハンガーのフック部1はS字状5に湾曲しており、ハンガーに取り付ける別部品は存在しない。
この構成により、従来のハンガー(
図1)と同程度に構造が単純であり、製造工程に関しても簡単なものとすることができる。
医療用S字フックハンガーのフック部1は最小幅の開口部4が物干し竿Pの直径Rよりも小さいことで、風等の意図しない外力によって、フック部1が物干し竿Pから脱落することを防ぐことができる。
フック部1のS字状5部は横方向に開口していることから、
医療用S字フックハンガーを物干し竿Pから人為的に着脱する際に掛かる力の方向と開口方向(横方向)が一致しており、開口部の開閉に関係の無い部位に着脱するための力が分散されず、力を加える方向を意識する必要もない。
このことから、物干し竿Pからの意図しない外力による
医療用S字フックハンガーの落下を防ぎながら、人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、医療用S字フックハンガーのフック部1の素材が合成樹脂又は金属として形成されることで、可撓性を保持したまま構造を単純化することが可能となる。
特に、合成樹脂では製造工程をより簡単にすることが可能となり、金属では紫外線による劣化や外力による破損を防ぐことが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、医療用S字フックハンガーのフック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R
1
の内接円P
1
を形成してなり、内接円P
1
の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする。
この特徴により、直径が異なる物干し竿Pに対応することが可能となる。内接円P
1
の直径より直径がわずかに大きい物干し竿Pを用いる場合は、物干し竿はフックの可塑性によって支持固定され、ハンガーの落下や横滑りを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来例としてのハンガー及びハンガーフックを示す正面図である。
【
図2】従来例としてのハンガー及びハンガーフックが落下する際の正面図である。
【
図5】本発明における第1実施形態の
医療用S字フックハンガー正面図である。
【
図6】本発明における第1実施形態の
医療用S字フックハンガー着脱時のフックの可撓性を示す図である。
【
図7】本発明における第1実施形態の
医療用S字フックハンガーが外力により大きく横揺れした際の図である。
【
図8】本発明における第2実施形態の
医療用S字フックハンガー正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る
医療用S字フックハンガーの第1の実施形態について、図面を参考にしながら詳細を説明する。(
図5、6及び7参照)
【0016】
本発明に係る
医療用S字フックハンガーは、物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びる本体部3より形成される
医療用S字フックハンガーにおいて、フック部1が横方向に開口しており、フック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく、フック部1はS字状5に湾曲しており、可撓性素材で形成された、ことを特徴としている。(
図5参照)
【0017】
本発明に係るハンガー本体3は、上着等を掛けるために左右に緩やかに傾斜しながら延びている。
図5のハンガー本体3には、ズボンを引っ掛けるための機構等が設けられていないが、ハンガーとしての機能を果たすことができれば、ハンガー本体部3の形状は問わないものとする。(
図5参照)
【0018】
本発明に係るハンガー本体3は製造工程を簡単にするため、全体を同一素材でかつ一体型として提供される。
アルミ、鉄又はステンレス等の金属、合成樹脂、木又は竹などの可撓性素材であることが好ましいが、製造工程が上記素材の成形と同程度に簡単であり、可撓性を有していれば、素材は問わないものとする。
合成樹脂製であれば、射出成形等の簡単な方法で形成されるものとする。
【0019】
本発明に係るフック部1はS字状5の形状をしており、横方向に開口していることから、
医療用S字フックハンガーの着脱は横方向から行うことが可能である。
即ち、ハンガー本体部3の非開口部側を持って、フック部を物干し竿Pに掛ける際に、自然とフック部1に掛かる力の方向と開口方向が一致しており、開口部の開閉に関係の無い部位に着脱するための力が分散されず、力を加える方向を意識する必要もない。
このことから、物干し竿Pへの
医療用S字フックハンガーの人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
図5では、フック部1の最小幅の開口部4は、ハンガー本体部3の肩部とフックのS字状5部を用いて作製されており、開口方向Dはハンガー本体部3の肩部と平行である。
ここでいう開口方向Dの定義は、取付時に物干し竿Pが最小幅の開口部4を通過する際の物干し竿PとフックのS字状5部との接線方向とする。(
図5及び6参照)
【0020】
本発明に係るフック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく、物干し竿Pに掛けた後は開口方向に、ある程度継続的に力を加えないと着脱ができない。
図7のように風等の突発的な外力によって大きく横揺れしたとしても、フック内側に挿入した物干し竿Pからフック1は容易に脱落しない。
人為的な着脱を容易にするため、通常はフック部1の内径は
医療用S字フックハンガーが揺れ動く程度の余裕を残すものとするが、着脱が容易であれば当接もしくは嵌着していても問題ないものとする。
ここで、物干し竿Pの直径Rは一般的に30mm乃至40mmであることがほとんどであるため、開口部4の最小幅は30mm未満とするが、用途によって最小幅は自由に設定できるものとする。(
図5及び7参照)
【0021】
本発明に係る
医療用S字フックハンガーのフック部1の最小幅の開口部4の場所は、装着時に可撓性を発揮する部位9からの距離が大きければ、可撓性発揮部9を中心とした力のモーメントの考え方から、より小さな力で
医療用S字フックハンガーを着脱することが可能となる。
フック部1の開口幅が直径Rよりも小さい距離を長くすると、物干し竿Pを着脱するために必要な力を加える距離が長くなり、継続的に力を加えるもしくは強い力を加える必要が生じる。
以上のような特性から、
医療用S字フックハンガーの材質、最小の開口幅の大きさ、開口幅が直径Rよりも小さい距離および最小幅の場所を変更することで目的に応じた着脱のしやすさを調整することができる。
好ましくは、
図6のように、フック部1の最小幅の開口部4の場所は、装着時に可撓性を発揮する部位9からの距離が短く、フック部1の開口幅が直径Rよりも小さい距離も短い。ハンガーの材質による可撓性及び開口幅によって、落下のしやすさ及び着脱のしやすさが決定される
医療用S字フックハンガーである。
(
図5及び6参照)
【0022】
本発明に係るフック部1はS字状5に湾曲していることで、フック部1が物干し竿Pに着脱する際のガイドの役目を果たすとともに、着脱時に加える力の方向を開口方向Dにに近づけることができる。
このことから、意図しない外力による
医療用S字フックハンガーの落下を防ぎながら、人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
ただし、上記効果と同様の効果をもたらす構造であればフック部1の形状は問わないものとする。
具体的には最小幅部が緩やかな「くの字型」に形成することなどが考えられる。(
図5及び6参照)
【0023】
以下、本発明に係る
医療用S字フックハンガーの第2の実施形態について、図面を参考にしながら詳細を説明する。(
図8参照)
【0024】
本発明にかかる第2の実施形態の
医療用S字フックハンガーは、
図8に示す通りである。
第1の実施形態の特徴に加えて、フック部1はS字状5に湾曲しており、ハンガー本体部
のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R
1
の内接円P
1
を形成してなり、内接円径R
1と物干し竿P側の内接円
径R
2はR
1>R
2の関係にあることを特徴としている。(
図8参照)
好ましくは、フック部1の内接円の直径R
1及びR
2は40mm未満であり、R
2は物干し竿Pが揺れ動く程度の余裕を残しており、異なる直径を持つ物干し竿Pを支持固定することが可能となる。
直径40mmの物干し竿Pにハンガーを設置する場合、フック部1の内接円
P
1
の直径R
1は物干し竿Pによって押し広げられ、嵌着し、物干し竿Pに支持固定することが可能となる。
より好ましくは、直径30mmの物干し竿Pにハンガーを設置する場合、物干し竿Pはフック部1の上部で嵌着し、物干し竿Pに支持固定することが可能となる。
ただし、目的によって物干し竿や内接円の直径は変更することができ、R
1で直径の大きな物干し竿を嵌着できるのであれば、必ずしもR
1>R
2の関係ではなくても良いものとする。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の医療用S字フックハンガーは、製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易であることから、洗濯関連用品の分野で利用価値が高い。特に、徹底した衛生管理が求められる病院等の医療施設や介護施設等での利用価値が高い。
【符号の説明】
【0026】
1:フック部
2:フック基部
3:ハンガー本体
4:最小幅のフック開口部
5:フックのS字状部
10:ハンガー本体部のフック側に形成された凹部
P:物干し竿
R:物干し竿の直径
P
1
:ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R1の内接円
R1:ハンガー本体部側の内接円の直径
R2:物干し竿P側の内接円の直径
【手続補正書】
【提出日】2022-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成される医療用水平挿入型S字フックハンガーにおいて、
前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状5に湾曲しており、前記フック部の内径は物干し竿がフックに係合していても揺れ動く程度の余裕を持つように物干し竿の直径より大きく、開口方向Dはハンガー本体部3の肩部と平行であり、最小幅の開口部4はハンガー本体部3の肩部とフックのS字状5部を用いて作製されており、最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とする医療用水平挿入型S字フックハンガー。
【請求項2】
前記ハンガー本体部3のフック側に凹部10をさらに有する、請求項1に記載の医療用水平挿入型S字フックハンガー。
【請求項3】
前記フック部1の素材が合成樹脂又は金属からなる、請求項1または2に記載の医療用水平挿入型S字フックハンガー。
【請求項4】
前記フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R1の内接円P1を形成してなり、内接円P1の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする、請求項1-3のいずれか1項に記載の医療用水平挿入型S字フックハンガー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用水平挿入型S字フックハンガーに関し、詳しくは製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易である、医療用水平挿入型S字フックハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
図1に示すハンガーは、フック部1がハンガー本体部3側に開口しており、前記フック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rよりも大きいハンガーである。
上記の特徴から、
図1に示すハンガーはフック部1を物干し竿Pに着脱自在に引っかけることが可能な形状となっており、物干し竿Pへ素早く着脱することが可能である特徴を有している。
風等の意図しない外力によって物干し竿Pを中心にハンガーが横揺れし(
図2)、物干し竿Pからフック部1が外れることでハンガーが落下し、衣服等が汚れるなどの衛生的な問題が発生している。
【0003】
図1に示すハンガーの易脱落性を改善した、脱落防止機能付きの衣類用ハンガーは多数考案されている。
【0004】
(横着脱式)
特許文献1では、
図3に示すように、フック基部2にフック開口部4の幅を開閉自在となす竿体取付機構Mを備え、竿体取付機構Mを開閉することでフック部1を竿体に取り付けることができる。
竿体取付機構Mは竿体に当接してハンガー本体を支持固定できることを特徴とし、着脱が容易かつ落下しにくいハンガーを提供している。
開閉可能な竿体取付機構Mはフック基部2にしか備わっておらず、前記ハンガーを設置する際には、取り付ける時に加わる力F1がフック部1の先端と竿体取付機構Mに分散し、なおかつ竿体取付機構MがF1から受ける力は、竿体取付機構を開くために必要な力F2の方向と異なっており、竿体取付機構Mを開閉するために力の方向及びハンガーPの当たる部分を意識して力を加える必要が生じ、前記ハンガーは掛けづらいという問題を有している。
その構造故に、製造工程も従来ハンガーに比べて煩雑となるという問題も存在する。
【0005】
(縦着脱式)
特許文献2では、
図4に示すように、ハンガー本体3から延設されたフック部1は鈎状に屈曲して第1のフック6を形成し、その先端部分Tからさらに延設して第1のフック下側にその内径よりも内径及びフック開放部の幅の大きな第2のフック7を形成してなる形状のフック部1を持つ。第1のフック6は物干し竿Pの外径よりも僅かに小さい内径でフック開放部の幅がその直径よりも小さく、弾性変形による反発力で固定力を発揮することを特徴とすることで、落下しにくいハンガーを提供している。
前記ハンガー(
図4)は、フック部で物干し竿Pを固定し、取外す際には上方向に力F3を加える必要があるため、取り外しがしにくく、物干し竿が持ち上がってしまい、物干し竿そのものの落下を引き起こす可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-240044号公報
【特許文献2】特開2011-239901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、製造工程が簡単で、フック部1が風等の外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な着脱が容易である、特に医療用として好適に使用できる医療用水平挿入型S字フックハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びるハンガー本体部3から形成される医療用水平挿入型S字フックハンガーにおいて、前記フック部1は可撓性素材で形成され、S字状5に湾曲しており、前記フック部の内径は物干し竿がフックに係合していても揺れ動く程度の余裕を持つように物干し竿の直径より大きく、開口方向Dはハンガー本体部3の肩部と平行であり、最小幅の開口部4はハンガー本体部3の肩部とフックのS字状5部を用いて作製されており、最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく形成されてなること、を特徴とする医療用水平挿入型S字フックハンガーに関する。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記ハンガー本体部3のフック側に凹部10をさらに有する、請求項1に記載の医療用水平挿入型S字フックハンガーに関する。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記フック部1の素材が合成樹脂又は金属からなる、請求項1または2に記載の医療用水平挿入型S字フックハンガーに関する。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R1の内接円P1を形成してなり、内接円P1の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする、請求項1-3のいずれか1項に記載の医療用水平挿入型S字フックハンガーに関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、
医療用水平挿入型S字フックハンガーのフック部1はS字状5に湾曲しており、ハンガーに取り付ける別部品は存在しない。
この構成により、従来のハンガー(
図1)と同程度に構造が単純であり、製造工程に関しても簡単なものとすることができる。
フック部1は最小幅の開口部4が物干し竿Pの直径Rよりも小さいことで、風等の意図しない外力によって、フック部1が物干し竿Pから脱落することを防ぐことができる。
フック部1のS字状5部は横方向に開口していることから
、物干し竿Pから人為的に着脱する際に掛かる力の方向と開口方向(横方向)が一致しており、開口部の開閉に関係の無い部位に着脱するための力が分散されず、力を加える方向を意識する必要もない。
このことから、物干し竿Pからの意図しない外力によ
る落下を防ぎながら、人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、フック部1の素材が合成樹脂又は金属として形成されることで、可撓性を保持したまま構造を単純化することが可能となる。
特に、合成樹脂では製造工程をより簡単にすることが可能となり、金属では紫外線による劣化や外力による破損を防ぐことが可能となる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、フック部1はS字状5に形成され、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R1の内接円P1を形成してなり、内接円P1の直径R1と物干し竿P側の内接円の直径R2はR1>R2の関係にあることを特徴とする。
この特徴により、直径が異なる物干し竿Pに対応することが可能となる。内接円P1の直径より直径がわずかに大きい物干し竿Pを用いる場合は、物干し竿はフックの可塑性によって支持固定され、ハンガーの落下や横滑りを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来例としてのハンガー及びハンガーフックを示す正面図である。
【
図2】従来例としてのハンガー及びハンガーフックが落下する際の正面図である。
【
図5】本発明における第1実施形態の
医療用水平挿入型S字フックハンガー正面図である。
【
図6】本発明における第1実施形態の
医療用水平挿入型S字フックハンガー着脱時のフックの可撓性を示す図である。
【
図7】本発明における第1実施形態の
医療用水平挿入型S字フックハンガーが外力により大きく横揺れした際の図である。
【
図8】本発明における第2実施形態の
医療用水平挿入型S字フックハンガー正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る
医療用水平挿入型S字フックハンガーの第1の実施形態について、図面を参考にしながら詳細を説明する。(
図5、6及び7参照)
【0017】
本発明に係る
医療用水平挿入型S字フックハンガーは、物干し竿Pにかけるためのフック部1とフック基部2から左右に伸びる本体部3より形成さ
れ、フック部1が横方向に開口しており、フック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく、フック部1はS字状5に湾曲しており、可撓性素材で形成された、ことを特徴としている。(
図5参照)
【0018】
本発明に係るハンガー本体3は、上着等を掛けるために左右に緩やかに傾斜しながら延びている。
図5のハンガー本体3には、ズボンを引っ掛けるための機構等が設けられていないが、ハンガーとしての機能を果たすことができれば、ハンガー本体部3の形状は問わないものとする。(
図5参照)
【0019】
本発明に係るハンガー本体3は製造工程を簡単にするため、全体を同一素材でかつ一体型として提供される。
アルミ、鉄又はステンレス等の金属、合成樹脂、木又は竹などの可撓性素材であることが好ましいが、製造工程が上記素材の成形と同程度に簡単であり、可撓性を有していれば、素材は問わないものとする。
合成樹脂製であれば、射出成形等の簡単な方法で形成されるものとする。
【0020】
本発明に係るフック部1はS字状5の形状をしており、横方向に開口していることから、
物干し竿Pへの着脱は横方向
、すなわち水平方向から行うことが可能である。
即ち、ハンガー本体部3の非開口部側を持って、フック部を物干し竿Pに掛ける際に、自然とフック部1に掛かる力の方向と開口方向が一致しており、開口部の開閉に関係の無い部位に着脱するための力が分散されず、力を加える方向を意識する必要もない。
このことから、物干し竿Pへ
の人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
図5では、フック部1の最小幅の開口部4は、ハンガー本体部3の肩部とフックのS字状5部を用いて作製されており、開口方向Dはハンガー本体部3の肩部と平行である。
ここでいう開口方向Dの定義は、取付時に物干し竿Pが最小幅の開口部4を通過する際の物干し竿PとフックのS字状5部との接線方向とする。(
図5及び6参照)
【0021】
本発明に係るフック部1の最小幅の開口部4は物干し竿Pの直径Rより小さく、物干し竿Pに掛けた後は開口方向に、ある程度継続的に力を加えないと着脱ができない。
図7のように風等の突発的な外力によって大きく横揺れしたとしても、フック内側に挿入した物干し竿Pからフック1は容易に脱落しない。
人為的な着脱を容易にするため、通常はフック部1の内径は
医療用水平挿入型S字フックハンガーが揺れ動く程度の余裕を残すものとするが、着脱が容易であれば当接もしくは嵌着していても問題ないものとする。
ここで、物干し竿Pの直径Rは一般的に30mm乃至40mmであることがほとんどであるため、開口部4の最小幅は30mm未満とするが、用途によって最小幅は自由に設定できるものとする。(
図5及び7参照)
【0022】
本発明に係る
医療用水平挿入型S字フックハンガーのフック部1の最小幅の開口部4の場所は、装着時に可撓性を発揮する部位9からの距離が大きければ、可撓性発揮部9を中心とした力のモーメントの考え方から、より小さな力
で着脱することが可能となる。
フック部1の開口幅が直径Rよりも小さい距離を長くすると、物干し竿Pを着脱するために必要な力を加える距離が長くなり、継続的に力を加えるもしくは強い力を加える必要が生じる。
以上のような特性から、
医療用水平挿入型S字フックハンガーの材質、最小の開口幅の大きさ、開口幅が直径Rよりも小さい距離および最小幅の場所を変更することで目的に応じた着脱のしやすさを調整することができる。
好ましくは、
図6のように、フック部1の最小幅の開口部4の場所は、装着時に可撓性を発揮する部位9からの距離が短く、フック部1の開口幅が直径Rよりも小さい距離も短い。ハンガーの材質による可撓性及び開口幅によって、落下のしやすさ及び着脱のしやすさが決定される
医療用水平挿入型S字フックハンガーである。
(
図5及び6参照)
【0023】
本発明に係るフック部1はS字状5に湾曲していることで、フック部1が物干し竿Pに着脱する際のガイドの役目を果たすとともに、着脱時に加える力の方向を開口方向D
に近づけることができる。
このことから、意図しない外力によ
る落下を防ぎながら、人為的な着脱を容易なものとすることが可能となる。
ただし、上記効果と同様の効果をもたらす構造であればフック部1の形状は問わないものとする。
具体的には最小幅部が緩やかな「くの字型」に形成することなどが考えられる。(
図5及び6参照)
【0024】
以下、本発明に係る
医療用水平挿入型S字フックハンガーの第2の実施形態について、図面を参考にしながら詳細を説明する。(
図8参照)
【0025】
本発明にかかる第2の実施形態の
医療用水平挿入型S字フックハンガーは、
図8に示す通りである。
第1の実施形態の特徴に加えて、フック部1はS字状5に湾曲しており、ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R
1の内接円P
1を形成してなり、内接円径R
1と物干し竿P側の内接円径R
2はR
1>R
2の関係にあることを特徴としている。(
図8参照)
好ましくは、フック部1の内接円の直径R
1及びR
2は40mm未満であり、R
2は物干し竿Pが揺れ動く程度の余裕を残しており、異なる直径を持つ物干し竿Pを支持固定することが可能となる。
直径40mmの物干し竿Pにハンガーを設置する場合、フック部1の内接円P
1の直径R
1は物干し竿Pによって押し広げられ、嵌着し、物干し竿Pに支持固定することが可能となる。
より好ましくは、直径30mmの物干し竿Pにハンガーを設置する場合、物干し竿Pはフック部1の上部で嵌着し、物干し竿Pに支持固定することが可能となる。
ただし、目的によって物干し竿や内接円の直径は変更することができ、R
1で直径の大きな物干し竿を嵌着できるのであれば、必ずしもR
1>R
2の関係ではなくても良いものとする。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明の医療用水平挿入型S字フックハンガーは、製造工程が簡単で、フック部1が風等の意図しない外力によって物干し竿Pから外れにくく、人為的な横方向からの着脱が容易であることから、洗濯関連用品の分野で利用価値が高い。特に、徹底した衛生管理が求められる病院等の医療施設や介護施設等での利用価値が高い。
【符号の説明】
【0027】
1:フック部
2:フック基部
3:ハンガー本体
4:最小幅のフック開口部
5:フックのS字状部
10:ハンガー本体部のフック側に形成された凹部
P:物干し竿
R:物干し竿の直径
P1:ハンガー本体部のフック側に形成される凹部10とフックS字状部によって形成される直径R1の内接円
R1:ハンガー本体部側の内接円の直径
R2:物干し竿P側の内接円の直径