(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034272
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】シール装置、シール方法及びクリーニング方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20230306BHJP
【FI】
B65B51/10 200
B65B51/10 210
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140435
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】吉兼 徹
(72)【発明者】
【氏名】福永 一生
(72)【発明者】
【氏名】森野 学
(72)【発明者】
【氏名】山根 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】河村 健治
(72)【発明者】
【氏名】中川 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松村 勇貴
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094CA03
3E094CA06
3E094DA06
3E094EA01
3E094FA03
3E094FA04
3E094GA01
3E094GA07
3E094GA13
3E094GA15
3E094GA23
3E094HA08
3E094HA10
(57)【要約】
【課題】袋のシール処理を安定的に行うのに有利なシール装置、シール方法及びクリーニング方法を提供する。
【解決手段】シール装置10は、袋Bに接触して袋Bのシール処理を行うシールユニット21、22と、シールユニット21に生じる振動を計測する振動計測装置50と、振動計測装置50を支持し且つ架台72により支持される支持体73と、支持体73が架台72により支持されている状態で支持体73と架台72との間に位置付けられる振動吸収体40と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋に接触して前記袋のシール処理を行うシールユニットと、
前記シールユニットに生じる振動を計測する振動計測装置と、
前記振動計測装置を支持し且つ架台により支持される支持体と、
前記支持体が前記架台により支持されている状態で前記支持体と前記架台との間に位置付けられる振動吸収体と、を備えるシール装置。
【請求項2】
前記シール処理の質を判定する判定部を備え、
前記シールユニットは、開閉可能に設けられる第1シール部材及び第2シール部材であって、閉位置で前記袋を挟みつつ前記シール処理を行う第1シール部材及び第2シール部材を有し、
前記振動計測装置は、前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測し、
前記判定部は、前記第1シール部材及び前記第2シール部材が前記閉位置に到達する前から前記閉位置に到達した後にわたる前記振動計測装置の計測結果に基づいて、前記シール処理の質を判定する請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
袋を挟んで加熱して前記袋のシール処理を行う第1シール部材及び第2シール部材を備え、
前記第1シール部材及び前記第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方は、熱を発する加熱ブロックと、前記加熱ブロックの位置決めを行う支持ブロックと、前記加熱ブロックと前記支持ブロックとの間に設けられる空間部と、を有する、シール装置。
【請求項4】
前記加熱ブロック及び前記支持ブロックは互いに接触しておらず、
前記加熱ブロックは、前記加熱ブロックと前記支持ブロックとの間に作用する磁力に応じて、前記支持ブロックに対する相対位置が決められる、請求項3に記載のシール装置。
【請求項5】
シールユニットが有する加熱面から発せられる熱によって袋を加熱して前記袋のシール処理を行うシール方法において、
前記加熱面における複数の計測ポイントの温度を示す温度分布を計測する工程を含むシール方法。
【請求項6】
温度計測器が具備する複数の温度検出部が、前記加熱面に対向した状態で、前記加熱面の前記温度分布を計測し、
前記複数の温度検出部は、長手方向に並んでおり、
前記複数の計測ポイントは、前記長手方向に並んでいる、請求項5に記載のシール方法。
【請求項7】
前記加熱面は第1加熱面及び第2加熱面を有し、前記第1加熱面及び前記第2加熱面により前記袋を挟むことで前記シール処理が行われ、
前記温度計測器は第1計測面及び第2計測面を有し、前記第1計測面及び前記第2計測面の各々に2以上の温度検出部が設けられ、
前記第1計測面が前記第1加熱面に対向させられつつ前記第2計測面が前記第2加熱面に対向させられている状態で、前記第1計測面に設けられる前記2以上の温度検出部により前記第1加熱面の前記温度分布が計測され、前記第2計測面に設けられる前記2以上の温度検出部により前記第2加熱面の前記温度分布が計測される、請求項6に記載のシール方法。
【請求項8】
加熱温度に応じた状態を示す感熱体を、前記加熱面から発せられる熱により加熱することで、前記加熱面の前記温度分布が計測される請求項5に記載のシール方法。
【請求項9】
前記感熱体を前記シールユニットに供給し、前記シールユニットが前記シール処理を前記感熱体に対して行うことによって、前記加熱面の前記温度分布が計測される請求項8に記載のシール方法。
【請求項10】
前記加熱面から放射される赤外線の強度が温度計測器により検出されることで、前記加熱面の前記温度分布が計測される請求項5に記載のシール方法。
【請求項11】
複数の袋が前記シールユニットに連続的に供給されて各袋に対する前記シール処理が連続的に行われながら、前記加熱面から放射される前記赤外線の強度が前記温度計測器により検出されることで、前記加熱面の前記温度分布が計測される請求項10に記載のシール方法。
【請求項12】
袋にシール部材を接触させて前記袋のシール処理を行うシール装置に対し、クリーニング体を供給して、前記クリーニング体に対して前記シール処理が行われることで、前記クリーニング体が前記シール部材に接触して前記シール部材をクリーニングするクリーニング方法。
【請求項13】
前記袋は、内容物が導入された後に前記シール処理を受け、
前記内容物は、前記袋の口部を介して前記袋の内側に導入され、
前記シール部材は、前記袋のうち前記口部又は前記口部の近傍に接触して前記シール処理を行う、請求項12に記載のクリーニング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、シール装置、シール方法及びクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装機では、通常、袋の内側に内容物を導入する処理だけではなく、袋の口部をシールする処理等、様々な処理が袋に対して連続的に行われる。
【0003】
例えば特許文献1が開示する自動包装機では、給袋工程、捺印工程、開袋工程、充填工程、シール工程、冷却工程及び排出工程が順次行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シール工程では、例えば一対の熱板により袋の口部を圧迫することで、口部が溶着してシールされる。このような加熱シール処理では、一対の熱板の温度状態(例えば温度分布)に応じて、シール強度やシール処理後の袋の美観が変わる。すなわち適切な温度状態を持たない一対の熱板によって加熱シール処理が行われると、シール強度が不十分であったり、シール処理後の袋の美観が商品としての基準を満たさなかったりする。
【0006】
シール装置が、シール処理に不適切な状態であって、シール不良をもたらす蓋然性が高い状態に置かれていることを事前に知ることができれば、シール不良の発生を効果的に抑えることが可能である。
【0007】
またシール不良は、作業者が黙視によって確認できる場合もあるが、黙視による確認が難しい場合もある。特に、作業者が長時間にわたって多数の袋の状態を黙視により確認し続け、突発的に生じるシール不良を安定的に発見することは簡単ではない。
【0008】
またシール装置を含む包装機の近くで作業者が継続的に作業を行うことは、安全上好ましくない。
【0009】
本開示は上述の事情に鑑みてなされたものであり、袋のシール処理を安定的に行うのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、袋に接触して袋のシール処理を行うシールユニットと、シールユニットに生じる振動を計測する振動計測装置と、振動計測装置を支持し且つ架台により支持される支持体と、支持体が架台により支持されている状態で支持体と架台との間に位置付けられる振動吸収体と、を備えるシール装置に関する。
【0011】
シール装置は、シール処理の質を判定する判定部を備え、シールユニットは、開閉可能に設けられる第1シール部材及び第2シール部材であって、閉位置で袋を挟みつつシール処理を行う第1シール部材及び第2シール部材を有し、振動計測装置は、第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測し、判定部は、第1シール部材及び第2シール部材が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定してもよい。
【0012】
本開示の他の態様は、袋を挟んで加熱して袋のシール処理を行う第1シール部材及び第2シール部材を備え、第1シール部材及び第2シール部材のうちの少なくともいずれか一方は、熱を発する加熱ブロックと、加熱ブロックの位置決めを行う支持ブロックと、加熱ブロックと支持ブロックとの間に設けられる空間部と、を有する、シール装置に関する。
【0013】
加熱ブロック及び支持ブロックは互いに接触しておらず、加熱ブロックは、加熱ブロックと支持ブロックとの間に作用する磁力に応じて、支持ブロックに対する相対位置が決められてもよい。
【0014】
本開示の他の態様は、シールユニットが有する加熱面から発せられる熱によって袋を加熱して袋のシール処理を行うシール方法において、加熱面における複数の計測ポイントの温度を示す温度分布を計測する工程を含むシール方法に関する。
【0015】
温度計測器が具備する複数の温度検出部が、加熱面に対向した状態で、加熱面の温度分布を計測し、複数の温度検出部は、長手方向に並んでおり、複数の計測ポイントは、長手方向に並んでいてもよい。
【0016】
加熱面は第1加熱面及び第2加熱面を有し、第1加熱面及び第2加熱面により袋を挟むことでシール処理が行われ、温度計測器は第1計測面及び第2計測面を有し、第1計測面及び第2計測面の各々に2以上の温度検出部が設けられ、第1計測面が第1加熱面に対向させられつつ第2計測面が第2加熱面に対向させられている状態で、第1計測面に設けられる2以上の温度検出部により第1加熱面の温度分布が計測され、第2計測面に設けられる2以上の温度検出部により第2加熱面の温度分布が計測されてもよい。
【0017】
加熱温度に応じた状態を示す感熱体を、加熱面から発せられる熱により加熱することで、加熱面の温度分布が計測されてもよい。
【0018】
感熱体をシールユニットに供給し、シールユニットがシール処理を感熱体に対して行うことによって、加熱面の温度分布が計測されてもよい。
【0019】
加熱面から放射される赤外線の強度が温度計測器により検出されることで、加熱面の温度分布が計測されてもよい。
【0020】
複数の袋がシールユニットに連続的に供給されて各袋に対するシール処理が連続的に行われながら、加熱面から放射される赤外線の強度が温度計測器により検出されることで、加熱面の温度分布が計測されてもよい。
【0021】
本開示の他の態様は、袋にシール部材を接触させて袋のシール処理を行うシール装置に対し、クリーニング体を供給して、クリーニング体に対してシール処理が行われることで、クリーニング体がシール部材に接触してシール部材をクリーニングするクリーニング方法に関する。
【0022】
袋は、内容物が導入された後にシール処理を受け、内容物は、袋の口部を介して袋の内側に導入され、シール部材は、袋のうち口部又は口部の近傍に接触してシール処理を行ってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本開示によれば、袋のシール処理を安定的に行うのに有利である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るシール装置の一例の側方図であり、開位置に配置されている第1シール部材及び第2シール部材が示されている。
【
図2】
図2は、開位置に配置されている第1シール部材及び第2シール部材と、シール処理位置に配置されている袋と、を示す拡大平面図である。
【
図3】
図3は、第1シール部材及び第2シール部材が閉位置に配置されている状態における第2シール部材及び袋を示す側方図である。
【
図4】
図4は、シール装置の制御構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す振動計測装置の計測結果の一例を示し、縦軸は第1シール部材に生じている加速度(減速度を含む)を示し、横軸は時間を示す。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る第1シール部材の断面の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係る温度計測器の一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、包装機の一例の概略構成を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、シールユニットの第1シール部材及び第2シール部材が閉位置に配置されている状態における第2シール部材及び感熱体を示す側方図である。
【
図10】
図10は、第5実施形態に係る包装機の一例の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照して本開示の実施形態について説明する。
【0026】
以下に説明するシール装置は、袋のシール処理を単独で行う装置として設けられてもよいし、1つの袋に対して複数の処理を連続的に行う袋処理装置(例えば包装処理装置)の一部として設けられてもよい。
【0027】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るシール装置10の一例の側方図であり、開位置に配置されている第1シール部材21及び第2シール部材22が示されている。
図1では、理解を容易にするため、第2架台72、スタンド73、第1スライド支持ブロック74、第2スライド支持ブロック75は断面が示されており、スタンド73、第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロック75の内側の状態が図示されている。
【0028】
図2は、開位置に配置されている第1シール部材21及び第2シール部材22と、シール処理位置Psに配置されている袋Bと、を示す拡大平面図である。
図3は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されている状態における第2シール部材22及び袋Bを示す側方図である。
図2及び
図3には、シール装置10の一部構成のみが図示されており、他の構成の図示は省略されている。例えば
図3において、第1シール部材21の図示は省略されている。
【0029】
図1に示すシール装置10は、袋Bの搬送のための駆動源と、第1シール部材21及び第2シール部材22の開閉移動のための駆動源とが、お互いに別個に設けられている。そのため、袋Bの搬送と、第1シール部材21及び第2シール部材22の開閉とを、お互いに独立して行うことができる。具体的には、シール装置10は、第1シール部材21及び第2シール部材22を開閉させるシール駆動装置23と、袋Bを支持する袋支持部11(
図2及び
図3参照)を移動させる支持駆動装置(
図4の符号「12」参照)と、を備える。
【0030】
袋支持部11は、例えば袋Bの両側方部を把持するグリッパー等の形態を有する。
【0031】
支持駆動装置は、第1駆動源(
図4の符号「13」参照)を具備し、袋支持部11を間欠的に移動させて袋Bをシール処理位置Psに位置付ける。支持駆動装置の具体的な構成は限定されない。例えば、図示しないモーターにより第1駆動源を構成し、支持駆動装置は、当該モーターと、当該モーターの回転軸に取り付けられた回転テーブルとを有してもよい。この場合、回転軸の間欠回転に応じて、回転テーブルが間欠的に回転し、回転テーブルの外周部に取り付けられた1又は複数の袋支持部11を円周方向に移動させることができる。
【0032】
シール駆動装置23は、第1駆動源とは別個に設けられたサーボモーター等の第2駆動源24を具備する。
【0033】
図1に示す例では、第2駆動源24が第1架台70上の土台71に固定されている。第2駆動源24の回転軸24aには、第1揺動レバー25の一端部が固定的に取り付けられている。第1揺動レバー25は、回転軸24aの回転に応じて、回転軸24aを中心に揺動する。第1揺動レバー25の他端部には、連結軸26の一端部が回転自在に取り付けられている。連結軸26の他端部には、第2揺動レバー27が回転自在に取り付けられている。連結軸26は、第2架台72上に固定されたスタンド73の内側を通って高さ方向(重力が作用する鉛直方向に沿う方向)に延在する。
【0034】
第2揺動レバー27には、支持軸36が相対回転自在に取り付けられるとともに、第1進退軸28の一端部及び第2進退軸32の一端部が相対回転自在に取り付けられている。第2揺動レバー27は、支持軸36を中心に回転自在に設けられている。支持軸36は、スタンド73に取り付けられた支持フレーム(図示省略)に両端が固定されており、支持フレームを介してスタンド73により固定的に支持される。
【0035】
第1進退軸28の他端部には第1移動ブロック29が相対回転自在に取り付けられ、第1移動ブロック29は第1駆動軸30に固定されている。第2進退軸32の他端部には第2移動ブロック33が相対回転自在に取り付けられ、第2移動ブロック33は第2駆動軸34に固定されている。
【0036】
中空のスタンド73には、第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロック75が固定的に取り付けられている。第1スライド支持ブロック74及び第2スライド支持ブロック75は、水平方向にお互いから離れた位置に設けられており、第1駆動軸30及び第2駆動軸34をスライド自在に支持しつつ水平方向に案内する。
【0037】
第1駆動軸30の一方の端部には、第1中継ブロック31を介して第1シール部材21が取り付けられている。第2駆動軸34の一方の端部には、第2中継ブロック35を介して第2シール部材22が取り付けられている。第1シール部材21及び第2シール部材22は、お互いに水平方向に対向しており、上述のシール駆動装置23により駆動されて開閉動作(本実施形態では水平移動動作)を行い、お互いに近づいたり、お互いから遠ざかったりする。
【0038】
例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置(
図1)に配置されている状態で、
図1において反時計回り方向へ回転軸24aが回転させられることにより、第1揺動レバー25が上向きに揺動させられる。これにより、連結軸26が上方に移動し、第2揺動レバー27が支持軸36を中心に時計回り方向に回転し、第1進退軸28及び第2進退軸32が、水平方向のうちお互いに逆向きの方向(対向方向)に移動する。具体的には、第1進退軸28が
図1の右方向に移動しつつ、第2進退軸32が
図1の左方向に移動する。
【0039】
その結果、第1移動ブロック29、第1駆動軸30及び第1中継ブロック31を介して第1進退軸28に取り付けられる第1シール部材21は、第1進退軸28と同じ方向(すなわち
図1の右方向)に移動する。第2移動ブロック33、第2駆動軸34及び第2中継ブロック35を介して第2進退軸32に取り付けられる第2シール部材22は、第2進退軸32と同じ方向(すなわち
図1の左方向)に移動する。
【0040】
これにより、第1シール部材21及び第2シール部材22は閉位置に配置される。シール処理位置Psに袋Bが配置されている状態で第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置される場合、第1シール部材21及び第2シール部材22は当該袋Bに接触しつつ、当該袋Bを挟んで両側から加圧する。
【0041】
本例の第1シール部材21及び第2シール部材22の各々には、
図2に示すように発熱ライン62が設けられており、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々は対応の発熱ライン62によって加熱される。
図2に示す発熱ライン62は、第1シール部材21又は第2シール部材22を貫通するように延び、ヒーター61により加熱されて全体から熱を発する。したがって第1シール部材21及び第2シール部材22が袋Bを挟んで両側から加圧することで、第1シール部材21及び第2シール部材22の加熱面(第1加熱面21a及び第2加熱面22a)が接触する袋Bの部分(
図3の符号「Bs」参照)が溶融してシールされる。
【0042】
本実施形態のシール装置10は、更に、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測する振動計測装置50を備える。
【0043】
図1に示す例では、第1中継ブロック31に振動計測装置50が取り付けられている。振動計測装置50は、第1中継ブロック31を介し、第1シール部材21に生じている振動を計測する。振動計測装置50は、計測結果を制御盤51に送信する。
【0044】
図4は、シール装置10の制御構成の一例を示すブロック図である。
【0045】
制御盤51には、振動計測装置50が電気的に接続されるとともに、支持駆動装置12の第1駆動源13及びシール駆動装置23の第2駆動源24が電気的に接続されている。
【0046】
図4に示す例において、制御盤51は、駆動制御部52、判定部53、表示部54、警報部55及び記憶部56を備える。
【0047】
駆動制御部52は、シール装置10の構成要素の駆動を制御する。例えば駆動制御部52の制御下で第1駆動源13が駆動することで、袋支持部11及び袋Bの移動速度や移動位置を調整することができる。また駆動制御部52の制御下で第2駆動源24が駆動することで、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対的な開閉速度や開閉位置を調整することができる。
【0048】
駆動制御部52は、本例では第1駆動源13を制御するが、支持駆動装置12が具備する他の要素(例えば動力伝達調整デバイス(図示省略))を制御することで、袋支持部11の移動速度や移動位置を調整してもよい。同様に、シール駆動装置23が
図1に示す構造とは異なる構造を有する場合、駆動制御部52は、シール駆動装置23が具備する第2駆動源24以外の要素(例えば動力伝達調整デバイス(図示省略))を制御することで、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対的な開閉速度や開閉位置を調整してもよい。
【0049】
駆動制御部52によるシール装置10の構成要素の具体的な制御方式は限定されないが、袋支持部11、第1シール部材21及び第2シール部材22が互いに連関して動作するように、駆動制御部52は制御を行う。例えば、駆動制御部52は、規則的な同期信号を支持駆動装置12(本実施形態では第1駆動源13)及びシール駆動装置23(本実施形態では第2駆動源24)に送信し、支持駆動装置12及びシール駆動装置23は受信した同期信号に基づくタイミングで、各種動作を自律的に実行してもよい。或いは、駆動制御部52は、様々な動作信号を所望タイミングで支持駆動装置12及びシール駆動装置23の各々に向けて発し、支持駆動装置12及びシール駆動装置23は、受信した動作信号に応じた動作を実行してもよい。
【0050】
判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定する。
【0051】
判定部53の判定結果は表示部54に表示されてもよいし、判定部53の判定結果に応じた警報が警報部55から発せられてもよいし、各袋B(例えば識別番号)と判定結果とを相互に対応付けたデータが記憶部56に記憶されてもよい。シール装置10の操作者は、表示部54の表示を確認したり、警報部55から発せられる警報を聞いたり、記憶部56に記憶されているデータにアクセスしたりすることによって、袋Bのシール処理の質の判定結果を知ることができる。
【0052】
[シール処理の質の判定例]
図5は、
図1に示す振動計測装置50の計測結果の一例を示し、縦軸は第1シール部材21に生じている加速度(減速度を含む)を示し、横軸は時間を示す。
【0053】
以下に説明する例では、第1中継ブロック31には第1シール部材21と実質的に同じ振動(例えば振動数及び振幅)が生じており、振動計測装置50の計測結果は第1シール部材21の振動の状態を示すものとみなされる。
【0054】
図5に示される波形状の結果において、横軸よりも上側に示される部分は、第1シール部材21に生じている加速度が、シール処理位置Psに位置する袋B(或いは第2シール部材22)から遠ざかる方向(水平方向)に働いていることを示す。一方、横軸よりも下側に示される部分は、第1シール部材21に生じている加速度が、シール処理位置Psに位置する袋B(或いは第2シール部材22)に近づく方向(水平方向)に働いていることを示す。
【0055】
図5において符号「C1」で示されるように、袋支持部11には、基本的に常に、ノイズ振動として認識される微振動が生じている。このノイズ振動は、様々な要因に基づいて袋支持部11に働き続ける。
【0056】
シール処理位置Psに配置されている袋Bのシール処理を行うために、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々は、開位置から閉位置に向かって移動し、その移動過程において急激に減速して、閉位置で停止する。すなわち、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置から移動して閉位置に配置されることによって、第1シール部材21及び第2シール部材22は袋Bを介してお互いに押し合った状態に置かれる。
【0057】
その結果、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々が閉位置で停止する際に、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々は、お互いから大きな力(特に衝撃的な荷重)を受けて、大きな加速度(減速度を含む)で振動する。
【0058】
第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に配置されている間、第1シール部材21には、ノイズ振動(
図5の符号「C1」参照)が生じているが、他の振動は生じてない。一方、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置で停止させられる際に、第1シール部材21及び第2シール部材22には、衝撃的な力が作用し、第1シール部材21及び第2シール部材22には、大きな絶対値を持つ振動加速度(
図5の符号「C2」参照)が作用する。
【0059】
このように、袋Bのシール処理を行うために第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されることによって、第1シール部材21及び第2シール部材22には大きな振動加速度が作用する。
【0060】
ただし、第1シール部材21と第2シール部材22との間(特にシール箇所間)における異物(内容物等)の有無に応じて、第1シール部材21及び第2シール部材22に作用する振動加速度の大きさは変わる。具体的には、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物がない場合に比べ、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物がある場合のほうが、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置される際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じる振動加速度の絶対値が小さくなる。これは、第1シール部材21と第2シール部材22との間の異物が、衝撃を緩和するクッションとして働くためである。
【0061】
本実施形態の判定部53(
図4参照)は、このようにして生じる第1シール部材21の振動の計測結果に基づいて、シール処理の際に第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物が存在していたか否かを判定し、ひいてはシール処理の良否を判定する。
【0062】
例えば、判定部53は、振動計測装置50の計測結果から、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得し、当該ピーク値Vmax(絶対値)が判定基準値Thを上回っているか否かによってシール処理の良否を判定することができる。振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが判定基準値Thを上回っている場合には、シール処理の際に第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物が存在せず、シール処理が良好に行われたと判定することができる。一方、振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが判定基準値Th以下の場合には、シール処理の際に第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物(特に、シール処理を阻害しうる異物)が存在し、シール処理不良が発生している可能性があると判定することができる。
【0063】
なお判定部53は、様々な手法を用いて、振動計測装置50の計測結果から、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得することが可能である。
【0064】
例えば、判定部53は、第1シール部材21に生じた振動加速度のうち、袋B(或いは第2シール部材22)から遠ざかる方向に働く加速度のみを対象として、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得してもよい。また判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されるタイミングの時間情報を考慮して、第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxを取得してもよい。判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されるタイミングの時間情報を、任意の方法で取得することができ、例えば駆動制御部52がシール駆動装置23(第2駆動源24)の駆動制御を行う際に使う情報に基づいて取得してもよい。
【0065】
またシール処理の良否を判定する際に用いられる判定基準値Th(すなわち第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxと比較される基準値)は、袋Bの種類や第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度等の様々な情報に基づいて、予め決定可能である。
【0066】
例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から閉位置に移動させる際の第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度が遅い場合、第1シール部材21及び第2シール部材22がお互いから受ける力(衝撃荷重)が小さくなる傾向がある。この場合、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが小さくなる。第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じた振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxが、ノイズ振動の振動加速度の絶対値に近づくにしたがって、誤判定が起こりやすい。
【0067】
したがってシール処理の良否の誤判定を防ぐ観点からは、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxは、ノイズ振動の振動加速度の絶対値よりも十分に大きいことが好ましい。
【0068】
一般的な環境下で作動する一般的な構成の第1シール部材21及び第2シール部材22に作用するノイズ振動の振動加速度の絶対値は0.5G(4.905m/s2)前後であることが多い。したがって、例えば、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxは、5G(49.05m/s2)以上であってもよいし、4G(39.24m/s2)以上であってもよいし、3G(29.43m/s2)以上であってもよいし、2G(19.62m/s2)以上であってもよいし、1G(9.81m/s2)以上であってもよい。
【0069】
また、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値Vmaxは、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に配置されている間に第1シール部材21及び/又は第2シール部材22に生じる振動加速度の絶対値のピーク値の10倍以上であってもよい、8倍以上であってもよいし、6倍以上であってもよいし、4倍以上であってもよいし、2倍以上であってもよい。
【0070】
第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置する際に第1シール部材21及び第2シール部材22に生じさせる振動加速度の絶対値のピーク値として所望の値を達成させるために、例えば袋Bの種類に応じて、第1シール部材21及び第2シール部材22の相対移動速度が決められてもよい。すなわちシール駆動装置23(第2駆動源24)は、袋Bの種類に応じて決められる移動速度で、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から相対的に移動させて、第1シール部材21及び第2シール部材22を閉位置に配置してもよい。
【0071】
本実施形態のシール装置10は、更に、
図1に示すように振動吸収体40を備える。振動吸収体40は、振動計測装置50を支持する支持体(本例ではスタンド73)に取り付けられ、スタンド73が第2架台72により支持されている状態でスタンド73と第2架台72との間に位置付けられる。振動計測装置50を支持する支持体は、
図1に示す例では、スタンド73、第1スライド支持ブロック74、第2スライド支持ブロック75、第1駆動軸30及び第1中継ブロック31を含む。
【0072】
振動吸収体40は、第2架台72から伝えられる振動を吸収して低減する。その結果、第2架台72を介して伝えられる振動に起因する支持体の振動が低減され、ひいては振動計測装置50及びシールユニット(第1シール部材21及び第2シール部材22)の振動が低減される。
【0073】
振動吸収体40の具体的な構成は限定されない。典型的には、振動吸収性に優れた材料により振動吸収体40は構成可能であり、例えば衝撃吸収性に優れたウレタンやゴムなどの緩衝材、気泡緩衝材、衝撃吸収ゲルなどにより振動吸収体40は構成されてもよい。また振動吸収体40は、振動吸収性能を持つ機械構造体により構成されてもよい。
【0074】
上述のシール装置10において、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に配置されている状態で、袋支持部11によって袋Bがシール処理位置Psに配置される。これにより、袋Bの口部Bm及び口部Bmの近傍箇所が第1シール部材21と第2シール部材22との間に位置付けられる。
【0075】
そして袋Bがシール処理位置Psに配置されている状態で、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されることで、第1シール部材21及び第2シール部材22は、袋Bの口部Bm及び口部Bmの近傍箇所に両側から接触して挟む。これにより、袋Bの口部Bm及び口部Bmの近傍箇所が加熱されてシールされる(
図3に示す「シール箇所Bs」参照)。
【0076】
一般に、袋Bのうち第1シール部材21及び第2シール部材22によりシールされる箇所の高さ方向(
図3の上下方向)のサイズは、袋Bの種類(形状及びサイズを含む)にかかわらず、基本的には変わらないことが多い。一方、袋Bのうちシールされる箇所の幅方向(
図3の左右方向)のサイズは、袋Bの種類によって変わりうる。
【0077】
以上説明したように本実施形態のシール装置10は、袋Bに接触して袋Bのシール処理を行うシールユニット(第1シール部材21及び第2シール部材22を含む)と、シールユニット(本例では第1シール部材21)に生じる振動を計測する振動計測装置50と、振動計測装置50を支持し且つ第2架台72により支持される支持体(スタンド73、第1駆動軸30及び第1中継ブロック31を含む)と、支持体(スタンド73)に取り付けられる振動吸収体40であって、支持体(スタンド73)が第2架台72により支持されている状態で支持体(スタンド73)と第2架台72との間に位置付けられる振動吸収体40と、を備える。
【0078】
これにより、第2架台72から支持体(スタンド73)に伝わる振動が低減され、振動計測装置50は、振動の影響が抑えられた状態でシールユニット(第1シール部材21)の振動を計測することができる。そのため振動計測装置50は、ノイズ振動C1等の影響が抑えられた状態で第1シール部材21に生じる振動を計測することができる。
【0079】
またシール装置10は、シール処理の質を判定する判定部53を備え、シールユニットは、開閉可能に設けられる第1シール部材21及び第2シール部材22であって、閉位置で袋Bを挟みつつシール処理を行う第1シール部材21及び第2シール部材22を有し、振動計測装置50は、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方の振動を計測し、判定部53は、第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に到達する前から閉位置に到達した後にわたる振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール処理の質を判定する。
【0080】
これにより判定部53は、第1シール部材21と第2シール部材22との間に異物が存在していたか否かを、ひいてはシール処理の良否を、精度良く判定することができる。
【0081】
なお第1シール部材21及び第2シール部材22は、上述の例では袋Bの口部Bmを加熱することでシール処理を行っているが、加熱シール以外の手法(例えば超音波シール及び高周波シール等)によって袋Bのシール処理を行ってもよい。
【0082】
また振動計測装置50は、上述の例では袋Bのシール処理の質の判定に用いられるが、他の用途に用いられてもよい。例えば、振動計測装置50の計測結果に基づいて、シール装置10の作動状態が制御盤51(例えば判定部53)により判定されてもよい。
【0083】
[第2実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0084】
図6は、第2実施形態に係る第1シール部材21の断面の一例を示す図である。以下では、主として第1シール部材21について説明するが、第2シール部材22も第1シール部材21と同様の構成を有する。ただし第2シール部材22は、第1シール部材21とは異なる構成を有していてもよい。
【0085】
本実施形態の第1シール部材21及び第2シール部材22は、袋Bの口部Bm及び口部Bmの近傍箇所を挟んで加熱して加熱シール処理を行う(
図2及び
図3参照)。
【0086】
第1シール部材21及び第2シール部材22の各々は、熱を発する加熱ブロック42と、加熱ブロック42の位置決めを行う支持ブロック43と、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に設けられる空間部44と、を有する。加熱ブロック42は、加熱シール処理の際に袋Bに接触する加熱面(第1加熱面21a及び第2加熱面22a)を有する。
【0087】
加熱ブロック42と支持ブロック43との間に空間部44が設けられることによって、加熱ブロック42から支持ブロック43に逃げる熱量を抑えることができる。その結果、加熱ブロック42の温度低下を防いで、袋Bの加熱シール処理を熱効率良く行うことができる。
【0088】
特に本例の加熱ブロック42及び支持ブロック43は互いに全く接触していない。そのため、加熱ブロック42及び支持ブロック43が接触している場合に比べ、加熱ブロック42から支持ブロック43に伝わる熱量を抑えることができる。
【0089】
なお加熱ブロック42及び支持ブロック43がお互いに対して接触するように設けられつつ、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に空間部44が設けられてもよい。また加熱ブロック42と支持ブロック43との間に弾性部材(バネ等)などの中間部材を設置し、当該中間部材を介して加熱ブロック42及び支持ブロック43がお互いに対して位置決めされている状態で、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に空間部44が設けられてもよい。
【0090】
一例として、加熱ブロック42は、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に作用する磁力(電磁力を含む)に応じて、支持ブロック43に対する相対位置が決められてもよい。例えば、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に斥力が作用するように加熱ブロック42及び支持ブロック43に磁性を持たせることで、支持ブロック43は、加熱ブロック42に全く接触しない状態で、空間部44を確保しつつ加熱ブロック42の位置決めを行うことが可能である。また加熱ブロック42と支持ブロック43との間に引力が作用するように加熱ブロック42及び支持ブロック43に磁性を持たせて、例えば上述の中間部材を加熱ブロック42と支持ブロック43との間に設置することで、空間部44を確保しつつ加熱ブロック42の位置決めを行うことが可能である。
【0091】
以上説明したように本実施形態のシール装置10は、袋Bを挟んで加熱して袋Bのシール処理を行う第1シール部材21及び第2シール部材22を備え、第1シール部材21及び第2シール部材22のうちの少なくともいずれか一方は、熱を発する加熱ブロック42と、加熱ブロック42の位置決めを行う支持ブロック43と、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に設けられる空間部44と、を有する。
【0092】
これにより、加熱ブロック42から支持ブロック43に逃げる熱量が低減し、加熱ブロック42における温度低下や温度ムラを抑えることができる。特に、空間部44の存在により加熱ブロック42から奪われる熱量が低減することで、加熱ブロック42の保温性が向上するだけではなく、支持ブロック43の温度上昇を抑えることができるため、安全性の面でも有利である。
【0093】
また加熱ブロック42及び支持ブロック43は互いに接触しておらず、加熱ブロック42は、加熱ブロック42と支持ブロック43との間に作用する磁力に応じて、支持ブロック43に対する相対位置が決められる。
【0094】
これにより、加熱ブロック42から支持ブロック43への直接的な熱伝導が防がれ、加熱ブロック42における温度低下や温度ムラがより一層効果的に抑えられる。
【0095】
[第3実施形態]
本実施形態において、上述の第1実施形態及び第2実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0096】
本実施形態では、シールユニット(第1シール部材21及び第2シール部材22)が有する加熱面から発せられる熱によって袋Bを加熱して袋Bのシール処理を行うシール装置10及びシール方法において、加熱面における複数の計測ポイントの温度を示す温度分布が温度計測器によって計測される。
【0097】
図7は、第3実施形態に係る温度計測器46の一例を示す斜視図である。
【0098】
図7に示す温度計測器46は、第1シール部材21及び第2シール部材22が有する加熱面(第1加熱面21a及び第2加熱面22a)の温度分布を計測するための装置であり、持ち手46aと、持ち手46aの先端部に取り付けられる計測ブロック46bとを備える。
【0099】
持ち手46aは、作業者によって把持される箇所である。
【0100】
計測ブロック46bには複数の温度検出部47が設けられている。温度検出部47は、計測対象の温度を検出可能な任意のデバイスにより構成可能であり、例えば熱電対を各温度検出部47は有してもよい。
【0101】
図7に示す計測ブロック46bは、互いに逆方向に向けられた第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2を有する。第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々に、2以上の温度検出部47(
図7に示す例では5つの温度検出部47)が設けられている。温度計測器46に設けられる温度検出部47の数は限定されず、任意の数の温度検出部47を第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々に配置することが可能である。
【0102】
計測ブロック46bは長手方向に延在し、第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々も長手方向に延在する。第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々に設けられる複数の温度検出部47は、長手方向に並べられる。典型的には、第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々において、複数の温度検出部47が長手方向に等間隔に並べられるが、長手方向に隣り合う温度検出部47間の間隔は不均一であってもよい。
【0103】
また各温度検出部47の具体的な位置は限定されない。典型的には、第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々における長手方向の中央部及び両端部を含む複数箇所において、3つ以上の温度検出部47が配置される。
【0104】
複数の温度検出部47は、第1シール部材21及び第2シール部材22の加熱面に対向した状態で、加熱面における複数の計測ポイントの温度を示す温度分布を計測する。上述のように温度検出部47は、第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々において長手方向に並んでいるため、加熱面における複数の計測ポイントも長手方向に並ぶ。
【0105】
本実施形態では、第1シール部材21及び第2シール部材22の各々が、袋Bのシール処理を行う際に当該袋Bに接触する加熱面を有する。すなわち第1シール部材21が有する第1加熱面21aと、第2シール部材22が有する第2加熱面22aとにより袋Bを挟むことで、当該袋Bの加熱シール処理が行われる。
【0106】
図7に示す温度計測器46を使うことによって、第1加熱面21aの温度分布が第1計測面Sm1に設けられる複数の温度検出部47により計測可能であり、第2加熱面22aの温度分布が第2計測面Sm2に設けられる複数の温度検出部47により計測可能である。すなわち第1計測面Sm1が第1加熱面21aに対向させられつつ第2計測面Sm2が第2加熱面22aに対向させられている状態で、第1計測面Sm1に設けられる2以上の温度検出部47により第1加熱面21aの温度分布が計測され、第2計測面Sm2に設けられる2以上の温度検出部47により第2加熱面22aの温度分布が計測される。
【0107】
例えば、作業者は持ち手46aを把持しつつ、開位置に配置されている第1シール部材21と第2シール部材22との間に計測ブロック46bを位置付ける。
【0108】
そして、第1シール部材21及び第2シール部材22が開位置に配置されている状態を維持している間に、第1加熱面21a及び第2加熱面22aの温度分布が温度計測器46により計測されてもよい。
【0109】
例えば、各温度検出部47による温度計測が非接触方式で行われる場合、開位置の第1シール部材21と第2シール部材22との間に計測ブロック46bを位置付けるだけで、温度計測器46(複数の温度検出部47)は第1加熱面21a及び第2加熱面22aの両方の温度分布を計測することが可能である。
【0110】
一方、各温度検出部47による温度計測が接触方式で行われる場合、持ち手46aを把持する作業者が温度計測器46を動かして、第1計測面Sm1に設けられる複数の温度検出部47を第1加熱面21aに接触させる動作と、第2計測面Sm2に設けられる複数の温度検出部47を第2加熱面22aに接触させる動作とを行ってもよい。
【0111】
或いは、作業者が第1シール部材21と第2シール部材22との間に計測ブロック46bを位置付けつつ、第1シール部材21及び第2シール部材22を開位置から閉位置に向けて動作させてもよい。この場合、計測ブロック46bが第1シール部材21及び第2シール部材22によって挟まれ、第1計測面Sm1に設けられる複数の温度検出部47と第1加熱面21aとの間の接触と、第2計測面Sm2に設けられる複数の温度検出部47と第2加熱面22aとの間の接触と、を同時的に行うことができる。
【0112】
各温度検出部47の計測結果は、制御盤51に有線又は無線で送られる。制御盤51(例えば判定部53)は、第1計測面Sm1に設けられる複数の温度検出部47の計測結果に基づいて第1加熱面21aの温度分布を取得し、第2計測面Sm2に設けられる複数の温度検出部47の計測結果に基づいて第2加熱面22aの温度分布を取得する。
【0113】
制御盤51は、第1加熱面21aの温度分布の取得結果に基づいて、第1加熱面21aの温度を調整する温調装置(
図2に示すヒーター61及び発熱ライン62参照)を制御し、第1加熱面21aの加熱状態(発熱状態)を調整する。同様に、制御盤51は、第2加熱面22aの温度分布の取得結果に基づいて、第2加熱面22aの温度を調整する温調装置を制御し、第2加熱面22aの加熱状態を調整する。
【0114】
例えば、温度検出部47の計測結果が「第1加熱面21a内における温度のばらつき(例えば計測ポイント間の温度差)が所定値よりも大きい」ことを示す場合、制御盤51は、第1加熱面21a内における温度のばらつきを低減するように温調装置を制御してもよい。また温度検出部47の計測結果が「第1加熱面21aにおける温度(温度分布)が予め設定される許容温度域に含まれない」ことを示す場合、制御盤51は、第1加熱面21aの温度が許容温度域に含まれるように温調装置を制御してもよい。
【0115】
また制御盤51は、温度検出部47の計測結果が示す第1加熱面21aの温度と、第1加熱面21aの温調設定値(例えば
図2に示すヒーター61及び発熱ライン62の発熱設定値に対応する第1加熱面21aの温度設定値)との間の差異に基づいて、当該差異を低減するように第1加熱面21aの温度が調整されるように温調装置を制御してもよい。
【0116】
これにより加熱シール処理では、温度分布の偏りが低減されて適切な温度状態を有する第1加熱面21a及び第2加熱面22aにより袋Bを圧着することができ、所望のシール強度を確保でき、袋Bのシール箇所の美観も確保できる。
【0117】
以上説明したように本実施形態によれば、温度計測器46が具備する複数の温度検出部47が、シールユニットの加熱面に対向した状態で、加熱面の温度分布を計測し、複数の温度検出部47は、長手方向に並んでおり、加熱面における複数の計測ポイントは、長手方向に並ぶ。
【0118】
これにより、加熱面が長手方向に長く延びる場合であっても、加熱面の長手方向に関する温度分布を適切に取得することができ、袋Bを長手方向に適切にシールするのに有利である。
【0119】
また加熱面は第1加熱面21a及び第2加熱面22aを有し、第1加熱面21a及び第2加熱面22aにより袋Bを挟むことでシール処理が行われ、温度計測器46は第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2を有し、第1計測面Sm1及び第2計測面Sm2の各々に2以上の温度検出部47が設けられ、第1計測面Sm1が第1加熱面21aに対向させられつつ第2計測面Sm2が第2加熱面22aに対向させられている状態で、第1計測面Sm1に設けられる2以上の温度検出部47により第1加熱面21aの温度分布が計測され、第2計測面Sm2に設けられる2以上の温度検出部47により第2加熱面22aの温度分布が計測される。
【0120】
これにより、第1加熱面21a及び第2加熱面22aの両方における温度分布を短時間に簡単に取得することができる。
【0121】
なお上述の温度計測器46は作業者によって支持されるが、支持部材(図示省略)により支持されてもよい。この場合、支持部材は温度計測器46を移動可能に支持し、計測ブロック46b及び複数の温度検出部47は、第1加熱面21aと第2加熱面22aとの間の位置(すなわち計測位置)と、退避位置(例えば第1加熱面21aと第2加熱面22aとの間を通過する袋B及び対応の袋支持部11の移動を阻害しない位置)と、に適宜配置される。
【0122】
[第4実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第3実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0123】
図8は、包装機100の一例の概略構成を示す斜視図である。
【0124】
本実施形態では、加熱温度に応じた状態を示す感熱体Spを使って、シールユニットの加熱面の温度分布が計測される。すなわち感熱シートなどの感熱体を、シールユニットの加熱面から発せられる熱により加熱することで、感熱体の加熱状態から加熱面の温度分布が計測される。
【0125】
図8に示す包装機100は、円盤状の回転テーブルを含む搬送部121を備える。回転テーブルの外周部には、複数の袋支持部11が、回転テーブルの回転方向へ等間隔に取り付けられる。
図8に示す各袋支持部11はグリッパーペアを含み、対応の袋Bの両側縁部のそれぞれがグリッパーにより把持されることで、当該袋Bは吊り下げ状態で支持される。
【0126】
回転テーブルの間欠回転に応じて各袋支持部11も間欠的に回転し、各袋支持部11により支持される袋Bは、円軌道上を間欠的に移動して、第1ステーションS1~第8ステーションS8において順次、間欠的に停止する。袋Bは、第1ステーションS1~第8ステーションS8の各々に間欠的に停止している間に、各種処理を受ける。
【0127】
第1ステーションS1では、袋供給部131によって袋支持部11に袋B(空袋)が供給され、袋支持部11は供給された袋Bを吊り下げ支持する(袋供給工程)。
図8に示す例では、袋供給部131によって、多数の袋Bを貯留する袋貯留部111から袋Bが1枚ずつ取り出されて、袋支持部11に渡される。
【0128】
第2ステーションS2では、印刷部132によって袋Bに各種情報(製品情報)が印刷される(印刷工程)。
図8に示す印刷部132は、レーザを使って袋Bに対する印刷処理を行う。ただし印刷部132は、他の任意の印刷方式を採用することが可能であり、インク(例えばインクジェット)を使って袋Bに各種情報を印刷してもよい。
【0129】
第3ステーションS3では、吸盤等の開口手段を具備する開口部134によって、袋Bの口部を開く開口処理が行われる(開口工程)。第4ステーションS4では、ノズル等の供給手段を具備する内容物供給部135によって、袋Bの内側に内容物を供給する内容物供給処理が行われる(内容物供給工程)。第5ステーションS5では、特段の処理は行われない(空き工程)。ただし第5ステーションS5において任意の処理が行われてもよい。
【0130】
第6ステーションS6及び第7ステーションS7では、それぞれ第1加熱シール部136及び第2加熱シール部137によって袋Bの口部の加熱シール処理が行われる(第1加熱シール工程及び第2加熱シール工程)。
図8に示す第1加熱シール部136及び第2加熱シール部137の各々は熱板ペア(第1シール部材21及び第2シール部材22)を含み、袋Bの口部Bm及び口部Bmの近傍を熱板で挟んで加圧して熱溶融させることで圧着する。
【0131】
第8ステーションS8では、冷却シール部138によって袋Bの口部を冷却する冷却シール処理が行われる(冷却シール工程)。
図8に示す冷却シール部138は冷却板ペアを含み、袋Bの口部Bm及び口部Bmの近傍(特に加熱シール部分)を冷却板で挟んで加圧することで、袋Bのシール状態を安定化させる。上述の加熱シール処理及び冷却シール処理を包括的にシール処理とも称する。なお冷却シール部138は、必ずしも設けられなくてもよい。
【0132】
その後、第8ステーションS8において、袋B(製品袋)は袋支持部11の支持から解放されて落下し、放出部139によって後段に送られる。なお冷却シール部138の冷却板ペアが実質的に袋Bの支持部として機能する場合、袋Bが袋支持部11から冷却板ペアに受け渡された後に、冷却板ペアが袋Bの支持を解放することで、袋Bを放出部139に向けて落下させてもよい。
図8に示す放出部139は、落下する袋Bを後段に向けて案内するシュートを含むが、放出部139は他の任意の構成を有することができる。
【0133】
上述の
図8に示す包装機100に対し、第1ステーションS1において、袋Bの代わりに感熱体Spを供給することで、感熱体Spがシールユニット(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)に供給される。すなわち袋支持部11は、第1ステーションS1で袋供給部131を介して袋貯留部111から供給される感熱体Spと一緒に、第1シール部材21の間欠回転に応じて第1ステーションS1~第5ステーションS5を経てシールユニット(第6ステーションS6及び第7ステーションS7)に到達する。
【0134】
そしてシールユニット(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)が加熱シール処理を感熱体Spに対して行うことで、シールユニットの加熱面が感熱体Spに接触し、感熱体Spは加熱面の温度分布を反映した状態に変わる。
【0135】
図9は、シールユニットの第1シール部材21及び第2シール部材22が閉位置に配置されている状態における第2シール部材22及び感熱体Spを示す側方図である。
図9には、シール装置10の一部構成のみが図示されており、他の構成の図示は省略されている。例えば
図9において、第1シール部材21の図示は省略されている。
【0136】
加熱シール処理を受けた感熱体Spは、計測対象のシールユニットの加熱面の温度分布に応じた状態を呈する。
図9において感熱体Spにおける感熱反応箇所Ssは、第1シール部材21及び第2シール部材22により挟まれて加熱された箇所であり、第1シール部材21及び第2シール部材22の加熱面の温度分布に応じた状態を呈する。感熱体Spとして、例えば温度に応じて変色する感熱紙を用いることが可能であり、そのような感熱紙は、例えば温度が高いほど黒に近い色を呈してもよい。
【0137】
そのため、加熱シール処理を受けた感熱体Sp(特に感熱反応箇所Ss)の状態を、機械により及び/又は作業者の黙視により確認することで、加熱面の温度分布の情報を取得することができる。
【0138】
このようにして感熱体Spの状態から取得される加熱面の温度分布の情報は、制御盤51に入力される。制御盤51(例えば判定部53)は、このようにして入力される加熱面の温度分布の情報に基づいて、加熱面の温度を調整する温調装置(
図2に示すヒーター61及び発熱ライン62参照)を制御し、加熱面の加熱状態(発熱状態)を調整する。これにより加熱シール処理では、適切な温度状態を有する加熱面により袋Bを圧着することができ、所望のシール強度を確保でき、袋Bのシール箇所の美観も確保できる。
【0139】
なお、感熱体Spを使って加熱面の温度分布を計測する場合、包装機100で行われる処理(例えば印刷処理、開口処理、内容物供給処理及び/又は冷却処理)は必要に応じて停止される。
【0140】
また
図8に示すように複数のシールユニット(すなわち第1加熱シール部136及び第2加熱シール部137)が設けられる場合、計測対象のシールユニット(例えば第1加熱シール部136)は感熱体Spに対して加熱シール処理を行うが、計測対象外のシールユニット(例えば第2加熱シール部137)は感熱体Spに対して加熱シール処理を行わない。加熱シール処理を行わないシールユニットでは、感熱体Spが対応位置に配置されている間、例えば、シール部材自体(第1シール部材21及び第2シール部材22)が加熱されなかったり、感熱体Spの状態を変えるような加熱が感熱体Spに対して行われない位置(例えば開位置)にシール部材が配置されたりしうる。
【0141】
これにより計測対象のシールユニットの加熱面の温度分布を、感熱体Spを介して適切に取得することができる。
【0142】
図8に示す例では、複数の感熱体Spが第1ステーションS1において袋支持部11に供給される。例えば、先行して袋支持部11に供給される感熱体Spを使って第1加熱シール部136及び第2加熱シール部137のうちの一方の加熱面の温度分布を取得し、その後に袋支持部11に供給される他の感熱体Spを使って他方の加熱面の温度分布を取得してもよい。
【0143】
図8に示す例では、袋貯留部111において多数の袋Bとともに複数の感熱体Spが収容され、複数の感熱体Spが袋Bに先立って袋支持部11に供給される。なお袋支持部11に供給される感熱体Spの数は限定されず、計測対象のシールユニットの数以上の感熱体Spを袋支持部11に供給することで、全ての計測対象のシールユニットの加熱面の温度分布を計測することが可能である。
【0144】
以上説明したように本実施形態によれば、加熱温度に応じた状態を示す感熱体Spを、シールユニットの加熱面から発せられる熱により加熱することで、加熱面の温度分布が計測される。
【0145】
これにより、感熱体Spを使って簡単にシールユニットの加熱面の温度分布の状態を取得できる。
【0146】
また感熱体Spをシールユニットに供給し、シールユニットがシール処理を感熱体Spに対して行うことによって、シールユニットの加熱面の温度分布が計測される。
【0147】
このように袋Bの代わりに感熱体Spをシールユニットに供給して当該感熱体Spに対するシール処理が実施されることで、簡単にシールユニットの加熱面の温度分布の状態を取得できる。特に、装置の基本構成をそのまま利用しながらシールユニットの加熱面の温度分布の状態を適切に取得できるため、加熱面の温度分布の状態を取得するための他の大がかりな装置の設置が不要である。
【0148】
[第5実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第4実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0149】
図10は、第5実施形態に係る包装機100の一例の概略構成を示す斜視図である。
【0150】
図10に示す包装機100は、上述の
図8に示す包装機100と同様の構成を有する。ただし
図10に示す包装機100では、感熱体Sp(
図8参照)は用いられず、袋支持部11は多数の袋Bのみを貯留し、第1ステーションS1に間欠的に停止する袋支持部11には、袋供給部131によって、袋貯留部111から袋Bのみが供給される。
【0151】
本実施形態の包装機100は、シールユニット(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)の加熱面から放射される赤外線の強度を検出し、当該検出結果に基づいて当該加熱面の温度分布を計測する温度計測器65(サーモグラフィー等)が設けられる。
図10に示す例では、第1加熱シール部136の第1シール部材21及び第2シール部材22の加熱面を検出対象とする温度計測器65と、第2加熱シール部137の第1シール部材21及び第2シール部材22の加熱面を検出対象とする温度計測器65とが、別個に設けられる。
【0152】
各温度計測器65から出力される計測結果は、制御盤51に入力される。制御盤51(例えば判定部53)は、このようにして入力される加熱面の温度分布の情報に基づいて、加熱面の温度を調整する温調装置(
図2に示すヒーター61及び発熱ライン62参照)を制御し、加熱面の加熱状態(発熱状態)を調整する。これにより加熱シール処理では、適切な温度状態を有する加熱面により袋Bを圧着することができ、所望のシール強度を確保して、シール箇所の美観も確保できる。
【0153】
特に、
図10に示す例では複数の袋Bがシールユニット(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)に連続的に供給されて各Bに対する加熱シール処理が連続的に行われながら、シールユニットの加熱面から放射される赤外線の強度が対応の温度計測器65により検出されることで、加熱面の温度分布が計測される。
【0154】
これにより、包装機100において複数の袋Bが処理されている間にシールユニットの加熱面に生じうる温度分布の変化を、温度計測器65によって検出することができる。そのためシールユニットの加熱面の温度が、袋Bの加熱シール処理を連続的に行うことで変化しうる場合であっても、温度計測器65の検出結果に応じて加熱面の温度状態を適切に調整することができる。
【0155】
以上説明したように本実施形態によれば、シールユニット(第1加熱シール部136及び第2加熱シール部137)の加熱面から放射される赤外線の強度が温度計測器65により検出されることで、加熱面の温度分布が計測される。
【0156】
これにより、温度計測器65は非接触方式でリアルタイムに加熱面の温度分布を計測することができる。
【0157】
また複数の袋Bがシールユニットに連続的に供給されて各袋Bに対するシール処理が連続的に行われながら、シールユニットの加熱面から放射される赤外線の強度が温度計測器65により検出されることで、加熱面の温度分布が計測される。
【0158】
これにより、袋Bのシール処理を行いながらシールユニットの加熱面の温度分布を計測することができる。そのため、複数の袋Bのシール処理を連続的に行う過程で生じうるシールユニットの加熱面の温度変化を温度計測器65により検出して、そのような温度変化によりもたらされうる影響を低減するような加熱面の温度調整を行うことが可能である。
【0159】
[第6実施形態]
本実施形態において、上述の第1~第5実施形態と同一又は対応の要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0160】
本実施形態では、シール装置(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)のシール部材(第1シール部材21及び第2シール部材22)をクリーニングするクリーニング方法が実施される。
【0161】
すなわち袋Bにシール部材(第1シール部材21及び第2シール部材22)を接触させて袋Bのシール処理を行うシール装置(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)に対し、クリーニング体Sc(
図8参照)が供給される。そして、クリーニング体Scに対してシール装置(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)がシール処理が行うことで、クリーニング体Scがシール部材に接触してシール部材をクリーニングする。
【0162】
クリーニング体Scは限定されない。典型的には、優れた吸水性及び/又は優れた吸油性を保つシート(例えば紙シート)を、クリーニング体Scとして用いることができる。
【0163】
図8に示す例において、上述の感熱体Sp(第4実施形態)の代わりにクリーニング体Scがシール装置に供給されることで、シール装置のシール部材のクリーニングを行うことができる。
【0164】
図8に示す包装機100において、袋Bは、第4ステーションS4で内容物が導入された後に、第6ステーションS6及び第7ステーションS7においてシール処理を受ける。内容物は、袋Bの口部Bmを介して袋Bの内側に導入される。そして第1加熱シール部136及び第2加熱シール部137のシール部材は、袋Bのうち口部Bm又は口部Bmの近傍に接触してシール処理を行う。
【0165】
このように内容物導入処理後にシール処理が行われる場合、内容物によってシール部材が汚染されうる。本実施形態によれば、シール部材が内容物により汚染されても、クリーニング体Scによってシール部材から内容物を取り除くことができる。これにより、シール部材に付着した内容物によりもたらされうる袋Bのシール不良の発生を防いで、袋Bに対する適切なシール処理を実施することができる。
【0166】
以上説明したように本実施形態のクリーニング方法は、袋Bにシール部材(第1シール部材21及び第2シール部材22)を接触させて袋Bのシール処理を行うシール装置10(第1加熱シール部136/第2加熱シール部137)に対し、クリーニング体Scを供給して、クリーニング体Scに対してシール処理が行われることで、クリーニング体Scがシール部材に接触してシール部材をクリーニングする。
【0167】
これにより、シール部材をクリーニング体Scによって簡単にクリーニングできる。
【0168】
また袋Bは、内容物が導入された後にシール処理を受け、内容物は、袋Bの口部Bmを介して袋Bの内側に導入され、シール部材(第1シール部材21及び第2シール部材22)は、袋Bのうち口部Bm又は口部Bmの近傍に接触してシール処理を行う。
【0169】
この場合、シール部材が内容物により汚染されても、クリーニング体Scによって内容物をシール部材から取り除いて、シール部材を清浄な状態にすることができる。
【0170】
[変形例]
本開示は、上述の実施形態及び変形例には限定されない。上述の実施形態及び変形例の各要素に各種の変形が加えられてもよいし、上述の実施形態及び変形例間で部分的に又は全体的に構成が組み合わせられてもよい。また本開示によって奏される効果も上述の効果に限定されず、各実施形態の具体的な構成に応じた特有の効果が発揮される。このように、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲、明細書及び図面に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0171】
10 シール装置、11 袋支持部、12 支持駆動装置、21 第1シール部材、21a 第1加熱面、22 第2シール部材、22a 第2加熱面、23 シール駆動装置、24 第2駆動源、24a 回転軸、25 第1揺動レバー、26 連結軸、27 第2揺動レバー、28 第1進退軸、29 第1移動ブロック、30 第1駆動軸、31 第1中継ブロック、32 第2進退軸、33 第2移動ブロック、34 第2駆動軸、35 第2中継ブロック、36 支持軸、40 振動吸収体、42 加熱ブロック、43 支持ブロック、44 空間部、46 温度計測器、46a 持ち手、46b 計測ブロック、47 温度検出部、50 振動計測装置、51 制御盤、52 駆動制御部、53 判定部、54 表示部、55 警報部、56 記憶部、61 ヒーター、62 発熱ライン、65 温度計測器、70 第1架台、71 土台、72 第2架台、73 スタンド、74 第1スライド支持ブロック、75 第2スライド支持ブロック、100 包装機、111 袋貯留部、121 搬送部、131 袋供給部、132 印刷部、134 開口部、135 内容物供給部、136 第1加熱シール部、137 第2加熱シール部、138 冷却シール部、B 袋、Bm 口部、Bs シール箇所、C1 ノイズ振動、C2 振動加速度、Ps シール処理位置、S1 第1ステーション、S2 第2ステーション、S3 第3ステーション、S4 第4ステーション、S5 第5ステーション、S6 第6ステーション、S7 第7ステーション、S8 第8ステーション、Sc クリーニング体、Sm1 第1計測面、Sm2 第2計測面、Sp 感熱体、Ss 感熱反応箇所