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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023034300
(43)【公開日】2023-03-13
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20230306BHJP
   A61F 13/496 20060101ALI20230306BHJP
【FI】
A61F13/49 312Z
A61F13/49 410
A61F13/496
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021140465
(22)【出願日】2021-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110044
【氏名又は名称】株式会社リブドゥコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池内 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】岩本 佳子
(72)【発明者】
【氏名】永安 良多
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BB11
3B200CA03
3B200CA06
3B200CA20
3B200DA01
3B200DA21
(57)【要約】
【課題】補助的に用いられる尿パッドの前端部および/または後端部をおむつの肌面側に設けられたポケット内に安定して保持することができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有し、パンツ形状に形成された使い捨ておむつであって、吸収性本体7と、吸収性本体7の外面側に設けられ少なくとも前側胴部と後側胴部に配置された外装部材2とを有し、前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側には、前後方向の中央側に開口したポケット19,20が設けられ、ポケット19,20には、開口縁19E,20E側から、第1弾性部材21A,22Aと第2弾性部材21B,22Bと第3弾性部材21C,22Cが設けられ、第2弾性部材21B,22Bと第3弾性部材21C,22Cの離隔間隔が第1弾性部材21A,22Aと第2弾性部材21B,22Bの離隔間隔よりも広い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有し、パンツ形状に形成された使い捨ておむつであって、
少なくとも前記股部には、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性本体が設けられ、
前記吸収性本体の外面側には外装部材が設けられ、前記外装部材は少なくとも前記前側胴部と前記後側胴部に配置され、前記外装部材の前側胴部と後側胴部が幅方向の両側部で互いに接合されており、
前記前側胴部の肌面側および/または前記後側胴部の肌面側には、前記使い捨ておむつの前後方向の中央側に開口したポケットが設けられ、
前記ポケットには、前記ポケットの開口縁に沿って、第1弾性部材と第2弾性部材と第3弾性部材を含む複数本のポケット用弾性部材が前記ポケットの前後方向に並んで設けられており、
前記第1弾性部材と前記第2弾性部材と前記第3弾性部材は前記ポケットの開口縁側からこの順番で配され、前記第2弾性部材と前記第3弾性部材の離隔間隔が前記第1弾性部材と前記第2弾性部材の離隔間隔よりも広いことを特徴とする使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記ポケットの開口縁は、前記吸収性コアと重なる位置に形成されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記ポケットは、前記ポケット用弾性部材が設けられた開口縁近傍部において、幅方向の両端が前記外装部材に接合されており、
前記ポケット用弾性部材の収縮状態において、前記吸収性コアが、前記ポケットの前記開口縁近傍部の幅方向の両端よりも幅方向の外方に延在している請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記ポケット用弾性部材の収縮状態において、前記ポケットの前記開口縁近傍部の前記幅方向の前記両端間の長さは、前記ポケットの前記開口縁近傍部と重なっており、かつ前記開口縁近傍部の幅方向の両端よりも幅方向の外方に延在している前記吸収性コアの幅の50%以上95%以下である請求項3に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
少なくとも前記第1弾性部材と前記第2弾性部材は、前記ポケットの前後方向の開口縁側1/4以下の領域に設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記前側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、前側ポケットが設けられ、
前記後側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、後側ポケットが設けられている請求項1~5のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記後側ポケットの奥行きの長さは、前記前側ポケットの奥行きの長さよりも長い請求項6に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記前側ポケットの奥行きの長さは、前記後側ポケットの奥行きの長さよりも長い請求項6に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記前側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、前側ポケットが設けられ、
前記吸収性コアの前端部の厚みが、前記吸収性コアの前後方向の中央1/3の部分の厚みよりも薄い、および/または、
前記後側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、後側ポケットが設けられ、
前記吸収性コアの後端部の厚みが、前記吸収性コアの前後方向の中央1/3の部分の厚みよりも薄い請求項1~8のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項10】
前記外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にカバーシートが設けられ、
前記カバーシートは、前記使い捨ておむつの前後方向の中央側の中央側縁と、前記使い捨ておむつの前後方向の外方側の外方側縁を有し、
前記カバーシートは、前記外装部材および/または前記吸収性本体に接合された接合領域と、前記外装部材と前記吸収性本体のいずれにも接合されない非接合領域を有し、当該非接合領域が前記カバーシートの前後方向の中央側縁から前記使い捨ておむつの前後方向の外方に延在することにより、前記カバーシートの中央側縁を開口縁とする前記ポケットが形成され、
前記ポケット用弾性部材は、前記カバーシートに設けられる請求項1~9のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項11】
前記カバーシートは、幅方向に延びる折り目で少なくとも1回外面側に折り返されて、前記ポケットの内側に、前記ポケットの開口縁に沿って折り込み部が形成され、
前記ポケット用弾性部材は、前記折り込み部において、前記外面側に折り返されたカバーシートの間に配されている請求項10に記載の使い捨ておむつ。
【請求項12】
前記折り込み部の前後方向の長さは、前記ポケットの奥行きの長さの10%以上50%以下である請求項11に記載の使い捨ておむつ。
【請求項13】
前記カバーシートは親水性を有する請求項10~12のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項14】
前記前側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、前側ポケットが設けられ、
前記外装部材の前側胴部には、幅方向に延びる前側胴部弾性部材が前後方向に並んで複数本設けられ、
前記前側ポケットの前側端は、前記吸収性本体の前側端よりも前側に位置し、前記前側ポケットの前側端と前記吸収性本体の前側端の間に、前記前側胴部弾性部材の少なくとも一部が配置されている、および/または、
前記後側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、後側ポケットが設けられ、
前記外装部材の後側胴部には、幅方向に延びる後側胴部弾性部材が前後方向に並んで複数本設けられ、
前記後側ポケットの後側端は、前記吸収性本体の後側端よりも後側に位置し、前記後側ポケットの後側端と前記吸収性本体の後側端の間に、前記後側胴部弾性部材の少なくとも一部が配置されている請求項1~13のいずれか一項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の使い捨ておむつと、前記トップシート上に配置されるインナーパッドとを有することを特徴とする吸収性物品の組み合わせ。
【請求項16】
前記インナーパッドの吸収性コアの幅は、前記使い捨ておむつの吸収性コアの幅よりも広く、前記ポケットの開口幅よりも狭い請求項15に記載の吸収性物品の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関するものであり、特に、補助的な尿パッドであるインナーパッドを併用して好適に用いることができる使い捨ておむつに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使い捨ておむつの肌面側に補助的な尿パッドを載置して使用する方法が知られている。このような使用方法によれば、着用者から排泄された尿等を尿パッドがまず受けることとなるため、尿パッドのみを適宜交換して、その外側に装着される使い捨ておむつを使用し続けることにより、吸収性物品にかかるトータルの使用コストを低減することが可能となる。また、尿パッドのみを交換することで、尿パッドの外側に装着される使い捨ておむつを交換する場合と比べて、介護者等が交換作業を簡単に行えるようになる。
【0003】
補助的な尿パッドを併用するのに適した使い捨ておむつとして、例えば特許文献1には、トップシートとバックシートとこれら両シートの間に配置された吸収体とを有する吸収性本体と、吸収性本体が少なくとも一部で固定され、吸収性本体を着用者に当てて保持する外装部材とを有し、吸収性本体の長手方向両端部領域に、伸縮性を有する帯状シートがおむつのウェスト周り方向に配置され、帯状シートは、少なくとも吸収性本体の両側縁部の外側領域に位置する部分が外装部材に接着固定されているパンツ型使い捨ておむつが開示されている。特許文献2には、液透過性表面シート、液不透過性裏面側シート、およびこれらの間に介在された吸収体を有する内装体と、この内装体の外面に固定され、かつ当該内装体の前方及び後方まで延在する外装体とが、前身頃から後身頃にかけて備えられ、前身頃及び後身頃の内面それぞれに、前後方向中央側に開口するポケットが備えられた使い捨ておむつが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-29609号公報
【特許文献2】特開2011-206218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来、補助的に用いられる尿パッドを併用するのに適した使い捨ておむつとして、おむつの肌面側にポケット等が設けられた使い捨ておむつが知られているが、補助的な尿パッドをおむつの肌面側のポケット内に挿入する際、補助的な尿パッドの前後端部をポケット内に安定して保持できることが望ましい。本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、補助的に用いられる尿パッドの前端部および/または後端部を使い捨ておむつの肌面側に設けられたポケット内に安定して保持することができる使い捨ておむつを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の使い捨ておむつとは、前側胴部と後側胴部とこれらの間に位置する股部とを有し、パンツ形状に形成されたものであり、少なくとも前記股部には、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有する吸収性本体が設けられ、吸収性本体の外面側には外装部材が設けられ、前記外装部材は少なくとも前記前側胴部と前記後側胴部に配置され、前記外装部材の前側胴部と後側胴部が幅方向の両側部で互いに接合されており、前記前側胴部の肌面側および/または前記後側胴部の肌面側には、使い捨ておむつの前後方向の中央側に開口したポケットが設けられ、前記ポケットには、ポケットの開口縁に沿って、第1弾性部材と第2弾性部材と第3弾性部材を含む複数本のポケット用弾性部材が前記ポケットの前後方向に並んで設けられており、前記第1弾性部材と前記第2弾性部材と前記第3弾性部材は前記ポケットの開口縁側からこの順番で配され、前記第2弾性部材と前記第3弾性部材の離隔間隔(第2離隔間隔)が前記第1弾性部材と前記第2弾性部材の離隔間隔(第1離隔間隔)よりも広いところに特徴を有する。
【0007】
本発明の使い捨ておむつは、上記のように、前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にポケットが設けられ、当該ポケットに複数本のポケット用弾性部材が設けられているため、補助的に用いられる尿パッドであるインナーパッドをポケットに挿入した際に、インナーパッドの前後端部がポケットの開口縁近くの第1弾性部材と第2弾性部材によってしっかりと保持されるとともに、第2離隔間隔が第1離隔間隔よりも広くなるように第2弾性部材から離れて設けられた第3弾性部材によって、ポケット内でインナーパッドの前後端部が歪むことが抑えられ、インナーパッドの前後端部をポケット内に安定して保持することができる。そのため、インナーパッドを使い捨ておむつの肌面側に適切に設置することが容易になる。なお、インナーパッドの前後端部とは、インナーパッドの前端部および/または後端部を意味する。
【0008】
ポケットの開口縁は、吸収性コアと重なる位置に形成されていることが好ましい。このようにポケットが設けられることにより、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入しやすくなる。また、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入した際、インナーパッドの前後端部が吸収性コアによって支えられることにより、インナーパッドの前後端部がポケットから不用意に抜けにくくなる。
【0009】
ポケットは、ポケット用弾性部材が設けられた開口縁近傍部において、幅方向の両端が外装部材に接合されており、ポケット用弾性部材の収縮状態において、吸収性コアが、ポケットの開口縁近傍部の幅方向の両端よりも幅方向の外方に延在していることが好ましい。この場合、ポケットの開口縁近傍部の両端は、ポケット用弾性部材の伸張状態において、吸収性コアの幅方向の両端よりも幅方向の外方に位置するのに対し、ポケット用弾性部材の収縮状態では、ポケットの開口縁近傍部が幅方向に収縮することにより、ポケットの開口縁近傍部の両端が、吸収性コアの幅方向の両端よりも幅方向の内方に位置することとなる。そのため、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入した際に、インナーパッドの前後端部がポケット用弾性部材によって好適に押さえられ、インナーパッドの前後端部がポケットから不用意に抜けにくくなる。
【0010】
上記の場合、ポケット用弾性部材の収縮状態において、ポケットの開口縁近傍部の幅方向の両端間の長さは、ポケットの開口縁近傍部と重なっており、かつ開口縁近傍部の幅方向の両端よりも幅方向の外方に延在している吸収性コアの幅の50%以上95%以下であることが好ましい。これにより、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入することが容易になるとともに、インナーパッドの前後端部がポケットから不用意に抜けにくくなる。
【0011】
ポケット用弾性部材のうち、少なくとも第1弾性部材と第2弾性部材は、ポケットの前後方向の開口縁側1/4以下の領域に設けられていることが好ましい。これによりポケットの開口縁に沿って好適にギャザーが形成され、インナーパッドの前後端部が第1弾性部材と第2弾性部材によってしっかりと保持されやすくなる。
【0012】
使い捨ておむつは、前側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、前側ポケットが設けられ、後側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、後側ポケットが設けられていることが好ましい。このように、使い捨ておむつに前側ポケットと後側ポケットの両方が設けられることにより、インナーパッドの前端部を前側ポケットに挿入し、後端部を後側ポケットに挿入することができ、インナーパッドを安定して使い捨ておむつの肌面側に設置することができる。
【0013】
前側ポケットの奥行きの長さと後側ポケットの奥行きの長さは、同じであっても異なっていてもよい。例えば、女性が失禁用として使い捨ておむつを使用する場合は、尿道口の位置を考慮すると、後側ポケットの奥行きの長さが前側ポケットの奥行きの長さよりも長いことが好ましい。一方、男性が失禁用として使い捨ておむつを使用する場合は、尿道口の位置を考慮すると、前側ポケットの奥行きの長さは後側ポケットの奥行きの長さよりも長いことが好ましい。
【0014】
使い捨ておむつは、前側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、前側ポケットが設けられ、吸収性コアの前端部の厚みが、吸収性コアの前後方向の中央1/3の部分の厚みよりも薄いことが好ましい、および/または、後側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、後側ポケットが設けられ、吸収性コアの後端部の厚みが、吸収性コアの前後方向の中央1/3の部分の厚みよりも薄いことが好ましい。このように吸収性コアが形成されることにより、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入しやすくなる。
【0015】
前記ポケットは、外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にカバーシートを設けることにより形成されることが好ましい。具体的には、外装部材の前側胴部の肌面側および/または後側胴部の肌面側にカバーシートが設けられ、前記カバーシートは、使い捨ておむつの前後方向の中央側の中央側縁と、使い捨ておむつの前後方向の外方側の外方側縁を有し、前記カバーシートは、外装部材および/または吸収性本体に接合された接合領域と、外装部材と吸収性本体のいずれにも接合されない非接合領域を有し、当該非接合領域が前記カバーシートの前後方向の中央側縁から使い捨ておむつの前後方向の外方に延在することにより、前記カバーシートの中央側縁を開口縁とする前記ポケットが形成され、前記ポケット用弾性部材が前記カバーシートに設けられることが好ましい。このようにカバーシートを設けることにより、使い捨ておむつにポケットを簡便に形成することができる。また、ポケットを形成するために使用するシート部材の量を減らすことができる。
【0016】
前記カバーシートは、幅方向に延びる折り目で少なくとも1回外面側に折り返されて、前記ポケットの内側に、ポケットの開口縁に沿って折り込み部が形成され、前記ポケット用弾性部材は、前記折り込み部において、前記外面側に折り返されたカバーシートの間に配されていることが好ましい。このようにポケット用弾性部材を折り込み部に設けることにより、ポケット用弾性部材を安定してポケットに設置することができる。また、カバーシートの外面側に折り返された折り込み部があることで、着用者の肌に折り込み部が直接当たらないため、使い捨ておむつの着用感を良好にすることができるとともに、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入する際に、インナーパッドの前後端部がポケット用弾性部材に引っ掛からずに容易にポケットに挿入することができる。
【0017】
前記折り込み部の前後方向の長さは、ポケットの奥行きの長さの10%以上50%以下であることが好ましい。このように折り込み部が形成されれば、ポケット用弾性部材を折り込み部に設けることが製造上容易になるとともに、折り込み部を形成するために使用するカバーシートの量が過度に増えるのを抑えることができる。
【0018】
使い捨ておむつは、前側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、前側ポケットが設けられ、外装部材の前側胴部には、幅方向に延びる前側胴部弾性部材が前後方向に並んで複数本設けられ、前側ポケットの前側端は、吸収性本体の前側端よりも前側に位置し、前側ポケットの前側端と吸収性本体の前側端の間に、前側胴部弾性部材の少なくとも一部が配置されていることが好ましい、および/または、後側胴部の肌面側に、前記ポケットとして、後側ポケットが設けられ、外装部材の後側胴部には、幅方向に延びる後側胴部弾性部材が前後方向に並んで複数本設けられ、後側ポケットの後側端は、吸収性本体の後側端よりも後側に位置し、後側ポケットの後側端と吸収性本体の後側端の間に、後側胴部弾性部材の少なくとも一部が配置されていることが好ましい。このように外装部材に前側胴部弾性部材および/または後側胴部弾性部材が設けられていれば、インナーパッドの前後端部をポケットに挿入して着用した際に、インナーパッドの前後端部が前側胴部弾性部材および/または後側胴部弾性部材によって着用者の肌に向かって押し付けられ、インナーパッドの前後端部がポケット内に安定して保持されやすくなる。
【0019】
本発明はまた、上記に説明した本発明の使い捨ておむつと、当該使い捨ておむつのトップシートの上に配置されるインナーパッドとを有する吸収性物品の組み合わせも提供する。本発明の吸収性物品の組み合わせによれば、インナーパッドの前後端部を使い捨ておむつのポケットに挿入することにより、インナーパッドを使い捨ておむつの肌面側に安定して配置することができる。
【0020】
上記の吸収性物品の組み合わせにおいて、インナーパッドの吸収性コアの幅は、使い捨ておむつの吸収性コアの幅よりも広く、ポケットの開口幅よりも狭いことが好ましい。これにより、インナーパッドをポケットに挿入しやすくなるとともに、使い捨ておむつの肌面側に安定して設置しやすくなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の使い捨ておむつは、補助的に用いられるインナーパッドを使い捨ておむつの肌面側に設けられたポケットに挿入した際に、インナーパッドの前後端部がポケットの開口縁近くの第1弾性部材と第2弾性部材によってしっかりと保持されるとともに、第2弾性部材から離れて設けられた第3弾性部材によって、ポケット内でインナーパッドの前後端部が歪むことが抑えられ、インナーパッドの前後端部をポケット内に安定して保持することができる。そのため、インナーパッドを使い捨ておむつの肌面側に適切に設置することが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の使い捨ておむつの一例を表し、使い捨ておむつの斜視図を表す。
図2図1に示した使い捨ておむつのサイドシール部において、前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面状に展開した状態を肌面側から見た平面図の一例を表す。
図3図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表す。
図4図2に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表す。
図5図2に示した使い捨ておむつの前側胴部から股部にかけての部分平面図を表す。
図6図2に示した使い捨ておむつの後側胴部から股部にかけての部分平面図を表す。
図7図2に示した使い捨ておむつの平面図において、カバーシートの外装部材への接合領域の形成例を表す。
図8図2に示した使い捨ておむつの肌面側に補助的に用いられる尿パッド(インナーパッド)を配置した例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の使い捨ておむつの実施態様について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1図6には、本発明の使い捨ておむつの一例を示した。図1は使い捨ておむつの斜視図を表し、図2は、図1に示した使い捨ておむつのサイドシール部において、前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面状に展開した状態を肌面側から見た平面図を表し、図3は、図2に示した使い捨ておむつのIII-III断面図を表し、図4は、図2に示した使い捨ておむつのIV-IV断面図を表し、図5は、図2に示した使い捨ておむつの前側胴部から股部にかけての部分平面図を表し、図6は、図2に示した使い捨ておむつの後側胴部から股部にかけての部分平面図を表す。なお図2図7および図8では、使い捨ておむつのサイドシール部において、前側胴部と後側胴部との接合を解いて平面状に展開した状態を肌面側から見た平面図を示しているが、図中の矢印xが使い捨ておむつの幅方向、矢印yが使い捨ておむつの前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が使い捨ておむつの厚み方向zを表す。
【0024】
本発明の実施態様における使い捨ておむつ1は、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとを有し、ウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有し、図1に示すようなパンツ形状に形成されている。詳細には、使い捨ておむつ1は、図2で示すように、前後方向yと幅方向xを有し、前後方向yに対して前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとを有し、前側胴部Pと後側胴部Qが幅方向xの両側部で互いに接合されることにより、図1で示すようなウェスト開口部3と一対の脚開口部4を有するパンツ形状に形成されている。
【0025】
使い捨ておむつ1において、前記前後方向yは、おむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。前記前後方向yは、パンツ形状に形成されている状態の、例えば、図1で示すような使い捨ておむつ1の上下方向に相当する。幅方向xは、前記前後方向yと直交する左右方向に相当する。使い捨ておむつ1はまた、図3および図4で示す厚み方向zに対して、肌面側と外面側を有する。肌面側とは、おむつを着用した際の着用者の肌側を意味し、外面側とは、前記肌側の反対側を意味する。前記使い捨ておむつ1の前後方向y、幅方向x、厚み方向zは、使い捨ておむつ1を構成する各部材の前後方向、幅方向、厚み方向に対しても同様の方向として規定される。また、前記使い捨ておむつ1の肌面側と外面側は、使い捨ておむつ1を構成する各部材の肌面側と外面側に対しても同様の面側として規定される。
【0026】
使い捨ておむつ1において、ウェスト開口部3は着用者の胴を通すための開口であり、脚開口部4は着用者の脚を通すための開口である。前側胴部Pは、おむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側胴部Qは、おむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。パンツ形状の使い捨ておむつ1において、前側胴部Pと後側胴部Qはウェスト開口部3と脚開口部4の間に位置する部分に相当する。股部Rは、前側胴部Pと後側胴部Qとの間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。股部Rは一対の脚開口部4の間に位置し、幅方向xの両側で互いに接合されない。
【0027】
使い捨ておむつ1の股部Rには、トップシート8とバックシート9の間に吸収性コア10が配された吸収性本体7が設けられる(図2図4を参照)。吸収性本体7は、少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前側胴部Pおよび/または後側胴部Qの少なくとも一部に延在していることが好ましい。より好ましくは、吸収性本体7は、股部Rから前側胴部Pの少なくとも一部および後側胴部Qの少なくとも一部にかけて延在している。図面に示した使い捨ておむつ1では、パンツ形状に形成された外装部材2の肌面側に、トップシート8とバックシート9の間に吸収性コア10が配された吸収性本体7が設けられている。トップシート8は吸収性コア10の肌面側に配され、バックシート9は吸収性コア10の外面側に配される。
【0028】
トップシート8は液透過性であることが好ましく、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート8として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
【0029】
バックシート9は液不透過性であることが好ましく、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
【0030】
トップシート8やバックシート9が不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
【0031】
吸収性コア10は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア10としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア10は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等のシート部材で覆われてもよい。吸収性コア10に含まれる吸収性材料としては、例えば、セルロース繊維(例えば、粉砕したパルプ繊維)等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸収性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ナイロン等のポリアミド繊維等の熱溶着性繊維が含まれてもよい。これらの熱溶着性繊維は、尿等の体液との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
【0032】
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コア10は親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
【0033】
吸収性コア10は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
【0034】
吸収性コア10は、少なくとも股部Rに存在すればよく、さらに前側胴部Pの少なくとも一部および/または後側胴部Qの少なくとも一部に延在していることが好ましい。吸収性コア10の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア10の形状としては、例えば、略長方形、砂時計形、羽子板形等が挙げられる。図面では、吸収性コア10は略長方形に形成されている。
【0035】
吸収性本体7には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ11が設けられることが好ましい。立ち上がりフラップ11により、尿等の排泄物の横漏れを防ぐことができる。立ち上がりフラップ11は、液不透過性であることが好ましい。立ち上がりフラップ11には、立ち上がった状態の上端部(着用者側の端部)に起立用弾性部材12が設けられることが好ましく、起立用弾性部材12の収縮力により立ち上がりフラップ11の起立が促される。
【0036】
吸収性本体7の外面側には外装部材2が設けられ、外装部材2は少なくとも前側胴部Pと後側胴部Qに配置される。外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qが幅方向xの両側部のサイドシール部13で互いに接合され、使い捨ておむつ1の着用時、外装部材2が着用者の胴周りを覆う。サイドシール部13は、例えば、前側胴部Pと後側胴部Qの幅方向xの両側を溶着により互いに接合することにより形成される。
【0037】
実施態様の一つとして、外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qのみに配置されてもよい。この場合、吸収性本体7は外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qとを繋ぐように設けられ、吸収性本体7は股部Rから前側胴部Pの少なくとも一部および後側胴部Qの少なくとも一部に延在し、吸収性本体7の一部は股部Rで使い捨ておむつ1の外面側に露出する。別の実施態様として、外装部材2は、前側胴部Pと股部Rと後側胴部Qに配置されてもよい。外装部材2は、例えば、前側胴部Pと後側胴部Qとこれらの間に位置する股部Rとが連続して形成されてもよい。この場合、外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qとをサイドシール部13で互いに接合することによりパンツ形状に形成することができ、吸収性本体7は、パンツ形状に形成された外装部材2の少なくとも股部Rの肌面側に設けられる。あるいは、外装部材2は、股部Rにおいて前後方向yに分離し、前側胴部Pから股部Rにかけて延在する部分と、後側胴部Qから股部Rにかけて延在する部分とから構成され、吸収性本体7が両部分を繋ぐように設けられてもよい。図面に示した使い捨ておむつ1では、外装部材2は図1で示すようなパンツ形状になるように形成されている。
【0038】
外装部材2は、前側胴部Pと後側胴部Qにおいて、吸収性本体7よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。外装部材2は、股部Rにおいても、吸収性本体7よりも幅方向xの外方に延在するように設けられることが好ましい。外装部材2はまた、吸収性本体7よりも前後方向yの外方すなわち前方および後方に延在するように設けられることが好ましい。
【0039】
外装部材2は、内側シート5と、内側シート5の外面側に配された外側シート6を有することが好ましい。吸収性本体7は内側シート5の肌面側に設けられることが好ましい。内側シート5と外側シート6は、液透過性であっても液不透過性であってもよく、トップシート8やバックシート9に使用可能なシート材料を用いることができる。図面では、内側シート5と外側シート6はそれぞれパンツ形状を有するように形成されているが、外装部材2がパンツ形状に形成される場合は、内側シート5と外側シート6の少なくとも一方がパンツ形状に形成されていればよい。例えば、内側シート5と外側シート6の一方が股部Rにおいて前後方向yに分離して設けられてもよい。
【0040】
外装部材2には、脚開口部4の縁に沿って脚部弾性部材14が設けられることが好ましい。脚部弾性部材14は、例えば、股部Rを横断し、脚開口部4の前側の縁に沿って設けられる前側脚部弾性部材14Aと、股部Rを横断し、脚開口部4の後側の縁に沿って設けられる後側脚部弾性部材14Bとから構成される。前側脚部弾性部材14Aと後側脚部弾性部材14Bとにより、脚開口部4の縁のほぼ全周にわたり弾性部材が設けられ、着用者の脚周りに沿ったレッグギャザーが形成され、股部からの尿等の漏れが防止される。図面では、前側脚部弾性部材14Aと後側脚部弾性部材14Bが互いに離間して設けられているが、前側脚部弾性部材14Aと後側脚部弾性部材14Bは互いに部分的に接していてもよいし、交差していてもよい。外装部材2が内側シート5と外側シート6から構成される場合、脚部弾性部材14は内側シート5と外側シート6の間に配されることが好ましく、また、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。
【0041】
外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qには、幅方向xに延びる胴部弾性部材15が複数本設けられることが好ましい。胴部弾性部材15は、ウェスト開口部3と脚開口部4の間に設けられる。胴部弾性部材15により、着用者の胴周りのフィット性が高められる。なお、胴部弾性部材15のうち、ウェスト開口部3の縁に沿って前後方向yに狭い間隔で設けられる弾性部材を腰部弾性部材16として設けてもよく、これにより着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、背中側や腹部側からの尿等の排泄物の漏れが防止される。図面では、腰部弾性部材16は胴部弾性部材15よりも前後方向yに狭い間隔で設けられている。
【0042】
胴部弾性部材15は、内側シート5と外側シート6の間に設けられることが好ましい。この場合、胴部弾性部材15は、内側シート5および/または外側シート6に接着されることが好ましい。腰部弾性部材16は、内側シート5と外側シート6の間に設けられてもよく、外側シート6が外装部材2のウェスト開口部3の縁で内側シート5側に折り返されて、折り返された外側シート6の間に腰部弾性部材16が設けられてもよい(図4を参照)。この場合、腰部弾性部材16は外側シート6に接着されることが好ましい。
【0043】
使い捨ておむつ1に設けられる各弾性部材としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。各弾性部材は、伸張状態でおむつに固定されることが好ましく、また、ホットメルト接着剤等の接着剤で固定されることが好ましい。例えば、繊度40~1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1~5.0倍に伸張して配設し、固定する。接着剤としては、ゴム系のホットメルト接着剤を用いることが好ましい。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。
【0044】
図2および図4に示すように、使い捨ておむつ1には、前側胴部Pと後側胴部Qの肌面側に、使い捨ておむつ1の前後方向yの中央側に開口したポケット19,20が設けられる。使い捨ておむつ1は、このようにポケット19,20が設けられることにより、使い捨ておむつ1の肌面側に、補助的に用いられる尿パッド(以下、「インナーパッド」と称する)を安定して配置することができる。図8には、図2に示した使い捨ておむつ1の肌面側にインナーパッド31を配置した例を示したが、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入して、開口縁に沿って配したポケット用弾性部材によってインナーパッド31の前後端部を押さえ込み、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に安定して配置することができる。なお、前側胴部Pの肌面側に設けられるポケット19を「前側ポケット」または「前側ポケット19」と称し、後側胴部Qの肌面側に設けられるポケット20を「後側ポケット」または「後側ポケット20」と称する。また、本明細書において、「ポケット19,20」とは、前側ポケット19および/または後側ポケット20を意味する。使い捨ておむつ1には、前側ポケット19と後側ポケット20のどちらか一方のみ設けられてもよく、両方設けられてもよいが、前側ポケット19と後側ポケット20の両方設けられることが好ましい。
【0045】
ポケット19,20は、外装部材2の前側胴部Pの肌面側および/または後側胴部Qの肌面側にカバーシート17,18を設けることにより形成することができる。具体的には、前側ポケット19は、外装部材2の前側胴部Pの肌面側に前側カバーシート17を設けることにより形成することができ、後側ポケット20は、外装部材2の後側胴部Qの肌面側に後側カバーシート18を設けることにより形成することができる。なお、本明細書において、「カバーシート17,18」とは、前側カバーシート17および/または後側カバーシート18を意味する。カバーシート17,18からポケット19,20を形成する方法について、図7を参照して詳しく説明する。
【0046】
図7には、図2に示した使い捨ておむつ1について、カバーシート17,18を外装部材2に接合した接合領域の形成例が示されている。図7では、カバーシート17,18の外装部材2への接合領域がクロスハッチングで示されており、ポケット19,20の外縁が二点鎖線で示されている。また、理解を容易にするために、脚部弾性部材、胴部弾性部材、腰部弾性部材、および後述するポケット用弾性部材は省略して示されている。
【0047】
カバーシート17,18は、使い捨ておむつ1の前後方向yの中央側の中央側縁17CE,18CEと、使い捨ておむつ1の前後方向yの外方側の外方側縁17OE,18OEを有する。前側カバーシート17において、中央側縁17CEとは前側カバーシート17の後側縁を意味し、外方側縁17OEとは前側カバーシート17の前側縁を意味する。後側カバーシート18において、中央側縁18CEとは後側カバーシート18の前側縁を意味し、外方側縁18OEとは後側カバーシート18の後側縁を意味する。以下の説明において、参照符号「17CE」は、前側カバーシート17の「中央側縁」と「後側縁」の両方に対して使用され、参照符号「18CE」は、後側カバーシート18の「中央側縁」と「前側縁」の両方に対して使用される。
【0048】
カバーシート17,18は、外装部材2に接合された接合領域17A,18Aと、外装部材2と吸収性本体7のいずれにも接合されない非接合領域17B,18Bを有し、非接合領域17B,18Bがカバーシート17,18の中央側縁17CE,18CEから使い捨ておむつ1の前後方向yの外方に延在することにより、カバーシート17,18の中央側縁17CE,18CEを開口縁19E,20Eとするポケット19,20が形成される。具体的には、前側カバーシート17は、外装部材2に接合された接合領域17Aと、外装部材2と吸収性本体7のいずれにも接合されない非接合領域17Bを有し、非接合領域17Bが前側カバーシート17の後側縁17CEから前方に延在することにより、前側カバーシート17の後側縁17CEを開口縁19Eとする前側ポケット19が形成される。後側カバーシート18は、外装部材2に接合された接合領域18Aと、外装部材2と吸収性本体7のいずれにも接合されない非接合領域18Bを有し、非接合領域18Bが後側カバーシート18の前側縁18CEから後方に延在することにより、後側カバーシート18の前側縁18CEを開口縁20Eとする後側ポケット20が形成される。このようにカバーシート17,18を設けることにより、ポケット19,20を簡便に形成することができる。また、ポケット19,20を形成するために使用するシート部材の量を減らすこともできる。なお図面には示されていないが、カバーシート17,18の接合領域17A,18Aは、外装部材2とともに、または外装部材2の代わりに、吸収性本体7の少なくとも一部と接合するように形成されてもよい。
【0049】
カバーシート17,18の接合領域17A,18Aにおいて、カバーシート17,18と外装部材2および/または吸収性本体7との接合手段は特に限定されず、溶着(例えば、ヒートシールや超音波溶着)や接着剤等の公知の接合手段を採用することができる。簡便には、カバーシート17,18は接着剤により外装部材2および/または吸収性本体7の少なくとも一部に接合される。
【0050】
前側ポケット19は、前側カバーシート17の非接合領域17Bが、前側カバーシート17の後側縁17CEから所定以上の幅(例えば、50mm以上や80mm以上の幅)で前方に延在することにより形成される。前側ポケット19の開口部では前側カバーシート17の非接合領域17Bの幅方向xの両側に接合領域17Aが存在し、この両側の接合領域17Aの間に位置する非接合領域17Bの最も後側の部分が前側ポケット19の開口部となる。前側ポケット19を形成する非接合領域17Bは、前側ポケット19の開口縁19Eから奥行き方向に向かって、すなわち前側カバーシート17の後側縁17CEから前方に向かって、一定幅で形成されてもよく、幅が変動するように形成されてもよい。
【0051】
後側ポケット20は、後側カバーシート18の非接合領域18Bが、後側カバーシート18の前側縁18CEから所定以上の幅(例えば、50mm以上や80mm以上の幅)で後方に延在することにより形成される。後側ポケット20の開口部では後側カバーシート18の非接合領域18Bの幅方向xの両側に接合領域18Aが存在し、この両側の接合領域18Aの間に位置する非接合領域18Bの最も前側の部分が後側ポケット20の開口部となる。後側ポケット20を形成する非接合領域18Bは、後側ポケット20の開口縁20Eから奥行き方向に向かって、すなわち後側カバーシート18の前側縁18CEから後方に向かって、一定幅で形成されてもよく、幅が変動するように形成されてもよい。
【0052】
なお、図面には示されていないが、ポケット19,20は、外装部材2を構成するシート部材を肌面側に折り返して、この折り返し部分を上記に説明したカバーシート17,18として、ポケット19,20を形成することもできる。例えば、外装部材2を構成する外側シート6を、外装部材2のウェスト開口部3の縁で肌面側に折り返して、この折り返し部分の一部を内側シート5および/または吸収性本体7に接合することにより上記の接合領域17A,18Aを形成し、他部を内側シート5と吸収性本体7のいずれにも接合しないことにより上記の非接合領域17B,18Bを形成することができる。あるいは、外装部材2を構成する内側シート5を肌面側に折り返して、この折り返し部分の一部を対向する内側シート5および/または吸収性本体7に接合することにより上記の接合領域17A,18Aを形成し、他部を対向する内側シート5と吸収性本体7のいずれにも接合しないことにより上記の非接合領域17B,18Bを形成することができる。なお、以下では、カバーシート17,18によりポケット19,20を形成する場合について説明するが、上記のように外装部材2を構成するシート部材によりポケット19,20を形成する場合も、下記の説明が適用される。
【0053】
ポケット19,20の開口縁19E,20Eは、吸収性本体7と重なる位置に形成されることが好ましい。従って、前側カバーシート17の非接合領域17Bは吸収性本体7と重なるように形成されることが好ましく、また、後側カバーシート18の非接合領域18Bは吸収性本体7と重なるように形成されることが好ましい。このようにポケット19,20が設けられることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入しやすくなる。前側ポケット19は、吸収性本体7と重なる位置から吸収性本体7の前側端より前方に延在するように設けられることがより好ましい。後側ポケット20は、吸収性本体7と重なる位置から吸収性本体7の後側端より後方に延在するように設けられることがより好ましい。
【0054】
ポケット19,20の開口縁19E,20Eは、吸収性コア10と重なる位置に形成されることが好ましい。このようにポケット19,20が設けられることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入しやすくなる。また、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した際、インナーパッド31の前後端部が吸収性コア10によって支えられることにより、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20から不用意に抜けにくくなる。前側ポケット19は、吸収性コア10と重なる位置から吸収性本体7の前側端より前方に延在するように設けられることがより好ましい。後側ポケット20は、吸収性コア10と重なる位置から吸収性本体7の後側端より後方に延在するように設けられることがより好ましい。
【0055】
ポケット19,20の開口縁19E,20Eの位置は、外装部材2の前側胴部Pと後側胴部Qのサイドシール部13での接合を解いて展開して、使い捨ておむつ1を完全に広げた状態で規定する。例えば、使い捨ておむつ1をこのように展開して、使い捨ておむつ1に設けられる弾性部材を細かく切断したりして弾性部材の収縮力が発現しない状態とした上で、使い捨ておむつ1を完全に広げて各位置を規定する。各図面では、使い捨ておむつ1を完全に広げた状態の平面図や断面図等が示されている。また、本明細書におけるその他の様々な位置や長さに関しても、特に断りのない限り、同様にして規定する。
【0056】
図2図4図6に示すように、ポケット19,20には、開口縁19E,20Eに沿って、複数本のポケット用弾性部材21,22が前後方向yに並んで設けられている。具体的には、前側ポケット19には、開口縁19Eに沿って、複数本のポケット用弾性部材21が前後方向yに並んで設けられている。後側ポケット20には、開口縁20Eに沿って、複数本のポケット用弾性部材22が前後方向yに並んで設けられている。なお、複数本のポケット用弾性部材21,22が設けられるのは、前側ポケット19と後側ポケット20のどちらか一方のみであってもよく両方であってもよい。また、前側ポケット19と後側ポケット20のうち一方には、ポケット用弾性部材21,22が設けられなくてもよい。好ましくは、前側ポケット19と後側ポケット20の両方に、複数本のポケット用弾性部材21,22が設けられる。本明細書において、「ポケット用弾性部材21,22」とは、ポケット用弾性部材21および/またはポケット用弾性部材22を意味する。
【0057】
前側ポケット19に複数本のポケット用弾性部材21が設けられる場合、前側ポケット19には、第1弾性部材21Aと第2弾性部材21Bと第3弾性部材21Cを含む複数本のポケット用弾性部材21が、前側ポケット19の前後方向yに並んで設けられることが好ましい。そして、第1弾性部材21Aと第2弾性部材21Bと第3弾性部材21Cは、前側ポケット19の開口縁19E側からこの順番で配され、第2弾性部材21Bと第3弾性部材21Cの離隔間隔(第2離隔間隔)が第1弾性部材21Aと第2弾性部材21Bの離隔間隔(第1離隔間隔)よりも広く配されることが好ましい。
【0058】
後側ポケット20に複数本のポケット用弾性部材22が設けられる場合、後側ポケット20には、第1弾性部材22Aと第2弾性部材22Bと第3弾性部材22Cを含む複数本のポケット用弾性部材22が、後側ポケット20の前後方向yに並んで設けられることが好ましい。そして、第1弾性部材22Aと第2弾性部材22Bと第3弾性部材22Cは、後側ポケット20の開口縁20E側からこの順番で配され、第2弾性部材22Bと第3弾性部材22Cの離隔間隔(第2離隔間隔)が第1弾性部材22Aと第2弾性部材22Bの離隔間隔(第1離隔間隔)よりも広く配されることが好ましい。
【0059】
上記のようにポケット19,20に複数本のポケット用弾性部材21,22が設けられれば、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した際に、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20の開口縁19E,20E近くの第1弾性部材21A,22Aと第2弾性部材21B,22Bによってしっかりと保持されるとともに、第2離隔間隔が第1離隔間隔よりも広くなるように第2弾性部材21B,22Bから離れて設けられた第3弾性部材21C,22Cによって、ポケット19,20内でインナーパッド31の前後端部が歪むことが抑えられ、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20内に安定して保持することができる。そのため、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に適切に設置することが容易になる。
【0060】
前側ポケット19に設けられるポケット用弾性部材21は、第2弾性部材21Bと第3弾性部材21Cの離隔間隔(第2離隔間隔)が、第1弾性部材21Aと第2弾性部材21Bの離隔間隔(第1離隔間隔)の1.3倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、1.8倍以上がさらに好ましく、また5.0倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましく、3.0倍以下がさらに好ましい。後側ポケット19に設けられるポケット用弾性部材22は、第2弾性部材22Bと第3弾性部材22Cの離隔間隔(第2離隔間隔)が、第1弾性部材22Aと第2弾性部材22Bの離隔間隔(第1離隔間隔)の1.3倍以上が好ましく、1.5倍以上がより好ましく、1.8倍以上がさらに好ましく、また5.0倍以下が好ましく、4.0倍以下がより好ましく、3.0倍以下がさらに好ましい。
【0061】
ポケット用弾性部材21,22は、伸張状態でポケット19,20に固定されていることが好ましい。ポケット用弾性部材21,22はまた、吸収性コア10と重なって配置されることが好ましい。具体的には、前側ポケット19に設けられるポケット用弾性部材21のうち、少なくとも1つの弾性部材が吸収性コア10と重なって配置されることが好ましい。後側ポケット20に設けられるポケット用弾性部材22のうち、少なくとも1つの弾性部材が吸収性コア10と重なって配置されることが好ましい。このようにポケット用弾性部材21,22を設けることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した際、インナーパッド31の前後端部が吸収性コア10とポケット用弾性部材21,22の間に挟まれて、安定してポケット19,20内に保持されやすくなる。前側ポケット19においては、少なくとも第1弾性部材21Aと第2弾性部材21Bが吸収性コア10と重なって配置されることが好ましく、さらに第3弾性部材21Cも吸収性コア10と重なって配置されることがより好ましい。後側ポケット20においては、少なくとも第1弾性部材22Aと第2弾性部材22Bが吸収性コア10と重なって配置されることが好ましく、さらに第3弾性部材22Cも吸収性コア10と重なって配置されることがより好ましい。
【0062】
前側ポケット19に設けられるポケット用弾性部材21は、前側ポケット19の開口幅W1よりも幅方向xに長く設けられることが好ましい。後側ポケット20に設けられるポケット用弾性部材22は、後側ポケット20の開口幅W2よりも幅方向xに長く設けられることが好ましい。すなわち、ポケット用弾性部材21,22は、幅方向xに対して、ポケット19,20の両端よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。ここで、ポケット19,20の開口幅W1,W2とは、ポケット19,20において、ポケット用弾性部材21,22が設けられた開口縁近傍部における幅方向xの長さを意味し、開口縁近傍部は、ポケット19,20の開口縁19E,20Eに沿った部分、特に第1弾性部材21A,22Aと第2弾性部材22A,22Bを含む部分であることが好ましい。このようにポケット用弾性部材21,22が設けられることにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した際、インナーパッド31の前後端部が幅方向xの全体にわたってポケット用弾性部材21,22によって押さえられ、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20から抜けにくくなる。
【0063】
前側ポケット19の開口幅W1と後側ポケット20の開口幅W2は、吸収性コア10の幅の70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、吸収性コア10の幅よりも広いことがさらにより好ましい。一方、前側ポケット19の開口幅W1と後側ポケット20の開口幅W2の上限は、吸収性コア10の幅の200%以下であることが好ましく、180%以下であることがより好ましく、150%以下であることがさらに好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入しやすくなるとともに、インナーパッド31をポケット19,20に挿入した状態で安定して保持しやすくなる。なお、ここで説明した吸収性コア10の幅とは、ポケット19,20の開口縁近傍部が吸収性コア10と重なる位置にある場合は、ポケット19,20の開口縁近傍部と重なる位置における吸収性コア10の幅方向xの長さ(詳細には、前後方向yに対してポケット19,20の開口縁近傍部が吸収性コア10と重なる位置での、吸収性コア10の幅方向xの長さ)を意味し、前側ポケット19の開口縁近傍部が吸収性コア10の前側端よりも前側に位置する場合は、吸収性コア10の前側端の幅方向xの長さを意味し、後側ポケット20の開口縁近傍部が吸収性コア10の後側端よりも後側に位置する場合は、吸収性コア10の後側端の幅方向xの長さを意味する。
【0064】
ポケット19,20は、ポケット用弾性部材21,22が設けられた開口縁近傍部において、幅方向xの両端が外装部材2に接合されていることが好ましい。この場合、ポケット19,20の開口縁近傍部の幅方向xの両端間は、外装部材2および/または吸収性本体7に接合されないことが好ましい。ポケット19,20は、このように幅方向xの両端が外装部材2に接合された上で、ポケット用弾性部材21,22の収縮状態において、吸収性コア10が、ポケット19,20の開口縁近傍部の幅方向xの両端よりも幅方向xの外方に延在していることが好ましい。この場合、ポケット19,20の開口縁近傍部の両端は、ポケット用弾性部材21,22の伸張状態において、吸収性コア10の幅方向xの両端よりも幅方向xの外方に位置するのに対し、ポケット用弾性部材21,22の収縮状態では、ポケット19,20の開口縁近傍部が幅方向xに収縮することにより、ポケット19,20の開口縁近傍部の両端が、吸収性コア10の幅方向xの両端よりも幅方向xの内方に位置することとなる。そのため、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した際に、インナーパッド31の前後端部がポケット用弾性部材21,22によって好適に押さえられ、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20から不用意に抜けにくくなる。なお、ポケット用弾性部材の収縮状態とは、例えば、図1で示すようなパンツ形状の使い捨ておむつに何の力もかかっていない状況で、使い捨ておむつを平坦面に置いてポケット用弾性部材が収縮している状態を意味する。また、ポケット用弾性部材が肌面側にあることから、観察のために、使い捨ておむつを裏返して、平坦面に置いてポケット用弾性部材の収縮状態を観察してもよい。
【0065】
上記の場合、ポケット用弾性部材21,22の収縮状態において、ポケット19,20の開口縁近傍部の幅方向xの両端間の長さは、ポケット21,22の開口縁近傍部と重なっており、かつ当該開口縁近傍部の幅方向xの両端よりも幅方向xの外方に延在している吸収性コア10の幅の50%以上95%以下であることが好ましい。すなわち、ポケット用弾性部材21,22の収縮状態において、ポケット19,20の開口縁近傍部の幅方向xの両端間の長さは、ポケット19,20の開口縁近傍部と重なる吸収性コア10の前後方向yの位置における吸収性コア10の幅方向xの両端間の長さの50%以上95%以下であることが好ましい。前記割合は、60%以上がより好ましく、65%以上がさらに好ましく、また90%以下が好ましく、85%以下がさらに好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入することが容易になるとともに、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20から不用意に抜けにくくなる。
【0066】
ポケット用弾性部材21,22のうち、少なくとも第1弾性部材21A,22Aと第2弾性部材21B,22Bは、ポケット19,20の前後方向yの開口縁19E,20E側の1/4以下の領域に配置されることが好ましく、1/6以下の領域に配置されることがより好ましく、1/8以下の領域に配置されることがさらに好ましい。また、第1弾性部材21A,22Aは、ポケット19,20の開口縁19E,20Eから5mm以内の領域に配置されることが好ましく、3mm以内の領域に配置されることがより好ましく、2mm以内の領域に配置されることがさらに好ましい。これによりポケット19,20の開口縁19E,20Eに沿って好適にギャザーが形成され、インナーパッド31の前後端部が第1弾性部材21A,22Aと第2弾性部材21B,22Bによってしっかりと保持されやすくなる。第3弾性部材21C,22Cは、ポケット19,20の前後方向yの開口縁19E,20E側の1/2以下の領域に配置されることが好ましく、1/3以下の領域に配置されることがより好ましく、1/4以下の領域に配置されることがさらに好ましい。
【0067】
ポケット19,20には、ポケット用弾性部材21,22として、さらに第4弾性部材が設けられてもよい。この場合、第4弾性部材は第3弾性部材21C,22Cよりもポケット19,20の奥側、すなわち開口縁19E,20Eから離れた位置に設けられる。前側ポケット19において、第3弾性部材21Cと第4弾性部材の離隔間隔(第3離隔間隔)は特に限定されないが、第1弾性部材21Aと第2弾性部材21Bの離隔間隔(第1離隔間隔)よりも広いことが好ましい。後側ポケット20において、第3弾性部材22Cと第4弾性部材の離隔間隔(第3離隔間隔)は特に限定されないが、第1弾性部材22Aと第2弾性部材22Bの離隔間隔(第1離隔間隔)よりも広いことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20の奥まで挿入することが容易になるとともに、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20内で歪むことが起こりにくくなり、インナーパッド31の前後端部がポケット19,20内に安定して保持される。ポケット19,20には、ポケット用弾性部材21,22として、さらに第5弾性部材が設けられてもよく、この場合の第5弾性部材の説明は第4弾性部材の説明が適用される。なお、ポケット19,20には、開口縁19E,20Eと第1弾性部材21A,22Aの間に他の弾性部材が設けられないことが好ましい。
【0068】
ポケット用弾性部材21,22は、例えば、ポケット19,20の前後方向yの開口縁19E,20E側の1/2以下の領域のみに配置されることが好ましい。すなわち、ポケット19,20を奥行き方向(前後方向y)に2等分したときに、ポケット19,20の開口縁19E,20E側の1/2の領域にはポケット用弾性部材21,22が配置されるが、ポケット19,20の奥側1/2の領域にはポケット用弾性部材21,22が配置されないことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入する際、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20の奥まで差し込むことが容易になる。より好ましくは、ポケット用弾性部材21,22は、ポケット19,20の前後方向yの開口縁19E,20E側の1/3以下の領域のみに配置される。
【0069】
ポケット19,20がカバーシート17,18から形成される場合、ポケット用弾性部材21,22は、カバーシート17,18に設けられることが好ましい。具体的には、前側ポケット19のポケット用弾性部材21は前側カバーシート17に設けられることが好ましく、前側カバーシート17の後側縁17CEに沿って、前側ポケット19を形成する非接合領域17Bと重なって設けられることが好ましい。前側ポケット19のポケット用弾性部材21は、前側ポケット19を形成する非接合領域17Bの幅方向xの両側に位置する接合領域17Aとも重なって設けられることがより好ましい。後側ポケット20のポケット用弾性部材22は後側カバーシート18に設けられることが好ましく、後側カバーシート18の前側縁18CEに沿って、後側ポケット20を形成する非接合領域18Bと重なって設けられることが好ましい。後側ポケット20のポケット用弾性部材22は、後側ポケット20を形成する非接合領域18Bの幅方向xの両側に位置する接合領域18Aとも重なって設けられることがより好ましい。
【0070】
ポケット用弾性部材21,22は、カバーシート17,18の肌面側に配されてもよく、カバーシート17,18の外面側に配されてもよい。また、カバーシート17,18が幅方向xに延びる折り目で少なくとも1回折り返されて、ポケット19,20の開口縁19E,20Eに沿って折り込み部が形成され、ポケット用弾性部材21,22が、折り込み部において、折り返されたカバーシート17,18の間に配されてもよい。この場合、カバーシート17,18の折り目(2以上の折り目で折り返される場合は、そのうちの1以上の折り目)が、カバーシート17,18の中央側縁17CE,18CEとなって、ポケット19,20の開口縁19E,20Eを形成することが好ましい。折り込み部は、カバーシート17,18が幅方向xに延びる折り目で折り返されることにより、カバーシート17,18が複数層重ねられた部分として規定される。
【0071】
図4では、カバーシート17,18が幅方向xに延びる折り目で1回(すなわちカバーシート17,18の中央側縁17CE,18CEで)外面側に折り返されて、ポケット19,20の内側に、ポケット19,20の開口縁19E,20Eに沿って折り込み部が形成され、ポケット用弾性部材21,22が、折り込み部において、外面側に折り返されたカバーシート17,18の間に配されている。このようにポケット用弾性部材21,22を折り込み部に設けることにより、ポケット用弾性部材21,22を安定してポケット19,20に設置することができる。また、ポケット用弾性部材21,22が着用者の肌に直接当たらないため、使い捨ておむつ1の着用感を良好にすることができるとともに、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入する際に、インナーパッド31の前後端部がポケット用弾性部材21,22に引っ掛からずに容易にポケット19,20に挿入することができる。なお、折り込み部は、図4に示すように、カバーシート17,18を1回外面側に折り返すことにより形成されることが好ましく、これにより、折り込み部が過度に硬くならず着用者の肌への当たりが柔軟になるとともに、ポケット用弾性部材21,22を安定してポケット19,20に設置することができる。
【0072】
前側ポケット19に折り込み部が形成される場合、前側ポケット19に設けられるポケット用弾性部材21のうち少なくとも1つの弾性部材が折り込み部に設けられればよいが、全ての弾性部材が折り込み部に設けられることが好ましい。後側ポケット20に折り込み部が形成される場合、後側ポケット20に設けられるポケット用弾性部材22のうち少なくとも1つの弾性部材が折り込み部に設けられればよいが、全ての弾性部材が折り込み部に設けられることが好ましい。
【0073】
折り込み部は、前後方向yの長さが、ポケット19,20の奥行きの長さD1,D2の10%以上50%以下となるように形成されることが好ましい。具体的には、前側ポケット19の折り込み部の前後方向yの長さは、前側ポケット19の奥行きの長さD1の10%以上50%以下であることが好ましい。また、後側ポケット20の折り込み部の前後方向yの長さは、後側ポケット20の奥行きの長さD2の10%以上50%以下であることが好ましい。当該割合は、12%以上がより好ましく、15%以上がより好ましく、また40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。このように折り込み部が形成されれば、ポケット用弾性部材20,21を折り込み部に設けることが製造上容易になるとともに、折り込み部を形成するために使用するカバーシート17,18の量が過度に増えるのを抑えることができる。なお、前側ポケット19の奥行きの長さD1とは、前側ポケット19の開口縁19Eから、前側ポケット19の前側端19Hに当たる接合領域17Aまでの前後方向yの長さを意味し、後側ポケット20の奥行きの長さD2とは、後側ポケット20の開口縁20Eから、後側ポケット20の後側端20Hに当たる接合領域18Aまでの前後方向yの長さを意味する。
【0074】
前側ポケット19の開口幅W1と後側ポケット20の開口幅W2は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、後側ポケット20の開口幅W2は前側ポケット19の開口幅W1よりも広く形成されていてもよい。これにより、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の股部Rに設置した際に、インナーパッド31の前端部の幅方向xの位置が正確に定まり、着用者が脚を前後に動かした際にインナーパッド31が脚に当たりにくくなり、着用者がインナーパッド31を邪魔に感じにくくなる。またその結果、インナーパッド31が使い捨ておむつ1の肌面側に安定して設置され、着用者から排泄された尿等をインナーパッド31が好適に受けることができ、尿等の横漏れが起こりにくくなる。さらに、前側部よりも後側部が幅広に形成された異形のインナーパッド31を使用した場合に、異形のインナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入することが容易になり、また異形のインナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した状態を安定して保持することができる。この場合、後側ポケット20の開口幅W2は前側ポケット19の開口幅W1の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また2.0倍以下が好ましく、1.8倍以下がより好ましく、1.6倍以下がさらに好ましい。
【0075】
前側ポケット19の奥行きの長さD1と後側ポケット20の奥行きの長さD2は、20mm以上が好ましく、30mm以上がより好ましく、50mm以上がさらに好ましい。これにより、ポケット19,20にインナーパッド31の前後端部を挿入した際に、インナーパッド31の前後端部が安定して保持されやすくなる。一方、前側ポケット19の奥行きの長さD1と後側ポケット20の奥行きの長さD2は、150mm以下が好ましく、120mm以下がより好ましく、100mm以下がさらに好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入してインナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に設置した際に、インナーパッド31が前後方向yに大きくずれにくくなり、インナーパッド31がポケット19,20から抜けることが起こりにくくなる。
【0076】
前側ポケット19の奥行きの長さD1と後側ポケット20の奥行きの長さD2は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、女性が失禁用として使い捨ておむつ1を使用する場合は、尿道口の位置を考慮すると、後側ポケット20の奥行きの長さD2が前側ポケット19の奥行きの長さD1よりも長いことが好ましい。この場合、後側ポケット20の奥行きの長さD2は前側ポケット19の奥行きの長さD1の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また2.5倍以下が好ましく、2.0倍以下がより好ましく、1.6倍以下がさらに好ましい。一方、男性が失禁用として使い捨ておむつ1を使用する場合は、尿道口の位置を考慮すると、前側ポケット19の奥行きの長さD1は後側ポケット20の奥行きの長さD2よりも長いことが好ましい。この場合、前側ポケット19の奥行きの長さD1は後側ポケット20の奥行きの長さD2の1.1倍以上が好ましく、1.2倍以上がより好ましく、また2.5倍以下が好ましく、2.0倍以下がより好ましく、1.6倍以下がさらに好ましい。
【0077】
前側ポケット19の大きさと後側ポケット20の大きさは、同じであっても異なっていてもよい。また、ポケット19,20には吸収性コア10が重なって設けられることが好ましいが、前側ポケット19と吸収性コア10とが重なる面積と後側ポケット20と吸収性コア10とが重なる面積は、同じであっても異なっていてもよい。例えば、吸収性コア10は、前側ポケット19よりも後側ポケット20とより広い面積で重なっていてもよい。この場合、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入した際に、インナーパッド31の後端部が吸収性コア10と着用者の肌に挟まれて後側ポケット20内に安定して保持されやすくなる。そのため、着用者が腰を左右に回す動きなどをしても、インナーパッド31の後端部が後側ポケット20から抜けることが起こりにくくなる。
【0078】
インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入しやすく観点から、吸収性コア10の前端部および/または後端部の厚みは、吸収性コア10の前後方向yの中央1/3の部分の厚みよりも薄いことが好ましい。吸収性コア10の厚みはシックネスゲージにより測定することができ、例えば株式会社テクロック製のシックネスゲージSM-130を用いて測定することができる。具体的には、吸収性コア10をアンビルと測定子の間に挟んで厚みを測定し、その際、シックネスゲージSM-130では、終圧が2.2N以下となるように厚みを測定する。アンビルと測定子は、測定対象との接触面が直径10mmの円形であり、接触面が平らなものを用いる。吸収性コア10の前後端部の厚みは、吸収性コア10の前側端または後側端から10mm離れた位置に直径10mmの円形のアンビルと測定子の中心が来るように測定する。吸収性コア10の前後方向yの中央1/3の部分の厚みは、吸収性コア10の前後方向yの中央1/3の部分において、前後方向yに略等間隔に離れた3箇所の厚みを測定し、その平均値を算出することにより求める。吸収性コア10の前端部および/または後端部の厚みは、吸収性コア10の前後方向yの中央1/3の部分の厚みの90%以下であることが好ましく、80%以下がより好ましく、また20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。
【0079】
前側ポケット19を形成する前側カバーシート17は、少なくとも前側胴部Pに設けられ、前側胴部Pから股部Rにかけて設けられてもよい。従って、前側ポケット19の開口縁19Eは、前側胴部Pに位置してもよく、股部Rに位置してもよい。前側カバーシート17は、前側胴部Pの全体に設けられてもよく、前側胴部Pの一部のみに設けられてもよい。前側カバーシート17は、幅方向xに対しては、吸収性本体7よりも幅広に設けられることが好ましく、外装部材2の前側胴部Pと幅方向xの長さが略同一に形成されることが好ましい。
【0080】
後側ポケット20を形成する後側カバーシート18は、少なくとも後側胴部Qに設けられ、後側胴部Qから股部Rにかけて設けられてもよい。従って、後側ポケット20の開口縁20Eは、後側胴部Qに位置してもよく、股部Rに位置してもよい。後側カバーシート18は、後側胴部Qの全体に設けられてもよく、後側胴部Qの一部のみに設けられてもよい。後側カバーシート18は、幅方向xに対しては、吸収性本体7よりも幅広に設けられることが好ましく、外装部材2の後側胴部Qと幅方向xの長さが略同一に形成されることがより好ましい。
【0081】
前側カバーシート17は外装部材2の前側胴部Pと幅方向xに対して略一致するように設けられ、後側カバーシート18は外装部材2の後側胴部Qと幅方向xに対して略一致するように設けられ、前側カバーシート17と後側カバーシート18がサイドシール部13で互いに接合されることが好ましい。これにより、前側カバーシート17と後側カバーシート18が外装部材2から剥がれることが起こりにくくなり、前側ポケット19と後側ポケット20が安定して形成される。
【0082】
カバーシート17,18は、吸収性本体7に接合されないことが好ましい。従って、前側カバーシート17の接合領域17Aは、前側カバーシート17と吸収性本体2とを接合するように形成されることが好ましく、後側カバーシート18の接合領域18Aは、後側カバーシート18と吸収性本体2とを接合するように形成されることが好ましい。前側カバーシート17は、吸収性本体7の前端部を覆い、かつ吸収性本体7に接合されないことがより好ましく、後側カバーシート18は、吸収性本体7の後端部を覆い、かつ吸収性本体7に接合されないことがより好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入しやすくなる。また、吸収性本体7の肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップ11が設けられる場合に、立ち上がりフラップ11が好適に立ち上がりやすくなる。
【0083】
カバーシート17,18は、中央側縁17CE,18CEを含む部分(例えば、中央側縁17CE,18CEから5mm以内の領域)に、ポケット19,20の開口縁近傍部の幅方向xの両端よりも幅方向xの外方にかけて、非接合領域17B,18Bが形成されていてもよい。この場合、カバーシート17,18の中央側縁17CE,18CEは、ポケット19,20の開口縁19E,20Eだけでなく、それよりも幅方向xの外方の部分においても、外装部材2と吸収性本体7に接合されないこととなる。このようにカバーシート17,18の中央側縁17CE,18CEに非接合領域17B,18Bが形成されていれば、インナーパッド31の前後端部をポケット19,20に挿入することが容易になる。
【0084】
カバーシート17,18は親水性(液透過性)であっても疎水性(液不透過性)であってもよく、トップシート8やバックシート9に使用可能なシート材料を用いることができる。なお、カバーシート17,18が親水性であれば、尿等がカバーシート17,18上に排泄されても尿等がカバーシート17,18を透過することができ、インナーパッド31のより広い部分を尿等の吸収に寄与させることができるため、好ましい。この場合、前側カバーシート17と後側カバーシート18の両方が親水性であってもよく、一方のみが親水性であってもよい。
【0085】
前側カバーシート17と後側カバーシート18は、例えば、前側カバーシート17が親水性であり、後側カバーシート18が疎水性であってもよい。この場合、使い捨ておむつ1の肌面側にインナーパッド31を設置して着用した際に、インナーパッド31の前側部分のより広い範囲を尿等の吸収に寄与させることができる。一方、後側カバーシート18が疎水性であることにより、着用者が仰臥位の状態で尿等の背側からの漏れを防ぐことができるとともに、インナーパッド31に吸収された尿等が後側カバーシート18を透過して滲み出ることを防ぐことができる。そのため、使い捨ておむつ1の着用感を高めることができる。
【0086】
外装部材2の前側胴部Pに設けられる前側胴部弾性部材15Aは、吸収性コア10と重なって配置されないことが好ましい。あるいは、前側胴部弾性部材15Aの一部が吸収性コア10と重なって配置されるような場合には、吸収性コア10と重なる部分で前側胴部弾性部材15Aが断続的に設けられていることが好ましい。このように外装部材2の前側胴部Pに前側胴部弾性部材15Aが設けられることにより、吸収性コア10の前端部が前側胴部弾性部材15Aによって歪むことが起こりにくくなり、インナーパッド31の前端部を前側ポケット19に挿入しやすくなる。また、インナーパッド31の前端部が前側ポケット19に挿入された状態で安定して保持されやすくなる。なお、「前側胴部弾性部材15Aは、吸収性コア10と重なって配置されない」とは、複数本の前側胴部弾性部材15Aの全てが吸収性コア10と重なって配置されないことを意味する。
【0087】
外装部材2の後側胴部Qに設けられる後側胴部弾性部材15Bは、吸収性コア10と重なって配置されないことが好ましい。あるいは、後側胴部弾性部材15Bの一部が吸収性コア10と重なって配置されるような場合には、吸収性コア10と重なる部分で後側胴部弾性部材15Bが断続的に設けられていることが好ましい。このように外装部材2の後側胴部Qに後側胴部弾性部材15Bが設けられることにより、吸収性コア10の後端部が後側胴部弾性部材15Bによって歪むことが起こりにくくなり、インナーパッド31の後端部を後側ポケット20に挿入しやすくなる。また、インナーパッド31の後端部が後側ポケット20に挿入された状態で安定して保持されやすくなる。なお、「後側胴部弾性部材15Bは、吸収性コア10と重なって配置されない」とは、複数本の後側胴部弾性部材15Bの全てが吸収性コア10と重なって配置されないことを意味する。
【0088】
図5に示すように、前側ポケット19の前側端19H、すなわち前側ポケット19の奥側の端は、吸収性本体7の前側端7E1よりも前側に位置し、前側ポケット19の前側端19Hと吸収性本体7の前側端7E1の間に、前側胴部弾性部材15Aの少なくとも一部が配置されていることが好ましい。このように前側胴部弾性部材15Aが設けられていれば、インナーパッド31の前端部を前側ポケット19に挿入して着用した際に、インナーパッド31の前端部が前側胴部弾性部材15Aによって着用者の肌に向かって押し付けられ、インナーパッド31の前端部が前側ポケット19内に安定して保持されやすくなる。なお、前側ポケット19の前側端19Hと吸収性本体7の前側端7E1の間に配される前側胴部弾性部材15Aは、前側ポケット19の前側端19Hと吸収性本体7の前側端7E1の間において連続的に設けられることが好ましい。
【0089】
図6に示すように、後側ポケット20の後側端20H、すなわち後側ポケット20の奥側の端は、吸収性本体7の後側端7E2よりも後側に位置し、後側ポケット20の後側端20Hと吸収性本体7の後側端7E2の間に、後側胴部弾性部材15Bの少なくとも一部が配置されていることが好ましい。このように後側胴部弾性部材15Bが設けられていれば、インナーパッド31の後端部を後側ポケット20に挿入して着用した際に、インナーパッド31の後端部が後側胴部弾性部材15Bによって着用者の肌に向かって押し付けられ、インナーパッド31の後端部が後側ポケット20内に安定して保持されやすくなる。なお、後側ポケット20の後側端20Hと吸収性本体7の後側端7E2の間に配される後側胴部弾性部材15Bは、後側ポケット20の後側端20Hと吸収性本体7の後側端7E2の間において連続的に設けられることが好ましい。
【0090】
本発明はまた、上記に説明した本発明の使い捨ておむつと、当該使い捨ておむつの肌面側に配置されるインナーパッドとを有する吸収性物品の組み合わせも提供する。インナーパッドは、本発明の使い捨ておむつのトップシート上に配置される。本発明の吸収性物品の組み合わせによれば、インナーパッドの前後端部を使い捨ておむつのポケットに挿入することにより、インナーパッドを使い捨ておむつの肌面側に安定して配置することができる。これについて、図8を参照して説明する。なお、図8では、インナーパッド31の前後端部のポケット20内への配置を示すため、便宜的に、使い捨ておむつ1の吸収性本体7の肌面側の幅方向xの両側に立ち上がるフラップ11を省略している。インナーパッド31の前後端部をポケット20内に配置する際に、幅方向xにおいては、吸収性本体7の立ち上がりフラップ11の間にインナーパッド31が配置されるので、前後方向yだけでなく幅方向xにおいてもインナーパッド31が安定して保持されやすくなる。
【0091】
インナーパッド31は、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コア32とを有することが好ましい。インナーパッド31のトップシートは液透過性であることが好ましく、上記に説明した使い捨ておむつ1のトップシート8に使用可能な材料から構成することができる。インナーパッド31のバックシートは液透過性であっても液不透過性であってもよく、上記に説明した使い捨ておむつ1のトップシート8やバックシート9に使用可能な材料から構成することができる。インナーパッド31の吸収性コア32は、上記の使い捨ておむつ1の吸収性コア10の説明が参照される。インナーパッド31には、肌面側の幅方向xの両側に立ち上がりフラップが設けられてもよく、インナーパッド31の立ち上がりフラップは、上記の使い捨ておむつ1の立ち上がりフラップ11の説明が参照される。インナーパッド31の形状としては、略長方形、砂時計形、羽子板形等が示される。
【0092】
インナーパッド31の吸収性コア32の幅は、前側ポケット19の開口幅W1と後側ポケット20の開口幅W2よりも狭いことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部を前側ポケット19と後側ポケット20に挿入しやすくなる。一方、インナーパッド31の吸収性コア32の幅は、使い捨ておむつ1の吸収性コア10の幅よりも広いことが好ましい。特に、インナーパッド31の吸収性コア32の前後端部の幅が、使い捨ておむつ1の吸収性コア10の前後端部の幅よりも広いことが好ましい。これによりインナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に安定して設置しやすくなる。例えば、インナーパッド31の吸収性コア32の幅は、使い捨ておむつ1の吸収性コア10の幅よりも10%~30%広いことが好ましい。
【0093】
インナーパッド31の吸収性コア32の前後方向yの長さは、使い捨ておむつ1の前側ポケット19の開口縁19Eから後側ポケット20の開口縁20Eまでの前後方向yの長さよりも長いことが好ましい。これにより、インナーパッド31の前後端部を前側ポケット19と後側ポケット20に挿入した状態で、インナーパッド31を使い捨ておむつ1の肌面側に安定して設置することができる。インナーパッド31の吸収性コア32の前後方向yの長さは、使い捨ておむつ1の前側ポケット19の開口縁19Eから後側ポケット20の開口縁20Eまでの前後方向yの長さよりも20mm以上長いことが好ましく、40mm以上長いことがより好ましく、また200mm以下長いことが好ましく、160mm以下長いことがより好ましい。
【符号の説明】
【0094】
1:使い捨ておむつ
2:外装部材
3:ウェスト開口部
4:脚開口部
5:内側シート
6:外側シート
7:吸収性本体
8:トップシート
9:バックシート
10:吸収性コア
11:立ち上がりフラップ
12:起立用弾性部材
13:サイドシール部
14:脚部弾性部材、14A:前側脚部弾性部材、14B:後側脚部弾性部材
15:胴部弾性部材、15A:前側胴部弾性部材、15B:後側胴部弾性部材
16:腰部弾性部材
17:前側カバーシート、17A:接合領域、17B:非接合領域、17CE:中央側縁または後側縁、17OE:外方側縁
18:後側カバーシート、18A:接合領域、18B:非接合領域、18CE:中央側縁または前側縁、18OE:外方側縁
19:前側ポケット、19E:開口縁
20:後側ポケット、20E:開口縁
21:前側ポケット用弾性部材、21A:第1弾性部材、21B:第2弾性部材、21C:第3弾性部材
22:後側ポケット用弾性部材、22A:第1弾性部材、22B:第2弾性部材、22C:第3弾性部材
31:インナーパッド
32:(インナーパッドの)吸収性コア
P:前側胴部
Q:後側胴部
R:股部
図1
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図8