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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034271
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】ワーク処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230306BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/302 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140434
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】590000835
【氏名又は名称】株式会社KELK
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 敦
【テーマコード(参考)】
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
5F004AA16
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004BC08
5F131AA02
5F131BA19
5F131CA02
5F131CA07
5F131CA53
5F131CA55
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EA23
5F131EB72
5F131EB81
5F131EB82
5F131JA12
5F131KA03
(57)【要約】
【課題】リフトピンの上下方向における進退動が阻害されてしまうことを抑制することができるワーク処理装置を提供する。
【解決手段】ワーク処理装置1は、水平方向Hに広がり、ワークWが載置される載置面320を有するとともに、上下方向Dvに貫通する貫通孔30cが形成されたプレート30と、前記プレート30の温度を調整可能な温度調整部90と、前記貫通孔30cを上下方向Dvに挿通可能なリフトピン70と、前記リフトピン70の下端70a側で、該リフトピン70を上下方向Dvに駆動する駆動装置60と、前記駆動装置60を前記プレート30の下面311に対して水平方向Hに相対移動可能に支持するフレキシブル支持部40と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に広がり、ワークが載置される載置面を有するとともに、上下方向に貫通する貫通孔が形成されたプレートと、
前記プレートの温度を調整可能な温度調整部と、
前記貫通孔を上下方向に挿通可能なリフトピンと、
前記リフトピンの下端側で、該リフトピンを上下方向に駆動する駆動装置と、
前記駆動装置を前記プレートの下面に対して水平方向に相対移動可能に支持するフレキシブル支持部と、
を備えるワーク処理装置。
【請求項2】
前記フレキシブル支持部は、前記プレートの前記下面と前記駆動装置とを接続するとともに、前記リフトピンを外側から囲み、
前記プレート、前記リフトピン、前記駆動装置、及び前記フレキシブル支持部を収容する第一空間を内側に形成するチャンバと、
前記第一空間と気密に隔離された状態で大気に満たされた第二空間を前記プレート、前記リフトピン、前記駆動装置、及び前記フレキシブル支持部とともに形成し、前記貫通孔内で前記リフトピンを弾性的に支持する支持シール部と、
を更に備える請求項1に記載のワーク処理装置。
【請求項3】
前記第一空間内で前記プレートの前記下面を下方から支持するプレート支持部を更に備え、
前記駆動装置は、前記プレートの前記下面と前記チャンバの底面との間で前記フレキシブル支持部によって前記プレートから吊り下げられている請求項2に記載のワーク処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、試料台に載置されたウエハをリフトピンによって上方に押し上げて、処理室内でウエハにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置が開示されている。試料台内部を上下方向に進退するリフトピンは、上下方向に伸縮するベローズを含むフレキシブル配管によって支持されている。
【0003】
リフトピンが上下方向に進退する空間は、フレキシブル配管及びOリング等のシール部材によって処理室内雰囲気と気密に隔離されている。この空間の気圧を排気制御弁の開閉によって調整することで、フレキシブル配管を上下に伸び縮みさせることができ、リフトピンの上下方向の進退を実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-183700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで上記のプラズマ処理装置では、試料台を構成する部材同士の熱膨張係数の差等によって、載置面が変形してしまう場合が有る。即ち、貫通孔が水平方向に移動してしまう場合や、傾斜してしまう場合が有る。したがって、リフトピンの上下方向における進退動が阻害されてしまう場合が有る。
【0006】
そこで本発明は、リフトピンの上下方向における進退動が阻害されてしまうことを抑制することができるワーク処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るワーク処理装置は、水平方向に広がり、ワークが載置される載置面を有するとともに、上下方向に貫通する貫通孔が形成されたプレートと、前記プレートの温度を調整可能な温度調整部と、前記貫通孔を上下方向に挿通可能なリフトピンと、前記リフトピンの下端側で、該リフトピンを上下方向に駆動する駆動装置と、前記駆動装置を前記プレートの下面に対して水平方向に相対移動可能に支持するフレキシブル支持部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
上記態様によれば、リフトピンの上下方向における進退動が阻害されてしまうことを抑制することができるワーク処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るワーク処理装置の断面図である。
図2】温度調整部の加熱によってプレートの平面度が崩れた時のワーク処理装置の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
<ワーク処理装置>
ワーク処理装置は、プラズマ雰囲気を形成するとともに、プロセスガス(エッチングガス)によって円盤状の半導体ウエハ(ワーク)にドライエッチング等を施す装置である。
【0012】
図1に示すように、ワーク処理装置1は、チャンバ10と、電極15と、プレート支持部20と、プレート30と、温度調整部90と、固定シール部50と、フレキシブル支持部40と、駆動装置60と、リフトピン70と、支持シール部80と、を備えている。
【0013】
<チャンバ>
チャンバ10は、半導体ウエハWを処理するために大気圧よりも気圧が低い第一空間R1を内側に形成する処理室である。チャンバ10は、箱形形状を成しており、第一空間R1を形成するチャンバ内面14を有している。
【0014】
チャンバ10は、天井部11と、底部12と、側壁部13と、を有している。
天井部11は、水平方向Hに広がるとともに、第一空間R1を形成するチャンバ内面14のうち天井部分に相当する天面11aを有している。天面11aは、上下方向Dv下方側を向くとともに水平方向Hに広がっている。
【0015】
底部12は、水平方向Hに広がるとともに、第一空間R1を形成するチャンバ内面14のうち底面部分に相当する底面12aを有している。底面12aは、天面11aに対向するとともに、この天面11aに対して平行に水平方向Hに広がっている。即ち、底面12aは上下方向Dv上方側を向いている。底部12には、底面12aからチャンバ10の外部に向かって貫通する孔12bが形成されている。
【0016】
側壁部13は、天井部11と底部12とを接続するとともに、第一空間R1を形成するチャンバ内面14のうち側面部分に相当する側面13aを有している。側面13aは、天面11aと底面12aとを接続している。
したがって、これら天面11a、底面12a、及び側面13aによってチャンバ内面14が構成されている。
【0017】
<プレート支持部>
プレート支持部20は、半導体ウエハWが載置されるプレート30を支持する部材である。プレート支持部20は、チャンバ10内に収容されている。プレート支持部20は、円筒状を成しており、底面12aから上下方向Dv上方側に延びるように底部12に設けられている。
プレート支持部20は、下端面20bと、上端面20aと、外周面20dと、内周面20cと、を有している。
【0018】
下端面20bは、上下方向Dv下方側を向くとともに、チャンバ10の底部12の底面12aに固定される円環状を成す面である。下端面20bは、例えば溶接等により底面12aに固定されている。上端面20aは、下端面20bとは反対側の上下方向Dv上方側を向く円環状を成す面である。
【0019】
外周面20dは、下端面20bと上端面20aとを接続するとともに、チャンバ内面14の側面13a側を向く面である。内周面20cは、下端面20bと上端面20aとを接続するとともに、内側を向く内周面である。
【0020】
下端面20bは、底部12に形成されている孔12bの第一空間R1側に開口する開口部を外側から囲っている。内周面20cは、この孔12bの内面12cと面一とされている。プレート支持部20の内径は、底部12に形成されている孔12bの孔径と等しく、プレート支持部20の中心位置と、底部12に形成されている孔12bの中心位置とは、上下方向Dvで重なっている。
【0021】
<プレート>
プレート30は、半導体ウエハWを載置させるための円盤状を成す部材であり、チャンバ10内に収容されている。
プレート30は、下部プレート31と、第一円筒部33と、上部プレート32と、第二円筒部34と、を有している。
【0022】
下部プレート31は、プレート支持部20に支持される円盤状を成す部材である。
下部プレート31は、下面311と、上面310と、第一側面312と、を有している。
【0023】
下面311は、上下方向Dv下方側を向くとともに、プレート支持部20の上端面20aと接続される面である。下面311は、例えば溶接等により上端面20aに固定されている。上面310は、下面311とは反対側の上下方向Dv上方側を向く面である。第一側面312は、これら下面311及び上面310を接続するとともに、チャンバ内面14の側面13a側を向く面である。
【0024】
下部プレート31の中央部分には、下面311から上面310にかけて上下方向Dvに貫通する中央孔313が形成されている。下部プレート31の中央孔313を中心にして、この中央孔313の周囲には下面311から上面310にかけて上下方向Dvに貫通する複数のピン挿通孔314が形成されている。
【0025】
本実施形態では、三つのピン挿通孔314が形成されている。複数のピン挿通孔314は中央孔313の中心から等距離離間した位置に形成されるとともに、互いの離間距離が等しくなるように配置されている。なお、図1では、説明の便宜上、二つのピン挿通孔314を表示している。
【0026】
第一円筒部33は、下部プレート31の上面310から上下方向Dv上方側に延びるように設けられている円筒状を成す部材である。
第一円筒部33は、第一下端面333と、第一上端面332と、第一外周面330と、第一内周面331と、を有している。
【0027】
第一下端面333は、上下方向Dv下方側を向くとともに、下部プレート31の上面310に接続される円環状を成す面である。第一下端面333は、例えば溶接等により上面310に固定されている。第一上端面332は、第一下端面333とは反対側の上下方向Dv上方側を向く円環状を成す面である。
【0028】
第一外周面330は、第一下端面333と第一上端面332とを接続するとともに、チャンバ内面14の側面13a側を向く面である。第一内周面331は、第一下端面333と第一上端面332とを接続するとともに、内側を向く内周面である。
【0029】
上部プレート32は、第一円筒部33に支持されるとともに、半導体ウエハWが載置される部材である。
上部プレート32は、非載置面321と、載置面320と、第二側面322と、を有している。
【0030】
非載置面321は、上下方向Dv下方側を向くとともに、第一円筒部33の第一上端面332と接続される面である。非載置面321は、例えば溶接等により第一上端面332に固定されている。載置面320は、非載置面321とは反対側の上下方向Dv上方側を向くとともに、半導体ウエハWが載置される面である。第二側面322は、これら非載置面321及び載置面320を接続するとともに、チャンバ内面14の側面13a側を向く面である。
【0031】
上部プレート32には、非載置面321から載置面320にかけて上下方向Dvに貫通する複数のピン挿通孔323が形成されている。上部プレート32に形成されるピン挿通孔323の個数は、下部プレート31に形成されるピン挿通孔314の個数と等しい。即ち、本実施形態では、三つのピン挿通孔323が上部プレート32に形成されている。
【0032】
ピン挿通孔323の内径は、下部プレート31に形成されているピン挿通孔314の内径と等しく、上部プレート32に形成されているピン挿通孔323の中心位置と、下部プレート31に形成されているピン挿通孔314の中心位置とは、上下方向Dvで重なっている。
【0033】
下部プレート31と、第一円筒部33と、上部プレート32とは、円盤状のプレート30の外殻を成している。
下部プレート31の第一側面312と、第一円筒部33の第一外周面330と、上部プレート32の第二側面322とは、面一とされている。これら第一側面312、第一外周面330、及び第二側面322によって、プレート30の側面13aが構成されている。
【0034】
第二円筒部34は、下部プレート31の上面310と上部プレート32の非載置面321とを接続する円筒状を成す部材である。
第二円筒部34は、第二下端面343と、第二上端面342と、第二外周面340と、第二内周面341と、を有している。
【0035】
第二下端面343は、上下方向Dv下方側を向くとともに、下部プレート31の上面310に接続される円環状を成す面である。第二下端面343は、例えば溶接等により上面310に固定されている。
【0036】
第二上端面342は、第一下端面333とは反対側の上下方向Dv上方側を向くとともに、上部プレート32の非載置面321に接続される円環状を成す面である。第二外周面340は、第二下端面343と第二上端面342とを接続する、即ち上面310と非載置面321とを接続するとともに、第一円筒部33の第一内周面331側を向く面である。第二内周面341は、第二下端面343と第二上端面342とを接続するとともに、内側を向く内周面である。
【0037】
第二下端面343は、下部プレート31に形成されているピン挿通孔314の上面310側の開口部を外側から囲っている。第二上端面342は、上部プレート32に形成されているピン挿通孔323の非載置面321側の開口部を外側から囲っている。
【0038】
第二内周面341は、これらピン挿通孔314,323の内面314a,323aと面一とされている。本実施形態では、プレート30は、複数の第二円筒部34を有しており、上部プレート32及び下部プレート31に形成されたピン挿通孔314,323と一対一で対応している。したがって、プレート30は、三つの第二円筒部34を有している。
【0039】
したがって、下部プレート31に形成されているピン挿通孔314の内面314aと、第二円筒部34の第二内周面341と、上部プレート32に形成されているピン挿通孔323の内面323aとによって、下部プレート31の下面311から上部プレート32の載置面320にかけて上下方向Dvに貫通する貫通孔30cが構成されている。即ち、プレート30には、上下方向Dvに貫通する貫通孔30cが形成されている。
【0040】
第二円筒部34の内径は、上部プレート32及び下部プレート31に形成されているピン挿通孔314,323の孔径と等しく、第二円筒部34の中心位置と、上部プレート32及び下部プレート31に形成されているピン挿通孔314,323の中心位置とは、上下方向Dvで重なっている。
【0041】
上部プレート32の非載置面321と、第一円筒部33の第一内周面331と、下部プレート31の上面310と、中央孔313の内面313aと、プレート支持部20の内周面20cと、底部12に形成されている孔12bの内面12cとによって内側空間R3が形成されている。内側空間R3は、底部12に形成されている孔12bを通じてチャンバ10の外部の大気と連通している。したがって、内側空間R3の気圧は大気圧となる。
【0042】
<温度調整部>
温度調整部90は、プレート30の温度を調整可能な装置である。温度調整部90は、加熱部91と、電源装置(図示省略)と、を有している電気ヒータである。
【0043】
加熱部91は、コイル状に巻回された電熱線であり、上部プレート32の非載置面321に設けられている。具体的には、電気ヒータを構成するこの電熱線が上部プレート32の非載置面321に満遍なく接触するように張り巡らされている。
【0044】
電源装置は、加熱部91に電流を流す直流電源であり、チャンバ10の外部に設けられている。電源装置には、加熱部91が電気的に接続されている。この電源装置から加熱部91に電気が流されることで加熱部91が発熱し、この加熱部91からの伝導熱や輻射熱等によって上部プレート32が加熱される。
【0045】
<固定シール部>
固定シール部50は、プレート30に設けられるとともに、他の部材とともに第一空間R1と気密に隔離された空間を形成する。固定シール部50は、チャンバ10内に収容されている。
固定シール部50は、固定部51と、シール部52と、を有している。
【0046】
固定部51は、下部プレート31の下面311から上下方向Dv下方側に延びるように設けられている円筒状を成す部材である。固定部51は、例えばボルト等(図示省略)によって下部プレート31に固定されている。
固定部51は、第三上端面51aと、第三下端面51bと、第三外周面51dと、第三内周面51cと、を有している。
【0047】
第三上端面51aは、上下方向Dv上方側を向くとともに、下部プレート31の下面311に接続される円環状を成す面である。第三下端面51bは、第三下端面51bとは反対側の上下方向Dv下方側を向く円環状を成す面である。
【0048】
第三外周面51dは、第三下端面51bと第三上端面51aとを接続するとともにチャンバ内面14の側面13a側を向く面である。第三内周面51cは、第三下端面51bと第三上端面51aとを接続するとともに、内側を向く内周面である。
【0049】
第三上端面51aは、下部プレート31に形成されているピン挿通孔314の下面311側の開口部を外側から囲っている。第三内周面51cは、このピン挿通孔314の内面314aと面一とされている。即ち、第三内周面51cは、貫通孔30cの内面から連なるように形成されている。
【0050】
本実施形態では、固定シール部50は、複数の固定部51を備えており、プレート30に形成された貫通孔30cと一対一で対応している。したがって、固定シール部50は、三つの固定部51を有している。
【0051】
シール部52は、下部プレート31と固定部51との間に設けられている円環状を成す封止部材である。シール部52は、下部プレート31の下面311と固定部51の第三上端面51aとによって挟み込まれている。即ち、シール部52は、下部プレート31と固定部51との間に介装されている。シール部52は、下部プレート31と固定部51との間を気体が流通不可能となるように遮断している。本実施形態におけるシール部52には、例えばOリングが採用される。
【0052】
<フレキシブル支持部>
フレキシブル支持部40は、下部プレート31の下面311から下方に吊り下げられているベローズである。フレキシブル支持部40は、チャンバ10内に収容されている。
フレキシブル支持部40は、上端部40aと、下端部40bと、蛇腹部40dと、を有している。
【0053】
上端部40aは、上下方向Dv上方側に位置しており、固定部51の第三下端面51bに接続されている。上端部40aは、例えば溶接等により固定部51の第三下端面51bに固定されている。下端部40bは、上端部40aとは反対側の上下方向Dv下方側に位置している。
【0054】
蛇腹部40dは、上下方向Dvに延びてこれら上端部40aと下端部40bを接続するとともに、拡径部と縮径部とが交互に繰り返される筒状を成している。上端部40aは、固定部51の第三内周面51cの下方側の開口部分を外側から囲っている。
フレキシブル支持部40は、蛇腹部40dが撓むことで下部プレート31の下面311に対して水平方向Hに相対移動可能である。
【0055】
<駆動装置>
駆動装置60は、フレキシブル支持部40に接続されるとともにこのフレキシブル支持部40に支持された状態で、リフトピン70を上下方向Dvに駆動する装置である。駆動装置60は、チャンバ10内に収容されている。駆動装置60は、上下方向Dv上方側を向くとともにフレキシブル支持部40の下端部40bに接続される接続面60aを有している。
【0056】
駆動装置60は、下部プレート31の下面311と、チャンバ10の底部12の底面12aとの間でフレキシブル支持部40によってプレート30から吊り下げられている。フレキシブル支持部40の蛇腹部40dは、撓むことができるため、駆動装置60が下部プレート31の下面311に対して水平方向Hに相対移動可能に支持されている。
【0057】
本実施形態における駆動装置60は、アクチュエータ(図示省略)を有している。このアクチュエータによってリフトピン70を上下方向Dvに駆動可能な駆動機構(図示省略)が構成されている。
【0058】
<リフトピン>
リフトピン70は、プレート30の貫通孔30cを上下方向Dvに挿通可能な円柱状を成すピンである。即ち、リフトピン70の外径は、貫通孔30cの孔径よりも小さい。リフトピン70は、チャンバ10内に収容されるとともに、フレキシブル支持部40に外側から囲われている。
【0059】
リフトピン70は、上下方向Dv下方側に位置するとともに、駆動装置60に収容される下端70aと、この下端70aとは反対側の上下方向Dv上方側に位置する先端70bと、上下方向Dvに延びてこれら下端70aと先端70bとを接続する中間部70cとを有している。
【0060】
下端70aは、駆動装置60の上記駆動機構によって上下方向Dvに進退させられる。即ち、リフトピン70は、上下方向Dvに進退可能とされている。即ち、駆動装置60は、リフトピン70の下端70a側で、このリフトピン70を上下方向Dvに駆動している。
【0061】
先端70bは、貫通孔30c内に収容されている。先端70bは、駆動装置60によって下端70aが押し上げられると、上部プレート32の載置面320よりも上下方向Dv上方側に移動し、貫通孔30cから突出する。先端70bが貫通孔30cから突出すると、載置面320上の半導体ウエハWは、この載置面320から上下方向Dv上方側に離れるとともに、この先端70bによって支持される。
【0062】
中間部70cは、フレキシブル支持部40の蛇腹部40dの蛇腹内面40cと、固定部51の第三内周面51cと、プレート30に形成されている貫通孔30cの内面との間でそれぞれクリアランスを形成している。
【0063】
<支持シール部>
支持シール部80は、貫通孔30c内に設けられるとともに、リフトピン70を弾性的に支持する円環状を成す封止部材である。支持シール部80は、貫通孔30cの内面と、リフトピン70の中間部70cとによって挟み込まれている。
【0064】
支持シール部80は、貫通孔30c内におけるリフトピン70とプレート30との間に形成されるクリアランスを気体が上下方向Dvに流通不可能となるように遮断している。本実施形態における支持シール部80には、例えばOリングが採用される。
【0065】
支持シール部80は、第一支持シール80aと、第二支持シール80bと、を有している。
第一支持シール80aは、上部プレート32に形成されているピン挿通孔323の内面323aとリフトピン70の中間部70cとによって挟み込まれている。即ち、第一支持シール80aは、上部プレート32とリフトピン70との間に介装されている。
【0066】
第二支持シール80bは、第二円筒部34の第二内周面341とリフトピン70の中間部70cとによって挟み込まれている。即ち、第二支持シール80bは、第二円筒部34とリフトピン70との間に介装されている。
【0067】
これら第一支持シール80a及び第二支持シール80bは、リフトピン70の中間部70c、駆動装置60の接続面60a、フレキシブル支持部40の蛇腹部40dにおける蛇腹内面40c、固定シール部50、及び貫通孔30cの内面とともに第一空間R1と気密に隔離された第二空間R2を形成している。この第二空間R2には、例えば、ワーク処理装置1の製造過程又はメンテナンス時等における組立過程で大気が封入される。したがって、第二空間R2内は、大気で満たされており、大気圧の雰囲気が保持されている。
【0068】
第一空間R1内は、真空引きされており、大気圧よりも低い所定の気圧(陰圧)に維持されている。エッチング処理時には、チャンバ10の外部に設けられたガス供給部(図示省略)からガス供給管(図示省略)を介して第一空間R1内にプロセスガスが導入される。
【0069】
<電極>
電極15は、第一空間R1内をプラズマ雰囲気にするための電磁波を発生させる導体である。電極15は、チャンバ内面14の天面11aに設けられている。エッチング処理時には、電極15に外部から電圧が印加されることで、この電極15から第一空間R1内に電磁波が放出される。
【0070】
これによって、第一空間R1内に導入されたプロセスガスがプラズマ化される。電極15には、冷媒流路15aが形成されており、外部から温度調整用の冷媒が導入される。電極15は、この冷媒流路15aを流れる冷媒と熱交換することにより温度調整される。
【0071】
<プレートが変形した時のワーク処理装置の状態>
ここで、温度調整部90によってプレート30が加熱された際に、この加熱によってプレート30の平面度が崩れた時のワーク処理装置1の態様を説明する。ここでいう「平面度が崩れる」とは、上部プレート32の載置面320が水平面に対して膨れる場合や傾く場合を意味している。
【0072】
温度調整部90の加熱部91は上部プレート32の非載置面321に設けられているため、温度調整部90は、上部プレート32を優先的に加熱する。即ち、加熱部91からの伝導熱や輻射熱等は、主として上部プレート32に伝わる。上部プレート32に伝わった熱は、第一円筒部33、下部プレート31の順番に漸次伝わっていく。
【0073】
この際、各部材の温度は、上部プレート32、第一円筒部33、下部プレート31の順に高くなる。この温度差によってそれぞれの部材に生じる熱応力の大きさに差が生じてしまい、プレート30が変形を起こす。図2に、プレート30に変形が生じた時のワーク処理装置1の状態の一例を示す。
【0074】
プレート30が水平方向H及び上下方向Dvに線膨張を起こした際、フレキシブル支持部40は、このプレート30の変形に伴って撓むとともに水平方向Hに移動する。駆動装置60は、このフレキシブル支持部40の移動に伴って、同一の水平方向Hに移動する。即ち、駆動装置60は、プレート30の変形に応じて、プレート30の下面311に対して水平方向Hに相対移動することができる。
【0075】
<作用効果>
温度調整部90がプレート30の温度を高めた場合、プレート30が線膨張等の変形を起こし、プレート30の下面311が水平方向Hに延びることが有る。即ち、貫通孔30cの位置が水平方向Hにずれる場合が有る。
【0076】
上記実施形態に係るワーク処理装置1の構成によれば、フレキシブル支持部40は駆動装置60を下面311に対して水平方向Hに相対移動可能である。これにより、駆動装置60が上下方向Dvに駆動するリフトピン70を貫通孔30cの中心に近づけることができる。したがって、リフトピン70の上下方向Dvにおける進退動が阻害されてしまうことを抑制することができる。
【0077】
また、上記実施形態に係るワーク処理装置1の構成によれば、駆動装置60は、大気圧より気圧が低い第一空間R1とは気密に隔離された大気圧状態の第二空間R2内でリフトピン70を上下方向Dvに駆動する。これにより、リフトピン70を円滑に上下動させることができる。また、シール部52が貫通孔30c内でリフトピン70を弾性的に支持するため、載置面320に対するリフトピン70の姿勢を適正に保持することができる。したがって、これら作用により、リフトピン70の上下方向Dvにおける進退動が阻害されてしまうことをより抑制することができる。
【0078】
また、上記実施形態に係るワーク処理装置1の構成によれば、駆動装置60は、プレート30の下面311とチャンバ10の底面12aとの間でフレキシブル支持部40によってプレート30から吊り下げられている。これにより、駆動装置60には、水平方向Hからの外力が働くことがない。したがって、吊り下げる構成以外の駆動装置60を支持する構成と比較して、駆動装置60はよりフレキシブルに水平方向Hに移動することができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0080】
実施形態では、温度調整部90として電気ヒータを説明したが、電気ヒータに限定されることはなく、温度調整部90は、プレート30の温度調整をすることができればよい。例えば、温度調整部90は、チャンバ10の内部又は外部から非接触で近赤外線をプレート30に向けて照射して、プレート30を加熱するランプヒータ等であってもよい。
【0081】
また、実施形態では、駆動装置60がフレキシブル支持部40によって支持されるとともに、固定シール部50を介して下部プレート31の下面311から吊り下げられているが、この構成に限定されることはない。例えば、フレキシブル支持部40は、プレート支持部20の外周面20dと駆動装置60の側面とを接続するとともに、この駆動装置60を水平方向Hから支持する構成であってもよい。
【0082】
また、実施形態では、ワーク処理装置1は固定シール部50を備えず、フレキシブル支持部40が直接プレート30の下面311に接続される構成であってもよい。
【0083】
また、実施形態では、フレキシブル支持部40がベローズとされているが、ベローズに限定されることはない。フレキシブル支持部40は、駆動装置60をプレート30の下面311に対して水平方向Hに相対移動可能に支持することができる構成でありさえすればよい。
【0084】
また、実施形態における第二円筒部34には、第二下端面343と第二支持シール80bとの間で、第二内周面341から第二外周面340に貫通する第二空間R2と内側空間R3とを連通させるための孔や、スリット等が形成されていてもよい。これにより、駆動装置60によるリフトピン70の上下動に伴って蛇腹部40dが上下に伸縮しても、第二空間R2内における雰囲気の圧力が変動することを抑制することができる。
【0085】
また、実施形態では、第一空間R1が大気圧よりも低い所定の気圧(陰圧)に維持されているが、この構成に限定されることはなく、第一空間R1は、真空引きされずに大気圧(常圧)が維持されてもよい。また、真空引きに代えて、第一空間R1には加圧された気体が封入され、該第一空間R1が大気圧よりも高い所定の気圧(陽圧)に維持されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…ワーク処理装置、10…チャンバ、11…天井部、11a…天面、12…底部、12a…底面、12b…孔、12c,313a,314a,323a…内面、13…側壁部、13a…側面、14…チャンバ内面、15…電極、15a…冷媒流路、20…プレート支持部、20a…上端面、20b…下端面、20c…内周面、20d…外周面、30…プレート、13a,30a…側面、30b…内面、30c…貫通孔、31…下部プレート、32…上部プレート、33…第一円筒部、34…第二円筒部、40…フレキシブル支持部、40a…上端部、40b…下端部、40c…蛇腹内面、40d…蛇腹部、50…固定シール部、51…固定部、51a…第三上端面、51b…第三下端面、51c…第三内周面、51d…第三外周面、52…シール部、60…駆動装置、60a…接続面、70…リフトピン、70a…下端、70b…先端、70c…中間部、80…支持シール部、80a…第一支持シール、80b…第二支持シール、90…温度調整部、91…加熱部、310…上面、311…下面、312…第一側面、313…中央孔、314,323…ピン挿通孔、314a…内面、320…載置面、321…非載置面、322…第二側面、330…第一外周面、331…第一内周面、332…第一上端面、333…第一下端面、340…第二外周面、341…第二内周面、342…第二上端面、343…第二下端面、Dv…上下方向、H…水平方向、R1…第一空間、R2…第二空間、R3…内側空間、W…半導体ウエハ
図1
図2