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2023-34215検体採取制御装置、検体採取制御方法、およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034215
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】検体採取制御装置、検体採取制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/00 20060101AFI20230306BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20230306BHJP
   G07C 9/00 20200101ALI20230306BHJP
【FI】
G01N1/00 A
G01N1/10 V
G07C9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140342
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】滝口 展由
(72)【発明者】
【氏名】寺本 哲也
【テーマコード(参考)】
2G052
3E138
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052AA32
2G052AC16
2G052AC18
2G052GA29
2G052HA19
3E138AA01
3E138CB04
3E138JA03
3E138JB09
3E138JB10
3E138JC21
(57)【要約】
【課題】効率よく検体を採取し、感染防止を図ること。
【解決手段】検体採取装置は、取得手段と、採取制御手段と、出力手段とを備える。取得手段は、建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する。採取制御手段は、前記利用情報取得手段によって取得された利用情報に基づいて、検体を採取する条件を含む指示情報を作成する。検体は、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取される。また、検体は、感染病原体の病原体検査の検査対象である。出力手段は、前記採取制御手段によって作成された前記指示情報を出力する。
【選択図】図5A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する利用情報取得手段と、
前記利用情報取得手段によって取得された利用情報に基づいて、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取する検体であって、感染病原体の病原体検査を行う前記検体を採取する条件を含む指示情報を作成する採取制御手段と、
前記採取制御手段によって作成された前記指示情報を出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする検体採取制御装置。
【請求項2】
前記利用情報は、前記トイレ設備の時間帯ごとの利用頻度の情報を含み、
前記採取制御手段は、時間帯ごとの利用頻度に応じた前記条件を決定するものであることを特徴とする請求項1に記載の検体採取制御装置。
【請求項3】
前記利用情報は、前記トイレ設備の利用履歴を含み、
前記採取制御手段は、前記利用履歴に基づいて、前記時間帯ごとの利用頻度を更新するものであることを特徴とする請求項2に記載の検体採取制御装置。
【請求項4】
前記出力手段は、前記指示情報を記憶する外部の装置に、前記指示情報を更新させるための更新情報を送信するものであることを特徴とする請求項3に記載の検体採取制御装置。
【請求項5】
前記出力手段は、前記採取制御手段によって作成された前記指示情報に基づいて、前記検体を採取する指示を示す採取指示情報を外部の装置へ送信するものであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の検体採取制御装置。
【請求項6】
前記トイレ設備の個室が利用されたことを示すトイレデータを取得するトイレデータ取得手段を備え、
前記出力手段は、前記トイレデータ取得手段によって前記トイレデータが取得されることに基づく特定のタイミングで、前記外部の装置へ前記採取指示情報を送信するものであることを特徴とする請求項5に記載の検体採取制御装置。
【請求項7】
前記トイレデータは、前記個室のドアの開閉状態を示す開閉データを含み、
前記特定のタイミングは、前記開閉データに基づくタイミングである、
ことを特徴とする請求項6に記載の検体採取制御装置。
【請求項8】
前記トイレデータは、前記ドアが閉められている時間の情報を含み、
前記特定のタイミングは、所定時間、前記ドアが閉められたタイミングである、
ことを特徴とする請求項7に記載の検体採取制御装置。
【請求項9】
前記トイレデータは、前記トイレ設備を利用する利用者の検温データを含み、
前記特定のタイミングは、前記検温データに基づくタイミングである、
ことを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の検体採取制御装置。
【請求項10】
検体採取制御装置に用いられるコンピュータが、
建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する利用情報取得ステップと、
前記利用情報取得ステップにおいて取得された利用情報に基づいて、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取する検体であって、感染病原体の病原体検査を行う前記検体を採取する条件を含む指示情報を作成する採取制御ステップと、
前記採取制御ステップにおいて作成された前記指示情報を出力する出力ステップと、
を含む処理を実行することを特徴とする検体採取制御方法。
【請求項11】
検体採取制御装置に用いられるコンピュータを、
建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する利用情報取得手段、
前記利用情報取得手段によって取得された利用情報に基づいて、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取する検体であって、感染病原体の病原体検査を行う前記検体を採取する条件を含む指示情報を作成する採取制御手段、
前記採取制御手段によって作成された前記指示情報を出力する出力手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体採取制御装置、検体採取制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、排水が流れる配管において、定期的に流体を一定量サンプリングして、異常がないか否かを分析したり、検査したりすることが行われている。また、排泄物を検査することにより、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)などの感染症に感染した者の有無を判別することが可能である。ウィルスの分析を行うために、下水に、脱脂綿を備えるサンプラーを2日間浸漬させて、下水から排泄物を採取することが行われている。関連する技術として、新鮮な排水のみを一定量採取可能なサンプリング用のボール弁が開示されている(例えば、下記特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07-269725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、排泄物(検出対象)が排水で希釈されてしまうことや、サンプラーが最初に吸水したものが検出対象となってしまうことがある。このため、感染病原体の病原体検査の対象となる検体を効率よく採取することができず、よって、感染防止を図ることができないことがある、という問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、感染病原体の病原体検査の対象となる検体を効率よく採取し、感染防止を図ることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様である検体採取制御装置は、建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する利用情報取得手段と、前記利用情報取得手段によって取得された利用情報に基づいて、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取する検体であって、感染病原体の病原体検査を行う前記検体を採取する条件を含む指示情報を作成する採取制御手段と、前記採取制御手段によって作成された前記指示情報を出力する出力手段と、を備えることを特徴とする検体採取制御装置である。
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の他の態様である検体採取制御方法は、検体採取制御装置に用いられるコンピュータが、建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する利用情報取得ステップと、前記利用情報取得ステップにおいて取得された利用情報に基づいて、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取する検体であって、感染病原体の病原体検査を行う前記検体を採取する条件を含む指示情報を作成する採取制御手段と、前記採取制御ステップにおいて作成された前記指示情報を出力する出力ステップと、を含む処理を実行することを特徴とする検体採取制御方法である。
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、検体採取制御装置に用いられるコンピュータを、建造物内におけるトイレ設備の利用に関する利用情報を取得する利用情報取得手段、前記利用情報取得手段によって取得された利用情報に基づいて、前記トイレ設備から排出された排泄物を含む排水が流入する排水収容部または通液部から採取する検体であって、感染病原体の病原体検査を行う前記検体を採取する条件を含む指示情報を作成する採取制御手段、前記採取制御手段によって作成された前記指示情報を出力する出力手段、として機能させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、感染病原体の病原体検査の対象となる検体を効率よく採取し、感染防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の排水管の配置構成の一例を示す説明図である。
図2A】本実施形態に係る検体採取システムStの構成の一例を示す説明図である。
図2B】トイレデータ収集装置210の構成例のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図3】本実施形態に係る検体採取装置200の構成の一例を示す外観図である。
図4】本実施形態に係る検体採取装置200のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図5A】トイレデータ収集装置210が行う指示情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。
図5B】トイレデータ収集装置210が行う指示情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。
図5C】トイレデータ収集装置210が行う検体の採取指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
図5D】トイレデータ収集装置210が行う即座の採取指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
図5E】トイレデータ収集装置210が行う計画に応じた採取指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。
図6A】検体採取装置200が生成する検体情報テーブルTBの一例を示す説明図である。
図6B】トイレデータ収集装置210が管理する採取情報DB1の一例を示す説明図である。
図7】変形例2に係るトイレデータ収集装置210が行う指示情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。
図8】変形例3に係るトイレデータ収集装置210が管理するトイレ管理テーブルの一例を示す説明図である。
図9】変形例3に係るトイレデータ収集装置210が行う採取情報の生成処理の一例を示すフローチャートである。
図10】変形例3に係る採取情報DB2の一例を示す説明図である。
図11】実施形態2に係る情報処理装置240の構成例のハードウェア構成の一例を示す説明図である。
図12】データテーブルA群のトランザクションテーブルの一例を示す説明図である。
図13】データテーブルB群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図14】データテーブルC群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図15】データテーブルD群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図16】データテーブルE群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図17】データテーブルF群のトランザクションテーブルの一例を示す説明図である。
図18】データテーブルG群のテーブルの一例を示す説明図である。
図19】データテーブルH群のトランザクションテーブルの一例を示す説明図である。
図20】実施形態2に係る情報処理装置240が行う、感染者の特定に係る工程例を示す説明図である。
図21】実施形態2に係る情報処理装置240が行う、感染疑い者の推定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態1、2について説明する。
【0012】
(実施形態1)
(排水管の配置構成)
図1は、本実施形態の排水管の配置構成の一例を示す説明図である。図1において、建造物1は、例えば、地下1階、地上2階のフロアを有する建物である。建造物1は、例えば、オフィスや店舗などである。建造物1は、各フロアにトイレ設備10(10a1、10a2、10b1、10b2、10c1、10c2)と、厨房110(110a、110b、110c)とを備える。なお、以下では、トイレ設備10を単に「トイレ10」と称する。トイレ10は、男子トイレ10(10a1、10b1、10c1)と、女子トイレ10(10a2、10b2、10c2)とを含む。男子トイレ10と女子トイレ10には、それぞれ複数の個室が設けられている。個室には、大便器が設けられている。
【0013】
トイレ10および厨房110から排出された排水は、配管121を通じて、私設桝120を通り、その後、公共の汚水桝130を経由して、下水道管140に排出される。私設桝120および汚水桝130は、貯留しない一過式のタイプの排水桝である。具体的には、私設桝120は、排水が流れる通液部122を備える。私設桝120において、排水は貯留されずに、通液部122を流れ、下水道管140に排出される。
【0014】
ただし、私設桝120や汚水桝130は、貯留しない一過式のタイプに限らない。私設桝120や汚水桝130は、貯留するタイプが使用される場合も本発明を適用することができる。私設桝120や汚水桝130が貯留するタイプの場合は、図示は省略するが、後述する検体採取装置は、採取部位が排水収容部に浸漬するように配置され、排水から検体を採取する。
【0015】
図1の私設桝120や、汚水桝130は、排水の配管の上部に点検口を埋設し、配管が点検用に上部開口された形状になっている。私設桝120には、建造物1から排出された排水のみが流れ込む。公共桝には、汚水桝130の他にも、雨水を溜める雨水枡131がある。汚水桝130には、建造物1以外の建物から排出された排水も流れ込む。
【0016】
1階のトイレ10b(10b1、10b2)や厨房110bから排出された排水は、配管121bを経由して、そのまま私設桝120に排出される。2階のトイレ10c(10c1、10c2)や厨房110cから排出された排水は、配管121cを経由して、そのまま私設桝120に排出される。
【0017】
一方で、地下のトイレ10a(10a1、10a2)から排出された排水は、配管121aを介して汚水槽150に一旦溜められ、その後、ポンプ151により、配管121dを介して私設桝120に排出される。また、地下の厨房110aから排出された排水は、配管121eを介して雑排水槽160に一旦溜められ、その後、ポンプ161により、配管121fを介して私設桝120に排出される。
【0018】
(検体採取システムStの構成例)
図2Aは、本実施形態に係る検体採取システムStの構成の一例を示す説明図である。図2Aにおいて、検体採取システムStは、検体採取装置200(200a、200b)と、トイレデータ収集装置210と、検温装置220と、携帯端末装置230と、情報処理装置240とを備える。検体採取システムStにおいて、各装置は、有線または無線のネットワーク270を介して接続される。ネットワーク270は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットなどである。各装置は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信部などを備えたコンピュータ装置である。
【0019】
図2Aにおいて、トイレ10の一例として、地下の男子トイレ10a1を例に挙げて、各個室101について説明する。なお、他のトイレ10(10a2、10b1、10b2、10c1、10c2)についても同様とする。以下において、男子トイレ10a1を、単に「トイレ10」という場合がある。
【0020】
トイレ10は、複数(例えば3つ)の個室101を備える。各個室101のドアには、開閉検出部211が設けられている。開閉検出部211は、ドアが閉められている閉状態と、ドアが開放している開状態とを検出する。開状態は、個室101が不使用中であることを示す。閉状態は、個室101が使用中であることを示す。開閉検出部211は、ドアの検出結果(開閉データ)をトイレデータ収集装置210へ送信する。
【0021】
また、各個室101には、大便器102が配置されている。大便器102には、操作検出部212が設けられている。操作検出部212は、フラッシングレバーの操作を検出する。フラッシングレバーの操作は、大便を流す際に操作される「大」操作と、小便を流す際に操作される「小」操作とを含む。操作検出部212は、フラッシングレバーの操作結果(操作データ)をトイレデータ収集装置210へ送信する。なお、男子トイレ10には、大便器102の他に、小便器(不図示)も配置される。小便器には、操作検出部212が配置されておらず、すなわち、小便を流す操作については、検出しないものとする。
【0022】
トイレデータ収集装置210は、検体採取制御装置の一例である。トイレデータ収集装置210は、検体を採取する条件を含む指示情報を作成し、検体採取装置200a、200bに検体を採取させる。また、トイレデータ収集装置210は、トイレデータを管理する。トイレデータは、開閉検出部211によって検出された各個室101の開閉データや、操作検出部212によって検出された各個室101の操作データを含む。また、トイレデータ収集装置210は、検体採取装置200a、200b、携帯端末装置230、および情報処理装置240に、検体を採取する条件に関する採取指示を行う。また、トイレデータ収集装置210は、検体採取装置200a、200bによって採取された検体の検体情報を管理する。
【0023】
検温装置220は、トイレ10の入口に設けられ、利用者のトイレ10への進入を検出するとともに、利用者の顔の温度を検出する。具体的には、検温装置220は、サーモグラフィーカメラを備え、物体の表面の放射エネルギーを測定する。なお、利用者のトイレ10への進入を検出するセンサとして、例えば、赤外線センサや、マットセンサなどを用いてもよい。
【0024】
検体採取装置200aは、通液部122(私設桝120)に配置され、排水250aから検体(サンプル)を採取する。検体は、感染病原体の病原体検査の対象である。私設桝120や汚水桝130だけでなく、汚水槽150での検体採取も可能であり、この場合、検体採取装置200bは、採取部位が槽内(排水収容部)に浸漬するように汚水槽150に配置され、排水250bから検体を採取することもできる。なお、以下において、特に区別する必要がない場合は、検体採取装置200aおよび検体採取装置200bを「検体採取装置200」とし、排水250aおよび排水250bを「排水250」として説明する。検体採取装置200は、トイレデータ収集装置210による検体の採取指示に応じて、排水250から検体を採取する。検体採取装置200が採取する検体の量は、例えば、2mLである。
【0025】
携帯端末装置230は、作業スタッフが所持する可搬型のコンピュータ装置である、携帯端末装置230は、例えば、スマートフォンやタブレット端末である。携帯端末装置230には、所定のアプリ(アプリケーションプログラム)がインストールされている。携帯端末装置230は、検体採取装置200において、検体の採取に関して異常がある場合には、アラートを出力する。また、携帯端末装置230は、トイレデータ収集装置210からの採取指示に基づいて、検体の採取を促す報知を行う。
【0026】
情報処理装置240は、作業スタッフがいる事業所に配置されるパソコンなどのコンピュータ装置である。情報処理装置240は、検体採取装置200において、検体の採取に関して異常がある場合には、アラートを出力する。また、情報処理装置240は、トイレデータ収集装置210からの採取指示に基づいて、検体の採取を促す報知を行う。
【0027】
なお、本実施形態では、トイレデータ収集装置210と、携帯端末装置230と、情報処理装置240とをそれぞれ別々の装置として説明するが、これらは一の装置であってもよい。例えば、情報処理装置240に、トイレデータ収集装置210と、携帯端末装置230との機能を具備させるようにしてもよい。
【0028】
(トイレデータ収集装置210の構成例)
図2Bは、トイレデータ収集装置210の構成例のハードウェア構成の一例を示す説明図である。トイレデータ収集装置210は、パソコン、ノートパソコン、タブレット端末、サーバなどのコンピュータ装置である。トイレデータ収集装置210は、CPU281と、メモリ282と、通信インタフェース(I/F)283と、入力デバイス284と、出力デバイス285とを備える。これらは、バス289を介して、相互に通信可能に接続される。
【0029】
CPU281は、トイレデータ収集装置210の全体の制御を司る。メモリ282は、ROM、RAMなどの各種記憶部を含む。ROMは、本実施形態に係る採取制御プログラムなどの各種プログラムを記録している。RAMは、CPU281のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU281は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMに記憶された各種プログラムを実行することによって、トイレデータ収集装置210の全体の制御を司る。
【0030】
通信インタフェース283は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して他の装置(例えば、検体採取装置200、検温装置220、携帯端末装置230および情報処理装置240)や、他の検出部(例えば、開閉検出部211や操作検出部212)に接続される。
入力デバイス284は、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナなどの各種デバイスを含む。
出力デバイス285は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの各種デバイスを含む。
【0031】
(検体採取装置200の構成例)
図3は、本実施形態に係る検体採取装置200の構成の一例を示す外観図である。
図4は、本実施形態に係る検体採取装置200のハードウェア構成の一例を示す説明図である。以下、図3を参照しつつ、図4に示した検体採取装置200の構成の一例を説明する。検体採取装置200は、CPU301と、メモリ302と、通信インタフェース(I/F)303と、操作部304と、ディスプレイ305と、時計306と、重量センサ307と、ポンプ308とを備える。これらは、バスを介して相互に通信可能に接続される。
【0032】
CPU301は、検体採取装置200の全体の制御を司る。メモリ302は、ROM、RAMなどの各種記憶部を含む。メモリ302におけるROMは、各種プログラムを記録している。メモリ302におけるRAMは、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMに記憶された各種プログラムを実行することによって、検体採取装置200の全体の制御を司る。また、メモリ302は、各種プログラムを記憶する。例えば、CPU301は、採水量を設定したり、サンプル容器の自動交換の時間を設定したり、アラートの発信や、採取採水時刻(開始/停止)のログを保存したりする。
【0033】
通信インタフェース303は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して他の装置(例えば、トイレデータ収集装置210)に接続される。
操作部304は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のタッチキーを表示するタッチパネルや、ハードキーなどである。
ディスプレイ305は、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、文字、画像、コードなどを表示する。
【0034】
時計306は、時刻を示すとともに時間を計測する。
重量センサ307は、検体を収容しているサンプル容器の重量を検出する。サンプル容器は、サンプル収容部310(図3参照)に収容される。なお、サンプル収容部310(図3参照)は、サンプル容器を数十本収容する。
ポンプ308は、排水から検体(サンプル)を吸い上げる。ポンプ308は、CPU301の制御により、ON/OFFが切り替えられ、また、任意に設定した時間、稼働する。ポンプ308によって吸い上げられた排水は、サンプル容器に入れられる。なお、サンプルの保管方法は、液体そのものを保管することに限らず、脱脂綿に吸水させて保管するようにしてもよい。
【0035】
例えば、CPU301は、重量センサ307の検出結果を用いて、ポンプ308を制御して、適切に採水を行う。CPU301は、重量センサ307の検出結果に異常がある場合、すなわち、採水に異常がある場合には、通信インタフェース303から、他の装置(トイレデータ収集装置210、携帯端末装置230、または情報処理装置240)へ異常情報を送信し、送信先の機器にアラートを出力させる。
【0036】
(トイレデータ収集装置210の機能的構成について)
ここで、私設桝120や汚水桝130として、貯留するタイプが使用される場合、排泄物(特に大便)が排水で希釈されてしまったり、サンプラーが最初に採水したものが検出対象となってしまったりすることがあり、すなわち、効率よくサンプルを採取することができないことがある。そこで、本実施形態では、トイレ10の個室101が利用される際にサンプルを採取できるようにしている。以下、トイレデータ収集装置210の機能的構成について説明する。
【0037】
トイレデータ収集装置210は、利用情報取得部と、採取制御部と、表示部と、送信部と、トイレデータ取得部とを備える。各部は、CPU281によって実現される。すなわち、CPU281が、メモリ282に記憶されている採取制御プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。表示部と、送信部は、出力部の一例である。
【0038】
利用情報取得部は、建造物1内のトイレ10の利用に関する利用情報を取得する。利用情報は、トイレ10が利用されることを示す情報や、利用される可能性のあることを示す情報や、利用頻度の情報や、利用履歴や、利用者数の情報を含む。
【0039】
(計画に応じた採取について)
本実施形態に係る検体の採取は、計画に応じた採取と、即座の採取とを含む。まず、計画に応じた採取について説明する。計画に応じた採取は、利用情報に基づいて、トイレ10の利用頻度に応じた時間帯ごとの採取頻度を定め、採取頻度に沿って計画的に採取することである。
【0040】
具体的に説明すると、採取制御部は、利用情報取得部によって取得された利用情報に基づいて、検体を採取する採取条件に関する指示情報を作成する。採取条件は、検体の採取頻度を含む。具体的には、採取条件は、検体の採取の有無や、検体の採取頻度の高低(高採取頻度または低採取頻度)を含む。指示情報は、採取頻度に応じて検体を採取するための情報である。
【0041】
採取制御部は、トイレ10が利用される場合(例えば、トイレ10の利用頻度が高い場合)、検体の採取頻度を「高」とした指示情報を作成する。一方で、トイレ10が利用されない場合(例えば、トイレ10の利用頻度が低い場合)、採取制御部は、検体の採取頻度を「低」または「採取なし」とした指示情報を作成する。
【0042】
表示部は、ディスプレイ等の出力デバイス285に指示情報を表示させる。また、送信部は、指示情報を外部の装置へ送信する。外部の装置は、例えば、検体採取装置200、携帯端末装置230、および情報処理装置240である。外部の装置は、それぞれディスプレイ等に指示情報を表示することが可能である。なお、指示情報の出力態様は、表示または送信による出力に限らず、外部の装置に読み取らせるための記憶媒体への出力としてもよい。
【0043】
(自動採取と手動採取について)
本実施形態において、検体の採取は、検体採取装置200による自動採取と、作業スタッフが検体採取装置200を手動で操作して検体を採取する手動採取とを行うことが可能である。なお、手動採取では、検体採取装置200を用いずに、作業スタッフが手で採取してもよい。
【0044】
送信部は、指示情報に基づいて、外部の装置(検体採取装置200、携帯端末装置230、および情報処理装置240)に検体を採取させる指示を示す採取指示情報を送信する。具体的には、送信部は、指示情報に基づく採取タイミングで、外部の装置に採取指示情報を送信する。検体採取装置200は、トイレデータ収集装置210から採取指示情報を受信すると、検体の自動採取を行う。ただし、検体採取装置200は、採取指示情報を受信すると、ディスプレイ305等を用いて、検体の採取を促す報知を行い、手動採取を促すようにしてもよい。
【0045】
また、携帯端末装置230および情報処理装置240は、トイレデータ収集装置210から採取指示情報を受信すると、検体の採取を促す報知を行う。なお、当該報知は、トイレデータ収集装置210が備える出力デバイス285(ディスプレイやスピーカ)においても、採取指示情報に基づいて行うようにすることも可能である。作業スタッフは、採取を促す報知を確認すると、検体採取装置200を操作して手動採取を行うことが可能である。
【0046】
(時間帯に応じた採取について)
本実施形態において、利用情報は、トイレ10の時間帯ごとの利用頻度の情報を含む。採取制御部は、時間帯ごとに利用頻度に応じた採取条件を決定する。例えば、採取条件は、トイレ10の利用頻度が高い時間帯(以下「混雑時間帯」という場合がある。)では、採取頻度の高い高採取頻度とした条件である。高採取頻度では、例えば、2mL/毎分の採取頻度(240mLポリ瓶では120分ごとにポリ瓶を交換)で検体が採取される。
【0047】
また、採取条件は、トイレ10の利用頻度が低い時間帯(以下「閑散時間帯」という場合がある。)では、低い採取頻度(低採取頻度)とした条件、または、採取を行わないこととする条件である。例えば、利用頻度の低い時間帯では、2mL/毎5分の採取頻度(240mLポリ瓶では600分ごとにポリ瓶を交換)で検体が採取される。
【0048】
なお、閑散時間帯では、一定時間おきに検体を自動採取するのではなく、利用者がトイレ10を利用したとみなせる任意のタイミングで検体を採取するようにしてもよい。例えば、作業スタッフが検体採取装置200を直接操作または遠隔操作することによって、検体採取装置200に採取指示情報を入力させることにより、検体採取装置200に検体を採取させるようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、説明の便宜上、利用頻度および採取頻度は、「高」と「低」の2つの分類とするが、3以上の分類することも可能である。同様に、利用頻度に応じた時間帯についても、トイレ10の利用頻度が高い時間帯と低い時間帯との2つの時間帯とするが、これに限らず、利用頻度の分類に応じた数の時間帯とすることも可能である。
【0050】
(利用頻度および採取頻度の更新について)
また、利用情報は、トイレ10の利用履歴を含む。利用履歴は、個室101の利用履歴や、フラッシングレバーの操作履歴や、検体採取装置200が設置される通液部122の排水流量の履歴などを含む。利用履歴は、メモリ282に記憶される。利用情報取得部は、メモリ282から、利用履歴を取得する。
【0051】
採取制御部は、トイレ10の利用履歴に基づいて、時間帯ごとの利用頻度を更新(変更)する。具体的には、採取制御部は、例えば、トイレ10の利用履歴に基づいて、1ヶ月ごと、曜日ごと、時間帯ごと、トイレごと等の利用頻度を加重平均として求める。そして、採取制御部は、当該加重平均が所定値より高い時間帯(例えば、平日午前8時~9時、平日午後12時30分~14時)を利用頻度が高いと決定する。また、採取制御部は、当該加重平均が所定値より低い時間帯(閑散時間帯)を利用頻度が低いと決定する。
【0052】
採取制御部は、決定した利用頻度に対応する採取頻度に、適切ではない採取頻度が設定されている場合に、採取頻度を更新する。例えば、利用頻度が高いと決定した時間帯の採取頻度が低採取頻度に設定されている場合、当該時間帯の採取頻度を高採取頻度に更新する。また、利用頻度が低いと時間帯の採取頻度が高採取頻度に設定されている場合、当該時間帯の採取頻度を低採取頻度に更新する。
【0053】
採取制御部は、利用頻度および採取頻度を定期的に更新する。なお、トイレ10の利用頻度は、季節や気候に応じて変動する。このため、採取制御部は、「月」単位で利用頻度を更新することが望ましい。利用頻度の更新タイミングは、予め設定した一定期間が経過したタイミングでもよいし、作業スタッフから更新を行う旨を受け付けたタイミングでもよい。
【0054】
また、利用履歴は、上述したように、通液部122の排水流量の履歴を含む。例えば、排水流量が所定量を超える時間帯は、大便が多く流れる時間帯(利用頻度の高い時間帯)である。採取制御部は、トイレ10の利用時間のデータを蓄積する処理を数日間、継続して行う。トイレ10の利用時間のデータは、例えば、通液部122の排水流量が所定量を超えた時刻から、一定時間遡った時刻をトイレ10の利用時間とみなしたデータである。そして、採取制御部は、蓄積したデータに基づいて、混雑時間帯と閑散時間帯とを決定する。具体的には、採取制御部は、時間帯ごと(例えば、1時間ごと)に排水流量が所定量を超えた超過回数をカウントし、超過回数が所定回数を超えた時間帯を混雑時間帯とし、一方で、超過回数が所定回数以下であった時間帯を閑散時間帯として決定する。そして、採取制御部は、混雑時間帯の採取頻度を高採取頻度に決定し、閑散時間帯の採取頻度を低採取頻度に決定する。
【0055】
利用頻度の更新は、自動で行われてもよいし、更新に際して作業スタッフから確認操作を受け付けるようにしてもよい。また、利用頻度の更新を自動で行うようにするか、確認操作を受け付けるようにするかは、設定に応じて切り替え可能としてもよい。なお、利用頻度の更新は、作業スタッフの手動(手入力)によって行われてもよい。
【0056】
また、利用履歴は、汚水槽150のポンプ151の稼働履歴を含む。稼働履歴は、時間帯ごとのポンプ151の稼働時間の履歴である。採取制御部は、稼働履歴を用いて、ポンプ151の稼働時間の長い稼働時間帯を特定し、当該稼働時間帯に高採取頻度とした採取条件を決定することも可能である。
【0057】
(即座の採取について)
次に、即座の採取について説明する。即座の採取において、送信部は、特定のトイレデータが検出されたときに、外部の装置へ採取指示情報を送信する。即座の採取は、即座に一度検体を採取すること、または、以降一定時間が経過するまで採取頻度を上げて検体を採取することである。具体的には、送信部は、トイレ10の個室101が利用された特定のタイミングで、外部の装置へ採取指示情報を送信する。
【0058】
(トイレ10が利用されたことの推定について)
トイレデータ取得部は、トイレ10の個室101が利用されたことを示すトイレデータを取得する。トイレデータは、開閉検出部211や、操作検出部212や、検温装置220などの検出結果を含む。送信部は、トイレデータ取得部によってトイレデータが取得されることに基づく特定のタイミングで、外部の装置へ採取指示情報を送信する。以下に、特定のタイミングについて詳述する。
【0059】
(トイレ10の開閉データに基づく特定のタイミングついて)
トイレデータは、開閉検出部211によって検出される開閉データを含む。開閉データは、トイレ10の個室101のドアの開閉状態を示すデータである。特定のタイミングは、開閉データに基づくタイミングである。具体的に説明すると、送信部は、個室101のドアが「開」→「閉」に切り替わったタイミングで、個室101が使用されたと見なして、外部の装置へ採取指示情報を送信する。
【0060】
ここで、男子トイレ10の場合、小便器が別途設けられていることから、個室101の使用を大便での使用と見なせる。このため、個室101のドアの開閉データを用いて、大便での使用を検出することが可能である。送信部は、大便での使用が検出された以降の一定時間(例えば、15分間)は採取の頻度を上げて、採取指示情報を外部の装置へ送信する。
【0061】
一方で、女子トイレ10の場合、小便器がないことから、個室101の使用を大便での使用と見なせない。このため、個室101のドアの「開」→「閉」の開閉データのみでは、大便での使用を判別することは難しいことがある。また、男子トイレでも、個室101のドアが閉められた後に、利用者が用を足さずに直ぐに当該個室101から出てしまうことも起こり得る。そこで、送信部は、個室101のドアの「開」→「閉」になった後の時間を計測し、「閉」の状態で所定時間経過した場合に、採取指示情報を送信するようにする。所定時間とは、大便と見なせる程度の時間であり、作業スタッフが任意に設定することが可能な時間である。
【0062】
(排水流量に基づく特定のタイミングついて)
また、個室101の大便での使用であることの判別において、排水流量を用いることも可能である。具体的に説明すると、トイレデータは、トイレ10の個室101における排水流量の情報を含む。排水流量の情報は、操作検出部212によって検出されるフラッシングレバー(大、小)の操作データから得ることができる。排水流量は、「大」の操作の場合に多く、「小」の操作の場合に少ない。トイレデータ取得部は、操作検出部212から操作データを取得する。
【0063】
送信部は、操作データから得られる排水流量が所定量以上の場合に、大便での使用であると見なして、採取指示情報を送信する。具体的には、送信部は、操作検出部212によってフラッシングレバーの「大」操作が検出された場合、採取指示情報を外部の装置へ送信する。
【0064】
また、排水流量の情報は、汚水槽150に付帯するポンプ151の稼働から得ることもできる。トイレデータ取得部は、ポンプ151から、ポンプ151の稼働データを取得する。送信部は、ポンプ151の稼働データから得られる排水流量が所定量以上の場合、外部の装置へ採取指示情報を送信する。
【0065】
(検温データに基づく特定のタイミングついて)
また、トイレデータは、トイレ10を利用する利用者の検温データを含む。トイレデータ取得部は、検温装置220から検温データを取得する。送信部は、検温データが示す体温が所定温度以上の場合、感染リスクが高いことから、特定のタイミングとして、外部の装置へ採取指示情報を送信する。所定温度とは、平熱ではない温度(例えば37.0℃)である。送信部は、検温データが示す体温が所定温度以上の場合、外部の装置へ採取指示情報を送信する。
【0066】
(トイレデータ収集装置210が行う指示情報の作成処理の一例)
図5Aは、トイレデータ収集装置210が行う指示情報の作成処理の一例を示すフローチャートである。図5Aにおいて、トイレデータ収集装置210は、作業スタッフから指示情報の作成開始を受け付けたかを判断する(ステップS401)。トイレデータ収集装置210は、指示情報の作成開始を受け付けるまで待機し(ステップS401:NO)、指示情報の作成開始を受け付けると(ステップS401:YES)、トイレ10の利用履歴を取得する(ステップS402)。
【0067】
そして、トイレデータ収集装置210は、トイレ10の利用履歴に基づいて、各時間帯のトイレ10の利用頻度を決定する(ステップS403)。トイレ10の利用履歴の一例として、通液部122の排水流量の情報を用いて、利用頻度の決定について補足する。各時間帯の利用頻度の決定において、トイレデータ収集装置210は、各時間帯における通液部122の排水流量が所定量を超えた場合に、利用頻度が高頻度であると決定する。また、トイレデータ収集装置210は、各時間帯における通液部122の排水流量が所定量以下である場合に、利用頻度が低頻度であると決定する。
【0068】
ステップS403の処理の後、トイレデータ収集装置210は、各時間帯の利用頻度に応じた適切な採取頻度を決定する(ステップS404)。具体的には、トイレデータ収集装置210は、混雑時間帯では高採取頻度に決定し、閑散時間帯では低採取頻度を決定する。そして、各時間帯の採取頻度をまとめた指示情報を作成する(ステップS405)。そして、トイレデータ収集装置210は、作成した指示情報を、表示または外部の装置への送信によって出力し(ステップS406)、一連の処理を終了する。
【0069】
(トイレデータ収集装置210が行う指示情報の更新処理の一例)
図5Bは、トイレデータ収集装置210が行う指示情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。図5Bにおいて、トイレデータ収集装置210は、指示情報における採取頻度の更新タイミングであるか否かを判断する(ステップS531)。トイレデータ収集装置210は、採取頻度の更新タイミングとなるまで待機する(ステップS531:NO)。
【0070】
採取頻度の更新タイミングになると(ステップS531:YES)、トイレデータ収集装置210は、トイレ10の利用履歴を取得する(ステップS532)。そして、トイレデータ収集装置210は、取得した利用履歴に基づいて、各時間帯の利用頻度を決定する(ステップS533)。次に、トイレデータ収集装置210は、いずれかの時間帯の利用頻度に変更があるか否かを判断する(ステップS534)。いずれかの時間帯の利用頻度に変更がない場合(ステップS534:NO)、トイレデータ収集装置210は、一連の処理を終了する。
【0071】
いずれかの時間帯の利用頻度に変更がある場合(ステップS534:YES)、トイレデータ収集装置210は、利用頻度に応じた適切な採取頻度が設定されているか否かを判断する(ステップS535)。具体的には、トイレデータ収集装置210は、混雑時間帯における採取頻度が高採取頻度に設定されているか否や、閑散時間帯における採取頻度が低採取頻度に設定されているか否かを判断する。
【0072】
利用頻度に応じた適切な採取頻度が設定されている場合(ステップS535:YES)、トイレデータ収集装置210は、そのまま処理を終了する。利用頻度に応じた適切な採取頻度が設定されていない場合(ステップS535:NO)、トイレデータ収集装置210は、指示情報における採取頻度を更新し(ステップS536)、一連の処理を終了する。
【0073】
(トイレデータ収集装置210が行う検体の採取指示に係る処理の一例)
図5Cは、トイレデータ収集装置210が行う検体の採取指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。図5Cにおいて、トイレデータ収集装置210は、作業スタッフから採取制御の開始を受け付けることにより、採取制御の開始であるか否かを判断する(ステップS501)。トイレデータ収集装置210は、採取制御の開始となるまで待機し(ステップS501:NO)、採取制御の開始となると(ステップS501:YES)、即座の採取指示に係る処理(図5D参照)を実行する(ステップS502)。
【0074】
そして、トイレデータ収集装置210は、計画に応じた採取指示に係る処理(図5E参照)を実行する(ステップS503)。次に、トイレデータ収集装置210は、検体情報(図6A参照)を取得したか否かを判断する(ステップS504)。検体情報を取得するとは、例えば、検体が自動採取されて、検体採取装置200から検体情報を受信することや、作業スタッフから検体情報が操作入力されることである。
【0075】
検体情報を取得しない場合(ステップS504:NO)、トイレデータ収集装置210は、ステップS506に進む。検体情報を取得した場合(ステップS504:YES)、トイレデータ収集装置210は、採取情報(図6B参照)を生成する(ステップS505)。
【0076】
次に、トイレデータ収集装置210は、作業スタッフから採取制御の終了を受け付けることにより、採取制御を終了するか否かを判断する(ステップS506)。採取制御を終了しない場合(ステップS506:NO)、トイレデータ収集装置210は、ステップS502に戻る。採取制御を終了する場合(ステップS506:YES)、トイレデータ収集装置210は、一連の処理を終了する。
【0077】
(トイレデータ収集装置210が行う即座の採取指示に係る処理の一例)
図5Dは、トイレデータ収集装置210が行う即座の採取指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。図5Dにおいて、トイレデータ収集装置210は、トイレ10の入口に設置される検温装置220によって、利用者のトイレ10への進入が検出されたか否かを判断する(ステップS511)。利用者のトイレ10への進入が検出されない場合(ステップS511:NO)、トイレデータ収集装置210は、ステップS513に進む。
【0078】
利用者のトイレ10への進入が検出されると(ステップS511:YES)、トイレデータ収集装置210は、検温装置220によって検出された当該利用者の体温が所定温度以上であるか否かを判断する(ステップS512)。当該利用者の体温が所定温度以上である場合(ステップS512:YES)、トイレデータ収集装置210は、ステップS514に進む。
【0079】
一方、当該利用者の体温が所定温度以上ではない場合(ステップS512:NO)、トイレデータ収集装置210は、開閉検出部211によって個室101のドアの開閉データの「閉」の操作が検出されたか否かを判断する(ステップS513)。「閉」の操作が検出された場合(ステップS513:YES)、トイレデータ収集装置210は、以降一定時間が経過するまで採取頻度を上げて採取指示情報を送信し(ステップS514)、図5CのステップS503へ進む。
【0080】
これにより、検体採取装置200は、以降一定時間が経過するまで採取頻度を上げて、検体を採取する。また、携帯端末装置230、情報処理装置240および出力デバイス285は、以降一定時間が経過するまで採取頻度を上げて検体の採取を促す報知を行う。なお、女子トイレ10については、個室101のドアの「閉」の状態が検出されてから、所定時間経過した場合に、ステップS514に移行する。また、同様に、男子トイレ10についても、個室101のドアの「閉」の状態が検出されてから、所定時間経過した場合に、ステップS514に移行するようにしてもよい。
【0081】
ステップS513において、「閉」の操作が検出されない場合(ステップS513:NO)、トイレデータ収集装置210は、操作検出部212によってフラッシングレバーの「大」操作が検出されたか否かを判断する(ステップS515)。フラッシングレバーの「大」操作が検出された場合(ステップS515:YES)、トイレデータ収集装置210は、ステップS517へ進む。
【0082】
フラッシングレバーの「大」操作が検出されない場合(ステップS515:NO)、トイレデータ収集装置210は、汚水槽150のポンプ151の稼働があるか否かを判断する(ステップS516)。汚水槽150のポンプ151の稼働がない場合(ステップS516:NO)、トイレデータ収集装置210は、図5CのステップS503へ進む。汚水槽150のポンプ151の稼働がある場合(ステップS516:YES)、トイレデータ収集装置210は、即座に一度、検体を採取させるために、採取指示情報を送信し(ステップS517)、図5CのステップS503へ進む。ただし、トイレ10や汚水槽150から検体採取場所までの配管121の長さ等によっては、排水が検体採取場所に到達するまでのタイムラグが大きい場合がある。その場合、即座に採取するのでなく、タイムラグを考慮して、フラッシングレバーの「大」操作やポンプ151の稼働の検出から所定時間後に検体を採取するようにしてもよい。
【0083】
これにより、検体採取装置200は、即座に一度検体を採取する。また、携帯端末装置230、情報処理装置240および出力デバイス285は、即座に一度検体を採取することを促す報知を行う。
【0084】
(計画に応じた採取指示に係る処理の一例)
図5Eは、トイレデータ収集装置210が行う計画に応じた採取指示に係る処理の一例を示すフローチャートである。図5Eにおいて、トイレデータ収集装置210は、混雑時間帯であるか否かを判断する(ステップS521)。混雑時間帯である場合(ステップS521:YES)、トイレデータ収集装置210は、ステップS523へ進む。混雑時間帯ではない場合(ステップS521:NO)、すなわち、閑散時間帯である場合、トイレデータ収集装置210は、汚水槽150のポンプ151の稼働時間帯であるか否かを判断する(ステップS522)。
【0085】
汚水槽150のポンプ151の稼働時間帯である場合(ステップS522:YES)、トイレデータ収集装置210は、指示情報に基づいて、高採取頻度における採取タイミングであるか否かを判断する(ステップS523)。高採取頻度における採取タイミング(例えば1分経過)ではある場合(ステップS523:YES)、トイレデータ収集装置210は、外部の装置へ採取指示情報を送信し(ステップS524)、図5CのステップS504へ進む。これにより、高採取頻度で検体の自動採取または手動採取が行われる。
【0086】
ステップS523において、高採取頻度における採取タイミングではない場合(ステップS523:NO)、トイレデータ収集装置210は、図5CのステップS504へ進む。ステップS522において、汚水槽150のポンプ151の稼働時間帯ではない場合(ステップS522:NO)、トイレデータ収集装置210は、指示情報に基づいて、低採取頻度における採取タイミング(例えば5分経過)であるか否かを判断する(ステップS525)。
【0087】
低採取頻度における採取タイミングである場合(ステップS525:YES)、トイレデータ収集装置210は、ステップS524に進み、外部の装置へ採取指示情報を送信する。これにより、低採取頻度で検体の自動採取または手動採取が行われる。ステップS525において、低採取頻度における採取タイミングではない場合(ステップS525:NO)、トイレデータ収集装置210は、図5CのステップS504へ進む。
【0088】
(検体情報について)
図6Aは、検体採取装置200が生成する検体情報テーブルTBの一例を示す説明図である。なお、図6Aでは、一例として汚水桝130に配置される検体採取装置200が生成する検体情報について説明する。図6Aにおいて、検体情報テーブルTBは、検体採取場所IDと、検体IDと、採取開始日時と、採取終了日時との項目を含む。各項目に情報が記憶されることにより、検体情報600(600a~600e)がレコードとして記憶される。
【0089】
検体採取場所IDは、検体を採取した場所を識別する識別情報を示す。検体採取場所IDの「汚水桝01」は、汚水桝130を示す。検体IDは、検体を識別する識別情報を示す。採取開始日時は、検体の採取を開始した日時を示す。採取終了日時は、検体の採取を終了した日時を示す。
【0090】
例えば、検体情報600a~600cは、混雑時間帯に、汚水桝130において高頻度で採取された検体を示す。なお、汚水桝130において採取された検体の排出元は、地下1階のトイレ10である。また、検体情報600d、600eは、閑散時間帯に、汚水桝130において低頻度で採取された検体を示す。
【0091】
なお、検体情報600は、作業スタッフによって手動で作成されてもよい。具体的には、作業スタッフが採取する際に、検体採取場所ID、検体ID、採取開始日時、採取終了日時を入力することによって、検体情報600が生成されてもよい。各種情報が入力される装置は、検体採取装置200でもよいし、携帯端末装置230でもよい。
【0092】
検体採取装置200は、検体情報600を生成すると、生成した検体情報600をトイレデータ収集装置210へ送信する。トイレデータ収集装置210においても、検体情報600が管理される。本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、検体情報600を管理するとともに、検体情報600に検温結果を対応付けた採取情報(図6B参照)を生成して、管理する。以下、図6(B)を用いて、採取情報の一例について説明する。
【0093】
(採取情報DB1の一例)
図6Bは、トイレデータ収集装置210が管理する採取情報DB1の一例を示す説明図である。図6Bにおいて、検体情報600と、検温結果との項目を含む。各項目に情報が記憶されることにより、採取情報610(610a~610e)がレコードとして記憶される。検体情報600に示す検体採取場所IDの「私設桝01」は、私設桝120を示す。検温結果は、検体の採取場所に対応するトイレ10において、検体が採取された時間における発熱者の有無を示す。検温結果は、発熱者が検出されたことを示す「1」と、発熱者が検出されていないことを示す「0」とのうちのいずれかを示す。なお、検温結果は、発熱者の有無のみならず、発熱者の人数や体温を含めてもよい。
【0094】
例えば、採取情報610a~610cは、混雑時間帯に、汚水桝130において高頻度で採取された非発熱者の検体を示す。また、採取情報610d、610eは、閑散時間帯に、汚水桝130において低頻度で採取された発熱者の検体を示す。トイレ10の利用者が少なければ、発熱者を検出した検温装置220を特定することができる。このため、当該検温装置220が設置されるトイレ10(例えば、地下1階の男子トイレ10a1)を特定することができる。感染病原体の病原体検査において、当該検体に陽性反応が出たとすると、当該検体の採取時刻に地下1階の男子トイレ10a1を利用した者の中から感染者が発生したことを推定できる。
【0095】
以上説明したように、本実施形態に係るトイレデータ収集装置210は、トイレ10の利用に関する利用情報に基づいて、検体を採取する条件に関する指示情報を作成して出力するようにした。これにより、私設桝120や汚水桝130の汚水から、効率よく検体(排泄物)を採取(自動採取または手動採取)することができる。このため、建造物1内に感染者がいることを早期に発見することができる。したがって、建造物1の管理者等は、建造物1を閉鎖するなど感染防止の措置を早期に講じることができるため、感染が拡大することを抑えることができる。
【0096】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、時間帯ごとに利用頻度に応じた採取条件を決定するようにした。これにより、汚物が多く存在すると見込める時間帯に検体を採取することができるため、より効率よく検体を採取することができる。
【0097】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、利用履歴に基づいて、時間帯ごとの利用頻度を更新するにようにした。これにより、利用頻度に基づいて、時間帯ごとの採取頻度を更新することができる。したがって、混雑時間帯やポンプ151の稼働時間帯に、より効率よく検体を採取することができる。
【0098】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、指示情報に基づいて、外部の装置(検体採取装置200、携帯端末装置230、および情報処理装置240)に採取指示情報を送信するようにした。これにより、利用情報に基づく適切なタイミングで、検体の自動採取を行うことや、検体の採取を促す報知を行うことができる。したがって、効率よく検体を採取することができる。
【0099】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、トイレ10の個室101が利用されたことを示すトイレデータを取得することに基づく特定のタイミングで、外部の装置へ採取指示情報を送信するようにした。これにより、トイレ10が使用された際に、即座の採取を行うことができる。したがって、高濃度の排水から検体を得ることができるため、より効率よく検体を採取することができる。
【0100】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、トイレ10のドアの開閉データに基づく特定のタイミングで、外部の装置へ採取指示情報を送信するようにした。これにより、個室101が使用されたタイミングで、検体を採取できるため、より効率よく検体を採取することができる。特に、開閉データの「閉」が検出されたタイミングで、即座の採取を行うことができるため、高濃度の排水から検体を得ることができる。
【0101】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、トイレ10のドアが閉められている時間が所定時間以上の場合に、外部の装置へ採取指示情報を送信するようにした。これにより、大便が行われたとみなせるときに、即座の採取を行うことができるため、より効率よく検体を採取することができる。
【0102】
また、本実施形態において、トイレデータ収集装置210は、トイレ10を利用する利用者の検温データに基づく特定のタイミングで、外部の装置へ採取指示情報を送信するようにした。これにより、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)、ノロウイルス、インフルエンザといった感染症の疑いのある利用者の検体を効率よく採取することができる。したがって、より効率よく、感染者および感染の疑いのある者を見つけることができる。
【0103】
(実施形態1の変形例)
以下に、実施形態1の各変形例について説明する。なお、以下の各変形例では、上述した実施形態1で説明した内容については、適宜説明を省略する。また、上述した実施形態1および各変形例に示す構成をそれぞれ組み合わせた構成とすることも可能である。具体的には、上述した実施形態1と、以下の各変形例とに含まれる各種構成のうち、全てを含む構成としてもよいし、いずれかを組合せた構成としてもよい。
【0104】
(変形例1)
まず、変形例1について説明する。上述した実施形態1では、外部の装置(検体採取装置200、携帯端末装置230、情報処理装置240)は、トイレデータ収集装置210からの採取指示情報に基づいて、検体の採取に関する制御(検体の自動採取、または、検体の採取を促す報知)を行うようにした。変形例1では、外部の装置がそれぞれ指示情報を記憶し、各装置は、記憶している指示情報に基づいて、検体の採取に関する制御をそれぞれ独自に行う構成について説明する。
【0105】
変形例1において、外部の装置(検体採取装置200、携帯端末装置230、情報処理装置240)は、各装置が備える記憶部に指示情報を記憶する。指示情報は、トイレデータ収集装置210から取得する。トイレデータ収集装置210からの指示情報の取得の態様は、通信でもよいし、記憶媒体からの読み取りでもよい。
【0106】
また、変形例1に係るトイレデータ収集装置210において送信部は、外部の装置が記憶している指示情報を更新させるための更新情報を送信する。更新情報は、トイレ10の利用履歴に基づいて時間帯ごとの利用頻度および採取頻度が更新された情報である。外部の装置は、更新情報に基づいて、各装置が備える記憶部の指示情報を更新する。
【0107】
なお、外部の装置は、それぞれ自装置が記憶する指示情報に基づく採取条件で、検体の採取に関する制御を行う。例えば、検体採取装置200は、自装置のCPUの判断により、利用頻度の高い時間帯では、高頻度で検体を自動採取したり、高頻度で検体の採取を促す報知を行ったりする。また、携帯端末装置230および情報処理装置240は、各装置のCPUの判断により、利用頻度の高い時間帯では、高頻度で検体の採取を促す報知を行ったりする。
【0108】
以上のように、変形例1によれば、外部の装置がそれぞれ独自に、指示情報に基づいて検体の採取に関する制御を行うため、トイレデータ収集装置210との通信環境が良好ではなくても、効率よく検体を採取することができる。また、変形例1に係るトイレデータ収集装置210は、指示情報を記憶する外部の装置に、指示情報を更新させるための更新情報を送信するようにした。このため、時間帯ごとの採取頻度を更新することができるため、トイレ10の利用頻度が高い時間帯やポンプ151の稼働時間帯に、効率よく検体を採取することができる。
【0109】
(変形例2)
次に、変形例2について説明する。上述した実施形態1では、トイレデータ収集装置210は、トイレ10の利用履歴に基づいて、指示情報(採取頻度等)を更新するようにした。変形例2では、建造物1を利用する利用者数に関する情報に基づいて、指示情報を更新する構成について説明する。変形例2において、利用頻度は、建造物1の利用者数を示す。
【0110】
図7は、変形例2に係るトイレデータ収集装置210が行う指示情報の更新処理の一例を示すフローチャートである。なお、図7に示す処理は、ステップS701、S702の処理が図5Bに示した処理と異なる。具体的には、トイレデータ収集装置210は、指示情報における採取頻度の更新タイミングになると(ステップS531:YES)、建造物1を利用する利用者数に関する情報を取得する(ステップS701)。建造物1を利用する利用者数に関する情報は、入館記録や出勤記録などから得ることが可能である。
【0111】
そして、トイレデータ収集装置210は、利用者数に関する情報に基づいて、各時間帯のトイレ10の利用頻度を決定する(ステップS702)。例えば、ある時間帯に建造物1の地下1階を利用する男性の利用者が閾値以上であるとすると、トイレデータ収集装置210は、当該時間帯における地下1階の男子トイレ10a1の利用頻度が高頻度であると決定する。
【0112】
変形例2では、利用者数に関する情報に基づいて、採取頻度を変更するようにした。このようにしたとしても、トイレ10の個室101の利用頻度が高い時間帯の採取頻度を高くすることができため、より効率よく検体を採取することができる。
【0113】
(変形例3)
次に、変形例3について説明する。上述した実施形態1では、採取情報610(図6B参照)から検体の採取場所を特定可能な構成について説明した。変形例3では、このような構成に加えて、採取情報からトイレ10や個室101を特定することが可能な構成について説明する。
【0114】
変形例3において、各トイレ10の入口に検温装置220には、トイレ識別情報(トイレID)が割り当てられる。検温装置220は、人の進入を検出すると、当該トイレ10に人が進入したことを示す検出結果として、トイレIDをトイレデータ収集装置210へ送信する。また、開閉検出部211には、個室101を識別する便器識別情報(便器ID)が割り当てられている。開閉検出部211は、ドアの開閉を検出すると、当該個室101が利用されたことを示す検出結果として、便器IDをトイレデータ収集装置210へ送信する。
【0115】
閑散時間帯などにおいて、建造物1内の一のトイレ10(例えば、2回の男子トイレ10c1)のみが使用されているときは、トイレデータ収集装置210は、採取した検体に対応するトイレ10を特定することができる。このため、トイレデータ収集装置210は、一のトイレ10(例えば、2回の男子トイレ10c1)のみが使用されているときに検出された検体情報600と、トイレIDとを対応付けた採取情報を生成する。
【0116】
また、閑散時間帯などにおいて、建造物1内の一のトイレ10(例えば、2回の男子トイレ10c1)のみが使用されており、さらに、一の個室101のみが使用されているときは、トイレデータ収集装置210は、採取した検体に対応する個室101を特定することができる。このため、トイレデータ収集装置210は、一の個室101のみが使用されているときに検出された検体情報600と、便器IDとを対応付けた採取情報を生成する。
【0117】
なお、多数のトイレ10が同時に使用されると、トイレデータ収集装置210は、多数のトイレIDを複数取得することになる。この場合、検体とトイレ10との対応付けが困難である。このため、トイレデータ収集装置210は、検体情報600にトイレIDを対応付けない採取情報を生成する。すなわち、トイレデータ収集装置210は、図6Bに示した採取情報610と同様の項目を含む採取情報を生成する。
【0118】
同様に、同時に多数の個室101が使用されると、トイレデータ収集装置210は、多数の便器IDを複数取得することになる。この場合、検体と個室101との対応付けが困難である。このため、トイレデータ収集装置210は、検体情報600に便器IDを対応付けない採取情報を生成する。
【0119】
(トイレ管理テーブルの一例)
図8は、変形例3に係るトイレデータ収集装置210が管理するトイレ管理テーブルの一例を示す説明図である。図8において、トイレ管理テーブル800は、検体採取場所IDと、トイレIDと、便器IDとの項目を含む。検体採取場所IDは、検体を採取した場所を識別する識別情報を示す。検体採取場所IDの「汚水桝01」は、汚水桝130を示す。また、検体採取場所IDの「私設桝01」は、私設桝120を示す。
【0120】
トイレIDは、トイレ10を識別するトイレ識別情報を示す。トイレID「T0M」は、地下1階の男子トイレ10a1を示す。トイレID「T0W」は、地下1階の女子トイレ10a2を示す。トイレID「T1M」は、地上1階の男子トイレ10b1を示す。トイレID「T1W」は、地上1階の女子トイレ10b2を示す。トイレID「T2M」は、地上2階の男子トイレ10c1を示す。トイレID「T2W」は、地上2階の女子トイレ10c2を示す。
【0121】
便器IDは、大便器102を識別する便器識別情報を示す。各トイレ10には、それぞれ3つの大便器102が配置されている。例えば、便器ID「b01」~「b03」は、地下1階の男子トイレ10a1に配置される大便器102を示す。
【0122】
(変形例3に係るトイレデータ収集装置210が行う採取情報の生成処理の一例)
図9は、変形例3に係るトイレデータ収集装置210が行う採取情報の生成処理の一例を示すフローチャートである。図9において、トイレデータ収集装置210は、検体採取装置200からの検体情報600(図6A参照)の受信等によって、検体情報600を取得したか否かを判断する(ステップS901)。トイレデータ収集装置210は、検体情報600を取得するまで待機する(ステップS901:NO)。
【0123】
検体情報600を取得すると(ステップS901:YES)、トイレデータ収集装置210は、検体の排出元と推定される一の大便器102のみが特定されているか否かを判断する(ステップS902)。ステップS902では、例えば、利用者のトイレ10への進入が検出されてから所定期間が経過するまで(例えば、採取指示情報を送信するまで)に取得した便器IDおよびトイレIDが、一の便器IDおよび一のトイレIDのみであるか否かを判断する。
【0124】
一の大便器102のみが特定されている場合(ステップS902:YES)、トイレデータ収集装置210は、検体情報600に便器IDおよびトイレIDを対応付けた採取情報1000(例えば、図10の採取情報1000d)を生成し(ステップS903)、一連の処理を終了する。
【0125】
一方、一の大便器102のみが特定されていない場合(ステップS902:NO)、すなわち、同じトイレ10(例えば、地下1階の男子トイレ10a1)において複数の個室101が使用されている場合、トイレデータ収集装置210は、検体の排出元と推定される一のトイレ10のみが特定されているか否かを判断する(ステップS904)。
【0126】
ステップS904では、例えば、利用者のトイレ10への進入が検出されてから所定期間が経過するまで(例えば、採取指示情報を送信するまで)に取得したトイレIDが、一のトイレID(同一のトイレID)のみであるか否かを判断する。
【0127】
一のトイレ10のみが特定されている場合(ステップS904:YES)、トイレデータ収集装置210は、検体情報600にトイレIDを対応付けた採取情報1000(例えば、図10の採取情報1000a)を生成し(ステップS906)、一連の処理を終了する。
【0128】
一方、ステップS904において、一のトイレ10のみが特定されていない場合(ステップS904:NO)、すなわち、建造物1内の複数のトイレ10が使用されている場合、トイレデータ収集装置210は、検体情報600にトイレIDおよび便器IDのいずれのIDも対応付けない採取情報1000(例えば、図10の採取情報1000c)を生成し(ステップS905)、一連の処理を終了する。
【0129】
(変形例3に係る採取情報DB21の一例)
図10は、変形例3に係る採取情報DB2の一例を示す説明図である。図10において、採取情報DB2は、図6Bの採取情報DB1の項目(検体情報600と検温結果)に加えて、トイレIDと、便器IDとを含む。各項目に情報が記憶されることにより、採取情報1000(1000a~1000e)がレコードとして記憶される。
【0130】
例えば、採取情報1000a、1000bは、排出元のトイレ10が特定された検体を示す。具体的には、採取情報1000aは、混雑時間帯に、汚水桝130において採取され、地下1階の男子トイレ10a1(トイレID=「T0M」)が排出元である検体を示す。また、採取情報1000bは、混雑時間帯に、汚水桝130において採取され、地下1階の女子トイレ10a2(トイレID=「T0W」)が排出元である検体を示す。採取情報1000a、1000bは、いずれも、排出元の大便器102については特定されていないことを示す。感染病原体の病原体検査において、当該検体に陽性反応が出たとすると、当該検体の採取時刻に地下1階の男子トイレ10a1を利用した者の中から感染者が発生したことを推定できる。
【0131】
また、採取情報1000cは、排出元のトイレ10が特定されていない検体を示す。具体的には、採取情報1000は、混雑時間帯に、汚水桝130において採取された検体を示しており、すなわち、排出元のトイレ10については特定されていないことを示している。また、採取情報1000d、1000eは、排出元の大便器102が特定された検体を示す。採取情報1000dについて、具体的に説明すると、採取情報1000dは、閑散時間帯に、汚水桝130において採取され、地下1階の男子トイレ10a1の大便器「b01」が排出元である検体を示す。感染病原体の病原体検査において、当該検体に陽性反応が出たとすると、当該検体の採取時刻に地下1階の男子トイレ10a1の個室101を利用した者の中から感染者が発生したことを推定できる。
【0132】
以上説明したように、変形例3に係るトイレデータ収集装置210は、採取した検体の検体情報600と、トイレIDとを対応付けた採取情報1000a、1000bを生成するようにした。これにより、当該検体に感染病原体の病原体検査で陽性反応が出た場合に、作業スタッフは、トイレIDを基に、感染した疑いのある利用者が使用したトイレ10(例えば、地下1階の男子トイレ10a1)を容易に特定することができる。したがって、建造物1の管理者等は、当該トイレ10(例えば、地下1階の男子トイレ10a1)を洗浄したり、閉鎖したりするなど、感染防止の措置を早期に講じることができる。
【0133】
また、変形例3に係るトイレデータ収集装置210は、採取した検体の検体情報600と、便器IDとを対応付けた採取情報1000d、1000eを生成するようにした。これにより、当該検体に感染病原体の病原体検査で陽性反応が出た場合に、作業スタッフは、便器IDを基に、感染した疑いのある利用者が使用した大便器102を特定することができる。したがって、建造物1の管理者等は、当該大便器102が配置される個室101を洗浄したり、閉鎖したりするなど、感染防止の措置を早期に講じることができる。
【0134】
(変形例4)
次に、変形例4について説明する。変形例4では、トイレデータ収集装置210が行う機能を、検体採取装置200が具備する構成について説明する。すなわち、検体採取装置200が、上述した利用情報取得部と、採取制御部と、表示部と、送信部と、トイレデータ取得部とを備えるようにしてもよい。また、検体採取装置200が、トイレ管理テーブル800、採取情報DB1、採取情報DB2などの各種情報を生成して、記憶するようにしてもよい。
【0135】
変形例4のようにしたとしても、私設桝120や汚水桝130の排水から、効率よく検体を採取することができる。このため、建造物1内に感染者がいることを早期に発見することができる。したがって、建造物1を閉鎖するなど感染防止の措置を早期に講じることができるため、感染が拡大することを抑えることができる。
【0136】
(実施形態2)
以下に、実施形態2について説明する。なお、実施形態2では、上述した実施形態1で説明した内容については、適宜説明を省略する。また、上述した実施形態1および実施形態2に示した構成をそれぞれ組み合わせた構成とすることも可能である。具体的には、上述した実施形態1と、実施形態2とに含まれる各種構成のうち、全てを含む構成としてもよいし、いずれかを組合せた構成としてもよい。
【0137】
従来では、採取した検体から、感染病原体の病原体検査で陽性反応が出た場合に、建造物1の利用者の中から、感染疑い者を絞り込むことは困難であり、また、絞り込むことができたとしても、絞り込みに時間を要してしまうと、感染が拡大してしまう。そこで、実施形態2では、トイレ10を利用する利用者を分類した利用者情報に基づいて、感染疑い者を推定するようにしている。以下、実施形態2に係る情報処理装置240(図2A参照)について説明する。
【0138】
(実施形態2に係る情報処理装置240の構成例)
図11は、実施形態2に係る情報処理装置240の構成例のハードウェア構成の一例を示す説明図である。情報処理装置240は、パソコン、ノートパソコン、タブレット端末などのコンピュータ装置である。情報処理装置240は、CPU1101と、メモリ1102と、通信インタフェース(I/F)1103と、入力デバイス1104と、出力デバイス1105とを備える。これらは、バス1120を介して相互に通信可能である。
【0139】
CPU1101は、情報処理装置240の全体の制御を司る。メモリ1102は、ROM、RAMなどの各種記憶部を含む。ROMは、各種プログラムを記録している。RAMは、CPU1101のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU1101は、RAMをワークエリアとして使用しながら、ROMに記憶された各種プログラムを実行することによって、情報処理装置240の全体の制御を司る。また、メモリ1102は、実施形態2に係る情報処理プログラムなどの各種プログラムを記憶する。
【0140】
通信インタフェース1103は、ネットワークに接続され、ネットワークを介して他の装置(例えば、検体採取装置200、トイレデータ収集装置210、および検温装置220)に接続される。
入力デバイス1104は、マウス、キーボード、タッチパネル、マイク、スキャナなどの各種デバイスを含む。
出力デバイス1105は、ディスプレイ、スピーカ、プリンタなどの各種デバイスを含む。
【0141】
(実施形態2に係る情報処理装置240の機能的構成について)
次に、実施形態2に係る情報処理装置240の機能的構成について説明する。実施形態2に係る情報処理装置240は、入力部と、特定部と、推定部とを備える。各部は、CPU1101によって実現される。すなわち、CPU1101が、メモリ1102に記憶されている情報処理プログラムを実行することにより、各部の機能を実現する。なお、情報処理装置240が備える機能を、携帯端末装置230が具備してもよい。
【0142】
入力部は、建造物1内のトイレ10からの排水が流入する排水収容部(貯留式の私設桝120または汚水桝130、汚水槽150)または通液部(一過式の私設桝120または汚水桝130)から採取された検体のうち、感染病原体の病原体検査で陽性反応が検出された検体について、当該検体の採取に関する採取情報を入力する。採取情報は、例えば、採取日時や採取場所といった検体情報を含む。入力部への入力態様は、例えば、操作入力、受信による入力、コード等の読み取りによる入力などである。なお、後述するトランザクションテーブルA(図12参照)に記録される情報は、採取情報の一例である。
【0143】
特定部は、入力部によって入力された採取情報に基づいて、陽性反応が検出された検体の排出元となったトイレ10を特定する。推定部は、利用者情報に基づいて、特定部によって特定されたトイレ10を利用した利用者を、感染の疑いのある感染疑い者として推定する。利用者情報は、建造物1内の各トイレ10を利用する利用者を分類した情報である。利用者情報は、例えば、地下1階の男子トイレ10a1を利用する利用者を示す情報や、地上1階の男子トイレ10b1を利用する利用者を示す情報を含む。なお、後述するマスタテーブルC-1(図14参照)およびマスタテーブルD-1~D-7(図15参照)に記録される情報は、利用者情報の一例である。
【0144】
(滞在情報について)
採取情報は、検体を採取した日時を示す採取日時情報を含む。また、利用者情報は、利用者ごとの建造物1内の滞在状況を示す滞在情報を含む。滞在情報は、タイムカードの情報から得ることが可能である。推定部は、滞在情報に基づいて、採取日時情報が示す日時に、建造物1内に滞在した利用者を感染疑い者として推定する。なお、後述するトランザクションテーブルH-1~H-3(図19参照)に記録される情報は、滞在情報の一例である。
【0145】
(利用者の識別について)
特定部は、利用状況情報に基づいて、陽性反応が検出された検体の排出元となった大便器102を特定する。利用状況情報は、トイレ10内の大便器102ごとの利用状況を示す情報である。例えば、利用状況情報は、大便器102が利用された時刻を示す情報である。なお、後述するマスタテーブルE-1~E-3(図16参照)およびトランザクションテーブルF-1~F-3(図17参照)に記録される情報は、利用状況情報の一例である。
【0146】
利用者情報は、各大便器102を利用した利用者を識別する利用者識別情報を含む。推定部は、利用者識別情報に基づいて、特定部によって特定された大便器102を利用した利用者を感染疑い者として推定する。
【0147】
利用者識別情報は、利用者が所持する利用者端末装置の位置情報に基づいて得られる。利用者端末装置は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話などの可搬型のコンピュータ装置である。利用者端末装置は、GPS(Global Positioning System)ユニットを備える。利用者端末装置は、GPS衛星から位置情報を受信し、地図データ上における利用者端末装置の現在位置を検出する機能を有する。また、利用者端末装置は、各種センサ(例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ、距離センサなど)を備え、当該センサの検出結果を用いることにより、位置情報を精度よく検出することが可能である。
【0148】
利用者識別情報は、利用者端末装置に対応付けられている。利用者が位置する場所は、利用者端末装置の位置情報が示す位置と一致するものと見なせる。特定部は、利用者端末装置の位置情報に基づいて、利用者が使用した個室101(大便器102)を特定することが可能である。推定部は、当該利用者を、大便器102を利用した者(感染疑い者)として推定する。
【0149】
また、利用者識別情報は、顔認証の結果から得られる。例えば、各個室101の前にカメラを設置しておき、カメラによって個室101に入る利用者の顔を撮像する。カメラは、CCD(charge coupled device)カメラや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラである。カメラと大便器102とは対応付けられている。特定部は、カメラによって撮像された画像の顔認証の結果から、利用者が使用した個室101(大便器102)を特定することが可能である。推定部は、当該利用者を、大便器102を利用した者(感染疑い者)として推定する。
【0150】
また、利用者識別情報は、社員証などの電子タグが得られるようにしてもよい。この場合、例えば、各個室101に社員証を読み取るリーダを備えるようにして、利用者が使用した個室101(大便器102)を特定するようにしてもよい。
【0151】
(トイレ10の開閉データについて)
利用状況情報は、トイレ10のドアの開閉データ(ドアのスイッチのON/OFF)を含む。当該ドアは、トイレ10内の個室101のドアである。開閉データは、便器IDを含む。ただし、当該ドアは、トイレ10の入口に設けられたドアであってもよい。開閉データは、トイレデータ収集装置210で管理される。このため、情報処理装置240は、トイレデータ収集装置210から開閉データを取得する。なお、マスタテーブルE-3(図16(C)参照)に記録される情報は、開閉データの一例である。
【0152】
特定部は、開閉データに基づいて、利用された大便器102を特定する。具体的には、特定部は、開閉検出部211によって、ドアが閉められている閉状態が検出された個室101に対応する大便器102を特定する。
【0153】
また、利用状況情報は、トイレ10のドアが閉められている時間の情報を含む。当該時間の情報は、トイレデータ収集装置210で管理される。このため、情報処理装置240は、トイレデータ収集装置210からドアが閉められている時間の情報を取得する。特定部は、当該時間の情報が示す時間が一定時間以上の場合に、利用された大便器102を特定する。
【0154】
(排水流量について)
また、大便器102の特定において、排水流量を用いることも可能である。具体的に説明すると、利用状況情報は、トイレ10における排水流量の情報を含む。排水流量の情報は、例えば、フラッシングレバー(大、小、なし(OFF))の操作データから得ることができる。排水流量は、「大」の操作の場合に多く、「小」の操作の場合に少ない。操作データは、トイレデータ収集装置210で管理される。このため、情報処理装置240は、トイレデータ収集装置210から操作データを取得する。なお、マスタテーブルE-3(図16(C)参照)に記録される情報は、排水流量の情報の一例である。
【0155】
特定部は、排水流量の情報が示す流用に基づいて、利用された大便器102を特定する。具体的には、特定部は、排水流量が多い場合に(「大」操作の場合に)、利用された大便器102を特定する。推定部は、利用者識別情報に基づいて、特定された大便器102を利用した利用者を感染疑い者として推定する。
【0156】
なお、実施形態2において、情報処理装置240の機能を、トイレデータ収集装置210に具備させてもよいし、携帯端末装置230に具備させてもよい。
【0157】
(情報処理装置240が備えるテーブルの一例)
次に、図12図19を用いて、情報処理装置240が備えるテーブルの一例について説明する。
【0158】
(採取情報が入力されるトランザクションテーブルAの一例)
図12は、データテーブルA群のトランザクションテーブルAの一例を示す説明図である。図12において、トランザクションテーブルAは、検体採取場所IDと、検体採取方式IDと、採取日時記録方式IDと、採取開始日時と、採取終了日時との項目を含む。
【0159】
各項目(採取情報)は、作業スタッフの操作入力等によって入力される。ただし、各項目は、検体採取装置200から送信されることによって自動で入力されてもよい。また、各項目は、携帯端末装置230における所定のアプリ上で入力されて、携帯端末装置230から送信されることによって入力されてもよい。
【0160】
検体採取場所IDは、検体を採取した場所を識別する識別情報を示す。検体採取方式IDは、検体の採取方式を識別する識別情報を示す。採取日時記録方式IDは、採取日時の記録方式を識別する識別情報を示す。採取日時の記録方式には、例えば、検体採取装置200による自動での打刻や、携帯端末装置230におけるアプリでの入力や、情報処理装置240への操作入力などがある。採取開始日時は、検体の採取を開始した日時を示す。採取終了日時は、検体の採取を終了した日時を示す。
【0161】
(検体採取場所とトイレ10との関係を示すマスタテーブルBの一例)
図13は、データテーブルB群のマスタテーブルBの一例を示す説明図である。
図13のマスタテーブルBは、検体採取場所IDと、トイレIDとの項目を含む。マスタテーブルBのトイレIDは、図8図10に示したトイレIDとは異なる。マスタテーブルBのトイレIDは、トイレ10の存在するエリア(例えばフロア)を識別するための情報であり、男子トイレ10と女子トイレ10とで共通である。
【0162】
(トイレ10の分類を示すマスタテーブルの一例)
図14は、データテーブルC群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図14(A)のマスタテーブルC-1は、トイレIDと、トイレ分類IDとの項目を含む。トイレ分類IDは、トイレ10の分類を識別する識別情報である。
図14(B)のマスタテーブルC-2は、トイレ分類IDと、トイレ分類との項目を含む。トイレ分類は、男性用、女性用、男女兼用など、トイレ10の分類を示す。
【0163】
(利用者情報に関するマスタテーブルの一例)
図15は、データテーブルD群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図15(A)のマスタテーブルD-1は、トイレIDと、トイレ利用者グループIDとの項目を含む。トイレ利用者グループIDは、トイレ10の利用者のグループを識別する識別情報である。
図15(B)のマスタテーブルD-2は、トイレIDと、個人ID(利用者識別情報)との項目を含む。個人IDは、利用者を識別する情報である。
【0164】
図15(C)のマスタテーブルD-3は、トイレ利用者グループIDと、個人ID(利用者識別情報)との項目を含む。トイレ利用者グループIDは、トイレ10の利用者のグループを識別する識別情報である。個人IDは、利用者を識別する情報である。
【0165】
図15(D)のマスタテーブルD-4は、個人IDと、性別と、年齢との項目を含む。図15(E)のマスタテーブルD-5は、個人IDと、属性IDと、所属部署IDとを含む。属性IDは、施設職員や施設利用者などの属性を識別する情報である。所属部署IDは、所属部署を識別する情報である。
【0166】
図15(F)のマスタテーブルD-6は、所属部署IDと、執務建屋IDと、執務フロアIDとの項目を含む。執務建屋IDは、当該部署が設けられる建屋を識別する情報である。執務フロアIDは、当該部署が設けられるフロアを識別する情報である。
図15(G)のマスタテーブルD-7は、個人IDと、利用建屋IDと、執務フロアIDとの項目を含む。利用建屋IDは、当該利用者が利用する建屋を識別する情報である。執務フロアIDは、当該利用者の部署が設けられるフロアを識別する情報である。
【0167】
(大便器102に関するマスタテーブルの一例)
図16は、データテーブルE群のマスタテーブルの一例を示す説明図である。
図16(A)のマスタテーブルE-1は、トイレIDと、便器IDとの項目を含む。マスタテーブルE-1の便器IDは、図8図10に示した便器IDとは異なる。マスタテーブルE-1の便器IDは、便器の種類(例えば大便器102、小便器)を識別するための情報である。
図16(B)のマスタテーブルE-2は、便器IDと、便器種類との項目を含む。
図16(C)のマスタテーブルE-3は、便器IDと、便器スイッチ種類IDとの項目を含む。便器スイッチ種類IDは、ドアスイッチ、フラッシングのON/OFF、フラッシングの大/小/OFFなどを示す。
【0168】
(便器の利用に関するトランザクションテーブルの一例)
図17は、データテーブルF群のトランザクションテーブルの一例を示す説明図である。図17(A)のトランザクションテーブルF-1は、便器IDと、便器スイッチ種類IDと、ドアスイッチON日時と、ドアスイッチOFF日時と、大便判定との項目を含む。ドアスイッチON日時は、ドアが閉まった日時(個室101の利用開始)を示す。ドアスイッチOFF日時は、ドアが開いた日時(個室101の利用終了)を示す。大便判定は、ドアスイッチON日時と、ドアスイッチOFF日時とから得られる時間が閾値以上の場合に、大便の判定結果となり、閾値未満の場合に小便の判定結果となる。
【0169】
図17(B)のトランザクションテーブルF-2は、便器IDと、便器スイッチ種類IDと、フラッシングON日時との項目を含む。フラッシングON日時は、フラッシングレバーのON操作があった日時を示す。
図17(C)のトランザクションテーブルF-3は、便器IDと、便器スイッチ種類IDと、フラッシングON日時と、フラッシング種類の項目を含む。フラッシング種類は、フラッシングレバーの「大」の操作または「小」の操作を示す。
【0170】
(便器と利用者との関係を示すテーブルの一例)
図18は、データテーブルG群のテーブルの一例を示す説明図である。
図18(A)のマスタテーブルG-1は、個人IDと、個人端末IDとの項目を含む。個人端末IDは、利用者が所持する利用者端末装置を識別する情報である。
図18(B)のトランザクションテーブルG-2は、図17(A)トランザクションテーブルF-1に含まれる項目に加えて、個人端末IDの項目を含む。
【0171】
図18(C)のトランザクションテーブルG-3は、図17(B)トランザクションテーブルF-2に含まれる項目に加えて、個人端末IDの項目を含む。
図18(D)のトランザクションテーブルG-4は、図17(C)トランザクションテーブルF-3に含まれる項目に加えて、個人端末IDの項目を含む。
【0172】
図18(E)のマスタテーブルG-5は、トイレIDと、カメラIDとの項目を含む。カメラIDは、各個室101の前に設置されるカメラを識別する情報である。
図18(F)のトランザクションテーブルG-6は、カメラIDと、カメラ画像IDとの項目を含む。カメラ画像IDは、各個室101の前に設置されるカメラによって撮像された顔画像を識別する情報である。
図18(G)のトランザクションテーブルG-7は、カメラ画像IDと、ヒト認識と、個人IDとの項目を含む。ヒト認識は、顔認証に成功したか否か(ON/OFF)を示す。個人IDは、顔認証された利用者の利用者識別情報を示す。
【0173】
(建造物1の滞在に関するトランザクションテーブルの一例)
図19は、データテーブルH群のトランザクションテーブルの一例を示す説明図である。図19(A)において、トランザクションテーブルH-1は、個人IDと、勤務場所IDと、勤務開始日時と、勤務終了日時との項目を含む。勤務場所IDは、勤務場所を識別する情報である。勤務開始日時は、勤務を開始した日時を示す。勤務終了日時は、勤務を終了した日時を示す。
【0174】
図19(B)のトランザクションテーブルH-2は、個人IDと、利用施設IDと、施設利用開始日時と、施設利用終了日時との項目を含む。利用施設IDは、利用した施設を識別する情報である。施設利用開始日時は、施設の利用を開始した日時を示す。施設利用終了日時は、施設の利用を終了した日時を示す。
図19(C)のトランザクションテーブルH-3は、個人IDと、利用施設IDと、施設利用開始日と、施設利用終了日との項目を含む。施設利用開始日は、施設の利用を開始した日を示す。施設利用終了日は、施設の利用を終了した日を示す。
【0175】
(実施形態2に係る情報処理装置240が行う処理の一例)
図20は、実施形態2に係る情報処理装置240が行う、感染者の特定に係る工程例を示す説明図である。図20において、まず、事前のマスタデータの作成とデータ収集システムの構築が行われる(ステップS2001)。そして、トイレ10の排水の分析(検体の分析)、つまり、感染病原体の病原体検査が行われる(ステップS2002)。分析の結果、陰性の場合(ステップS2014)、情報処理装置240は、特に何も行わない(ステップS2015)。一方、分析の結果、陽性の場合(ステップS2003)、情報処理装置240は、以下の3つの推定方法のうちのいずれかの推定方法(一または複数の推定方法)により感染者の特定を行う。
【0176】
(第1の推定方法)
第1の推定方法は、勤務時間帯などの施設職員/利用者の施設滞在時間を考慮せずに、トイレ10の場所と、そのトイレ10を利用する可能性が高い人とをルールベースで特定する方法である。この場合、情報処理装置240は、事前のルールに基づく感染者の特定として(ステップS2004)、B群のマスタテーブルB(図13参照)を参照し、検体の排出元となったトイレ10を特定する(ステップS2005)。
【0177】
そして、情報処理装置240は、C群のマスタテーブルC-1、C-2(図14参照)と、D群のマスタテーブルD-1~D-7(図15参照)を参照し、当該トイレ10を利用した利用者を感染疑い者として特定(推定)する(ステップS2006)。
【0178】
第1の推定方法は、データの収集可否などにより、位置情報やカメラ画像などのリアルタイムデータに基づいた特定ができない(または特定しない)場合であり、且つ、勤務日やH群のトランザクションテーブルH-1~H-3(図19参照)へのアクセス可否などにより、施設職員/利用者の施設滞在時間を特定できない場合に行われる。
【0179】
(第2の推定方法)
第2の推定方法は、勤務時間帯などの施設職員/利用者の施設滞在時間を考慮して、トイレ10の場所と、そのトイレ10を利用する可能性が高い人とをルールベースで特定する方法である。この場合、情報処理装置240は、事前のルールに基づく感染者の特定として(ステップS2004)、A群のトランザクションテーブルA(図12参照)を参照して、検体を採取した日時の特定を行う(ステップS2007)。そして、B群のマスタテーブルB(図13参照)を参照し、検体の排出元となったトイレ10を特定する(ステップS2005)。
【0180】
そして、情報処理装置240は、C群のマスタテーブルC-1、C-2(図14参照)と、D群のマスタテーブルD-1~D-7(図15参照)と、H群のトランザクションテーブルH-1~H-3(図19参照)を参照し、当該トイレ10を利用した利用者を感染疑い者として特定(推定)する(ステップS2008)。
【0181】
第2の推定方法は、データの収集可否などにより、位置情報やカメラ画像などのリアルタイムデータに基づいた特定ができない(または特定しない)場合であり、且つ、施設職員/利用者の施設滞在時間を特定できる場合に行われる。
【0182】
(第3の推定方法)
第3の推定方法は、ルールベースの特定に加えて、トイレ10の稼働タイミングと個人のトイレ10の利用履歴を用いて利用者を特定する方法である。この場合、情報処理装置240は、ルールベースと、リアルタイムデータとに基づく感染者の特定として(ステップS2009)、A群のトランザクションテーブルA(図12参照)を参照して、検体を採取した日時の特定を行う(ステップS2010)。
【0183】
そして、B群のマスタテーブルB(図13参照)を参照し、検体の排出元となったトイレ10を特定する(ステップS2011)。そして、情報処理装置240は、ルールベースに基づいた特定を行うとともに(ステップS2013)、E群のマスタテーブルE-1~E-3(図16参照)と、F群のトランザクションテーブルF-1~F-3(図17参照)と、G群のテーブルG-1~G-7(図18参照)を参照し、当該トイレ10を利用した利用者を感染者として特定(推定)する(ステップS2012)。
【0184】
第3の推定方法は、位置情報やカメラ画像などのリアルタイムデータに基づいた特定ができる場合に行われる。
【0185】
(実施形態2に係る情報処理装置240が行う感染疑い者の推定処理の一例)
図21は、実施形態2に係る情報処理装置240が行う、感染疑い者の推定処理の一例を示すフローチャートである。図21において、情報処理装置240は、感染疑い者の推定を開始するか否かを判断する(ステップS2101)。当該推定の開始は、例えば、所定の情報処理プログラムが起動され、開始操作を受け付けることである。
【0186】
情報処理装置240は、感染疑い者の推定を開始する判断になるまで待機し(ステップS2101:NO)、感染疑い者の推定を開始する判断になると(ステップS2101:YES)、A群のトランザクションテーブルAへの採取情報の入力を受け付ける(ステップS2102)。そして、情報処理装置240は、トランザクションテーブルAに入力された検体採取場所IDと、B群のマスタテーブルB(図13)とを用いて、トイレIDを特定する(ステップS2103)。
【0187】
そして、情報処理装置240は、トイレIDに応じたトイレ10の利用者を感染疑い者として推定する(ステップS2104)。具体的には、情報処理装置240は、D群のマスタテーブルD-1~D-7(図15参照)を参照し、トイレIDに対応するトイレ利用者グループIDおよび個人ID(年齢、性別、所属部署、執務フロア等)を特定する。さらに、情報処理装置240は、特定した個人のうち、C群のマスタテーブルC-1、C-2(図14参照)から特定されるトイレ分類が示すトイレ10の利用者を、感染疑い者として推定する。
【0188】
次に、情報処理装置240は、H群の滞在に関するトランザクションテーブルH-1~H-3(図19参照)の有無を判断する(ステップS2105)。H群のトランザクションテーブルH-1~H-3を備えない場合(ステップS2105:NO)、情報処理装置240は、ステップS2107に進む。H群のトランザクションテーブルH-1~H-3を備える場合(ステップS2105:YES)、情報処理装置240は、H群のトランザクションテーブルH-1~H-3(図19参照)を参照し、検体採取日時(採取開始日時から採取終了日時までの間)に対応する期間に建造物1(施設)を利用した利用者に、感染疑い者を絞り込む(ステップS2106)。
【0189】
そして、情報処理装置240は、利用者端末装置の位置情報により、または、利用者の顔認証により、個室101を利用した利用者の個人IDを取得できたか否かを判断する(ステップS2107)。利用者の個人IDを取得できない場合(ステップS2107:NO)、情報処理装置240は、ステップS2113に移行し、推定結果を出力する。
【0190】
なお、「ステップS2105:NO」且つ「ステップS2107:NO」の処理は、上述した第1の推定方法に相当する。「ステップS2105:YES」且つ「ステップS2107:NO」の処理は、上述した第2の推定方法に相当する。そして、以下の、「ステップS2105:YES」且つ「ステップS2107:YES」は、上述した第3の推定方法に相当する。
【0191】
ステップS2107において、利用者の個人IDを取得できた場合(ステップS2107:YES)、情報処理装置240は、トイレデータ収集装置210から、開閉データ(便器ID、ドアスイッチ)を取得するとともに(ステップS2108)、フラッシングレバーの操作データ(フラッシングレバーのON/OFF)を取得する(ステップS2109)。そして、情報処理装置240は、取得した情報を用いて、E群のマスタテーブルE-1~E-3(図16参照)と、F群のトランザクションテーブルF-1~F-3(図17参照)と、G群のテーブルG-2、G-3、G-4、G-6、G-7(図18参照)とを生成する(ステップS2110)。
【0192】
そして、情報処理装置240は、大便判定の判定結果が肯定であるか否かを判断する(ステップS2111)。大便判定の判定結果が肯定である場合(ステップS2111:YES)、情報処理装置240は、感染疑い者を、当該個人IDが示す利用者に絞り込み(ステップS2112)、ステップS2113に進む。一方、大便判定の判定結果が否定である場合(ステップS2111:NO)、情報処理装置240は、絞り込みを行わずに、ステップS2113に進む。そして、情報処理装置240は、ディスプレイ等の出力デバイス1105に推定結果を出力し(ステップS2113)、一連の処理を終了する。
【0193】
以上説明したように、実施形態2に係る情報処理装置240は、入力した採取情報(図12のトランザクションテーブルA参照)に基づいて、感染病原体の病原体検査で陽性反応が検出された検体の排出元となったトイレ10を特定し、利用者情報(マスタテーブルC-1(図14参照)およびマスタテーブルD-1~D-7(図15参照))に基づいて、当該トイレ10の利用者を感染疑い者として推定するようにした。これにより、採取した検体から陽性反応が出た場合に、建造物1の利用者の中から、感染疑い者を迅速且つ簡単に絞り込むことができる。したがって、建造物1を閉鎖するなど感染防止の措置を早期に講じることができるため、感染が拡大することを抑えることができる。
【0194】
また、実施形態2に係る情報処理装置240は、利用者ごとの建造物1内の滞在状況を示す滞在情報(トランザクションテーブルH-1~H-3(図19参照))に基づいて、検体の採取日時に、建造物1内に滞在した利用者を感染疑い者として推定するようにした。これにより、感染疑い者を、より絞り込むことができるため、感染疑い者の推定に係る精度を向上させることができる。
【0195】
また、実施形態2に係る情報処理装置240は、大便器102ごとの利用状況を示す利用状況情報(マスタテーブルE-1~E-3(図16参照)およびトランザクションテーブルF-1~F-3(図17参照))に基づいて、感染病原体の病原体検査で陽性反応が検出された検体の排出元となった大便器102を特定し、利用者識別情報に基づいて、当該大便器102の利用者を感染疑い者として推定するようにした。これにより、大便器102を利用した個人を特定することができるため、感染疑い者を、より絞り込むことができる。したがって、感染疑い者の推定に係る精度を向上させることができる。
【0196】
また、実施形態2に係る情報処理装置240は、トイレ10のドアの開閉データ(マスタテーブルE-3(図16(C)参照))に基づいて、利用された大便器102を特定するようにした。これにより、大便を行ったとみなせる利用者に、感染者を絞り込むことができる。したがって、感染疑い者の推定に係る精度を向上させることができる。
【0197】
また、実施形態2に係る情報処理装置240は、排水流量の情報(マスタテーブルE-3(図16(C)参照))が示す流量に基づいて、利用された大便器102を特定するようにした。これにより、大便を行ったとみなせる利用者に、感染者を絞り込むことができる。したがって、感染疑い者の推定に係る精度を向上させることができる。
【0198】
また、実施形態2に係る情報処理装置240は、利用者が所持する利用者端末装置の位置情報に基づいて利用者識別情報を得るようにした。これにより、陽性反応が検出された検体の排出元となった大便器102(個室101)を利用した利用者を簡単に特定することができる。したがって、感染疑い者の推定に係る精度を向上させることができる。
【0199】
また、実施形態2に係る情報処理装置240は、顔認証の結果に基づいて利用者識別情報を得るようにした。これにより、陽性反応が検出された検体の排出元となった大便器102(個室101)を利用した利用者を簡単に特定することができる。したがって、感染疑い者の推定に係る精度を向上させることができる。
【0200】
なお、以上に説明した検体採取装置200および情報処理装置240を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0201】
St…検体採取システム、10…トイレ設備(トイレ)、101…個室、102…大便器、120…私設桝、130…汚水桝、150…汚水槽、210…トイレデータ収集装置、211…開閉検出部、212…操作検出部、220…検温装置、230…携帯端末装置、240…情報処理装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21